投資した額からどのくらいの儲けが出たのかを「利回り」というが、投資信託において利回りを表す指標は何だろうか。投資信託のパフォーマンスを表す指標は騰落率や分配金利回りなどがあるが、本当の運用成績を表すものは「トータルリターン」だ。投信の利回りの考え方と、トータルリターンの計算方法を押さえておこう。

目次
1.投資信託での「利回り」と「利率」の違い
2.投資信託における利回りとは
3.代表的な投資信託の利回りと主要インデックスの平均利回り
4.投資信託の正確な利回りの3つの注意点
5.投資信託の利回りランキングTOP5
6.利回りの高い投資信託の注意点
7.投資信託は利回りだけで判断しない

1.投資信託での「利回り」と「利率」の違い

「利回り」とよく混同しやすい言葉に「利率」がある。投資信託では投資金額に対する収益のことを、年単位に換算した「利回り」として扱われる。一方の「利率」は額面金額に対し1年間に受け取る利子の割合のことである。預金や債券ではあらかじめ利率が設定されているが、投資信託では一般的に約束された利率は存在しない。

例えば、年利率4%の債券を100万円分購入し、4年後に104万円で売却するとする。

  • 利子は16万円(4万円×4年)
  • 譲渡益は4万円
  • 4年間の収益合計は20万円

この場合は1年あたり5万円なので、100万円に対し利回りは5%である。

年利率4%の債券を100万円分購入し、4年後に96万円で売却した場合、

  • 利子は16万円(4万円×4年)
  • 譲渡益はマイナス4万円
  • 4年間の収益合計は12万円

この場合は1年あたり3万円なので、100万円に対し利回りは3%だ。つまり利率は4%で変わらなくても、運用次第で5%にも3%にもなるのが利回りというものである。

2.投資信託における利回りとは

投資信託の利回りを正確にはかる方法とは何か。「儲け」をいかに正しく把握するかが重要で、それには「騰落率」「分配金利回り」「トータルリターン」といった用語を使いこなせることが重要である。

投資信託の利回りの計算方法

利回りの計算は「(1)いくら投資して」と「(2)いくら儲かったのか」を運用年数で割ってパーセンテージに換算する。投下した資金に対して、どのくらいリターンがあったのかを示す。

利回りの具体的な計算式は、「(2)/(1)÷運用年数×100」。

一見単純だが、(2)をいかに正確に表せるかが重要だ。この(2)にあたる投資信託の儲けは2種類ある。

投資信託の価格を表す「基準価額」の差額利益(売買価格差)と、決算後に支払われる「分配金」だ。この両方を(2)に含める必要がある。また手数料や税金を差し引く必要がある。

投資信託の騰落率や分配金利回りは、正確には利回りではない

投資信託における利回りを表す指標として、「騰落率」を思い浮かべる人もいるかもしれない。たしかにパーセンテージで表記されており、利回りのように思ってしまうが、実は騰落率は儲けのうち基準価額しか考慮しておらず、もう一つのリターンである分配金が含まれていないのだ。つまり騰落率は投資信託の時価がどのように変動したのかを見るのに適しているもので、本当の利回りとは異なる。

投資信託の分配金利回りは配当金がどのくらい受け取れるかという目安でしかない

それでは「分配金利回り」はどうか。今度は逆に、基準価額の値動きが考慮されていない。利回りという言葉が使われているため、投資信託の利回りと誤解されがちだが、分配金利回りは、配当金がどのくらい受け取れるかという情報でしかないのだ。

なお、分配金には「見せかけの利回り」が含まれるので注意したい。毎月分配型の投資信託には、運用益から支払われる「普通分配金」と、運用益が足りないために元本を切り崩して支払われる「特別分配金」がある。特別分配金の比率が高いファンドは、実質的にはマイナスリターンであっても分配金利回りがプラスに見えるようになっている。

投資信託の利回りはトータルリターンで見る

どれだけの利回りが見込めるのかを調べるには、どの指標を参考にしたらいいのか。そこで重視したいのは、トータルリターンだ。これは、基準価額の値動きと分配金の両方が考慮され、手数料を利益から差し引いて算出されるため、投資金額に対する儲けを正確に知ることができる。

トータルリターンは証券会社や投資信託の評価会社でもよく使用されているが、機関によって算出方法に微妙な違いがある。トータルリターンを見る時は、以下の3つの条件を満たしているか確認するようにしたい。

