日本国内に約1,523万口座あるNISA口座(2020年12月末時点)。非課税の金融資産を保有できるという特徴などから、年々利用者が増え続けている。利益を効率よく増やすには、運用に確実なマイナスとなる手数料をいかに抑えるかが大切なポイントだ。

一般NISA、つみたてNISA、ジュニアNISAの口座にかかる手数料

NISA(少額投資非課税制度)は、毎年一定金額内で購入した株式や投資信託から得られる利益に関しては税金がかからないという個人向けの投資優遇制度だ。2021年7月時点で「一般NISA」と「ジュニアNISA」、「つみたてNISA」の3種類がある。

NISAで投資をする場合、銀行や証券会社などでNISA口座を開設し、金融商品を購入し運用していく。このときに無視できないのが口座の開設や保有、取引にかかる手数料だ。高い運用成果を上げても、手数料が高ければ利益は少なくなる。

これら手数料は、NISA口座を開設する金融機関や購入する金融商品によって異なるが、3種類のNISAを比較すると、つみたてNISAだけは少し特殊だ。つみたてNISAでは制度上、販売手数料がゼロ(ノーロード)の金融商品のみを対象としている。そのため購入時の手数料を気にする必要がない。またNISA口座開設や保有(維持・管理)にかかる手数料は無料としている金融機関も多い。

一般NISAにおける取引手数料は金融機関や商品によって異なる

3種類のNISAの中で口座数が最も多い一般NISAでは、株式投資信託や国内外の上場株式、ETF(上場投資信託)、REIT(不動産投資信託)のほか、ETN(上場投資証券)や新株予約権付社債(ワラント債)が対象になる。

NISA口座で商品を取引する際には通常、購入時・売却時に取引手数料がかかる。国内株式(国内ETF・ETN・REITを含む)の取引手数料は無料にしている証券会社も多い。取引手数料については、証券会社や銘柄、どの国の株式であるかによっても異なる。

NISA口座は1人1口座しか持つことができないため、口座を開設する金融機関を選ぶ際は、取り扱っている商品の種類などに加え、取引手数料も確認しておきたい。
出典:金融庁『あなたとNISA』

一般NISA口座でかかる手数料を主なネット証券5社で比較

一般NISA口座でかかる手数料を、比較的手数料が割安なネット証券で比較してみよう(※2019年12月時点、すべて税抜表記・インターネット注文の場合)。

SBI証券……国内株式取引手数料は0円、手数料無料のノーロード投資信託の取り扱いが多い

SBI証券のNISA口座における国内株式取引手数料は0円(ETF・ETN・REIT含む、単元未満株を除く)。単元未満株の取引には約定代金の0.5%(最低50円)の手数料がかかる。

米国株式の取引手数料は約定金額の0.45%(上限20米ドル)。海外ETFの買付手数料についてはキャッシュバックではなく当初から0円だ(売却手数料は対象外)。キャッシュバックではないため雑所得とならず課税されることはない。そのほかの外国株式の取引手数料については下表の通り。

投資信託の取引手数料には優遇などはないが、もともと手数料のかからないノーロード投信の取扱数は業界トップクラスであり、選択の幅は広い。

SBI証券 一般NISA口座手数料

手数料(税抜)
口座開設手数料 無料
口座管理・維持手数料 無料
取引手数料 国内株式
(ETF・ETN・REIT含む)
無料
単元未満株 1回の取引につき
約定金額の0.5%・
最低50円
米国株式 1回の取引につき
約定代金の0.45%
(最低0米ドル・
上限20米ドル)
中国株式 1回の取引につき
約定代金の0.26%
(最低47香港ドル・
上限470香港ドル)
韓国株式 1回の取引につき
約定代金の0.9%
(最低9,000韓国ウォン)
ロシア株式 1回の取引につき
約定代金の1.2%
(最低50ロシアルーブル)
ベトナム株式 1回の取引につき
約定代金の2.0%
(最低1,200,000
ベトナムドン)※1
インドネシア株式 1回の取引につき
約定代金の1.0%
(最低238,000
インドネシアルピア)※1
シンガポール株式 1回の取引につき
約定代金の1.0%
(最低28
シンガポールドル)※1
タイ株式 1回の取引につき
約定代金の1.0%
(最低761バーツ)※1
マレーシア株式 1回の取引につき
約定代金の1.0%
(最低76
マレーシアリンギット)※1
海外ETF 買付手数料
(米国・中国・韓国)
0円
海外ETF 買付手数料
(上記以外)
海外ETF 売却手数料
国ごとの
株式取引手数料に準ずる
投資信託 銘柄による

