つみたてNISAでETF を選ぶ必要がない3つの理由

2020.6.11
投資
(写真=ilolab/Shutterstock.com)
(写真=ilolab/Shutterstock.com)
ETFは株と投資信託のいいとこ取りができる商品だ。投資信託のように少額で分散投資ができ、株式のようにリアルタイム取引ができる。手数料が低めなのも魅力だ。つみたてNISAでもETFが買えるのは喜ばしいことだが、その実態として、対象商品は極端に少なく、買う人も少ない。その理由について解説する。

目次
1.ETFの3つのメリット
2.つみたてNISAで購入できるETFの特徴
3.つみたてNISAでETFを選ぶ必要がない理由
4.非課税でETFを運用したければ一般NISAを

1.ETF(上場投資信託)の3つのメリット

ETFは「Exchange Traded Fund」の略で、日本語では「上場投資信託」と表記される。証券取引所に上場している投資信託で、イメージとしてはインデックス型の投資信託に似ているが、株式のようにリアルタイムで売買できることが大きな特徴だ。投資信託と株式の特徴を併せ持った商品と言えるだろう。

ETFのメリットは、以下の3つに集約できる。

メリット1……簡単に分散投資ができる

分散投資はリスク低減のために有効なテクニックだが、複数の商品に投資するには多額の資金を必要とする。その点、ETFは、日経平均株価や東証株価指数(TOPIX)等の動きに連動する仕組みになっているので、指数に含まれる数百・数千の銘柄に分散投資するのと同じ効果が得られる。中には特定の新興国や金・先物商品を対象とするものもあるが、基本的には日本全体、米国全体、先進国全体といった市場全体に投資できる。この点は非上場の投資信託と同じメリットだ。

メリット2……投資信託に比べて信託報酬が安い

ETFは販売会社への手数料や事務費用が安いため、非上場の投資信託に比べて「信託報酬」と呼ばれる保有中にかかる手数料が安い。信託報酬は「運用会社」「信託銀行」「販売会社」の3社に支払うが、ETFは上場しているため販売会社に手数料を支払う必要がないのだ。また、インデックス型投資を行うETFは個別企業調査などにかかるコストも少ない。そのため、一般的な投資信託の平均信託報酬が1.12%であるのに対し、ETFの平均は0.36%と低水準だ。

メリット3……株式のように売買できる

ETFは投資信託の一種だが上場しているため株取引のようなイメージで売買することができる。投資信託は「基準価額」と呼ばれる1日1回だけ算出される価格が基準となり、注文を出す時には値段がわからない「ブラインド方式」という売買方法を採る。一方ETFは、市場が開いている間はその時々に変動する価格を持ち、リアルタイム取引が可能だ。成行や指値といった注文の仕方もできる。

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2.つみたてNISA(積立NISA)で購入できるETFの特徴

金融庁は国民に長期・分散・積立投資による資産形成を浸透させたいと考えており、つみたてNISAの対象商品はその方針に沿った銘柄のみが採用されている。ETFにも、つみたてNISA特有の要件が定められている。

つみたてNISA(積立NISA)の対象ETFの要件

つみたてNISAで購入できるETFは安定性が求められるため、次のような要件を満たす必要がある。
  • 信託契約期間が無期限または20年以上
  • ヘッジ目的等を除きデリバティブ運用を行っていない
  • 投資対象資産が株式であること
  • 最低取引単位が1,000円以下であること
  • 指定したインデックスに連動している
  • 分配頻度が毎月でない
  • 円滑な流動のための措置がとられていると国内取引所が指定するもの
  • 外国取引所に上場されている場合、資産残高が1兆円以上
さらに長期で運用するにはコストが重要視されるため、以下のような要件も求められる。
  • 販売手数料1.25%(税込1.375%)以下
  • 口座管理手数料ゼロ
  • 信託報酬0.25%(税込0.275%)以下

