日本国内で営業している証券会社で、すぐに潰れそうな会社はない。たとえSBI証券や楽天証券が潰れたとしても、預けている資産は基本的に戻ってくるので心配は不要だ。
(公式サイト)
目次
国内現物株式 取引手数料 <1約定ごと プラン> |
0円(※1) | 0円(※2) | ~5万円:55円 ~10万円:99円 |
~5万円:55円 ~10万円:99円 |
※1日定額 コースのみ |
IPO実績 (2023年) |
91社 | 61社 | 54社 | 26社 | 70社 |
単元未満 株取引 |
◎ S株 |
◎ かぶミニ |
◎ ワン株 |
◎ プチ株 |
× 売却のみ |
投資信託 取扱本数 |
2,577本 | 2,560本 | 1,748本 | 1,743本 | 1,819本 |
外国株式 取扱国数 |
9カ国 ※3 |
6カ国 ※4 |
2カ国 ※5 | 米国のみ | 米国のみ |
NISA つみたて投資枠の 取扱銘柄数 |
◯ 218本 |
◯ 213本 |
◯ 217本 |
◯ 217本 |
◎ 221本 |
口座開設数 | 1,100万口座超 ※6 |
1,000万口座超 | 225万口座 | 164万口座 | 145万口座 |
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潰れそうな証券会社はある?SBI証券、楽天証券が潰れたらどうなる?
日本国内で営業している証券会社で、すぐに潰れそうな会社はない。
IPOの株価操作で一部業務停止命令が出たSBI証券、楽天グループの経営が悪化している楽天証券のどちらも潰れる可能性は低い。
(公式サイト)
もちろん、バブル崩壊やリーマン・ショックのような金融危機が発生したり、致命的な不祥事を起こしたりすれば、証券会社が潰れる可能性はある。
ただし過度な心配は不要だ。投資家が預けている資産は、証券会社の資産と分けて管理されており、万が一、証券会社が潰れたとしても手元に戻ってくるためだ。
ここでは、SBI証券、楽天証券が潰れない理由を検証していきたい。
SBI証券が潰れる可能性はある?
SBI証券はIPOの株価操作で2024年1月に一部業務停止命令を受けたが、処分内容は比較的軽く、この件でSBI証券が潰れる可能性は低いといえる。個人投資家の取引にも影響はなさそうだ(※2024年1月15日現在)。
万が一、SBI証券が潰れたとしても、顧客の資産は分別管理されているため確実に返還される。
お客さまにお預けいただいておりますご資産(有価証券やお金)は、当社が保有する資産(有価証券やお金)と、金融商品取引法に基づき、明確に分けて管理しております(分別管理)。 したがって、万が一、当社が破綻したとしましても、お客さまからお預りしているご資産は確実に返還されます。 出典:SBI証券
SBI証券は2024年1月12日、金融庁からIPO(新規上場株式)の売買受託業務に関する1週間の業務停止命令、および業務改善命令の行政処分を受けた。
出典:金融庁『株式会社SBI証券に対する行政処分について』
今回処分の対象になったのは、2020年12月から2021年9月までの間、SBI証券が引受主幹事を務めた3銘柄のIPOにおいて、初値を吊り上げるための注文と知りながら受注、執行した行為である。
初値とは上場後、初めてつく株価のことだ。
その裏には、初値が公募価格を下回る「公募割れ」を回避しようと目論むSBI証券役員らの指示があった。
IPOに力をいれるSBI証券にとって、主幹事案件での公募割れはなんとしてでも避けたい事態だったのだろう。
SBI証券の役員らは、IPOの初値を公募価格以上に吊り上げるため、同社香港現地法人の社員やIFAビジネス部員に対し、顧客(投資家)に公募価格と同じ価格で対象株式の買付けを行うことを勧誘するよう、指示または依頼を行った。
指示を受けたSBI証券の香港現地法人の社員とIFAビジネス部員は、顧客に公募価格と同じ価格での買付けを勧誘した。
