先物取引は機関投資家やプロ対象の、ハイリスク・ハイリターンなデリバティブという印象を持っている人もいるだろう。実際には、個人投資家の資金力で取引できる銘柄もあるので、商品性や特徴を知って、今後の資産形成の選択肢に加えるのもよいだろう。

目次
1,先物取引とはどのような金融商品なのか?
2,先物取引の5つのメリット
3,先物取引のための口座選び3つのポイント
4,先物取引でおすすめの口座8選を比較
5,先物取引におすすめの口座8選の特徴は?
6,先物取引の3つの注意点・デメリット
7,個人投資家の先物取引には「日経225mini先物」を

1,先物取引とはどのような金融商品なのか?

先物取引という商品の特徴や仕組みについて、現物株式取引と比較をしながら、わかりやすく説明していこう。

「先物取引」とは将来の売買を約束する取引のこと

先物取引の大きな特徴は、現物株式取引のように現物をリアルタイムで売買するのではなく、将来の売買の約束(契約)を取引する点にある。

例えば、日経平均株価が上昇局面にある5月14日に、日経225先物を価格2万5,000円で1枚(1,000倍)購入するケースをイメージしてみよう。

この先物取引では、
・決められた特定の商品「日経平均株価を原資産とする日経225先物」を
・あらかじめ、決められた期日(満期日)「6月11日」(6限月)までに
・決められた価格「5月14日時点で決めた2万6,000円で売る」
以上のような契約を、5月14日時点で取引する。

先物取引では、満期日より前に反対売買(契約解消)することで、利確または損切りすることもできる。

上記の場合、期日前の5月26日に2万6,000円で売って利確すれば、100万円の利益が出ることになる(ここでは手数料や税金を考慮しない)。

予想に反して日経平均株価が値下がりした場合、期日前に2万4,900円で売って損切りすれば、損失額を10万円に抑えることができる。

先物取引の投資対象は株価指数が中心

ネット証券が取り扱っている先物取引の投資対象は、主に日経平均株価やTOPIX、東証マザーズ指数などの株価指数である。

先物取引とは、こうした原資産から派生したデリバティブ(派生商品)であり、多くのネット証券で取引できる株価指数を対象とする先物取引は「株価指数先物取引」と呼ばれている。

本来、先物取引の原資産はさまざまで、株価指数以外にも、株式、債券、金利などのほか、原油、金・銀、トウモロコシや小麦粉といった商品(コモディティ)や、海外の株価指数(海外指数)などを原資産とする先物取引もある。

株価指数先物取引は売りと買いの差額を受け取る「差金決済」

ネット証券が取り扱う先物取引は抽象的で実体のない株価指数が投資対象なので、現物株式取引のような現物の受け渡しが不可能である。そのため、売りと買いの差額だけを授受する「差金決済」取引となる。

同じ差金決済を採用している金融商品には信用取引もある。しかし、信用取引は投資対象が株式であるため、実際に受け渡しが行われている。この点が、先物取引と信用取引の大きな違いとなっている。

証拠金取引制度を採用している

先物取引は決済を確実に履行するために、担保として証拠金を証券会社に預け入れる「証拠金取引制度」を採用している。

証拠金取引では取引金額全額を払い込む必要はなく、担保となる証拠金を証券会社に預け入れて、その何倍、何十倍もの金額の大きな取引ができるのが特徴である。

先物取引では、対象指標によって1枚当たりの必要証拠金額が定められている。各証券会社は日本証券クリアリング機構が指定する証拠金計算方法(SPAN)で算出された金額に各社が定める掛け目を掛けて必要証拠金としている。

2,先物取引の5つのメリット

ここでは、先物取引の主なメリットを5つ挙げてみたい。

メリット1,レバレッジ取引で大きな利益を狙える

先物取引は証券会社に差し入れた証拠金の何倍、何十倍もの大きな取引ができる。つまり、投資家が投資する資金以上の大きな利益を狙うことができるのが特徴だ。

てこの原理を利用したこの仕組みは、「レバレッジ」と呼ばれている。

メリット2,「売り」から入れるので利益獲得のチャンスが増える

先物取引は売買で現物を受け渡すことはない。そのため、下落局面には「売り(売り建て)」から入って、買い戻すことで利益を出すことができる。

現物取引では、現物株式が手元になければ売ることはできず、取引は買いから始めるしかない。これに比べると、先物取引の収益機会は2倍になるため、資金効率がアップする。

メリット3,銘柄選びが簡単で、値動きもわかりやすい

現物取引や信用取引の個別銘柄の売買には、銘柄を絞り込んで投資判断を下すまでに、投資情報の入手、候補銘柄の比較、個別銘柄のファンダメンタルズ分析やテクニカル分析など、多くの時間と手間をかける必要がある。

