NISAでおすすめの銘柄は?投資初心者が購入を検討したい株の高配当銘柄と投資信託10選

2020.6.30
投資
(写真=pickingpok/Shutterstock.com)
(写真=pickingpok/Shutterstock.com)
一般NISAは年間120万円までの非課税投資枠、5年の非課税投資期間という条件が設けられており、つみたてNISAとは異なる銘柄選びの基準が必要となる。投資初心者が一般NISAで銘柄を選ぶ際のポイントと、おすすめ銘柄を紹介しよう。

目次
1.一般NISAとつみたてNISAの違い
2.銘柄選びで投資初心者は配当益を意識
3.投資初心者が高配当銘柄を選ぶためのポイント
4.一般NISAでおすすめの株の高配当銘柄5選
5.一般NISAで投資信託を買うときの3つのポイント
6.一般NISAでおすすめの投資信託5選

1.一般NISAとつみたてNISA(積立NISA)は投資スタイルが異なる

一般NISAとつみたてNISAでは制度設計が異なるため、必然的に投資スタイルも異なる。一般NISAは年間120万円の非課税投資枠で5年間の非課税投資期間、つみたてNISAは年間40万円の非課税投資枠で20年間の非課税投資期間になる。一般NISAは比較的短期でのまとまった投資に、つみたてNISAは長期の資産形成に向いている。

一般NISAとつみたてNISAは投資対象にも違いがある。つみたてNISAは金融庁のお墨付きを得た投資信託のみが対象となるが、一般NISAは投資信託だけでなく、国内株式やETF、海外株式も対象になる。

一般NISAはつみたてNISAよりも銘柄選びの自由度が高く、投資初心者はしっかりとした基準を持って運用を考える必要がある。

2.一般NISAの銘柄選びで投資初心者は配当益(インカムゲイン)を意識

株式投資には2つの利益がある。買値と売値の差にあたる売却益(キャピタルゲイン)と配当益(インカムゲイン)である。一般NISAではどちらの利益でも非課税となる。

確実に利益を出すために配当益(インカムゲイン)を積み上げる

一般NISAはつみたてNISAと比べると、まとまった金額を投資できる反面、投資期間は比較的短期になる。短期間で利益を出さないといけないと考えると、どうしてもキャピタルゲインに目を向けがちだろう。しかし投資初心者が一般NISAにおいて意識すべきは、インカムゲインである。

一般NISAにおいて重要な点は、非課税期間中に確実に利益を出すことである。NISAの非課税メリットは利益が出ていなければ生まれない。5年間で確実に利益を出すために、インカムゲインを積み上げるという考え方が重要だ。

 

投資初心者が一般NISAで売却益(キャピタルゲイン)を狙うのは難しい

株式投資で最も難しいのは、売却のタイミングである。一般NISAでは、ただでさえ難しい売却に、5年以内という制限が設けられている。投資初心者は5年以内に利益を出さないといけないというプレッシャーに駆られ、薄利で売却してしまうというケースが起こり得る。

インカムゲインを積み上げる投資には、売却タイミングに神経を尖らせるプレッシャーを和らげる効果がある。年間配当利回りが3%の銘柄を購入した場合、5年間で合計15%の配当金を非課税で受け取れる。5年後に株価が購入時と同額だった場合、配当金の15%がそのまま利益になる。万が一、購入時より株価が下がっていた場合でも、15%以内の下落であれば、トータルではプラスになる。

投資初心者はインカムゲインを軸に銘柄選びを進めることで、売却のタイミングが分からないといった悩みや株価に一喜一憂することから解放されるのである。

一般NISAでインカムゲインを狙うなら高配当株式がおすすめ

投資初心者が一般NISAでインカムゲインを軸に銘柄選びを進める場合、国内株式の高配当銘柄をおすすめしたい。

国内株式は多くの銘柄が通常、年2回の配当を行っている。株式の配当金に係る税金もNISAによって非課税になるため、年2回の配当の度にNISAの非課税メリットを享受できる。

投資信託への投資の場合、配当金に代わり決算ごとに分配金が支払われるが、年1回の決算であるファンドが大半だ。インデックスファンドなどを中心に、大きく値上がりしない限り、分配金を支払わないというファンドも多い。なかには分配金に主眼を置き、小まめに分配金を支払うファンドもあるが、そうした商品は運用管理に係るコストが高くなる傾向にある。

高配当銘柄は、定期的なインカムゲインで小まめに非課税メリットを享受でき、なおかつ低コストで運用できる。インカムゲインを軸に一般NISAで投資を行う場合、高配当銘柄は非常に相性のよい組み合わせと言えるだろう。

