日本の大手証券会社ランキング(口座数部門)では、第1位がSBI証券、第2位が楽天証券だ。
ネット証券は総合証券に比べて歴史は浅いものの、利用者は急速に拡大しており、SBI証券と楽天証券では口座数が1,000万口座を突破している。
格付けランキングではメガバンク系総合証券が強く、みずほ証券、三菱UFJモルガン・スタンレー証券、SMBC日興証券が同率1位である。
本記事では、口座数、格付けのほか、売上高、時価総額、預かり資産、店舗数で日本の証券会社のランキングを作成した。
国内現物株式 取引手数料 <1約定ごと プラン> |
0円(※1) | 0円(※2) | ~5万円:55円 ~10万円:99円 |
~5万円:55円 ~10万円:99円 |
※1日定額 コースのみ |
IPO実績 (2023年) |
91社 | 61社 | 54社 | 26社 | 70社 |
単元未満 株取引 |
◎ S株 |
◎ かぶミニ |
◎ ワン株 |
◎ プチ株 |
× 売却のみ |
投資信託 取扱本数 |
2,577本 | 2,560本 | 1,748本 | 1,743本 | 1,819本 |
外国株式 取扱国数 |
9カ国 ※3 |
6カ国 ※4 |
2カ国 ※5 | 米国のみ | 米国のみ |
NISA つみたて投資枠の 取扱銘柄数 |
◯ 218本 |
◯ 213本 |
◯ 217本 |
◯ 217本 |
◎ 221本 |
口座開設数 | 1,100万口座超 ※6 |
1,000万口座超 | 225万口座 | 164万口座 | 145万口座 |
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目次
日本の大手証券会社ランキング【2024年版】口座数、格付けは?
投資家からの人気のバロメーターである証券口座数のランキング第1位は約1,169万口座のSBI証券、第2位は約1,020万口座の楽天証券だ。両社とも新NISAの開始や株式相場の上昇を追い風に口座数を伸ばしている。
格付けランキングでは、メガバンク系総合証券が強い。みずほ証券、三菱UFJモルガン・スタンレー証券、SMBC日興証券が同率1位という結果になった。
主要ネット証券の中で格付けが高いのはauカブコム証券だ。MUFGとKDDIの共同出資による高い信用力が評価されている。
売上高は証券会社が事業で得られる収益の大きさを示している。野村證券、大和証券、みずほ証券、三菱UFJモルガン・スタンレー証券、SMBC日興証券の、いわゆる五大総合証券がTOP5を占めている。
顧客預かり資産ランキングでも顧客に富裕層を多く抱える五大総合証券が第1位から第5位までを占め、圧倒的な強さを見せた。
大和証券、野村證券を抑えて店舗数の第1位になったのはみずほ証券だ。店舗をグループ内の銀行、証券、信託の要として活用し、国内で221店舗を構える。
口座数ランキングTOP10!証券口座のおすすめは?
証券口座数ランキング第1位は約1,169万口座のSBI証券だ。言わずと知れたネット証券最大手であるが、業界全体でも存在感を示している。
※1:SBIネオモバイル証券、SBIネオトレード証券、FOLIOの口座数を含む
順位 | 社名 | 証券総合口座数 | 公式サイト |
---|---|---|---|
1位 | 1,168万6,000口座 ※1 | ||
2位 | 1,020万口座 | ||
3位 | 544万8,000口座 ※2 (547万6,000口座) |
||
4位 | 340万9,000口座 (288万2,000口座) |
||
5位 | 310万6,000口座 ※2 (364万1,000口座) |
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6位 | 225万1,737口座 (127万7,437口座 ※2) |
マネックス証券の詳細を見る (公式サイト) |
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7位 | 169万口座 (約133万1,000口座) |
みずほ証券の詳細を見る (公式サイト) |
|
8位 | 164万2,347口座 | auカブコム証券の詳細を見る (公式サイト) |
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9位 | 151万1,467口座 | ||
10位 | 106万5,000口座 ※2 |
・楽天証券(2位)
・マネックス証券(6位)
・auカブコム証券(8位)
・松井証券(9位)
20代~40代の投資初心者にとって、SBI証券や楽天証券は、豊富な商品ラインアップと手数料の安さを兼ね備えた使い勝手の良い会社といえます。多くの顧客に支持されていることも安心感につながっているようです。
竹国弘城(ファイナンシャル・プランナー)
口座数1位:SBI証券
SBI証券単体の口座数は公表されていないため厳密な比較はできませんが、第2位の楽天証券とは約200万口座、野村證券には倍以上の差をつけ、投資家からの人気の高さがうかがえます。
口座数の増加には、国内株式取引手数料の無料化や、新NISA開始なども大きく貢献しています。
竹国弘城(ファイナンシャル・プランナー)
SBI証券は業界のコストリーダーとして、「業界最低水準の手数料で業界最高水準のサービスの提供」を掲げ、さまざまな手数料の無料化を進めてきた。
手数料の引き下げは収益の低下を招くが、競争における優位性をもたらし、シェア獲得の大きな原動力となる。結果的にSBI証券は多くの投資家から選ばれ、ネット証券最大手の地位を確固たるものにした。
SBI証券には全国各地に地銀と共同運営する「SBIマネープラザ」という対面営業店舗もあり、地銀や地方からの新規顧客獲得に大きな役割を果たしている。
IFAビジネスにも力を入れており、富裕層や高齢顧客の取り込みにも積極的だ。2020年10月からは、対面ラップサービスを開始しており、プロが設計するグローバル分散投資の提案と担当者によるフォローアップを行っている。
ネット証券でありながら、幅広い年代、さまざまな投資方針をもつ顧客がアクセスしやすい窓口が設けられている点も魅力といえるだろう。
