投資のための金融商品は証券会社のほか銀行でも取り扱っている。投資初心者が銀行で資産運用をするときに、どんな金融商品がおすすめなのだろうか。銀行と証券会社の違いを比較しながら解説していこう。
目次
1.投資信託とは?投資信託が投資初心者におすすめである理由

資産運用を行うための金融商品の種類は豊富である。
どのような投資をしたいかによって選ぶ商品も変わってくるが、投資初心者が初めて資産運用をする場合は投資信託が最もハードルが低いだろう。
投資信託の仕組み

投資家には投資額に応じた成果が還元されるが、成果は必ずしも利益とは限らない。

投資信託は、運用がうまくいけば利益を得られますが、うまくいかなければ投資した金額を下回ることもあります。運用成果は市場環境に影響されますが、積極的に利益を狙う投資信託では、ファンドマネージャーの腕次第で成果に違いが出ることもあります。
LINE証券 | 楽天証券 | SBI証券 | 松井証券 | |
---|---|---|---|---|
投資信託本数 | 30本 | 2,694本 | 2,698本 | 1,183本 |
手数料無料の銘柄本数 | 購入手数料無料 | 全ての投資信託の 購入時手数料が無料 |
1,349本 | 全ての投資信託の 購入時手数料が無料 |
最低投資金額 | 1,000円 | 100円 | 100円 | 100円 |
詳細 |
投資信託のメリット
投資信託のメリットには、主に次の3点がある。
- 最低100円から少額投資ができる
- 手軽に分散投資可能
- プロ(ファンドマネージャー)に運用を任せられる
投資信託は100円から投資でき、金銭的ハードルが非常に低い。
個別株の場合は最低数万円からだが、人気のある銘柄を買おうとすれば、1銘柄で数十万円から数百万円の資金が必要になる。
リスクを分散させるために複数銘柄買うことを考えると、株式投資では、投資用の資金をある程度用意しなければならない。
しかし、投資信託は1商品だけでも数十や数百、数千銘柄に分散して運用されている。
それだけの分散投資は個人には難しいが、投資信託は投資家の資金が1つにまとめられて運用されるため、少額からでも簡単に分散投資が可能になる。
分析が必要になる個別銘柄選びも初心者だと難しいが、運用先はファンドマネージャーが分析や調査をして選んでくれる。
そのため投資家は企業の財務状況を調べるといった細かいことを考える必要がなく、その投資信託の運用方針や運用にかかる手数料などを比較するだけで済む。
投資信託のデメリット
一方、投資信託にはデメリットもある。
- 手数料がかかる
- 元本割れのリスクがある
- 短期的な利益の追求には向かない
投資信託で運用するには手数料がかかる。
主な手数料は、買付1回ごとにかかる「購入手数料」と、運用中に継続してかかる「信託報酬」だ。
購入手数料は無料化する金融機関もあり、全く同じ投資信託でも金融機関によってかかる場合とかからない場合がある。
信託報酬はファンドマネージャーに運用を任せるための費用で、投資信託を保有している間に投資家の運用財産から少しずつ差し引かれていく。
ファンドマネージャーといってもどんな時でも良い成果を出せるわけではなく、市場環境が悪い時などは運用がうまくいかないこともある。

ただし、元本割れしたとしても中長期的な目線で利益が期待できるなら持ち続けても問題ありません。そもそも投資信託は短期的な利益を追求する商品ではなく、時間をかけて利益を膨らませていく商品です。そのために分散投資を行い、リスクを和らげています。短期的な利益を目指すなら、投資信託ではなく個別株に集中投資するほうがよいでしょう。
投資信託が初心者におすすめな理由
投資信託は初心者に特におすすめだ。
もちろん個別株や現物不動産に投資してもよいが、それなりに勉強してからでないと失敗する可能性が高くなる。

