米国の投資家の間では、連続増配銘柄に投資する手法が広く認知されている。実は、日本株にも「花王<4452>」を筆頭に連続増配銘柄が存在する。日本株の連続増配銘柄の特徴や、ランキング上位企業の概要などを紹介する。
目次
1,連続増配銘柄の5つの特徴
2,日本の連続増配企業ランキングTOP10、利回りランキングも確認
3,日本の連続増配銘柄TOP10企業はどんな企業なのか?
4,連続増配を実施するアメリカ企業3選
5,連続増配企業投資のメリットとデメリット
6,連続増配銘柄への投資では10~20年後の資産形成を狙う
1,連続増配銘柄の5つの特徴――景気や為替相場に左右されにくい企業
配当を年々増額している連続増配企業には、主に以下のような特徴が見られる。
特徴1,株主還元意識が高い
特徴2,健全な財務体質と好調な業績が持続している
特徴3,生活に欠かせない内需系の事業を展開している
特徴4,過去に減配したことがない
特徴5,配当性向に上昇余地がある
それぞれの特徴の詳細を見ていこう。
特徴1,株主還元意識が高い
企業にとって配当は、株主還元策の柱である。企業が投資家に対する利益配分を増やすためには、以下のような方法がある。これらを行う企業は、株主還元意識が高いと言える。
- 経営に影響を及ぼさない程度に配当を年々増額する
- 自社株買いによって発行済み株式数を減らす
特徴2,健全な財務体質と好調な業績が持続している
長期にわたって企業が連続増配を実施するためには、配当金の原資となる利益を毎年出す必要がある。つまり連続増配銘柄は、バブルの崩壊やリーマンショックなどの不況や為替相場の変動にも屈することなく、健全な財務体質のもと事業を堅調に推移させてきた優良企業であることを表している。
特徴3,生活に欠かせない内需系の事業を展開している
生活に不可欠なトイレタリー用品・食料・衣料品などの生活必需品や一般消費財を日本国内で提供している企業の業績は、景気に左右されにくい。国内で安定した需要が見込めるため、業績が乱高下しにくいのだ。これは、連続配当の原資となる利益を毎年確保するための条件と言えるだろう。
特徴4,過去に減配したことがない
連続増配する企業は、過去に減配に踏み切ったことがないことも共通している。業績を多少下方修正しても、増配を続けるだけの体力があるからであり、今後も減配リスクは少ないと言えるだろう。
特徴5,配当性向に上昇余地がある
「配当性向」とは利益をどのくらい株主に還元しているかを示す指標で、以下の計算式で算出する。
・配当性向=1株当たりの年間配当金額/1株当たりの当期純利益
一般的には、配当性向が高いと株主還元意識が高いと考えられる。しかし、一部の成熟企業を除けば、配当性向に上昇余地があったほうが、今後増配を継続する余力があると考えることもできる。
日本の上場企業の配当性向は、平均30%程度。これを大幅に上回る場合、翌年度以降に増配を継続すると利益を圧迫する可能性もある。高い配当性向を維持できる連続増配企業は多くないことを覚えておこう。
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2,日本の連続増配企業ランキングTOP10!連続増配&高配当利回りの順位も算出
ここからは、連続増配企業のランキングと、ランキングにノミネートした10社を配当利回り順に並べ替えたランキングを紹介しよう、
連続増配銘柄ランキングTOP10 花王、リコーリース、SPKがTOP3
それでは実際に、日本株の連続増配銘柄ランキングを見てみよう。
下表の「連続増配期間」は直近決算期までを対象とし、期間が長い順に上位10社の基本情報を掲載した。なおランキングの対象は、ホームページや公式サイトで連続増配期間を確認できた企業に限定している。
新型コロナウイルス感染拡大の影響が不明確であるため、3月期決算の連続増配企業7社のうちの2社が2021年3月期の業績予想(予想年間配当金額を含む)の開示を見送っている。そのため、連続増配銘柄の1株当たり年間配当金額と配当利回りは、直近決算期の1株当たり年間配当金額に基づいた実績配当利回りを参考にした。
