
NISA(少額投資非課税制度)では、収益が非課税になる投資上限額(非課税投資枠)が年間で決められている。NISAでの投資額や保有している資産評価額が上限額を超えるとどうなるのか。一般NISAと積立NISAのケースを考える。
- 積立NISAで上限金額を超える買い注文を試みると、注文できない場合と課税口座で買付される場合がある
- 積立NISAなら、毎月の積立頻度と積立金額を設定しておけば上限を超えずに積立が可能
- 投信の分配金を再投資する場合も非課税枠を消費するため、分配金のない投信を選ぶとよい
- 投資した資産が値上がりしても非課税枠に影響はない
- ネット証券の「ボーナス設定」を活用すれば非課税枠を無駄なく使い切れる
2022年4月時点
1位 | 2位 | 3位 | 4位 | 5位 | |
会社名 | ![]() |
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取扱銘柄数 | 181本 | 179本 | 173本 | 152本 | 164本 |
売買手数料 | 無料 | 無料 | 無料 | 無料 | 無料 |
最低投資金額 | 100円 | 100円 | 100円 | 100円 | 100円 |
ポイント還元 | 楽天ポイント | Tポイント Pontaポイント Vポイント dポイント |
松井証券ポイント | マネックスポイント | Pontaポイント |
クレジット カード積立 ポイント還元率 |
楽天カード 1%(※1) |
三井住友カード 0.5%(※2) |
非対応 | マネックスカード 1.1% |
1%(※3) |
積立コース | 毎月 毎日 |
毎月 毎週 毎日 |
毎月 | 毎月 毎日 |
毎月 |
ココがおすすめ | ・楽天カード積立のポイント還元が高い ・日経新聞の記事閲覧 |
・口座数主要ネット証券No.1柔軟な積立設定 ・積立アプリでラクラク管理 |
・サポート体制に強み ・投信毎月現金還元サービス |
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※2.三井住友カードの一般カード。一部のカードは1%または2%
※3.2022年3月28日より。対象au回線契約者は最大5%
目次
- 1,積立NISAと一般NISAとの違いは?上限額や非課税期間など
- 2,積立NISA、一般NISAで限度額を超えたら超過分はどうなる?
- 3,NISAの上限額まで使い切っている場合の注意点——NISAでの分配金再投資ができない
- 4,NISA口座の保有資産が値上がりして評価額が上限額を超えたらどうなる?
- 5, 積立NISAの上限額を使い切るための「ボーナス設定」ができる証券会社は?
- 6,一般NISAの上限額120万円を使い切る4つの方法
- 7, 一般NISAの非課税期間が終了した後はどうなる?
- 8,2024年より一般NISAは新NISAに 上限額はどう変わる?
- 9,積立NISA、一般NISAで限度額を超えた場合は意図しない課税口座での買付に注意
- 10, 積立NISA、一般NISAの限度額に関するQ&A
- 実際にNISAを始めてみる
1,積立NISAと一般NISAとの違いは?上限額や非課税期間など

NISAには「積立NISA」「一般NISA」「ジュニアNISA」があり、それぞれ年間に投資できる上限額が決まっている。

「令和2年度税制改正大綱」によりNISAの制度が一新され、ジュニアNISAは2023年で終了するため説明は割愛します。出典:金融庁『新しいNISA制度の概要と改正の狙い』
積立NISAは年間の上限額40万円で20年間非課税
出典:金融庁『積立NISA』


積立NISAは年間投資額が一般NISAよりも少ないですが、2037年までの投資で得た譲渡益や分配金は最長20年間非課税です。年間40万円の買付を最長20年間継続したとすると、積立NISAに非課税で投資できる最大額は800万円(40万円×20年間)になります。
一般NISAは年間の上限額が120万円で5年間非課税
出典:金融庁『NISA』


2023年までの投資で得た譲渡益や配当・分配金は、その金融商品を購入したときから最長5年間非課税になります。毎年120万円の買付を5年間継続すると、一般NISAに非課税で投資できる最大額は600万円(120万円×5年間)になります。
2,積立NISA、一般NISAで限度額を超えたら超過分はどうなる?

