少額から分散投資ができ、プロに運用を任せられる投資信託は、個別銘柄への投資に比べて比較的リスクが小さく、投資初心者でも手を出しやすい商品と言われる。だがデメリットを理解したうえで購入しないと、元本割れするなど運用に失敗してしまう可能性がある。

目次
1.投資信託の最大のデメリットは手数料
2.他にもある投資信託の3つのデメリット
3.投資信託のデメリットに対する3つの対策
4.同じ投資信託でも販売会社によって手数料が異なることも

1.投資信託の最大のデメリットは6つの手数料がかかること

投資信託の売買や保有には諸経費がかかり、それが高いと収益が目減りしてしまう。運用成果投資信託における手数料には以下の6つがあり、それが最大のデメリットと言える。手数料は投資信託によって異なるため、購入の際はしっかり確認する必要がある。

投資信託にかかる6つの手数料

⑴販売手数料
⑵信託報酬(運用管理費用)
⑶監査報酬
⑷信託財産留保額
⑸解約手数料
⑹売買委託手数料など、その他費用

それぞれについて、詳しく説明しよう。

⑴販売手数料……買付の際に0~3%ほどを販売会社へ支払う
販売手数料は、投資信託を買う時に発生する手数料で、販売元である銀行や証券会社などに支払う。

以前は基準価額(投資信託の価格)の1~3%が一般的であったが、近年は販売手数料が無料のノーロード投信もあり、ネット証券では販売手数料無料が一般的になりつつある。

⑵信託報酬……インデックス型0.1~1%、アクティブ型1~3%程度が一般的
信託報酬とは資金を運用する会社(投資信託委託会社)に対して、投資信託の信託財産から間接的に支払われる手数料のことだ。具体的には、「運用」「資産の保管・管理」「開示資料の作成や発送」に使われる。

信託報酬は、運用コストを抑制できるインデックス型投資信託では低め、銘柄分析などの運用コストが必要なアクティブ型投資信託では高めに設定されている。一般的にインデックス型の信託報酬は0.1~1%程度、アクティブ型の信託報酬は1~3%程度である。

⑶監査報酬……1万口あたり0~数円程度
監査報酬は、法律で定められた監査にかかる費用だ。資金を運用する投資信託委託会社は、監査法人から監査を受ける義務があり、その費用は投資家が負担する。監査報酬は、投資信託の信託財産から間接的に支払われる。

一般的に純資産総額に対する監査報酬率は、投資信託の純資産総額が大きくなるほど低くなる傾向がある。監査費用は運用報告書で確認でき、投資信託1万口あたり純資産総額が大きい投資信託は0円に近くなり、純資産総額が小さい投資信託は数円程度になる。

純資産総額が非常に小さい投資信託以外は、投資信託のコストに占める監査報酬の比率は低いため、特に気にする必要はないだろう。

⑷信託財産留保額……売却する際にかかる手数料で0~3%程度
信託財産留保額とは、投資信託を売却(解約)する際に支払う費用のことだ。解約のペナルティと考えればいいだろう。支払う基準価額に一定率をかけた金額が、解約代金から差し引かれる。信託財産留保額は、一般的に0~3%程度である。

信託財産留保額が発生するかどうかは投資信託によって異なり、無料の投資信託も多い。

⑸解約手数料……解約する際に販売会社に支払う手数料
解約手数料は投資信託を解約する際に販売会社に払う費用であり、販売会社によって金額が決められる。多くのネット証券では、ほとんどの投資信託で解約手数料が無料である。

解約手数料は販売会社の各投資信託のWebページで確認できる。投資信託は、できれば解約手数料が無料の販売会社で買い付けるのが望ましい。

⑹売買委託手数料など、その他費用……投資信託に組み込まれている株や債券を売買するための費用
売買委託手数料は、投資信託に組み込まれている株式や公社債などを運用(売買)するための費用のことだ。その他に事務処理にかかる費用や借入金の利息などもあり、投資信託によって追加される費用が異なる。これらの費用も、投資信託の信託財産から間接的に支払われる。

これらの費用は、各投資信託の運用報告書で確認できる。どのような費用がどれだけかかるかは、投資信託によって違う。投資信託を買い付ける前に、運用報告書を確認しておきたい。

投資信託の諸経費の高さは収益を圧迫する

投資信託を100万円分購入する場合の手数料を考えてみよう。販売手数料と信託財産留保額が1%、信託報酬・監査報酬・売買委託手数料がそれぞれ年率1%とする。

投資信託を購入する時点で販売手数料として1%の1万円が差し引かれ、投資資産は99万円になる。投資信託は購入した時点で手数料の分だけ元本割れになり、そこからスタートするのだ。

仮に1年後、基準価額が103万円まで上がったとしても、収益は3万円にはならない。

信託報酬・監査報酬・売買委託手数料がそれぞれ年率1%かかるため、諸経費の合計は3万900円。よって「3万円の利益」ではなく、「900円の損失」になる。解約すれば1%の信託財産留保額がかかるため、収益はさらに減る。投資信託の諸経費の高さは、収益を圧迫することがわかるだろう。