【連続増配銘柄ランキングTOP10】
順位 | コード | 会社名 | 決算期 | 連続 増配 年数 |
実績 1株当たり 年間配当 金額 |
実績配当 利回り |
実績 配当 性向 |
株価 (2020/ 5/18) |
1 | 4452 | 花王 | 12月 | 30年 | 130円 | 1.47% | 42.39% | 8,850円 |
2 | 8566 | リコーリース | 3月 | 25年 | 90円 | 3.14% | 23.52% | 2,866円 |
3 | 7466 | SPK | 3月 | 22年 | 70円 | 5.21% | 24.73% | 1,343円 |
4 | 4967 | 小林製薬 | 12月 | 21年 | 73円 | 0.75% | 29.91% | 9,780円 |
4 | 8593 | 三菱UFJ リース |
3月 | 21年 | 25円 | 5.04% | 30.94% | 496円 |
6 | 4732 | ユー・エス ・エス |
3月 | 20年 | 55.4円 | 3.18% | 67.20% | 1,741円 |
7 | 9058 | トランコム | 3月 | 19年 | 104円 | 1.43% | 20.73% | 7,270円 |
7 | 9436 | 沖縄セルラー 電話 |
3月 | 19年 | 145円 | 3.46% | 40.11% | 4,190円 |
7 | 5947 | リンナイ | 3月 | 19年 | 98円 | 1.15% | 23.36% | 8,490円 |
10 | 2391 | プラネット | 7月 | 18年 | 40.50円 | 2.67% | 54.69% | 1,515円 |
※実績配当利回り(%)=直近決算期の1株当たり年間配当金額÷2020年5月18日終値×100
※配当性向(%)=直近決算期の1株当たり年間配当金額÷直近決算期の1株当たり当期純利益×100
連続増配最長記録の第1位は、花王の30年。2019年12月期決算発表では、2020年12月期の1株当たり年間配当金額を10円増配して、140円とすることが発表されている。
第2位のリコーリースも、連続増配を25年継続している。上位2社以外にも、SPK、小林製薬、三菱UFJリース、ユー・エス・エスの4社が連続増配を20年以上続けており、日本にも20年以上もの長期にわたって連続増配を続けている企業が複数あることがわかる。
ただし、新型コロナウイルス感染症拡大の影響によって、各社とも厳しい業績になることが予想される。経営基盤の強固な連続増配企業といえども、来期の配当が例年通り増配されるかどうかについては、注意を払う必要がある。
日本の連続増配&高配当利回り銘柄ランキングTOP10 SPK、三菱UFJリース、沖縄セルラー電話
日本株の連続増配銘柄ランキングTOP10がわかったところで、次は連続増配ランキング上位10社の配当利回りランキングに注目してみたい。
配当利回りが高いということは、株価の割に配当が多いことを意味する。高配当利回りの割安株を購入して長期間保有し、インカムゲインを効率良く積み上げるのも投資手法の一つだ。
新型コロナウイルス感染症拡大の影響が予測できないため、ここでも実績配当利回りを比較してランキングを作成した。
【連続増配&高配当利回り銘柄ランキングTOP10】
順位 | コード | 会社名 | 連続増配 年数(年) |
実績配当 利回り(%) |
実績1株 あたり 配当金額 (円) |
株価 (2020/ 5/18) |
決算期 |
1 | 7466 | SPK | 22年 | 5.21% | 70円 | 1,343円 | 2020年 3月期 |
2 | 8593 | 三菱UFJ リース |
21年 | 5.04% | 25円 | 496円 | 2020年 3月期 |
3 | 9436 | 沖縄セルラー 電話 |
19年 | 3.46% | 145円 | 4,190円 | 2020年 3月期 |
4 | 4732 | ユー・エス・ エス |
