銀行で新NISAをやるのはやめたほうがいい最大の理由は、投資できる商品が限られてしまうことだ。
銀行は新NISAの商品数がつみたて投資枠、成長投資枠ともにSBI証券や楽天証券といった主要ネット証券より少ない。また銀行では成長投資枠で株式を購入できない。
成長投資枠で投資信託を買う場合でも、銀行のほうがネット証券よりも販売手数料が高い傾向だ。
このように銀行での口座開設はデメリットが多いため、普段利用している金融機関ですぐにNISAを始めたい一部の人を除き、おすすめできない。
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つみたて投資枠の 取扱銘柄数 |
218本 | 213本 | 217本 | 217本 | 221本 |
成長投資枠の 投資信託の 取扱銘柄数 |
1,155本 | 1,114本 | 1,101本 | 968本 | 1,035本 |
クレカ積立の ポイント還元率 |
0.5~5.0% | 0.5~1.0% | 1.1%(※1) | 1.0% | - |
クレカ積立で貯まる ポイント |
Vポイント | 楽天ポイント | マネックス ポイント |
Pontaポイント | - |
積立頻度 | 毎月 毎週 毎日 |
毎月 毎日 |
毎月 毎日 |
毎月 | 毎月 毎日 |
最低投資金額・ 投資単位 |
100円以上 1円単位 |
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目次
新NISA(積立NISA)、銀行ではやめたほうがいい?
銀行で新NISAを始めるのはやめたほうがいい最大の理由は、投資できる商品が限られてしまうことだ。
銀行や大手証券会社における新NISAのつみたて投資枠の取扱商品数は、ネット証券より少ない。
また新NISAの成長投資枠で上場株式に投資したい場合は、銀行では取り扱いがないため証券会社を選択するしかない。
成長投資枠での投資信託の販売手数料は、銀行のほうがネット証券よりも高い傾向だ。
新NISAのつみたて投資枠で選べる商品が少ない
新NISAにおける銀行と証券会社の大きな違いは、対象商品の取り扱い数にある。
新NISAつみたて投資枠の取り扱い数は、SBI証券や楽天証券など主要ネット証券の場合は約200本であるのに対し、銀行の場合は三菱UFJの24本が最多だ。
主な銀行および証券会社の、新NISAつみたて投資枠の取り扱い数は以下のとおりだ。
銀行 | 取り扱い数 |
---|---|
三菱UFJ銀行 | 24本 |
みずほ銀行 | 14本 |
三井住友銀行 | 4本 |
りそな銀行 | 13本 |
大和証券 | 31本 |
野村證券 | 19本 |
銀行 | 取り扱い数 |
---|---|
PayPay銀行 | 90本 |
ソニー銀行 | 47本 |
主要ネット証券(SBI証券、楽天証券、マネックス証券、auカブコム証券、松井証券)におけるつみたてNISA対象の投資信託の本数は約200本である。
出典:金融庁『つみたてNISA投資枠対象商品届出一覧』
それに対し、銀行の新NISAのつみたて投資枠は一般的に取扱数が少ない。
メガバンクの新NISAのつみたて投資枠の取扱数は、三菱UFJ銀行の24本が最多だ。ネット銀行では、PayPay銀行が90本を取り扱っているものの主要ネット証券の半分程度にとどまる。
新NISAを「取扱商品の豊富さ」で選ぶなら、主要ネット証券から選ぶことになるでしょう。
竹国弘城(ファイナンシャル・プランナー)
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新NISAの成長投資枠でも投資信託しか購入できない
銀行では新NISAの成長投資枠も利用できるが、購入できる商品は投資信託だけだ。
2024年から始まった新しいNISA制度では、2023年までの一般NISAが成長投資枠に移行した。
成長投資枠ではこれまでの一般NISAを引き継ぎ、投資信託のほか国内外の上場株式・ETF(上場投資信託)・ETN(上場投資証券)・REIT(不動産投資信託)などにも投資できる。
購入できる商品 | 購入できない商品(例) |
---|---|
・株式投資信託 ・国内株式 ・外国株式 ・国内ETF ・海外ETF ・ETN(上場投資証券) ・国内REIT(J-REIT) ・海外REIT ・新株予約権付社債(ワラント債) |
・非上場株式 ・預貯金 ・債券 ・公社債投資信託 ・MMF、MRF ・eワラント ・上場株価指数先物 ・FX(外国為替証拠金取引) ・金・プラチナ ・上場株式のうち、整理・監理銘柄 ・信託期間20年未満の投資信託 ・毎月分配型の投資信託 ・デリバティブ取引を用いた一定の投資信託 など |
証券会社でNISA口座を開設すれば、株式のように高リターンを狙える商品も購入できる。
