投資信託は投資初心者の入門商品として紹介されることが多いが、実際に投資信託を始める場合は、証券会社をどう選べばいいのか?初心者におすすめの証券会社を取扱本数や手数料などで徹底比較し、ランキングを独自に作成した。おすすめ銘柄やメリット・デメリットなど、知っておきたい運用の基本も解説しよう。

目次
1.投資信託の3つのメリット
2.証券会社選びの5つのポイント
3.おすすめ証券会社ランキングTOP10
4.インデックス型投資信託おすすめ銘柄TOP5
5.アクティブ型投資信託おすすめ銘柄TOP5
6.投資信託3つのデメリット
7.投資信託の運用はNISAを活用しよう

1.投資信託の3つのメリット

投資信託には3つのメリットがあり、投資初心者の入門商品として最適だ。

メリット1……少額から投資できる

証券会社にもよるが、投資信託は最低100円や1,000円、1万円から購入でき予算に応じて自由に投資できる。一方、株式や債券に直接投資する場合、ある程度の資金が必要になる。株価が500円の株式でも最低売買単位の100株を購入すれば5万円だ。

投資信託は手数料も含めた金額を指定して購入できるのも特徴だ。個別の株式や債券は価格が決まっているため自身で細かく指定した金額では購入できない。

メリット2……運用を専門家に任せられる

投資信託は中身の投資資産を運用の専門家が売買するため、投資家が実際に投資する場合はそこまで詳しい知識を必要としない。どんな資産にどのように投資するのか、手数料はどれくらいかかるのかなど最低限の確認は必要ではあるものの、初心者でも手軽に運用できる。一方、株や債券を自分で購入するには投資の知識や企業分析が必要になる。

メリット3……分散投資が簡単にできる

投資信託は1つの商品で複数の銘柄や資産に投資されており、分散投資するのに最適な金融商品だ。分散投資は資産運用の基本である。投資タイミングを分散したり、海外など投資地域を分散したりする方法も有効だ。例えば株式に投資する場合でも1つの銘柄に集中投資するのではなく、複数銘柄に分けて投資するほうがリスクを抑えられる。

2.投資信託を運用する証券会社選びの5つのポイント

投資信託を購入するときの証券会社選びは、次の5つのポイントで比較しよう。

ポイント1……投資信託の取扱数が豊富

投資信託を購入する際は、取扱数の多い証券会社を選びたい。数が多ければそれだけ比較でき、良い商品を選べるからだ。投資信託を比較する作業は、証券会社のスクリーニング機能などを使えばそれほど難しくはない。投資信託を厳選して取り扱っている証券会社もあるため、あらかじめ買いたい銘柄が決まっていれば取扱数が少なくても問題ないだろう。

ポイント2……投資信託にかかる手数料が安い

投資信託の手数料が安い証券会社を選ぶことも大事だ。投資信託の手数料は、主に購入時にかかる買付手数料と保有中に払い続ける信託報酬がある。信託報酬は、同じ銘柄ならどの証券会社でも一定であるが、買付手数料は証券会社で差が出ることがある。同じ投資信託であれば、手数料の安いほうが手元に入る利益が増える。投資信託の買付手数料をすべて無料にしている証券会社もあるので確認してみるといいだろう。

ポイント3……投資信託の最低投資金額が低い

投資信託を少額で積み立てたい場合は、最低投資金額の低い証券会社を選びたい。金融機関によって1万円からのところもあるが、ネット証券を中心に100円から投資できる証券会社も増えてきている。積立投資は続けることが大切であり、最低投資金額の低いほうが何かあったときでも柔軟に対応し継続できる。お試しで少額だけ買ってみたいという場合も、最低投資金額の低い証券会社がおすすめだ。

ポイント4……投資信託の購入代金の引落方法を選べる

投資信託の購入代金の引落方法が多い証券会社のほうが利便性は高い。例えばよく利用している銀行から購入代金を引き落とせない場合、証券会社の口座に資金を振り込まなければならないこともある。スポットで購入するならまだいいが、積立で自動引落ができないのは不便だ。グループ内の銀行口座から自動振替をしてくれる証券会社もあるため、引落方法も考慮して証券会社を選んだほうがよいだろう。

