NISAで投資信託を買うメリットとデメリット 初心者におすすめの商品と買ってはいけない商品をFPが解説

2020.7.15
投資
(写真=SFIO CRACHO/Shutterstock.com)
(写真=SFIO CRACHO/Shutterstock.com)
NISA(一般NISAとも言われる)は、つみたてNISAやiDeCo(個人型確定拠出年金)に比べて商品数が多い。それだけに銘柄選びが重要である。現在、NISAを利用する人が最も買い付けているのは投資信託だが、NISAで投資信託を選ぶことにデメリットはないのだろうか。

目次
1.NISAで一番買われているのは投資信託
2.NISAで投資信託を買う3つのメリット
3.NISAで投資信託を買う3つのデメリット
4.NISAで初心者が買うべき投資信託
5.NISAで初心者が買ってはいけない投資信託
6.NISAで初心者におすすめの投資信託5選
7.NISAでの投資信託の運用はデメリットに注意

1.一般NISAで一番買われているのは投資信託

「老後2000万円報告書」の効果があってか、NISAの人気が堅調だ。2019年12月末時点の一般NISA口座数は1,176 万 6,629 口座に増加し、買付額は18 兆 3,830 億円にのぼる(金融庁の『NISA・ジュニアNISA口座の利用状況調査(2019年12月末時点(速報値))』より)。

NISAはもともと健全な資産形成を支援するために作られており、初心者がイチから投資を始めるよりもハードルが低い。一般NISAは最長5年間、運用益が非課税という特典も大きい。

一般NISAで取引できる商品は株式投資信託、国内・海外上場株式、国内・海外ETF、ETN(上場投資証券)、国内・海外REIT、新株予約権付社債(ワラント債)と多岐にわたる。対象商品が182本のつみたてNISAや、運営管理機関が扱える商品数の上限を35本としたiDeCoと比較するとケタ違いに豊富だ。一般NISAは選択肢が多いとも言えるが、その分、銘柄選びは大変だとも言える。

一般NISAにおいて最も選ばれているのは、実は投資信託だ。金融庁の調べによると、2014年から2019 年9月末までの間に一般NISA口座で買い付けられた商品は、投資信託が9兆 8,804 億 4,427万円と全体の56.9%を占める。次いで多いのが上場株式で40.5%、ETFやREITはそれぞれ1%台にとどまる(金融庁の『NISA・ジュニアNISA口座の利用状況調査(2019年9月末時点)』より)。

つみたてNISAやiDeCoであれば、対象商品のほとんどが投資信託なのでこの結果は理解できるが、選択肢の広い一般NISAでも投資信託を選ぶ人が多いのはなぜだろうか。

2.NISAで投資信託を買う3つのメリット

NISAで投資信託を買うメリットを3つ挙げてみる。

⑴非課税枠をムダなく使える

一般NISAで投資信託を買うメリットは、年間120万円の投資枠を限度いっぱいまで買うのに適している点だ。株式を購入する場合は売買単位があるため、「あと50万円分」のように細かく金額を設定することはできない。一方、投資信託は大きくても1万円単位で購入できるため、一般NISAの非課税枠をムダなく消化することができる。

⑵少額で分散投資ができる

投資は地域や資産の種類など値動きの異なる複数の商品を保有することによってリスクを分散させるのが基本である。しかし、株式投資では1社の株式を購入するにはある程度まとまった資金が必要だ。

たとえばトヨタ自動車の株価は6,709円、売買単位は100株なので、1口買うにも約67万円が必要になる(2020年7月9日時点)。一般NISAの年間投資枠は120万円しかなく、1社の株式だけで半分以上を使ってしまうことになる。これでは分散投資は難しい。投資信託なら最低購入金額が1万円程度のものが多く、ネット証券では100円以上、1円単位といった超少額投資が可能だ。

⑶個人では投資しにくい地域やテーマに投資できる

たとえば世界のロボティクス関連全体に投資したいと考えた場合、国内外の該当企業を自分で探し出すのは至難の業である。投資信託はロボティクスやセキュリティ、環境関連やAIのような特定のテーマに特化した商品がいくつもある。成長が期待できる新興国を対象としたものも多く、幅広い投資が可能だ。

