FXに投資する人や興味のある人ならば、FXの自動売買について聞いたことがあるのではないだろうか。実際のところ自動売買は簡単にできるのか。また、詐欺ツールに騙されないためにはどうすればいのだろうか。メリット・デメリットや仕組みの解説とともに、おすすめの自動売買ツールやFX会社も紹介する。
目次
目次
1.FXの自動売買とは
FXの自動売買とは、プログラムを利用して24時間自動でFXの売買ができる仕組みだ。最初に設定さえすれば、あとはすべてプログラムが自動で売買してくれる。プログラムさえ起動していれば、仕事をしていても、寝ていても、どんな時でも自動で売買が行われるのだ。
FXの自動売買の仕組みは単純だ。設定を行なったプログラムを起動すると、プログラム通りにFX相場の動きに合わせて自動で売買してくれる。ただし、24時間プログラムを起動し続けていなければならない。
FXを24時間自動で売買するためには、プログラムの入ったパソコンを常に稼働させ、さらにインターネットに接続しておかなくてはならない。しかし自分のパソコンを24時間常に起動したままインターネットに接続しておくのは難しい場合もあるだろう。そこでFXの自動売買を行なう人は、VPSというサービスを利用している。
VPSとはVirtual Private Serverの略で、日本語に訳すと仮想専用サーバーとなる。VPSを利用することで、インターネットを介して仮想専用サーバー内で24時間FXの自動売買プログラムを起動し続けることができる。
VPSによって、インターネットを介してもう1台別のパソコンを24時間起動させ続けるイメージだ。自宅のパソコンのスイッチを切ってもVPSは動き続けるので、プログラムも動き続ける。FXの自動売買を行なう人の多くは、このサービスを利用している。
2.自動売買のメリット・デメリットは?
自動売買にはメリットもあればデメリットもある。はじめる前に両方の側面を知っておこう。
自動売買のメリット
自動売買の最大のメリットは、自分で相場を見張っていなくても組み込んだシステムが自動で売買取引を進めてくれるという点だ。特に、日中は本業で裁量取引のようにチャートを見る余裕がないという人には重宝されている。
また、初めてFXをスタートする人にとっても、自動売買でうまくいっている人の方法を真似てみたり、システムに任せたりすることで、最初はわからなかった効果的なポジション取りや決済タイミングがわかるようになるだろう。
自動売買のデメリット
一方で、デメリットはシステムに任せっぱなしにしていると大損をする可能性があることだ。裁量取引であれば不利な相場になったときにすぐに対応できるが、自動売買の場合だとロスカットギリギリまでポジションを持ち越してしまい、いつの間にか強制ロスカットになってしまうこともある。強制ロスカットになると口座残高が大幅に目減りしてしまうので、そもそも資金に余裕がある人向けのトレードスタイルでもあるのだ。
3,自動売買を始める手順
FXの自動売買を始める手順は、以下の通りだ。
手順①:自動売買対応のFX会社で口座を開設
手順②:VPS契約(不要な場合あり)
手順③:プログラムの導入(不要な場合あり)
まずは自動売買に対応したFX会社で口座を開設する必要がある。FX会社の中でも自動売買に対応していないところもあるため、確実に対応しているFX会社を選ぼう。
次にVPSの契約だ。自宅のパソコンを24時間つけっぱなしにできるのであれば必要ないが、そうでなければ多くの人はVPSを利用することになるだろう。費用は、月額1,000円前後から1万円以上とサービス内容によって異なる。
VPSの契約が済めば、次は自動売買プログラムの導入だ。プログラムは無料のものから有料のものまでさまざまな種類がある。このプログラムをVPS上にインストールすれば、FXの自動売買の準備は完了だ。
FX業者によっては、自社のサーバー上で自動売買ができるところもある。その場合は、VPS契約やプログラムの導入なしで簡単にFXの自動売買が始められる。VPSの設定などが難しい人にはおすすめだ。
FXの自動売買は、すべて自動でプログラムが取引を行ってくれる便利なシステムだ。しかし、全自動だからといって必ず利益が出るわけではない点には留意しておきたい。その上で、FXの自動売買に興味のある人は、プログラムを活用した自動売買にぜひ挑戦してみよう。
4,FXの自動売買ツールにおける「詐欺」の見分け方とは?