つみたてNISA(積立NISA)ではETFの取り扱いが少ない

金融庁が定めたつみたてNISA対象商品の要件が厳しすぎるためか、採用されているETFは7本にとどまる(2020年6月時点)。制度開始当初の3本よりは増えているが、指定インデックス投資信託が156本、アクティブ運用投資信託が18本あることを考えるとかなり選択肢が狭い。

金融庁に届け出て認められた商品を提供する運用会社は、現在のところ大和アセットマネジメントと日興アセットマネジメントの2社のみだ。

つみたてNISA(積立NISA)でETFを買える金融機関は大和証券のみ

つみたてNISAで購入できるETFの具体的な銘柄は次の通りだ。

<大和アセットマネジメント>
商品名 投資地域 信託報酬(税抜)
ダイワ上場投信-JPX日経400 国内 年率0.18%
ダイワ上場投信-トピックス 国内 年率0.11%
ダイワ上場投信-日経225 国内 年率0.16%
※筆者作成

<日興アセットマネジメント>
商品名 投資地域 信託報酬(税抜)
上場インデックスファンド
米国株式(S&P500)
海外 年率 0.15%
上場インデックスファンド
世界株式(MSCI ACWI)除く日本
海外 年率 0.24%
上場インデックスファンド
海外先進国株式(MSCI-KOKUSAI)
海外 年率0.24%
上場インデックスファンド
海外新興国株式(MSCIエマージング)
海外 年率0.24%
※筆者作成

国内ETFでは大和アセットマネジメントが運用する3本があり、いずれも代表的な国内株式指標に連動するインデックス型の上場投資信託だ。海外ETFは日興アセットマネジメントが運用する4本で、こちらは米国株式、日本を除くグローバル株式、先進国株式、新興国株式に投資するタイプである。国内外の主要な指標をベンチマークとしており、安定的な資産運用をするにはうってつけのように思える。信託報酬も要件である0.25%(税抜)を下回っている。

驚くべきことに、これらのETFはSBI証券、楽天証券、松井証券、マネックス証券といった、つみたてNISA取扱商品数150を超えるような証券会社でも購入することはできない。つみたてNISAでETFが買えるのは、現時点では大和証券に限られる(2020年6月時点)。

これほどまでにETFの取り扱いが少ない理由は、先ほど紹介した金融庁の厳しい基準にあると考えられる。また、販売する証券会社から見ても、ETFはそれほど利益の見込める商品ではないのかもしれない。では、消費者である私達の立場からは不利益はないのだろうか。

3.つみたてNISA(積立NISA)でETFを選ぶ必要がない理由

ETF好きの人には残念な状況かもしれないが、つみたてNISAで無理をしてETFを買う必要はない。その理由についてまとめた。

ETFでなくともつみたてNISA(積立NISA)の投資信託の手数料は十分に安い

最低取引単位を下げるなど、つみたてNISA用にETFを開発すればよさそうなものだが、そこまでする証券会社は少ない。ETFの主なメリットである手数料の安さが、つみたてNISAではあまり目立たないからだ。

一般の投資信託には信託報酬が2%を超えるような高コストなものもあるが、つみたてNISAでは国内インデックス投信なら税抜0.5%以下、海外インデックス投信なら0.75%以下というように基準が定められている。実際に登録されている投信の信託報酬の平均はさらに低く、国内インデックス型は0.26%だ。中には以下のようにもっと低コストのものも存在する。(金額はすべて税抜き、2020年6月時点)
  • <購入・換金手数料なし>ニッセイ日経平均インデックスファンド……0.14%
  • eMAXIS Slim国内株式(日経平均)……0.14%
  • eMAXIS Slim全世界株式(オール・カントリー)……0.104%
  • eMAXIS Slim先進国株式インデックス……0.093%
一方、先ほど紹介した7つのETFの信託報酬を再掲すると以下の通りだ。
  • ダイワ上場投信-JPX日経400……0.18%
  • ダイワ上場投信-トピックス……0.11%
  • ダイワ上場投信-日経225…… 0.16%
  • 上場インデックスファンド米国株式(S&P500)…… 0.15%
  • 上場インデックスファンド世界株式(MSCI ACWI)除く日本……0.24%
  • 上場インデックスファンド海外先進国株式(MSCI-KOKUSAI)…… 0.24%
  • 上場インデックスファンド海外新興国株式(MSCIエマージング)……0.24%
これらのETFの手数料も十分に安いのだが、つみたてNISA向けの投資信託はどれも手数料が低めなので、相対的にメリットが薄れてしまっているのだ。

