NISA(少額投資非課税制度)における非課税メリットはどの金融機関で取引しても同じように享受できる。しかしNISAでの取引手数料は金融機関によって異なる。ここではNISAの中で唯一、個別株が売買できる「一般NISA」の手数料をネット証券6社で比較する。

目次
1.NISAで発生する手数料はネット証券によっては無料になる
2.ネット証券6社のNISA株式売買手数料を比較
3.ネット証券6社のNISAの投信取扱本数を比較
4.NISA口座を開設するネット証券の選択基準

1.NISAで発生する手数料はネット証券によっては無料になる

NISAは年間120万円分の上限で取得した上場株式や投資信託などの配当金・分配金・譲渡益が最長5年間非課税になる制度だ。

NISAでは税がかからないが、金融商品や銘柄によっては課税口座と同じように手数料などのコストがかかる。金融機関によってはNISAでの取引手数料の一部を無料にしているところもある。

特にネット証券ではNISAでの国内株式にかかる手数料を無料としているところが多い。各社独自のサービスを付帯していることもある。

投資信託の買付手数料はNISAに限らずネット証券で無料化が進んでいる。投資信託の保有中や売却時の手数料は銘柄により異なるが、代表的なものは信託報酬などだ。売却時の手数料は信託財産留保額などがある。

2.ネット証券6社のNISAにおける株式売買手数料を比較

ネット証券6社を対象にNISAでの国内株式と海外株式の売買手数料などを比較する。

多くのネット証券では国内株式の売買手数料は無料だ。ただし国内株式でも単元未満株の取引はどのネット証券でも手数料がかかる。

ネット証券会社による手数料の違いが大きいのは海外株式だ。NISAでの国内株式や海外株式として一般的な米国株式の売買手数料、海外株式対象国などを比較してみよう。(2020年10月31日時点)

ネット証券 国内株式
売買手数料
米国株式
売買手数料
米国株式
取扱数
米国ETF
取扱数
海外株式
対象国
SBI証券 無料 約定代金の
0.45%
(上限20米ドル)
(税抜)
約3,300 約280 米国、中国、
韓国、ロシア、
ベトナム、
インドネシア、
シンガポール、
タイ、マレーシア
楽天証券 無料 約定代金の
0.45%
(上限20米ドル)
(税抜)
約3,500 約320 米国、中国、
インドネシア、
シンガポール、
タイ、マレーシア
マネックス
証券
無料 約定代金の
0.45%
(上限20米ドル)
(税抜)
約3,500 約300 米国、中国
松井証券 無料 取扱なし 0 0 取扱なし
auカブコム
証券
無料 取扱なし 0 0 取扱なし
岡三
オンライン
証券
1日の約定代金
合計50万円まで
無料
(定額プラン)
取扱なし 0 0 取扱なし
※各金融機関の公式ホームページを基に筆者作成

SBI証券……国内株式の売買手数料と海外ETF(米国・中国・韓国)の買付手数料が無料

SBI証券のNISAでの国内株式は買付・売却ともに手数料は0円であり、「現行制度下においては恒久無料」をうたっている。

売買手数料が無料の国内株式には現物株式以外にもETF(上場投資信託)、ETN(上場投資証券)、REIT(不動産投資信託)が含まれる。

SBI証券の海外の金融商品では対象国が9ヵ国あり、さまざまな海外株式などが取引できる。海外株式の手数料は国によって異なるが、米国株式の売買手数料は約定代金の0.45%(上限20米ドル)(税抜)になる。

海外ETF(米国・中国・韓国)の場合も、買付手数料は“現行制度下において恒久的に無料”である(海外ETFの売却手数料は対象外)。一方の海外株式は取引に応じた所定の手数料が適用される。

楽天証券 ……国内株式の売買手数料は無料で海外ETF(米国・中国・シンガポール)の買付手数料は全額キャッシュバック

楽天証券も「国内株式(売買)ずーっと0円」を掲げ、国内株式のNISA口座での現物取引は買付・売却ともに手数料は0円だ。手数料無料の国内株式にはETF、ETN、REITを含む。

