株の初心者でも、「スイングトレード」という言葉を聞いたことがあるのではないだろうか。難しそうに見えるが、どんな取引なのだろうか?そのメリットやコツ、銘柄の選び方、NG行動など、「スイングトレード」の基本と、おすすめの証券会社を解説する。

目次

  1. 1,スイングトレードとは?数日~数ヶ月で売買する投資手法
  2. 2,スイングトレードの4つのメリット
  3. 3,スイングトレードの銘柄の選び方のコツ――スクリーニング条件と上昇トレンドの判断基準
  4. 4,スイングトレードの購入タイミング=入口を見極めるコツ――ゴールデンクロスと押し目買い
  5. 5,スイングトレードの売却タイミング=出口を見極めるコツ――デッドクロスと利食いのタイミング
  6. 6,スイングトレードにおすすめのネット証券4選――SBI証券、楽天証券、auカブコム証券、LINE証券
  7. 7,スイングトレードに勝てない人がよくとる3つのNG行動 ロスカットできない、もみ合い時の行動、一喜一憂
  8. 8,スイングトレードが向いている人はどんな人?
  9. 実際に株式投資を始めてみる

1,スイングトレードとは?数日~数ヶ月で売買する投資手法

(画像=moonrise/stock.adobe.com)

スイングトレードは、デイトレードのように一日中市場を追いかける必要はなく、長期投資のように利益が得られるまでに長い時間がかかるという投資スタイルでもない。

比較的ストレスが小さいという意味で、おすすめの投資スタイルだ。

スイングトレードとは?

スイングトレードとは?
スイングトレードとは、通常1つの銘柄を数日間から数週間、長くなると数ヶ月に及び保有し、短中期の市場の流れに乗って売買して利益を追求する投資手法。簡単に言えば、株価にトレンドが出ている銘柄を売買することだ。
スイングトレードは、基本的に短中期の株価のトレンド(値動き)を狙って利益を出すのが特徴です。

銘柄のファンダメンタル分析より、チャートを使ったテクニカル分析を重視した取引を行う点も、長期投資を前提とする一般的な株式投資とは大きく異なる。

ファンダメンタル分析とは?
ファンダメンタルズ分析は企業の業績や財務状況、各国の景気動向やインフレ率に着目して分析する手法。
テクニカル分析とは?
テクニカル分析は、チャートパターンや「買われ過ぎ」や「売られ過ぎ」を示す数値を参考にして分析する手法。

スイングトレード向きの代表的な銘柄は?

スイングトレードで成功するためには、トレンドを維持している銘柄を選ぶ必要がある。

加えて、取引が活発で注文が成立しやすい、流動性のある銘柄が適している。

買いたいときに買え、売りたいときに売れることが重要になります。

・スイングトレード向きの国内株式

スイングトレード向きの銘柄として、次のものが挙げられる。

・味の素(2802)
・富士フィルム(4901)
・ダイキン(6367)
・キーエンス(6861)

味の素の過去1年の日足チャートを見てみよう。

【味の素(2802)】
2020年11月頃からトレンドのない状態が続いていたが、2021年5月に、5日移動平均線が25日移動平均線を上回る「ゴールデンクロス」が起こり、2021年9月まで上昇トレンドを維持した。この間の上昇率は下値から約47%となり、スイングトレードに相応しい大きな値幅が実現した。
※緑が5日移動平均線(短期線)、紫が25日移動平均線(中期線)
(画像=SBI証券 公式サイトより)

・スイングトレードに向いていない国内株式

スイングトレードに向いていない銘柄として、以下が挙げられる。

・アステラス製薬(4503)
・パナソニック(6752)
・安川電機(6506)
・旭化成(3407)

アステラス製薬の過去1年の日足チャートを見てみよう。

【アステラス製薬(4503)】
緩やかな上昇トレンドではあるものの、5日移動平均線と25日移動平均線のクロスが何度も起こっている。限られた値幅の中で上下を繰り返しており、トレンドのある状態とは言い難く、スイングトレード向きの銘柄とは言えない。
※緑が5日移動平均線(短期線)、紫が25日移動平均線(中期線)
(画像=SBI証券 公式サイトより)