3.一般NISAで投資初心者が高配当銘柄を選ぶための3つのポイント

一般NISAを始める投資初心者は、インカムゲインを意識して高配当銘柄への投資を検討したい。では具体的にどのような銘柄を選べばよいだろうか。銘柄選びのポイントを3つ紹介しよう。

ここではNISAで老後資産を築くことを想定し、値動きが比較的安定している大型株を選定するものと考える。

過去の5年の配当推移をチェックする

高配当銘柄を選ぶ際には、少なくとも過去5年間の配当推移は調べておいたほうがいい。銘柄によっては、業績に連動して配当金額を大きく変動させているケースもある。こうした銘柄は、株主還元という観点では優良企業と言えるが、NISAで安定的に配当を得たいという投資スタイルにはマッチしない。

中には記念配当や特別配当によって、配当金額がある1年だけ大きくなっている銘柄もある。単年の配当金額だけでは、その企業の配当政策を判断することは難しい。毎年安定した水準で配当を出している銘柄を見極めるため、最低5年、できればさらに長期の配当推移を把握しておきたい。

業績・株価チェックは大原則

高配当銘柄をスクリーニングする際は、指標として配当利回りを用いるだろう。ただし、配当利回りが高いからといって、すぐに飛びついてはいけない。業績が好調であるか、株価が安定しているかを必ず調べる必要がある。

中には業績悪化によって株価が下落し、一時的に配当利回りが高くなっているケースもある。そうした銘柄は、業績悪化を受けた減配のニュースが出る可能性も高い。

業績が良くないにも関わらず、配当を維持して株価をキープしようとする銘柄もある。利益水準は下がってきているが、配当額が変わらない銘柄にも注意が必要だ。

安定した利益のもとに払われている配当であるかどうかを確認しておきたい。

「配当が少ない銘柄=悪い銘柄」ではない

企業は株主のものであり、配当金は企業の所有者である株主に利益を還元する行為である。近年は海外投資家の圧力もあり、株主還元を強化する企業が多くなり、利益の中から配当に回す割合である配当性向を高く設定する企業も増えている。

しかし、配当をあまり出さない銘柄が、必ずしも悪い銘柄というわけではないことは覚えておきたい。配当が少ない企業には、利益を配当に回すほどの体力がないというケースがある。一方で利益が期待できる事業や投資案件が多く、経営者が配当に回すよりもそうした投資に充てるべきだと考えているケースもある。

高配当銘柄は成長著しい業界には少なく、成熟市場の企業に多い。成長市場の企業はあえて配当を少なくしていることもある。高配当銘柄を購入する際は、市場の伸びに伴う株価の大幅な伸びに期待するのではなく、成熟市場の中で安定した利益を取りにいくことを考え、市場と銘柄の選別を行うべきだろう。

4.一般NISAでおすすめの株の高配当銘柄5選

投資初心者が一般NISAで購入することを前提に、おすすめの高配当銘柄を5つピックアップした。株式の中でも値動きが安定している大型株ではあるが、リターンが高くなるほどリスクも大きくなることを忘れてはならない。なお、予想配当利回りは、2020年6月26日の終値と会社発表の配当予想を基に計算しているが、通期の配当予想を公表していない銘柄に関しては、便宜的に前年度の実績配当金額を基準とした。また、配当性向とは当期純利益の中で配当に充てる割合を指す。

KDDI <9433> ……予想配当利回り3.72%

通信大手は配当性向の高い銘柄が多いが、「au」ブランドでおなじみのKDDI <9433> もその一つであり、配当利回りは3.72%だ。

同社は配当性向40%超を目標とするなど、株主還元に力を入れている。2019年度まで18期連続の増配を行っており、コロナ禍にありながら、2020年度も増配を計画している。5Gやテレワークの増加による通信需要の高まりなど、この環境下でも事業基盤は底堅い。さらに近年は通信事業だけでなく、金融などの事業分野でも積極的な拡大を行っている。通信事業という安定した事業基盤を背景とした株主還元と、事業領域の拡大による利益追求という2つの面を持つ同社は一般NISAとの相性も良い銘柄であろう。

三井住友フィナンシャルグループ <8316> ……予想配当利回り6.18%

3大メガバンクの一角である三井住友フィナンシャルグループ <8316> も高配当銘柄の一つであり、その配当利回りは6%を超える。

同社は配当性向の目標を40%に置いているだけでなく、減益決算であっても減配は行わず、配当の維持または増配に努める「累進配当」の方針を掲げた。2020年度についても、コロナの影響でクレジットコストの増加や貸倒引当金の積み増しといった負担が予想されるにもかかわらず、配当予想は前年度から据え置いている。高い配当利回りでありながら、安定的な配当が今後も期待できるという点では、一般NISAでの購入も検討したい銘柄だ。