特殊なファンドは値動きや手数料に難がある場合もあるが、特定の分野に投資した商品をどうしても買いたいと考えている人にとって、投資信託は便利な仕組みなのだ。

3.NISAで投資信託を買う3つのデメリット

NISAで投資信託を買うことはメリットが多いが、デメリットもある。

⑴3つのコストがかかる

株取引では売買手数料が発生するが、投資信託は運用のプロに委託する形式となっているため、別途手数料が必要となる。投資信託にかかる費用は、購入時にかかる「販売買付手数料」、ファンドの管理費用である「信託報酬」、途中で換金する際に発生する「信託財産留保額」の3つである。

一般NISAの中には販売手数料4%超、信託報酬2%超のファンドも含まれており、これらを上回る運用益を得られない限り元本割れをしてしまう。

⑵NISAにはハイリスクな投資信託がまぎれている

税優遇という公的な介入があることから一般NISAは安全だと考えられているが、一概にそうとは言えない。

たとえば同じ税制優遇制度であるつみたてNISAやiDeCoは、安全面・コスト面で厳しい基準が設けられているので極端な商品は見当たらない。一方、一般NISAは証券会社で取り扱っている株式や投資信託の多くが対象になるため、ハイリスク・ハイリターン商品が含まれている。

たとえば指数の2倍や3倍程度の値動きを目指して運用するブル・ベア型投資信託やETF、成長性を重視した新興国の海外株式などだ。それも当たり前のように前面に押し出してくるので、初心者はそれが標準的な商品だと勘違いしがちだ。

⑶タイムリミットが5年しかない

投資信託の種類はさまざまで、長期投資に適したファンドから、株式よりも激しい値動きをするものまである。一般NISAではすべての範囲が対象だ。安定志向から長期投資に適したファンドを選んだとしても、一般NISAの非課税期間は5年と決められているため、それ以上だと運用益に課税されてしまう。せっかくのNISAの特典が台無しとなるのだ。

「ロールオーバー」をすることで一般NISAでの保有を継続できるが、その年の非課税枠を使ってしまうことになる。一般NISAでは5年以内に値上がりと売却ができそうな銘柄を選ぶことが勝負を左右するのだ。

4.一般NISAで初心者が買うべき3つの投資信託

一般NISAで投資信託を買うメリット・デメリットを踏まえ、投資初心者は一般NISAでどのような投資信託を買うべきなのか。

⑴インデックス型投資信託……手数料が安く不確実性が低い

一般NISAに限ったことではないが、投資においてはいかに多くのリターンを得るかということ以外に、「いかにコストを抑えるか」、「いかにリスクを避けるか」が運用成績を左右する。特に初心者にとっては手数料が安く不確実性の低い商品選びが重要になる。それを満たすのがインデックス型の投資信託だ。販売手数料がゼロで信託報酬も低い銘柄が多く、日経平均株価やNYダウなど特定の指数に連動するため、状況が把握しやすい。

⑵株式中心の投資信託……「全米」「先進国」「全世界」の株式市場を対象に値上がり益を狙う

一般NISAの最大のメリットは運用益が非課税になることなので、ある程度の値上がり益は狙っていきたい。とはいえ個別株は、国内・国外共にハイリスクで商品選びも一定以上の投資経験を必要とする。「全米」「先進国」「全世界」の株式市場を対象とする投資信託であれば、広範囲に地域分散しながら株式に投資できる。

⑶複数資産に投資するバランス型投資信託……自動でリバランスを行ってくれるためNISAの非課税枠を消費しない

一般NISAで株式を含む複数資産に投資すれば、さらに広い意味での分散投資が可能だ。バランス型投資信託は1つの銘柄で株式・債券・REIT等をカバーする。組み入れ比率はファンドによってさまざまで、固定のものもあれば状況に応じて変動するものもある。

