債券は、株式や先物取引、FXなどに比べると、ローリスク・ローリターンの商品として認識している人もいるだろう。現在の債券市場では、個人向け国債以外にも、リスクはあるが好利回りを期待できる仕組債や外債など、魅力のある債券も販売されている。
目次
1,債券とは何か?一般的な債券の仕組みと発行条件
2,債券投資と株式投資の3つの違い
3,債券購入時の注目ポイントは?
4,債券を取り扱うおすすめネット証券5社、種類とコストを比較
5,債券を取り扱うネット証券5社の特徴などを紹介
6,おすすめの債券商品(個人向け国債、仕組債、外貨建債券)をわかりやすく解説
7,債券投資では、投資方針と資金計画に適した商品を選ぶのが基本
1,債券とは何か?一般的な債券の仕組みと発行条件
債券とは、国や地方自治体、金融機関、企業が投資家からお金を借りる際に発行する証明書(有価証券)のことである。
債券は借入金の一種であるため、債券を発行する発行体は、投資家からお金を借りる条件と返済する条件を、募集前に発行する目論見書や募集要項で詳細に開示する。
【目論見書に開示される主な発行条件】
・額面……投資家が債券を購入する際の最小単位 (例)10万円、50万円など
・発行日……申込(払込)最終日
・償還日……発行体が借りたお金を返済する期限
・年利率またはクーポン……発行体が投資家に支払う利子
・利払い日……投資家に利子が支払われる時期 (例)毎年6月13日と12月13日(年2回)など
<新発固定利付債のイメージ(所得税等を除く)>
債券は、国債、社債、外債など、種類が豊富
債券市場で発行される、もしくは流通する債券は、仕組みの違い、発行体の違い、通貨の違いなどによって、さまざまな種類に分類される。
<債券の主な種類>
タイプ別分類 | 種類 | 特徴 |
仕組み (利払いの方法) |
固定利付債 | ・額面金額で発行され、償還日まで 定期的に一定の利息 (クーポン)が支払われる |
変動利付債 | ・額面金額で発行され、毎回の利率が 一定の指数に連動する、 あるいは実勢金利に応じて利率が変動する |
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割引債 (ゼロクーポン債) |
・額面以下で発行され、満額で償還される ・クーポンが支払われない(利率が0%) (例)米国債券のストリップス債 |
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デュアルカレンシー債 (二重通貨債) |
・発行通貨と利払いは円貨であるが、 償還金は外貨で支払われる |
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仕組債 | ・決められた条件にしたがって、 利払い金額や償還金額、 早期償還などが決定する、 デリバティブが組み込まれた債券 |
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発行体 | 公共債 | ・発行体が国や地方自治体である ・行政サービスを提供するために、 歳入(財源)をまかなう目的で発行される ・信用力が一般的な社債より高い (例)国債、地方債、政府関係機関債 |
社債 | ・株式の発行や金融機関からの 借入れと並ぶ、企業の資金調達の一つ ・公共債に比べると、信用リスク (企業が破綻すると、額面どおりに 返済されないリスク)が高い ・高格付債、投資適格債であることが望まれる (例)普通社債、劣後債、転換社債、ワラント債 |
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電力債 | ・電気事業法にもとづいて、 国内9電力会社が発行する債券 ・他の債権者より優先的に弁済を受けられる 「一般担保」と呼ばれる特殊な担保が付く |
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発行時期 | 新発債券 (新発債) |
・発行条件にしたがって、 新たに発行される債券のこと ・申込期限内に購入を申し込む |
既発債券 (既発債) |