口座数2位:楽天証券
楽天証券株式会社(以下「楽天証券」)は、2023年12月に、証券総合口座数が国内証券会社単体(開示情報ベース)で最多の1,000万口座超となったことをお知らせします。
(引用元:楽天証券)
楽天証券は、各種ポイントサービスや投信積立の楽天カード決済、楽天キャッシュ決済など、楽天ポイントを貯めやすい仕組みが用意されており、楽天グループのサービスとの相性がよい。
楽天グループのサービスをよく利用し、楽天ポイントを貯めている、いわゆる「楽天経済圏」で生活する人にとっては、利用価値の高い証券会社だ。
低コストで充実した商品ラインアップ、使いやすいサイトや取引ツールなどが特長であり、新規口座開設者には、30代以下の若年層や女性が多い。
楽天証券では、初心者向けのサービスとして、投資情報満載のトウシル公式アプリの提供や、YouTubeでの投資の始め方の情報配信、投資関連書籍の無料配布などを活発に行っている。
口座数が首位のSBI証券とは熾烈な競争を繰り広げており、手数料や商品ラインアップ、提携ネット銀行とのサービスなどが拮抗しています。
どちらにするか迷う場合、楽天経済圏で生活している人や、サイトや取引ツールの使いやすさを重視する人には、楽天証券がおすすめです。
竹国弘城(ファイナンシャル・プランナー)
口座数3位:野村證券
野村證券は日本を代表する総合証券であり、顧客預り資産や売上高は業界内で群を抜く。しかし、口座数は2020年にSBI証券、2021年には楽天証券に相次いで抜かれ、国内第3位になった。
SBI証券と楽天証券が口座数を着実に増やしている中、野村證券の口座数はほぼ横ばいの状態が続く。
野村證券は顧客の高齢化や口座数の伸び悩みが課題です。しかし、顧客には富裕層が多く、個々の要望や金融資産、ライフステージに応じて、担当者から専門的できめ細やかなコンサルティングを受けられる点は、野村證券の大きな強みでしょう。
竹国弘城(ファイナンシャル・プランナー)
株式や債券といった伝統的な運用商品はもちろん、お客様のご要望や金融資産、ライフステージに応じて、相続、不動産、資産承継、資金調達、企業金融アドバイスなど、きめ細かなコンサルティングを行っています。
出典:野村證券
証券会社の格付け一覧!もっとも安全性が高いのは?
格付けランキングは、メガバンク系総合証券のみずほ証券と三菱UFJモルガン・スタンレー証券、SMBC日興証券が同率1位という結果になった。
3社ともメガバンクを中核とする総合金融グループの証券子会社であり、グループ全体の信用力が高い評価につながっています。
竹国弘城(ファイナンシャル・プランナー)
格付とは、格付会社が発行体の債務支払能力を評価した等級のことである。
会社が社債などの金融商品を発行する際に、債務を返済する能力が極めて高いと評価されると「AAA」や「AA+」などが付与される。反対に、信用力に問題があり、常時注意する必要があると判断されれば「B-」、「CCC」などの等級が付与される。
国際的には「S&P」や「Moody’s」、「Fitch」といった格付会社が有名だ。国内では日本格付研究所(JCR)、格付投資情報センター(R&I)が一般的である。
格付(長期)を総合的に評価して、信用力の高い順に並べると、総合証券が上位を占めた。
順位 | 社名 | 信用格付(長期) | |
---|---|---|---|
1位 | AA(R&I) AA(JCR) A(S&P) A1(Moody’s) A-(Fitch) |
みずほ証券の詳細を見る (公式サイト) |
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1位 | AA(R&I) AA(JCR) A(S&P) A1(Moody’s) A-(Fitch) |
三菱UFJモルガン・スタンレー証券の 詳細をみる (公式サイト) |
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1位 | AA(R&I) AA(JCR) A(S&P) A1(Moody’s) |
SMBC日興証券の詳細を見る (公式サイト) |
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4位 | AA(R&I) AA−(JCR) |
auカブコム証券の詳細を見る (公式サイト) |
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5位 | A+(R&I) AA-(JCR) A-(S&P) A3(Moody’s) A-(Fitch) |
野村證券の詳細を見る (公式サイト) |
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6位 | A(R&I) A+(JCR) A−(S&P) A3(Moody’s) A−(Fitch) |
大和証券の詳細を見る (公式サイト) |
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7位 | A(R&I) A(JCR) |
SBI証券の詳細を見る (公式サイト) |
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8位 | A-(R&I) A−(JCR) |
楽天証券の詳細を見る (公式サイト) |
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9位 | BBB+(R&I) A-(JCR) |
GMOクリック証券の詳細を見る (公式サイト) |
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10位 | 東海東京証券 | BBB+(R&I) BBB+(JCR) |
東海東京証券の詳細をみる (公式サイト) |
10位 | BBB+(JCR) | マネックス証券の詳細を見る (公式サイト) |
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10位 | BBB+(R&I) | 松井証券の詳細を見る (公式サイト) |