⑴基準価額の値動きと分配金を考慮している
⑵手数料を利益から差し引いている
⑶分配金を再投資することを前提としている

中でも重要なのは⑵だ。10万円の利益があっても2万円の手数料が発生している場合、本当の儲けは8万円だ。利回りは、コストを差し引いた利益で計算することで実質的な儲けを把握できる。⑶は複利の効果を加味して利回りを計算していることを意味する。長期投資では複利の効果を最大化するため、分配金は払い出しをせず次の元本に加える。なお、⑶は毎月分配型には当てはまらない。

3.代表的な投資信託の利回り(トータルリターン)と主要インデックスの平均利回り

調べ方が難しい場合は、投資信託の格付け機関であるモーニングスター社のサイトを利用するといいだろう。同サイトでは、ファンドの一定期間ごとのトータルリターンが掲載されている。

代表的な投資信託のトータルリターン

下の表は1年間のトータルリターンの実績および3年、5年といった複数年のトータルリターンを年率で換算したものだ。純資産高の高いファンドをいくつかピックアップしている。

トータルリターンの表示例(モーニングスター、2020年12月15日時点)

ファンド名 1年 3年
(年率)
5年
(年率)
10年
(年率)
NEXT FUNDS TOPIX連動型上場投資信託 5.72% 1.57% 4.35% 9.63%
NEXT FUNDS 日経225連動型上場投資信託 15.49% 7.08% 7.88% 2.16%
ピクテ・グローバル・インカム株式(毎月分配) -1.08% 2.69% 3.62% 6.49%
ひふみプラス 20.66% 6.27% 11.83%
次世代通信関連 世界株式戦略ファンド 38.24%
※筆者作成

 

トータルリターンは投資対象や計測するタイミングによって数字が大きく異なる。

2020年は2月後半から3月前半にかけてコロナショックにより株式市場は低迷した。だがすぐに盛り返し、後半は日経平均やダウ平均をはじめとする多くの指数が年初来高値を更新、それらに連動する投資信託も好成績を収めた。一方TOPIXに連動する銘柄は上昇幅がひかえめだ。

ピクテ・グローバル・インカム株式(毎月分配)は、2020年1月時点のトータルリターンは年12.93%プラスだったのにもかかわらず、今回12月時点のデータを確認すると1.08%のマイナスになっている。このように利回りは、同じ投資信託でもどの期間を切り取るかによって大きく変わる点にも注意したい。

最近は「テーマ型」と呼ばれる投資信託の存在感が増しているが、新規設定されたばかりで運用実績があまりないことが多い。たとえば「次世代通信(5G)」関連企業の銘柄ばかりを集めた「次世代通信関連 世界株式戦略ファンド」はこの1年めざましい成績を収めているが、それより長い期間のリターンは設定から間がないため長期で保有すべきかどうかの判断が難しい。

主要インデックスの平均利回り

決められた指標(インデックス)と同じ値動きを目指すインデックス型投資信託なら、ある程度のリターンとリスクを予測することができる。下の表はアセットクラス(資産クラス)ごとに算出された年数ごとのトータルリターンである。

主要インデックスのリターン(myINDEX、2020年12月15日時点)

ファンド名 1年 3年
(年率)
5年
(年率)
10年
(年率)
日本株式 TOPIX トピックス(配当込み) -2.9% -1.4% 2.6% 9.3%
日本株式 日経平均株価 0.2% 1.4% 3.8% 9.6%
外国株式 MSCI オール・カントリー・
ワールド・インデックス
(ACWI)
1.8% 3.4% 5.7% 11.4%
外国株式 MSCI コクサイ・インデックス
(KOKUSAI)
1.7% 4.2% 6.1% 12.5%
外国株式 MSCI エマージング・
マーケット・インデックス
4.9% -0.3% 5.4% 5.6%
外国株式 S&P 500(配当込み) 6.0% 7.6% 8.7% 16.1%
日本債券 NOMURA-BPI 総合 -1.5% 0.6% 1.1% 1.5%
日本債券 新発10年国債 0% 0% 0% 0.4%
外国債券 FTSE 世界国債インデックス
(除く日本)
3.8% 2.0% 0.9% 5.5%
日本不動産 東証REIT指数(配当込み) -24.1% 4.3% 2.8% 9.8%
外国不動産 S&P 先進国REIT指数
(除く日本)
-24.6% -3.5% -1.5% 8.9%
※筆者作成

 