SBI証券は、この買付けにより対象株式の初値が吊り上げられることを知りながら注文を受け、執行した。
株価を意図的に操作しようとする今回の行為は作為的な相場形成にあたり、金融商品取引法第38条で禁止されている。
出典:e-gov
公募割れが見込まれることを知りながら、株価を吊り上げるため組織的に顧客に株を買わせる行為も投資家保護に欠け、会社としてのモラルやコンプライアンス意識が不十分といわざるを得ないでしょう。
竹国弘城(ファイナンシャル・プランナー)
過去、不祥事により潰れた証券会社は、山一證券、東郷証券、アーツ証券の3社がある。
いずれも悪質な不正を行なっており、山一證券は自主廃業、東郷証券とアーツ証券は金融商品取引業の登録を取り消され強制退場になった形だ。今回のSBI証券はそこまでの事態に至っていない。
これまでに証券会社が起こした不祥事のうち、証券取引等監視委員会に告発され行政処分の対象になった事案を以下、表にまとめた。
証券会社 | 告発時期 | 事案 | 行政処分等 | 備考 |
---|---|---|---|---|
SBI証券 | 2023年 | 作為的 相場形成 |
業務停止命令 (勧誘を伴うIPO売買受託業務/1週間) 業務改善命令 |
|
SMBC 日興証券 |
2022年 | 相場操縦 (安定操作) |
業務停止命令 (ブロックオファー 取引関連業務/約3ヵ月間) 業務改善命令 |
|
東郷証券 | 2019年 | 損失補填 | 金融商品取引業の 登録取消 |
2019年 岡三オンライン証券への 事業譲渡後、解散 |
アーツ証券 | 2017年 | 偽計 | 金融商品取引業の 登録取消 |
2016年破産 |
丸八証券 | 2008年 | 相場操縦 (相場固定) |
全業務停止命令(3営業日) 国内外株券の売買受託 業務停止命令(5営業日) 一部支店における 国内外株券の売買受託 業務停止命令(1ヵ月間) 業務改善命令 |
2008年エース証券と 包括的業務提携、 2021年東海東京フィナンシャ・ ホールディングスの完全子会社化 |
山一證券 | 1998年 | 虚偽の有価証券 報告書提出 |
自主廃業に向け 営業停止中につき 行政処分の実施なし |
1997年自主廃業 |
日興証券 (現・SMBC日興証券) |
1998 1997年 |
損失補填 | 業務停止命令 (株式関連の自己売買業務、 一部支店の有価証券売買・ 先物取引等の受託業務/約3ヵ月間) 公共債の引受および 入札への参加禁止(約2ヶ月間) |
|
大和證券 (現・大和証券) |
1998年 | 損失補填 | 業務停止命令 (株式関連の自己売買業務、 一部営業部の有価証券売買・ 先物取引等の受託業務/約4ヵ月間) 公共債の引受および 入札への参加禁止(約4ヶ月間) |
|
山一證券 | 1998年 1997年 |
損失補填 | 自主廃業に向け 営業停止中につき 行政処分の実施なし |
1997年自主廃業 |
野村證券 | 1997年 | 損失補填 | 業務停止命令 (株式関連の自己売買業務/約5ヵ月間、 一部営業部の有価証券売買・ 先物取引等の受託業務/4ヶ月間、 全部店株式関連業務/5営業日) 公共債の引受および 入札への参加禁止(約5ヶ月間) |
山一證券の自主廃業は、巨額の簿外債務が直接の原因であり、それを隠すために不正を重ねていた。
SBI証券の2024年1月の行政処分は、1週間の業務停止命令とかなり軽い印象です。個人投資家への影響はほとんどないでしょう。しかし、今後上場予定の企業がIPOでSBI証券を避ける動きが出れば、業績悪化につながるおそれがあります。また、IPO狙いでSBI証券を利用している人は、引受数減少などの影響を受ける可能性があります。
竹国弘城(ファイナンシャル・プランナー)
楽天証券はやばい?楽天グループとの共倒れで潰れる可能性はある?