20年 | 3.18% | 55.4円 | 1,741円 | 2020年 3月期 |
5 | 8566 | リコーリース | 25年 | 3.14% | 90円 | 2,866円 | 2020年 3月期 |
6 | 2391 | プラネット | 18年 | 2.67% | 40.5円 | 1,515円 | 2019年 7月期 |
7 | 4452 | 花王 | 30年 | 1.47% | 130円 | 8,850円 | 2019年 12月期 |
8 | 9058 | トランコム | 19年 | 1.43% | 104円 | 7,270円 | 2020年 3月期 |
9 | 5947 | リンナイ | 19年 | 1.15% | 98円 | 8,490円 | 2020年 3月期 |
10 | 4967 | 小林製薬 | 21年 | 0.75% | 73円 | 9,780円 | 2019年 12月期 |
※実績配当利回り(%)=直近決算期の1株当たり年間配当金額÷2020年5月18日終値×100
22年間連続増配を続けるSPKが、実績配当利回り5.21%で第1位となった。
東証一部上場全銘柄の2020年4月単純平均利回りが2.34%、同時期の東証二部上場全銘柄単純平均利回りが2.50%であることを考えると、SPKの実績配当利回りはかなり高いと言える。
第6位のプラネットでも実績配当利回りは2.67%であり、東証一部と二部上場銘柄の平均を上回っている。
「連続増配&高配当利回り銘柄ランキング」の上位10社は、株主還元意識が高いだけでなく、毎年配当を増額できるだけの利益を上げている優良企業ばかりだ。したがって、投資対象として財務上・経営上のリスクも比較的少ないと言えるだろう。
銘柄選びに困ったら、インカムゲインを目的に、連続増配&高配当利回り銘柄を上位から選ぶのもいいだろう。
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3,日本の連続増配銘柄ランキングTOP10入りの企業の概要を説明
ここからは、ランキングに入った企業はどのような事業を展開し、経営状態はどうなのかをチェックしていこう。
第1位、花王<4452>――国内最長の30期連続増配!トイレタリー用品国内トップシェア企業
1887年創業、日本の消費財業界を代表する老舗企業。スキンケア・ヘアケア製品の「ビオレ」「メリット」、ファブリック・フォームケア製品の「アタック」「クイックルワイパー」、ヒューマン・ヘルスケア製品の「メリーズ」などのトイレタリー用品で国内売上トップシェアを誇る。
「ソフィーナ」「キュレル」「KATE」などの化粧品でも大手。「EVA(Economic Value Added: 経済的付加価値)経営」を掲げており、継続的な成長によって企業価値の向上に努めている。
2020年12月期は新型コロナウイルス感染症拡大の影響によってインバウンド需要が減少し、化粧品事業や欧米のサロン向け事業が減収減益となる予想。一方で、衛生関連製品の伸長、コスト低減、経費の見直しなどの効果が見込まれており、2020年5月現在、同年12月期業績予想は据え置きとなっている。
株主優待制度を設けていないが、安定的で継続的な配当による株主還元を重視しており、配当性向40%を目標としている。国内最長の30期連続増配を実施。自己株式の取得や、有利子負債の早期返済にも積極的だ。
第2位、リコーリース<8566>――25期増配、リース事業と金融サービスが2本柱
中小企業を主な顧客とし、事務用品や情報関連機器、医療機器の分野で設備のリースと割賦販売を行っている。
リース・割賦事業のほか、創業以来展開しているのが金融サービスだ。ターゲットである中小企業の設備投資以外の金融関連ニーズに応えられる、先進的で付加価値の高い金融サービスや金融商品を提供している。
2020年3月期は主力事業が堅調で、売上高と売上総利益は過去最高を更新した。
長期的かつ安定的な株主還元が基本方針で、上場以来25期連続増配を実施しており、2023年3月期の配当性向30%を目指している。
