NISAでは単元未満株にも投資できるが、SBI証券ではどのように投資するのだろうか。NISAは年間120万円まで非課税で投資できるが、最低投資金額がそれを上回って購入できない株もある。そのような時は、NISAで単元未満株に投資しよう。
目次
1.単元未満株とは
2.SBI証券のNISAで単元未満株を買う3つのメリット
3.SBI証券のNISAで単元未満株に投資するなら株アプリが便利
4.SBI証券のNISAでの単元未満株の買い方と売り方
5.SBI証券のNISAで買える単元未満株のおすすめ銘柄ランキングTOP10
6.SBI証券のNISAで単元未満株を買う際の注意点
7.SBI証券のNISA枠を使い切るために単元未満株を利用できる
1.単元未満株とは
単元未満株とはどのようなものか、またメリット・デメリットを確認しておこう。
単元未満株とは100株未満の株式のこと
単元未満株とは、最低売買単位である1単元に満たない株式を指す。株式は100株が1単元と定められており、株価が5,000円なら最低50万円の資金が必要になる。1単元よりも少ない株数で投資できる仕組みが単元未満株で、1株から購入できる。株価5,000円の例では、手数料を除けば5,000円から投資できるということだ。
単元未満株は投資資金が少なくて済むといったメリットはあるが、デメリットについても理解しておきたい。
単元未満株のメリット……最低投資金額の引き下げと配当金
単元未満株の最大のメリットは、最低投資金額が下がることだ。100株で数百万円するような銘柄は、金銭的にも分散投資の観点からも個人投資家には手が出しにくい。単元未満株であれば、例えば株価が3万円で最低300万円必要になる銘柄でも、ハードルがかなり下がる。NISAで投資するなら年間投資枠が決まっているため、なおさら最低投資金額は重要だ。
単元未満株には議決権はないが配当金を受け取れるため、じっくり中長期で投資したい人にも向いている。単元株と比べれば配当金は少なくなるが、利回りで考えれば変わらないため、無理のない資金で配当目的の投資ができる。株価の変動はあるものの、お金の置き場所として配当のある優良銘柄を少しずつ買い足していくことも可能だ。
単元未満株のデメリット……割高な手数料と制限のある取引
単元未満株のデメリットは、単元株の売買よりも手数料が割高になることと、取引に制限があることだ。
SBI証券の単元未満株の手数料は、約定代金×税込0.55%(最低55円)。10万円の取引をする場合、単元株の手数料は99円だが、単元未満株は550円だ。手数料が約5.5倍になるため、すべて単元未満株で取引するのではなく、株価が高くて買えないような銘柄に絞って利用するとよいだろう。
取引に制限があることも、単元未満株のデメリットだ。制限は取扱銘柄、発注方法、約定タイミングにある。
単元未満株はどの銘柄でも取引できるわけではなく、証券会社のよって銘柄が異なる。SBI証券で取引できる単元未満株は約3,500銘柄あるが、買いたい銘柄が単元未満株に対応しているとは限らない。マイナーな銘柄などは、投資できない可能性があることも知っておこう。
発注方法と約定タイミングにも制限がある。発注方法は指値注文ができず、成行でしか発注できない。約定タイミングもリアルタイムではなく、発注時間によって始値や終値になるのが基本だ。約定タイミングは証券会社によって変わるが、単元未満株は細かい注文ができないため、あまり短期売買には向かない取引方法といえるだろう。
ネット証券 | 約定タイミング | 発注時間 | 約定時間 |
SBI証券 (S株) |
1日3回 | 0:00~7:00 | 当日前場始値 |
7:00~10:30 | 当日後場始値 | ||
10:30~13:30 | 当日後場終値 | ||
13:30~24:00 | 翌営業日前場始値 | ||
マネックス証券 (ワン株) |
1日1回 | 11:30まで | 当日後場始値 |
auカブコム証券 (プチ株) |
1日1~2回 | 00:01~10:00 | 当日後場始値 |
10:01~23:00 | 翌営業日前場始値 | ||
23:01~24:00 | 翌営業日後場始値 |
メリット2……手数料が安い
取引手数料が安いことも、SBI証券のNISAで単元未満株に投資するメリットだ。
対面の証券会社と比べると、ネット証券の取引手数料は総じて安い。例えば、野村證券の単元未満株の手数料は1.1%と、SBI証券の2倍だ。また野村證券の最低手数料も550円だが、SBI証券は55円と10分の1である。10万円の取引をすれば、野村證券なら1,100円だがSBI証券なら550円と、かなり差があることがわかる。
取引手数料(税込) | 最低手数料(税込) | |
SBI証券(S株) | 0.55% | 55円 |
マネックス証券(ワン株) | 0.55% | 52円 |
auカブコム証券(プチ株) | 0.55% | 52円 |
野村證券(まめ株) | 1.1% | 550円 |
メリット3……テーマ投資ができる
SBI証券のNISAなら、初心者でもテーマを選ぶだけで単元未満株に投資できる。