対する株価指数先物取引では原資産をどの株価指数にするかを決めるだけなので、銘柄選びに時間をかけなくてよい。

その上、株価指数はどれも、テレビやネットのニュースや新聞のマーケット情報で毎日公表される有名なものばかりで、値動きの確認に手間もかからない。

メリット4,夜間立会もあるので、ビジネスパーソンでも取引しやすい

現物株式取引の取引時間は、証券取引所の立会時間である午前9時~午後3時までであり(午前11時30分~12時30分の昼休みを除く)、日中が業務時間となるビジネスパーソンは取引時間を確保しにくい。

一方の先物取引の立会時間には、「日中立会」と「夜間立会」があり、証券取引所のザラバ同様に、板寄せ方式でマッチングが行われる。立会前は「プレ・オープニング」、立会終了直前は「プレ・クロージング」と呼ばれており、板寄せのための注文受付時間が設けられる。

各証券会社では、システムメンテナンス時間以外はほぼ24時間、システムに注文を入力できるようになっている。

先物取引の注文受付可能時間や取引時間は長く、日中多忙な人でも取引しやすいのも特徴の一つだ。

先物取引主要銘柄の注文受付時間と立会時間

先物,証券会社,おすすめ,比較
(画像=※筆者作成)

メリット5,余分な費用がかからない

同じ証拠金取引の仲間である信用取引は、証券会社から資金や株式を借りて行う取引であるため、金利や貸株料が発生する。

これに対して、先物取引では証券会社から資金や株式を借りることなく、買いと売りの差額だけが受け渡しの対象となるので、金利や貸株料といった余分な費用が一切不要だ。

3,先物取引のための口座選び3つのポイント

先物取引の取扱銘柄や取引ルールは証券会社ごとに違いがある。投資家、とりわけ先物取引をこれから始める投資家にとって、取引しやすく、有利な条件で取引できる証券会社を選ぶことが重要だ。

なお、今回は、現物株式取引や投資信託、信用取引経験者が聞きなれた「株価指数」を原資産とする先物取引に限定して、先物取引口座選びのポイントを提案したい。

先物取引を取り扱うネット証券の中から、気になる証券会社を複数選び出し、次の点をチェックしてみよう。

ポイント1,少額な資金で取引できる銘柄が提供されている

株価指数先物取引の取引単位(1枚)は、株価指数の価格×1,000倍であり、一般的には「ラージ」と呼ばれている。ラージは用意すべき資金の額も大きければ、利益だけでなく損失額も大きくなる。

ラージは主に機関投資家向けあるいは大口投資家向けの商品であり、先物取引初心者や個人投資家にはかなりハードルが高い。

一方、取引単位(1枚)が株価指数の価格×100倍の「ミニ」もあり、比較的少額の資金でも始められる上に、損失額も最小限に抑えられる。

「日経225mini」や「ミニTOPIX先物」の取引単位は、それぞれ日経225先物やTOPIX先物の取引単位の10分の1なので、レバレッジが20倍程度の取引であれば、投資金額(必要証拠金)は個人投資家でも取引できる金額となる。

JPX日経400先物、NYダウ先物、台湾加権指数先物、FTSE中国50先物といった海外株価指数先物も、株価指数の価格×100倍が取引単位(1枚)になっている。

東証マザーズ指数を原資産とする東証マザーズ指数先物も、価格変動リスクはあるものの、成長性の高い企業で構成されており、必要証拠金も比較的少額なので、個人投資家に人気がある。

先物取引を始めるならば、投資する資金が少額ですみ、リスクも軽減できる少額証拠金銘柄を選択できる証券会社を選びたい。

ポイント2,取引手数料が安い

投資にかかるコストは少ないほうが利益率は高くなる。先物取引の主なコストは取引手数料である。取引手数料は証券会社ごとに違っているため、比較した上で、安い手数料を設定している証券会社を選ぶのも一つの考え方だろう。