基本的には継続して保有するだけで投資信託自体を売買する必要もないため、市場が動くたびに投資判断を求められることがありません。そのため落ち着いて運用を続けていきやすく、初心者にとって、最も投資を始めやすい商品です。
LINE証券 | 楽天証券 | SBI証券 | 松井証券 | |
---|---|---|---|---|
投資信託本数 | 30本 | 2,694本 | 2,698本 | 1,183本 |
手数料無料の銘柄本数 | 購入手数料無料 | 全ての投資信託の 購入時手数料が無料 |
1,349本 | 全ての投資信託の 購入時手数料が無料 |
最低投資金額 | 1,000円 | 100円 | 100円 | 100円 |
詳細 |
2.投資初心者が知っておきたい銀行と証券会社の違い

投資信託は主に銀行や証券会社で購入できる。

同じ投資信託なら銀行でも証券会社でも内容は同じですが、細かい取扱商品やサービスは異なります。
銀行と証券会社の取り扱い金融商品の違い
投資の代表的な商品には株式、投資信託、債券、外貨がある。証券会社はこれら全ての金融商品を取り扱えるが、銀行では株式を取り扱えない。
銀行と証券会社の外貨に投資できる商品の違い
銀行で外貨に投資する場合は外貨預金だが、証券会社は外貨建MMFという商品になる。
- 外貨預金は預金、外貨建MMFは安全性の高い債券などで運用される公社債投資信託
- 外貨預金は元本保証、外貨建MMFは元本保証なし
- 外貨預金よりも外貨建MMFのほうが高い利回りが期待できる
外貨建MMFは投資信託のひとつだが元本割れリスクは低く、外貨預金より高い利回りが期待できる。外貨預金は外貨建MMFと比べて利回りが劣る傾向はあるが、外貨建てでの元本保証があるので安心感は高い。
細かい取り扱い内容に違いはあるが、銀行で投資できるのは投資信託、債券、外貨預金と覚えておけば間違いない。
取扱商品 | 銀行 | 証券会社 |
株式 | × | ○ |
投資信託 | ○ | ○ |
債券 | ○ | ○ |
外貨 | ○(外貨預金) | ○(外貨建MMF) |

銀行が取り扱っている債券と外貨預金も、立派な投資商品です。しかしどちらも基本的には利息で増やしていく商品なので、銀行で本格的な投資を考えるなら投資信託に限られるでしょう。
銀行と証券会社の投資信託の取扱数の違い
投資信託の取り扱い総数は、大手の銀行や証券会社で200〜500本前後ある。個人運用の選択肢としては十分そうだが、ネット証券は1,000本以上の取り扱いがあり、SBI証券や楽天証券に至っては2,600本を超えている。
取り扱い数が多いとそれだけニーズに合った投資信託を見つけやすく、途中で自分の運用方針が変わったときも商品の入れ替えなどはしやすい。
代表的な金融機関を例にして、投資信託の取り扱い本数を比較してみよう。
金融機関 | 投資信託総数 |
---|---|
SBI証券 |
2,645本 |
楽天証券![]() |
2,681本 |
松井証券 |
1,540本 |
マネックス証券 |
1,221本 |
三菱UFJ銀行 | 574本 |
三井住友銀行 | 188本 |
みずほ銀行 | 248本 |
イオン銀行 | 335本 |
ソニー銀行 | 241本 |
大和証券 | 531本 |
みずほ証券 | 331本 |
三菱UFJモルガン・ スタンレー証券 |
572本 |
3.投資初心者が投資信託を買うなら銀行と証券会社のどっち?
投資初心者はノーロード投資信託を取り扱っている証券会社や銀行がおすすめ