ポイント5……サービスが充実している

投資信託の取扱数が1,000本以上ある証券会社もあり、その中から初心者が自分で選ぶのは大変かもしれない。それをサポートするためにロボアドバイザーを用意する証券会社もある。ロボアドは資産配分や商品選び、購入後のメンテナンスをアドバイスするものなどさまざまだ。ロボアド以外にもコールセンターの品質を高めてサポートするところもあるため、各証券会社のサービスも確認してみよう。

3.投資信託を運用するのにおすすめの証券会社ランキングTOP10

5つのポイントを踏まえ、投資信託の運用でおすすめの証券会社ランキングを紹介しよう(2020年12月時点)。投資信託を運用するなら、投資で得た利益が非課税になる「NISA」口座開設の可否も確認したい。

証券
会社
投資信託
の取扱数
ノーロード
投信数
最低
投資
金額
引落方法 サービス
1位 SBI
証券
2,648本 2,648本 100円 住信SBIネット銀行の
自動振替、指定銀行
自動引落
かんたん積立
アプリの提供
2位 楽天
証券
2,680本 2,680本 100円 楽天銀行の
自動振替、指定銀行
自動引落
ロボアド
「ロボのぶくん」
の提供
3位 松井
証券
1,308本 1,308本 100円 指定銀行自動引落 3種類のロボ
アドバイザーを提供
4位 マネックス
証券
1,172本 1,172本 100円 指定銀行自動引落 投信ポートフォリオ診断、
MONEX VISIONなど
5位 au
カブコム
証券
1,271本 1,271本 100円 auじぶん銀行
の自動振替、
指定銀行自動引落
投資勉強会
「株スクール」
などを開催
6位 岡三
オンライン
証券
550本 550本 100円 証券口座への
入金のみ
顧客満足度
ランキング
ネット証券1位
7位 SMBC
日興証券
1,079本 623本 1,000円 指定銀行
自動引落
「とうしんLab.」
の運営
8位 フィデリティ
証券
680本 680本
(プログラム適用)
1,000円 指定銀行
自動引落
電話対応で
HDI最高評価
「三ツ星」を獲得
9位 LINE
証券
30本 30本 100円 LINE Pay LINEから
アクセス可能
10位 GMO
クリック
証券
115本 115本 100円 GMOあおぞら
ネット銀行の
自動振替、指定銀行
引き落とし
GMOあおぞら
ネット銀行との
口座連携でお得な
特典あり

※筆者作成

1位.SBI証券……口座数・預かり残高No.1のネット証券

SBI証券は主要ネット証券の中で口座数・預かり残高ともに最も多く、口座数だけで言えば対面型証券会社の最大手である野村證券を抜いて国内最大だ。それだけ投資家から選ばれている証券会社であり、投資信託に関するサービスも申し分ない。

SBI証券の投資信託取扱本数は業界最多水準であり、すべての投資信託がノーロードだ。投資信託は100円から購入でき、積立投資では毎月以外に毎日や毎週、隔月といった設定ができる。損益確認や管理の一元化が可能な投信積立専用の「かんたん積立アプリ」も提供しており、積立投資に注力している。グループ内の住信SBIネット銀行を利用すれば、資金移動も簡単だ。

投資信託 2,648本
ノーロード投資信託 2,648本
最低購入金額 100円
引落方法 証券口座
自社銀行の自動振替 ○(住信SBIネット銀行)
指定銀行自動引落
その他
NISA口座開設 一般NISA
つみたてNISA
(※SBI証券のホームページより筆者作成)

 

2位.楽天証券……楽天経済圏を利用してお得に投資できる

楽天証券も投資信託の取扱本数が業界最多水準であり、すべてノーロードで購入できる。楽天証券は楽天経済圏とのシナジー効果の高さが特徴だ。例えば投信積立を楽天カードで決済すれば1%の楽天ポイントが付与される。投資信託残高10万円ごとに毎月4ポイントを獲得できたり、ポイント投資で投資信託を購入すると楽天市場の買い物でもプラス1倍のポイントアップになったりする。

楽天証券内のサービス拡充にも積極的で、スマホ専用取引サイトは投資信託の投資や管理を行いやすい設計になっている。スマホサイトでは初心者でも自身の投資スタイルに合った投資信託を簡単に見つけられるように、ロボアドバイザー「ロボのぶくん」も利用できる。初心者向けの情報発信に積極的で、今後も使いやすさの改善が続いていくだろう。