・スイングトレード向きの米国株式

スイングトレード向きの銘柄として、以下が挙げられる。

・アルファベット(GOOG)
・コストコ(COST)
・マイクロソフト(MSFT)
・アドビ(ADBE)

アルファベットの過去1年の日足チャートを見てみよう。

【アルファベット(GOOG)】
25日移動平均線が右肩上がりで推移しており、スイングトレード向きのトレンドのある銘柄と言えるだろう。株価が25日線を割り込む局面も見られるが、25日線から大きく下方へ乖離してはいないのでストレスを感じることなく保有を続けられるだろう。
※緑が5日移動平均線(短期線)、紫が25日移動平均線(中期線)
(画像=SBI証券 公式サイトより)

・スイングトレードに向いていない米国株式

スイングトレードに向いていない銘柄として、以下が挙げられる。

・アマゾン(AMZN)
・ウォルトディズニー(DIS)
・ ジョンソン&ジョンソン(JNJ)
・ウォルマート(WMT)

アマゾンの過去1年の日足チャートを見てみよう。

【アマゾン(AMZN)】
移動平均線の向きが頻繁に変わっている。5日移動平均線と25日移動平均線のクロスも頻繁に起こっており、トレンドのない状態が続いた。株価の値幅が大きいので損切りポイントに到達しやすく、スイングトレードにおいてはストレスを感じる銘柄と言っていいだろう。
※緑が5日移動平均線(短期線)、紫が25日移動平均線(中期線)
(画像=SBI証券 公式サイトより)

スイングトレードとデイトレードの違い

スイングトレード デイトレード
ポジションの保有期間 数日~数か月 1日でクローズ
利益幅 大きい 小さい
リスク 高い 低い
売買コスト 低い
(取引頻度が少ない)
高い
(取引頻度が多い)
維持コスト
(信用取引の場合)
高い 低い
分析手法 テクニカル分析 テクニカル分析+
ファンダメンタル分析
向いている人 初心者や会社員 専業トレーダー
※筆者作成

デイトレードとは?
デイトレードとは、1日のうちに持ち高を解消し、翌日に持ち越さない取引手法のこと。「超短期投資」手法と呼ばれることもある。

スイングトレードもデイトレードも短期投資手法であるが、両者の違いはポジションの保有期間にある。

ポジションとは?
ポジションとは、株、債券、通貨など、現在保有している金融商品の持ち高のこと。株を買い持ちにしていた場合「銘柄××××をロングにしている」、逆に株を売り持ちにした場合「銘柄××××をショートにしている」といった使い方をする。

スイングトレードでは、新規注文から決済注文までの期間が数日から数週間、数ヶ月に及ぶこともある。

対するデイトレードは数分から、長くてもその日の立会がクローズするまでに取引が完結する。

ポジションの保有期間の違いは重要で、これによって反対売買のタイミングを決断するまでのスピード感や心構えも大きく変わります。
反対売買とは?
信用取引や先物取引では、買った銘柄は期日までに売却し、売った銘柄は期日までに買い戻して持ち高を解消しなければならない。現物取引においても同様に、購入した株式を売却してポジションを解消することを反対売買という。

スイングトレードでは、株価のトレンドを確認してから落ち着いて注文を出すことができる。

一方デイトレードでは、場合によっては数秒、数分で売りのタイミングが到来することもあり、瞬間的な判断が欠かせない。

デイトレードに比べると、スイングトレードは初心者や会社員でも取引しやすい投資手法と言えます。

とはいえ、一定の利益を上げて資産形成につなげるためには、以下3つのポイントごとに正しい判断を下せるよう最低限の知識は持っておきたい。

• 銘柄の選び方
• 購入タイミングの決め方
• 売却タイミングの決め方

ここからは、それぞれ何を見ればスイングトレードを成功させられるか、コツを紹介する。

初心者でもすぐ使いこなせるテクニカル分析方法を解説していこう。

2,スイングトレードの4つのメリット

(画像=MONEY TIMES編集部制作)