第3位、SPK<7466>――22期連続増配、自動車部品や産業車両部品などを扱う専門商社
伊藤忠商事の機械部から分離し1917年に設立され、創立100年を迎えた。自動車部品や自動車用品、産業車両部品の企画から販売まで行う機能部品専門商社。本店は大阪。自動車整備や補修のアフターマーケットを事業領域とする。
2020年に入ってから新型コロナウイルス感染拡大によって消費マインドが低下し、国内では部品交換点数の減少が顕著になったものの、機能部品や消耗部品の安定供給に努めた。海外ではアジアの売上が好調で、2020年3月期連結決算は増収増益となった。
配当性向の上限50%を目途にした連続増配を方針としている。2020年3月期も22期連続増配を実施した。
第4位、小林製薬<4967>――21期連続増配、芳香消臭剤のトップメーカーは株主優待も魅力
1886年創業。家庭用品製造販売を主軸に、医薬品や健康食品などのニッチ製品にも定評がある。水洗トイレ用芳香洗浄剤「ブルーレット」、トイレ用芳香消臭剤「サワデー」などのロングセラー製品や、バリエーションが豊富な「消臭元」などの芳香消臭剤では国内首位。
2019年12月期は冷夏や暖冬、自然災害、インバウンド需要の減少などにより事業環境が悪化した。その中でも連結業績は堅調で、当期純利益は22期連続増益、EPSも増加した。好調な連結業績を受けて、2019年12月期の1株当たり年間配当金額は、予想から5円増額され年間40円配当となり、21期連続の増配を達成した。
株主優待は、100株以上の保有で年2回5,000円相当の自社製品詰め合わせが贈呈されるため、個人投資家に人気だ。
第4位、三菱UFJリース<8593>――21期連続増配、専門性の高いソリューションを提供
国内外のカスタマービジネスが基盤。不動産、環境・エネルギー、インフラ・企業投資、航空・ロジスティクスなどの各事業部門で、高い専門性を持つリースやファイナンスサービスを提供している。
継続的かつ安定的な株主還元を基本方針としており、21期連続の増配を実施している。財務面に加えて、社会的責任も評価される社会的責任投資(SRI : Socially Responsible Investment)指標銘柄に選定されている。
2020年3月期は2017年4月から推進されていた中期経営計画の最終年度であった。攻守両面における各施策の効果が表れて、2020年3月期は契約実行高と損益面、いずれも堅調に推移し、過去最高益を更新した。
第6位、ユー・エス・エス<4732>――20期連続増配、中古車オークション市場でトップシェア
1980年にインターネットを使った中古車の常設オークション市場運営で創業。現在では中古車オークション市場でトップシェア(35%)を誇る。
中古車は全国19ヵ所にある現車オークション会場に持ち込まれ、週に1回セリにかけられる。会員は以下のいずれかを選ぶことができる。
- 現車オークション会場で直接下見
- 衛星TV専用端末機を通して参加
インターネット回線を通じてセリに参加
2020年3月期決算では計画通り55.4円の配当を実施し、上場以来20期連続増配を実現した。2020年3月期配当政策より、連結配当性向を従来の50%から55%に引き上げている。
第7位、トランコム<9058>――19期連続増配、輸送マッチングサービスに強み
共同配送事業の拡大に合わせて1995年にJASDAQに株式を公開、2000年以降は右肩上がりの成長を続けている。現在は全国に広がるネットワークと豊富な情報量を背景に、空車情報や貨物情報を提供する輸送マッチングサービスを中心に展開。
2020年3月期はロジスティクスマネジメント事業運営の効率化と改善が進み、連結決算は増収増益となった。株主への利益還元を経営の重要施策としている。安定的な配当水準を維持しており、業績伸長に連動した適正な利益配分を行うという基本方針に則って、2020年3月期は19期連続増配を実施した。
新型コロナウイルス感染症拡大の影響を考慮して、2021年3月期業績予想の開示を控えているが、連続増配方針は堅持することが公表されている。