投資額が積立NISAの上限額40万円や一般NISAの上限額120万円を超えるとどうなるのだろうか。
NISA口座の上限額を注文を出した場合の超過分の処理は金融機関によって違う
積立NISAや一般NISAの上限額を超える注文に対して、買付ができないか課税口座で購入されるかの処理は金融機関によって異なる。
一般NISAの場合をみてみよう。
・国内上場株式等、海外上場株式等、投資信託のスポット購入、投資信託の分配金再投資の場合…課税口座で約定
・投資信託の積立購入の場合…注文できない
しかし、120万円を超える「投資信託」の買い注文を出すと、警告メッセージが表示されるものの買い注文が行われる。その場合は120万円まではNISA口座で、120万円を超える分は自動的に課税口座で購入される。
積立NISAでは限度額の40万円以上にならない積立設定ができる
積立NISAでの積立頻度は「毎週」「毎日」の中から選べる金融機関もあるが、「毎月」が一般的だ。

ボーナス月の買付や分配金の再投資をせずに、毎月の積立金額の設定を3万3,333円以下にしておけば、積立NISAの年間の上限額を超えることはありません。
「毎月」の積立を選択した場合、SBI証券や楽天証券のように積立金額を1円単位で設定できる金融機関なら、月の上限額を3万3,333円で設定すればいい。
みずほ証券などのように積立金額を1,000円単位で設定する金融機関なら、月3万3,000円で設定すれば上限額を超えることはない。
「毎週」や「毎日」の積立を行う場合であれば、積立NISAの上限額を超えない積立金額は次の金額になる。
毎日:1,619円(40万円÷247日)以下
3,NISAの上限額まで使い切っている場合の注意点——NISAでの分配金再投資ができない

投資信託には、分配金をもらえるものと分配金をもらえないものがある。

一般NISAや積立NISAで保有している投資信託の分配金は、「受取」か「課税口座で再投資」または「NISA口座で再投資」を選択できます。ただし、一部の金融機関ではNISA口座での再投資に対応していません。
積立NISAや一般NISAで分配金を再投資する場合のデメリット
積立NISAの場合でみてみよう。

積立NISAで年間30万円の買付をして分配金として得た1万円を再投資する場合、残りの非課税投資枠は9万円(=残りの非課税投資枠10万円-再投資した分配金1万円)だ。
その年の積立NISAの上限額まで使い切っている場合には、分配金再投資はできない。

金融機関によっては、上限額まで使い切っている場合には課税口座で再投資されます。
<積立NISAでの分配金再投資>
NISAでは分配金の再投資よりも分配金が支払われない投資信託を検討したい
「分配金が支払われない投資信託」とは、基準価額が上昇しても分配金の支払い実績が0円のものだ。
投資信託の運用成績が良くても、あえて分配金を支払わない銘柄だ。
低い信託報酬を実現していて決算頻度が年1回の投資信託には、分配金が0円のものが多い。

分配金0円の投資信託は、利益が分配金として支払われず投資信託内で投資に回されます。分配金再投資によるNISAの非課税投資枠を使わずに、分配金再投資と同様の効果を期待できます。
4,NISA口座の保有資産が値上がりして評価額が上限額を超えたらどうなる?


積立NISAの場合も同様だ。
5, 積立NISAの上限額を使い切るための「ボーナス設定」ができる証券会社は?

