NISAのデメリットは5年後にやってくる?非課税期間終了時の対応

2020.2.10
INVESTMENT
(写真=Cyber Kristiyan/Shutterstock.com)
(写真=Cyber Kristiyan/Shutterstock.com)
金融商品で資産運用を行うなら、NISAを使うメリットは大きい。ただしデメリットも知っておく必要がある。キーワードは、非課税期間が終了する「5年後」だ。その内容や対策について説明する。また新NISAで非課税期間などがどう変わるのかについても解説しよう。

NISAは年間120万円まで最長5年間非課税で投資できる税制優遇制度

NISAは株や投資信託などに投資して得た収益が非課税になる税制優遇制度だ。通常の株などの取引では約20%課税されるが、それが非課税になる。NISAの非課税期間は最長5年間であり、投資可能期間は2023年まで、非課税投資枠は年間120万円だ。

NISAを利用する口座は1年単位で勘定(NISAまたはつみたてNISAの選択)や金融機関を変更できるが、その年に買い付け可能な口座は1人1口座に限定される。

NISAで購入できる商品は、株式投資信託などや証券取引所に上場している株式、ETF(上場投資信託)、REIT(不動産投資信託)だ。預金や国債、社債はNISAの対象外になる。

NISAは金融機関により取引できる商品に違いがある。銀行で取引できるのは株式投資信託などだが、証券会社では株式投資信託などに加えて上場株式、ETF、REITが取引可能だ。

NISAの非課税期間終了時に考えるべき2つのデメリット

NISAのデメリットは主に2つある。1つは損益通算ができないこと、もう1つは非課税が終了したときに元本が切り下げられる可能性があることだ。

ここでいうデメリットとは、「NISAを使うことによって、結果的に納める税金が増えてしまう」という意味だ。

NISAのデメリット1……損益通算ができない

損益通算の説明にあたって、以下の計算式を確認してもらいたい。分配金や配当金などのインカム・ゲインを加えると複雑になるため、ここでは売却益(キャピタル・ゲイン)のみについて述べる。

決済(売却・解約)時の価格-元本=損益

通常はこの損益がプラスになったとき、つまり利益が出たときに税金が発生する。マイナス、つまり損失が出れば税金は発生しないが、他の取引で生じた利益から損失分を差し引くことができる。

利益が出たときに源泉徴収されていたら、確定申告をして還付を受けられる。これを損益通算と呼ぶ。この損益通算をできないことがNISAの1つめのデメリットだ。

「利益が出たとき」のみメリットが発生するのがNISAだともいえるだろう。

NISAのデメリット2……5年後の非課税が終了したときに元本が切り下げられる可能性がある

NISAの非課税期間は5年間だ。4年後の年末までに損益を確定していれば、この2つめのデメリットが生じることはない。問題となるのは、非課税期間を終了した時点で「含み損」が出ているときだ。

「もし今、決済したら損失が出る」状態を「含み損が出ている」という。この場合、何もしなければ決済したのと同じことになる。年末時点の価格で、NISA専用口座から通常の口座に移し替えられるのだ。

たとえば、2016年にNISA専用口座で120万円分の投資信託を買ったとしよう。非課税期間の最終年となる2020年までに受け取る分配金は、すべて非課税となる。

もし2019年1月に150万円まで上昇したときに解約すると、30万円のキャピタル・ゲインが出る。これもNISAを利用しているので非課税だ。

しかし保有し続け、2020年末に100万円になってしまったとする。このまま通常口座に移管すると、元本は100万円に修正される。

もしその1年後の2021年末に、購入価格である120万円に戻ったとしても、売却すると20万円(決済時価格120万円-修正後の元本100万円)に対して税金がかかってしまうのだ。

デメリットというよりも、「リスク」という表現のほうが適切かもしれない。5年後に価格がどうなっているかは、誰も分からないからだ。

デメリットを「確実に発生する不利益」と定義すると、NISAにデメリットはないと言える。せいぜい口座を開設する手間がかかるぐらいだろう。

NISAの制度変更で2028年までならロールオーバーで損益の確定を先延ばしできるように

このリスクを回避する手段が「ロールオーバー」だ。回避といっても完全になくなるわけではなく、先延ばしといったほうがいい。

ロールオーバーとは、非課税期間が過ぎた金融商品をそのままNISA専用口座で保有し続けることだ。その場合、翌年の非課税枠を利用する。

たとえば2016年に120万円を投資して、2020年末に100万円になったとする。ロールオーバーした場合、2021年の非課税枠が100万円分使われることになる。同年中にあと20万円の投資ができる。

仮に2020年末時点で120万円を超えていても、全額をロールオーバーできる。非課税枠は全額を使うことになるので、2021年にNISA専用口座で新たな買い付けはできない。

NISAで買い付けできるのは、制度変更により2028年までになる予定だ。2024年以降もロールオーバーが可能であれば、ロールオーバーが可能な最後のタイミングは2027年の年末から2028年の年初にかけてということになる。