投資信託は銀行と証券会社のどちらが得なのだろうか。投資初心者であれば投資信託にかかる手数料を気にしておくべきだ。
投資信託にかかる手数料は以下の3つだ。
- 購入時に支払う「販売手数料」
- 運用する間に支払い続ける「信託報酬」
- 解約するときにかかる「信託財産留保額」
これらのうち、販売手数料が無料の投資信託として注目されているのがノーロード投資信託だ。近年は投資信託の購入手数料無料化の動きが広がっており、取り扱う投資信託の全てがノーロードのネット証券もある。
金融機関 | 投資信託総数 |
---|---|
SBI証券 |
2,645本 |
楽天証券![]() |
2,681本 |
松井証券 |
1,540本 |
マネックス証券 |
1,221本 |
三菱UFJ銀行 | 151本 |
三井住友銀行 | 38本 |
みずほ銀行 | 36本 |
イオン銀行 | 81本 |
ソニー銀行 | 241本 |
大和証券 | 56本 |
みずほ証券 | 14本 |
三菱UFJモルガン・ スタンレー証券 |
70本 |
積極的に投資をしたい人におすすめなのは銀行と証券会社どっち?
- 銀行よりも証券会社のほうが投資信託の種類が多い傾向にある
- 銀行よりも証券会社のほうが投資情報が豊富
投資信託の種類は銀行よりも証券会社のほうが充実している傾向にあり、たくさんの種類の中から自分で選びたい人は証券会社のほうが向いている。例えば投資信託にはほとんど中身が同じなのに信託報酬に差があるものがある。
たわらノーロード 先進国株式……信託報酬0.10989%以内
どちらもインデックスファンドであり、先進国株式で運用される。運用目標になる指標は「MSCIコクサイ・インデックス(配当込み、円換算ベース)」で、投資対象は全く同じだ。
証券会社で口座開設するならネット証券を選択肢に入れたい。
また証券会社は投資に特化した金融機関のため、銀行よりも投資情報が豊富だ。金融市場や投資環境について動画やレポートを頻繁に発信している。積極的に投資をしたい人にとって、投資情報の多さは重要な点になるだろう。
LINE証券 | 楽天証券 | SBI証券 | 松井証券 | |
---|---|---|---|---|
投資信託本数 | 30本 | 2,694本 | 2,698本 | 1,183本 |
手数料無料の銘柄本数 | 購入手数料無料 | 全ての投資信託の 購入時手数料が無料 |
1,349本 | 全ての投資信託の 購入時手数料が無料 |
最低投資金額 | 1,000円 | 100円 | 100円 | 100円 |
詳細 |
投資初心者が銀行で投資をするメリット

細かい違いを気にせずある程度絞られた商品の中で投資をやっていくのであれば、銀行を利用しても問題ないだろう。
- 選択肢が限られているため選びやすい
- 対面型銀行ならほかの用事と一緒に資産運用のこともまとめて相談できる
- 口座管理が少なくて済む
証券会社は選択肢が多く、いろいろ比較して決めたい人には向いているが、数ある中から違いを調べて検討するにはそれなりに手間もかかる。特に初心者向きのインデックスファンドは違いがあまりないものも多く、証券会社より選択肢が絞られている銀行のほうが選びやすいメリットはある。
対面型の銀行なら、銀行に出かけたついでに資産運用のこともまとめて相談できるのもメリットだ。
証券会社は基本的に投資以外のことは相談できず、投資専用口座として管理しなければならない。 口座を分散するのが面倒と感じる人もおり、なるべく1つの金融機関で口座管理をしたい場合は銀行で投資信託を買うといいだろう。
銀行では「つみたてNISA」のように投資初心者に向いた制度も利用できる。
つみたてNISAを利用できる主な銀行 | つみたてNISAの商品数 |
---|---|
三菱UFJ銀行 | 12本 |
三井住友銀行 | 3本 |
みずほ銀行 | 5本 |
りそな銀行 | 4本 |
イオン銀行 | 20本 |
新生銀行 | 11本 |
つみたてNISAは投資信託の購入手数料もかからず、コストを抑えて投資したい人にも向いている。投資信託以外にも投資できる一般NISAもあるが、どちらかと言えば株式投資に向いた制度だ。
手広く投資しないのであれば、銀行だけでも資産運用は十分できる。
4.投資初心者におすすめの銀行3選