SBI証券には「テーマキラー!」という単元未満株のサービスがあり、「自動運転」や「人工知能(AI)」といったテーマを選ぶだけで、関連銘柄10社への分散投資が可能だ。5万円、10万円、20万円、30万円のコースがあり、銘柄ごとに株数の調整もできる。テーマ数も豊富で随時追加されるため、銘柄選びに困ったら活用してみよう。
|
||
遠隔医療 | DX | 新型コロナワクチン |
パワー半導体 | 花粉症対策 | 洋上風力発電 |
大雪 | AI | 電気自動車関連 |
5G | 再生可能エネルギー | 全固体電池 |
水素 | ゲーム関連 | 好配当 |
テレワーク | IPO | サイバーセキュリティ |
巣ごもり | 不妊治療 | NISAで人気 |
4.SBI証券のNISAでの単元未満株の買い方と売り方
SBI証券株アプリはNISAにも対応しており、単元未満株の取引でも利用できる。株アプリから単元未満株を買う手順を紹介しよう。
SBI証券株アプリからNISAで単元未満株を買う方法
SBI証券株アプリで単元未満株を買う際の流れは、以下のとおりだ。
1.個別銘柄画面で「取引」ボタンをタップ
2.「現物買」ボタンをタップ
3.「S株」にチェックを入れる
4.預かり区分で「NISA」を選択
5.株数を入力
6.取引パスワードを入力し確認画面へ
7.内容を確認したら「発注」ボタンをタップ
SBI証券株アプリからNISAで単元未満株を買う際は、「S株」にチェックを入れることと、預かり区分で「NISA」を選択することを忘れないようにしたい。「テーマキラー!」の場合は単元未満株を購入することが前提なので、「S株」にチェックを入れる必要はない。詳細は以下のとおりだ。
1.「銘柄検索」をタップ
2.「テーマ」をタップ
3.好きなテーマをタップ
4.「購入コース」を選択し「注文入力画面」をタップ
5.預かり区分で「NISA」を選択
6.必要に応じて各銘柄の株数を変更する
7.取引パスワードを入力し確認画面へ
8.内容を確認したら「発注」ボタンをタップ
SBI証券株アプリからNISAで単元未満株を売る方法
SBI証券株アプリで単元未満株を売る時の流れも、買う時とほとんど同じだ。
1.「口座管理」から保有銘柄を選択
2.「現物売」ボタンをタップ
3.「S株」にチェックを入れる
4.預かり区分で「NISA」を選択
5.株数を入力
6.取引パスワードを入力し確認画面へ
7.内容を確認したら「発注」ボタンをタップ
「テーマキラー!」で購入した単元未満株を売却する際は、注意が必要だ。個別で売却するなら株アプリからでも可能だが、一括売却の場合はウェブサイトからしか発注できない。また一括売却ができるのは10銘柄までであり、11銘柄以降は個別に発注する必要がある。売却に関しては、ウェブサイトのほうが使いやすいかもしれない。
5.SBI証券のNISAで買える単元未満株のおすすめ銘柄ランキングTOP10
SBI証券のNISAで単元未満株を購入する際は、どのような銘柄が候補になるだろうか?すぐに売買できないという単元未満株の性質を考えれば、値動きの大きい新興市場銘柄は避けたほうがよいだろう。そこで中長期投資を前提に、東証一部の中で業績面と財務面に優れた銘柄をピックアップしてみよう。スクリーニングの条件は以下のとおりだ(2021年2月10日時点)。
● ROE10%以上
● 自己資本比率50%以上
● 過去3年平均売上高成長率5%以上
● 前年度比経常利益変化率5%以上
● 予想経常利益成長率5%以上
● 時価総額1,000億円以上
順位 | 銘柄 | 株価 | 配当利回り |
1位 | ニトリホールディングス | 2万860円 | 0.52% |
2位 | 日本M&Aセンター | 6,210円 | 0.42% |
3位 | 任天堂 | 6万3,980円 | 1.70% |
4位 | 中外製薬 | 5,155円 | 1.07% |
5位 | エムスリー | 8,804円 | 0.10% |
6位 | スクウェア・エニックスホールディングス | 7,220円 | 0.75% |
7位 | アイ・アールジャパンホールディングス | 1万5,970円 | 0.44% |
8位 | ベイカレント・コンサルティング | 1万8,870円 | 0.48% |
9位 | スギホールディングス | 7,470円 | 1.07% |
10位 | MonotaRO | 6,030円 | 0.30% |
1位.ニトリホールディングス……高収益モノづくり企業
ニトリは、国内トップの家具・インテリア製造小売チェーンだ。品質の良いものをリーズナブルな価格で提供しているが、徹底的な合理化により高い収益性を誇っている。内需型のため海外情勢の影響を受けにくく、コロナ禍で110店舗を臨時休業しても売上高を伸ばし、市場を驚かせた。ホームセンターの島忠を買収するなど、積極的に事業規模を拡大している。
2位.日本M&Aセンター……事業承継問題に対する専門的サービスを提供