積立NISAでは毎月の定額積立が基本となる。証券会社によっては、これに上乗せする形で特定の月の積立額を増額する「ボーナス設定」が可能だ。ボーナス設定が可能な主な証券会社の概要は次の通り。
1位 | 2位 | 3位 | 4位 | |
証券会社 | SBI証券 | 楽天証券 | マネックス証券 | auカブコム証券 |
ボーナス設定 | ○ (※1) |
○ (※1) |
○ (※1) |
○ |
使い切り設定 | ○ | (※2) | ○ | × |
つみたて NISA 取扱銘柄数 |
178本 | 180本 | 152本 | 164本 |
最低積立金額 | 100円 | 100円 | 100円 | 100円 |
積立設定単位 | 1円 | 1円 | 1円 | 1円 |
積立頻度 | 毎日・毎週・毎月 | 毎日・毎月 | 毎日・毎月 | 毎月 |
引落方法 (購入方法) |
証券口座 銀行口座自動引落 クレカ積立 |
証券口座 銀行口座自動引落 クレカ積立 |
証券口座 銀行口座自動引落 クレカ積立 |
証券口座 銀行口座自動引落 |
ポイント還元 | ◎ Tポイント Pontaポイント dポイント |
◎ 楽天ポイント |
◎ マネックスポイント |
◎ Pontaポイント |
おすすめ ポイント |
商品の選択肢が多い 使い切り設定が可能 クレカ積立が可能 3種類の積立頻度 積立専用アプリ Tポイントや Pontaポイント、 dポイントが貯まる |
商品の選択肢が多い クレカ積立が可能 楽天ポイントなど 楽天グループの特典 |
クレカ積立が可能 使い切り設定が可能 投資情報やツールが充実 マネックスポイントが貯まる |
現物株式手数料が 割引になるNISA割 Pontaポイントが貯まる |

主要ネット証券各社はボーナス設定に対応しており、積立金額を1円単位で上乗せできます。これにより非課税投資枠を無駄なく使い切ることが可能です。
ボーナス設定の細かい部分には違いがあるため、各社の積立NISAサービスの概要とあわせて確認していこう。
SBI証券……ボーナス設定とNISA枠ぎりぎり注文を併用して投資枠を使い切れる

積立NISA預りの再投資やボーナス月コースを設定した場合は、積立NISA投資可能枠を超過する場合があります。 通常なら投資可能枠を超過する場合は、指定注文金額のすべてを無効にしてしまいますが、NISA枠ぎりぎり注文設定をしておくと、投資可能枠に収まる金額に調整して注文します。
引用元:SBI証券
また、積立NISA対象銘柄の取扱数は業界トップクラスで、一般的な毎月、毎日積み立てに加え、毎週積み立てが選択できるのもSBI証券の積立NISAの特長だ。
・クレカ積立で0.5〜2%還元
買付方法には、三井住友カードを使ったクレカ積立も選べる。
クレカ積立を利用すれば、クレジットカードに付与される「Vポイント」と投信マイレージによるポイントの両方を獲得できる。
Vポイントの付与率は、保有しているカードの種類によって0.5%から最大2%だ。
ただし、クレカ積立ではボーナス月コースを利用できない点には注意しよう。
カード種別 | ポイント付与率 |
---|---|
三井住友カード プラチナ VISA/ Mastercard 三井住友カード プラチナ PA-TYPE VISA/ Mastercard 三井住友ビジネスプラチナカード for Owners(VISA/ Mastercard) 三井住友カード プラチナプリファード |
2.0% |
三井住友カード ゴールド(NL) 三井住友カード ゴールド VISA/ Mastercard 三井住友カード ゴールド PA-TYPE VISA/ Mastercard 三井住友カード プライムゴールドVISA/ Mastercard 三井住友カードゴールドVISA(SMBC) 三井住友カードプライムゴールドVISA(SMBC) 三井住友カードビジネスオーナーズゴールドVISA 三井住友ビジネスゴールドカード for Owners(VISA/ Mastercard) 三井住友銀行キャッシュカード一体型カード(ゴールド/プライムゴールド) |
1.0% |
三井住友カード(NL) 上記以外のVポイントが貯まるカード |
0.5% |
投資信託の月間の平均保有金額に応じてポイントが貯まるサービス。ポイント付与率は、月間平均保有残高が1,000万円未満の場合1.0%、1,000万円以上の場合0.2%。SBIプレミアムチョイス銘柄なら最大0.25%のポイントが付与される。

SBI証券の積立NISAは取扱銘柄が充実しており、注文方法も柔軟に設定できます。積立NISA以外の商品のラインアップも業界トップクラスであり、最初の口座を開設するならSBI証券がおすすめです。
楽天証券……楽天カードを使ったクレカ積立、楽天ポイントでの買付が可能

毎日買付やクレカ積立では利用できない点は注意しよう。
また、積立NISA口座を設定した年に限り、定額買付額の増額設定ができる。この場合、年間投資額が40万円以内であれば、月に3万3,333円(≒40万円÷12ヵ月)以上の買付が可能になる。