初心者が銀行で投資を始める場合、イオン銀行、新生銀行、PayPay銀行がおすすめだ。
銀行名 | 投資信託 本数 |
ノーロード 投信本数 |
つみたて NISAの 有無 |
つみたて NISAの 商品本数 |
店舗数 | サービス | おすすめ ポイント |
---|---|---|---|---|---|---|---|
イオン銀行 | 335本 | 81本 | ○ | 20本 | 149店 | ・365日店舗営業 ・自宅から オンライン相談 ・イオン銀行 ATMの手数料無料 |
投資信託取引で 簡単に ステージアップ |
新生銀行 | 239本 | 55本 | ○ | 11本 | 26店 | ・普段使いで毎月 ポイントが貯まる ・優遇プログラムで ATMや振込手数料無料 ・ANAマイルが貯まる |
投資信託取引で ポイント付与 |
PayPay銀行 | 577本 | 577本 | ○ | 64本 | なし | ・PayPay残高 出金手数料無料 ・ATM利用金額3万円 以上は手数料無料 ・カードレスで ATM利用可能 |
全ファンド 購入手数料無料 |
投資初心者が銀行を選ぶ際のポイント
投資初心者が銀行を選ぶ際のポイントは、次の3点だ。
- ノーロード投信が多い
- つみたてNISAが利用できる
- お得で便利なサービスがある
投資信託の取扱数は総数も確認してほしいが、ノーロード投信が多いかもチェックしたい。
投資信託の購入手数料は銀行により異なり、ノーロード投信が多いほど初期手数料をかけずに投資できる機会が多くなる。
つみたてNISAでは採用銘柄はすべて購入手数料がかからず、信託報酬も安く抑えられている。

積立投資は投資タイミングを図る必要がなく、少額ずつ投資していけるため、初心者にもおすすめです。積立をメインに投資する場合は、つみたてNISAの取扱銘柄を特に重視してもよいでしょう。
比較的新しい銀行は投資信託の取引でお得にサービスを利用できるところもあるため、サービス内容も比べてみよう。
ここではイオン銀行、新生銀行、PayPay銀行を紹介したい。
投資初心者におすすめ銀行1, イオン銀行……身近なイオンで365日相談できるお得な銀行
投資信託 本数 |
ノーロード 投信本数 |
つみたて NISAの 有無 |
つみたて NISAの 商品本数 |
店舗数 | サービス | おすすめ ポイント |
---|---|---|---|---|---|---|
335本 | 81本 | ○ | 20本 | 149店 | ・365日店舗営業 ・自宅からオンライン相談 ・イオン銀行ATMの手数料無料 |
投資信託取引で 簡単にステージアップ |
・イオン銀行で投資をするメリット

イオン銀行は、NISA口座を開設して投資信託の積立をすれば、上から2番目の「ゴールドステージ」は比較的簡単に達成できます。その他にも、インターネットバンキングや外貨預金などを利用することで、1番上の「プラチナステージ」も達成でき、普通預金金利が優遇されるなど、イオン銀行をよりお得に利用できます。
・イオン銀行で投資をするデメリット

ただし、イオン銀行では自宅から無料のオンライン相談ができます。来店不要で、画面越しに顔を合わせながら相談できるため、慣れれば店舗で相談するよりも便利に感じるかもしれません。
・イオン銀行で投資をするのにおすすめな人
イオン銀行は投資信託の積立で簡単にステージアップができ、銀行機能がお得になるため、積立投資に関心のある人は検討したい。
つみたてNISAの商品ラインアップも、インデックスファンドとアクティブファンドがバランスよくそろっており、選びやすい構成になっている。

店舗のあるイオンによく行く人も、相談がいつでもでき無料でATMの入出金もできるため検討してみましょう。
投資初心者におすすめ銀行2, 新生銀行……投資や普段使いでポイントがどんどん貯まる銀行
投資信託 本数 |
ノーロード 投信本数 |
つみたてNISA の有無 |
つみたて NISAの 商品本数 |
店舗数 | サービス | おすすめ ポイント |
---|---|---|---|---|---|---|
239本 | 55本 | ○ | 11本 | 26店 | ・普段使いで毎月 ポイントが貯まる ・優遇プログラムで ATMや振込手数料無料 ・ANAマイルが貯まる |
投資信託取引で ポイント付与 |
・新生銀行で投資をするメリット

新生銀行のポイントプログラムは、仕組預金や外貨預金なども対象です。また、口座への入金や口座振替といった、普段使いだけでもポイントが付与されるため、利用するほどお得になります。
・新生銀行で投資をするデメリット