(公式サイト)
楽天グループは、モバイル事業への投資によりグループ全体で赤字決算が続いている。赤字は縮小傾向に向かっているが、2023年から5年間で迎える1兆円超えの社債の償還が重荷だ。
楽天グループの連結営業利益は、2019年度に727億4,500万円の黒字だったが、翌年度にはマイナスに転じ、2022年度は3,716億1,200万円の営業赤字になった。
楽天グループ IFRS連結営業利益・IFRS連結営業利益率の推移(年度別・2019年12月期〜2022年12月期)
楽天グループの直近の連結営業利益を見ると、2022年第1四半期から2023年第1四半期にかけては、赤字幅が減少しつつある。
楽天グループ IFRS連結営業利益・IFRS連結営業利益率の推移(四半期別・2022年12月期第1四半期〜2023年12月期第1四半期)
楽天グループは、2023年に入り資金調達に奔走している。4️月に楽天銀行の上場、5月に公募・第三者割当による増資、7月に楽天証券の持ち株会社である「楽天証券ホールディングス」の新規上場を申請した。
楽天グループは2023年11月に、楽天ペイなどキャッシュレス決済サービス事業を展開する「楽天ペイメント」を「楽天カード」の子会社とする組織再編を実施予定です。これは楽天カードの新規上場に向けた布石とも考えられます。
竹国弘城(ファイナンシャル・プランナー)
楽天証券は、楽天グループに属する証券会社で、SBI証券に並ぶネット証券の最大手だ。証券総合口座数は924万口座、つみたてNISA口座の国内シェアは55.0%を占める(2023年6️月末現在)。
出典:楽天証券『2023年12月期上半期決算説明会資料』
楽天証券は楽天グループの中では好調にみえるが、小口取引中心の若年層顧客が多く、収益性に課題を抱えている。
楽天証券の純営業収益は、口座数924万に対し約905億円にとどまる。それに対し、対面証券最大手の野村證券は、純営業収益が大きく、約540万口座に対し約5,143億円である(野村證券は2023年3月期、楽天証券は2022年12月期、口座数は2023年6月末現在)。口座数で肉薄するSBI証券と比べても、楽天証券の収益性の低さが目立つ。
主要ネット証券の業績比較
収益性に課題がある中、楽天証券は2023年10月、SBI証券に追随する形で国内株式取引手数料の無料化に踏み切った。ネット証券の手数料競争はますます激しさを増しており、楽天証券も安泰ではないだろう。
楽天グループのモバイル事業は設備投資が一巡し、グループ全体の赤字は縮小傾向にある。しかし、黒字化に時間がかかって資金繰りに行き詰まれば、楽天グループが解体され、楽天証券が切り売りされる可能性があるかもしれない。共倒れになる前に、楽天証券あるいは楽天の金融事業が、他社に買収・譲渡されるシナリオがより現実味を帯びてくるだろう。
楽天証券はここ数年、みずほ証券との協業を進めており、金融仲介の新会社を共同で設立して、2024年春にはサービスを開始する。
2024 年春を目途とした事業開始に向けて、両社を委託元とする金融商品仲介業者となる準備会社を設立(みずほ証券95%、楽天証券5%)する予定です。
出典:みずほ証券『みずほ証券および楽天証券による共同事業に係る基本合意について』
楽天グループの行く末次第では、楽天証券とみずほ証券の合併が実現するかもしれません。仮に楽天証券が他社と合併するとしても、移行期間を設けるなど、ユーザーの不利益がなるべく少なくなるように配慮されると考えられ、過度な心配は不要でしょう。
しかし、手数料体系やサービス内容が変更され、これまでと同じ条件で取引できなくなるなどのリスクは想定しておきましょう。合併先によっては、資産の売却や他社への移管が必要になる可能性もあります。
竹国弘城(ファイナンシャル・プランナー)
(公式サイト)
証券会社が潰れたら株などの資産はどうなる?NISAの場合は?
もし証券会社が潰れたとしても、預けている資産は基本的に戻ってくるためあまり心配する必要はない。NISA口座で保有している資産も同様だ。ただし、証券会社が潰れたら戻ってこない資産もある。詳細をみていこう。
証券会社が潰れても株などの資産は返還される
顧客と証券会社の資産を区別して管理する仕組みを顧客資産の「分別管理」という(金融商品取引法第43条の2)。
分別管理の仕組み
証券会社が顧客から預かった金銭は、信託銀行や信託会社で管理される。
また、顧客から預かった有価証券は、証券保管振替機構(ほふり)など第三者機関での管理、または自社の資産と明確に区別したうえで、顧客ごとの資産が判別できる状態で管理するのが原則だ。
顧客の資産が何らかの事情で分別管理されておらず、証券会社が資産を返還できないときは、日本投資者保護基金より1人あたり1,000万円を限度に補償を受けられる。
補償の対象は一般の投資家であり、適格機関投資家(銀行、証券会社、保険会社など)や国・地方公共団体などのプロの投資家の資産は保護されない。
NISA口座で保有している資産はどうなる?