バランス型投資信託のメリットはリスク分散だけではない。市場環境に合わせてファンドが自動的にリバランスする機能を持っているため、組み換えのために保有商品を売却して非課税枠を消費せずに済む点も大きい。

5.一般NISAで初心者が買ってはいけない3つの投資信託

投資初心者が一般NISAで買うべきではない投資信託の特徴はどのようなものだろうか。

⑴債券中心の投資信託……非課税期間が短い一般NISAには不向き

債券投資はリスクが低く抑えられる反面、リターンもあまり多くは望めない。債券中心の投資信託は安全性が高く低コストなので、老後資金などの長期投資に向いている。

一般NISAの場合、非課税期間が5年ということもあり、債券で十分な運用益を得るには時間が足りない。せっかくのNISAの非課税効果を活用したいのであれば、債券中心に投資するファンドを選ぶのは賢明とは言えないだろう。

⑵レバレッジ型の投資信託……値動きが大きいためコントロールが難しい

一般NISAで購入できる投資信託やETFの中には、「ブル型」「ベア型」と呼ばれるタイプの投資信託が存在する。これらは、対象となる株価指数の2倍や3倍の値動きをするレバレッジ商品だ。先物取引に該当する短期志向の商品であるため、大きな値上がり益や下落相場での活用が期待できる。

一方で、指数に連動しない値動きをしたり想定以上の損失を受けたりする可能性があるため、投資に慣れていない初心者が選ぶ商品ではない。

⑶毎月分配型の投資信託……元本払戻金が発生する場合はNISAのメリットが活かされない

毎月分配型など決算頻度の高い投資信託への投資は、一般NISAでは慎重になるべきだ。毎月分配型の投資信託は長期の資産形成には向いておらず、元本を取り崩してでも毎月一定の分配金を求めるシニア層のニーズが高い。

運用収益から支払われる普通分配金は課税対象なのでNISAの非課税メリットが活かされるが、元本を切り崩して分配金が支払われる元本払戻金(特別分配金)の場合は、もともと非課税のためNISAの非課税メリットが得られない。また、投資信託の分配金を受け取らず再投資することも可能だが、その際、その再投資分がNISAの非課税枠を消費してしまう点もマイナスだ。

6.一般NISAで初心者におすすめの投資信託5選

では具体的にNISAではどのような商品が初心者に良いのだろうか。前出の「買うべき投資信託」の条件を満たすおすすめ投資信託を5つ紹介する。

SBI・バンガード・S&P500インデックス・ファンド……長期投資向きの銘柄ながら十分な値上がり益が見込める

低コストなインデックス投資信託という点では、SBIアセットマネジメントが運用する「SBI・バンガード・S&P500インデックス・ファンド」が優れている。米国の代表的な株価指数であるS&P500指数に連動するファンドだ。

運用会社であるバンガードのETF(上場投資信託証券)を主な投資対象とするため、徹底的にコストが抑えられている。信託報酬は年率0.0938%(税込)と最低水準だ。同分類のファンドで信託報酬が0.1%を下回るファンドはそう多くない。

ファンド設定日は2019年9月26日とかなり新しい。つみたてNISAに採用されていて、長期投資向きの銘柄だが、2020年6月30日を基準日とする期間収益率は3ヵ月で15.59%と、一般NISAでも値上がり益が十分見込める。ただ純資産総額は約461億と、1,000億円を超えるような大型ファンドには及ばない。

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eMAXIS Slim 米国株式(S&P500)……コストの低さと分かりやすさが評価される人気ファンド

eMAXIS Slim 米国株式(S&P500)は、三菱UFJ国際投信が徹底した低コストを目指した「eMAXIS Slimシリーズ」の代表的銘柄だ。信託報酬は年0.0968%(税込)とシリーズ商品の中で最も低い。