新生銀行は、低コストファンドがそろってはいるものの、つみたてNISAの商品数が11本と絞られています。そのため、購入したい投資信託があるか事前に確認しておきましょう。
・新生銀行で投資をするのにおすすめな人
新生銀行は、なじみのある「Tポイント」「dポイント」「nanacoポイント」を貯めながら投資をしたい人におすすめだ。
仕組預金にも力を入れているため、投資信託以外にチャレンジしたい人も検討してみよう。

投資商品は「新生ステップアッププログラム」の対象にもなっています。新生銀行の店舗数は少ないものの、ステップアップで、「新生ゴールド」や「新生プラチナ」になれば、提携銀行ATMの無料利用や定期預金金利アップなどの特典があります。
投資初心者におすすめ銀行3, PayPay銀行……取扱ファンド数が銀行No.1で購入手数料も無料
投資信託 本数 |
ノーロード 投信本数 |
つみたてNISA の有無 |
つみたて NISAの 商品本数 |
店舗数 | サービス | おすすめ ポイント |
---|---|---|---|---|---|---|
577本 | 577本 | ○ | 64本 | なし | ・PayPay残高 出金手数料無料 ・ATM利用金額3万円 以上は手数料無料 ・カードレスで ATM利用可能 |
全ファンド購入 手数料無料 |
・PayPay銀行で投資をするメリット

つみたてNISAの銘柄数も銀行は一般的に少ない傾向にありますが、PayPay銀行の場合は数が多く、投資する際の選択肢が広い。最低500円から購入でき、気になる投資信託があれば手数料をかけずに投資可能です。
・PayPay銀行で投資をするデメリット

PayPay銀行は、投資だけなら投資信託の銘柄数が多く購入手数料もかからないためメリットはあるものの、他のネット銀行と比べて特典が少ないのはデメリットです。
・PayPay銀行で投資をするのにおすすめな人
PayPay銀行は、購入手数料をかけずに投資信託を購入したい人におすすめだ。
他のネット銀行でもノーロード投信はあるが、PayPay銀行は全ファンドがノーロードのため、手数料でイチイチ悩む必要がない。

つみたてNISAの取扱銘柄数も他のネット銀行より多く、しっかり比較して選びたい人に向いています。
5.投資初心者が銀行で買うのにおすすめの投資信託

投資初心者が銀行で投資信託を買う場合、どんな商品がおすすめできるか考えてみたい。
- インデックス型投資信託
- 手数料が安い投資信託
投資初心者はインデックス型の投資信託がおすすめ
投資信託の種類は、その運用方法によりインデックスとアクティブの2種類 に分かれる。
日経平均株価やTOPIX、S&P500などあらかじめ定めた特定の指数(インデックス)と同じ値動きをすることを目指して運用するファンド。
市場平均以上のリターンを目指して運用するファンド。ファンドマネージャーが積極的に投資対象や組入比率、売買タイミングなどの投資判断を行う。
どちらの運用成果が良いかはその人の投資が終わるときでないとわからないが、投資初心者はインデックスファンドのほうが向いていると言える。

アクティブファンドは個別銘柄ごとの投資方針の差が大きく、投資初心者が詳しく内容を調べて投資するにはハードルが高いからです。アクティブファンドには複雑な仕組みのものもある点にも注意すべきでしょう。
インデックスファンドは特定の指数と連動させる運用のため、対象の指数がどのようなものか最低限わかっていればよい。
投資初心者はコストの低いシンプルな投資信託を
投資信託の手数料もインデックスファンドのほうが相対的に安い。
手数料で比べる点は、購入時に支払う「購入手数料」、運用中に支払う「信託報酬」、解約時に支払う「信託財産留保額」だ。
信託財産留保額はかからないものが多く、購入手数料もノーロード投信を選ぶか、つみたてNISAで運用するなら発生しない。
信託報酬はどの投資信託でもかかり、保有中は少しずつ引かれていくため、最も意識したい手数料だ。