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10位 | 岡三証券 | BBB+(JCR) | 岡三証券の詳細を見る (公式サイト) |
格付け1位(同率):みずほ証券
みずほ証券は、日本の三大総合金融グループの一角であるみずほフィナンシャルグループ(以下、みずほFG)の子会社だ。格付けにはみずほFGの信用力が反映され、高い評価を得ている。
経営管理やリスク管理、財務、資本運営においてみずほ証券はグループの枠組みに組み込まれており、人的な関与を含めみずほFGの支配・関与度は強い。また、みずほFGの証券戦略の中核を担っており経営的重要度は高い。これらを踏まえ、みずほ証券の発行体格付はグループ信用力「AA」相当と同等としている。
引用:日本格付研究所(JCR)ニュースリリース・2023年11月6日付
格付け1位(同率):三菱UFJモルガン・スタンレー証券
三菱UFJモルガン・スタンレー証券は三菱UFJフィナンシャル・グループ(以下、MUFG)が60%、米国モルガン・スタンレーが40%を出資する、MUFGの連結子会社だ。
そのため、三菱UFJモルガン・スタンレー証券の格付けにもMUFGの信用力が反映されている。
MUFGは事業本部制のもとでグループ一体型経営を推進している。経営管理やリスク管理、財務、資本運営においてMUSHD(筆者注:三菱UFJホールディングス)は枠組みに組み込まれており、人的な関与を含めMUFGの支配・関与度は強い。また、MUSHDは、MUFGの証券戦略の中核を担っており経営的重要度は高い。これらを踏まえ、MUSHDの発行体格付はMUFGのグループ信用力「AA」相当と同等としている。三菱 UFJモルガン・スタンレー証券(MUMSS)は、MUSHDの中核子会社であり実質一体と考えられることから、格付はMUSHDと同格としている。
引用:日本格付研究所(JCR)ニュースリリース・2023年11月6日付
みずほ証券と同様に、MUFGの信用力の高さが、三菱UFJモルガン・スタンレー証券の高い信用力の裏付けになっています。
竹国弘城(ファイナンシャル・プランナー)
格付け1位(同率):SMBC日興証券
SMBC日興証券は、日本の三大総合金融グループの一つである三井住友フィナンシャルグループ(以下、三井住友FG)の100%子会社だ。
三井住友FGは証券・投資銀行、カード、消費者金融など、事業を多角的に展開しており、大企業から中小企業まで顧客層も厚い。収益性を重視した経営姿勢や資産の健全性も高く評価されている。
SMBC日興証券は、財務体質が頑強で収益性も良好な三井住友FGの完全子会社であることから、グループ同様に高格付が付与されている。
2022年10月には相場操縦による一部業務停止や業務改善命令などの行政処分を受ける不祥事を起こしたものの、信用格付けは据え置かれた。
相場操縦事案の影響による収益の減少額は、SMBCグループの収益に対してみればインパクトが低く、グループ信用力への影響は限定的だという理由からだ。
SMBCグループとの一体性の強さ、すなわち(1)グループにおける戦略上の重要性、(2)グループとの資本面、人事面、営業面、資金調達面における結びつき−を踏まえグループ信用力と同等にしている。相場操縦事案の影響による収益の減少額は、22/3期から23/3期第1四半期までに累計200億円程度と試算されており、当面も収益の下押し要因となる可能性がある。もっとも、グループ収益に対してみれば収益減少のインパクトは小さく、グループ信用力への影響は限定的とJCRはみている。また、グループにおける戦略上の重要性に変化がみられないため、現在の格付とそれを支える見方を変更する必要性は低いとJCRはみている
出典:日本格付研究所(JCR)ニュースリリース・2022年10月7日付
不祥事を起こす企業体制は褒められたものではありません。しかし、不祥事を起こしても業界で最高水準の格付けが維持されたという点では、SMBC日興証券の信用力の高さを示すものといえます。
竹国弘城(ファイナンシャル・プランナー)
格付け4位:auカブコム証券
auカブコム証券は、三菱UFJフィナンシャルグループ(MUFG)が51%、KDDIが49%出資する証券会社だ。日本を代表する企業の信用力を背景に、ネット証券では最高位の格付けランクに位置している。
auカブコム証券はもともとネット証券最高位の格付けを受けていました。グループ全体の収益力改善を受け、格付会社R&Iの格付けは2023年11月に1段階引き上げられています。
竹国弘城(ファイナンシャル・プランナー)
商業銀行業務中心に世界最大級の規模を持ち、日本の3大金融グループの中でトップにある。ROEや RORA(リスクアセット対比の収益性)を中心に据えた採算管理や業績評価体制が浸透、顧客部門を中心に利益が増加している。強固な営業基盤の活用やコスト構造改革の進展が支えとなり、収益力が改善していることを評価し、グループ全体の信用力をAA-からAAに変更、各社の発行体格付を引き上げた。
出典:格付投資情報センター(R&I)ニュースリリース・2023年11月15日付
格付け5位:野村證券
メガバンク系証券会社に次ぐ格付けランキング第5位は野村證券だ。
野村證券を傘下に持つ野村グループは、業界内での確固たる地位と圧倒的な利益水準を背景とした高い財務力で、高い格付けを受けている。その中心的な会社である野村證券も同等の評価だ。
国内トップのポジションにある強固な顧客基盤や商品供給力などに裏打ちされた市場地位の高さ、業界内で圧倒的な利益水準を背景とした収益力、リスクに対して十分な厚みを有する株主資本など良好な財務基盤を反映している。市場環境の変動で損益の振れが大きくなりがちであり、事業ポートフォリオの変革を通じて、利益の水準を回復させつつ変動性を抑制していけるかJCRは注目していく。野村證券の発行体格付は、グループにおける位置づけなどを踏まえてグループ信用力と同等としている。
引用:日本格付研究所(JCR)ニュースリリース・2022年12月23日付
売上高ランキングTOP10!収益力が高いのは?