スイングトレードのメリットは、デイトレードやファンファメンタル分析による長期投資と比較するとわかりやすい。

投資家が株式を分析して購入、その後取引を終えるまでに負わなければならないストレスの違いがポイントだ。

スイングトレードのメリット
  • 1日中パソコンの前でチャートを凝視する必要がない
  • 低コストでより大きな利幅が狙える
  • 許容しなければならない調整幅が小さい
  • 投資の鉄則「損失は小さく抑え、利益を大きく伸ばす」に適したスタイル

スイングトレードのメリット1, 1日中パソコンの前でチャートを凝視する必要がない

スイングトレードでは、株価の動きを1日中追わなくてもよい。

デイトレードでは、市場が開いている間は対象銘柄を追い続け、利食い、損切りを繰り返していくので、専業トレーダーでなければ対応できないだろう。

対象銘柄も多い傾向があるので、とにかく市場に集中することが求められる。

スイングトレードでは、トレンドを確認した銘柄をじっくり保有するので、日々の株価動向に惑わされることなく、トレンドが継続しているかどうかを確認する作業が中心になります。

スイングトレードは、日々の値動きに一喜一憂することなく、冷静に自分のポジションを見ていればよいのです。

スイングトレードのメリット2, 低コストでより大きな利幅が狙える

スイングトレードで狙う利幅は、デイトレードに比べて大きい。

スイングトレードは、損失リスクは大きくなりますが、ストップロス(損切り)を用いて損失幅を抑えてトータルの損益をプラスにすることを狙います。

一方でデイトレードは小刻みに売買し、小さな利益を積み重ねていく。

しかし、このようにして積み上げた利益も一度の失敗トレードですべて失ってしまうことがある。

スイングトレードはデイトレードに比べて売買頻度が少ないので、手数料などのコストも安い。結果的にスイングトレードは、低コストでより大きなリターンを得る可能性が高い手法です。

スイングトレードのメリット3, 許容しなければならない調整幅が小さい

株価には調整がつきものである。

一方的に上がり続ける銘柄はない。

必ず利食いに押され、一定期間株価が下落する調整局面が訪れる。

スイングトレードでは、トレンドに乗っている銘柄を保有するので、この調整幅が小さい傾向があります。

一方でファンダメンタル分析を重視した長期トレードでは、想定したファンダメンタルズに変化がなければ、持ち高を維持し続けるので、需給の崩れから生じる比較的大きな調整局面も受け入れる必要がある。

スイングトレードのメリット4, 投資の鉄則「損失は小さく抑え、利益を大きく伸ばす」に適したスタイル

スイングトレードでは、トレンドのある銘柄を選択し、トレンドが続いていればポジションを維持してより大きな利幅を狙う。

またストップロス(損切り)を厳格に適用するので、損失を小さく抑えることができる。

損失額と比較して大きめの利益が得られる可能性が高くなる。

たとえば長期投資では、分析に自信があっても株価の大きな調整局面に耐えられず損失を確定してしまうこともある。

この時の損失額は大きくなる可能性が高い。

スイングトレードは、「損失は小さく抑え、利益を大きく伸ばす」という投資の鉄則を実現するのに、最も適した運用スタイルでしょう。

3,スイングトレードの銘柄の選び方のコツ――スクリーニング条件と上昇トレンドの判断基準

(画像=MONEY TIMES編集部制作)

スイングトレードの銘柄選びでは、気になる銘柄を絞り込んでチャート分析をして、トレンドを維持している銘柄をピックアップするのが原則だ。

まずは業績好調な企業や、ニュースで話題になっている商品またはサービスを提供している企業をピックアップし、現在の株価が持ち合いではなく、トレンドが出ているかどうかを確認するのがいいでしょう。

ステップ1,スクリーニングで適した銘柄をピックアップ

ネット証券のスクリーニング機能を使って、条件に合致する銘柄を絞り込むこともできる。

条件を設定するときには、市場の急変時にも売買が容易な十分な流動性のある銘柄を選ぶことが重要です。株の初心者であれば、株価暴落のリスクを最小限に抑えるために、値動きの小さい中・大型株であることも条件に入れましょう。

