投資信託における本当の「利回り」とは 儲かる度合いの正確な調べ方

2019.1.6
INVESTMENT
(写真=gopixa/Shutterstock.com)
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投資した額からどのくらいの儲けが出たのかを「利回り」というが、投資信託において利回りを表す指標は何だろうか。投資信託のパフォーマンスを表す指標は騰落率や分配金利回りなどいろいろあるが、本当の運用成績を表すものは「トータルリターン」だ。投信の利回りの考え方と、トータルリターンの計算方法を押さえておこう。

投資信託における利回りとは

ご存じのとおり、利回りとは、「(1)いくら投資して」「(2)いくら儲かったのか」を表すパーセンテージのことだ。投下した資金に対して、どのくらいリターンがあったのかを示す。

利回りの具体的な計算式は、「(2)/(1)÷運用年数×100」。

一見単純だが、(2)をいかに正確に表せるかが重要だ。この(2)にあたる投資信託の儲けは2種類ある。

投資信託の価格を表す「基準価額」の差額利益(売買価格差)と、決算後に支払われる「分配金」だ。この両方を(2)に含める必要がある。また手数料や税金を差し引く必要がある。

騰落率や分配金利回りは、正確には利回りではない

投資信託における利回りを表す指標として、「騰落率」を思い浮かべる人もいるかもしれない。たしかにパーセンテージで表記されており、利回りのように思ってしまうが、実は騰落率は儲けのうち基準価額しか考慮しておらず、もう一つのリターンである分配金が含まれていないのだ。つまり騰落率は投資信託の時価がどのように変動したのかを見るのに適しているもので、本当の利回りとは異なる。

それでは「分配金利回り」はどうか。今度は逆に、基準価額の値動きが考慮されていない。利回りという言葉が使われているため、投資信託の利回りと誤解されがちだが、分配金利回りは、配当金がどのくらい受け取れるかという情報でしかないのだ。

なお、分配金には「見せかけの利回り」が含まれるので注意したい。毎月分配型の投資信託には、運用益から支払われる「普通分配金」と、運用益が足りないために元本を切り崩して支払われる「特別分配金」がある。特別分配金の比率が高いファンドは、実質的にはマイナスリターンであっても分配金利回りがプラスに見えるようになっている。

利回りはトータルリターンで見る

どれだけの利回りが見込めるのかを調べるには、どの指標を参考にしたらいいのか。そこで重視したいのは、トータルリターンだ。これは、基準価額の値動きと分配金の両方が考慮され、手数料を利益から差し引いて算出されるため、投資金額に対する儲けを正確に知ることができる。

トータルリターンは証券会社や投資信託の評価会社でもよく使用されているが、機関によって算出方法に微妙な違いがある。トータルリターンを見る時は、以下の3つの条件を満たしているか確認するようにしたい。
  1. 基準価額の値動きと分配金を考慮している
  2. 手数料を利益から差し引いている
  3. 分配金を再投資することを前提としている
中でも重要なのは⑵だ。10万円の利益があっても2万円の手数料が発生している場合、本当の儲けは8万円。利回りは、コストを差し引いた利益で計算することで実質的な儲けを把握できる。⑶は複利の効果を加味して利回りを計算していることを意味する。長期投資では複利の効果を最大化するため、分配金は払い出しせず次の元本に加える。なお、⑶は毎月分配型には当てはまらない。

正しい利回りはモーニングスターの情報を活用

調べ方が難しい場合は、投資信託の格付け機関であるモーニングスター社のサイトを利用するといいだろう。同サイトでは、ファンドの一定期間ごとのトータルリターンが掲載されている。

下の表は1年間のトータルリターンの実績や3年、5年といった複数年のトータルリターンを年率換算したものだ。
トータルリターンの表示例(モーニングスター、2018年12月7日時点)
ファンド名 1年 3年
(年率)
5年
(年率)
10年
(年率)
TOPIX連動型上場投資信託 野村 -5.04% 3.89% 7.86% 9.27%
日経225連動型上場投資信託 野村 0.08% 5.99% 9.11% 11.94%
フィデリティ・USハイ・イールドF 0.47% 2.98% 5.69% 11.80%
フィデリティ・USリートB(H無) 2.73% 2.18% 10.83% 16.19%
ピクテ・グローバル・インカム株式(毎月分配) -3.05% 2.27% 4.16% 5.57%
ひふみプラス -4.94% 11.49% 15.24%

たとえば一番上のファンド(TOPIX連動型上場投資信託 野村)は、この1年の利回りはマイナス5.04%だが、3年保有している場合は3.89%のプラスになっている。リターンは、短期だけでなく長期でも見る必要があることがわかる。

正確な利回り(トータルリターン)の注意点

トータルリターンを使用するにあたっては、注意点もある。そのうち3つを挙げると以下のようになる。

トータルリターンはあくまでの過去実績

トータルリターンは過去の運用実績を基に算出したもので、将来の利回りを保証するものではない。過去の実績では5%のプラスでも、次期は10%のマイナスになることもあり得る。投資で最も重要なのは「売買のタイミング」であり、それによって利回りが大きく異なることを覚えておきたい。

売買の際の手数料が引かれていない

トータルリターンは基準価額を利用して算出されるため、販売手数料(購入時手数料)と換金手数料(信託財産留保額)が利益から差し引かれていない。売買時に手数料が発生する投資信託の場合、利回りがわずかに低下する。しかし、保有期間中発生し続ける信託報酬や売買委託手数料に比べると軽微なものだ。なお、信託報酬など純資産から控除される手数料は、差し引いて計算されている。

税金が考慮されていない

投資信託では、売却益と普通分配金にそれぞれ20.315%の所得税がかかる(所得税+住民税+復興特別所得税)が、トータルリターンでは税金は考慮されていない。NISAやiDeCoのような非課税口座の場合はそのままで問題ないが、一般の口座の場合は利回りから税コストも差し引く必要がある。

文・篠田わかな(フリーライター、ファイナンシャル・プランナー)

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