手数料の「いちにち定額コース」を利用していてもNISA口座での国内株式の約定代金はコースの約定代金として計算されることはない。

海外の金融商品は6ヵ国の海外株式などが取引可能だ。米国株式の手数料はSBI証券やマネックス証券と同じく約定代金の0.45%(上限20米ドル)(税抜)である。

一方で海外ETF(米国・中国・シンガポール)は買付手数料が全額キャッシュバックされる特典がある。ただし、売却手数料はキャッシュバック対象外であり、国内に上場している海外ETFの買付手数料は無料のためキャッシュバックはない。

マネックス証券……国内株式の売買手数料は無料ほか海外株式の手数料キャッシュバック制度あり

マネックス証券の国内株式(単元未満株を除く)もNISA口座での買付・売却ともに手数料は「恒久的に0円」である。手数料無料の国内株式には現物株式、ETF、ETN、REITを含む。

海外株式では米国株と中国株の買付時の国内取引手数料が恒久的に全額キャッシュバックされる。これはNISAに限ったもので、キャッシュバックの対象は国内の買付取引手数料のみだ。米国株の現地取引手数料・現地取引費用はキャッシュバック対象外である。

SBI証券と楽天証券は海外ETFのみNISA口座での買付手数料が実質無料だが、マネックス証券は海外株式と海外ETFともにNISA口座での買付手数料が実質無料になる。

米国株と中国株をNISAで取引するならマネックス証券の国内買付手数料キャッシュバックは魅力的だといえよう。

松井証券……インターネット経由での国内株式の売買手数料はずっと0円

松井証券のNISAでの株式取引(単元未満株を含む)はインターネット経由の場合、買付・売却ともに「現行制度が続く限り」0円をうたっている。NISAの口座維持手数料も無料であり、NISAでの株式取引はずっと無料で取引が可能だ。

電話での株式取引は約定代金の1%(税抜、最低手数料20円)の手数料がかかるため、インターネットでの取引をおすすめしたい。インターネットで注文しても、電話経由で訂正した場合には電話経由の手数料が適用されることがあるので注意が必要だ。

なお、ベストマッチという方法で東証の最良気配よりも有利な価格で約定した場合は、NISAでの取引でも改善約定金額の30%(税抜)の手数料負担がある。改善約定金額とは、東証の最良気配での約定金額と実際の約定金額との差額であり、ベストマッチにより顧客が得をした金額である。

松井証券では海外株式や海外ETFの取り扱いはない。

au カブコム証券……国内株式の売買手数料が無料で課税口座にはNISA割メリット

auカブコム証券のNISAでの株式とフリーETFは売買手数料が0円だ。フリーETFとはauカブコム証券が指定したETF銘柄の売買手数料を無料にするサービスである。フリーETFの対象は約100銘柄だ(※2020年10月31日時点)。

プチ株(単元未満株)は約定代金の0.5%(最低手数料48円、税抜)の手数料負担があるが、プレミアム積立(プチ株)という積立買付を利用すればプチ株の買付手数料が無料になる。

またauカブコム証券でNISA口座を利用するとNISA割のメリットを受けられる。NISA割とは課税口座(特定口座・一般口座)の現物株式の取引手数料が最大5%割引される制度だ。

auカブコム証券では海外株式や海外ETFの取り扱いはない。

岡三オンライン証券……国内株式の売買手数料は1日の約定代金合計50万円まで無料

岡三オンライン証券のNISA口座での国内株式の取引手数料は課税口座と同じだ。国内株式の手数料プランは「ワンショット」と「定額プラン」から選択できる。

ワンショットは注文ごとの約定代金で手数料が決まり、定額プランは1日の約定代金の合計で手数料が決まる。

ワンショットでは売買手数料無料になることはないが、定額プランの場合は1日の約定代金合計50万円まで手数料無料だ。約定代金50万円以下の国内株式を別の日に分けて売買すれば手数料は無料になる。国内株式以外にETF、ETN、REITも同じ手数料体系だ。