・すでに発行され、 債券市場で流通している債券のこと ・セカンダリーマーケットで 取引されているので、価格は毎日変動する |
|
通貨 | 円貨建債券(円債) | ・利払いと償還金が円貨で支払われる |
外貨建債券(外債) | ・日本円以外の外国通貨で発行され、 利払いと償還金も外国通貨で支払われる |
債券の金利は銀行の定期預金金利より好条件
日本の政策金利は2021年3月5日現在で-0.1%、メガバンクの定期預金金利は0.002%(税引前)であり、現時点では銀行の定期預金で資産形成することは難しい。
それに比べると、債券の利率は以前より下がっているとはいえ、銀行預金金利より好条件である。
個人向け国債の固定金利型3年満期の年利率(クーポン)は、2021年3月募集分で0.05%、同固定金利型5年満期も0.05%、変動金利型10年満期だと0.09%(すべて税引前)である。現在の個人向け国債の金利は最低保証金利が適用されているものの、メガバンクの定期預金金利を上回る。
2,債券投資と株式投資の3つの違い
投資家から見ると、債券投資と株式投資は資金を投資して利益を得る意味では同じに映るが、実際には以下のような違いがある。
違い1,最大の違いは償還日の有無
債券投資では、発行当初から償還日が定められているのに対して、株式投資(現物の場合)には、そもそも「償還」という概念は存在しない。
償還日が決まっている債券は、償還日まで保有すれば原則的に投資元本は満額償還される。途中売却すると元本割れするリスクがあるため、購入した債券は、償還日まで保有することが望ましい。償還日まで待てば、利子と投資元本の両方を回収できるという意味で手間いらずの商品といえる。
一方、償還日の概念がない株式投資では、投資した資金を増やすために、株主自身の継続的な努力が必要になる。株主は常に相場を注視して、売却による利益確定や損切りなど、株価の変動に合わせた投資判断を自分自身で下さなければならない。そのため債券投資に比べて知識や経験が必要になり、手間もかかる。
違い2,債券投資の本来の目的は計画的な資金運用
債券では、定期的に支払われる利子(クーポン)の利率があらかじめ定められており、満期日や償還金も決まっているため、収益の予想が立てやすい。そのため、債券投資は「何年後にいくらの資金が必要」という資金ニーズに合わせた計画的な収益確保に向いている。
株式投資の目的は、株価の上昇による値上がり益と配当金である。どちらも固定されたものではなく、株式相場や上場企業の業績、投資家心理などの影響を受けるため、計画的な収益予想を立てることは難しい。
違い3,債券投資は相対取引(店頭取引)が基本
債券投資は、基本的に証券会社と投資家との相対取引(店頭取引)である。
国や企業などが発行する債券を証券会社が引き受けて、証券会社が販売する債券を投資家が購入する。証券会社自体が発行する債券を、証券会社が独占的に販売することもある。
大半の債券は証券取引所のような共通の市場で取引されることはなく、公共債を除けば、証券会社によって取り扱う商品が異なるのが特徴である。
それに対して、株式投資は取引所取引が基本である。投資家は、株式市場に流通している上場株式を、証券会社の仲介を経て売買するため、どの証券会社を使っても銘柄や株価に違いはない。
3,債券購入時の注目ポイントは?
債券を購入するなら、主に個人投資家向けの債券を販売しているネット証券が便利だ。個人投資家が購入しやすい商品が揃っており、償還時期や金額に応じた商品を選択できる。
取引手数料がかからない債券商品選びで注目してほしいのは、「販売されている債券の種類と数」と「コスト(為替手数料)」である。
注目ポイント1,販売されている債券の種類
近年、日本では低金利が続いており、銀行の定期預金金利や国内の新発債券の利率も全般的に低く抑えられている。
このような状況において、国が元本保証をする個人向け国債、あるいは好金利の仕組債や外貨建債券など、自分の投資方針に合った商品が証券会社で販売されていることを確認してほしい。
注目ポイント2,債券のコスト──外貨建債券の為替手数料や外貨の入出金手数料
店頭取引で販売される債券の取引価格には必要なコストが加味されているため、投資家は追加的に取引手数料を支払う必要はなく、購入対価のみを支払う。