先物取引に利用する証券会社選びでは、人によって取引で重視する基準が異なるので、取引手数料の安さが絶対条件というわけではない。それでも、先物取引手数料の安さは、多数の証券会社をふるいにかけるためのわかりやすい指標なので、真っ先にチェックすることをおすすめしたい。

ポイント3,取引しやすいトレーディングツールがある

先物取引はデイトレードなどの値幅が小さな短期売買で取引されることも少なくない。

そのため、注文操作がスムーズで、スピード注文にも対応できる先物取引用のトレーディングツールは投資成績に直結する。使い勝手の良いスマホアプリがあれば、場所を選ばず取引できるので、投資機会を逃すこともない。

4,先物取引でおすすめの口座8選を比較

株価指数先物取引を取り扱うネット証券8社に対して、上述の『先物取引のための口座選び3つのポイント』を比較した結果は以下のとおりである。あわせて、各社の先物対応トレーディングツールとスマホアプリも紹介する。

個人投資家向け株価指数先物の取引手数料比較表(2021年2月26日現在)

ネット証券会社名 取引手数料 ※1
(1枚あたり/税込)
SBI証券※2 日経225mini 38.5円
ミニTOPIX先物 44円
JPX日経400先物 44円
東証マザーズ指数先物 41.8円
楽天証券 日経225mini 38.5円
ミニTOPIX先物 取り扱いなし
JPX日経400先物 取り扱いなし
東証マザーズ指数先物 41.8円
松井証券 日経225mini
(一日先物取引)
38.5円
(27.5円)
ミニTOPIX先物
(一日先物取引)
44円
(27.5円)
JPX日経400先物
(一日先物取引)
44円
(27.5円)
東証マザーズ指数先物
(一日先物取引)
44円
(27.5円)
マネックス証券 日経225mini 38.5円
ミニTOPIX先物 取り扱いなし
JPX日経400先物 55円
東証マザーズ指数先物 取り扱いなし
auカブコム証券 日経225mini 41.8円
ミニTOPIX先物 取り扱いなし
JPX日経400先物 41.8円
東証マザーズ指数先物 44円
SBIネオトレード証券 日経225mini 36.3円
ミニTOPIX先物 取り扱いなし
JPX日経400先物 取り扱いなし
東証マザーズ指数先物 取り扱いなし
岡三オンライン証券 日経225mini 44円
ミニTOPIX先物 44円
JPX日経400先物 44円
東証マザーズ指数先物 44円
GMOクリック証券 日経225mini 37円
ミニTOPIX先物 取り扱いなし
JPX日経400先物 取り扱いなし
東証マザーズ指数先物 取り扱いなし
※1,上記比較表では、個人投資家に適した「ミニ日経225先物」、「ミニTOPIX先物」、「JPX日経400先物」、「東証マザーズ指数先物」の取り扱いの有無と、それぞれ1枚(片道)の取引手数料を比較した
※2,SBI証券では、立会取引と立会外取引であるJ-NETのどちらかを選択できる。上記では、他社との比較のため、立会取引の取引手数料を掲載した

先物対応トレーディングツールとスマホアプリ比較表(2021年2月26日現在)

ネット証券会社名 先物対応
トレーディングツール
先物対応スマホアプリ
SBI証券 『HYPER SBI』
・株式だけでなく、
先物オプション取引も可能
・先物オプション情報も豊富
・注文種別と執行条件が豊富
・先物・オプション取引口座開設
の場合は、利用料無料
『HYPER先物・
オプション スマホアプリ』
・スピード注文機能搭載
・充実の投資情報
・板やチャートはリアルタイム更新
楽天証券 『マーケットスピード』
・国内株式、為替、
国内先物OP、米国株式、
海外先物の投資情報の
収集や取引ができる
・先物オプションに
関するニュースも豊富