第7位、沖縄セルラー電話<9436>――19期連続増配、通信事業を通して沖縄経済に貢献
沖縄地域の携帯・自動車サービスを行う会社として、KDDIの出資により1991年に設立された。中核である通信事業を活かして、沖縄の観光情報サイトや特産品の紹介・販売サイトを立ち上げるなど、沖縄地域の課題解決に積極的に取り組んでいる。アグリ事業も展開しており、ICTを活用した植物工場を建設して沖縄に新鮮な食材を提供。
業績は好調で、2021年3月には営業収益で11期連続増収、営業利益は8期連続増益となる見通しだ。
今後の事業展開のための内部留保や財務体質強化のほか、配当の充実も同社の基本方針であり、19期連続で増配が行われている。配当性向40%超を経営目標としている。
第7位、リンナイ<5947>――19期連続増配、国内外で事業展開する熱エネルギー機器メーカー
各種熱エネルギー機器の開発・製造・販売を手掛けるリンナイは、2020年に創業100周年を迎える。
同社が提供する製品は、厨房機器や給湯機器、空調機器、温水暖房システムを利用した床暖房と幅広い。日本だけでなく世界各国のエネルギー事情に合ったソリューションを提供するなど、社会に貢献することをポリシーとして事業を展開している。
2020年3月期は国内のガス衣類乾燥機やビルトインコンロが好調で、海外ではタンクレス給湯器の販売台数が伸長した。原価低減の効果もあり、収益改善が進んだ。
連続増配方針は継続しており、2020年3月期で19期連続増配となった。2021年3月期は、創業100周年記念配当10円を加えて年間配当金を110円とすることが発表されている。
第10位、プラネット<2391>――18期連続増配、業界特化型EDIサービスから発展
日用品・化粧品主要メーカーが出資し、1985年に日本初の業界特化型EDIサービスを構築する目的で設立された。その後、プラネットのEDIサービスは業界の垣根を越えて、ペットフード・ペット用品業界やOTC医薬品業界でも採用され、現在は流通全体で普及している。今後は、グローバルマーケットに対応できる国際的なEDIサービスの開発を目指す。
株主への利益還元を経営の最重要課題としており、継続的な増配と高い配当性向を重視している。2019年7月期は、18期連続増配と54.7%の配当性向を実現した。なお、2020年7月期は配当維持の予定となっている。
4,連続増配を実施している代表的なアメリカ企業3選、P&Gなど超有名グローバル企業も
株主還元意識の高い米国では、日本に比べて連続増配銘柄が多く、その年数も日本とは比べ物にならないほど長い。
本項では、米国株の連続増配年数TOP10銘柄のうち、世界的な有名企業3社をピックアップ。連続増配年数、直近1年間の1株当たり年間配当金額(日本円相当額は、1米ドル=107円で換算)、2020年5月18日終値(現地時間)を基準とした実績配当利回りなどの基本情報を紹介する。
プロクター・アンド・ギャンブル(P&G)――トイレタリー業界のワールドワイドブランド
P&Gブランドで世界的に有名なプロクター・アンド・ギャンブル <PG> は、時価総額2,785億米ドル以上、およそ29.8兆円(2020年5月19日現在、1米ドル=107円で換算)の世界最大の一般消費財メーカーである。創業は1837年。オムツの「パンパース」、化粧品の「マックスファクター」、ヘアケア製品の「ヴィダルサスーン」、歯磨剤の「Crest」などを世界中で展開している。
時代のニーズに合わせた事業展開と巧みなマーケティングで、持続的な成長と連続増配を維持している超優良企業だ。
基本情報
連続増配年数 | 64年 |
直近1年間の1株当たり年間配当金額 | 3.029米ドル(310円相当) |
株価(現地時間2020年5月18日終値) | 116.21米ドル(1万2,434円相当) |
実績配当利回り | 2.61% |
スリーエム――「ポスト・イット」で有名な、米国の巨大化学・電気素材メーカー