株式は一般的に値動き(リスク)が激しいとされる商品だが、その分大きな利益を生む可能性があり、5年間で10倍以上に値上がりすることは十分にあり得る。
さらにNISA口座では得られた利益に税金がかからないため、大きな節税効果が期待できる。
利益が大きくなるほど、節税効果も大きくなり、NISAの非課税メリットがより発揮されるのだ。
ただし、NISAの対象であっても、口座を開設した金融機関で取り扱っていない商品には投資できない。
複数の金融機関でNISA口座を開設することはできないため、NISA商品数の少ない銀行を選ぶと、投資したい商品を購入できないおそれがある。
証券会社であれば株式をはじめ、成長投資枠の対象商品のほとんどを購入できる。
投資信託しか購入しないのであれば、銀行でNISAを利用してもよいでしょう。
しかしつみたて投資枠同様、成長投資枠で購入できる投資信託の銘柄数でも主要ネット証券に優位性があります。
対象の投資信託数を比較すると、メガバンク各社は多くとも500件程度であるのに対し、SBI証券や楽天証券では2,500件を超えるファンドの中から選択できます。
将来を見据え、ネット証券で開設しておいたほうが選択肢が広がるでしょう。
竹国弘城(ファイナンシャル・プランナー)
新NISAの成長投資枠で投資信託を購入する際のコストが高め
銀行の投資信託販売手数料は平均2.04%だ。これに対し、主要ネット証券では、すべての投資信託が販売手数料のかからない「ノーロードファンド」である。
出典:金融庁『家計の安定的な資産形成に関する有識者会議(第2回)資料』
例えば、ピクテ投信が運用する「ピクテ・グローバル・インカム株式ファンド(1年決算型)」の販売手数料は、次のようになっている。
販売会社 | 販売手数料(税込) ※購入代金100万円の場合 |
---|---|
みずほ銀行 | 購入金額の3.30% |
イオン銀行 | 購入金額の3.30% |
ソニー銀行 | なし |
野村證券 | 購入金額の3.30% |
大和証券 | 購入金額の3.30% |
SBI証券 | なし |
楽天証券 | なし |
この商品の場合、販売手数料は税込で3.85%が上限だ。100万円分購入する場合、銀行とネット証券では手数料に3万円以上の差がつくこともあり、運用成果にも影響する。
出典:ピクテ投信「ピクテ・グローバル・インカム株式ファンド(1年決算型)」
投資信託へ投資する場合には、以下のようなコストがかかる。
・監査報酬……投資信託の計理が公正に行われているか監査するための費用。
・売買委託手数料……投資信託で資産の売買を行う際に発生する手数料。
信託報酬、監査報酬、売買委託手数料は、投資信託の信託財産から支払われるため、投資家が間接的に負担するコストだ。
投資信託の販売手数料(購入時手数料)は、一定の範囲内で販売会社が自由に設定できるため、購入する金融機関によってコストに差がつく部分です。
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新NISAを銀行で始めるメリット
銀行で新NISAを始めるメリットは、普段利用している金融機関ですぐに始められることだ。
銀行には、ネット証券にはない「顧客との近さ」がある。ネット証券では、基本的に自分で口座開設や運用商品を選択することが必要だが、銀行はなじみのある窓口で相談しながらNISA口座を開設したり、運用商品を選んだりできる。
また、NISA以外で投資をする予定がない場合、NISAのためだけに証券口座を開設するのを面倒に感じる人もいるだろう。普段なじみのない証券会社での手続きに抵抗を感じる人にとって、銀行は利便性が高い。
ただし、証券会社が不安な人でも、ネット証券ならサイト上の案内や解説、コールセンターやチャット、メールなどでのサポート体制は充実している。わからないことがあれば電話やチャットですぐに質問や相談ができる。
たとえば松井証券は、2023年度の問合せ窓口格付け(証券業界)で、13年連続で最高評価になる「三つ星」を獲得している。
松井証券は、HDI-Japan(ヘルプデスク協会)が主催する2022年度問合せ窓口格付け(証券業界)において、最高評価の「三つ星」を12年連続で獲得しました。今回の評価も過去11年に引き続き、お客様とのコミュニケーションの場である「電話窓口」、Webのサポート性を見る「サポートポータル(Web)」それぞれの部門で獲得しております。
引用:松井証券『受賞履歴(一覧)』
対面で相談できないことだけが不安な人は、松井証券のようにサポートが手厚いネット証券を選ぶと良いでしょう。
竹国弘城(ファイナンシャル・プランナー)
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NISA口座を開設できる銀行や証券会社は?