売上高ランキングでは、野村證券、大和証券、みずほ証券、三菱UFJモルガン・スタンレー証券、SMBC日興証券の、いわゆる五大証券がTOP5を占めている。
証券会社の売上高とは純営業収益(金融費用控除後の営業収益)を指す。主に委託手数料収入、引受・売出手数料、金融収益、トレーディング損益、アセット・マネジメント、その他の受入手数料などで構成されている。
口座数が投資家からの人気のバロメーターであるのに対して、売上高は証券会社が事業で得られる収益の大きさを示している。
TOP10には、五大証券のほか、準大手総合証券2社、主要ネット証券3社がランクインしており、売上高でもネット証券の存在感が高まっていることがわかる。
順位 | 社名 | 売上高(純営業収益) |
---|---|---|
1位 | 野村證券ホールディングス(連) | 1兆3,356億円 |
2位 | 大和証券グループ本社(連) | 4,642億円 |
3位 | みずほ証券 | 2,806億円 |
4位 | 三菱UFJモルガン・スタンレー証券 | 2,611億円 | 5位 | SMBC日興証券(連) | 2,229億円 |
6位 | SBI証券(連) | 1,616億円 |
7位 | 楽天証券※1 | 1,058億円 |
8位 | 東海東京フィナンシャルグループ(連) (東海東京証券) |
696億円 |
9位 | 岡三証券グループ | 649億円 |
10位 | マネックスグループ | 47億円 |
野村證券、大和証券、SMBC日興証券といった大手総合証券は、機関投資家や外国法人など、1件あたりの取引額が大きな顧客を多く抱えている。
売上高には、会社自らが売買取引を行うトレーディング損益や引受・売出業務にかかる手数料、アセット・マネジメント、金融収益など、金額の大きな収益源も含まれる(※大和総研レポートより)。そのため、大手総合証券の売上高は大きく、順位も相対的に高くなりやすい。
それに対して、中小、地場の総合証券やネット証券の主な顧客は個人投資家であり、売上高の多くを手数料収入や金融収益が占める。
このように、会社の規模や形態によって収益構造が違うため、ネット証券が売上高のランキングで上位に食い込むのはなかなか難しい。
しかし、SBI証券や楽天証券は、顧客(口座数)の多さや、収益構造の多角化などによって売上を伸ばし、五大証券に次ぐ第6位、第7位に付けている。
首位の野村證券(野村ホールディングス)の背中は遠いものの、SMBC日興証券、三菱UFJモルガン・スタンレー証券、みずほ証券に対しては逆転を狙える位置まできている。
ランキングからは、SBI証券、楽天証券が口座数だけでなく売上でも一定の規模を誇り、業界内で存在感を高めていることがわかるだろう。
インターネット専業証券会社の誕生は1990年代後半であり、歴史はまだ30年足らずです。創業から100年近い総合証券もある中、ネット証券3社が売上高ランキングのTOP10にランクインした今回の結果は、インターネット取引の普及や、ネット証券の成長の早さを示すものといえるでしょう。
竹国弘城(ファイナンシャル・プランナー)
売上高1位:野村ホールディングス(連)
野村證券は、口座数では2020年にSBI証券、2021年に楽天証券と相次いで抜かれ、トップの座を奪われて久しい。しかし、売上高では第2位の大和証券グループ本社を約8,700億円も引き離して、堂々の第1位だ。
近年は、リテール(個人顧客)部門において、従来の証券仲介業から資産コンサルティング業への転換を推進している。
これまではお客様からお預かりする金融資産の運用パフォーマンスの向上に重点を置いてビジネスを展開してきたが、お客様のライフプランや想い、目的をヒアリングし、お客様一人ひとりの資産の悩みや課題にお応えする「資産コンサルティング業」への進化を私たちの目指すべき姿として体制を急速に整えている。
出典:日本経済新聞「NIKKEI 100年の資産形成リレーインタビュー 資産形成の潮流を語る」
野村證券は顧客のライフイベントや目標などを丁寧に聞き取ってゴールを設定し、ゴールに向けた資産形成プランをカスタマイズして提案している。この資産コンサルティング業への転換こそが、収益の安定、拡大につながっているのだろう(※日本経済新聞より)。
ホールセール(法人・大口顧客)部門のアドバイザリー・ビジネスも好調で、増収が続いている。
リテール部門では、ネット証券に新規顧客の獲得で後れをとる中で、対面営業の強みを活かした資産コンサルティング業への転換が業績の向上に貢献しています。
これまで大口顧客向けに実践されてきたコンサルティング・ビジネスのノウハウを活かし、ダウンサイジングして個人投資家向けにサービスを提供しています。今後は、ネット証券との差別化や収益の拡大が期待されます。
竹国弘城(ファイナンシャル・プランナー)
売上高2位:大和証券グループ本社
大和証券は野村證券同様、リテール部門の収益拡大に向けて、資産管理型ビジネスモデルへの転換を進めている。進捗は良好で、業績は大幅に改善している。
リテール部門以外も堅調だ。直近2023年度の業績は、第3四半期までの累計(2023年4月〜12月)で全部門が増収を達成している。連結経常利益は8年ぶりの高水準となる1,178億円まで拡大した。
売上高ランキングでは第2位に付ける大和証券ですが、ここ数年の業績は好調とはいえませんでした。ビジネスモデル転換による効果は、2022年度から業績にも表れ始め、さらなる収益の拡大が見込まれます。
竹国弘城(ファイナンシャル・プランナー)
売上高3位:みずほ証券
売上高第3位にはみずほ証券がランクインし、メガバンク系総合証券でトップになった。
みずほ証券は、みずほフィナンシャルグループの一員としてグループ各社と連携し、みずほ銀行、みずほ信託銀行と、銀・信・証の一体運営を推進、ワンストップでサービスを提供している。
2022年以降は楽天証券との提携も強化しており、オンライン、リアルの双方を活用できる新しいリテール事業モデルの構築を目指す。
総合証券は新規顧客の獲得に苦戦しており、みずほ証券も例外ではない。楽天証券が持つ楽天経済圏を中心とする個人顧客基盤や、インターネット取引における優れたUIは魅力だ。
楽天証券には対面相談やコンサルティングのニーズがあり、みずほ証券の持つノウハウや、窓口(店舗網)などの活用によるサービス向上が期待できる。両社は対面相談ニーズに対応する共同事業会社を設立し、2024年春にもサービス提供を開始する予定だ。
楽天証券との提携による顧客基盤の拡大やサービスの拡充が実現すれば、売上、収益の向上が期待できます。
竹国弘城(ファイナンシャル・プランナー)
時価総額ランキングTOP10!市場価値が高いのは?
