NISA(少額投資非課税制度)における非課税メリットはどの金融機関で取引しても同じように享受できる。しかしNISAでの取引手数料は金融機関によって異なる。ここではNISAのなかで唯一、個別株が売買できる「一般NISA」の手数料を主要証券会社10社で比較する。
目次
1.NISAではどんな手数料が発生するのか?
NISA(一般NISA)とは何か、どんな手数料が発生するのかについて解説しよう。
NISAとは
- 国内株式(上場株式、ETF、REITなど)
- 海外株式(上場株式、ETF)
- 投資信託
NISAで発生する手数料
NISAで発生する手数料を表にまとめた。
NISAで発生する手数料
商品 | 手数料 | |||
---|---|---|---|---|
購入時 | 保有中 | 売却時 | ||
国内・海外株式 (現物取引) |
上場株式 | 取引手数料 (買付手数料) |
なし | 取引手数料 (売却手数料) |
ETF・REITなど | 取引手数料 (買付手数料) |
信託報酬などの 管理費用 |
取引手数料 (売却手数料) |
|
投資信託 | 買付手数料 (販売手数料) |
信託報酬などの 管理費用 |
信託財産留保額 解約手数料 |
購入時の手数料の名称は、金融機関によって販売手数料と呼ばれることもある。
一般的に、株式の取引手数料は約定金額で変わり、投資信託の買付手数料は販売する金融機関によって変わります。
NISAでの取引の場合には、国内株式の取引手数料などを無料にする金融機関がある。投資信託の買付手数料は、ネット証券では無料(ノーロード)のところが多い。
信託財産留保額は支払われた手数料が投資信託の財産に組み入れられるのに対し、解約手数料は販売会社が受け取る違いがあります。
このように、NISAでは商品の取引時と商品によっては保有中に手数料がかかる。NISAで取引する前に、どの手数料がかかるのかを把握しておきたい。
2.NISAの手数料を証券会社10社で徹底比較!一番お得なのはどこ?
国内主要証券会社10社を対象に、NISAでの投資信託の買付手数料、国内株式と海外株式の取引手数料などを比較しよう。
多くのネット証券ではNISAでの国内株式の取引手数料は無料です。ただし国内株式でも単元未満株の取引はどのネット証券でも手数料がかかります。
ネット証券と対面証券では、国内株式と海外株式ともに手数料の違いが大きい。NISAでの国内株式や海外株式として一般的な米国株式の取引手数料、海外株式対象国などを比較し、手数料がお得な証券会社をランキングで紹介する。
順位 | ネット証券 | 投資信託 買付手数料 |
国内株式・ETF 取引手数料 |
米国株式・ETF 取引手数料 |
米国株式 取扱数 |
米国ETF 取扱数 |
海外株式 対象国 |
---|---|---|---|---|---|---|---|
1位 | SBI証券 | 無料 | 無料 | 約定代金の0.495% 米国ETFの購入手数料は無料 |
約3,700 | 約300 | 米国、中国、韓国、ロシア、ベトナム、 インドネシア、シンガポール、タイ、マレーシア |
2位 | 楽天証券 | 無料 | 無料 | 約定代金の0.495% 米国ETFの購入手数料は実質無料 |
約3,700 | 約300 | 米国、中国、インドネシア、シンガポール、 タイ、マレーシア |
3位 | マネックス証券 | 無料 | 無料 | 購入時:実質無料 売却時:約定代金の0.495% |
約3,900 | 約300 | 米国、中国 |
4位 | 松井証券 | 無料 | 無料 | 取扱なし | 0 | 0 | 取扱なし |
5位 | auカブコム証券 | 無料 | 無料(ETFはフリーETF 対象商品のみ) |
取扱なし | 0 | 0 | 取扱なし |
6位 | 岡三オンライン証券 | 無料 | 1日の約定代金合計100万円 まで無料(定額プラン) |
取扱なし | 0 | 0 | 取扱なし |