これは年途中で積立NISAを始めた場合に年間40万円の投資を可能にする救済措置であり、翌年以降は利用できません。
・業界トップクラスの取扱商品数と楽天ポイント
楽天証券の積立NISAの魅力は、業界トップクラスの取扱商品数と、楽天ポイントなど楽天グループならではの特典だ。
年会費無料の一般カードで比較すると、SBI証券の0.5%を上回る。ただし、2022年9月買付分以降のポイント還元率は0.5%に引き下げられるので注意したい。
SBI証券の還元率が現在の水準のままであれば、一般カードでは互角、ゴールドカード以上ではSBI証券が優位に立つ。一般カードのクレカ積立の還元率では、マネックス証券の1.1%が最も高い。
楽天ポイントを使って買付ができるのも楽天証券の積立NISAの特長だ。

楽天証券は商品ラインアップやサービスが充実しており、SBI証券と並ぶネット証券の雄として個人投資家からの人気が高い。特に楽天銀行や楽天カード、楽天市場など、楽天グループのサービスを普段から利用している人におすすめの証券会社です。
マネックス証券……非課税投資枠使い切り設定が可能、クレカ積立の還元率は1.1%!

自動買付の設定額よりも残っている非課税投資枠が少ない場合、買付金額を自動で残る非課税投資枠の範囲内の金額に調整して発注する仕組みだ。
積立NISAで非課税枠いっぱいの買付設定をしている場合、年途中で分配金の再投資が行われると12月の買付で非課税枠をオーバーしてしまう。このままの状態では12月分の買付はすべてがエラーとなり、買付は行われない。その結果、非課税枠をかなり余らせてしまう。
NISA非課税枠使い切り設定を適用していれば、これを防ぐことができる。
NISA口座、積立NISA口座、ジュニアNISA口座での積立によるお買付時に、買付金額よりも残り非課税投資枠が少ない場合、残り非課税投資枠の金額で積立買付を発注します。
引用元:マネックス証券|NISA非課税枠使い切り設定とは>
マネックス証券では、2022年2月からマネックスカードによるクレカ積立が開始された。積立NISAも対象だ。マネックスカードで投信つみたての買付代金を決済すると、100円につきマネックスポイントが1ポイント、さらに1,000円につき1ポイント加算される。還元率は最高1.1%だ。
マネックスポイントは、Amazonギフト券やdポイント、暗号資産などに交換できるため、使い勝手もよい。
・暗号資産に交換する(ビットコイン、イーサリアム、リップル/コインチェック利用)
・他のポイントサービスに交換(Amazonギフト券、dポイント、Tポイント、Pontaポイント、nanaco、WAONポイント、ANA・JALマイレージ)
・寄付(日本赤十字社、READYFOR)
・マネックスグッズと交換

マネックス証券は積立NISAの取扱銘柄数や投資情報サービス、各種ツールも充実しています。特にポイント還元率の高さを重視する人におすすめです。
auカブコム証券……積立NISA利用者は「NISA割」で現物株式取引手数料が最大5%割引

auカブコム証券で積立NISAまたは一般NISAを利用している場合、NISA割が適用され現物株式の売買手数料が割引になる。割引率は最大5%、NISA口座を毎年継続するごとに年1%のペースでアップしていく。
他の割引との併用も可能だ。
割引サービス | 概要 |
---|---|
シニア割引 | 50歳以上の全員が対象。 国内現物株式手数料および、 国内信用取引手数料 (1日定額手数料コース)を 年齢に応じて2%~4%割引。 |
株主推進割引 | 三菱UFJフィナンシャル・ グループ株式等の国内現物株式手数料 (ワンショット手数料コース)を 最大10%割引。 |
auで株式割 | auユーザーが対象。 auカブコム証券の会員サイトにて au IDを登録することにより、 国内現物株式手数料および、 国内信用取引手数料 (1日定額手数料コース)を1%割引。 |
au割+ | auカブコム証券でのKDDI (9433)株式保有者が対象。 保有株数・保有期間に応じて 国内現物株式手数料および、 国内信用取引手数料 (1日定額手数料コース)を 最大15%割引。 |
また、投信の月間平均保有額に応じて、年0.05%(保有額100万円未満)〜最大年0.24%(同3,000万円)のPontaポイントが付与される。取扱銘柄数も充実しており、積立NISAサービスとして十分なスペックを備えているといえる。ただし、クレカ積立や毎日積立に対応していない点はややマイナスポイントだ。