日本M&Aセンターは、中堅中小企業のM&A仲介の最大手だ。日本は経営者の高齢化や後継者不足により、中小企業を中心に事業承継問題を抱えている。そのような中堅中小企業を対象に専門的サービスを提供し、その後の企業価値を向上させることで買収側にもメリットのあるM&Aを促進している。営業利益率は売上高の半分近くもあり、競争力は高いといえるだろう。
3位.任天堂……群を抜く財務健全性を誇るゲームメーカー
任天堂は、ゲーム機のハード・ソフトともに総合首位の企業だ。ニンテンドースイッチは発売当初から人気だったが、コロナ禍を追い風にして爆発的に売れている。1億台突破は時間の問題と見られており、増産体制を整えている。任天堂は、現預金から負債を差し引いた実質的な手元資金が豊富な「キャッシュリッチ企業」としても知られ、財務健全性が非常に高い銘柄でもある。
4位.中外製薬……抗体医薬品に強みを持つ大手製薬会社
中外製薬は、世界的製薬会社であるスイスのロシュ傘下の大手製薬メーカーだ。高い効果と少ない副作用で注目される「抗体医薬品」に強みを持ち、ロシュ経由で多くの抗体医薬品を日本に導入してきた。リウマチ治療薬「アクテムラ」は英国で新型コロナ治療薬として期待されており、今後の収益を牽引する可能性がある。
5位.エムスリー……オンライン医療関連の有望企業
エムスリーは医療従事者専門サイト「m3.com」を運営しており、医師や薬剤師など90万人以上が会員登録をしている。同サイトには製薬会社が医療従事者にアプローチできる機能もあり、以前から利用されていたが、新型コロナの影響で利用が活発化している。菅政権のオンライン医療政策を追い風に、さらなる収益の伸びが期待できる。
6位.スクウェア・エニックスホールディングス……人気ゲーム有する世界的ゲームソフト会社
スクウェア・エニックスは家庭用ゲームソフト大手で、「ドラクエ」や「ファイナルファンタジー」といった人気ゲームを有する企業だ。ゲームだけでなく、人気ソフトのキャラクター関連事業や出版事業も拡大しており、収益機会が多様化しつつある。巣ごもり需要は一服しそうだが、営業利益は高水準が続きそうだ。
7位.アイ・アールジャパンホールディングス……企業と株主の橋渡しをする高ROE銘柄
アイ・アールジャパンは、企業のIR(投資家への広報)とSR(株主との関係構築)支援に特化したコンサルティング会社だ。IRやSRは上場企業の株主対策として重要視されており、専門性や独自サービスを持つ同社には高い需要がある。収益力を表すROEは50%を超えており、株主資本が効率よく使われていることがわかる。
8位.ベイカレント・コンサルティング……デジタル技術に強い総合コンサルティング企業
ベイカレント・コンサルティングは総合コンサルティング会社で、デジタル技術を活用した経営戦略立案と実行支援に強みを持つ。新型コロナや菅政権のDX政策の影響もあり、顧客企業のデジタル化のニーズが業績を後押ししている。企業のビジネス変革意識の高まりから、しばらくは同社の強みを活かしたコンサルティングの需要が続くだろう。
9位.スギホールディングス……景気に左右されにくいドラッグストア事業を展開
スギホールディングスは、ドラッグストアの「スギ薬局」を展開している。事業内容は日用品販売と調剤薬局なので、景気に左右されにくいといえる。新型コロナ特需で業績が押し上げられた面もあるが、それ以前から増益基調であり安定して成長している。有利子負債もなく自己資本比率も高いため、安心して保有できる銘柄だ。
10位.MonotaRo……収益性の高い「工具界のAmazon」
MonotaROは、工場や工事用間接資材のネット通販会社だ。「工具界のAmazon」と呼ばれるほど、あらゆる工具製品を取り扱っている。個人と小規模事業者が主な顧客だが、システム投資によりBtoBの成長も加速する方針だ。幅広い商材と高い検索性で他社との差別化を図っており、高い収益性を誇っている。
6.SBI証券のNISAで単元未満株を買う際の注意点
SBI証券のNISAで単元未満株を買う時は、操作を間違えないように注意したい。売買する時は株アプリから発注するケースが多いと思うが、「S株」にチェックを入れることや「NISA」の預かり区分の選択を間違えないように気をつけよう。発注内容の確認を省略することもできるので、特に買い注文の際は間違いがないか、よく確認してほしい。
7.SBI証券のNISA枠を使い切るために単元未満株を利用できる
SBI証券に限らずNISAの非課税投資枠は年間120万円までだが、単元未満株を活用すればぎりぎりまで使い切ることも可能だ。銘柄によっては1単元で非課税投資枠を超えることもあるが、単元未満株を活用すれば投資先の選択肢は大きく広がるはずだ。そのためSBI証券のNISAを利用する際は、単元未満株に投資することも視野に入れたい。
この筆者の記事を見る
【関連記事 PR】
・初心者がNISA注目したい銘柄は?高配当銘柄と投資信託10選
・NISAで注目したい米国(アメリカ)株5銘柄 外国株の買い方も紹介
・ネット証券NISA口座ランキングTOP10!
・ネット証券6社のNISA口座の手数料を比較 SBI、楽天、マネックスなど
・初心者向け!ネット証券ランキング