トヨタ自動車 <7203> ……予想配当利回り3.20%(※2021年3月期の予想配当金は未定)

日本を代表する銘柄であるトヨタ自動車 <7203> は、配当においても非常に優れた銘柄だ。

2021年3月期の配当金については、コロナの影響が不確定であるため会社予想を出していないが、前期の配当額は220円であり、この水準を基に計算した配当利回りは3.20%となる。同社は配当性向の目安を30%に設定しており、株主還元にも積極的だ。東証一部全銘柄の配当利回りの平均が2%程度であることを考えれば、国内株式市場におけるプレゼンスが極めて高いトヨタ自動車で、平均以上の配当利回りを得られることは非常に魅力的である。

コロナの影響で、一時的な業績下落は避けられない可能性が高いが、一般NISAで5年程度保有する前提で考えれば、十分検討に値するだろう。

伊藤忠商事 <8001> ……予想配当利回り3.75%

商社株も配当利回りの高い銘柄が多い。伊藤忠商事 <8001> も高配当銘柄であり、その配当利回りは3.75%である。

三井住友フィナンシャルグループと同様、伊藤忠商事も「累進配当」の方針を掲げており、2021年度はコロナの影響で減益予想であるものの、配当については増配を継続する方針を示している。景気敏感株である商社株は値動きが大きくなるケースもあるが、配当金を受け取りながら、値上がりを待つといった投資を一般NISAで行えば、ポートフォリオのアクセントにもなり得る。

日本プロロジスリート投資法人 <3283> ……予想分配金利回り2.88%

最後にREITから1銘柄紹介しよう。物流施設に特化したJ-REITである日本プロロジスリート投資法人 <3283> だ。

米国の不動産大手プロロジス・グループがスポンサーであり、物流施設に特化したポートフォリオを保有する。物流施設はインターネット通販の拡大などにより需要が高まっており、近年注目される不動産セクターだ。

REITは分配金利回りの高さが魅力である。REITは不動産を所有しており、定期的な賃料収入というインカムゲインを原資に、安定した分配金の支払いができる。同投資法人は半年決算を行っているが、2020年5月期に4,572円、2020年11月期に4,760円の分配金を予定しており、これに基づく予想分配金利回りは2.88%になる。

コロナの影響で日本のREIT市場は大きな下落に見舞われた。しかし、物流セクターのREITについては、物流需要の高まりを背景に底堅い値動きを見せ、6月に既にコロナショック前の価格水準まで値を戻している。東証REIT指数と比較しても、パフォーマンスは大きく上振れており、今後もこの傾向に期待できそうだ。

5.一般NISAで投資信託を買うときの3つのポイント

投資初心者の場合、個別株銘柄を選ぶのが難しいという人もいるだろう。そのような場合には、投資信託の購入も視野に入れたい。個別銘柄への投資は比較的リスクが高いが、投資信託は分散投資となるのでその分リスクを軽減することも可能だ。一般NISAで投資信託を購入する場合には、次の3点に注意したい。

ポイント1……投資信託の分配金と株の配当金は異なるものだと理解する

一般NISAで個別銘柄を選ぶ場合には、高配当株のようにインカムゲインが期待できるものが良いと説明した。投資信託では、何がインカムゲインにあたるのだろうか。投資信託の場合、分配金がインカムゲインにあたると考えるのは誤りである。

分配金とは、その投資信託の裁量で支払いができるものである。たとえ儲けが出ていなくても、投資信託が分配を決定すれば、支払いが行われる。毎月分配型のような分配金の支払いに主眼を置いた商品の場合、儲けが出ていなくても毎月の分配金が支払われるため、儲けが出ているように勘違いをしてしまうことも多い。もちろん、投資元本を割り込んで支払われる特別分配金は元本の払戻しに相当するため、税金は発生しないが、一般NISAの場合、儲けが出ないと非課税メリットを享受できない。

一般NISAで投資信託を購入する場合、分配金に惑わされず、その投資信託が何に投資を行っているかを見極める視点が必要になる。

ポイント2……コストがなるべくかからない投資信託を比較検討する

一般NISAで投資信託に投資を行う場合、コスト意識も重要なポイントだ。投資信託の購入時の手数料や信託報酬がかからないかどうかを確認しておく必要がある。

投資信託の購入時手数料については、なるべくかからないノーロードの商品を選択したい。ネット証券を中心に、購入時手数料を無料としている金融機関もある。同じ商品でも金融機関によって購入時手数料が異なるケースもあるので、比較して検討する必要がある。