投資信託 2,680本
ノーロード投資信託 2,680本
最低購入金額 100円
引落方法 証券口座
自社銀行の自動振替 ○(楽天銀行)
指定銀行自動引落
その他 楽天カード決済(積立)
NISA口座開設 一般NISA
つみたてNISA
(※楽天証券のホームページより筆者作成)

 

3位.松井証券……サポート体制の手厚い老舗ネット証券

松井証券は創業100年以上の歴史がある老舗証券会社でありながら、業界で初めてネット取引を導入するなど先進的な取り組みによって主要ネット証券の一角になった。SBI証券や楽天証券と比べれば投資信託の取扱本数は半減するものの、優良銘柄を多数取りそろえており買付手数料はすべて無料だ。初心者でも投資信託を始めやすいようにサポート体制が手厚い特徴もある。

投資信託を購入する際の手助けとしてロボアドバイザーを導入する証券会社はあるが、松井証券はニーズに応じて3種類のロボアドバイザーを用意している。購入時だけではなく保有中の投資信託の見直しをサポートするロボアドバイザーもあり、投資初心者には便利なサービスだ。それでも不明点や不安を解消できない場合、外部の評価機関で10年連続最高評価のコールセンターにも相談できるのも魅力だ。

投資信託 1,308本
ノーロード投資信託 1,308本
最低購入金額 100円
引落方法 証券口座
自社銀行の自動振替
指定銀行自動引落
その他
NISA口座開設 一般NISA
つみたてNISA
(※松井証券のホームページより筆者作成)

 

4位.マネックス証券……情報が豊富でわかりやすく初心者でも安心

マネックス証券は豊富な投資情報が強みで、積極的に投資したい人は情報収集のためにも口座開設しておくとよいだろう。投資信託は十分な量を取り扱っており、すべてノーロードのため手数料を気にせず投資できる。ホームページでは「低コスト」、「話題の投資テーマ」、「5つ星」などカテゴリー別に投資信託を検索でき、投資初心者にもわかりやすく整理されている。

これから積立投資を始めるなら資産配分を提案してくれる「投信ポートフォリオ診断」も便利だ。資産配分から具体的な銘柄検索、運用シミュレーションまで行い投資をサポートしてくれる。「MONEX VISION」を利用すれば運用中もポートフォリオ分析やリバランスなどを提案してくれ、投資信託で資産形成するなら活用したいサービスが充実している。

投資信託 1,172本
ノーロード投資信託 1,172本
最低購入金額 100円
引落方法 証券口座
自社銀行の自動振替
指定銀行自動引落
その他
NISA口座開設 一般NISA
つみたてNISA
(※マネックス証券のホームページより筆者作成)

 

5位.auカブコム証券……NISA口座開設で株式売買手数料が安くなる

auカブコム証券は高機能ツールや自動売買機能などで株式投資に注力する証券会社だが、投資信託も豊富に取り扱っており全銘柄の買付手数料が無料だ。auカブコム証券で一般NISAやつみたてNISAの口座を開設すると現物株式の手数料も最大5%安くなるため、株式にも投資する人はNISA口座の開設も検討してみよう。

auカブコム証券は投資情報発信にも積極的だ。三菱UFJフィナンシャル・グループのネット証券ということもあり、三菱UFJモルガン・スタンレー証券の独自レポートを閲覧できたり投資勉強会の「株スクール」を定期的に開催したりしている。テーマ型の投資信託やアクティブファンドを購入する場合は株式市場のチェックも必須であるため、発信される情報をどんどん利用していきたい。

投資信託 1,271本
ノーロード投資信託 1,271本
最低購入金額 100円
引落方法 証券口座
自社銀行の自動振替 ○(auじぶん銀行)
指定銀行自動引落
その他
NISA口座開設 一般NISA
つみたてNISA
(※auカブコム証券のホームページより筆者作成)

 