NISAの非課税期間終了後、「移管」「ロールオーバー」「売却」どの選択肢がベストか

まとめると、非課税期間終了時の選択肢は3つある。通常口座への移管、ロールオーバー、そして売却だ。どれを選ぶべきだろうか。

ロールオーバーのデメリットは、非課税枠を使うことだ。NISAを使って他の金融商品を買う予定があれば、その金額によっては移管か売却を選んだほうがいい。

移管と売却どちらがいいかは、その銘柄やタイミングによるので何ともいえない。上がると思えば持っていたほうがいいし、下がる可能性が高いと思うならすぐに売ったほうがいい。

NISAは、確実に所得控除されるiDeCoと違い、制度を利用するメリットがあるかどうかは運用結果による。

「せっかくNISAがあるのだから資産運用する」ではなく「NISAがあってもなくても資産運用はするが、使ったほうが得だから使う」というスタンスでいたほうがいい。過度な投資はリスクを生むだけだ。

NISAの注意点は非課税投資枠を再利用できないところ

NISAは上述したデメリットのほか、注意点もある。NISAで保有する商品はいつでも売却可能だが、商品を売却しても非課税投資枠は再利用できないことに注意したい。

たとえば2019年4月に50万円で買った金融商品を同年7月に売っても、非課税投資枠50万円は再利用できず、2019年の非課税投資枠の残りは120万―50万円=70万円になる。

NISAは制度変更により非課税投資枠が2階建てへ

NISAは2019年12月12日に発表された与党税制改正大綱にNISA新制度の内容が盛り込まれ、制度変更が検討されている。NISAは少額からの投資のためにスタートしたが、株式の短期売買での利用などがあり税優遇に批判の声もあったためだ。

NISAの非課税投資枠は最大で年間122万円に

NISAの非課税投資枠は2019年時点で年間120万円だ。税制改正大綱では積立・分散投資による資産形成を促すため、非課税投資枠が2階建てになる。非課税投資枠が2階建てになると、1階部分はつみたてNISAと同様の非課税投資枠になり、2階部分は現行のNISAと同様の非課税投資枠になる。

制度変更により非課税投資枠の1階部分では年間20万円、2階部分では年間102万円まで投資できる予定だ。この合計は122万円になり、変更前の120万円より若干増額される。

NISAの非課税投資期間は2028年まで5年間延長される

NISAの非課税期間は最長5年間であり、制度変更前の投資可能期間は2023年までと決まっていた。NISAの制度変更により投資可能期間が2023年から5年間延長され2028年までになる予定だ。

NISAの1階部分の対象商品はつみたてNISAと同様になる

NISAの制度変更後に取引できる商品は、1階部分ではつみたてNISAと同様に低リスクの株式投資信託などに限定される予定だ。

2階部分は今までのNISAと同様に上場株式などへの投資もできる。ただし2階部分の非課税投資枠は年間102万円のため、上場株式の購入に限ると120万円から102万円への減額になる。主に上場株式やETF、REITに投資する人は、この制度変更を残念に思うかもしれない。

一方、株式投資信託を組み合わせて投資する人は、非課税投資枠が120万円から計122万円へ若干増額されるため、このNISAの制度変更を受け入れやすいだろう。

NISAの制度変更によりNISAの株と投資信託の投資比率を再考したい

NISAに限らず投資での金融商品を選ぶ時には「安全性」「流動性」「収益性」の3つのポイントで整理し比較する。安全性とは投資した元本や利子の支払いが確実に行われるか、流動性とは必要な際にすぐ換金できるか、収益性とは期待できる収益は大きいかを表す。

株の安全性は会社の破綻などによる投資元本の減額を考えておきたい。流動性については比較的換金しやすいこと、収益性は大きな利益を得る可能性があるかどうかだ。

投資信託の安全性は株より高めといわれている。流動性については株と同様に比較的換金しやすい。収益性は一般に株より低めといわれているが魅力的だ。

NISAにおける株と投資信託への投資比率では、安全性よりも収益性を優先するなら株の比率を上げ、収益性よりも安全性を優先するなら投資信託の比率を上げる。

NISAの制度変更により、1階部分でつみたてNISAと同様に株式投資信託の購入が必要になる予定だ。この変更に合わせて2階部分での株と投資信託の投資比率を再考したい。

NISAのデメリットも理解して真剣にお金と向き合おう

NISAをきっかけにして、資産運用に興味を持つようになった人もいるだろう。もともと投資になじみのある人にとってはメリットの大きい制度だ。

ただしデメリット(リスク)やもあり、絶対に儲かるものではないことも頭に入れておかなくてはならない。簡単ではないからこそ、お金と真剣に向き合う良い機会になるかもしれない。

文・松本雄一(ビジネス・金融アドバイザー)

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