信託報酬についても必ず確認しておきたい。信託報酬が高ければ、その分高いパフォーマンスを生まないと利益が出ない。一般NISAの場合には、短期での値上がりを期待して、アクティブファンドを購入するケースもあるだろう。アクティブファンドの信託報酬はインデックスよりも高いことがほとんどだが、年率1.5%を超えるような信託報酬を取るファンドについては、慎重に判断を行ったほうがいい。

ポイント3……投資信託でも配当益(インカムゲイン)に着目する

繰り返しになるが、一般NISAでは5年以内に利益を生まないと非課税メリットを享受できないこととなる。値上がりしそうな商品を探し当てればよいが、そう簡単にはいかないだろう。投資初心者の場合には、個別銘柄と同様にインカムゲインに着目し、利益を積み上げていくという視点で商品選択を行うのが良いだろう。

つみたてNISAは長い期間を活用したドル・コスト平均法による購入単価の平準化といった手法を取ることができる。しかし、一般NISAは期間が5年と比較的短いため、つみたてNISAなどとは異なった銘柄選択の基準を持つべきだ。

6.一般NISAでおすすめの投資信託5選

最後に一般NISAでおすすめの投資信託を5本紹介しよう。一般NISAで投資信託を購入する場合、どういった基準で選べばよいか悩んだときの参考にしてほしい。

NEXT FUNDS 野村日本株高配当70連動型上場投信 <1577>

ETF(上場投資信託)であるが、同銘柄は国内上場株式のうち、配当利回りが高い70銘柄に投資する商品だ。インカムゲインに着目し、配当の高い銘柄をまとめてパッケージとして購入できるという魅力的な商品となっている。ETFであり、インデックス運用を行うため、信託報酬が年率0.32%(税抜)と低い点も魅力だ。

コロナの影響による株価下落で個別銘柄の配当利回りは高まっているが、今後、その利回りに着目した買いが入るような状況に期待したい。

楽天・米国高配当株式インデックス・ファンド

米国の高配当株式へ投資を行うインデックスファンドである。信託報酬などのコストも年率0.18%(税抜)と非常に低い。運用は米バンガード社が行っており、投資初心者でも手軽に米国の高配当株へ投資ができる。インカムゲインに着目した上で、保有資産の地域分散を図りたい場合などに非常に便利な商品だ。

コロナ禍でも底堅い値動きを見せる米国株を一般NISAのポートフォリオに組み込む場合に活用したい。

たわらノーロード 先進国リート

日本を除いた先進国のREITへ投資を行うインデックスファンドであり、資産の7割は米国REITになる。海外の不動産市場の収益をポートフォリオに組み込むことができる。こちらもインデックス型であり、信託報酬も年率0.27%(税抜)に抑えられている。賃料収入というインカムゲインを得ることもできる一方、不動産市場の成長によるキャピタルゲインの期待も持てる。

<購入・換金手数料なし>ニッセイ外国債券インデックスファンド

日本を除いた主要国の国債へ投資するインデックスファンドで、組入銘柄の上位は米国債である。インカムゲインを意識する場合は債券投資が基本であるが、一般NISAでは債券は投資対象外となっているほか、国内債券は低金利環境にあり、利益を追うことが難しい。外国債券のインデックスファンドを活用することで、国内外の金利差による利益を享受でき、NISAによる恩恵を受けられる。

信託報酬も0.14%(税抜)に抑えられており、債券であるため、不況時に底堅い値動きをする点でも魅力的であり、ポートフォリオのバランス調整に活用したい。

フィデリティ・USリート・ファンド (資産成長型)D(為替ヘッジなし)

フィデリティ・USリート・ファンド (資産成長型)D(為替ヘッジなし)は、米国のREIT市場へ投資を行うアクティブファンドである。投資対象がREITであるため、インカムゲインも見込めるだけでなく、アクティブファンドとして対象指数を上回る運用成績を残せるように、ポートフォリオもインデックスファンドとは異なる。一般NISAはつみたてNISAと異なり、銘柄選択の自由度が高いので、気に入ったアクティブファンドを見つけ、積極的に値上がり益を取りにいくといった選択肢も視野に入れたい。

信託報酬は年率1.33%(税抜)とインデックスファンドに比べれば高いが、アクティブファンドの中では許容内の水準だろう。購入金融機関によっては購入時手数料が発生するため注意したい。コロナ禍でREITの値動きは大きくなっているが、適切な銘柄選定や売買タイミングを個人で判断することは難しいため、投資信託を活用したい。

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執筆・樋口壮一(ファイナンシャルプランナー)

新卒で証券会社に入社後、10年間リテール営業、ホールセール営業を経験。現在は事業会社の営業企画部門に努める傍ら、個人として投資を行い、マーケットに携わる。
 

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