6位.岡三オンライン証券……顧客満足度の高いネット証券

岡三オンライン証券は総合証券会社である岡三証券グループのネット証券だ。ネット証券としては中堅クラスだが、所属するアナリストやストラテジストはさまざまなメディアに出演し情報力に定評がある。サービス内容も優れており、2020年のオリコン顧客満足度調査ではネット証券部門で1位を獲得するなど顧客から選ばれる証券会社でもある。

投資信託の取扱本数は主要ネット証券と比べて数は絞られるが、すべてノーロードで厳選された商品を取り扱っている。投資信託の保有残高によっては、信用取引の手数料が優遇されたりIPO(新規公開株式)の当選確率がアップしたりする特典もある。株式投資にもチャレンジしたい人にはメリットがあるが、つみたてNISAの口座開設ができない点は注意しよう。

投資信託 550本
ノーロード投資信託 550本
最低購入金額 100円
引落方法 証券口座
自社銀行の自動振替
指定銀行自動引落
その他
NISA口座開設 一般NISA
つみたてNISA
(※岡三オンライン証券のホームページより筆者作成)

 

7位.SMBC日興証券……初心者の投資を後押ししてくれる大手証券会社

SMBC日興証券は日本3大証券会社の1社だが、主要ネット証券並みに投資信託の取扱数がある。インターネット専用のダイレクトコースでは、初心者や忙しい人でも簡単に投資信託の取引ができるように「fund eye Plus」というサポートツールが用意されている。事前に設定しておけば定期的にリバランスの通知があり、細かい管理をせずとも理想のポートフォリオの維持を手助けしてくれる便利な機能だ。

さらにSMBC日興証券は投資信託についてわかりやすく学べるサイト「とうしんLab.」を運営している。初心者に向けて投資の仕方や具体的な商品、投資経験者の話などを掲載しており、運用しながら投資にも徐々に詳しくなれる。 SMBC日興証券の口座開設をしなくても閲覧できるため、投資信託を始める第一歩として利用してみてはいかがだろうか。

投資信託 1,079本
ノーロード投資信託 623本
最低購入金額 1,000円
引落方法 証券口座
自社銀行の自動振替
指定銀行自動引落
その他
NISA口座開設 一般NISA
つみたてNISA
(※SMBC日興証券のホームページより筆者作成)

 

8位.フィデリティ証券……電話によるコンサルティングとオンラインの無料取引

フィデリティ証券は米国で誕生した独立系資産運用グループの証券会社だ。投資信託が主力商品だが、特定商品の勧誘・推奨は一切行わず、顧客の要望に合わせて資産運用をサポートすることを謳っている。取引方法はオンラインか電話で行い、電話に関しては外部機関から最高評価を獲得している。1,000万円以上の預かり残高があれば、専任チームによる優先対応もしてくれる。

投資信託の購入は電話で行うと手数料がかかるが、オンラインで行えば無料だ。フィデリティ証券で投資信託の購入手数料を無料にするには、事前に「オンライン0%プログラム」に申し込む必要がある。申し込みに費用はかからず、マイページから手続きするだけで、すべての投資信託がノーロードになる。投資信託の取引は主にオンラインになるが、電話でも質の高いアドバイスを受けられる点はメリットだ。

投資信託 680本
ノーロード投資信託 680本(プログラム適用)
最低購入金額 1,000円
引落方法 証券口座
自社銀行の自動振替
指定銀行自動引落
その他
NISA口座開設 一般NISA
つみたてNISA
(※フィデリティ証券のホームページより筆者作成)

 

9位.LINE証券……LINEアプリから手軽に投資信託が買える

LINE証券はメッセージアプリのLINEからアクセスできる証券会社で、わかりやすく簡単に投資できるようにデザインされている。投資信託は厳選した銘柄のみに数を絞り、「安定的」、「低コスト」、「リターン重視日本」、「リターン重視世界」の4つのカテゴリーから選べる。各商品のページも特徴がひと目でわかるようになっており、初心者にフォーカスした設計だ。

LINE証券でNISA口座は開設できないが、投資信託の積立投資にも対応している。入金は事前に行っておく必要があり、提携金融機関のインターネットバンキングから入金できる他、LINE Payを使った入金も可能だ。LINEを使ってスマホからの操作で簡単に投資できるため、まずは手軽に投資信託を始めてみたいという人に向いている。