※1 売却代金が最低手数料に満たない場合には、約定代金の50%が手数料となる(ベトナム株式とインドネシア株式については、売却時に売却代金の0.1%が別途徴収される)
※2021年7月11日時点 SBI証券 のホームページを元に筆者作成

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楽天証券……国内株式取引手数料は0円、海外ETFの買付手数料は全額キャッシュバック

楽天証券のNISA口座における国内株式の取引手数料は0円(ETF・ETN・REIT含む)である。楽天証券では取引単位未満の株式(単元未満株)は直接売買できない。分割などでNISA口座内の銘柄に単元未満株が生じた場合、現金化するには発行会社に買取請求する必要がある。その際、取次手数料として1件あたり300円かかる。

海外ETF(米国・中国・シンガポール)の買付手数料は約定時に徴収されるが、後日全額キャッシュバックされる。キャッシュバックされた手数料相当額は雑所得となり、確定申告が必要なケースもあるため注意が必要だ。また売却時の手数料はキャッシュバック対象にならない。

投資信託や外国株式の取引手数料は有料だ。投資信託は投信積立サービスを利用して購入した場合、買付手数料(税込)の全額が楽天スーパーポイントでポイントバックされる。外国株式の取引手数料は、米国株式であれば約定代金の0.45%(上限20米ドル)の手数料がかかる(中国株式・アセアン株式については下表の通り)。

楽天証券 一般NISA口座手数料

手数料(税抜)
口座開設手数料 無料
口座管理・維持手数料 無料
取引手数料 国内株式
(ETF・ETN・REIT含む)
無料
※単元未満株を
現金化する際には、
買取請求取次手数料として
1件あたり300円
米国株式 1回の取引につき
約定代金の0.45%
(最低0米ドル・
上限20米ドル)
中国株式 1回の取引につき
約定代金の0.50%
(最低500円・
上限5,000円)
アセアン株式 1回の取引につき
約定代金の1.0%
(最低500円)
海外ETF 買付手数料
(米国・中国・シンガポール)
全額キャッシュバック
海外ETF 売却手数料 国ごとの
株式取引手数料に準ずる
投資信託 銘柄による
※投信積立利用の
買付手数料は
全額ポイントバック

※2021年7月11日時点 楽天証券 のホームページを元に筆者作成

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楽天証券で口座開設するなら、楽天カードを利用するのがおすすめだ。 楽天証券では、楽天カードでの投信の積立や保有でも楽天ポイントが付与される。楽天カードを持っている人はもちろん、まだ持っていない人もこの機会に新規申込すると良いだろう。
楽天カードでは、現在新規カード発行でもれなく5,000ポイントもらえるキャンペーンを実施中だ。

マネックス証券……国内株式取引手数料は0円、外国株・投信積立の買付手数料は全額キャッシュバック

マネックス証券のNISA口座における国内株式取引手数料は0円(ETF・ETN・REIT含む、単元未満株を除く)。単元未満株の取引には約定代金の0.5%(最低48円)の手数料がかかる。

ETFを含む外国株式の国内取引手数料は、米国株式で約定金額の0.45%(最低0米ドル、上限20米ドル)、中国株式で約定金額の0.25%(最低45香港ドル、上限は450香港ドル)である。買付時の国内手数料は全額キャッシュバックされる。ただしキャッシュバックされた金額は雑所得となるため確定申告が必要なケースもある。

