インドは中国と並ぶアジアの経済大国として成長が期待されている。コロナ禍からの堅調な回復から投資家からも注目が集まるが、現在のところ日本から個人がインド市場に投資する方法は限られている。投資信託でインドに投資する方法や注目の銘柄についてまとめた。

目次
1.インド経済は好調が期待できる
2.インドに投資する方法
3.インドを投資対象とする投資信託
4.インド投資信託を運用する際の注意点
5.インド投資信託はほかの投資先と組み合わせて分散投資を

1.インド経済は好調が期待できる

長く2桁成長が続いていた中国だが、2020年第3四半期(7~9月)の実質GDP成長率は4.9%で、その勢いには陰りが見られる。アジアの経済大国として次に期待されるのはインドだ。

2020年末、インド株式の株価指数SENSEX指数(30種)は史上最高値で終えた。コロナ禍では他国同様あらゆる指標の低調が続いたが、その後の順調な回復ぶりからインドには多くの資金流入が見られる。

インドは「人口ボーナス期」に入る

投資対象地域としてインドが注目される理由はいくつかある。ひとつはインドが「人口ボーナス期」を迎えている点が挙げられる。人口ボーナス期とは生産年齢人口比率が増加する時期のことを指す。生産活動が活発化することにより経済成長が加速し、賃金の上昇や消費の拡大につながる。日本では1960年代から1970年代にかけての経済成長がそれにあたる。

インドの人口が多いのは今に始まったことではないが、消費のカギとなる中間所得層の増大が見込まれる点が大きい。中国は依然総人口で世界一位だが、中間所得層は2020年でピークアウトする。一方インドは2030年以降も中間所得層は増加すると予測されている。

インド政府による経済政策の後押し

政府の経済政策が功を奏している側面もある。モディ政権はインフラ整備と製造業の振興を成長の柱に掲げており、同時に外資の誘致にも力を入れている。インド経済をグローバル化させることによって輸出・雇用・税収を伸ばす戦略だ。モディノミクスへの評価は賛否あるが、少なくとも株式市場を見る限りインド企業には高い期待が集まっていることは間違いない。

2.インドに投資する方法

成長のポテンシャルが大きいインドに個人が投資したい場合、どのような方法があるか。

「ADR」を使えばインド株に投資できるが難易度が高い

日本からはインド株式市場に上場されている株式を直接購入することはできない。しかし「ADR(米国預託証券)」を活用すればインドの個別株を日本にいながら購入可能だ。

ADRとは米国株式市場に上場された預かり証券を保有することで、実質的な株主となる仕組みである。ただし投資先は個別企業株に限られ、取扱数も少ない。商品数の豊富さで有名なネット証券最大手であるSBI証券でさえ、インドADRの取扱数は8件にとどまる(2021年7月27日時点)。

インドに投資するなら投資信託かETFが手軽

初心者や多忙な個人投資家にとってインドに投資する方法として最もなじみやすいのは投資信託だろう。

投資信託は株式市場全体、あるいは複数の銘柄、債券やREIT(不動産投資信託)を組み合わせたものなど、さまざまなインド関連ファンドから選べ、少額から投資できる。プロに運用を任せるため手間がかからない一方で、株式投資では発生しない運用手数料(信託報酬)が発生する。特にインドのような新興国の場合、手数料は高めに設定されることが多い。

ETF(上場投資信託)もインド経済に準じたものがある。インドを投資対象にした投資信託に比べて手数料が低めだが、投資信託ほど詳細な情報提供は義務付けられていない。だがETFは基本的には特定の指数に連動するインデックス運用なので、その指数の特徴をよくつかんでおくことが重要だろう。

3.ポイント別!インドを投資対象にする投資信託4選

投資信託格付け会社モーニングスターで検索すると、インドを投資対象地域とする投資信託は59件で、純資産総額の合計は1兆2,355億円になる(2020年1月7日時点)。2021年7月時点では89件と増加している。この中から自身に最適なファンドを選ぶにはどのような切り口があるだろうか。

純資産総額、リターン、コスト、設定日からの期間に注目して、それぞれの観点で上位にある投資信託をピックアップした。

純資産総額が最も高いインド投資信託……野村 インド株投資

投資信託の純資産総額はファンドの持つ規模や安定性をはかる1つの指標になる。インドを投資対象とする投資信託のうち、純資産総額が高いのは「野村 インド株投資」だ。残高は2,687.6億円に達する( 2021年7月27日現在)。

野村 インド株投資は、インド企業の株式を実質的な投資対象とし、インドの総合的な株価指数である「MSCIインド・インデックス」を上回る投資成果を目指すアクティブ型投資信託である。1年リターンは2.46%、6ヵ月リターンは17.84%と、収益の変動が大きい。だが5年で11.93%、10年で8.90%(2021年6月末)と、長期では安定してくる。信託報酬は2.2%と同カテゴリにおいてはやや高めである。