岡三オンライン証券では海外株式や海外ETFの取り扱いはない。

3.ネット証券6社のNISAにおける投資信託の買付手数料は無料、取扱本数で比較

投資信託とは投資家から集めたお金を大きな資金としてまとめ、専門家が株式や債券などに投資・運用する金融商品である。

投資信託は1円単位での注文が可能でありNISAの非課税枠である120万円ちょうどの買付も可能だ。投資信託であればNISAの非課税枠を最大に活用できる。

ネット証券各社は以前、買付手数料無料(ノーロード)の投資信託の本数を増やしていた。現在はすべての投資信託の買付手数料を無料化したネット証券が多く、今回紹介しているネット証券6社も全て買付手数料無料である。

NISAで投資信託を運用する場合、ネット証券ごとの手数料の違いはないため、投資信託の取り扱い本数を参考にすると良いだろう。以下にそれぞれのNISAの対象になる投資信託本数をまとめた。(2020年10月31日時点)

ネット証券 投資信託
買付手数料
NISA対象
投資信託本数
SBI証券 無料 2,500超
楽天証券 無料 2,500超
マネックス証券 無料 1,100超
松井証券 無料 1,200超
auカブコム証券 無料 1,200超
岡三オンライン証券 無料 500超
※各金融機関の公式ホームページを基に筆者作成

SBI証券……NISA対象の投資信託本数は最多レベルの2,500本超

SBI証券のNISA対象の投資信託本数はネット証券で最多レベルの2,500本超であり豊富な選択肢から投資信託をセレクトできる。

SBI証券のネットで提供している投資信託スクリーニングツール「投資信託 パワーサーチ」は、さまざまな条件で投資信託を絞り込めるため役に立つ。

SBI証券で人気の投資信託は「SBI・バンガード・S&P500インデックス・ファンド」(愛称:SBI・バンガード・S&P500)だ。SBI証券のNISA週間販売金額で1位にランクインすることが多い。

このファンドは米国の主要な約500社へ投資するインデックスファンドである。2019年9月の運用開始から1年ほどで純資産総額が700億円を超えるほど人気が高い。

楽天証券 ……取り扱い本数2,500本超、NISAでも楽天スーパーポイントによるポイント投資が可能

楽天証券のNISAでの投資信託はSBI証券と並んで主要ネット証券で最多レベルの2,500本超だ。

投資信託の買付の一部または全部に楽天スーパーポイントを利用する「ポイント投資(投資信託)」はNISAでも利用できる。楽天ポイントを貯めているならおすすめだ。

楽天証券で人気の投資信託は週間積立件数ランキング2位(2020年10月28日時点)の「楽天・全米株式インデックス・ファンド」だ。

このファンドの愛称は「楽天・バンガード・ファンド(全米株式)」であり、世界最大級の運用会社であるバンガード社のETFを通して米国の株式へ投資する。投資対象は米国株式市場で投資可能銘柄のほぼ100%をカバーし、3,500銘柄ほどである。

2017年9月の運用開始から3年ほどで純資産総額は1,400億円程度の資金が集まっている。

マネックス証券……取り扱い本数1,100本超、NISAでも投資信託を持っているだけでマネックスポイントが貯まる

マネックス証券のNISAでの投資信託は1,100本超の取り扱いがある。

投資信託を保有していると貯まるマネックスポイントはNISAでも対象だ。たとえばNISAで投資信託を200万円保有していれば最大年間1,600円分のマネックスポイントが貯まる。

貯まったマネックスポイントはAmazonギフト券や寄付金(日本赤十字社など)なら1ポイントから交換可能だ。

マネックス証券で人気の投資信託はNISA週間売れ筋ランキング1位(2020年10月28日時点)の三菱UFJ国際投信の「eMAXIS Slim 米国株式(S&P500)」だ。

このファンドは「SBI・バンガード・S&P500」と同様に米国S&P500を指標とするインデックスファンドである。さまざまな証券会社のランキング上位に登場する人気の投資信託であり、2018年7月の運用開始から2年あまりで純資産総額は1,700億円を超えている。

松井証券……取り扱い本数1,200本超、投資信託による資産運用をトータルサポートするロボアドバイザーが便利

松井証券のNISAでの投資信託は1,200本超の取り扱いがある。

松井証券はロボアドバイザーにより資産運用をトータルサポートする「投信工房」というサービスがある。いくつかの質問に答えるだけで最適な資産の組み合わせを提案してくれる。