投資信託は投信積立を利用して買い付けた場合、買付手数料の全額がキャッシュバックされる。

マネックス証券 一般NISA口座手数料

手数料(税抜)
口座開設手数料 無料
口座管理・維持手数料 無料
取引手数料 国内株式
(ETF・ETN・REIT含む)
無料
単元未満株 1回の取引につき
約定金額の0.5%・
最低48円
米国株式
(ETF含む)
1回の取引につき
約定代金の0.45%
(最低0米ドル・
上限20米ドル)
※買付時国内取引手数料は
全額キャッシュバック
中国株式
(ETF含む)
1回の取引につき
約定代金の0.25%
(最低45香港ドル・
上限450香港ドル)
※買付時国内取引手数料は
全額キャッシュバック
投資信託 銘柄による
※投信積立利用時の
買付手数料は
全額キャッシュバック

※2021年7月11日時点 マネックス証券 のホームページを元に筆者作成

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auカブコム証券……国内株式取引手数料は0円、NISA(ニーサ)口座以外の現物株式取引手数料も最大5%割引

auカブコム証券のNISA口座における国内株式取引手数料は0円(ETF・ETN・REIT含む、単元未満株を除く)。単元未満株(auカブコム証券での名称は『プチ株🄬』)の取引には、約定代金の0.5%(最低48円)の手数料がかかる。

auカブコム証券でNISA口座を開設している人には『NISA割🄬』という特典がある。『NISA割🄬』が適用されると、NISA口座の継続年数に応じて、NISA口座外の現物株式取引手数料が最大5%まで割り引かれる(割引率は継続1年ごとに1%アップ)。NISA以外でも国内株式を売買する人には魅力ある特典だといえる。

『プチ株🄬』を活用した毎月500円からの株式少額積立投資(『プレミアム積立🄬』)ができるのもauカブコム証券の特徴だ。積立買付の場合の手数料は0円だ。

投資信託の取引手数料に優遇はなく、外国株式は取り扱いがない。

auカブコム証券 一般NISA口座手数料

手数料(税抜)
口座開設手数料 無料
口座管理・維持手数料 無料
取引手数料 国内株式
(ETF・ETN・REIT含む)
無料
単元未満株 1回の取引につき
約定金額の0.5%・
最低48円
※積立買付手数料は0円
投資信託 銘柄による

※2021年7月11日時点 auカブコム証券 のホームページを元に筆者作成

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松井証券……国内株式取引手数料は0円、投資信託購入時手数料は全額ポイント還元

松井証券のNISA口座における国内株式取引手数料は0円だ(課税ジュニアN ISA口座での取引は1日の約定金額50万円まで)。投資信託の購入時手数料は、消費税分を除く金額が後日ポイントにより還元される(ブルベア型投資信託は対象外)。

外国株式は取り扱いがない。

松井証券 一般NISA口座手数料

手数料(税抜)
口座開設手数料 無料
口座管理・維持手数料 無料
取引手数料 国内株式
(ETF・ETN・REIT・
単元未満株含む)
無料
投資信託 消費税分を除き
全額ポイント還元
(ブルベア型投資信託は対象外)

※2021年7月11日時点 松井証券 のホームページを元に筆者作成

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岡三オンライン証券……国内株式取引手数料は0円~、投信購入時手数料は全額キャッシュバック

岡三オンライン証券のNISA口座における国内株式取引手数料は、1日の約定金額が50万円以下であれば0円(定額プランの場合・ETF・ETN・REIT含む、単元未満株を除く)だ。単元未満株は1注文の約定金額に応じて200円~となっている。

投資信託の購入時手数料は、消費税分を含む手数料全額が後日キャッシュバックされる(ブルベア型投資信託・ETF等上場投資信託を除く)。キャッシュバックされた金額は雑所得となり、確定申告が必要なケースもある。

岡三オンライン証券 一般NISA口座手数料

手数料(税抜)
口座開設手数料 無料
口座管理・維持手数料 無料
取引手数料 国内株式
(ETF・ETN・REIT含む)
0円~
(定額プランの場合)
単元未満株 200円~
投資信託 消費税分を含む
全額キャッシュバック
(ブルベア型投資信託・
上場投資信託は対象外)