時価総額ランキングでは、株式市場に上場している証券会社(※)を対象に、時価総額が大きい順に並べた。
その結果、野村ホールディングス(野村證券)が第1位、大和証券グループ本社(大和証券)が第2位となった。
※証券会社が中核会社の持ち株会社のみを対象とし、銀行が中核会社の持ち株会社3社は参考として掲載した
時価総額は「株価×発行済株式数」で算出され、会社の実績または成長性、株主還元、配当政策など、投資家による会社の評価が反映される。
順位 | 銘柄名<証券コード>(証券会社名) | 時価総額 |
---|---|---|
1位 | 野村ホールディングス<8604> (野村證券) |
2兆6,197億円 |
2位 | 大和証券グループ本社<8601> (大和証券・大和コネクト証券) |
1兆6,628億円 |
3位 | SBIホールディングス<8473> (SBI証券) |
1兆952億円 |
4位 | マネックスグループ<8698> (マネックス証券) |
2,213億円 |
5位 | 松井証券<8628> (松井証券) |
2,178億円 |
6位 | 岡三証券グループ<8609> (岡三証券) |
1,637億円 |
7位 | 東海東京フィナンシャル・ ホールディングス<8626> (東海東京証券) |
1,449億円 |
8位 | GMOフィナンシャルホールディングス<7177> (GMOクリック証券) |
845億円 |
9位 | 丸三証券<8613> (丸三証券) |
647億円 |
10位 | アイザワ証券グループ<8708> (アイザワ証券) |
617億円 |
参考 | 三菱UFJフィナンシャル・グループ<8306> (三菱UFJモルガン・スタンレー証券、auカブコム証券) |
(17兆7,910億円) |
参考 | 三井住友フィナンシャルグループ<8316> (SMBC日興証券) |
(10兆7,256億円) |
参考 | みずほフィナンシャルグループ<8411> (みずほ証券) |
(6兆9,207億円) |
野村ホールディングス(野村證券)と大和証券グループ本社(大和証券、大和コネクト証券)は、上場会社として長い歴史がある。いずれも強固な顧客基盤と高い収益力、幅広い金融分野でグローバルに事業を展開していることなどから、株式市場での評価は高い。
第3位にはネット証券最大手のSBIホールディングス(SBI証券)が付け、第4位に松井証券、第5位にマネックスグループ(マネックス証券)が続く。
ネット証券は上場会社としては新興勢力ながら、株式市場でも一定の存在感を示している。
時価総額1位:野村ホールディングス(野村證券)
時価総額ランキング第1位は、野村證券を傘下に持つ野村ホールディングス<8604>だ。2022年2月16日終値ベースの時価総額は2兆6,197億円であり、業界内での圧倒的な地位と収益力を反映した結果となった。
しかし、野村證券が築き上げてきた地位も安泰ではない。リテール(個人営業)部門では、ネット証券の台頭や顧客の高齢化などによって収益が低下し、従来型のビジネスモデルは転換点を迎えている。
これに対し、野村證券では顧客のニーズに的確に対応する資産コンサルティング業に注力し、インベストメント・マネジメント/バンキング事業の強化や店舗の統廃合なども進めている。
資産コンサルティング業への転換による効果はすでに収益に表れており、2024年3月期第3四半期の営業部門の税引前利益は約8年ぶりの高水準となった。
出典:野村ホールディングス株式会社 『024年3月期第3四半期 決算説明資料』
安さを売りにするネット証券が台頭する中、野村ホールディングス(野村證券)が現在の地位を維持し、より高めていくためには、強みをさらに伸ばしていくことがポイントになるでしょう。具体的には、インベストメント・マネジメント部門やホールセール部門など、法人、機関投資家向けのビジネスや、個々のニーズに対応する資産コンサルティング業などがそれにあたります。
時価総額2位:大和証券グループ本社(大和証券・大和コネクト証券)
時価総額ランキング第2位は、大和証券や大和コネクト証券を傘下に持つ大和証券グループ本社<8601>で、2022年2月16日終値ベースの時価総額は1兆6,628億円だ。
大和証券グループは野村グループとともに日本を代表する証券グループであり、順当な結果といえる。
大和証券は1902年の創業から120年を超える歴史を持つ証券会社だ。国内に181店舗、世界20ヵ国・地域に拠点を置き、グローバルにビジネスを展開している(2024年2月16日現在)。
大和証券では顧客が持つ資産全体を分析し、資産運用により利益を得る「資産管理型ビジネスモデル」への転換を進めており、成果をあげています。
竹国弘城(ファイナンシャル・プランナー)
時価総額3位:SBIホールディングス(SBI証券)
時価総額ランキング第3位には、SBI証券を中心に銀行、保険など幅広く事業を展開するSBIホールディングス<8473>が付けた。2022年2月16日終値ベースの時価総額は1兆952億円だ。
SBIグループでは、顧客の利益や利便性を高めるサービスの提供を通じて既存の金融のあり方に変革をもたらすことを経営理念として掲げている。
SBI証券はこの理念のもと、業界のコストリーダーとして取引コストの無料化、引き下げを推進し、結果として口座数や売上高(純営業収益)を大きく伸ばしてきた。
SBIグループでは、証券、銀行、保険を中心としたグループ内企業の連携、地方銀行との連携も積極的に進めており、それぞれの強みを活かした相乗効果(シナジー)によって企業価値の向上を目指している。
SBI証券を含むSBIグループは、証券だけでなく金融業界全体を変革し、リードしていく存在として期待されています。企業としてのさらなる成長も期待でき、時価総額で野村グループや大和証券グループを抜く日は近いかもしれません。
竹国弘城(ファイナンシャル・プランナー)
預かり資産ランキングTOP10!企業規模が大きいのは?
