目次
1,東証一部上場企業とは?上場の要件や日経平均とTOPIXの違いなど
まずは、東証一部市場に上場する際に求められる具体的な基準を紹介する。
また、東証一部上場銘柄で構成される日本の代表的な株式指標である「日経平均株価」と「TOPIX」の違いなど、東証一部市場にまつわる基本的な情報を整理しておこう。
市場一部上場基準――東証一部に上場するための具体的要件
東証一部への上場には、未上場大企業の新規上場や、東証二部やマザーズからの一部指定替えなどがあるが、上場するための要件は他の市場に比べて厳しい。
東証一部上場企業になるためには、どのような条件を満たしていなければならないのだろうか。
上場申請時の東証一部上場基準は、以下のとおりだ。
比較のため、東証二部ならびにマザーズ上場基準を併記しておくので、参考にしてほしい。
市場一部上場基準(参考:東証二部、マザーズ上場基準)
株主数 | 流通株式 | 公募又は 売り出し等 の実施 |
時価総額 (上場時見込み) |
事業 継続年数 |
純資産額 (連結、 上場時見込み) |
利益の額または 売上高 |
|||
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
流通 株式数 |
流通株式 時価総額 |
流通株式 比率 |
|||||||
東証 一部 |
800人 以上 |
2万 単位 以上 |
100億円 以上 |
35% 以上 |
― | 250億円 以上 |
3年 以上 |
50億円以上 (かつ、単体純資産の 額が負でない) |
※1 |
東証 二部 |
400人 以上 |
2,000 単位 以上 |
10億円 以上 |
25% 以上 |
― | ― | 連結純資産 の額が正 |
最近1年間の 利益の額が 1億円以上 |
|
マザーズ | 150人 以上 |
1,000 単位 以上 |
5億円 以上 |
25% 以上 |
公募 500単位 以上 |
― | 1年 以上 |
― | ― |
日経平均とTOPIXの相違点は?株価指数を構成する銘柄と算出方法の違い
「日経平均株価」と「TOPIX」は、日本の株価指数として広く知られている。
これらは、指数を選定して算出・発表する団体と、指数を構成する銘柄と算出方法が異なる。
・日経平均株価(日経225)――東証一部上場の225銘柄で構成
日経平均株価は、市況変動以外の要因に影響を受けることがないよう、除数の調整などを行い、指数の連続性を保っています。
・TOPIX(東証株価指数)――東証一部上場の企業すべてを対象に構成
TOPIXは、日経平均株価よりも市場全体の値動きを反映すると言われていますが、大型株の値動きに影響されやすいという特徴もあります。
2,東証一部市場の取引状況 売買代金、時価総額、上場会社数などを紹介
東京証券取引所、とりわけ市場第一部は国内株式売買の中心的な市場だ。
東証一部市場では、実際にどれほどの規模の取引が行われているのだろうか。
東京証券取引所のその他市場と比較してみよう。
売買代金――東証一部市場は国内株式売買の中心的市場
2021年7月 月間売買代金(単位:百万円)※立会日数 20日
2021年7月 月間売買代金 | 2021年7月 1日平均売買代金 | |
東証一部 | 51,286,737 | 2,564,337 |
東証二部 | 587,799 | 29,390 |
マザーズ | 3,207,231 | 160,362 |
JASDAQスタンダード | 980,328 | 49,016 |
JASDAQグロース | 144,869 | 7,243 |
Tokyo Pro Market | 52.616 | 2.631 |
日本を代表する大企業が多く上場している東証一部市場では、日々株式売買が活発に行われています。2021年7月1ヵ月間の売買代金を見ても、東証一部市場の売買代金が他市場を圧倒していることがわかります。
時価総額――東証全体の時価総額の大半が東証一部市場
東京証券取引所 時価総額(2021年7月31日)
市場区分 | 2021年7月31日現在 時価総額 (億円) | 占有率 |
---|---|---|
東証一部 | 6,988,590 | 96.50% |
東証二部 | 59,416 | 0.82% |
マザーズ | 87,970 | 1.21% |
JASDAQスタンダード | 101,346 | 1.40% |
JASDAQグロース | 3,404 | 0.05% |
Tokyo Pro Market | 1,032 | 0.02% |
