投資信託には「王道」銘柄がある。「日本株式ならこれ」「米国株式ならこれ」といった具合だ。つみたてNISAで外国株式、特に先進国株式への投資を考えているなら、「ニッセイ外国株式インデックスファンド」が王道銘柄の一つだ。

目次
1.つみたてNISA(積立NISA)での投資信託選びのポイント
2.ニッセイ外国株式インデックスファンドの特徴
3.つみたてNISA(積立NISA)における同カテゴリファンドの比較
4.ニッセイ外国株式インデックスファンドの注意点

1.つみたてNISA(積立NISA)での投資信託選びのポイント

つみたてNISAで銘柄を選ぶ際、まず考えるべきことは何だろうか。

インデックス型投資信託かアクティブ型投資信託か

つみたてNISAで銘柄選びに迷ったら、まずインデックス型とアクティブ型のどちらにするかを決める。インデックス型は、ベンチマークとする指標とほぼ同じ動きをするように設計されている。値動きが比較的読みやすく、手数料が安い。

アクティブ型は、それぞれの方針に合わせてファンドマネージャーが投資商品を組み入れる。積極運用向きで、手数料はやや高めだ。

つみたてNISAではインデックス型が167本、アクティブ型が19本用意されている。初心者や仕事で忙しい人などはインデックス型を選ぶとよいだろう。

つみたてNISA(積立NISA)では株式を含む投資信託に投資する

インデックス型投資信託は、投資対象を何にするかが重要だ。国内株式ならTOPIXや日経平均など、外国株式なら全世界、先進国、米国、新興国の株式指数から選ぶ。つみたてNISAは株式を含む投資信託やETFが対象なので、債券市場や不動産市場のみの指数は対象外だ。

つみたてNISA(積立NISA)で外国株式投資信託を買う

すでに日本株や国内型投資信託を保有している場合は、外国株式を幅広くカバーできるファンドがおすすめだ。その場合、全世界を対象とするか先進国を対象とするかを決めることになる。

新興国を含めた世界全体に分散投資をしたい場合は「MSCI オール・カントリー・ワールド」あるいは「FTSE Global All Cap Index」に連動する投資信託を選ぶとよい。優良企業が多い先進国に幅広く投資したい場合は「MSCI コクサイ・インデックス」または「FTSE Developed All Cap Index」がよいだろう。

ニッセイ外国株式インデックスファンドもつみたてNISA(積立NISA)の対象銘柄

特に「MSCI コクサイ・インデックス」は、日本における外国株式投資の際のベンチマークとして有名だ。日本を除く先進24ヵ国に投資し、各国の大型・中型株の時価総額上位約85%をカバーしている。つみたてNISAでも17銘柄に投資できる。「ニッセイ外国株式インデックスファンド」はその一つだ。

2.ニッセイ外国株式インデックスファンドの特徴とは

ニッセイ外国株式インデックスファンドは、ニッセイアセットマネジメントが運用するインデックスファンドシリーズ「<購入・換金手数料なし>シリーズ」の先進国を対象とする銘柄だ。同ファンド以外では日経平均、TOPIX、JPX日経400、世界株式ファンド(GDP型バスケット)、新興国株式、バランス(4資産均等型)、バランス(6資産均等型)がつみたてNISAの対象商品になっている。

ニッセイ外国株式インデックスファンドは、外部機関からの評価も高い。「投信ブロガーが選ぶ! Fund of the Year 2020」ではコストの低さが評価され2位にランクインしている。「Yahoo!ファイナンス ベストファンドアワード2019」でもファン投票部門で優秀賞を受賞、またポートフォリオ登録部門で入賞している。

人気の理由は低いコストだけでなく、リターンを上げていたことも大きい。2021年01月31日を起点にして、トータルリターンは3ヵ月で年率17.09%、6ヵ月で17.74%、1年で11.15%だ。運用コスト(信託報酬)が0.10%でこれだけのリターンが得られれば、投資家の満足度が高くなるもうなずける。

3.つみたてNISA(積立NISA)における同カテゴリファンドの比較

先進国株式の指標「MSCI コクサイ・インデックス」に連動する17銘柄のうち、「販売手数料がかかるもの」「販売会社が1社に限られるもの」「為替ヘッジがあるもの」を除いた11銘柄を比較した。