顧客預かり資産ランキングは、顧客に富裕層を多く抱える五大総合証券が第1位から第5位までを占め、圧倒的な強さを見せた。
一方でSBI証券、楽天証券、マネックス証券のネット証券3社もTOP10に入っており、顧客預かり資産でもネット証券の台頭がうかがえる。
顧客預かり資産とは、顧客が証券会社に預けている株式や債券、投資信託など金融商品や現金などの資産のことだ。総額は、その証券会社の顧客の資産規模を示す指標になる。
預かり資産1位:野村證券
野村證券の顧客預かり資産は135兆9,000億円で、2位以下に大差をつけて第1位となった(2023年12月末現在)。これは国の2023(令和5)年度一般会計予算(約114兆円)を上回る規模だ。
野村證券の口座数は約545万口座で、1,000万口座を超えるSBI証券、楽天証券の半分程度に留まる。しかし、預かり資産ではSBI証券(33兆8,000億円)や楽天証券(25兆387億円)に大差をつけている。
これは野村證券が金融資産1億円以上の富裕層を顧客に多く抱えていることが主な要因だ。この傾向は野村證券に限らず、総合証券に共通していえる。
ネット証券は、若年層を中心とした比較的運用資産の少ない利用者が多く、口座数に対して預かり資産は少ない。
1口座あたりの預かり資産を比較すると、野村證券が約2,495万円であるのに対し、楽天証券は約246万円であり、約10倍の差がある。
預かり資産2位:大和証券
預かり資産の第2位は大和証券で、83兆9,260億円だ。第1位の野村證券と大和証券はビジネスモデルが近く、口座数の差が預かり資産の差となっていると考えられる。
1口座あたりの預かり資産を比較すると、野村證券が約2,495万円、大和証券が約2,702万円であり、おおむね同じ水準といえる。
預かり資産3位:SMBC日興証券
第3位はSMBC日興証券で、顧客預かり資産は75兆9,000億円だ。第5位までをメガバンク系総合証券が占める中で、SMBC日興証券が頭一つ抜け出している。
顧客預かり資産 | 残あり口座数 | 1口座あたり預かり資産 | |
---|---|---|---|
75兆9,000億円 | 340万9,000口座 | 約2,227万円 | |
みずほ証券 | 56兆1,240億円 | 169万口座 | 約3,321万円 |
三菱UFJモルガン・ スタンレー証券 |
50兆5,000億円 | 106万5,000口座 | 約4,742万円 |
1口座あたりの預かり資産で比較すると、順位は逆転し、メガバンク系総合証券の中でSMBC日興証券が最も少なく、三菱UFJモルガン・スタンレー証券が最も多い。
三菱UFJフィナンシャルグループには三菱UFJモルガン・スタンレー証券のほか、auカブコム証券があります。運用資産の比較的多い富裕層は三菱UFJモルガン・スタンレー証券、運用資産の比較的少ないマス層はauカブコム証券という住み分けができているのではないかと推察されます。
竹国弘城(ファイナンシャル・プランナー)
店舗数ランキングTOP10!相談しやすい対面証券は?