債券を取り扱うネット証券では、より条件の良い商品を求める個人投資家向けにさまざまな外貨建債券を提供している。外貨建債券も取引手数料は不要だが、日本円と外貨との為替取引の際に、証券会社が定める為替手数料が発生する。
外貨建債券はメジャー通貨である米ドル以外に、高金利通貨建てで運用されることが多い。そのため、米ドルをはじめとするメジャー通貨だけでなく、高金利通貨の為替手数料も、事前にネット証券間で比較しておくとよいだろう。
外貨建債券の購入の際に外貨を入金する、あるいは利金(利子)や償還金が外貨で振り込まれる商品もある。各証券会社の外貨入出金手数料も確認しておけば、債券投資のコストダウンに役に立つ。
4,債券を取り扱うおすすめネット証券5社、種類とコストを比較
個人向け債券を販売するネット証券会社は、SBI証券、楽天証券、マネックス証券、auカブコム証券、GMOクリック証券の5社である。
それぞれの証券会社について、2021年3月5日現在で取り扱いのある債券の種類と各社でかかるコストを比較した。
SBI証券、楽天証券、マネックス証券、auカブコム証券、GMOクリック証券の比較【種類】
ネット証券5社による円貨建債券、外貨建債券の取り扱いは次の通りである。
<おすすめネット証券5社が取り扱う債券の比較>
証券会社名 | 円貨建債券 | 外貨建債券 |
SBI証券 | 【新発債券】 ・個人向け国債 ・仕組債 【既発債】 ・普通社債 |
【既発債券】 ・米国国債(ストリップス債/利付債) ・高格付利付債、割引債、劣後債 |
楽天証券 | 【新発債券】 ・個人向け国債 |
【既発債券】 ・米国国債(ストリップス債/利付債) ・高格付利付債、劣後債 |
マネックス証券 | 【新発債券】 ・個人向け国債 ・仕組債 |
【既発債券】 ・米国国債(ストリップス債) ・外貨建劣後材 ・外貨建てゼロクーポン債 |
auカブコム証券 | 取り扱いなし | 【既発債券】 ・米国国債(ストリップス債) ・外貨建利付債 |
GMOクリック証券 | 取り扱いなし | 【既発債券】 ・外貨建利付債 |
上記5社のうち、個人投資家が買いやすく安定的に運用できる個人向け国債と、リターンを期待できる仕組債、為替差益も狙える外貨建債券を3種類とも販売していたのは、SBI証券とマネックス証券の2社である。
多くの債券商品の中から、投資方針に合う銘柄を自分自身で吟味して選びたいなら、SBI証券とマネックス証券は外せない。
SBI証券、楽天証券、マネックス証券、auカブコム証券、GMOクリック証券の比較【コスト】
続いて証券会社選びのもう一つのポイントである「コスト」を比較する。
<おすすめネット証券5社の為替手数料と外貨出金手数料の比較>
証券会社名 | 為替手数料 (米ドル、片道) |
外貨入出金手数料 (米ドル、片道) |
SBI証券 | 25銭 ※住信SBIネット銀行 外貨口座での為替取引は4銭 |
無料 ※住信SBIネット銀行 外貨口座との送金に限る |
楽天証券 | 25銭 | 1,000円 ※SMBC信託銀行・楽天証券 外貨送金サービスを利用 |
マネックス証券 | 25銭 ※米ドル建債券を円貨で 購入する場合は無料 |
・銀行所定の送金/振込手数料は利用者負担 ※米ドルのみ入金可能 |
auカブコム証券 | 20銭 | ・入金:銀行所定の送金手数料は利用者負担 ・出金:銀行所定の送金/振込手数料は利用者負担 |
GMOクリック証券 | 米ドルの取り扱いなし | 米ドルの取り扱いなし |
利子だけでなく、為替差益も狙える外貨建債券は5社すべてが販売しているが、GMOクリック証券は米ドル建債券を取り扱っておらず、米国国債投資を希望している人には適さない。
米ドルに限ると、為替手数料がもっとも安いのはマネックス証券である。2021年3月5日現在では、円貨で購入する場合、買付時の為替手数料が無料になっており、ダントツの安さだと言える。
通常の米ドル為替手数料が安いのはauカブコム証券だ。
米ドルの入出金手数料については各社対応がさまざまである。米ドル建債券を含む外貨建債券に投資する場合は、為替手数料や入出金手数料、将来的な取引頻度などを総合的に考慮して、ネット証券を選ぶ必要がある。