7位 | SMBC日興証券 | 一部の銘柄は無料 | 1,650円以下 | 2.5%相当額 | 非公表 | 非公表 | 米国 (NISA対象は米国のみ) |
8位 | 野村證券 | 一部の銘柄は無料 | 2,095円以下 | NISA対象外 | NISA対象外 | NISA対象外 | NISA対象外 |
9位 | みずほ証券 | 購入金額の 数%以下 |
3,993円以下 | 国内店頭取引の 場合は約2~3% |
約120 | 10未満 | 米国、中国、ドイツ |
10位 | 大和証券 | 一部の銘柄は無料 | 4,376円以下 | 2%以内の取引コスト | 非公表 | 非公表 | 米国、中国、ドイツ、シンガポールなど |
SBI証券
……国内株式の売買手数料と海外ETFの買付手数料が無料
- 国内の株式・ETFなどの売買手数料が無料
- 投資信託と海外ETF(米国・中国・韓国)の買付手数料が無料
売買手数料が無料の国内株式には現物株式以外にもETF(上場投資信託)、ETN(上場投資証券)、REIT(不動産投資信託)が含まれる。
SBI証券の海外の金融商品では対象国が9ヵ国あり、さまざまな海外株式などが取引できる。 海外株式の手数料は国によって異なるが、米国株式の売買手数料は約定代金の0.45%(上限20米ドル)(税抜)になる。
海外ETF(米国・中国・韓国)の場合も、買付手数料は現行制度下において恒久的に無料である(海外ETFの売却手数料は対象外)。一方の海外株式は取引に応じた所定の手数料が適用される。
- 海外株式の買付手数料が有料
- 国内の株式・ETF、海外ETF、投資信託を低コストで取引したい人
- さまざまな国の海外株式を取引したい人
楽天証券
……国内株式の売買手数料は無料で海外ETFの買付手数料は全額キャッシュバック
- 国内の株式・ETFなどの売買手数料と投資信託の買付手数料が無料
- 海外ETF(米国・中国・シンガポール)の買付手数料が全額キャッシュバック
手数料の「いちにち定額コース」を利用していてもNISA口座での国内株式の約定代金はコースの約定代金として計算されることはありません。
海外の金融商品は6ヵ国の海外株式などがNISAで取引可能だ。 米国株式の取引手数料はSBI証券と同じく約定代金の0.45%(上限20米ドル)(税抜)である。
一方で海外ETF(米国・中国・シンガポール)は買付手数料が全額キャッシュバックされる特典がある。ただし、売却手数料はキャッシュバック対象外であり、国内に上場している海外ETFの買付手数料は無料のためキャッシュバックはない。
- 海外株式の買付手数料が有料
- 国内の株式・ETF、海外ETF、投資信託を低コストで取引したい人
- 楽天経済圏をよく利用する人(楽天市場などでポイントアップ特典あり)
マネックス証券……国内株式の売買手数料は無料ほか海外株式の手数料キャッシュバック制度あり
- 国内の株式・ETFなどの売買手数料と投資信託の買付手数料が無料
- 海外株式・ETF(米国・中国)の買付手数料が全額キャッシュバック
マネックス証券の国内株式(単元未満株を除く)もNISA口座での買付・売却ともに手数料は「恒久的に0円」だ。手数料無料の国内株式には現物株式、ETF、ETN、REITを含む。
海外株式では米国株と中国株の買付時の国内取引手数料が恒久的に全額キャッシュバックされる。これはNISAに限ったもので、キャッシュバックの対象は国内の買付取引手数料のみだ。米国株の現地取引手数料・現地取引費用はキャッシュバック対象外である。
米国株と中国株をNISAで取引するならマネックス証券の国内買付手数料キャッシュバックは魅力的です。
- 米国と中国以外の海外株式を取引できない
- 国内の株式・ETF、海外の株式・ETF、投資信託を低コストで取引したい人
松井証券
……インターネット経由での国内株式の売買手数料はずっと0円
- 国内の株式・ETFなどの売買手数料と投資信託の買付手数料が無料