『マーケットスピードⅡ』
・国内株式と国内商品先物に加えて
国内先物OPの取引機能も追加搭載
・圧倒的な情報量
『iSPEED先物OP』
・株価指数や先物価格など、
マーケット情報が豊富
・限月一覧、限月ごとの気配や
チャート情報から注文に遷移可能
松井証券 『ネットストック・ハイスピード』
・株式と先物OP向けの
高機能な発注機能搭載ツール
・デイトレードに最適なスピード注文
『株touch』
・株式取引と先物OPに対応
・株式はNISA口座対応
・株価ボード、先物ボード、
オプションボードは最短0秒で更新
マネックス証券 『マネックストレーダー』
・株式と先物OP用高機能ツール
・マルチ気配ビューアや
株式市況アラームを搭載
・各種情報を一画面表示可能
『マネックストレーダー
先物スマートフォン』
・先物取引専用アプリ
・逆指値・ツイン指値注文可能
・ダブルタップの板発注
auカブコム証券 『kabuステーション』
・株式、先物OP向けの
発注機能搭載投資情報ツール
・利用料は990円(税込)/月
・先物OP口座開設の翌月無料
『kabuステーション』
・PC版kabuステーションの
操作性を追求して、
スマホ向けに最適化
・PC版との連携あり
SBIネオトレード証券 『NEOTRADER R』
・株式と先物OP用のツール
・スピーディな板発注
・株式はNISA対応
『アプリNEOTRADER S』
・株式、NISA、先物OPすべての
取引ができるオールインワンアプリ
岡三オンライン証券 『岡三ネットトレーダープレミアム』
・株式と先物向け高機能ツール
・板発注や各種特殊注文に対応

『岡三ネットトレーダーライトF』
・先物オプション専用ツール
『岡三ネットトレーダースマホF』
・先物OP専用スマートフォンアプリ
・スピード注文やスマート
自動決済注文など、
PC並みの機能を搭載

『岡三ネットトレーダー
スマホF for iPad』
・PC版と同等の機能を
iPadの大画面向けに最適化
GMOクリック証券 『スーパーはっちゅう君』
・株式、先物OP向けの高機能ツール
・フル板注文画面やミニ注文
画面など、各種用途の注文画面を搭載
・高度な投資情報分析ツールを搭載
特になし

5,先物取引におすすめの口座8選の特徴は?

今回ピックアップしたネット証券8社を対象に、各社が提供する先物取引サービスの特徴や概要を紹介する(2021年2月26日現在)。

なお、各ネット証券の「先物取引の概要/スマホアプリの先物取引対応状況」は、状況に応じて次のように表示した。
・先物OP取引専用スマートフォンアプリが提供されている場合→◎
・株式などとの共用アプリの場合→〇
・先物OP取引に対応したアプリが提供されていない場合→×

SBI証券……業界トップクラスの取扱銘柄数、APIで拡張性のある先物取引環境も提供

SBI証券が取り扱う株価指数先物の銘柄数はネット証券業界トップクラスだ。

主に機関投資家向けの日経225先物や日経平均Ⅵ先物、個人投資家でも取引できる日経225mini、ミニTOPIX先物、JPX日経400先物、米中を代表する株価指数が原資産の海外指数先物など、ラインアップが豊富だ。

SBI先物・オプション‐APIを利用すれば、サードベンダーのシステムトレードツール(Trading Viewなど)によるシステムトレード(自動発注)が可能になるのも、SBI証券ならではの特徴的なサービスである。

一部の銘柄については、取引所での立会取引だけでなく、市場外取引のJ-NETを割安な手数料で利用できるのも、SBI証券のメリットの一つに挙げられる。この場合、流動性リスクがあることや、立会取引による価格とは同期しない点に注意が必要になる。

・SBI証券の先物取引がおすすめなのはどんな人?
多彩な先物取引銘柄やAPI接続サービスなど、ワンランク上の先物取引サービスを提供しているので、将来的に、先物取引を資産形成手段の主軸に据えたい人にはおすすめだ。

・SBI証券の先物取引の概要

銘柄数 少額証拠金銘柄と
取引手数料(1枚あたり/税込) ※
スマホアプリの
先物取引対応状況
・株価指数先物:12種類
・オプション:3種類
日経225mini 38.5円
ミニTOPIX先物 44円
JPX日経400先物 44円
東証マザーズ先物 41.8円
※他社との比較のため、立会取引の取引手数料を表示した

楽天証券……商品先物や海外指数先物など、株価指数先物にとどまらない豊富な品揃え

株価指数先物は日経225先物、日経225mini、東証マザーズ先物の3銘柄のみだが、オプション取引やバラエティに富んだ海外先物取引、さらにはネット証券では唯一、金・銀、小豆などの商品先物も取り扱っている。

先物取引は、高機能で定評のあるトレーディングツール、「マーケットスピード」と「マーケットスピードⅡ」、ならびに商品先物取引にも対応しているスマホアプリの「iSPEED」から情報収集と発注ができる。利用料はすべて無料だ。