投資信託 30本
ノーロード投資信託 30本
最低購入金額 100円
引落方法 証券口座
自社銀行の自動振替
指定銀行自動引落
その他 LINE Pay
NISA口座開設 一般NISA
つみたてNISA
(※LINE証券のホームページより筆者作成)

 

10位.GMOクリック証券……積立向きの投資信託をラインアップ

GMOクリック証券は株式やFX、先物など幅広い金融商品を低コストで取引できる証券会社だ。投資信託は主に積立に向いた低コストファンドが選ばれており、買付手数料もかからないものが多い。グループ内のGMOあおぞらネット銀行を口座開設すれば、さらにお得な特典を受けられる。

GMOあおぞらネット銀行と口座連携するだけで、資金移動が楽になるのはもちろん年0.11%の預金金利やATM手数料が月2回まで無料になるといった優遇が用意されている。GMOクリック証券で取引するなら同時に口座開設を申し込みたい。GMOクリック証券の投資信託は積立に重点を置いた商品のため、少額からコツコツ積み立てたい人は検討してみてはいかがだろうか。つみたてNISAは利用できないが、一般NISAを使った積立投資が可能だ。

投資信託 115本
ノーロード投資信託 97本
最低購入金額 100円
引落方法 証券口座
自社銀行の自動振替 ○(GMOあおぞらネット銀行)
指定銀行自動引落
その他
NISA口座開設 一般NISA
つみたてNISA
(※GMOクリック証券のホームページより筆者作成)

 

4.インデックス型投資信託のおすすめ銘柄TOP5

証券会社で投資信託を購入するに当たって、おすすめの銘柄も併せて紹介したい。まずはインデックスファンドからだ。インデックスファンドとは日経平均株価やTOPIXなど特定の指数に連動した投資成果を目指す投資信託のことだ。コストが低く、ローリスクな銘柄が多いため投資初心者向きの投資信託である。(※データは2020年12月3日時点)

SBI・バンガード・S&P500インデックス・ファンド……米国株式市場への低コスト投資

投資対象資産……米国株式
ベンチマーク……S&P500指数
純資産総額……約930億円
信託報酬……0.0938%程度(税込)
信託財産留保額……なし

SBI・バンガード・S&P500インデックス・ファンドは、S&P500指数に連動する投資信託の中で最も信託報酬が安い。純資産総額も十分な金額だ。S&P500指数は米国株式市場の時価総額の80%を占めており、低コストで米国株式に投資したいなら選択肢に入るだろう。米国は持続的な成長が予想されているが、マーケットの急変時は大きく価格変動しやすいため長期的な目線で投資したい。

eMAXIS Slim全世界株式(オール・カントリー)……世界中に分散投資できる投資信託

投資対象資産……日本株式、先進国株式、新興国株式
ベンチマーク……MSCIオール・カントリー・ワールド・インデックス(配当込み、円換算ベース)
純資産総額……約660億円
信託報酬……0.1144%以内(税込)
信託財産留保額……なし

世界中に分散投資したいなら、eMAXIS Slim全世界株式(オール・カントリー)を検討しよう。この投資信託のみで主要な先進国と新興国の株式に投資できる。先進国と新興国の比率はおよそ9:1だ。分散投資はリスクとともにリターンも抑えられるため過去1年のトータルリターンはS&P500を下回っているが、世界経済が成長し続ける限り上昇も期待できる。

eMAXIS Slim先進国株式インデックス……世界を代表する企業を多く含む指数に投資

投資対象資産……先進国株式
ベンチマーク……MSCIコクサイ・インデックス(配当込み、円換算ベース)
純資産総額……約1,420億円
信託報酬……0.1023%以内(税込)
信託財産留保額……なし

eMAXIS Slim先進国株式インデックスは、日本以外の主要先進国株式に投資できる。先進国のみというシンプルな構成のため、その他の資産と組み合わせもしやすい。構成銘柄上位はアップルやマイクロソフト、アマゾン、ネスレなど世界を代表する企業が組み入れられており、先進国株式のみでも経済成長の恩恵を受けられるだろう。

<購入・換金手数料なし>ニッセイ・インデックスバランスファンド4資産均等型……リスク資産と安定資産でバランスよく運用できる

投資対象資産……日本株式、日本債券、先進国株式、先進国債券
ベンチマーク……TOPIX、NOMURA-BPI総合指数、MSCI コクサイ・インデックス(円換算ベース)、FTSE世界国債インデックス(除く日本、円換算ベース)
純資産総額……約82億円
信託報酬……0.154%以内(税込)
信託財産留保額……なし