FXの自動売買自体は立派なトレードスタイルのひとつだ。しかし、一部ではFXの自動取引ツールを利用した詐欺が発生している。実際に詐欺を心配して、ツールの導入に二の足を踏んでいる人もいるかもしれない。ここでは、詐欺かどうかを見分ける方法を簡単に3つ紹介しよう。
見分ける方法1,ロジックが紹介されていない
「○万円儲かった」「絶対に儲かる」といった文言や、利益を得ている画面のスクリーンショットなどをSNSで見かけて、実際に取引ツールを購入して利用してみたら損が出るばかりで全く儲からない……という詐欺の事例が多発している。
近年は、SNSの口コミが広告代わりといえるほど、多くの人が口コミを参考にして商品やサービスの購入を決めている。それを利用してSNSに過度な宣伝文句や偽りのスクリーンショットを投稿するというのが詐欺の手口のひとつだ。
FXに限らず、投資において「絶対に負けない(儲かる)」というロジックは存在しない。スクリーンショット画像はいくらでも改ざんが可能であり、それ以外の根拠もなく「絶対」という文言を使っている場合は大抵詐欺と見ていいだろう。
見分ける方法2,シミュレーションがない
「少額で稼げる」「低リスクで稼げる」といった謳い文句にのせられ、いわれるがままに投資したものの利益を得られず、「投資した金額も返ってこなかった」といった被害事例もある。
確かに少額から取引をスタートすることはできるが、FXで稼いでいく以上、多少の損失を被るリスクと隣り合わせだ。
この詐欺の悪質なところは、「少額」が具体的にいくらなのかを明記していない点だ。いくらからスタートしてどれくらいの利益になるのか、シミュレーションがまったく展開されていないのである。特に、FXに対する知識のない初心者などが狙われやすい。
見分ける方法3,検証期間が短すぎる
購入後につかってみたところ、あまり大した利益を得られないことが早々にわかった時点で連絡を入れたのに、返金対応してもらえなかったというケースがある。
SNSや知人の紹介からの取引ツールの購入は訪問販売に該当するため、通常であればクーリング・オフ期間の設定が必要となる(訪問販売のクーリング・オフ期間は8日間)。特に、FXの自動売買ツールは個人や会社によってオリジナルのシステムが組める以上、高額で購入した側としては試しに運用してみてシステムの質を検証したいと思うだろう。
しかし、販売業者によってはクーリング・オフ期間を異様に短く設定していたり、クーリング・オフ期間内であっても返金に応じない業者や、最悪の場合連絡がとれなくなる業者がいる。
5,FX自動売買ツール3種を比較
安全な自動売買ツールを見極めたあとは、実際にどのツールを使うか選定したい。自動売買ツールには、大きく「自動発注・リピート系」「シストレ系」「自作プログラム系」の3種類がある。それぞれの特徴を代表的なツールを挙げながら比較するので、選ぶときの参考にしてみてほしい。
自動発注・リピート系
マネースクエアの「トラリピ」は、自動発注・リピート系のFX自動売買ツールとしておすすめだ。トラリピは、独自の自動売買ツールとして特許も取得しているため、信頼性も高い。
トラリピの最大の特徴は、市場の変動範囲を予想して収益を出すという点だ。通常、相場の変動が激しいと自動売買は厳しいといわれるが、トラリピの場合は予想された範囲の中であれば、市場が変動すればするほど収益チャンスが生まれる。予想していた範囲を終えてからは、システムが自動で売買をすすめてくれるところもうれしいポイントだ。
メリットとしては、長期的にゆっくりと取引できる点や、自動売買をよく知らなくてもサポートがあるためほとんど取引に関わる必要がないという点があげられる。一方で手数料が高く、ある程度まとまった資金がないと運用は厳しい。また短期投資には向いていないため、短期間で利益を得たいという人には向いていないだろう。
トラリピは、FX取引をしたいけれど時間がとれない、という人には特におすすめだ。自分で取引をほとんど見なくて済むという点で初心者にも向いているだろう。
シストレ系
トレイダーズ証券の提供するみんなのFXの自動売買サービス「みんなのシストレ」は、自動売買プログラムを選ぶタイプと実際に取引しているトレーダーを選ぶタイプがある点が特徴だ。プログラムの自動売買に任せても構わないし、トレーダーの判断にゆだねても構わない。いわゆるストラテジー選択型だ。
スマホアプリもあるため、SNS感覚でトレーダーをフォローすることができる。出先で取引状況を確認しやすい点もポイントだ。自分でストラテジーを選んで取引数量を入力するだけでスタートできる、操作の簡単さも魅力といえる。
デメリットとしては、リスク管理が難しいという点だ。自動売買は、基本的に含み損を抱えやすい傾向にある。売買のタイミングを逃した保有ポジションがそのままになってしまっていることが多いためだ。加えてみんなのシストレは、含み損となっているポジションのストラテジーがあっても、証拠金維持率100%未満までは自分の選んだトレーダーのコピートレードをしてしまう。
また、証拠金維持率が100%以下で強制ロスカットとなるため、必要に応じて取引の停止や余裕資金を投入しなければならない。強制ロスカットになると口座残高の大半がなくなってしまうので注意しよう。