五大証券では、大和証券が第2位、野村証券が第3位、SMBC日興証券が第4位、三菱UFJモルガン・スタンレー証券が第7位になった。
店舗数TOP10にはそのほか、準大手証券の東海東京証券、岡三証券が入り、歴史が長く実績もある、いちよし証券、アイザワ証券、東洋証券が名を連ねている。
対面証券は営業担当者による取引を基本としており、営業拠点となるのが店舗である。総合証券とも呼ばれる。
インターネット取引が普及した現在では、対面証券各社でも店舗の統廃合を進めているが、対面取引を希望する顧客へのきめ細かなコンサルティングサービスを重視するところは今も多くの店舗を配置している。
なお、店舗をグループ内の銀行、証券、信託の要として活用するみずほ証券などは、店舗数が他社より多く、ランキングも上位になっている。
店舗数1位:みずほ証券
みずほ証券の特徴は多店舗展開だ。
みずほ証券では、従来型の「支店」のほか、みずほ銀行の支店ロビー内に証券の店舗を設ける「プラネットブース」という形態で全国に225拠点を展開している。
みずほ証券の店舗数の多さは、全国にあるみずほ銀行の店舗を有効に活用した「プラネットブース」の存在が大きい。
従来型の支店もプラネットブースも、証券、銀行、信託など、総合金融コンサルティングをワンストップで実現するための小規模対面店舗であり、来店客の利便性を一番に考慮したサービスを提供している。
オンライン取引が普及した現在でも、対面で相談や手続きができる店舗のニーズは根強くあります。全国に店舗のあるみずほ証券なら、「専門知識をもつ担当者に直接相談したい」、「資産運用から信託、事業承継や相続まで、その都度的確なアドバイスを受けたい」といったニーズを満たしやすいといえます。
竹国弘城(ファイナンシャル・プランナー)
店舗数2位:大和証券
ランキング第2位の大和証券は、全国47都道府県に対面店舗を展開している。対面サービスを基本とする総合証券ならではの、全国に広がるネットワークと、営業担当者によるきめ細かなサービスが魅力だ。
店舗での相談は完全予約制であり、専属担当者が来店客に対応する。現在は、事前予約によるオンライン相談も受け付けているので、必要に応じて、対面・オンライン相談を使い分けるとよいだろう。
店舗では、通常の対面取引以外に、事前予約によるオンライントレードの投資相談も受け付けてくれます。
店舗数3位:野村證券
野村證券は店舗における顧客対応や対面取引は減っており、2024年2月16日現在で、全国109店舗になっている。
対面証券としてのメリットは営業担当者による顧客対応だ。とりわけ野村證券では、高度な専門知識やレポートを活用したプロフェッショナルなコンサルティングサービスが魅力で、相談ができる対面取引を望む顧客は依然として多い。
店舗では、従来通り、株式や債券のような運用商品の投資相談や取引以外にも、相続、不動産、資産承継、企業金融アドバイスなど、多様なコンサルティングサービスを受けることができます。
証券会社の動向【2024年最新版】
岸田政権が掲げる「資産所得倍増計画」にもとづき、2024年は少額投資非課税制度NISAが新しくなってスタートした。
新NISAでは従来のNISA制度の非課税保有限度額が大幅に拡大され、非課税期間も無期限化された。これまでの一般NISA、つみたてNISAが新NISAでは成長投資枠、つみたて投資枠となり、併用可能になる。
新NISAの制度の概要は次の通りだ。
旧NISA(~2023年) | 新しいNISA(2024年~) | |||
---|---|---|---|---|
一般NISA | つみたてNISA | 成長投資枠 | つみたて投資枠 | |
対象者 | 日本に住む、満18歳以上の個人 | 日本に住む、満18歳以上の個人 | ||
各制度の 変更・併用 |
どちらか一方を選択(年単位で変更も可能) | 併用可能 | ||
年間投資 上限額 |
120万円 | 40万円 (月3万3,333円まで) |
240万円 | 120万円 (月10万円まで) |
非課税 保有限度額 |
600万円 | 800万円 | 1,800万円 (うち成長投資枠は1,200万円まで) ※簿価残高方式で管理 (非課税投資枠の再利用が可能) |
|
非課税期間 | 最長5年間 | 最長20年間 | 無期限 | 無期限 |
購入方法 | 一括投資、 つみたて投資 |
つみたて投資 | 一括投資、 つみたて投資 |
つみたて投資 |
費用 | 購入時手数料 運用管理費用など |
購入時手数料はゼロ 運用管理費用は 一定水準以下 |
購入時手数料 運用管理費用など |
購入時手数料はゼロ 運用管理費用は 一定水準以下 |
資金の 引き出し |
保有商品の売却によりいつでも可能 (商品によって引き出しにかかる 日数は異なる) |
保有商品の売却によりいつでも可能 (商品によって引き出しにかかる 日数は異なる) |
||
非課税対象 | 値上がり益(譲渡益)、配当金・分配金 | 値上がり益(譲渡益)、配当金・分配金 | ||
金融機関変更 | 年単位で可能 | 年単位で可能 | ||
ロールオーバー (※1) |
可 | 不可 | 非課税期間の無制限化により不要(※2) |
新NISAの開始や株式相場の上昇などにより、2024年に入ってネット取引口座数が増加しています。
竹国弘城(ファイナンシャル・プランナー)
メガバンクを中心とする総合金融グループとネット証券大手との提携の動きも活発だ。
特に注視したいのが楽天証券とみずほ証券の提携だ。楽天証券はここ数年、みずほ証券との協業を進めており、すでに楽天証券株式の49%はみずほ証券が保有している(2023年12月時点、残りの51%は楽天証券HDが保有)。
両社は金融仲介の新会社を共同で設立し、2024年春にはサービスを開始する予定だ。
2024年春を目途とした事業開始に向けて、両社を委託元とする金融商品仲介業者となる準備会社を設立(みずほ証券95%、楽天証券5%)する予定です。
引用:みずほ証券『みずほ証券および楽天証券による共同事業に係る基本合意について』
2024年に知っておきたい証券会社の3つの動向について詳しくみていこう。