NISAの口座維持手数料も無料であり、NISAでの株式取引はずっと無料で取引が可能だ。
電話での株式取引は約定代金の1%(税抜、最低手数料20円)の手数料がかかるため、インターネットでの取引をおすすめしたい。インターネットで注文しても、電話経由で訂正した場合には電話経由の手数料が適用されることがあるので注意が必要だ。
なお、ベストマッチという方法で東証の最良気配よりも有利な価格で約定した場合は、NISAでの取引でも改善約定金額の30%(税抜)の手数料負担がある。
東証の最良気配での約定金額と実際の約定金額との差額であり、ベストマッチにより顧客が得をした金額。
松井証券では海外株式や海外ETFの取り扱いはない。
- 海外の株式・ETFを取引できない
- 国内の株式・ETF、投資信託を低コストで取引したい人
### auカブコム証券……国内株式の売買手数料が無料で課税口座にはNISA割メリット
- 国内の株式・ETFなどの売買手数料と投資信託の買付手数料が無料
auカブコム証券のNISAでの株式とフリーETFは売買手数料が0円だ。
auカブコム証券が指定したETF銘柄の売買手数料を無料にするサービス。フリーETFの対象は約100銘柄だ(※2021年7月19日時点)。
またauカブコム証券でNISA口座を利用するとNISA割のメリットを受けられる。
課税口座(特定口座・一般口座)の現物株式の取引手数料が最大5%割引される制度。
auカブコム証券では海外株式や海外ETFの取り扱いはない。
- 海外の株式・ETFを取引できない
- 国内の株式・ETF、投資信託を低コストで取引したい人
岡三オンライン証券
……国内株式の売買手数料は1日の約定代金合計100万円まで無料
- 投資信託の買付手数料が無料
- 国内の株式・ETFの売買手数料は1日の約定代金合計100万円まで無料
岡三オンライン証券のNISA口座での国内株式の取引手数料は課税口座と同じだ。国内株式の手数料プランは「ワンショット」と「定額プラン」から選択できる。
ワンショットは注文ごとの約定代金で手数料が決まり、定額プランは1日の約定代金の合計で手数料が決まります。
ワンショットでは売買手数料無料になることはないが、定額プランの場合は1日の約定代金合計100万円まで手数料無料だ。
岡三オンライン証券では海外株式や海外ETFの取り扱いはない。
- 海外の株式・ETFを取引できない
- 国内の株式・ETF、投資信託を低コストで取引したい人
SMBC日興証券……主要対面証券のなかでは国内株式・ETFの取引手数料が比較的低い
- 一部の投資信託の買付手数料が無料
SMBC日興証券には「ダイレクトコース」と「総合コース」の2つのコースがある。オンライン取引主体ならダイレクトコースが、支店での対面や電話での取引主体なら総合コースが適している。
オンライン取引なら、国内株式・ETFの売買手数料はダイレクトコースのほうが総合コースよりも割安になる。
ただし、ダイレクトコースではNISAでの米国株式などの取引に対応していないため、米国株式などを取引したいなら総合コースを選択することになります。
対面などの支店での取引は総合コースのみ利用できる。支店での取引は、投資サポートを受けられるメリットがあるものの、取引手数料が高い傾向がある。また、NISAでの米国株式などの取引は、支店での国内店頭取引のみ可能だ。
SMBC日興証券は、対面証券のなかではオンラインに強く、サポートではAIとオペレータによる両方のチャットに対応するなど、対面証券が初めての人でも利用しやすい証券会社だといえます。
- 国内の株式・ETFと海外の株式・ETFの取引時の手数料負担
SMBC日興証券はこんな人におすすめ
・対面や電話による投資アドバイスやAIチャット・オペレータチャットによるサポートを希望する人
野村證券……国内株式の取引手数料は主要対面証券では低めだが海外株式はNISA対象外
野村證券のNISA手数料の特徴・メリット