NISA口座で保有している商品は、原則としてNISA預かりのまま他社に移管できない。ただし、潰れた証券会社の事業を別の会社が承継する場合、NISA預かりのまま移管できる可能性がある。
証券会社が潰れた場合に戻ってこない資産もある
証券会社が潰れても分別管理されている資産は全額が戻ってくるが、貸株やFX取引の「委託保証金」や未決済建玉の「評価益」など、分別管理の対象外の資産の場合は、戻ってこない恐れがある。
分別管理は国内や海外で発行された株式、債券、投資信託以下のような資産が対象であり、証券会社が潰れたとしても全額戻ってくる。
・金銭
・信用取引の委託保証金
・先物取引・オプション取引などデリバティブ取引の証拠金
・取引所株価指数証拠金取引(くりっく株365)の証拠金
・国内株式
・国内債券
・国内投資信託
・外国証券(外国株式・外国債券・外国投信・外貨建てMMF)
・代用有価証券
一方で、以下のような資産は分別管理の対象ではないため、証券会社が潰れると戻ってこないおそれがある。
・「貸株」として証券会社に貸し出している株式
・外国為替証拠金取引(FX取引)の「委託保証金」および未決済建玉の「評価益」
・信用取引の「本担保(本担保株式・本担保現金)」および未決済建玉の「評価益」
証券会社から融資を受けて株式を買い付けた場合に買い付けた株式(買建玉)のこと。
証券会社から株式を借りて売り付けた場合の売却代金(売建玉)のこと。
万が一、顧客の資産が分別管理されておらず、証券会社が資産を返還できないときは、日本投資者保護基金より1人あたり1,000万円を限度に補償を受けられる。
しかし、一部の取引は投資者保護基金の補償の対象外になる点にも注意したい。
・そのほか取引所取引での証拠金など
・以上の取引にかかる金銭
・FX取引(くりっく365を含む)
・外国の取引所で取引する先物やオプション、CFD取引 など
有価証券店頭デリバティブとは、金融取引所など取引所を介すことなく、証券会社など金融機関を相手として取引される金融派生商品(デリバティブ)のことである。
なお、国内のFX業者が潰れてたとしても、預けていた資産は戻ってくる。国内のFX業者は、「信託保全」という方法で、証拠金や取引の損益、スワップ損益の区分管理保護が義務化されているためだ。
出典:金融先物取引業協会
しかし、FXの資産が信託保全がなされていなかった場合には、投資者保護基金でも補償されないため、お金が戻ってこない可能性が高い。
分別管理の対象ではない「貸株」は、投資者保護基金の補償対象にもならないため注意が必要だ。
証券会社が潰れるのはなぜ?主な2つのケース
証券会社も民間企業であるため、大手であっても潰れる可能性はある。証券会社が潰れてしまう主なケースは、経営悪化や不祥事による倒産・廃業と、合併による消滅の2つだ。
経営悪化や不祥事により倒産・廃業
何らかの原因で経営状態が悪化し、事業を継続できなくなれば証券会社は潰れる。
証券会社の業績は景気に左右されやすく、不景気になると収益が低下しやすい傾向にあります。取引の失敗や不祥事などによって、巨額の損失を出すこともあります。
竹国弘城(ファイナンシャル・プランナー)
このほか、悪質な不正で金融商品取引業の登録を取り消され、廃業を余儀なくされるケースもある。
アーツ証券……レセプト債に係る偽計(2016年登録取消、同年倒産)
東郷証券……損失補填(2019年登録取消、同年解散)
合併により消滅
潰れるという表現は適切ではないが、他の証券会社と合併して消滅するケースは多い。証券会社の合併は、経営強化や事業・顧客基盤の拡大、組織再編による効率化などが主な目的だ。
SMBCフレンド証券……2018年、SMBC日興証券に吸収合併され消滅
日本アジア証券……2018年、藍澤證券に吸収合併され消滅
高木証券……2019年、東海東京証券に吸収合併され消滅
エース証券……2021年、東海東京証券に吸収合併され消滅
SBIネオモバイル証券……2024年、SBI証券に吸収合併され消滅(予定)
出典:みずほフィナンシャルグループ、SMBC日興証券、アイザワ証券、東海東京証券、東海東京フィナンシャル・ホールディングス株式会社、ネオモバ
SBIネオモバイル証券は、2024年にSBI証券に吸収合併される予定だ。