これらを踏まえて、スクリーニングの条件を、たとえば以下のように設定する。

スクリーニング条件(例)
• 東証一部、二部上場
• TOPIX100採用銘柄
• 時価総額100億円以上
• 中・大型株

この場合は100社程度が抽出されるので、その中から興味のある銘柄を選び出す。

ステップ2,チャートで上昇トレンドを確認する

スイングトレードでは、企業の本質的価値を測るファンダメンタル分析よりも、値動きのパターンから将来の値動きを予測するテクニカル分析を重視する。

スイングトレードで最もよく使われるのは移動平均線です。株価と移動平均線をチャートに表示して、双方の関係から今後の株価の動向を予測する方法です。
移動平均線とは?
移動平均線とは、ある一定期間の価格から株価の平均値を計算してグラフで表したもの。日々の株価はランダムに動くが、平均で見ると価格の傾向や流れなど、相場の方向性を見ることができるので、移動平均線はトレンドを確認する手掛かりになる。

複数のテクニカル分析を使用すると迷いが生じてしまうことがあるので、ここでは「日足」の株価チャートと、5日線と25日線の2本の移動平均線を用いて、どのようにトレンドを確認するか説明する。

移動平均線の利用について、ポイントは3つある。

移動平均線を活用する際のポイント
  • (1)移動平均線の向き
  • (2)2つの移動平均線の位置関係
  • (3)株価と移動平均線との位置関係

以下のすべてのチャートでは、緑色の線は5日移動平均線(短期線)、紫色の線は25日移動平均線(中期線)を示している。

【サンプルチャート①】

(※緑が5日移動平均線(短期線)、紫が25日移動平均線(中期線))

「サンプルチャート①」を見てほしい。

株価チャートと移動平均線を使ったテクニカル分析では、上昇トレンドと下降トレンドには以下の特徴がよく見られる。

・(1)移動平均線の向き

スイングトレードにおいてトレンドを確認するには、まず移動平均線の向きが重要です。
たとえば上昇トレンドを確認する場合、まず5日線が上向きになり、その後により長い期間の平均値を表す25日線が遅れて上向きに変わることが多い。
上昇トレンドの条件
- 5日移動平均線が上向き、やや遅れて25日線も上向きに変化
下降トレンドの条件
- 5日移動平均線が下向き、やや遅れて25日線も下向きに変化

・(2)2つの移動平均線の位置関係

トレンドのある銘柄では、上昇トレンドの場合は5日移動平均線が25日移動平均線の上にあり、下降トレンドでは、5日移動平均線が25日移動平均線の下にあります。そしてこの状態が長く続くほど、トレンドが強いと判断します。
上昇トレンドの条件
-5日移動平均線>25日移動平均線
下降トレンドの条件
-5日移動平均線<25日移動平均線

・(3)株価と移動平均線の位置関係

株価が継続的に移動平均線の上に位置するか、下に位置するかも重要なポイントです。

短期の株価動向を示す5日移動平均線と株価はよく交錯するので重要視しないが、株価が25日移動平均線を上回っているか、下回っているかは、トレンドを判断する上でとても重要である。

上昇トレンドの条件
-株価>25日移動平均線
下降トレンドの条件
-株価<25日移動平均線

日々の株価が乱高下して、株価が25日移動平均線の下に潜ったり、上に浮上したりを繰り返しているようだとトレンドが出ているとは言い難く、スイングトレードには向かない局面と判断できます。

このようにして上昇トレンドにある銘柄を特定できたら、第一関門突破だ。

4,スイングトレードの購入タイミング=入口を見極めるコツ――ゴールデンクロスと押し目買い

(画像=MONEY TIMES編集部制作)

スイングトレード対象銘柄の買い時を判断する方法は、いろいろある。

株の初心者は、最もシンプルで一般的な「ゴールデンクロス」と「上昇トレンドの押し目買い」から覚えよう。

見極めのコツ1,ゴールデンクロス……5日移動平均線が25日平均線を超えるタイミング

ゴールデンクロスとは
ゴールデンクロスとは2本の移動平均線が交差して、5日移動平均線が25日移動平均線の上に抜けること。それを境に、5日移動平均線はほぼ右肩上がりに推移し、株価は若干の上げ下げを繰り返しながら、緩やかな上昇トレンドを描く。