リターンが最も良いインド投資信託……新生・UTIインドファンド

1年リターンで最も成績が良かったのが「新生・UTIインドファンド」だ。コロナ禍で不安定な情勢だったにもかかわらず、75.17%のリターンをたたき出している。3年リターンは15.44%、5年は17.92%だ。

新生・UTIインドファンドは、投信評価をおこなうリフィニティブ・リッパーの『ファンド・アワード 2020ジャパン』最優秀ファンド賞を受賞した。主にインドの金融・情報通信銘柄を組み入れている。

もうひとつ、「イーストS・インド消費関連ファンド」も1年リターン60.49 %、3年11.61%、5年17.92%(2021年7月27日現在)とまずまずだ。インドの流通・小売・サービス業など消費関連株式のみを対象とするユニークなファンドで、消費意欲の高いインドでは長期的な成長が期待できる。組み入れ銘柄の35%は銀行株、16%が自動車・自動車部品、9%が家庭用品だ。

コスト(信託報酬)が最も安いインド投資信託……(NEXT FUNDS)インド株式指数上場投信

新興国を対象とした投資信託はどうしてもコストが高くなりがちだが、その中で低めに抑えられているのが「(NEXT FUNDS)インド株式指数上場投信」だ。ETFであるため投資信託に比べて手数料が低く信託報酬率は1.05%、同カテゴリの投資信託の平均よりも0.9%ほど低い。インドを代表する株価指数であるのNifty 50指数に連動する。リターンは年率約5%で安定している。

T&Dアセットマネジメントの「インド・ダブルブル7」「インド・ダブルベア7」も信託報酬が1.07%と低めだ。これらはインドNifty 50指数のおおむね2倍あるいは反対に2倍の値動きをする。まだ新しいため1年以上のリターンは不明だが、コロナショック後の堅調な回復を反映してブルは1年リターン92.42%、ベアは-61.44%という結果だ。ただしレバレッジ商品であるため値動きが大きいことには注意が必要だ。

設定日が早い(実績が長い)インド投資信託……イーストS・インド株式オープン

運用期間が長い投資信託は参考になる実績も豊富で長く続いてきた信頼感がある。インド投資信託の中で最も設定日が古いのは「イーストS・インド株式オープン」だ。同ファンドの設定日は2004年9月30日で、同年11月30日に「HSBCインドオープン」、同12月20日に「ドイチェ・インド株式ファンド」が登場している。

ちょうど「BRICs」といった用語が話題になり、成長の期待できる新興国の1つとしてインドが注目された頃だ。最も純資産総額が大きいのがイーストS、基準価額が高いのがHSBC、リターンが優れているのがドイチェである。3本とも企業分析をして銘柄を選別するアクティブ型投資信託だ。

4.インド投資信託を運用する際の注意点

将来的な成長が期待できるインドへの投資は投資信託が便利だが、いくつか注意すべきことを紹介しておきたい。

インド投資信託はハイリスク・ハイリターン

新興国への投資は基本的にハイリスク・ハイリターンだ。短期間に大きく値動きする場合があるので、一定期間だけを切り取ったリターンどおりに利益を得られる保証はない。

インド投資信託はほとんどがアクティブ型投資信託

インド投資信託のほとんどがアクティブ運用のファンドだ。そのため、ファンドごとにパフォーマンスに大きな差異がある。交付目論見書や月次報告書に目を通し、インドのどの分野、どの企業に投資しているのか違いを見極めることが重要だ。漠然とインド経済全体に投資したいのであれば、株価指数などをベンチマークとするインデックス型投資信託が適している。

インド投資信託は手数料が高め

インド投資信託は手数料が高くなりがちだ。同カテゴリの平均信託報酬率は1.94%なので、できればそれを下回るファンドを選びたい。信託報酬は保有している限り発生するため、長期になるほどコストがかさむ。

5.インド投資信託はほかの投資先と組み合わせて分散投資を

インドは大きなポテンシャルのある国だが、GDP成長率は減少傾向にあり、株価指数とは違った動きを見せている。政情の安定性、成長と環境の両立など課題も多く、期待どおりの結果が得られるとは限らない。あくまでもポートフォリオの一部として位置付けるべきであり、手持ちの資金を全額投入といった投資方法は避けたいところだ。

 

篠田わかな
執筆・篠田わかな
外資系経営コンサルティング会社で製造・物流・小売部門のコンサルタント業務/システム改革プロジェクトに参画。退職後独学でFP技能士の資格を取得。開業して個人事業主となり、マネー・ビジネス分野の執筆、企業からの請負業務を手がける。
外資系経営コンサルティング会社で製造・物流・小売部門のコンサルタント業務/システム改革プロジェクトに参画。退職後独学でFP技能士の資格を取得。開業して個人事業主となり、マネー・ビジネス分野の執筆、企業からの請負業務を手がける。

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