5,債券を取り扱うネット証券5社の特徴などを紹介
ネット証券5社の債券サービスの特徴についても詳しく紹介しよう。
SBI証券:投資家のあらゆるニーズに応えるネット証券最大手、債券商品の種類もNO.1
取扱金融商品の種類は圧倒的で、個人投資家向けの債券商品も、個人向け国債から普通社債、仕組債、外貨建債券まで、多彩さも際立っている。
SBI証券の円貨建債券の特徴は仕組債の種類が豊富であることだ。SBI証券が発行する円貨建ての高金利デジタルクーポン債やEB債(通称SBI債)、さらに外資系金融機関、もしくは東証一部上場の優良企業が発行体である株価連動債は、毎月12本程度、多い月には20本弱販売されており、その都度早期完売する人気商品である。
外貨建債券が主体となる既発債は、商品、発行体、通貨など、種類だけでなく本数も多い。外貨決済と円貨決済のいずれのタイプの品揃えも豊富だ。
外貨の入出金に対応しているのは住信SBIネット銀行の外貨口座だけであるが、SBI証券の外貨建口座との外貨入出金手数料は無料。住信SBIネット銀行の外貨口座で為替取引をすれば、為替手数料も格安(米ドル/円の場合、片道4銭)になるのも大きなメリットである。
円貨決済型の外貨建債券(ブラジルレアル建、インドネシアルピア建、インドルピー建)の「償還乗換え優遇サービス」にも注目だ。対象の債券を償還日まで保有すると、翌日から6カ月のあいだに新たに同通貨建債券を購入した場合、円から現地通貨への為替スプレッドが不要になる。
・SBI証券の債券投資がおすすめなのはどんな人?
債券商品のラインアップが多彩なので、債券投資に元本保証や計画的な資金運用を期待する人、あるいは資産形成手段の一つとして高い利回りを望む人でも、自分の投資方針に合う商品を多くの選択肢から選ぶことができる。
<SBI証券の債券取引基本情報(2021年3月5日現在)>
主な取扱商品 | 主な通貨の為替手数料 (片道) |
取引可能時間 (インターネット経由) |
・個人向け国債 ・円貨建仕組債 ・円貨建普通社債 ・米国国債 ・外貨建利付債 ・外貨建割引債 ・外貨建劣後債 |
・米ドル:25銭 ※ ・ユーロ:80銭 ・豪ドル:1円 ・南アフリカランド:30銭 ・トルコリラ:1円 ・メキシコペソ:30銭 |
・新発債券:原則24時間 ・既発債券:営業日の17:00~ 翌営業日の14:00 |
楽天証券:主に個人向け国債と外貨建債券を取り扱い
楽天証券が取り扱う国内債券は主に個人向け国債で、国が保証する高い安全性と安定した収益性が魅力だ。外貨建債券は米国国債と外資系金融機関が発行する外貨建債券を取り扱っている。
・楽天証券の債券投資がおすすめなのはどんな人?
銀行預金のかわりに、個人向け国債で安定的に資産運用したい人、株式投資とリスク分散させる目的で債券投資をする人には、楽天証券の国内債券は過不足がない。
<楽天証券の債券取引基本情報(2021年3月5日現在)>
主な取扱商品 | 主な通貨の為替手数料 (片道) |
取引可能時間 (インターネット経由) |
・個人向け国債 ・米国国債 ・外貨建利付債 ・外貨建割引債 ・外貨建劣後債 |
・米ドル:25銭 ・ユーロ:50銭 ・豪ドル:70銭 ・南アフリカランド:30銭 ・トルコリラ:1円50銭 ・メキシコペソ:30銭 |
・国内債券、外国債券 0:00~14:30(当日注文) 17:15~24:00(翌営業日注文) |
マネックス証券:高金利の仕組債やマネックス債が人気、外貨建債券の取り扱いも
マネックス証券の債券取引サービスは、円貨建仕組債の販売本数が多いのが特徴である。
マネックス証券が販売する国内債券は、マネックスグループ発行(通称マネックス債)と外資系国際金融機関発行の株価連動債が主力だ。クーポンが8%~9%前後にもなる高金利商品も多いため、投資家から人気が高く、早期完売することが多い。
マネックスグループやソフトバンクグループなど、国内企業の保証付き円貨建社債や外貨建社債、無担保社債などについても多数の販売実績がある。
米ドル建債券を円貨で購入すると買付時の為替手数料が無料になるサービスも魅力がある。
・マネックス証券の債券投資がおすすめなのはどんな人?