東京証券取引所全体 | 7,241,760 | 100% |
東証一部市場には、時価総額トップクラスの大企業が集中しているため、東証上場企業全体ひいては国内上場会社全体の時価総額の大部分を東証一部上場企業が占める。
ただし、東証一部市場の個別銘柄の時価総額は、それぞれ大きく異なる。
出典:Yahoo!ファイナンス
東証一部の時価総額の大部分は、時価総額が1兆円を超える一部の大企業が占めているのが実態です。
上場会社数――東証二部とマザーズをはるかに上回る
東京証券取引所 上場会社数(2021年8月9日現在)
市場区分 | 2021/8/9現在 上場会社数 | うち 外国会社数 | 占有率 |
---|---|---|---|
東証一部 | 2,190 | 1 | 57.84% |
東証二部 | 472 | 1 | 12.47% |
マザーズ | 379 | 2 | 10.01% |
JASDAQスタンダート | 658 | 1 | 17.38% |
JASDAQグロース | 37 | 0 | 0.98% |
Tokyo Pro Market | 50 | 0 | 1.32% |
東証上場会社数合計 | 3,786 | 5 | 100% |
東京証券取引所の上場企業のうち、東証一部市場に上場する会社数は東証全市場の半分以上を占める。
東証一部への上場は、マーキュリアホールディングス <7347> (2021年7月1日上場)のような新規上場だけでなく、他市場からの鞍替え上場も多いです。
・東証二部から一部に変更になった企業
2021年1月~8月に東証二部から一部指定銘柄となった企業は、同年2月12日に一部指定となったファーマフーズ <2929>や同年1月29日上場の東芝<6502> を含む5社。
・マザーズから東証一部に変更になった企業
2021年1月~8月にマザーズから東証一部に市場変更した企業は、同年6月14日に市場変更したマネーフォワード <3994> や同年2月12日市場変更のフェイスネットワーク <3489> など9社あった。
・JASDAQから一部に変更になった企業
2021年1月~8月にJASDAQから東証一部に市場変更した企業は、2021年8月17日現在では存在しない。
出典:日本取引所グループ『市場変更銘柄一覧』
東証一部上場会社数は約30年間で2倍になっており、他市場に比べて東証一部市場の上場会社数だけが突出している状態が続いています。そのため、東京証券取引所は、東証一部上場基準の厳格化による東証一部上場企業の絞り込みを検討しています。
ここからは、実際のランキングを見ていこう。
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3,東証一部上場企業の株価ランキングTOP10
まずは、株価ランキングを見てみよう。
株価ランキングTOP10(2021年8月9日終値基準)
順位 | コード | 会社名 | 株価 2021/8/9終値 (円) |
---|---|---|---|
1 | 9983 | ファーストリテイリング | 73,320 |
2 | 6273 | SMC | 67,750 |
3 | 6861 | キーエンス | 62,150 |
4 | 7974 | 任天堂 | 52,410 |
5 | 8035 | 東京エレクトロン | 47,400 |
6 | 6532 | ベイカレント・コンサルティング | 44,250 |
7 | 6146 | ディスコ | 32,850 |
8 | 7309 | シマノ | 29,760 |
9 | 6954 | ファナック | 25,010 |
10 | 6367 | ダイキン工業 | 24,890 |
第1位, ファーストリテイリング 日本を代表する衣類品持株会社
2016年度から2019年度まで、連結売上収益は右肩上がりだったが、2020年はコロナ禍の外出自粛の影響もあり落ち込みを見せた。
2021年は2019年度と同程度まで持ち直すと予想されています。特に海外ユニクロ事業が好調で今後も海外進出を進めていく方針です。
第2位, SMC 世界でも名高い空気圧制御機器のトップメーカー
2021年3月期決算によると、コロナ禍の影響を受けつつも、売上5,522億円で着地し、売上・純利益ともに増収増益を記録。
来期は売上6,200億円の過去最高を予想しています。設備投資も積極的に行う方針です。
第3位, キーエンス 大阪に本社を構える自動制御機器、計測機器メーカー