auカブコム証券は、特に国内株式もよく取引する人やauユーザーにおすすめです。
6,一般NISAの上限額120万円を使い切る4つの方法

一方、一般NISAで上限額を使い切るには購入時期や資金の配分が難しい。
一般NISAで非課税投資枠の120万円を使い切る方法を紹介しよう。
⑴好きなタイミングで上限額120万円まで使い切る

商品は1つでも複数でもかまわない。
ただし、金融商品を一度に買うのではなく複数回に時期を分けるとよい。

購入時期を分けることで高値づかみのリスク低減を期待できます。
⑵購入と売却を繰り返し上限額120万円まで使い切る

⑶積立投資を設定して上限額120万円まで使い切る

⑷上限額120万までの残りが少ない場合には投資信託で使い切る

一般NISAで株式のみを買う場合は、多くの取引が100株単位になる。
そのため120万円ちょうどの投資が難しいことがある。

投資信託なら買付金額を指定して購入できます。
7, 一般NISAの非課税期間が終了した後はどうなる?
一般NISAで購入した株式や投資信託等は5年間非課税だ。
保有したま一般NISAの5年の期限満了を迎えた時、投資家が選べる選択肢は以下の3つだ。
- 翌年の非課税枠に繰り越し非課税で運用を継続する「ロールオーバー」
- 課税口座で運用を継続する「課税口座へ移管」
- いずれも選択せず「売却」

選択肢1,ロールオーバー
ロールオーバーを選択するメリットは、対象商品の評価額が投資枠上限の120万円を超えていても移換が可能な点にある。


なお、ロールオーバーする際の金額は、ロールオーバーをする年の前年年末最終営業日時点の時価です。120万円を超えない金額をロールオーバーした場合、翌年の非課税枠の残額は新規投資に利用できます。
たとえば50万円で購入した金融商品が値上がりにより100万円になっていた場合、全額ロールオーバーでき、翌年20万円の新規買付ができる。

選択肢2,課税口座へ移管
ロールオーバーの手続きをせず非課税期間満了を迎えた商品は、自動的に課税口座(特定口座または一般口座)に移管される。
購入時よりも値上がりした状態で移管された場合、値上がり分(含み益)については実質的に非課税になり、移管後の差額分に対してのみ課税される。
一方、購入時よりも値下がりした状態(含み損)で移管された場合、移管時の価格からの値上がり分が課税対象となる。
売却価格が当初の購入価格を下回っていても、移管時の価格を上回っていれば課税されてしまうのだ。

一方、当初50万円で買付した商品が移管時に30万円に値上がりしていた場合、移管後の取得価格は30万円に変更される。この商品を移管後に40万円で売却した場合、移管後の取得価格30万円からの値上がり分10万円に課税される。当初の買付価格より10万円値下がりし、損失が出ているにもかかわらず税金を払わなくてはならないのだ。

選択肢3,売却
売却益の場合、基準となるのは「約定日」ではなく「受渡日」となるので気を付けたい。

株式や投資信託の受渡日は、一般的に取引成立日の3営業日目(翌々営業日)以降です。年末に近い時期の売却では営業日を確認し、余裕をもって売却することをおすすめします。
分配金の支払いタイミングも重要だ。
年内に支払われる分配金は非課税だが、非課税期間満了後に年をまたいで支払われる分配金は課税対象となる。
8,2024年より一般NISAは新NISAに 上限額はどう変わる?
現行における一般NISA、積立NISAの上限額や非課税投資期間は上述した通りだが、2024年からはNISA制度が一新される。

1階部分の投資対象となる商品は、積立NISAの対象商品と同じ。長期の積立・分散投資に適した投資信託、ETFに限定される。年間の非課税投資枠は20万円であり、非課税期間の5年間で最大100万円まで投資可能だ。