【サンプルチャート①】

※緑が5日移動平均線(短期線)、紫が25日移動平均線(中期線))

サンプルチャート①にあるように、ゴールデンクロス以降の株価は、基本的に2本の移動平均線の上に位置している。

ゴールデンクロスは上昇トレンドの入り口であり、買い時であると言われています。

このサインを確認したら、その後の値上がりを期待できるので、しばらくは株をそのまま保有しておけばいい。

しかし、注意しなくてはならないこともある。

それは、膠着状態が続いているような場合は、ゴールデンクロスとデッドクロスが頻繁に現れることがあることだ。

そのため、膠着状態の中のゴールデンクロスか、上昇トレンド入りのゴールデンクロスかをしっかり見極めなければいけません。

相場が急騰・暴落する際も、短期線の上下の変動が大きくなります。そのため、ゴールデンクロスやデッドクロスが発生した時には、すでにタイミングを逸していることもあります。相場急変時に、このサインを目安にするのは危険です。

見極めのコツ2,上昇トレンドの押し目買い……下がった株価が移動平均線付近で反発するタイミング

上昇トレンドにおけるわかりやすい買い時に、「押し目」がある。

【サンプルチャート②】

(※緑が5日移動平均線(短期線)、紫が25日移動平均線(中期線))

「サンプルチャート②」の丸で囲んだ部分を見てほしい。

順調に上昇していた株価は上昇トレンドにあるものの、25日移動平均線の近辺まで下がっている。

これは「押し目」と呼ばれ、

株価が一定期間上昇→利確で売りが入る→株価が下落

という調整局面であることを示している。

押し目買いとは
押し目買いとは、下落タイミングで後の反発を想定して買い注文を入れること。
実際にこの押し目買いのタイミングで多くの買いが入り、出来高も大幅に増えているのが見て取れます。

押し目買いの注意点としては、株価が25日移動平均線を下回るとそのまま下落してしまう可能性もあることだ。

25日移動平均線より上にある場合は下げ止まったことをローソク足で確認し、すでに25日移動平均線より下回っている場合は、25日移動平均線を超えた時点で買いを入れるほうが良いとされています。

このとき、移動平均線が上向きで上昇トレンドにあることを確認するのを忘れないでほしい。

5,スイングトレードの売却タイミング=出口を見極めるコツ――デッドクロスと利食いのタイミング

(画像=MONEY TIMES編集部制作)

スイングトレードの売り時にも、いろいろなパターンがある。

ここでは、ゴールデンクロスの逆パターンの「デッドクロス」と、利益が出やすい利食いのタイミングを覚えよう。

見極めのコツ1,デッドクロス……5日移動平均線が25日移動平均線を下回るタイミング

【サンプルチャート①】

(※緑が5日移動平均線(短期線)、紫が25日移動平均線(中期線))

再び「サンプルチャート①」を見ると、デッドクロスが丸で囲まれているのがわかるだろう。

これは、5日移動平均線が25日移動平均線を下回るタイミングであり、このサイン以降、株価は2本の移動平均線の下方を右肩下がりに推移している。

デッドクロスは、下降トレンドの入り口で発生することが多い。どこまで下落するか判断することは難しいため、デッドクロスを確認した時点で保有する株式を速やかに売却するのが無難です。

見極めのコツ2,利食い……利益を確定するために売るタイミング

数ある売り時のうち、ゴールデンクロスで購入した銘柄を売るタイミングとして、以下のサンプルチャート③の丸で囲まれた部分に注目してほしい。

【サンプルチャート③】

(※下段の緑色折れ線グラフは5日移動平均線乖離率、紫色折れ線グラフは25日移動平均乖離率)
上昇トレンドにある株価が25日移動平均線から大きく乖離したタイミングで売り、利確できるのが理想です。この時の株価は天井となるため、ゴールデンクロスで購入していた場合、利益はほぼ最大となります。

実際には、チャート形成途中の株価チャートを見ても、株価の天井を判断することは難しい。

そこで、サンプルチャート③のように、移動平均線乖離率を表示して、乖離率から判断するといいだろう。

移動平均線乖離率とは
移動平均乖離率とは、現在の株価が移動平均線とどのくらい離れているかを示すもの。一般的に株価は、移動平均線と同じくらいの値になると言われている。しかし急騰・急落時は、乖離率が大幅に高くなったり低くなったりする。