ネット取引口座の増加が続く
新NISA制度開始、株式相場の上昇なども追い風に、ネット証券や総合証券のインターネット取引口座の増加が続いている。
2023年9月現在のインターネット取引口座数は4,207万口座であり、前回調査時(2023年3月末)から107万口座(2.6%)増加している。
インターネット取引口座数はこの10年間で倍増しており、個人投資家の取引ではネット取引が主流になっている。
とりわけ、コロナ禍に見舞われた2020年以降は新規口座開設数が急増し、2024年の新NISA開始も追い風となって口座数の増加ペースは加速している。
口座数トップのSBI証券では、1,000万口座に到達したわずか6ヵ月後に1,100万口座を突破した。第2位の楽天証券も、2023年4月の900万口座達成から約8ヵ月で1,000万口座に到達している。
新NISA制度がスタートした2024年1月には、主要ネット証券の口座数が前年12月末比で約90万口座増加した。ネット証券最大手のSBI証券を中心とするSBIホールディングスでは約28万口座増加し、月間ベースの新規口座開設数は過去最高を更新している。
出典:Bloomberg
メガバンクグループとネット証券の提携強化
2022年以降、メガバンクを中心とする総合金融グループがネット証券大手へ出資し、提携を強化している。
メガバンクグループ | ネット証券 | 持株比率 |
---|---|---|
三井住友 FG | SBI証券(SBIホールディングス) | 9.81% |
みずほ FG | 楽天証券 | 49.0% |
三菱UFJ FG | auカブコム証券 | 51.0% |
三井住友フィナンシャルグループは、2022年7月にネット証券最大手SBI証券の親会社であるSBIホールディングスに約10%(2023年3月末時点の持株比率は9.91%)を出資し、筆頭株主になった。
みずほフィナンシャルグループも、2022年10月に証券子会社であるみずほ証券を通じて楽天証券に約20%を出資した。2023年12月には追加出資を行い、持株比率は49%に達している。
三菱UFJフィナンシャルグループは、KDDIとの共同出資で設立したネット証券、auカブコム証券を傘下に持つ。
メガバンクグループがネット証券と提携する狙いは、若年層顧客の取り込みによる収益拡大や、デジタル金融サービスの推進にある。
ネット証券にとっても、メガバンクグループが持つ豊富な金融商品や強固な顧客基盤、対面サービスなどは魅力だ。
三井住友 FG、みずほ FG、三菱UFJ FGの3大メガバンクグループは、いずれも総合証券の証券子会社を持つが、顧客は富裕層や法人が中心であり、既存顧客の高齢化や新規顧客の獲得に課題を抱える。ネット証券との提携は、その打開策として期待されるものだ。
個人金融資産の大部分を保有するのは富裕層や高齢者であり、証券ビジネスとしては、運用資産の少ない若年層を相手にしても、短期的には収益につながりにくい面があります。しかし、将来的に資産は高齢者から若い世代へ移転していくため、若年層を取り込み、顧客基盤を拡大しておくことが、長期的には収益につながっていくと期待されます。
竹国弘城(ファイナンシャル・プランナー)
総合証券はビジネスモデルを転換
総合証券は、インターネット取引の普及によって、従来型のビジネスモデルからの転換を迫られている。
自分で考え、より低コストでの取引を望む人には、インターネット取引専用口座(コース)を設ける。対面での取引を望む人には、これまで主に富裕層に提供してきたような、より高いレベルのコンサルティングサービスを提供する。このように総合証券も時代のニーズにあわて変化しています。
竹国弘城(ファイナンシャル・プランナー)
よくあるQ&A
第2位:BofA証券 2,041万円(n=28)
第3位:JPモルガン証券 1,980万円(n=36)
第4位:ゴールドマン・サックス証券 1,811万円(n=45)
第5位:UBS証券 1,799万円(n=29)
第2位:三菱UFJモルガン・スタンレー証券 764万円(n=409)
第3位:みずほ証券 742万円(n=507)
第4位:SMBC日興証券 713万円(n=742)
第5位:大和証券 681万円(n=681)
出典:OpenWork(2024年2月25日現在)
年収データ、およびランキングはOpenWorkに投稿された情報をもとにしたもので、全社員を対象にした公式なデータではないため、あくまで参考としてほしい。
第1位:野村ホールディングス(連)(野村證券) 1兆3,356億円
第2位:大和証券グループ本社(連) 4,642億円
第3位:みずほ証券 2,806億円
第4位:三菱UFJモルガン・スタンレー証券 2,611億円
第5位:SMBC日興証券(連) 2,229億円
口座数 | SBI証券(SBIグループ) 楽天証券 野村證券 |
---|---|
売上高(純営業利益) | 野村證券(野村HD) 大和証券(大和証券グループ本社) みずほ証券 |
時価総額 | 野村證券(野村HD) 大和証券(大和証券グループ本社) SBI証券(SBIホールディングス) |
顧客預かり資産 | 野村證券 大和証券 SMBC日興証券 |
国内店舗数 | みずほ証券 大和証券 野村証券 |
また、ネット証券の中で口座数や顧客預かり資産の多い、SBI証券、楽天証券、マネックス証券、auカブコム証券、松井証券の5社は、一般に「主要ネット証券」と呼ばれる。
営業部門であれば、在学中にファイナンシャル・プランナー(FP)などの資格を取得しておくと採用試験でアピール材料になり、実際の仕事にも役立つ。
より多くの方がお金について自ら考え行動できるよう、家計改善や住宅購入、資産形成、相続など、お金に関するコンサルティング、大手金融機関や各種メディアでの執筆・監修を行う。RAPPORT Consulting Office代表。
■保有資格
1級ファイナンシャルプランニング技能士
CFP®︎
一種証券外務員
サウナ・スパプロフェッショナル
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