このたび、株式会社SBIネオモバイル証券(以下「当社」といいます。)は、2024年1月9日を合併期日(効力発生日)として株式会社SBI証券(以下「SBI証券」といいます。)と経営統合を行う方針を決定いたしました。
出典:ネオモバ
LINE証券のように、会社としては存続したまま、証券事業(サービス)を顧客や資産ごと他社に譲渡するケースもある。
なお、当社の提供する金融サービスにおいて一部事業内容を変更いたしますが、お客様がお預け入れのご資産につきましては開業から現在まで信託保全等、法令に従って分別管理をしており、本事業再編による影響はございません。ご安心ください。
※LINE FXサービスは引続きご提供いたします。
出典:LINE証券
証券会社が消滅するといっても、顧客の資産は合併先に引き継がれるため心配はない。ただし、取引できる商品や手数料体系など、サービス内容は変わることは多い。
証券会社の吸収合併によってサービスが向上することもあるため、一概にデメリットとはいえません。ただし、合併後のサービスが希望する条件に合わなければ、他社への乗り換えを検討したほうが良いケースもあります。
竹国弘城(ファイナンシャル・プランナー)
これまでに潰れた証券会社一覧
1997年から2022年までで、主な証券会社30社が倒産や廃業したり、合併などで消滅したりしている。
次の表は1997年以降に消滅または解散した主な証券会社の一覧だ。
証券会社 | 時期 | 原因・経緯 |
---|---|---|
山一證券 | 1997年 | 巨額の簿外債務(損失隠し)などが原因で経営破綻し、自主廃業。 |
三洋証券 | 1997年 | バブル期の不動産投資・システム投資などで抱えた債務が原因で経営破綻。 |
丸荘証券 | 1998年 | バブル崩壊後から業績が低迷し、経営破綻。 |
山吉証券 | 1998年 | 大和証券から第三者割当増資を受けたが、赤字体質から脱却できず経営破綻。 |
中村証券 | 1998年 | 株式売買委託手数料の完全自由化に伴う経営環境の悪化を見込み、 債務超過に陥る前に自主廃業を選択。 |
不二証券 | 1998年 | 株式売買委託手数料の完全自由化に伴う経営環境の悪化を見込み、 より安定した経営力を持つ証券会社への譲渡が顧客に有益と判断し、 東洋証券に営業譲渡。 |
南証券 | 2000年 | 社債発行を偽装し顧客から資金を集めた後に経営破綻。 社長が顧客資産を持ち逃げ。分別管理がなされておらず、 日本投資者保護基金による補償が初めて実施される。 |
農中証券 | 2004年 | 親会社である農林中金が、 経営資源を運用分野に集中させ業務効率化を図るため、 すべての営業をみずほ証券に譲渡、解散。 |
Meネット証券 | 2006年 | UFJグループと三菱東京フィナンシャルグループの経営統合に伴い、 カブドットコム証券(現・auカブコム証券)に吸収合併され消滅。 |
ジョインベスト 証券 |
2009年 | 新たに開始する野村證券のダイレクトサービスとの統合を 目的に野村證券に吸収合併され消滅。 |
ジェット証券 | 2009年 | 三角合併方式により、オリックス証券に吸収合併され消滅。 |
オリックス証券 | 2010年 | マネックス証券に吸収合併され消滅。 |
トヨタ ファイナンシャル サービス証券 |
2010年 | 東海東京証券に吸収合併され解散。東海東京証券内に 「トヨタ事業本部」が設置され、トヨタFS証券事業を承継。 |
オリエント証券 | 2010年 | リーマンショック以降の厳しい事業環境の中、 収益改善、事業継続は困難であると判断し、自主廃業。 顧客の預かり有価証券はグループ会社であるエイチ・エス証券に移管。 |
佐世保證券 | 2011年 | いちよし証券に吸収合併され消滅。 |
のぞみ証券 | 2011年 | むさし証券に吸収合併され消滅。 |
赤木屋証券 | 2012年 | 厳しい事業環境の中で業績が低迷、自主廃業を選択し、証券業から撤退。 |
十字屋証券 | 2012年 | 厳しい事業環境の中で業績が低迷、自主廃業を選択し、証券業から撤退。 |
みずほ インベスターズ 証券 |
2012年 | 組織再編に伴い、みずほ証券に吸収合併され消滅。 |
丸大証券 | 2012年 | 顧客資産の不正流用が発覚し、金融商品取引業の登録取消処分を受け廃業。 2例目となる日本投資者保護基金の補償が実施される。 |