つみたてNISAの基準を参考にすれば、インデックスとアクティブで、それぞれこの基準を超えないものが低コストファンドの目安になります。
低コストファンドの目安になる信託報酬(税込) | ||
---|---|---|
投資対象 | インデックスファンド | アクティブファンド |
国内資産 | 0.55% | 1.1% |
海外資産 | 0.825% | 1.65% |
ただし、信託報酬の比較は単純に数字のみを比べるのではなく、同じ投資対象ごとの比較が必要だ。
たとえば、日経平均株価のインデックスと世界株のインデックスを比較しても意味はない。
比較するなら日経平均株価同士や世界株同士のインデックスだ。

インデックスファンドの場合、投資対象が同じなら運用成果はほとんど違いが出ないため、基本的には信託報酬がより安い銘柄を選ぶといいでしょう。短期間では信託報酬の違いはわずかですが、長期になるほど徐々に差が開いていくからです。
たとえば、信託報酬0.1%と0.5%の投資信託で、どのくらい差が開くのか見てみよう。
信託報酬0.1%の運用結果……974万2,210円
信託報酬0.5%の運用結果……932万9,241円
信託報酬の差……41万2,969円
(※金融庁『資産運用シミュレーション』より作成)
上記シミュレーションでは約41万円の差になり、同じ投資対象の投資信託ならより安い信託報酬の商品を選ぶことがどれだけ大事かわかるはずだ。
アクティブファンドでも信託報酬は確認すべき項目だが、運用方針やファンドマネージャーの力量差のほうが影響は大きい。
インデックスファンドのように投資対象をそろえて比較することも難しいため、手数料以上に運用の中身や実績が重要だ。

しかし、銘柄ごとに特徴が全く異なるアクティブファンドは、初心者が選び抜くのは難しいかもしれません。その意味で、投資初心者はコストが低く、シンプルなインデックスファンドを選ぶといいでしょう。
6.銀行で買えるおすすめ投資信託3選

先ほどの条件を踏まえ、初心者にも向いているおすすめの投資信託を3つ紹介したい。
- バランスを重視したいなら……たわらノーロード バランス(標準型)
- 収益を重視したいなら……eMAXIS Slim全世界株式(オール・カントリー)
- 安定を重視したいなら……ダイワ・ライフ・バランス30
購入できる 銀行例 |
信託報酬 | 販売 手数料 |
信託財産 留保額 |
つみたて NISA対象 |
トータル リターン1年 |
シャープ レシオ1年 |
|
---|---|---|---|---|---|---|---|
たわらノーロード バランス(標準型) |
三菱UFJ銀行 みずほ銀行 常陽銀行 |
年率 0.242% 以内 |
なし | なし | ○ | 14.77% | 8.01% |
eMAXIS Slim 全世界株式 (オール・カントリー) |
三菱UFJ銀行 PayPay銀行 東京スター銀行 |
年率 0.1144% 以内 |
なし | なし | ○ | 33.65% | ― |
ニッセイ・ インデックスバランスF (4資産均等) |
京都銀行 ソニー銀行 PayPay銀行 |
年率 0.154% |
なし | なし | ○ | 15.34% | 7.24% |
バランスを重視したいなら……たわらノーロード バランス(標準型)

• 信託報酬……0.242%以内(税込)
• 信託財産留保額……0円
• 購入できる銀行例……三菱UFJ銀行、みずほ銀行、常陽銀行

たわらノーロードは、「標準型」以外にリスク資産の比率が20%の「堅実型」と80%の「積極型」もあります。投資目的やリスク許容度などに合わせて、比較検討するといいでしょう。
収益を重視したいなら……eMAXIS Slim全世界株式(オール・カントリー)

• 信託報酬……0.1144%以内(税込)
• 信託財産留保額……0円
• 購入できる銀行例……三菱UFJ銀行、PayPay銀行、千葉銀行、東京スター銀行
出典:三菱UFJ国際投信『eMAXIS Slim全世界株式(オール・カントリー)』
eMAXIS Slim全世界株式(オール・カントリー)は日本も含んでいるが、日本を除外して海外株式のみで運用するタイプもある。
たとえば、eMAXIS Slim全世界株式(除く日本)だ。