「3M」ブランドで世界的に有名なスリーエム <MMM> は、時価総額が853憶米ドル以上、9兆円(2022年5月19日、1米ドル=107円で換算)を超える巨大グローバル企業。産業分野・交通分野ではビニール、ポリエステル、フィルム製品など、ヘルスケア分野では医療用テープや外科処置用製品などを中心に提供している。オフィス用・家庭用の主力製品は、粘着テープの「スコッチ」や「ポスト・イット」、ディスプレイ用資材などだ。
基本情報
連続増配年数 | 62年 |
直近1年間の1株当たり年間配当金額 | 5.82米ドル(622円相当) |
株価(現地時間2020年5月18日終値) | 149.27米ドル(1万5,971円相当) |
実績配当利回り | 3.90% |
コカ・コーラ――世界中で最も飲まれているノンアルコール飲料メーカー
各種ノンアルコール飲料を製造・販売する世界NO.1メーカー。コカ・コーラ <KO> が取り扱うブランドは500種類以上だ。「コカ・コーラ」「ダイエット・コーク」「ミニッツ・メイド」「アクエリアス」などが有名。炭酸飲料、ダイエット炭酸飲料、果汁飲料、コーヒー飲料、水、スポーツ飲料、エネルギー飲料など、消費者のニーズに合わせて多様な製品を提供している。
時価総額は2020年5月19日(現地時間)で1,913億米ドル以上、およそ20兆円(1米ドル=107円で換算)以上にものぼる。P&G、3Mとともに、NYダウとS&P500の構成銘柄に採用されている。
基本情報
連続増配年数 | 58年 |
直近1年間の1株当たり年間配当金額 | 1.62米ドル(173円相当) |
株価(現地時間2020年5月18日終値) | 44.97米ドル(4,811円相当) |
実績配当利回り | 3.60% |
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5,連続増配企業投資のメリットとデメリット
上記のように、連続増配企業は優良企業であることが多い。これらに絞って投資することに、どのようなメリット・デメリットがあるのだろうか。
メリット:忙しい人でも、手間をかけずにローリスクで株式投資ができる
- 長期的なスパンで見たときに業績が右肩上がり
「安定的で継続的な配当」や「継続的な増配」を株主還元策の基本方針としている
このような企業の株式を10~20年ほど保有すれば、ある程度の配当収入を得られるようになるだろう。
目的は配当収入なので、株価の変動に一喜一憂する必要はない。マーケットや個別銘柄の株価を毎日チェックする必要がないのも、多忙な人にとっては好都合だろう。
デメリット:連続増配が最善の株主還元策というわけではない
「連続増配を基本方針にしている会社だから、長期投資に適している」と判断するのは早計だ。
株主還元策には、大きく分けて「増配」と「自社株買い」がある。
自社株買いとは、市場に流通する自社株式を買い戻すことで株主への利益配分を増やすことだ。連続増配に加えて、積極的あるいは定期的に自社株買いを実施すれば、株主への利益配分はより多くなる。
長期保有を前提とした投資を検討している場合は、連続増配だけでなく自社株買いの状況や株主優待の内容も確認し、総合的に判断するべきだ。
6,連続増配銘柄への投資では10~20年後の資産形成を狙う
「自分には長期投資が向いている」と考えるなら、連続増配銘柄ランキングなどで銘柄をピックアップして、そこから探すのもいいだろう。
日本株の連続増配銘柄ならば、米国株のように為替手数料や為替レートを気にする必要がないので、投資初心者には適していると言えるだろう。
日本株の連続増配銘柄を購入したら、あとは気長に配当が増えるのを待つ、あるいは買い増して配当収入を増やすのもいいだろう。
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執筆・近藤真理
証券会社の引受業務やビジネス系翻訳携わったのち、個人投資家として活動。現在は総合証券、ネット証券の両方を使いこなし、経済、金融、HR領域で多数の媒体で執筆中。2019年にフィナンシャルプランナーの資格取得。
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