投資信託の「分配金」は株式の配当金のようなもので、毎月分配型の投資信託は、月に1度高額な分配金が受け取れることで人気を博している。しかし、長期の資産形成には不向きだとの指摘もある。

分配金は「普通分配金」と「元本払戻金」の2種類

分配金には「普通分配金」と「元本払戻金」がある。分配金の原資は、投資信託の純資産(元本+運用益)だ。投資信託は複数の株や債券に投資することで運用益を得るわけだが、十分な収益を上げられなかったとしても、毎月分配型投信では決まった額を分配しなくてはならない。

そこで、元本を取り崩して分配することになる。運用益から支払われるのは普通分配金、元本を払い戻すのは元本払戻金と呼ばれる。元本払戻金は自分のお金が戻ってきただけなので、儲けではないのにもかかわらず、非課税のボーナスのようなものと誤解している人が少なくない。

投資信託の分配金の利回りは預金の利息と比較できない

毎月分配型の投資信託の利回りを定期預金の利息と比較し、高利回りをアピールする販売会社もある。たしかに定期預金の金利はメガバンクで0.01%、高金利のネット銀行でも0.2%程度。利回り12%の投資信託はとても魅力的に映る。しかし両者はまったく性質の異なるものだ。

利息と分配金の違い

  • 預金の利息は、元本とは別に支払われる
  • 利息を受け取っても預金の元本に変化はない
  • 投資信託の分配金は、純資産(元本+運用益)の一部から支払われる
  • 分配金が支払われた後、純資産は目減りする

    投資信託の分配金は純資産から支払われるので、分配後は純資産が減って1口当たりの基準価額は値下がりする。つまり、分配金があることが値下がり要因の一つなのだ。定期預金は元本保証のため、利息の支払いは元本に何の影響も与えない。このように、分配金と利息の利回りを比較すること自体に無理があるのだ。

リタイア層に毎月分配型投資信託が支持されるわけ

毎月分配型の投資信託は、分配金を元本に再投資せず、時には元本を目減りさせてまで払い出す商品なので、長期投資で効果を発揮する「複利効果」が得にくい。つまり、儲けの出にくい投資信託なのだ。

収益が期待できない投資信託にニーズがあるのかと疑問に思うところだが、お金を増やすことよりも生活費の確保を優先したい人たちには、毎月分配型投信は絶大な人気がある。具体的には、定年退職したリタイア層だ。高齢者にとって、30年の複利効果はあまり意味がない。毎月決まった金額が受け取れることのほうが、メリットなのだ。

リタイア層は、現役時代に貯めた資産を取り崩す層とも言える。収入の柱が年金に代わり、生活費の不足分を老後資金を取り崩して暮らしている人が多い。せっかく貯めた資産が少しずつ減っていくのを見るのは、想像以上に精神的負担が大きいという。資産が目減りすることを知っていても、毎月一定の収入(正確には収入ではない)がある投資信託には、安心感があるのだろう。

この需要を踏まえ、金融機関は年金の支給がない奇数月に分配金を受け取れる「隔月分配」タイプの投資信託を相次いで販売している。年金の振り込みがない月に不安を感じるシニアの心理をよく理解した商品だ。

  • リタイア層に「複利効果」は必要ない
  • 抵抗感なく資産を取り崩すことができる
  • 隔月分配投信などシニア向け商品が増えている

    この3つが、リタイア層に毎月分配型投資信託が根強く支持されている理由である。

「分配健全性」が高いファンドは利回り3~4%程度

できるだけ元本を取り崩さない投資信託を見分けるには、「分配金健全度」が参考になる。

分配金健全度とは分配金のうち普通分配金が占める割合で、100%なら分配金は純粋に運用益から支払われてあり、50%なら半分が自己資金の払い戻しであることを示す。

QUICK資産運用研究所によると、純資産総額上位10銘柄のファンドの「分配金健全度」は平均25.7%にとどまる。調査当時残高が首位だった「フィデリティ・USリート・ファンドB(為替ヘッジなし)」の分配金利回りは21%とかなりの高利回りだが、分配金健全度は32.4%しかない。

分配金健全度が高いファンドの利回りはどのくらいなのか。運用期間3年以上、純資産総額100億円以上で分配金健全度が100%を超える銘柄に絞ると、分配金利回りは3.0~4.1%しかない。元本払戻金はないとはいえ、元本保証ではないのに利回りがその程度であり、他の金融商品同様投資信託も甘くないことがわかる。

2014年12月からは、評価額・分配金累計・売却金累計すべてを含めた損益を表示する「トータルリターン通知制度」が導入された。分配金利回りだけでなく、投資信託全体での収支の参考になるため活用してみてほしい。

文・篠田わかな(フリーライター、ファイナンシャル・プランナー)

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