松井証券で注目の投資信託は週間資金流入ランキング11位(2020年10月28日時点)のアセットマネジメントOneの「たわらノーロード 先進国株式」だ。

このファンドは米国を主体とする先進国(日本を除く)の株式に投資するファンドである。信託報酬はインデックスファンドとして最低水準の0.1%程度だ。純資産総額は右肩上がりで上昇しており、人気のファンドといえる。

「投信工房」というサービスがある。いくつかの質問に答えるだけで最適な資産の組み合わせを提案してくれる。

auカブコム証券……取り扱い本数1,200本超、投資信託の月間平均保有残高に応じてポイントが貯まる

auカブコム証券のNISAの投資信託は1,200本超の取り扱いがある。

投資信託の月間平均保有残高に応じてポイントを得る「毎月ポイント」はNISAも対象だ。月間平均保有残高100万円で1ポイントになり100ポイント貯めると1万円に交換できる(2020年12月21日まで)。

auカブコム証券で注目の投資信託は約定ランキング(2020年10月28日時点)で5位になった「<購入・換金手数料なし>ニッセイ 外国株式インデックスファンド」だ。

このファンドは「たわらノーロード 先進国株式」と同じく米国を主体とする先進国(日本を除く)の株式へ投資する。信託報酬も「たわらノーロード 先進国株式」と同じく0.1%程度である。純資産総額は2,000億円近くある人気のファンドだ。

岡三オンライン証券……取り扱い本数500本超、投資信託の最適なポートフォリオなどを提案するロボアドバイザーを利用できる

岡三オンライン証券のNISAの投資信託は他のネット証券と比較してやや少ない500本超の取り扱いだ。

こちらも投資信託による投資で役立つロボアドバイザー「投信ロボ」を提供している。投信ロボは6つの質問などに答えるとその人に最適なポートフォリオなどを提案してくれる。

岡三オンライン証券で注目の投資信託は月間積立設定額ランキング(2020年9月)で6位の三菱UFJ国際投信の「eMAXIS Slim 先進国株式インデックス」である。

このファンドも米国を主体とする先進国株式に投資するファンドだ。信託報酬も0.1%程度と最低水準であり、純資産総額は1,200億円を超えている。

「たわらノーロード 先進国株式」や「<購入・換金手数料なし>ニッセイ 外国株式インデックスファンド」と並ぶ人気の先進国株式のインデックスファンドである。

4.NISA口座を開設するネット証券の選択基準は手数料だけではない

NISA口座は1人につき1口座(1金融機関)しか開設できない。今回はNISAにおける手数料を比較したがNISA口座のネット証券を選択する基準は手数料だけではない。

ネット証券によって取扱商品数に差があれば使い勝手のよさも人それぞれ違う。ネット証券のNISAの手数料だけで単純に比較するのではなく、他の特徴もよく見て総合的に判断して決めるとよい。

またNISAは年単位であれば金融機関も変更できる。逆に1年のうちに1度でも取引すると年内に金融機関を変更できない。金融機関の変更を検討しているのであれば早めに計画を立てておこう。

実際にNISAを始めてみる

積立コースは毎日・毎週・毎月の3種類、NISA枠ぎりぎり注文で投資可能枠を使い切れる
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投資信託の保有だけで楽天ポイントが貯まる、貯まったポイントで積立投資も可能
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取り扱い銘柄130以上、投信の提案から購入・運用まですべてができるアプリが便利
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松本雄一
執筆・松本雄一
外資系コンピューター会社にてカスタマーサポート・開発・セキュリティ対策などを経験後に独立。自らの投資経験をもとに株式や投資信託などの投資情報を発信している。興味のある分野はフィンテックや新しい金融商品など。
外資系コンピューター会社にてカスタマーサポート・開発・セキュリティ対策などを経験後に独立。自らの投資経験をもとに株式や投資信託などの投資情報を発信している。興味のある分野はフィンテックや新しい金融商品など。

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