海外先物取引は株価指数から原油、小麦粉など多彩な品揃えが特徴。取引画面や取引説明書は日本語対応で誰でも使いやすい。為替リスクが心配な人向けに現地通貨での取引も可能。

・楽天証券の先物取引がおすすめなのはどんな人?
幅広い種類の先物取引商品を提供しているので、株価指数先物に限らず、商品先物にもチャレンジしてみたいなら最適なネット証券である。

・楽天証券の先物取引の概要

銘柄数 少額証拠金銘柄と
取引手数料(1枚あたり/税込)
スマホアプリの先物
取引対応状況
・株価指数先物:3種類
・オプション:1種類
・商品先物:12種類
・海外先物:31種類
日経225mini 38.5円
東証マザーズ先物 41.8円

松井証券……一日先物取引など、先駆的、特徴的なサービスを提供

一日先物取引は、他社の先物取引や、松井証券の通常の先物取引より好条件で取引できる独自色の強いサービスである。

通常の先物取引のレバレッジ倍率は約18倍であるのに対して、一日先物取引は約37倍。必要証拠金はおよそ半額。取引手数料も通常なら日経225miniは38.5円(税込)、ミニTOPIX先物が44円(税込)のところ、一日先物取引なら一律27.5円(税込)になる。

通常の先物取引では原則的にロスカットは執行されないが、損失額を限定する目的で、「ロスカット口座」を開設することもできる。

あらかじめ、ロスカット口座を設けて、ロスカット水準を設定しておけば、証拠金状況が水準を下回った際にはその時点で自動的にロスカットが執行される(一日先物取引にはロスカットルールが採用されているため、ロスカット口座の開設は不要)。

証拠金として差し入れることができるのは、現金だけでなく、株式も可能だ。建玉ごとの必要証拠金の50%まで、株式を代用有価証券として差し入れることができる。これも、松井証券の独自サービスの一つだ。

・松井証券の先物取引がおすすめなのはどんな人?
先物取引をデイトレード主体で取引する人は、リスク管理を徹底しながら、より低コスト・高レバレッジで効率的に利益を上げられる、松井証券の一日先物取引がおすすめだ。

・松井証券の先物取引の概要

銘柄数 少額証拠金銘柄と
取引手数料(1枚あたり/税込)
スマホアプリの先物
取引対応状況
・株価指数先物:7種類
・オプション:1種類
日経225mini 38.5円
ミニTOPIX先物
JPX日経400先物
東証マザーズ先物
44円
※一日先物取引では、上記の少額証拠金銘柄の取引手数料は一律27.5円(税込)である

マネックス証券……先物・オプション取引専用アプリが使いやすい

日経平均株価指数とJPX日経400指数という、人気のある株価指数を原資産とする銘柄に絞り込んでいるため、銘柄選びに迷うことがなく、値動きもつかみやすい。

先物取引専用スマホアプリ「マネックストレーダー先物スマートフォン」は、シンプル操作で、スピーディな発注が可能。逆指値やツイン指値注文も可能なので、自分の判断で適切なリスク管理ができる。ユーザーが使いやすいスマホアプリだと言えるだろう。

・マネックス証券の先物取引がおすすめなのはどんな人?
定番の銘柄だけに投資できれば良いと考える人には、マネックス証券の先物取引は使い勝手が良い。

個人投資家向けの銘柄は日経225miniとJPX日経400先物の2種類だけなので、銘柄選択に時間をとられることはない。先物取引専用アプリ、「マネックストレーダー先物スマートフォン」も使いやすく、兼業投資家には最適だ。

・マネックス証券の先物取引の概要

銘柄数 少額証拠金銘柄と
取引手数料(1枚あたり/税込)
スマホアプリの先物
取引対応状況
・株価指数先物:3種類
・オプション:1種類
日経225mini 38.5円
JPX日経400先物 55円

auカブコム証券……株式や投資信託も証拠金として代用できる、自動売買も可能

auカブコム証券の先物取引の主な特徴は、証拠金に代用有価証券を差し入れることができることと、自動売買を活用できることの2点だろう。

大半のネット証券では、先物取引で差し入れる証拠金は原則現金となっている。それに対して、auカブコム証券では、証拠金を現金だけでなく、会社が指定する株式または投資信託も代用有価証券として差し入れることができるため、資金効率に優れている。