ファンド名 運用会社名 純資産
(百万円)
信託報酬等
(税込)
運用年数 トータルリターン
(年率)
1年 3年
ニッセイ 外国株式
インデックスファンド
ニッセイ 244,781 0.10% 7年 11.15% 8.03%
たわらノーロード
先進国株式
アセマネ
One
92,680 0.11% 5年 11.10% 7.99%
iFree外国株式
インデックス(H無)
大和 8,420 0.21% 4年 10.96% 7.93%
eMAXIS Slim
先進国株式インデックス
三菱UFJ
国際
169,366 0.10% 3年 11.12% 8.06%
Smart-i 先進国株式
インデックス
りそな 7,301 0.22% 3年 10.82% 7.81%
東京海上S・
外国株式インデックス
東京海上 31,130 0.22% 10年 10.75% 7.88%
つみたて先進国株式 三菱UFJ
国際
26,739 0.22% 3年 10.99% 7.95%
外国株式指数ファンド 三井住友
DS
2,692 0.55% 11年 10.79% 7.70%
eMAXIS 先進国株式
インデックス
三菱UFJ
国際
50,223 0.66% 11年 10.49% 7.47%
i-SMT グローバル
株式インデックス
三井住友
TAM
299 0.21% 3年 10.93% 7.92%
※筆者作成、2021年2月22日時点

純資産総額……ニッセイ 外国株式インデックスファンドが最大

ニッセイ 外国株式インデックスファンドは、17銘柄の中で最も純資産総額が大きい。純資産総額はファンドの規模を表す数字で、大きければ良いというわけではないが、純資産総額が小さすぎると運用が維持できず、繰上償還となることがある。2,000億円あれば、十分な規模といえるだろう。

信託報酬……ニッセイ 外国株式インデックスファンドが年率0.10%と最安

インデックス型投資信託で注意したいのが信託報酬だ。長期間保有することが多いインデックスファンドは、運用中にかかるコストを抑えることが利益を上げるポイントになる。

ニッセイ 外国株式インデックスファンドは、年率0.10%と最安。100万円保有している場合、年間1,000円だ。同水準のファンドに、三菱UFJ国際投信の「eMAXIS Slim先進国株式インデックス」がある。

運用年数……ニッセイ 外国株式インデックスファンドは7年

設定されてから現在までの運用年数が長いファンドは、それだけ実績があることを意味する。ニッセイ 外国株式インデックスファンドは7年とまずまずだ。運用年数が長いと信頼性の高さが感じられるほか、運用成績のデータが豊富なので投資判断がしやすいことも大きい。

運用年数がさらに長いファンドもあるが、純資産総額が低い、あるいは信託報酬が高いといった欠点がある。

トータルリターン……ニッセイ 外国株式インデックスファンドは最高水準

同じ指標をベンチマークとしているため、利回りを表すトータルリターンに大きな違いはない。利回りはいずれも1年なら約10%、3年なら約8%である。リターンが同じなら、コストが安いファンドのほうが有利なのはいうまでもない。

4.ニッセイ外国株式インデックスファンドの注意点

先進国株式に分散投資するなら定番ともいえるニッセイ外国株式インデックスファンドだが、購入にあたって気をつけたいこともある。

ベンチマーク以上の成果は期待できない

ニッセイ 外国株式インデックスファンドは、「MSCI コクサイ・インデックス」に連動するように設計されている。過去の基準価額は指標とほぼ同じ動きをしており、ここ1年ではベンチマークが11.0%上昇するとファンドも11.0%上昇、3年ではベンチマークが25.6%上昇するとファンドも26.1%上昇する、といった具合だ。

ここ数年は先進国株式が好調な動きを見せているが、今後下落基調になった場合はファンドも値下がりするおそれがある。アクティブファンドのように、ファンドマネージャーの腕でベンチマークを上回る成績を出す、といったことは期待できない。

これ1本では全カテゴリをカバーできない

投資対象地域が日本を除く先進24ヵ国なので、日本や新興国は投資対象に入っていない。また、債券やREITも組み入れられていない。複合資産のバランスファンドや全世界株式のファンドに比べて、カバー範囲が狭い銘柄といえる。ニッセイ 外国株式インデックスファンド1本では完全な分散投資は難しいので、別の商品と組み合わせて運用したい。

為替変動リスクがある

ニッセイ 外国株式インデックスファンドには為替ヘッジがないため、為替変動リスクを伴う。購入時より円高になると、ファンドの価値が下がる。為替先物予約などを使って為替ヘッジを行えば為替変動の影響は受けないが、そのための手数料(為替ヘッジコスト)がかかる。「為替ヘッジあり」の銘柄に劣るわけではないが、同ファンドには為替リスクがあること覚えておこう。

篠田わかな
執筆・篠田わかな
外資系経営コンサルティング会社で製造・物流・小売部門のコンサルタント業務/システム改革プロジェクトに参画。退職後独学でFP技能士の資格を取得。開業して個人事業主となり、マネー・ビジネス分野の執筆、企業からの請負業務を手がける。
外資系経営コンサルティング会社で製造・物流・小売部門のコンサルタント業務/システム改革プロジェクトに参画。退職後独学でFP技能士の資格を取得。開業して個人事業主となり、マネー・ビジネス分野の執筆、企業からの請負業務を手がける。

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