2011年から2019年までの売上高は常に右肩上がりで、2019年の売上高は5,871億円を記録した。
2020年と2021年は新型コロナウイルスの影響を受けて減収減益。現在は、米国やアジアを中心に消費や輸出に回復が見られています。
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4,東証一部上場企業の時価総額ランキングTOP10
次に、企業規模の参考となる時価総額ランキングを見てみよう。
時価総額ランキングTOP10(2021年8月9日時点)
順位 | コード | 会社名 | 時価総額 (百万円) | 2021/8/9 終値 | 発行済株式数(2021/8/9現在) |
---|---|---|---|---|---|
1 | 7203 | トヨタ自動車 | 32,101,374 | 9,838 | 3,262,997,492 |
2 | 6861 | キーエンス | 15,115,359 | 62,150 | 243,207,684 |
3 | 6758 | ソニーグループ | 14,376,073 | 11,400 | 1,261,058,781 |
4 | 9984 | ソフトバンクグループ | 11,664,399 | 6,770 | 1,722,953,730 |
5 | 9432 | 日本電信電話 | 10,957,316 | 2,809 | 3,900,788,940 |
6 | 6098 | リクルートHLDG | 9,768,730 | 5,760 | 1,695,960,030 |
7 | 8306 | 三菱UFJ FG | 7,934,604 | 584 | 13,581,995,120 |
8 | 9983 | ファーストリテイリング | 7,777,324 | 73,320 | 106,073,656 |
9 | 9433 | KDDI | 7,689,045 | 3,337 | 2,304,179,550 |
10 | 6594 | 日本電産 | 7,644,367 | 12,820 | 596,284,468 |
第1位,トヨタ自動車 ダイハツ工業、日野自動車も傘下に置く大手自当社メーカー
日本のみならず、欧州や中国でも市場を拡大しており、2021年の連結販売台数内訳では、日本が27.8%に対し、北米は30.3%、欧州12.5%、アジア16.0%になっています。
第2位,キーエンス 株価ランキングでも名を挙げるファクトリー・オートメーションの総合メーカー
大阪に本社を構える自動制御機器や計測機器のメーカーであるキーエンスは、時価総額ランキングは2位で、株価ランキングでも3位を記録している。
最近では、トラブル要因候補を自動で抽出できるデータ活用ユニットを開発。「いつもと違う」を分析できる世界初の技術が搭載されています。
第3位,ソニーグループ ゲームや金融など幅広い分野で活躍するグローバル企業
5,東証一部上場企業の売上高ランキングTOP10
次は、マーケットでの流通規模の参考となる売上高の順位を見てみよう。
2020年3月期 売上高ランキングTOP10
順位 | コード | 会社名 | 2020/3期 連結売上高 (百万円) |
2021/8/9 終値 |
---|---|---|---|---|
1 | 7203 | トヨタ自動車 | 27,214,594 | 9,838 |
2 | 7267 | 本田技研工業 | 13,170,519 | 3,633 |
3 | 8058 | 三菱商事 | 12,884,521 | 3,216 |
4 | 9432 | 日本電信電話 | 11,943,966 | 2,809 |
5 | 6178 | 日本郵政 | 11,720,403 | 942 |
6 | 8001 | 伊藤忠商事 | 10,362,628 | 3,380 |
7 | 6758 | ソニーグループ | 8,999,360 | 11,400 |
8 | 6501 | 日立製作所 | 8,729,196 | 6,070 |
9 | 8267 | イオン | 8,603,910 | 3,002 |
10 | 8031 | 三井物産 | 8,010,235 | 2,635 |
第1位,トヨタ自動車 時価総額、売上高で2冠を達成
自動車業界のみならず、国内産業全体を代表するガリバー的存在である。
トヨタ自動車は、これまでのような確立されたビジネスモデルからの脱却を表明している。