2.他にもある投資信託の3つのデメリット

投資信託には、株式やFXなど投資商品と比較した場合のデメリットが3つあるため、あらかじめ押さえておきたい。

デメリット1……投資信託は換金まで時間がかかる(流動性が低い)

投資信託は、換金に時間がかかる。一般的な投資信託は解約申込から4営業日目以降、海外の金融商品を含む投資信託は、5営業日目以降に換金される。

FXであれば約定日の当日または翌営業日、株式は3営業日目に換金されることを考えると、投資信託は流動性が低いと言える。

デメリット2……クローズド期間(解約できない期間)がある

投資信託の中には計画的な運用を目的として、一定期間(あるいは償還時まで)解約できないものがある。この期間のことをクローズド期間と呼び、投資信託を解約できない。

なおクローズド期間は投資信託特有のもので、株式やFXは市場が開いている時間であれば、売買や注文が可能である。

デメリット3……複雑な仕組みの投資信託がある

投資信託は集めたお金を運用して収益を生み出すが、運用の設計は商品ごとに異なっており、中には複雑な仕組みの商品もある。

たとえば通貨選択型投資信託は、投資対象資産(株式や債券など)以外に、選択した通貨による金利差や為替取引も使って収益を上げる商品だ。仕組みを理解していなければ、為替リスクを考慮に入れない危険な取引をする羽目になる。

3.投資信託のデメリットに対する3つの対策

投資信託の最大のデメリットである手数料は、手数料のかからない投資信託や販売会社を選ぶことで回避できる。前述の投資信託の3つのデメリットも対策によって低減できる。それぞれのデメリットに対する対策を心得ておきたい。

対策1……急な出費は預金などで準備、投資はリスクコントロールをしておく

投資信託は換金に時間がかかるため、急な出費が発生した場合のお金は投資信託以外で用意しておきたい。

病気・ケガなどの医療費や住宅・車の修繕費、冠婚葬祭などで、急に現金が必要になることがある。それらに備えて、すぐに現金化できる預金などの金融商品で資金を準備しておくといいだろう。

投資における急な出費には、最低保証金維持率を割り込んだ場合に差し入れる追加証拠金(追証)などがある。信用取引ではレバレッジを抑え、ロスカットラインを守るなどのリスクコントロールによって追証を回避したい。

対策2……クローズド期間を避けたいなら運用開始1年以上の追加型投資信託に絞りこむ

投資信託を解約できないクローズド期間の内容は、投資信託説明書で確認できる。投資信託を買い付ける前に投資信託説明書を確認して、クローズド期間がある商品の購入は避けよう。

ただし、投資信託のスクリーニング(検索)機能を使ってクローズド期間がある投資信託を除外するのは、簡単ではない。一般的な投資信託のスクリーニングツールでは、クローズド期間を検索条件として設定できないからだ。

スクリーニングでクローズド期間が設定されている投資信託をできるだけ除外するためには、クローズド期間がある可能性が高い商品を除けばいい。

一般的にクローズド期間があるのは、単位型投資信託だ。単位型投資信託とは、最初の募集期間だけ購入できる投資信託であり、運用期間は数年程度と短いものが多い。

したがって、スクリーニングの条件に「運用期間(償還までの期間)が長い(例えば無期限など)」と設定をすれば、単位型投資信託の多くは除外されることになる。

単位型ではない投資信託は、追加型だ。現在購入できる投資信託の多くは、追加型である。追加型投資信託とは、いつでも購入できる一般的な投資信託だ。

追加型投資信託でもクローズド期間がないとは限らないが、クローズド期間がある場合でも運用開始から3~6ヵ月あるいは1年といったものが多い。

スクリーニングの条件に「運用開始から1年以上」を追加することで、クローズド期間が設定されている可能性がある追加型投資信託の多くを除外できる。

対策3……理解できない複雑な仕組みの投資信託は取引しない

投資において、「内容がわからない金融商品(投資)には手を出さない」は鉄則だ。仕組みを理解できないということはリスクの度合いがわからないということであり、どの程度の損失を被る可能性があるか想定できないということだ。

購入を検討している投資信託が収益を上げる仕組みを理解することは、絶対に必要なことである。もし仕組みを理解できない投資信託に魅力を感じたら、その仕組みを正しく理解できるまで学ぶことをおすすめする。

4.同じ投資信託でも販売会社によって手数料が異なることも

手数料は投資信託によって異なるのはもちろんだが、同じ投資信託でも販売会社によって異なることもある。よって投資信託を購入する際は、手数料の比較検討が欠かせない。

投資信託は決済から受渡日までが長いことや、商品によってクローズド期間があることを考えると、換金予定日や金額もあらかじめ決めた上で運用するべきだろう。

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松本雄一
執筆・松本雄一
外資系コンピューター会社にてカスタマーサポート・開発・セキュリティ対策などを経験後に独立。自らの投資経験をもとに株式や投資信託などの投資情報を発信している。興味のある分野はフィンテックや新しい金融商品など。
外資系コンピューター会社にてカスタマーサポート・開発・セキュリティ対策などを経験後に独立。自らの投資経験をもとに株式や投資信託などの投資情報を発信している。興味のある分野はフィンテックや新しい金融商品など。

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