2020年は株式市場が極端に上下したため、日本株式や全世界株式、先進国株式のインデックスは1年に限るとやや低調だ。新興国市場(エマージングマーケット)や米国ハイテク株の好調さを反映したS&P 500は高いリターンをマークしている。しかし5年や10年の利回りを見ると、全世界あるいは先進国株式のほうが安定的なリターンを得ているようだ。

株式と債券は基本的に逆の値動きをすると言われている。上の表を見るとたしかにその傾向がある。ただし債券の変動は株式のそれよりゆるやかである。景気に大きく左右されにくい資産形成をしたい場合は、債券を視野に入れると良いことが分かる。

不動産のほうは低調だったようだ。REIT(不動産投資法人)の指数は2012年から上昇が続いていたが、2020年1月末より大きく値崩れし利回りを押し下げている。それでも10年の長期で見れば9%前後の利回りだ。

4.投資信託の正確な利回り(トータルリターン)の3つの注意点

トータルリターンを使用するにあたっては、注意点もある。そのうち3つを挙げると以下のようになる。

投資信託のトータルリターンはあくまでの過去実績

トータルリターンは過去の運用実績を基に算出したもので、将来の利回りを保証するものではない。過去の実績では5%のプラスでも、次期は10%のマイナスになることもあり得る。投資で最も重要なのは「売買のタイミング」であり、それによって利回りが大きく異なることを覚えておきたい。

投資信託の売買の際の手数料が引かれていない

トータルリターンは基準価額を利用して算出されるため、販売手数料(購入時手数料)と換金手数料(信託財産留保額)が利益から差し引かれていない。売買時に手数料が発生する投資信託の場合、利回りがわずかに低下する。しかし、保有期間中発生し続ける信託報酬や売買委託手数料に比べると軽微なものだ。なお、信託報酬など純資産から控除される手数料は、差し引いて計算されている。

税金が考慮されていない

投資信託では、売却益と普通分配金にそれぞれ20.315%の所得税がかかる(所得税+住民税+復興特別所得税)が、トータルリターンでは税金は考慮されていない。NISAやiDeCoのような非課税口座の場合はそのままで問題ないが、一般の口座の場合は利回りから税コストも差し引く必要がある。

5.投資信託の利回り(トータルリターン)ランキングTOP5

投資信託の利回りであるトータルリターンの高いファンドをピックアップした。極端にリスクが高いもの、コストが高いものを避けるため、純資産総額が100億以上、信託報酬が同カテゴリー内で低いファンドに限定した。トータルリターンをはかる期間は長期の10年としたいところだが、近ごろ低コストで優良なファンドが次々と追加されているため、3年リターンで利回りが高いものを選出した。

ファンド名 運用会社 トータルリターン
(3年)
純資産総額
(百万円)
信託報酬
楽天・全米株式インデックス・
ファンド
『愛称:楽天・バンガード・
ファンド
(全米株式)』
楽天 10.43% 167,378 0.16%
eMAXIS Slim先進国株式
インデックス
三菱UFJ国際 7.80% 145,487 0.10%
ニッセイ 外国株式
インデックスファンド
ニッセイ 7.76% 217,118 0.10%
ニッセイ 日経225
インデックスファンド
ニッセイ 7.07% 167,991 0.28%
ひふみプラス レオス 6.27% 450,476 1.08%
※筆者作成

1位,楽天・全米株式インデックス・ファンド……米国株式市場全体に低コストで投資できる

  • 利回り……(3年) 10.43%
  • 純資産総額……1,673億7,800万円
  • 信託報酬……0.16%

楽天・全米株式インデックス・ファンドは、米国株式市場に連動するインデックスファンドだ。バンガードが運用する「バンガード・トータル・ストック・マーケットETF」を投資対象にする。S&P500などとは違い、大型株から小型株まで網羅する点が特徴的だ。インデックスファンドシェアNo.1のバンガード社のETFに投資する点は安心感がある。1つのETFのみを投資対象とするため運用コストがあまりかからず、信託報酬が最低水準に設定されている。

2位,eMAXIS Slim先進国株式インデックス……「Fund of the Year」2018年1位、 2019年3位受賞

  • 利回り……(3年) 7.80%
  • 純資産総額……1,454億8,700万円
  • 信託報酬……0.10%

eMAXIS Slim先進国株式インデックスは、三菱UFJ国際投信の「eMAXIS Slimシリーズ」の代表的な1銘柄だ。MSCIコクサイ・インデックスをベンチマークとし、日本を除く先進国の株式市場に連動するインデックスファンドである。実質的にはマイクロソフトやアマゾン、ジョンソン&ジョンソン、ネスレなどアメリカの大型株の比率が高い。同セクターのファンドにおいて信託報酬の低さは最高レベルだ。