・一部の投資信託の買付手数料が無料
野村證券は「店舗(本・支店)」と「オンライン専用支店」で料金体系が異なる。
店舗(本・支店)では店頭・電話・オンラインサービスでの取引に対応し、オンライン専用支店では電話・オンラインサービスでの取引に対応している。
NISAでは、投資信託および国内株式・ETFなどが対象の商品であり、海外株式は対象外だ。
投資信託や国内ETFを用いて米国株などのインデックス投資は可能なため、米国などの海外個別株に投資しないのであれば、商品ラインアップとして問題はないでしょう。
野村證券はコールセンターの評価が高く、全国トップレベルの規模による繋がりやすさや土日(祝日・年末年始を除く)も受付できるなど、安心してサポートを利用できます。
- 国内の株式・ETFの取引時の手数料負担
- 海外の株式・ETFはNISA対象外
野村證券はこんな人におすすめ
・対面や電話による投資アドバイスや土日のコールセンター受付を希望する人
みずほ証券……対面取引に対応しないダイレクトコースのほうが国内株式の手数料が割安
- 国内株式・ETFと海外株式・ETFの取引手数料が有料
みずほ証券には「3サポートコース」と「ダイレクトコース」の2つのコースがある。3サポートコースは対面取引、コールセンター取引、インターネット取引の3つの取引に対応し、ダイレクトコースはコールセンター取引とインターネット取引にのみ対応している。
海外株式は、米国の株式とETF、ドイツと中国の株式を取引できる。海外株式の取引はインターネット取引には対応していない。
手数料は外国(委託)取引と国内店頭(仕切り)取引で異なり、国内店頭取引の場合は取引価格の概ね2~3%の手数料負担がある。
みずほ証券の国内ネットワークは業界トップの200を超える拠点を有し、全国の多くの地域の顧客へサービスを提供しています。
- 国内の株式・ETFと海外の株式・ETF取引時の手数料負担
- 業界トップの国内ネットワークを利用し、対面や電話による投資のサポート・アドバイスを受けたい人
大和証券……インターネット取引が主体なら手数料が割安なダイレクトコースがお得
大和証券のNISA手数料の特徴・メリット
・一部の投資信託の買付手数料が無料
大和証券は「コンサルティングコース」と「ダイレクトコース」から取引コースを選ぶ。
担当者から投資情報などを得て取引するならコンサルティングコースを、自分で情報収集して主にインターネットにて取引するならダイレクトコースが適しています。
NISAでの外国株は国内店頭取引にて売買可能 だ。外国株の店頭取引では概ね2%の手数料が加算された取引価格にて売買できる。
大和証券の特徴のひとつに著名アナリストによる情報提供があります。東京、ニューヨークなどの市場のマーケット動画が毎日、投資情報レポートなどが随時配信されています。
- 国内の株式・ETFと海外の株式・ETF取引時の手数料負担
大和証券のNISAはこんな人におすすめ
・対面や電話による投資のサポート・アドバイスや充実のマーケット情報を活用したい人
3.NISA口座を開設するネット証券の選択基準は手数料だけではない
NISA口座は1人につき1口座(1金融機関)しか開設できない。今回はNISAにおける手数料を比較したがNISA口座のネット証券を選択する基準は手数料だけではない。
またNISAは年単位であれば金融機関も変更できる。逆に1年のうちに1度でも取引すると年内に金融機関を変更できない。金融機関の変更を検討しているのであれば早めに計画を立てておこう。出典:金融庁『NISAの概要』
手数料が安いNISA口座についてよくある5つのQ&A
実際にNISAを始めてみる
積立コースは毎日・毎週・毎月の3種類、NISA枠ぎりぎり注文で投資可能枠を使い切れる >>SBI証券の詳細はこちら(公式サイトへ)
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