高機能トレーディングツール、「kabuステーション」を使った先物・オプション取引は、株式取引同様に、auカブコム証券の真骨頂である自動売買にも対応している。そのため、ロスカットルールが適用されない先物取引でも、リスク管理を徹底させた取引が可能だ。

・auカブコム証券の先物取引がおすすめなのはどんな人?
すでにauカブコム証券に口座を開設しており、多くの株式や投資信託を保有しているならば、保有する有価証券を有効活用できるので、先物取引を検討してみるのもよいだろう。

先物取引のようなレバレッジ取引が初めてで、リスク管理に自信がない人も、auカブコム証券の自動売買を利用して取引すれば、リスクを軽減できるのでおすすめだ。

・auカブコム証券の先物取引の概要

銘柄数 少額証拠金銘柄と
取引手数料(1枚あたり/税込)
スマホアプリの
先物取引対応状況
・株価指数先物:9種類
・海外先物:1種類
・オプション:1種類
日経225mini 41.8円
ミニTOPIX先物 41.8円
JPX日経400先物 41.8円
東証マザーズ先物 44円

SBIネオトレード証券……ネット証券業界で最安水準の低コスト運用が可能

先物取引の取り扱いは日経225先物取引と日経225miniの2種類だけであるが、ライブスター証券時代からの流れをくんで、2銘柄の取引手数料はネット証券業界No.1の安さを誇る。

個人投資家に人気のある日経225mini1枚あたりの片道取引手数料は36.3円(税込)で、もちろんネット証券業界最安値だ。

・SBIネオトレード証券の先物取引がおすすめなのはどんな人?
シンプルに日経225miniだけを取引したい人、あるいは、とにかくコストを抑えて先物取引をしたい人は、迷わずSBIネオトレード証券を選ぶとよいだろう。

・SBIネオトレード証券の先物取引の概要

銘柄数 少額証拠金銘柄と
取引手数料(1枚あたり/税込)
スマホアプリの
先物取引対応状況
・株価指数先物:2種類
・オプション:1種類
日経225mini 36.3円

岡三オンライン証券……デイトレード向けコースや専用アプリなど、先物OPサービスが充実

豊富な商品ラインアップの中でも、とりわけ人気の高い日経225先物と日経225miniは、1セッション限定で必要証拠金が通常の50%に減額される「アクティブコース」の対象。資金効率の良さが大きな特徴のサービスである。

ロスカット制度が設けられていないネット証券が多い中、岡三オンライン証券ではロスカット水準を有効比率(=有効証拠金÷必要証拠金×100)70%に設定し、顧客資産の損失額限定に努めている。

さらに、先物・オプション取引に特化したスマホアプリやiPad向けアプリも充実している。見やすさと操作性を追求し、外出先でも、アプリからスムーズに情報収集や先物OP取引ができるようにデザインされている。

・岡三オンライン証券の先物取引がおすすめなのはどんな人?
銘柄が豊富でリスク管理も厳格、先物OP取引専用アプリも使いやすいので、重点的に先物取引に投資したい人で、外出先でも情報収集や取引をしたいビジネスパーソンなどには、使い勝手の良いネット証券だ。もちろん、先物取引専業トレーダーにもおすすめだ。

・岡三オンライン証券の先物取引の概要

銘柄数 少額証拠金銘柄と
取引手数料(1枚あたり/税込)
スマホアプリの
先物取引対応状況
・株価指数先物:9種類
・海外先物:1種類
・オプション:2種類
日経225mini 44円
(アクティブコースの場合、27円)
ミニTOPIX先物 44円
JPX日経400先物
東証マザーズ先物

GMOクリック証券……取引手数料の安さが魅力、高機能のトレーディングツールも

株価指数先物の取扱銘柄は厳選2種類、個人投資家が取引しやすい少額証拠金銘柄は1種類だけであるが、取引手数料の安さは大きなメリット。個人投資家向けの日経225miniは1枚あたり片道37円(税込)で、通常取引としてはSBIネオトレードに次ぐ業界最安水準となっている。

株式と併用するトレーディングツール「スーパーはっちゅう君」は直感的な操作に優れ、マウス操作だけでスピーディな注文が可能。高度なテクニカル指標も多数搭載しており、分析ツールとしても利用価値が高い。

