投資信託の分配金は再投資すべきか?受け取るべきか?メリットやデメリット、注意点など

2020.5.7
INVESTMENT
(写真=Zephyr_p/Shutterstock.com)
(写真=Zephyr_p/Shutterstock.com)
投資信託には分配金が支払われるものがあり、分配金は受け取るか再投資するかを選択できることが多い。分配金の受取か再投資かの選択はどのように決めればよいのか。3つの注意点を押さえながら、分配金についての受取と再投資を考えたい。

目次
1.分配金の3つのポイント
2.分配金再投資のメリットとデメリット
3.分配金の受取と再投資の複利効果を比較
4.分配金の再投資を選んだほうがいい人
5.受取と再投資の3つの注意点
6.再投資か受取かは投資の目的に選択

1.知っておきたい分配金の3つのポイント

分配金とは投資信託の収益の一部を投資家へ還元するお金のことだ。一般的に決算時に支払われることが多い。分配金を受け取るか再投資するかを選択するために知っておきたい3つのポイントを見ていこう。

⑴普通分配金と特別分配金(元本払戻金)は課税の扱いが違う

分配金には普通分配金と特別分配金(元本払戻金)の2種類がある。普通分配金は投資信託の運用益から支払われ、配当所得になるため課税対象だ。一方、特別分配金は元本の払い戻しとみなされる。投資家にとっては投資した資金の一部が戻ることになるため非課税対象だ。

特定口座や一般口座のいわゆる「課税口座」で投資信託を買い付けるなら、課税対象の普通分配金と非課税対象の特別分配金があることを理解しておきたい。

⑵分配金の受取と再投資では複利効果が違う

分配金の受取を選択すると、分配金は金融機関の口座などで受け取れる。受け取った分配金の使い道は自由が、新たな投資を行わない限り、そこから更なる利益を生むことはない。

分配金の再投資を選択すると、支払われた分配金は自動的に同じファンドの追加購入に充てられる。再投資された資産は運用により更なる利益を生む複利効果を期待できるのだ。

⑶「基準価額」と「分配金再投資基準価額」は分配金の扱いが違う

投資信託の値動きは基準価額のチャートで確認するのが一般的だ。基準価額とは1口あたりの時価のことで、分配金を支払うとその分、減少する。つまり基準価額のチャートは分配金を除いた時価の動きを表している。

投資信託の値動きの確認方法としてもうひとつ覚えておきたいのが、分配金再投資基準価額(分配金込み基準価額)だ。これは分配金を含めた再投資を行った場合の時価の動きを表す。

分配金の支払い額は投資信託により異なる。複数の投資信託の運用成績を比較するなら、分配金再投資基準価額のチャートが役に立つ。

2.分配金の再投資のメリットとデメリット

分配金を受け取るか再投資するかを考えるなら、再投資するメリットとデメリットを把握しておきたい。

分配金の再投資の3つのメリット

分配金を再投資するメリットは以下の3つだ。
  • 分配金で投資信託を購入する手間が省ける
  • 複利効果により長期での投資効果上昇を期待できる
  • 分配金再投資の買付手数料は無料の場合が多い
長期間、同じファンドに投資するなら、再投資を選択すると便利だ。自動的に買い付けされるため、自分で手続きする手間を省くことができる。再投資の購入にかかる手数料は無料なことが多いため、節約にもつながるだろう。

長期投資による複利効果で投資効果上昇を期待できることもメリットといえる。

分配金の再投資のデメリット

分配金を再投資するデメリットは以下の通りだ。

・生まれた利益を現金化したいときは自分で手続きをする必要がある

分配金の再投資を選択すると税額を差し引いた金額が自動的に買い付けに回されるため、現金として受け取ることができない。そのため、現金が必要な場合は通常別途手続きが必要になる。

3.分配金の受取と再投資の複利効果を比較

分配金の受取と再投資の違いで最も注目したいのは複利効果だ。その効果を具体的に把握するため、それぞれの受け取り総額をシミュレーションしてみよう。

今回は100万円の投資信託を買い付けして信託報酬を除いた利回り3%で10年間投資するケースを考える。

計算を分かりやすくするために購入の際の手数料や解約時の手数料(信託財産留保額)は加味しない。NISAで投資すれば分配金は非課税だ。

分配金を受け取るケース……10年間の利益率は30% 

利回り3%で得た投資信託の収益の全額を年1回分配金として得ることにする。

初年度に100万円で買い付けた投資信託は1年後103万円になる。値上がりした3万円は分配金として受け取る。2年目は分配金を差し引いた100万円で再スタートする。2年目の終わりも利回り3%で103万円になり3万円の分配金を得る。

これを繰り返すため、10年後も投資信託の資産額は100万円で変わりなく、受け取った分配金合計額は30万円、資産と受け取った分配金を合計すると130万円だ。よって10年間の利益率は30%になる。

