「利回り」は、一般的には「投資元本に対して何%の利益が出ているか」を示している。株式投資における「利回り」とは、具体的にどのような利益に対して用いられるのだろうか。平均的な株式投資の利回りが何%程度なのか、またその算出方法を見てみよう。
目次
1,株式投資による利益は2種類―キャピタルゲインとインカムゲイン
株式投資によって得られる利益には、主に「キャピタルゲイン」と「インカムゲイン」の2種類がある。
キャピタルゲイン―株を売却することで得られる利益
インカムゲイン――株を保有しつづけることで得られる利益
2,株式投資の利回り算出方法はインカムゲインが基準
配当利回りの算出―必要なのは「予想年間配当金」と「株価」
配当利回り(%)=1株当たりの年間配当金÷株価×100(最低保有株数)
36.0円÷4,935円×100株=0.73%
配当利回りの数値が大きいほど好配当利回り銘柄として好感される。
ただし、年間配当金が同じでも、株価が下がれば配当利回りは高くなり、株価が上がれば配当利回りは低くなります。さらに、期中であっても、企業は業績に応じて予想年間配当金を修正することがあるので覚えておきましょう。
株主優待利回りの算出―株主優待内容を金額に換算
株主優待利回り(%)=優待内容の金額換算÷(購入時株価×優待対象株数)×100(最低保有株数)
投資金額は49万3,500円、株主優待は12月末と6月末の年2回、優待食事券が各回1冊ずつ(1冊5,820円相当:ビッグマック@390円×6枚+ポテトL@330円×6枚+コーラL@250円×6枚で計算)贈呈される。よって、株主優待利回りは以下のようになる。
(5,820円×年2回)÷49万3,500円×100株=2.36%
株主優待利回りが高いほど、お得な株主優待と見なされます。しかし、上場銘柄のすべてが株主優待制度を導入しているわけではないことと、購入時の株価によって利回りが上下することに注意しましょう。
3,株式投資の平均的な利回りを紹介――東証一部は1.86%
各銘柄の利回りを評価する際には、上場銘柄の平均利回りを基準にするといい。
4,株主優待がある銘柄は配当と株主優待を含めた利回りで比較
日本マクドナルドホールディングスは、予想配当利回り0.73%+株主優待利回り2.36%=3.09%が実質的な利回りなので、これを他の銘柄と比較するといいだろう。
5,東証一部上場会社の高配当利回りランキングTOP10!配当と株主優待がもらえる人気銘柄は?
好利回り銘柄を探すなら、東証一部上場銘柄の中から売買取引が活発な銘柄を抽出して、その中からお気に入りの銘柄を探すといいでしょう。
東証一部上場会社「売買代金ランキング」(2021年7月12日現在)
順位 | コード | 会社名 | 取引値 | 売買代金(円) | 配当利回り |
---|---|---|---|---|---|
1位 | 6920 | レーザーテック | 2万1,450円 | 495億3,678万円 | 0.26% |
2位 | 9984 | ソフトバンクグループ | 7,654円 | 301億528万円 | 0.56% |
3位 | 6758 | ソニーグループ | 11,665円 | 287億2,344万円 | 0.47% |
4位 | 7974 | 任天堂 | 6万3,530円 | 245億8,394万円 | 2.25% |
5位 | 9519 | レノバ | 5,230円 | 169億5,911万円 | - |
6位 | 6501 | 日立製作所 | 6,810円 | 132億4,900万円 | 1.54% |
7位 | 7203 | トヨタ自動車 | 9,836円 | 131億2,870万円 | 2.44% |
8位 | 9983 | ファーストリテイリング | 8万1,340円 | 127億8,046万円 | 0.59% |
9位 | 6861 | キーエンス | 5万8,940円 | 122億8,876万円 | 0.34% |
10位 | 3436 | SUMCO | 2,792円 | 107億4,902万円 | 0.97% |
売買取引が活発な銘柄であれば、流通量が多いので取引が成立しやすい。多くの人が銘柄分析した上で投資を決めているので、会社の財務状態や業績も多くの場合申し分ない。東証一部上場会社の人気銘柄は安定性が高く、倒産リスクなども低い超優良銘柄ばかりだ。
ただし、配当利回りが必ずしも高いわけではなく、株主優待制度を設けていない企業も多い。株式を中長期で保有して、インカムゲインや株主優待を楽しみたい人には、上記の銘柄は不向きかもしれない。