<購入・換金手数料なし>ニッセイ・インデックスバランスファンド4資産均等型は、日本と先進国の株式・債券に25%ずつ投資している。国内外の債券が半分のため、相対的に価格変動リスクを抑えたい人に向いている。過去5年間のトータルリターンはカテゴリー平均を上回る運用実績だ。バランスファンドの中では信託報酬が最低水準のため、長期投資にも適している。

ダイワ・ライフ・バランス30……安定重視の投資をしたい人におすすめ

投資対象資産……日本株式、日本債券、先進国株式、先進国債券
ベンチマーク…… TOPIX、NOMURA-BPI総合指数、MSCI コクサイ・インデックス(円換算ベース)、FTSE世界国債インデックス(除く日本、円換算ベース)
純資産総額……約168億円
信託報酬……0.198%(税込)
信託財産留保額……なし

ダイワ・ライフ・バランス30は、日本株式20%・先進国株式10%・日本債券55%・先進国債券15%で構成されている。保守的な資産配分のため比較的安定した運用実績になっており、過去の下落局面ではリスク資産と比べて下げ幅が限られている。「R&Iファンド大賞2019」で優秀ファンド賞も受賞しており、安定運用を好む場合に検討したい。

5.アクティブ型投資信託おすすめ銘柄TOP5

アクティブファンドはファンド・マネージャーと呼ばれる運用担当者が投資する企業や割合を決め、ベンチマークを上回る運用成果を目指すファンドのことだ。インデックスファンドに比べてコストが高い傾向にあるが、高いリターンを期待できるため、積極的に投資をしていきたい人に向いている。

ここではモーニングスターのデータをもとに、10年以上の運用実績があり平均リターンの高いものを紹介する。実際に投資をする際には、目論見書や直近の運用実績等を確認してから購入を検討してほしい(2020年12月3日時点)。

DIAM新興市場日本株ファンド……成長性の高いベンチャー企業に柔軟に投資

運用会社……アセットマネジメントOne
投資対象……国内/新興市場中小型株式
純資産総額……約178億円
信託報酬……1.672%(税込)
信託財産留保額……0.3%
10年間年率リターン……34.77%

DIAM新興市場日本株ファンドはジャスダックや東証マザーズのベンチャー企業に投資し、個別企業の調査から成長力・競争力・収益力などが優れている銘柄でポートフォリオを構築する。業種比率や時価総額などを考慮せず将来性のある銘柄を組み込んでいくため、比較的柔軟性の高い運用が期待できる。最新の月報では、成長力や収益力が相対的に高い情報・通信業が約60%を占めている。

日本新興株オープン……ジャスダック市場の中小型株が主な投資対象

運用会社……日興アセットマネジメント
投資対象……国内/新興市場中小型株式
純資産総額……約143億円
信託報酬……1.672%(税込)
信託財産留保額……なし
10年間年率リターン……24.14%

日本新興株オープンはジャスダックの中小型株を投資対象とし、中長期的に成長が期待できる企業や業績の回復が見込める企業に投資する。ポートフォリオは50~100銘柄程度で構築し株式の投資割合に制限は設けない。ただしジャスダック以外の新興市場も対象にし、直近は東証マザーズの銘柄が構成比率の半分以上を占めている。

SBI中小型成長株ファンド ジェイネクスト(愛称:jnext)……割安な中小型成長株に分散投資

運用会社……SBIアセットマネジメント
投資対象……国内/新興市場中小型株式
純資産総額……約77億円
信託報酬……1.65%(税込)
信託財産留保額……0.3%
10年間年率リターン……22.83%

jnextは何らかの理由で割安な株価になっている中小型成長株に投資する。運用に当たっては中小型成長株に特化した独立系投資顧問会社のエンジェルジャパン・アセットマネジメントから助言を受けている。投資する際は銘柄分散や徐々に買い付けていく時間分散、1銘柄ごとに投資比率を設けるなど慎重な運用戦略を取るファンドだ。