3位,ニッセイ 外国株式インデックスファンド……定番の先進国株式投資を低コストで安定的に

  • 利回り……(3年) 7.76%、(5年) 7.61%
  • 純資産総額……2,171億1,800万円
  • 信託報酬……0.10%

ニッセイ 外国株式インデックスファンドは、「eMAXIS Slim先進国株式インデックス」と同じMSCIコクサイ ・インデックスに連動し、日本を除く先進国の株式市場に投資する。信託報酬の低さで同ファンドと競っている。今回の調査では3年利回りはわずかに劣るものの、純資産総額や設定来の期間の長さはこちらのほうが上だ。組み入れ銘柄がアメリカの大型株であることは共通しているが、テスラを1%組み入れるなど違いもあっておもしろい。

4位,ニッセイ 日経225インデックスファンド……身近な日本の株式に広く投資できる

  • 利回り……(3年) 7.07%、(5年) 7.84%、(10年) 12.07%
  • 純資産総額……1,679億9,100万円
  • 信託報酬……0.28%

ニッセイ 日経225インデックスファンドは、日経平均株価225銘柄をベンチマークとし、日本の株式市場の動きに連動する。今回の調査では日本株式カテゴリーに該当する投資信託の中で最もリターンが高かった。株式への実質投資割合に制限を設けないため、ファーストリテイリング1社に資産の11.4%を組み入れることもある。2004年運用開始で長期間の運用実績を見ることが可能だ。

5位,ひふみプラス……運用成績抜群なアクティブファンド

  • 利回り……(3年) 6.27%、(5年) 11.83%
  • 純資産総額……4,504億7,600万円
  • 信託報酬……1.08%

ひふみプラスは、国内外の上場株式の中から長期的な成長が見込める銘柄を選び出し投資するアクティブファンドだ。高い運用成績で投資家から支持されていることが純資産総額の高さから分かる。信託報酬はインデックスファンドに比べると高いが、調査分析に手間がかかるアクティブファンドにしてはかなり安いほうだ。ひふみプラスの運用実績は5年しかないが、同じコンセプトで直販の「ひふみ投信」を見ればより長期の利回りが分かる。

6.利回りの高い投資信託の注意点

投資をするからには利回りは最重要視したいところではあるが、トータルリターンの高さだけで投資判断をおこなうことは絶対に避けたい。それは競馬でオッズだけを頼りに馬券を買うようなものだからだ。

使い古された投資の基本原則であるが、リターンには必ずリスクが伴う。筆者が金融商品の相談を受ける時も「元本が保証されて儲かる方法はありますか」と聞いてくる人は定期的に現れるが、「ありません」と答えるほかない。

モーニングスターのファンドランキングを見ても、上位にランクインするのは株式ブル型4.3倍、株式ベア型3倍、エマージング(新興国)株式、小型成長株といった値動きの激しいものが多数を占める。これらのファンドは大きく値上がりすることもあるが、値を下げることもあるので注意したい。

7.投資信託は利回りだけで判断しない

ハイリスクで利回りの高い商品が悪いということではない。たとえばレバレッジ投資信託なら少ない金額で何倍もの投資成果を狙えるが、同様の損失を被る恐れもある。ベンチマークとなるインデックスは変わらないのに下落することもある。

投資信託は利回りだけでなく、基準価額の推移、資産クラス、資産規模、信託報酬、流動性などの要素も併せて比較するようにしたい。自身がリスクや不確定要素を考慮したうえで、利回りの高い商品を選ぶことに何ら問題はないだろう。

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篠田わかな
執筆・篠田わかな
外資系経営コンサルティング会社で製造・物流・小売部門のコンサルタント業務/システム改革プロジェクトに参画。退職後独学でFP技能士の資格を取得。開業して個人事業主となり、マネー・ビジネス分野の執筆、企業からの請負業務を手がける。
外資系経営コンサルティング会社で製造・物流・小売部門のコンサルタント業務/システム改革プロジェクトに参画。退職後独学でFP技能士の資格を取得。開業して個人事業主となり、マネー・ビジネス分野の執筆、企業からの請負業務を手がける。

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