以上のことから、みんなのシストレはある程度資金に余裕があって、初めて自動売買取引をしたい人、FX取引の時間がつくりにくい人に向いているツールといえる。
自作プログラム系
自動売買ツールを自分でつくりたいという人には、インヴァスト証券の提供するトライオートFXがピッタリだ。
トライオートFXには、ランキングから選ぶだけで簡単に自動売買をスタートできるタイプと、自分で好きなようにカスタマイズできる「ビルダー機能」の2パターンがある。
「ビルダー機能」は、口座を登録すれば無料で利用でき、プログラミングの知識がなくても必要な条件を設定するだけで、自分だけの自動売買ツールを自作できる。
シミュレーション機能も充実しており、スマホアプリからでも作成や操作が可能なところもうれしいポイントといえるだろう。カスタマイズもできるので、初心者にはもちろん、オリジナルのプログラムを自作したいという人にも扱いやすい。
ビルダー機能は、使いこなせれば利益を一気に増やせる可能性もあるが、ややロジックが難解である点と、搭載できるプログラム数に上限が決まっているという点だけがデメリットといえるだろう。
とはいえ、ビルダー機能は何度でもシミュレーションが可能というメリットもあるため、自分に納得のいくプログラムを試行錯誤して見つけていくのがおすすめだ。
6.自動売買を始める手順
FXの自動売買を始める手順は、以下の通りだ。
- 自動売買対応のFX会社で口座を開設
- VPS契約(不要な場合あり)
- プログラムの導入(不要な場合あり)
VPSの契約が済めば、次は自動売買プログラムの導入だ。プログラムは無料のものから有料のものまで様々な種類がある。このプログラムをVPS上にインストールすれば、FXの自動売買の準備は完了だ。
FX業者によっては、自社のサーバー上で自動売買ができるところもある。その場合は、VPS契約やプログラムの導入なしで簡単にFXの自動売買が始められる。VPSの設定などが難しい人にはおすすめだ。
FXの自動売買は、すべて自動でプログラムが取引を行なってくれる便利なシステムだ。しかし、全自動だからといって必ず利益が出るわけではない。FX自動売買に興味のある人は、プログラムを活用して自動売買にぜひ挑戦していただきたい。
7,自動売買対応のFX会社を選ぶポイント5つ
FXでの自動売買に対応している会社は他にも多数ある。初心者は何を基準に選定すればいいか悩むところだろう。以下に、自動売買対応のFX会社を選ぶときのポイントを5つ紹介する。
ポイント1,低コストに抑えられる
FXの自動売買はシステム任せで運用するため、取引回数などを自分で設定できるとはいえ、知らないうちに取引手数料がかさんでしまっているということがある。また、自動売買取引ツールを購入したり、ツール構築のためのソフトを購入したりすると、結果的に裁量取引より金額がかかってしまうこともある。
そのため、取引手数料はなるべく安く抑えられるところ、可能であれば無料のところを選ぶのがいいだろう。また、他のトレードスタイルでも同様だが、可能な限りスプレッドの狭いところを選ぶのがおすすめだ。
ポイント2,豊富な情報ソースがあること
FX会社によっては、定期的にセミナーやメルマガで情報を提供してくれるところもあれば、情報ソースが豊富にあって自分で情報をとりに行く必要があるところもある。
FXは外国為替である以上、海外の情勢を知り得るようにしておくことは重要だ。自動売買のツールを活用するにはテクニカル分析も必要になる。ただし、ときには戦略の練り直しのためにファンダメンタルズ分析を必要とすることもあるため、ロイターやブルームバーグといった海外の情報ソースで幅広く情報収集できるようにしておくといい。日本国内であれば時事通信の情報がとれるところを目安に選んでみよう。
ポイント3,取引通貨が豊富
自動売買に限ったことではないが、取引通貨は多ければ多いほどいい。選択肢が増え、複数通貨を同時に取引しておくことでリスクカバーも期待できる。しかし、複数通貨を同時に自動取引で運用するとなると、やはり取引手数料のかからないスプレッドの狭い会社を選ぶことが重要になってくる。
ポイント4,優れた約定力
FX取引は、約定しないことには始まらない。当然自動売買においても、約定力の高さは非常に重要となる。構築したシステム通りに取引が行われるとはいえ、決済のタイミングがずれると自動売買であっても損失を生む可能性はあるだろう。他のトレードスタイルの例にたがわず、自動売買においても約定力が優れているかどうかは重要なポイントだ。
ポイント5,自分に合ったシステムが使えること
自分にとって最も使いやすいと思える自動売買ツールを扱っている会社を選ぼう。自動売買をするのであれば、ツールの選択が非常に重要になってくる。すべてを自分で構築したりカスタマイズしたいのであれば、トレーダーの間で人気の高い高機能な専用ツール「MT4(メタトレーダー4)」が使える会社、簡単操作で自動売買ツールを使いたいのであれば自動発注系、シストレ系のツールが利用可能な会社がいいだろう。
8,FX初心者におすすめの自動売買対応のFX会社は?