1階部分が新設された背景には、より多くの人が長期・積立・分散投資を経験してもらいたいという意図があります。そのため、2階部分の投資枠を利用するには、まず1階部分で積立投資を行うことが原則となっています。
ただし、過去にNISA口座を有していたなど、投資経験のある人が2階部分で上場株式のみを購入する場合には、1階部分を利用せず2階部分のみを利用すること可能だ。
2階部分では、これまでの一般NISA同様、株式や投資信託など幅広い商品に投資できる。ただし、これまで一般NISAで投資できた商品のうち、長期投資に適さない一部商品は除外される。除外されるのは、監理銘柄および整理銘柄に指定されている株式等や、ヘッジ目的以外でデリバティブ取引による運用を行っている商品だ。年間の非課税投資枠102万円であり、非課税投資期間の5年間で最大510万円まで投資できる。

1階部分とあわせると非課税投資枠は年間122万円になり、2023年までの120万円から2万円増加します。
積立NISAとの選択制
積立NISAは、現行のまま非課税期間が5年間延長され、2042年までになる。

新NISAと併存する状態になるので、投資家は新NISAと積立NISAいずれかを選択する形になります。
新NISAへのロールオーバー
現行のNISAでの新規投資は2023年末に終了する。
すでに一般NISAで保有している商品の非課税投資期間が終了した場合は、新NISAに移行後も新NISAの非課税投資枠へロールオーバーが可能だ。
つまり、新NISAに移行後も非課税期間満了に伴う投資家の選択肢は、(1)ロールオーバー、(2)課税口座へ移管、(3)売却、の3つのまま変わらない。

ロールオーバーするとその年の非課税投資枠を使用し、その金額分は新たな投資ができなくなる点はこれまでの制度と同様です。
現行の一般NISA口座で保有している商品のロールオーバーは、まず新NISAの2階部分に対して行われる。ロールオーバーする商品の評価額が2階部分の非課税投資枠(102万円)を超える場合、超過分は1階部分の非課税投資枠が使用される。1階部分の非課税投資枠も使用される点には注意が必要だ。

積立NISAへのロールオーバー
新NISAでは1階部分の非課税期間も5年間であり、長期投資向けの商品に投資するには期間が短すぎるとの声もある。この問題を解消するのが、積立NISAへのロールオーバーだ。
一般NISAは新制度以降から5年後の2028年末、つまり2024年に購入した商品が非課税投資期間満了を迎えるタイミングで新規投資が終了する。
それ以降は一般NISAという選択肢がなくなるので、非課税投資を継続するには積立NISA口座を新たに開設することになる。この口座にロールオーバーする形だ。

これまでの流れを考えると、制度改正によって2029年以降も一般NISAが継続される可能性は残ります。この場合、積立NISAとの併用はできないことから、継続後の一般NISAへロールオーバーが可能になるかもしれません。これはあくまで推測であり、投資家に不利益となるような変更はないでしょう。しかし、制度変更や延長の可能性は想定しておきましょう。
9,積立NISA、一般NISAで限度額を超えた場合は意図しない課税口座での買付に注意


NISAで買い付けたつもりが課税口座で購入していた、ということがないように気を付けてNISAを利用しましょう。
10, 積立NISA、一般NISAの限度額に関するQ&A

・国内上場株式等、海外上場株式等、投資信託のスポット購入、投資信託の分配金再投資の場合…課税口座で約定
・投資信託の積立購入の場合…注文できない
実際にNISAを始めてみる
積立コースは毎日・毎週・毎月の3種類、NISA枠ぎりぎり注文で投資可能枠を使い切れる
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投資信託の保有だけで楽天ポイントが貯まる、貯まったポイントで積立投資も可能
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取り扱い銘柄130以上、投信の提案から購入・運用まですべてができるアプリが便利
>>松井証券の詳細はこちら(公式サイトへ)
毎月100円から積立可能、通常の現物株式の取引手数料が最大5%割引になる
>>au カブコム証券の口座開設はこちら
積立NISAで投資信託を保有するだけでポイントが貯まりさまざまな特典と交換可能
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3人の子育てのかたわら、個人事業主として独立。マネー・ビジネス分野の執筆活動、社会人研修の企画立案・業務請負等を手がける。
■保有資格 2級ファイナンシャル・プランニング技能士
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