「eMAXIS Slimシリーズ」は、他社類似ファンドの信託報酬が自社のファンドを下回る場合、自社の信託報酬率を引き下げるという徹底ぶりで、2017年の設定以来、何度も信託報酬を引き下げてきた実績を持つ。

eMAXIS Slim 米国株式(S&P500)は221人の投信ブロガーが選ぶ『Fund of the Year 2019』で2位に選ばれている。運用コストの低さと分かりやすさが評価されているようだ。ちなみに同社の、“Slim”がつかない「eMAXISシリーズ」にも米国株式(S&P500)に投資するものがあるが、全くの別商品である。

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<購入・換金手数料なし>ニッセイ外国株式インデックスファンド……純資産総額がトップクラス

<購入・換金手数料なし>ニッセイ外国株式インデックスファンドは、ニッセイアセットマネジメントが運用するインデックスファンドシリーズの1つだ。日本を除く先進国の株価を示すMSCIコクサイ・インデックスに連動する。信託報酬は年0.1023%(税込)と低めに抑えられており、S&P500よりも広い範囲で海外株式への分散投資ができる。1,803億5,100万円もの純資産総額は、数ある投資信託の中でもトップクラスで、ファンドへの信頼性の高さがうかがえる。

2020年3月には大きな値崩れがあったものの、4月から5月にかけて上昇を続けており、長期では1年で2.36%、3年で5.31%ものトータルリターンを出している。ただし、これは最近先進国の好調が続いているからで、米国に経済不安が発生すると連鎖的に下落するリスクはある。

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eMAXIS Slim バランス(8資産均等型)……バランスファンドの中では信託報酬が低め

複数資産に分散投資するバランスファンドのうち、信託報酬が低めで純資産総額が高め、株式組み入れ比率が一定以上あるのが、eMAXIS Slimシリーズの「バランス(8資産均等型)」である。8資産とは「国内株式」、「先進国株式」、「新興国株式」、「国内債券」、「先進国債券」、「新興国債券」、「国内REIT」、「海外REIT」を指す。組み入れ比率はそれぞれ12.5%ずつで、株式37.5%、債券37.5%、RIET25%という配分だ。

信託報酬は年0.154%(税込)とインデックス型より高くなっているが、1%や2%が当たり前というバランス型の中では格段に低い。株価上昇局面では株式100%のファンドよりも影響度が1/3程度となってしまうが、その分リスクも抑えられる。

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ひふみプラス……純資産総額5,000億円超えの大人気アクティブファンド

レオス・キャピタルワークスが運用するひふみプラスは、特定の指標に連動した運用成果を目指すインデックス投資とは異なり、割安と思われる上場株式に投資して積極運用を行う。アクティブ型投資信託に分類されるが、極端にリスクの高い商品ではない。長期安定運用に適している銘柄のみが認定されるつみたてNISAの採用銘柄にも採用されている。

常に100%株式を保有するのではなく、状況に応じて現金化するなどして株式組み入れ比率を変動させるのが特徴だ。手間とノウハウを必要とするので信託報酬は年率1.0780%(税込)と高めだが、純資産総額5,205億円の大人気銘柄である。株価変動リスクはインデックス型に比べると高くなるものの、5年の非課税期間をフルに活かせる。

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7.NISAで投資信託を運用するならデメリットに注意

NISAで何を買ったらいいか迷った場合は、投資信託は非常に使い勝手の良い商品である。ただしNISAでは商品のラインアップが他の税優遇制度のように安全性の高いものばかりではないことに注意したい。非課税期間である5年のタイムリミットを迎えるまでに、出口戦略をあらかじめ考えておいたほうが良いだろう。

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篠田わかな
執筆・篠田わかな
外資系経営コンサルティング会社にて製造・物流・小売部門のコンサルタントとして業務/システム改革プロジェクトに参画。退職後独学でFP技能士の資格を取得。開業して個人事業主となり、マネー・ビジネス分野の執筆、企業からの請負業務を手がける。
外資系経営コンサルティング会社にて製造・物流・小売部門のコンサルタントとして業務/システム改革プロジェクトに参画。退職後独学でFP技能士の資格を取得。開業して個人事業主となり、マネー・ビジネス分野の執筆、企業からの請負業務を手がける。
 
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