分配金を再投資するケース……10年間の利益率は約34.4% 

利回り3%で得た投資信託の収益の全額を年1回再投資すると仮定する。

初年度に100万円で買い付けた投資信託は1年後103万円になる。分配金の3万円は自動的に再投資され、2年目は103万円が約106万円になる。

これを10年間繰り返すと10年後の資産額はおよそ134.4万円。10年間の利益率は約34.4%だ。分配金の再投資は複利効果により、受け取るより約4.4%の利益が上乗せされる結果になった。

4.分配金の再投資を選んだほうがいい人、受取を選んだほうがいい人

長期的な投資での利益率は再投資に軍配が上がったが、定期的に現金収入が欲しい場合は受取のほうが向いているだろう。分配金の再投資にも受取にもメリットとデメリットがあるため、選択するときは投資する目的を考えることが大切だ。

分配金の再投資を選んだほうがいい人

分配金の再投資を選んだほうがいいのは以下のような人だ。
  • 複利効果により投資の効果を高めたい人
  • お金が入ると目的もなく使ってしまう人
預貯金の金利があまり期待できない昨今、複利効果が期待できる分配金の再投資は魅力的だ。少しでも効率よく効果的に投資を行いたい場合は分配金の再投資がよいだろう。自動的に買い付けが行われる再投資は、お金が入るとあるだけ使ってしまったり、いつの間にか財布からお金がなくなっていたりする人にも向いている。

分配金の受取を選んだほうがいい人

分配金の受取を選んだほうがいいのは以下のような人だ。
  • 受け取った分配金は使わずに貯金する人
  • 受け取った分配金を他の投資商品に使う人
分配金が特別分配金だった場合、使ってしまうと資本金がどんどん減ることになる。貯金を目的に投資したいなら資本金への影響が少ないため、受取が向いているといえるだろう。また、再投資は同じファンドを買い付けるため、分配金が配られるタイミングで資産配分の調整や分散投資を検討したい人にも受取がおすすめだ。

5.分配金の受取と再投資の3つの注意点

ポイントになるのは分配金0円の投資信託だ。ここではそれを「分配金ゼロのファンド」と呼ぶことにする。決算が半年や1年ごとで、基準価額が上昇しても分配金の支払いが0円の投資信託を含む。

⑴分配金を受け取りたい場合は分配金ゼロのファンドも選択肢に

投資信託を扱う会社のなかには定期的に投資信託の一部を自動売却する「定期売却サービス」を提供しているところがある。分配金ゼロのファンドでもこのサービスを利用すれば定期的に現金を受け取ることが可能だ。

分配金の受取を選択する理由が定期的な現金収入で自分が利用している会社に定期売却サービスがあるなら、分配金ゼロのファンドも投資候補として検討したい。このケースでの投資先選びでは長期的な分配金再投資基準価額のチャートを比較しよう。

⑵分配金の再投資を選択する場合も分配金ゼロのファンドを含めて検討する

分配金を再投資する場合、以下の3点をおさえておきたい。
  • 普通分配金は課税対象
  • 分配金再投資の買い付けは税金が差し引かれた金額で行われる
  • 分配金が支払われると投資信託の基準価格が下落する
分配金の再投資では、買い付けのたびに普通分配金に対して約20%の税金を払い続けることになる。

一方で、分配金ゼロのファンドは分配金がないため再投資の際に課税されることがなく、基準価額も下落しない。納税は先送りになり税額分の複利効果が高まるのだ。

再投資を選択する場合でも、分配金ゼロのファンドを含めた投資信託の長期運用成績を比較すべきだといえる。

⑶NISAでは分配金ゼロの投資信託を選び再投資は避ける

NISAで分配金を再投資すると年間の非課税枠(一般NISA120万円・つみたてNISA40万円)を消費する。新しく投資できる総額が減ることになるのだ。

複数の銘柄を買い付けたかったり、新規買い付けの枠を確保したかったりする場合は、分配金の再投資による非課税枠の圧迫を避けるために、分配金ゼロのファンドを買い付けたほうがよい。

6.投資の目的に合わせて分配金を再投資するか受け取るかを選択する

分配金の受取と再投資のどちらを選ぶ場合でも、分配回数が多い決算頻度が高い投資信託はコスト(信託報酬)が高くなる傾向があるため気を付けたい。分配金ゼロのファンドを含めてコストを比較するのがおすすめだ。定期的に現金が必要であれば定期売却サービスの利用を検討しよう。

分配金の再投資か受取かは、投資の目的に合わせた選択が大切だ。決算頻度などに惑わされることなく長期的な視点で検討したい。

文・松本雄一(ビジネス・金融アドバイザー)
 

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