自動売買に対応しているFX会社の中でも、初心者におすすめのFX会社を紹介しよう。最初に簡単な比較表を用意しているので、参考にしてみてほしい。
FX会社10社比較表
自動売買ツールごとに、対応している場合は「○」、対応していない場合は「×」を記載している。例えば「1,000通貨取引」が「×」となっている場合は、1,000通貨からの取引には対応していない。
ツール名 (FX会社名) |
スマホアプリ | 1,000通貨 取引 |
デモ口座 | 通貨ペア | 手数料 |
トライオートFX (インヴァスト証券) |
〇 | 〇 | × | 17通貨 ペア |
片道20円 |
トラッキングトレード (FXブロードネット) |
〇 | △ (プランに よって異なる) |
〇 | 24通貨 ペア |
無料 (プランに よって異なる) |
iサイクル2取引 (外為オンライン) |
〇 | 〇 | 〇 | 24通貨 ペア |
片道20円 |
ループイフダン (アイネット証券) |
〇 | 〇 | 〇 | 20通貨 ペア |
無料 |
トラリピ (マネースクエア) |
〇 | 〇 | × | 14通貨 ペア |
無料 |
みんなのシストレ (みんなのFX) |
〇 | 〇 | 〇 | 27通貨 ペア |
無料 |
シストレ24 (インヴァスト証券) |
〇 | × | × | 27通貨 ペア |
無料 |
セントラル ミラートレーダー (セントラル短資FX) |
〇 | × | 〇 | 22通貨 ペア |
無料 |
QUOREA FX (efit) |
× | 〇 | 〇 | 6通貨 ペア |
月間売買 総額の0.05% |
ちょいトレFX (FXプライム byGMO) |
× | × | 〇 | 14通貨 ペア |
無料 |
初心者におすすめのFX会社3選
初心者におすすめのFX会社3社と、そこで提供されている自動売買ツールをピックアップしよう。
・おすすめ1,みんなのシストレ(トレイダーズ証券のみんなのFX)
自動売買機能を有するFX会社として人気が高いのが、「みんなのFX」の自動売買ツール「みんなのシストレ」だ。自動売買ツールを選ぶタイプとトレーダーをフォローするタイプがあり、初心者でも選びやすい。
・おすすめ2,トライオートFX(インヴァスト証券)
トライオートFXも、初心者におすすめの自動売買ツールとして名前があがっている。通常、オリジナルの自動売買ツールをつくるにはプログラミングの知識が必要だが、トライオートFXは必要な条件を入力するだけで、オリジナルの自動売買ツールを作成することができる。ランキングからストラテジーを選ぶだけの「かんたん設定の自動売買」も選べるので、初心者にも使いやすい。
・おすすめ3,トラッキングトレード(FXブロードネット)
総口座数20万口座を誇るFXブロードネットは、スプレッドの狭さやツールの安定性、情報やサポートの充実度のどれをとっても平均以上の評価を得ている。FX会社として安心できる一方、自動売買ツールも83.6%の利益実績を持つ。
9,FX自動売買の5つのQ&A
FX自動売買において気になる質問を5つピックアップした。自動売買を始めるときの参考にしてもらいたい。
Q1,自動売買は儲かるのか?
すべてのFX取引と同じように、自動売買だからといって必ず儲かるとは限らない。
Q2,どのFX会社でも自動売買はできるのか?
自動売買ができる会社とそうでない会社がある。自動売買ツールを提供していない会社でもMT4などのツールがあって、プログラミングの知識がある、または学ぶ意欲があれば自動売買をすることも可能である。
Q3,自動売買にはいくら資金が必要?
理想は10万円程度あるといい。ほとんどのFX会社では4,000円程度あれば始められるが、自動で取引をしていると市場が動いたときに強制ロスカットになり、口座資金が大きく目減りすることがある。
Q4,自動売買ツールは無料で使える?
基本的には無料で使えるところが多い。中には有料の会社もあるが、有料でも無料でも機能面や取引のしやすさなどにおいては、初心者にとってはあまり大きな差はない。
Q5,詐欺ソフトがあるって本当?
主に、高額の有料ツールは詐欺ソフトである可能性が高い。もしもソフトを購入するのであれば、信頼性のある企業から購入するのがいいだろう。あるいは口コミの評価もよく信頼性も高いFX会社ならば、大抵は自動売買ツールを無料で提供しているため、購入しなくてもそれなりの取引が可能である。
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※ファイナンス・マグネイト社調べ(2012年1月~2019年12月)
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