乖離率が高くなり始めたら、売りのタイミングが到来していると判断できます。

6,スイングトレードにおすすめのネット証券4選――SBI証券、楽天証券、auカブコム証券、LINE証券

(画像=moonrise/stock.adobe.com)

このように、スイングトレードにはテクニカル分析が欠かせない。

短中期の売買を重ねるので取引手数料もかさみやすく、さらに株価が急落して含み損を抱えてしまうリスクもある。

これらを踏まえると、スイングトレードに使うなら、「テクニカル分析をしやすい環境が整っていること」「取引手数料が安いこと」「リスクヘッジがしやすい条件付注文ができる」ネット証券を利用するのがおすすめだ。

具体的に次の4社をおすすめする。

  • SBI証券
  • 楽天証券
  • auカブコム証券
  • LINE証券

おすすめネット証券1,SBI証券……取引手数料の安さが魅力

(画像=SBI証券より引用)

SBI証券の取引手数料の安さは、業界最安水準。

1注文ごとの約定代金が5万円以下なら手数料は55円、10万円以下で99円、20万円で115円、50万円で275円(すべて税込、スタンダードプランの場合)という安さだ(2021年10月14日現在)。
出典:SBI証券『国内株式現物取引 スタンダードプラン』

スイングトレードは、比較的短期間で取引を繰り返して利益を積み重ねるため、手数料が安いことによるメリットは大きい。

スマートフォンアプリの「SBI証券 株アプリ」は、使いやすさと機能性、チャートの見やすさが特長で、スイングトレードの強い味方になるはずです。

出典:SBI証券『SBI証券 株アプリ』

>>SBI証券の詳細はこちら

おすすめネット証券2,楽天証券……多彩な分析チャートを備える

(画像=楽天証券より引用)

高機能トレーディングツールとして定評のある「マーケットスピード」には、20種類もの分析チャートが用意されている。

スイングトレードではテクニカル分析が重要なので、マーケットスピードのチャート分析機能は大いに役立つだろう。

後継の「マーケットスピードⅡ」は、新機能追加などで使いやすさが向上しています。見たいチャートをすぐ見られる「マイチャート機能」が追加され、IFD注文やIFO注文もより便利で手軽にできるようになっています。

出典:楽天証券『マーケットスピード』『マーケットスピードⅡ』

>>楽天証券の詳細はこちら

おすすめネット証券3,auカブコム証券……自動売買発注方式が豊富

(画像=auカブコム証券より引用)

auカブコム証券は、リスク管理に長けた自動売買発注方式の豊富さでは、ネット業界No.1と言われている。

一般的な逆指値注文から±指値注文、リレー注文、時間指定注文など7種類が用意され、それぞれの投資家のリスク管理に適した自動売買発注方式を利用できる。

スイングトレードではロスカットラインの設定など、注文時点からのリスクヘッジが投資成績を大きく左右するので、自動売買は取引の生命線になります。

>>auカブコム証券の詳細はこちら

おすすめネット証券4,LINE証券……買付手数料が無料

(画像=LINE証券より引用)

LINE証券は、2019年から始まった新しい証券会社だ。

LINEアプリで情報収集も株式の売買もできるのが特徴であり、スマホでスイングトレードを始めたいならおすすめのネット証券だ。

LINE証券がスイングトレードに向いている理由は2つある。

1つは、取引所取引での買付手数料が無料であり、手数料が割安になっている点だ。

通常は買付時にも売却時にもかかる手数料が買付時にのみかかるので、スイングトレードに強いネット証券であると言える。

もう1つは、信用取引の売買手数料が無料である点だ。

売りでも買いでもスイングトレードしやすいのは、投資機会を増やせるという点で有利だ。

>>LINE証券の詳細はこちら

7,スイングトレードに勝てない人がよくとる3つのNG行動 ロスカットできない、もみ合い時の行動、一喜一憂

(画像=yumeyume/stock.adobe.com)