好金利の円貨建仕組債を探しているなら、ぜひマネックス証券の新発債券をチェックしてほしい。株価参照銘柄の詳細な企業紹介もわかりやすく、投資判断の良い材料になる。
複利効果のある米国国債のストリップス債で投資運用を予定している人にも、マネックス証券はおすすめだ。買付時為替手数料無料サービスを利用できるメリットは大きい。
<マネックス証券の債券取引基本情報(2021年3月5日現在)>
主な取扱商品 | 主な通貨の為替手数料 (片道) |
取引可能時間 (インターネット経由) |
・個人向け国債 ・円貨建仕組債 ・米国国債 ・外貨建利付債 ・外貨建ゼロクーポン債 |
・米ドル:25銭(買付時無料) ・ユーロ:50銭 ・豪ドル:70銭 ・南アフリカランド:30銭 ・トルコリラ:1円 ・メキシコペソ:30銭 |
・国内債券、外国債券 9:30~14:00(当日注文) 17:40~翌9:00(翌営業日注文) |
auカブコム証券:外貨建債券の種類が豊富、為替手数料も安い
auカブコム証券が取り扱う債券は外貨建債券のみである。ただし、取り扱う外債は多彩だ。
auカブコム証券は、同じ三菱UFJフィナンシャル・グループ傘下の三菱UFJモルガン・スタンレー証券と協業しており、信用力のある国際的な金融機関が発行する外国債券を多数提供している。
米ドル建債券をはじめとして、高金利のメキシコペソ建て、南アフリカランド建て、トルコリラ建てなどの外貨建債券の新発債と既発債を取り扱っている。
auカブコム証券の外貨建債券取引の大きな特徴は、為替手数料の安さである。auカブコム証券の為替手数料はネット証券業界ではもっとも安く、米ドル/円は片道20銭。それ以外の高金利通貨の為替手数料も業界最安水準となっている。
・auカブコム証券の債券投資がおすすめなのはどんな人?
外貨建債券で為替差益を狙いながら効率的に利益を出したいと考えるなら、どの通貨の為替手数料も業界最安水準のauカブコム証券がおすすめだ。
為替取引の経験があれば、利子と償還金を外貨で受け取るのもよいだろう。ベストなタイミングで円に交換することで、為替差益を最大化できる。
<auカブコム証券の債券取引基本情報(2021年3月5日現在)>
主な取扱商品 | 主な通貨の為替手数料 (片道) |
取引可能時間 (インターネット経由) |
・米国国債 ・外貨建利付債 |
・米ドル:20銭 ・ユーロ:40銭 ・豪ドル:60銭 ・南アフリカランド:25銭 ・トルコリラ:2円 ・メキシコペソ:25銭 |
・新発債券:原則24時間 ・既発債券:原則 10:00~15:00(当日受付)、 18:30~翌9:50(予約受付) |
GMOクリック証券:高金利通貨建ての外貨建債券を厳選提供
GMOクリック証券が販売するのは、南アフリカランド建てやブラジルレアル建て、トルコリラ建てといった後進国の高金利通貨建利付債券のみ。政府系・国際系金融機関が発行した高格付取得債券なので、安心して購入できる。為替手数料も業界最安水準となっている。
・GMOクリック証券がおすすめなのはどんな人?