新NISA口座は、どの銀行・証券会社でも開設できるわけではない。
主な銀行や証券会社におけるNISA口座開設の可否は、以下のとおりだ。
銀行名 | 新NISA口座 |
---|---|
りそな銀行 | ○ |
ゆうちょ銀行 | ○ |
三菱UFJ銀行 | ○ |
みずほ銀行 | ○ |
三井住友銀行 | ○ |
横浜銀行 | ○ |
イオン銀行 | × |
PayPay銀行 | ○ |
ソニー銀行 | ○ |
楽天銀行 | × |
住信SBIネット銀行 | × |
SBI証券 | ○ |
楽天証券 | ○ |
松井証券 | ○ |
野村證券 | ○ |
大和証券 | ○ |
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ただし楽天銀行や住信SBIネット銀行やイオン銀行など、直接NISA口座を開設できない金融機関もある。
これらの銀行では、商品仲介口座を介して、新NISAを取り扱う楽天証券やSBI証券など、同じグループ内の証券会社で口座を開設することになる。
イオン銀行の場合はイオン銀行金融商品仲介口座を介してマネックス証券口座で開設する。
NISA口座を銀行で開設すべき人は
銀行でNISA口座を開設するメリットが期待できるのは、そこで取り扱いのある投資信託をつみたて投資枠で購入するだけで十分な人や、近くの窓口で相談しながら進めたい人などだ。
- 銀行で取り扱っている投資信託のみで十分な人
- 利用する金融機関を増やしたくない人
- 近くの窓口で相談したい人
- NISA利用で住宅ローンの優遇金利を受けられる人
新NISAのつみたて投資枠(旧・積立NISA)の対象商品は、すべて販売手数料が無料のノーロードファンドである。そのため、新NISAのつみたて投資枠のみ利用する場合には、銀行と証券会社でコストに差はない。
つみたて投資枠の利用には口座管理手数料(口座維持費)がかからない。そのため、手数料に差がつくとすれば、投資信託の売買や保有にかかる部分だ。
投資信託の購入時にかかる手数料は、つみたて投資枠の対象となっている投資信託が、すべて販売手数料がかからない「ノーロード」商品であるため、金融機関による差はない。
また、投資信託の運用中にかかるコストである「信託報酬」と売却(解約)時にかかる「信託財産留保額」は商品ごとに決まっている。このうち信託報酬の水準(税抜)は、金融庁から以下のように厳しく規制されている。
海外インデックス型投信……0.75%以下
国内アクティブ型投資……1.0%以下
海外アクティブ型投信……1.5%以下
金融機関によって取り扱っているNISA商品は異なるため、購入する商品によっては信託報酬に差がつくことがある。
しかし、上記のような制約によって高コストの商品はそもそも対象から除外されているため、それほど大きな差にはならない。
投資したい商品を取り扱っているのであれば、銀行で口座を開設してもいいだろう。
また、利用する金融機関を増やしたくない人、証券会社に抵抗がある人、近くの窓口で相談したい人などは、普段利用している銀行でNISAを利用するメリットがある。
対面でのサービスを求めないのであれば、全国どこでも利用でき、商品ラインアップやコスト面で優れたネット証券を利用したほうが利便性は高いでしょう。
竹国弘城(ファイナンシャル・プランナー)
銀行によっては、NISA口座を開設することで住宅ローンの借入金利が優遇される。住宅ローン借入先の銀行で金利の優遇を受けられるなら、その金融機関でのNISA口座開設を検討するとよい。
出典:三井住友信託銀行『住宅ローン 家計応援プラン』
NISA口座で投資信託自動購入プランを利用すれば、住宅ローンの優遇とあわせ、非課税メリットも受けられる。ただし、NISAの利用は必須ではないため、金利のメリットと銀行でNISAを利用するデメリットを比較したうえで慎重に判断すべきだ。
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NISA口座をネット証券で開設すべき人は?
NISAの成長投資枠も使って株式にも投資したい人やコストを抑えたい人、多くの商品の中から選びたい人は、銀行ではなくネット証券を選んだほうがよいだろう。
銀行では投資信託しか購入できないため、NISAの成長投資枠で株式にも投資したい人は証券会社で口座を開設する必要がある。
なるべく多くの選択肢の中から、自分の希望に近い商品を選びたい人にはネット証券がおすすめだ。ネット証券は、投資信託の取扱銘柄数も銀行に比べて圧倒的に多い。
金融機関名 | 商品数 |
---|---|
三菱UFJ銀行 | 24本 |
みずほ銀行 | 14本 |
三井住友銀行 | 4本 |
りそな銀行 | 13本 |
大和証券 | 31本 |
野村證券 | 19本 |
PayPay銀行 | 90本 |
ソニー銀行 | 47本 |
SBI証券 | 218本 |
楽天証券 | 213本 |
マネックス証券 | 217本 |
auカブコム証券 | 217本 |
松井証券 | 221本 |
ただし、ネット証券の中でも、取扱銘柄数や外国株式、IPO銘柄などの取り扱いの有無、それらがNISAの対象となっているかどうかは会社ごとに異なる。口座を開設する際は、ネット証券間でも比較して選ぶことが大切だ。
SBI証券 | 楽天証券 | auカブコム証券 | マネックス証券 | 松井証券 | |
---|---|---|---|---|---|
外国株式 (※) |
〇 (米国、中国、韓国、ロシア、ベトナム、インドネシア、シンガポール、タイ、マレーシア) |
〇 (米国、中国、インドネシア、シンガポール、タイ、マレーシア) |
〇 (米国株) |
〇 (米国株、中国株) |
〇 (米国株) |
IPO | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 |
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NISA口座を銀行で開設するときによくある5つのQ&A
より多くの方がお金について自ら考え行動できるよう、家計改善や住宅購入、資産形成、相続など、お金に関するコンサルティング、大手金融機関や各種メディアでの執筆・監修を行う。RAPPORT Consulting Office代表。
■保有資格
1級ファイナンシャルプランニング技能士
CFP®︎
一種証券外務員
サウナ・スパプロフェッショナル
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