トヨタ自動車は、Connected「コネクテッド」、Automated「自動化」、Shared「シェアリング」、Electric「電動化」の頭文字を取った「CASE」を推進しています。幅広いユーザーの獲得、共同開発、アライアンス、クルマとシステムのセット販売など、従来の形式にこだわらない、新しいビジネスモデルへの転換を目指しています。
第2位, 本田技研工業 自動車、オートバイなどを手掛ける大手輸送機器メーカー
2021年度第1四半期決算によると、営業利益は前年同期と比べて3,569億円増益の2,432億円で着地。通期の業績見通しでも、前年度に対して増収増益になる見込みで、大きく上方修正しました。
第3位, 三菱商事 三菱グループの大手総合商社
最近では、「千代田化工建設」「三井物産」「日本郵船」の4社で設立した次世代水素エネルギーチェーン技術研究組合を通じて、脱炭素化を目指す実証実験も積極的に進めている。
三菱商事は、自動車関連事業と鉄骨製品事業の需要回復が顕著で、金融収益も受取配当金の増加などにより大きく飛躍を見せました。
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6,東証一部上場企業の平均年収ランキングTOP10
最後に、東証一部上場企業の平均年収を見てみよう。
平均年収ランキングTOP10
順位 | コード | 会社名 | 平均年収 (万円) |
従業員数 (単独) |
2021/8/9 終値 |
---|---|---|---|---|---|
1 | 6080 | M&Aキャピタルパートナーズ | 2,269 | 135 | 4,830 |
2 | 6861 | キーエンス | 1,751 | 2,607 | 62,150 |
3 | 3003 | ヒューリック | 1,708 | 172 | 1,268 |
4 | 8001 | 伊藤忠商事 | 1,627 | 4,125 | 3,380 |
5 | 3252 | 日本商業開発 | 1,558 | 47 | 1,708 |
6 | 9401 | TBSホールディングス | 1,501 | 102 | 1,702 |
7 | 9404 | 日本テレビホールディングス | 1,384 | 198 | 1,217 |
8 | 9409 | テレビ朝日ホールディングス | 1,382 | 1,256 | 1,689 |
9 | 6196 | ストライク | 1,357 | 159 | 3,675 |
10 | 4324 | 電通グループ | 1,341 | 197 | 3,985 |
第1位, M&Aキャピタルパートナーズ 中小企業中心の独立系M&A仲介会社
売上高の増加により、インセンティブ賞与や外注費が増え、売上原価も前年同期比38.7%高くなっている。
第2位,キーエンス 時価総額・株価・平均年収ランキングの3冠を獲得
時価総額ランキング2位、株価ランキング3位のキーエンスが、平均年収ランキングでも2位を獲得。
FAセンサなどの検出・計測制御機器メーカー大手であるが、自社製品の企画開発と顧客に密着したコンサルティングセールスに注力し、生産性と品質の向上を実現している。
第3位,ヒューリック 投資開発事業・不動産の保有賃貸業を行う不動産会社
最近では、高齢化や環境問題深刻化などのさまざまな環境変化に対応するため、「高齢者・健康関連ビジネス」「観光ビジネス」「環境ビジネス」にも注力。
7,東証一部市場をランキングで見る意義とは?
東証一部上場企業は国内上場企業の大半を擁し、時価総額や売買代金などにおいても規模とシェアともに国内随一の市場である。
この市場をランキングで見れば、現在の日本経済の勢力図を把握できるだろう。
投資の視点では、東証一部市場への一極集中による弊害が指摘されています。東証一部上場会社数の膨張と、東証一部上場企業間の企業規模や市場流通性の乖離などです。今後はこれらの課題解決が望まれています。
東証一部上場企業についてよくある5つのQ&A
株主数 :800人以上
流通株式数 :2万単位以上
流通株式時価総額 :100億円以上
流通株式比率 :35%以上
時価総額(上場時見込み): 250億円以上
事業継続年数:3年以上
純資産額(連結、上場時見込み)50億円以上(かつ、単体純資産の額が負でない)
利益の額または売上高:最近2年間における利益の額の総額が25億円以上または、最近1年間の売上高が100億円以上 かつ 時価総額が1000億円以上
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