外債をポートフォリオに組み込んでリスク分散効果を期待する人、あるいは投資対象を高金利通貨建ての利付債に絞り込んでいる人には必見のネット証券だ。
業界最安水準の為替手数料で低コスト運用できるだけでなく、為替差益も狙えることから、取扱銘柄の少ないGMOクリック証券の債券投資でも十分利用価値があるだろう。
ただし、債券の取扱銘柄が限定されてしまうので、幅広く債券投資をしたい人や、自分で投資先を選びたい人には不向きだ。
<GMOクリック証券の債券取引基本情報(2021年3月5日現在)>
主な取扱商品 | 主な通貨の為替手数料 (片道) |
取引可能時間 (インターネット経由) |
・外貨建利付債 | ・豪ドル:50銭 ・南アフリカランド:20銭 ・トルコリラ:1円70銭 ・メキシコペソ:20銭 |
・新発債券: 15:00までの注文は当日約定 ・既発債券:即時約定 ※17:00以降の注文は翌日約定 |
6,おすすめの債券商品(個人向け国債、仕組債、外貨建債券)をわかりやすく解説
債券投資でおすすめのネット証券5社で購入できる債券は、主に、個人向け国債、仕組債、外貨建債券の3種類である。
個人投資家が購入しやすい3種類の債券の特徴や、メリット、デメリットをわかりやすく解説しよう。
個人向け国債……最低金利と元本保証あり、個人投資家が買いやすい債券の代表格
・個人向け国債の特徴
個人向け国債の特徴は下表の通りだ。
<個人向け国債の種類と特徴>
種類 | 利子 | 2021年3月募集分の 利率 (税引前) |
購入単価 | 中途換金 |
変動10年 | ・半年ごとに適用利率が変動 ・半年ごと、年2回 |
年率0.09% | 1万円単位 | 発行後1年経過したら、 いつでも中途換金可能 ※「直前2回の利子相当額(税引前) ×0.79685」が差し引かれる |
固定5年 | ・利率は固定 ・半年ごと、年2回 |
年率0.05% | ||
固定3年 | ・利率は固定 ・半年ごと、年2回 |
年率0.05% |
国債を取り扱うネット証券で常時販売されているのは、個人投資家向けの「個人向け国債」である。個人向け国債は、毎月販売されることからも、気軽に購入できる国債として人気がある。
変動金利型10年満期の「変動10年」、固定金利型5年満期の「固定5年」、固定金利型3年満期の「固定3年」があるので、自分の資金計画に合わせて選ぶことができる。
・個人向け国債のメリット
変動10年、固定5年、固定3年で共通するのは、購入単位が1万円単位であり、購入後1年を過ぎたらいつでも中途換金が可能であること。
国が保証する債券なので、売却時には「直前2回の利子相当額(税引前)×0.79685」は差し引かれるが、元本割れすることはない。
経済環境の変化によって実勢金利が下がっても、0.05%の最低金利が保証されている点も、個人投資家から人気のある理由である。安心感をもって、安定的・計画的に資産運用したい人に最適な商品だ。
・個人向け国債の注意点・デメリット
ネット証券が取り扱う投資信託の利回りなどに比べると利率が低めなので、投資による効率的な資産形成を考える人にはインパクトが弱い。個人向け国債は、元本割れこそないが、大きな利益獲得を期待できる商品ではない。
絶対資産を減らしたくないという人には適した商品だ。もしくは、資産のリスク分散を目的に、ポートフォリオに組み込むことを前提にするならば、効果を発揮できるだろう。
円貨建仕組債……好金利で一番人気の債券、潜在的リスクの理解が必要
・円貨建仕組債の特徴
仕組債とは、債券にオプションやスワップといったデリバティブの仕組みが組み込まれた金融商品である。
対象株式の株価が設定した条件を上回る、あるいは下回ることによって、クーポンの利率が変わる、早期償還になるリスクがある、もしくは満期償還の償還金が額面割れするリスクもある。
その反面、発行条件で定められたクーポンの利率が一般的な債券よりはるかに高いのが特徴となっている。
・仕組債のメリット
仕組債の最大のメリットは、他のどのような商品の利回りをも凌駕するクーポン利率の高さである。
早期償還となった場合や、クーポン利率が下がった場合でも、銀行の定期預金金利を大きく上回る利子所得を確保できるのも、他の商品にはない大きなメリットである。
・仕組債の注意点・デメリット
1,元本割れリスク、利率引き下げリスク、早期償還リスクがある
仕組債のもっとも大きなデメリットは、観察対象期間中に一度でも「対象株式終値≦ノックイン判定水準」となり、さらに最終償還判定日に「対象株式終値≦行使価格」になった場合には、元本割れで償還を迎える可能性があることだ。