※2021年7月11日時点 岡三オンライン証券 のホームページを元に筆者作成 の公式ホームページを基に筆者作成

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NISA(ニーサ)口座を開設する証券会社は手数料をよく比較して選択を

NISA口座にかかる手数料はネット証券と対面証券では大きな違いがあり、一回の取引で数千円程度の差がつくこともある。ネット証券間の手数料の差は比較的小さいといえるが、やはり会社や商品によって手数料体系や手数料の優遇に差がある。

サポート体制など手数料以外の要素についても考慮すべきだが、同じ商品に投資するのであれば手数料が安いに越したことはない。NISA口座は1社でしか開設できないので、口座を開設する証券会社はよく比較して選んでほしい。

NISA口座の手数料についてよくある5つのQ&A

SBI証券のNISA口座にかかる手数料は?
SBI証券のNISA口座における国内株式取引手数料は0円(ETF・ETN・REIT含む、単元未満株を除く)。単元未満株の取引には約定代金の0.5%(最低50円)の手数料がかかる。米国株式の取引手数料は約定金額の0.45%(上限20米ドル)。海外ETFの買付手数料についてはキャッシュバックではなく当初から0円だ(売却手数料は対象外)。

楽天証券のNISA口座にかかる手数料は?
楽天証券のNISA口座における国内株式の取引手数料は0円(ETF・ETN・REIT含む)である。楽天証券では取引単位未満の株式(単元未満株)は直接売買できない。分割などでNISA口座内の銘柄に単元未満株が生じた場合、現金化する場合取次手数料として1件あたり300円かかる。

海外ETF(米国・中国・シンガポール)の買付手数料は約定時に徴収されるが、後日全額キャッシュバックされる。また売却時の手数料はキャッシュバック対象にならない。

投資信託や外国株式の取引手数料は有料だ。投資信託は投信積立サービスを利用して購入した場合、買付手数料(税込)の全額が楽天スーパーポイントでポイントバックされる。外国株式の取引手数料は、米国株式であれば約定代金の0.45%(上限20米ドル)の手数料がかかる(中国株式・アセアン株式については下表の通り)。

マネックス証券のNISA口座にかかる手数料は?
マネックス証券のNISA口座における国内株式取引手数料は0円(ETF・ETN・REIT含む、単元未満株を除く)。単元未満株の取引には約定代金の0.5%(最低48円)の手数料がかかる。

ETFを含む外国株式の国内取引手数料は、米国株式で約定金額の0.45%(最低0米ドル、上限20米ドル)、中国株式で約定金額の0.25%(最低45香港ドル、上限は450香港ドル)である。買付時の国内手数料は全額キャッシュバックされる。

投資信託は投信積立を利用して買い付けた場合、買付手数料の全額がキャッシュバックされる。

auカブコム証券のNISA口座にかかる手数料は?
auカブコム証券のNISA口座における国内株式取引手数料は0円(ETF・ETN・REIT含む、単元未満株を除く)。単元未満株(auカブコム証券での名称は『プチ株🄬』)の取引には、約定代金の0.5%(最低48円)の手数料がかかる。

松井証券のNISA口座にかかる手数料は?
松井証券のNISA口座における国内株式取引手数料は0円だ(課税ジュニアN ISA口座での取引は1日の約定金額50万円まで)。投資信託の購入時手数料は、消費税分を除く金額が後日ポイントにより還元される(ブルベア型投資信託は対象外)。

実際にNISAを始めてみる

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竹国弘城
竹国弘城
証券会社、保険代理店での勤務を経て、ファイナンシャルプランナーとして独立。より多くの方がお金について自ら考え行動できるよう、お金に関するコンサルティング業務や執筆業務などを行う。RAPPORT Consulting Office 代表。1級ファイナンシャルプランニング技能士、CFP®︎
HP : https://www.rapportco.com
証券会社、保険代理店での勤務を経て、ファイナンシャルプランナーとして独立。より多くの方がお金について自ら考え行動できるよう、お金に関するコンサルティング業務や執筆業務などを行う。RAPPORT Consulting Office 代表。1級ファイナンシャルプランニング技能士、CFP®︎
HP : https://www.rapportco.com

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