スイングトレードはテクニカル分析で売買のタイミングを判断するため、手間のかかるファンダメンタル分析が不要で、株の初心者でもチャレンジしやすい。

ただし短期トレードであることや、株式投資の性質上、損失の拡大を防ぐためには避けなければならないことがある。

スイングトレードのNG行動
  • ロスカットできない→逆指値注文などで強制ロスカット
  • もみ合い相場で不要な行動を起こす→静観すべし
  • 1件ごとの投資成績に一喜一憂する→トータルでの勝ちを目指す

NG行動1、ロスカットできない→逆指値注文などで強制ロスカット

スイングトレードは短期で投資成果が出る反面、値動きが大きくなるケースが多い。

スイングトレードは売却のタイミングを逃すと瞬時に株価が急落し、大きな損失を被るおそれがあります。
下降トレンドに入ったタイミングで売却できなかった場合でも、損失を限定するためにロスカットラインをあらかじめ設けておくことは非常に重要です。

「買付価格から10%あるいは15%株価が下落したら、自動的に売却する」と決めておけば、「そのうち株価が反発するはず」と期待して損失を広げてしまう事態を避けられる。

そこで新規注文の際は、執行条件や価格条件などを設定する条件付注文やリバース注文を利用するようにしたい。

これによって株価の暴落などが発生しても、事前に設定したトリガー条件を満たすと自動発注されて、損失の拡大を防ぐことができる。

NG行動2、もみ合い相場で不要な行動を起こす→静観すべし

もみ合い相場では、些細な値動きに反応して売買するのは極めて危険だ。

相場が拮抗しているのは、投資家同士のかけひきが続いているからです。その中でゴールデンクロスが発生しても、その直後にデッドクロスが現れるという展開も少なくありません。
株の初心者のうちは、もみ合い相場に直面したら、まずは静観して見守ることが肝要です。上昇または下降の力強いトレンドを確認してから、買いまたは売りを入れて、高値掴みや安値売りを回避しましょう。

NG行動3、1件ごとの投資成績に一喜一憂する→トータルでの勝ちを目指す

スイングトレードでは、過去のチャートパターンを分析して今後の値動きを予想する。

それでも相場環境によっては、分析結果に反して損切りが必要になることもある。

チャート分析は絶対ではないのだ。

それを踏まえて、1件ごとの勝ち負けに一喜一憂するのではなく、「年間でスイングトレードの投資成績が最終的に勝ちであれば良し」と考えて臨みましょう。

8,スイングトレードが向いている人はどんな人?

(画像=MONEY TIMES編集部制作)

長期投資とは異なり、スイングトレードではテクニカル分析能力が投資成績を左右する。

スイングトレードに向いているのは次のような人だ。

  • 判断力に自信がある人
  • コツコツとチャート分析を継続できる几帳面さを備えた人
  • 短期トレードを繰り返すため、地道なプロセスの積み重ねが苦にならない人
  • デイトレードのように終日チャートと向き合う必要がないので、時間があまりない人

それに対して、良く考えて決断したい人や、将来性のある企業を株主としてバックアップしたい人、どっしり構えて株式投資に取り組みたい人などは、長期投資を前提とした株式投資が向いている。

個人投資家に人気のあるスイングトレードですが、自分に合うかどうかは、自身の性格や投資に臨む姿勢などを考慮して判断しましょう。

実際に株式投資を始めてみる

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執筆・長谷川保
中央大学卒業後、英国を本拠とするバークレイズの投資銀行部門に入社しロンドンにて勤務。債券や先物・オプションなどのデリバティブを担当。帰国後、外資系資産運用会社に転じ、ブラックロック・ジャパンなどでファンドマネージャーやプロダクトマネージャーとして様々な金融商品に携わる。現在はライターとして資産運用を中心に執筆。自己資金トレーダーとしても活動中。
中央大学卒業後、英国を本拠とするバークレイズの投資銀行部門に入社しロンドンにて勤務。債券や先物・オプションなどのデリバティブを担当。帰国後、外資系資産運用会社に転じ、ブラックロック・ジャパンなどでファンドマネージャーやプロダクトマネージャーとして様々な金融商品に携わる。現在はライターとして資産運用を中心に執筆。自己資金トレーダーとしても活動中。

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