さらに、つみたてNISA対象の投資信託はすべてノーロード(購入時手数料ゼロ)であるのに対し、ETFは株式と同じような水準の購入手数料がかかる。つまり、ETFの特有の手数料の安さを感じられないのであれば、現存する投資信託で十分ではないか、というわけだ。

複利の効果が得られないETFはつみたてNISA(積立NISA)に不向き

取り扱い銘柄の少なさや、投資信託の手数料との差があまりないことに加え、つみたてNISAのETFには致命的なデメリットがある。それは、「複利の効果」が得られないことだ。

複利とは利子に利子がつくことで、この場合は運用で得た収益を次の投資の原資とすることでより多くの利益を得ることができるという効果がある。対極にあるのが単利だ。分配金を受け取ることは単利で運用することを意味する。

例えば100万円を年利5%で5年間運用した場合、単利なら毎年5万円を5回受け取れ、5年後も元本は100万円のままである。複利なら毎年受け取る分配金はないものの元本は127万6282円に膨らんでいる。税金等を考慮しない大まかな計算だが、2万6000円以上も差がつくことになる。複利は、期間が長く投資額が大きいほど効果が高い。

ETFは、利益を内部に貯めず決算時に分配金を支払う仕組みになっている。非上場の投資信託のように再投資の仕組みは用意されていない。したがって自身で再投資する必要があるが、それには手間もコストも発生する。長期投資最大の恩恵である複利の効果が得られないことは、つみたてNISAでETFを選ぶ意味を著しく低下させていると言えるだろう。

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以下の
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最低
積立
金額
積立
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160 112 100
毎月
毎週
毎日
2位
楽天証券公式サイト
158 111 100
毎月
毎日
3位
松井証券公式サイト
152 105 100
毎月
4位
マネックス証券公式サイト
150 101 100
毎月
5位
auカブコム証券公式サイト
150 100 100
毎月
※2020年6月24日時点

4.非課税でETFを運用したければ一般NISAを

つみたてNISAにおけるETFは、取扱件数が少なく、購入できる主な証券会社は大和証券だけという状態である。もともと大和証券にNISA口座を保有していたならともかく、つみたてNISAでETFを買うために新たに口座開設をするのは現実的ではない。

これほどまでにETFが振るわない理由にはETF以外の投資信託の手数料低下の流れがあるだろう。リアルタイム取引やコストの安さがETFの魅力だが、コストに関しては投資信託の信託報酬の引き下げに伴いそれほどの優位性が感じられなくなっている。分配金を受け取ることによって複利の効果が薄れる点も気になるところだ。

どうしてもNISAでETFを購入したいと考えているのであれば、つみたてNISAではなく一般NISAのほうが向いているかもしれない。取り扱い銘柄数が格段に多く、年間に購入できる金額も高い。複利の効果を期待しないのであれば、投資可能期間が5年なのもネックにはならないだろう。分配金が非課税になるメリットはそのままだ。

2024年には新しいNISAの制度が始まる。改正に伴いETFの選定基準も変わるかもしれない。対象商品が増えるのであれば、再検討するのもアリだろう。
執筆・

外資系経営コンサルティング会社にて製造・物流・小売部門のコンサルタントとして業務/システム改革プロジェクトに参画。退職後独学でFP技能士の資格を取得。開業して個人事業主となり、マネー・ビジネス分野の執筆、企業からの請負業務を手がける。

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