相対的に成長力のある海外のみに限定して投資したい場合は、eMAXIS Slim全世界株式(除く日本)などを選んでもいいでしょう。日本を除いているだけで、その他の投資対象国や手数料は全く同じです。
安定を重視したいなら……ニッセイ・インデックスバランスF(4資産均等)

• 信託報酬……0.154%以内(税込)
• 信託財産留保額……0円
• 購入できる銀行例……京都銀行、ソニー銀行、PayPay銀行
出典:ニッセイアセットマネジメント『<購入・換金手数料なし>ニッセイ・インデックスバランスファンド(4資産均等型)』

ニッセイ・インデックスバランスF(4資産均等)は、投資資産も投資比率もシンプルでわかりやすく、分散投資で着実に資産を増やしたい初心者向けの商品です。
7.投資初心者が銀行で買ってはいけない投資信託

投資初心者におすすめできない投資信託もある。
- テーマ型投資信託。
- 毎月分配型投資信託
- 内容が複雑で理解できない投資信託
投資初心者が銀行で買ってはいけない投資信託1,テーマ型投資信託
銀行でよく見かけるのは、AI(人工知能)やロボットなど今後成長が期待できる特定の分野を投資対象にする投資信託である。

短期間の投資ならまだいいかもしれませんが、投資初心者がタイミングを計って投資するのは難しいでしょう。
投資初心者が銀行で買ってはいけない投資信託2,毎月分配型投資信託
毎月分配型のように分配頻度の高い投資信託もおすすめできない。

毎月分配型の投資信託は決してダメなわけではありませんが、高齢でお金を取り崩しながら運用したい人が投資するような商品で、資産形成に向いているとは言えません。
投資初心者が銀行で買ってはいけない投資信託3,内容が複雑で理解できない投資信託
内容が複雑で理解できない投資信託も初心者におすすめできない。

自分がどんな商品に投資しているのかを理解するためにも、投資初心者はシンプルでわかりやすい商品から始めるのがおすすめです。
LINE証券 | 楽天証券 | SBI証券 | 松井証券 | |
---|---|---|---|---|
投資信託本数 | 30本 | 2,694本 | 2,698本 | 1,183本 |
手数料無料の銘柄本数 | 購入手数料無料 | 全ての投資信託の 購入時手数料が無料 |
1,349本 | 全ての投資信託の 購入時手数料が無料 |
最低投資金額 | 1,000円 | 100円 | 100円 | 100円 |
詳細 |
8.投資初心者は自分のスタイルに合わせて銀行か証券会社かを選ぼう
銀行は日々の生活でも使うことも多く、資産運用だけではないお金の相談ができる。一方の証券会社は投資に特化している。
積極的に投資がしたい場合は銀行ではなく証券会社を検討してみよう。証券会社では投資信託に限らず、株式、債券、FXなどさまざまな金融商品が幅広く揃う。

SBI証券や楽天証券などの大手ネット証券会社では、投資信託の取り扱い本数が豊富なだけでなく、セミナーや情報発信など個人投資家向けサービスも充実しています。AIを使った資産運用アドバイスもあるので、投資初心者でも運用の参考にできて便利です。
投資初心者がどのような投資をしたいかによって銀行か証券会社かの選択は変わってくるはずだ。1つの金融機関でお金のことをまとめたい場合は銀行で資産運用し、豊富なラインアップから投資を考えたい場合は証券会社というような選び方もある。

いずれにしても自分がどのように投資をしていきたいのかイメージし、スタイルに合わせて金融機関を選んでみてください。
9,投資初心者でよくある5つのQ&A
実際に投資信託を始めてみる
積立コースは毎日・毎週・毎月の3種類、NISA枠ぎりぎり注文で投資可能枠を使い切れる
>>SBI証券の詳細はこちら(公式サイトへ)
投資信託の保有だけで楽天ポイントが貯まる、貯まったポイントで積立投資も可能
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1日の株式約定代金合計50万円まで無料、サポート体制も充実
>>松井証券の詳細はこちら(公式サイトへ)
毎月100円から積立可能、通常の現物株式の取引手数料が最大5%割引になる
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