ソニーバンク 証券 |
2013年 | マネックス証券に吸収合併され消滅。 |
かざか証券 | 2014年 | 2009年にオンライントレード事業をオリックス証券に分割譲渡、 2014年に内藤証券に吸収合併され消滅。 |
ウツミ屋証券 | 2017年 | 2007年広島銀行と共同出資により 「ひろぎんウツミ屋証券(現・ひろぎん証券)」を設立、 会社分割により金融商品取引業務を譲渡。 2017年ひろぎんウツミ屋証券はウツミ屋証券が保有する全株式を取得し、 広島銀行の完全子会社になる。 |
六和証券 | 2017年 | 2016年、顧客に販売した「レセプト債」の 発行元運用会社が破綻し、金融庁より業務改善命令を受け、 事業継続は困難と判断。レセプト債に関する事業以外を西村証券に事業譲渡し、解散。 |
SMBC フレンド証券 |
2018年 | 組織再編に伴い、SMBC日興証券に吸収合併され消滅。 |
日本アジア証券 | 2018年 | 藍澤證券に吸収合併され消滅。 |
高木証券 | 2019年 | 東海東京証券に吸収合併され消滅。 |
東郷証券 | 2019年 | 損失補填により、金融商品取引業の登録取消処分を受け廃業。 |
ごうぎん証券 | 2020年 | 野村證券と親会社である山陰合同銀行との間で 金融商品仲介業務の包括的業務提携を行い、野村證券に事業譲渡、廃業。 地銀100%出資の証券子会社の廃業は初。 |
エース証券 | 2022年 | 東海東京証券に吸収合併され消滅。 |
バブル崩壊やリーマン・ショックなどの金融危機が起きた後は、業績悪化による証券会社の倒産や廃業が増える傾向にある。
競争の激化も証券会社が潰れる主な原因だ。1996年に始まった金融・証券市場制度改革、いわゆる「金融ビックバン」では、株式売買委託手数料が完全無料化され、競争が激化した。その結果、多くの地場証券が事業の継続を断念し、廃業や合併、事業譲渡を選択した。
インターネット専業証券会社の台頭により、市場での競争はここ数年でますます激しさを増している。経営力の弱い証券会社はもとより、大手であってもより経営の安定した他社との合併や他業種との提携など、集約が進む。
ここで取り上げた以外にも、多くの証券会社が潰れたり消滅したりしている。
しかし、証券会社が分別管理を怠り顧客の資産が返還されなかった事例は、日本投資者保護基金の補償が適用された南証券と丸大証券の2社だけだ。
よくある質問
2019年〜2021年に起きた相場操縦事件は、信頼を揺るがす大きな問題となり、業績の落ち込みや罰金などによる特別損失を計上した影響で、2022年3️月期には最終赤字に転落した。しかし、2023年4️〜6️月期には黒字回復し、長期の信用格付も国内証券会社の中で最も高い水準を維持している。
みずほ銀行は相次いでシステム障害を起こし、グループ会社のみずほ証券にも不信感を抱く人もいるかもしれない。しかし、業績は堅調に推移しており、長期信用格付けは国内証券会社の中で最も高い水準だ。
ただし、保有している商品をNISA預かりのまま他社に移管できるかどうかはそのときの状況次第だ。
一般的には、楽天証券の事業を承継する証券会社にそのまま移管する場合はNISA預かりのまま、それ以外の会社へ移管を希望する場合は課税口座へ払い出しが必要になる。
ただし、貸株サービスを利用して預けている株やFXの委託保証金など、分別管理の対象でない資産は、SBI証券が潰れると戻ってこない可能性がある。FX取引による資産は投資者保護基金の補償も受けられない。
ただし、証券会社が潰れるときは、金融危機や不祥事などで業績が急激に悪化したり、粉飾決算などで公表されている情報が間違っていたりすることもあり、潰れる前に知るのは難しいかもしれない。
より多くの方がお金について自ら考え行動できるよう、家計改善や住宅購入、資産形成、相続など、お金に関するコンサルティング、大手金融機関や各種メディアでの執筆・監修を行う。RAPPORT Consulting Office代表。
■保有資格
1級ファイナンシャルプランニング技能士
CFP®︎
一種証券外務員
サウナ・スパプロフェッショナル
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