配当と株主優待のどちらも獲得できるお得な銘柄を探すなら、東証一部上場銘柄で売買代金の多いものの中から、配当と株主優待の合計利回りが高い銘柄を選ぶといいでしょう。
配当利回り&株主優待利回りランキングTOP10(2020年4月21日基準)
順位 | コード | 会社名 | 取引値 | 配当&優待 合計利回り |
配当利回り ※1 |
株主優待利回り ※2 |
---|---|---|---|---|---|---|
1位 | 6758 | ソニー | 6,722円 | 40.61% | 0.67% | 39.94% |
2位 | 8591 | オリックス | 1,210円 | 15.86% | 6.28% | 9.58% |
3位 | 7267 | ホンダ | 2,387.50円 | 10.43% | 4.69% | 5.74% |
4位 | 2914 | JT | 1,969.50円 | 9.09% | 7.82% | 1.27% |
5位 | 9433 | KDDI | 3,160円 | 4.59% | 3.64% | 0.95% |
6位 | 4543 | テルモ | 3,524円 | 4.24% | 0.81% | 3.43% |
7位 | 4901 | 富士フイルム ホールディングス |
5,187円 | 2.60% | 1.83% | 0.77% |
8位 | 6594 | 日本電産 | 5,401円 | 1.71% | 1.06% | 0.65% |
9位 | 4911 | 資生堂 | 6,788円 | 1.17% | 0.88% | 0.29% |
10位 | 4661 | オリエンタル ランド |
14,100円 | 0.89% | 0.31% | 0.58% |
銘柄選びの手順は、以下のとおりだ。
-
Yahoo!ファイナンス「株式ランキング」ページの、「東証1部」と「売買代金上位」を選択して、上位60社程度のランキングを確認する
-
①の60社のうち、株主優待を実施している銘柄を抽出して一覧表を作成する
-
②で抽出した銘柄の配当利回りと優待利回りを算出してから、配当利回りと優待利回りを合算する
-
配当利回りと優待利回りの合計が高い順に並べ直して、上位銘柄をチェックする
この方法であれば、売買も気軽にできて、配当利回りも得られる銘柄を絞り込むことができる。
6,高配当利回りランキングTOP3の優待内容を確認
上記の手順で作成したランキングの、上位3企業の詳細を見てみよう。
第1位、ソニー<6758>――合計利回り40.61% ソニー製品好きなら、株主優待がお得
第1位の「ソニー」は、配当利回りこそ低く抑えられているが、株主優待クーポンを使いこなせば非常にお得だ。年1回贈呈されるクーポンは、テレビやカメラなどのAV商品用(15%割引)とVAIO用(5%割引)の2種類。それぞれ、1年で5回まで使用できる。
ソニー製品愛用者なら、優待目当ての株式保有も大いに価値があるでしょう。
出典:ソニーグループ『2021年株主様特典 ソニーストアクーポン』『BRAVIA』
第2位、オリックス<8591>――合計利回り15.86% 配当利回りも株主優待の内容も高水準
第2位の「オリックス」は、配当利回りが6.28%。これだけを見ても、かなり高利回りだ。
さらに、株主優待の内容も以下のとおり、盛りだくさんだ。
・水族館の入館料、レンタカー使用料、京セラドームでの野球観戦チケットが割引になる株主カード(年2回発行)
配当も欲しいし、株主優待を活用して家族揃って出かけたいという人には最適な銘柄です。
第3位、ホンダ<7267>――合計利回り10.43% 工場見学やレース・イベント招待
「本田技研工業」(ホンダ)は配当利回りが4.69%、株主優待利回りが5.74%であり、長期保有に適した銘柄だ。
利回りの観点だけでなく、株主優待の内容もホンダならでの魅力が満載だ。以下の優待が1年で3回に分けて届けられる。
・事業所視察やレース・イベントへの招待(抽選あり)、カレンダー贈呈
・「Enjoy Honda」への招待券
※事業所視察、Enjoy Hondaは新型コロナウイルス感染症拡大に伴い中止(2021年7月現在)
7,平均利回りを目安に、好利回り銘柄かどうかを評価しよう
これに加えて、各証券会社のホームページで提供されている上場株式の配当利回りランキング情報も活用してほしい。
株式投資の平均利回りについてよくある5つのQ&A
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