一方、観察期間中の早期償還判定日に、対象株式の株価が所定の水準を上回れば、早期償還が決定し、本来受け取るはずの利子を満額受け取ることができなくなる。
仕組債で一般的なのは対象株式株価連動債券である。観察期間中にノックイン事由が発生し、株価が回復しないまま満期償還になると、投資元本を下回る現金が償還される。
SBI証券が発行する仕組債には「EB債」と「デジタルクーポン付き仕組債」がある。
EB債は、観察期間中にノックイン水準を下回り、それ以後株価が低迷したまま満期償還を迎えると、所定の掛け目を掛けた金額で、対象株式に転換されて償還となる。
デジタルクーポン債は、利率決定日に、対象株式の終値が一定水準を下回ると、それ以降利率が引き下げられ、販売当初の利回りを確保できなくなる。
どのタイプの仕組債も、債券という位置づけではあるが、高い利率と引き換えに、さまざまな仕組みが組み込まれた、元本割れリスクの高いデリバティブ商品であることを忘れてはならない。
2,償還日前の途中売却ができない
仕組債は、満期までの期間が半年からせいぜい1年半程度までの商品であるが、流通市場が確立されておらず、買い手がつかないため償還日前の途中売却ができない。
途中売却ができたとしても、購入価格を大きく割り込むことが懸念されるため、仕組債の購入にあたっては、償還日まで使う予定のない、余裕資金を充てることが絶対条件となる。
3,初動が遅いと、早期完売で買えないこともある
仕組債には、さまざまなリスクがあるものの、クーポン利率の高さによって、個人投資家からの人気は絶大だ。販売期間終了を待たずに早期完売することも多い。
希望する仕組債を購入するためには、目論見書を確認したら、できるだけ早めに購入申込みをすることが肝要だ。早期完売で購入できない事態に見舞われないための鉄則だと考えよう。
外貨建債券……高金利通貨建債券が人気、為替手数料や為替リスクなどに注意
・外貨建債券の特徴
ネット証券で販売されている外貨建債券には、円貨決済型と外貨決済型がある。
外貨決済型の利金と償還金は、一般的には円貨、対象外債の現地通貨もしくは同通貨による外貨建MMFのいずれでも受け取ることができる。
取扱件数が多いのは米国国債(トレジャリーボンド=償還期間が10年超の国債)であり、現在売買されているのは「ストリップス債」(ゼロクーポンの割引債)と従来型の利付国債である。
次に多いのは、国際金融機関が外貨で発行する債券だ。メジャー通貨である米ドル、豪ドル、NZドル、ユーロなどから、高金利通貨(後進国通貨)と呼ばれる南アフリカランド、トルコリラ、メキシコペソ、ロシアルーブル、インドルピーなど、幅広い通貨で発行されている。
・外貨建債券のメリット
外貨建債券はクーポンだけでなく、為替差益も狙えるため、債券で安定運用しながら効率的に資産形成したい投資家から注目されている。
すでに外貨を保有している場合には、同じ外貨建ての債券を購入することもできる。この方法なら、円貨から外貨への為替手数料も不要になり、コストをかけない外貨建債券投資が可能になる。
・外貨建債券の注意点・デメリット
外貨建債券は、円と外貨との為替取引の際に為替手数料(為替スプレッド)が発生するため、より安い為替手数料の証券会社を選ぶことが望ましい。
さらに、外貨建債券投資では、通常の国内債券より大きなリターンを期待できる反面、為替リスクやカントリーリスク(地政学的リスク)もあり、投資元本が保証されているわけではない。
為替リスクに対する対策も必要になる。為替相場の環境が悪ければ、利金や償還金を現地通貨または現地通貨建MMFで受け取り、相場環境が好転してから円に戻すなど、状況に合わせた対応が求められる。
7,債券投資では、投資方針と資金計画に適した商品を選ぶのが基本
現在の債券市場では、個人向け国債や円貨建普通社債のようなローリスク・ローリターンな商品だけではなく、仕組債や外貨建債券といったハイリスク・ハイリターンな商品も販売されている。
個人投資家の投資方針は、元本割れを回避して安定的に資産運用する、価格変動リスクの少ない債券でポートフォリオのリスク分散を図る、あるいは多少のリスクをとってでも効率的に資産を増やすなど、さまざまである。
債券投資の効果を最大化するには、自分の投資方針や資金計画に合わせて、もっとも適した債券商品を選ぶことが重要になる。
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