マネックス・日本成長株ファンド(愛称:ザ・ファンド@マネックス)……インターネットでインフラ構築やビジネス展開する企業に投資

運用会社……アセットマネジメントOne
投資対象……国内/インターネット関連株式
純資産総額……約55億円
信託報酬……1.617%(税込)
信託財産留保額……0.3%
10年間年率リターン……22.37%

ザ・ファンド@マネックスは、主に国内のインターネット関連企業に投資する。その中でもITサービスやソフトウェアでインフラを構築する企業やインターネットをビジネスに活用して事業を発展させる企業が対象だ。直近の組入資産は東証1部が約70%を占め、業種は情報・通信業が約42%、サービス業が約30%、電気機器が約16%と、新興市場やIT企業に偏りがあるわけではない。

MHAM新興成長株オープン(愛称:J−フロンティア)……IPO株にも積極的に投資

運用会社……アセットマネジメントOne
投資対象……国内/新興市場株式
純資産総額……約410億円
信託報酬……1.87%(税込)
信託財産留保額……なし
10年間年率リターン……22.31%

J−フロンティアは、高成長が期待できる新興企業の株式に投資する。企業のライフステージとして創生期から成長拡大期の銘柄を対象とし、創業25年以下または上場10年以下の企業を基準にしている。上場予定企業の新規公開時(IPO)にも株式を積極的に買い付ける。IPO株は上場後しばらくすると株価が下落することもあるが、中長期的に投資魅力の高い銘柄には投資していく方針だ。

6.投資信託の3つのデメリット

投資信託は手軽な運用商品だが、デメリットにも気をつけよう。

デメリット1……元本保証がない

投資信託は預貯金と異なり、元本保証がない。預けた資金が日々変動し、増えることもあれば減ることもある。そのため使う時期が数年以内など決まっているお金の運用には向かない。投資信託は上昇と下落を繰り返して資産が増えていくため、最低でも5年、できれば10年以上は使わないお金を運用に回したい。

デメリット2……投資信託の保有中にもコストがかかる

株式や債券を直接購入するときにも手数料はかかるが、保有中にはかからない。投資信託は購入時だけでなく保有中にも手数料(信託報酬)がかかる商品だ。投資信託は専門家に運用を任せる商品であり、その分の手数料が発生する。自分で直接運用するわけではないため仕方のないことだが、手数料があまりに高いと利益が出にくくなるため気をつけよう。

デメリット3……投資信託をすぐに売買できない

投資信託は株式のように値段を見ながら売買できる商品ではない。投資信託の値段に相当するものを基準価額と呼ぶが、実際に購入できる基準価額は買付申し込みをした後に公表される基準価額だ。そのため購入時の基準価額がわかるのは、早くても取引終了後の当日の夕方以降になる。売却の場合も同様であり、投資信託は短期売買したい人には向かない商品だ。

7.投資信託を運用するならNISA口座の開設ができるかどうかも確認

投資信託は専門的な知識を必要とせず、資産運用するためのツールとして便利な金融商品だ。デメリットにも気をつける必要はあるが、売却時にかかる税金のことも忘れてはいけない。売却時には利益に対し約20%の税金がかかるため、100万円の利益でも手元に残るのはおよそ80万円だ。

手数料と同じで税金も投資信託の利益を押し下げる要素であるため、一般NISAやつみたてNISAなどの非課税制度を活用して投資していきたい。まとめて投資するなら一般NISA、積立ならつみたてNISAが適している。

投資信託を運用する証券会社を選ぶときは、NISA口座の開設ができる証券会社かどうかも確認してみるとよいだろう。

 

國村功志
執筆・國村功志
大手証券会社で株式・債券・投資信託などの金融商品販売に携わる。その後、ファイナンシャルプランナーの養成団体やFP事務所を経て、現在は資産形成FPとして活動。個人の資産運用経験も活かし、金融機関や一般の人向けに毎月セミナーも開催。CFP®、証券外務員一種保有。
大手証券会社で株式・債券・投資信託などの金融商品販売に携わる。その後、ファイナンシャルプランナーの養成団体やFP事務所を経て、現在は資産形成FPとして活動。個人の資産運用経験も活かし、金融機関や一般の人向けに毎月セミナーも行っている。CFP®、証券外務員一種保有。

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