ただし、先物OP取引に対応するスマホアプリがないので、高機能ツールを利用するのはPCに限られるのが難点だ。

・GMOクリック証券の先物取引がおすすめなのはどんな人?
安い取引手数料とPC用高機能ツールをフル活用しながら、日経225先物と日経225miniで効率的に取引を行いたい人、あるいはセミプロ級のトレーダーを目指す人には満足できるネット証券だ。

・GMOクリック証券の先物取引の概要

銘柄数 少額証拠金銘柄と
取引手数料(1枚あたり/税込)
スマホアプリの
先物取引対応状況
・株価指数先物:2種類
・オプション:1種類
日経225mini 37円 ×

6,先物取引の3つの注意点・デメリット

現物株式取引とは商品性が異なり、先物取引は「ハイリスク・ハイリターンのレバレッジ取引である」「取引金額が大きくなる」「期日が設けられている」などの特徴をもつ。

あらかじめ、デメリットや注意点を十分に理解した上で取引を開始することが、あらゆるリスクを軽減することにつながる。そのため、ここで、先物取引の注意点やデメリットをしっかり理解しておいてほしい。

注意点・デメリット,1取引最終日までに決済(反対売買)しないと、強制決済される

先物取引には期日(満期日もしくはSQ日、限月の第2金曜日にあたる)があり、その前営業日が投資家の裁量で自由に取引できる最終日となる。

期日の大引け後には、取引所から、各株価指数を構成する全銘柄の始値に基づいて算出されたSQ値(スペシャル・クォーテーション/特別清算指数)が発表される。

取引最終日までに決済されなかった建玉は、発表されたSQ値で強制的に決済される仕組みになっている。

期日を迎えてしまうと、相場の良し悪しとは無関係に決済されるため、損失を被るリスクも高くなる。ポジションを建てたら、取引最終日までの決済を心掛けたほうが賢明だ。

注意点・デメリット2,追証の発生や強制決済リスクがある

先物取引では、投資家が保有している建玉ごとに、毎営業日の決められた時刻(日中立会の大引け後であることが多い)に値洗いが行われる。

値洗いでは、投資家の預託証拠金が計算され、各社の定める証拠金所要額を下回っていると、証拠金所要額(維持証拠金)水準に回復するまで追加証拠金(追証)の差し入れが必要になる。

各社が定める期限までに証拠金所要額まで回復されない場合、強制決済されてしまう。強制決済では予期せぬ大きな損失が出ることも想定されるので、日々の維持証拠金には注意を払わなければならない。

注意点・デメリット3,証拠金として差し入れることができるのは基本的に現金だけ

先物取引の証拠金は、現金による差し入れが基本となっており、代用有価証券の差し入れができない証券会社のほうが多い。

それに対して、大半の証券会社の信用取引では、委託保証金として、現金以外にも株式や投資信託、債券といった代用有価証券の差し入れが認められているので、間違いのないようにしてほしい。

<先物取引の証拠金が現金のみのネット証券>
SBI証券、楽天証券、マネックス証券、GMOクリック証券、岡三オンライン証券、SBIネオトレード証券

<代用有価証券が認められているネット証券>
・auカブコム証券:原則現金、一部指定の上場株式や投資信託については前々営業日終値の70%
・松井証券:必要証拠金のうち50%以上は現金、残りは株式でもよい

7,個人投資家の先物取引には「日経225mini先物」がおすすめ

一般的には機関投資家や大口投資家向けと考えられている先物取引であるが、取引単位が10分の1、あるいは証拠金が少額でよいミニ銘柄を選べば、個人投資家でも手持ちの資産で先物取引を取引できる。

中でも、どのネット証券でも取り扱っているミニ銘柄、「日経255mini先物」は流通量も多く、値動きがわかりやすいので、もっともおすすめだ。

先物取引のレバレッジ倍率は、信用取引のレバレッジ倍率に比べて大きく、投資効率がはるかに良い。さらに、株価指数先物取引なら、原資産が株価指数なので銘柄選びも簡単だ。

その反面、先物取引で生じる損失額も大きくなりやすい。先物取引にロスカット制度が設けられていない証券会社が多いことも不安材料になる。

先物取引にのぞむ投資家は、あらかじめ損切りラインを決めておく、逆指値注文などでリスク管理を徹底する、日々の維持証拠金に注意を払う、あるいは相場を注視し、反対売買のタイミングを逃さないなどの配慮が必要になる。

先物取引は、適切な銘柄を選んで、デメリットや注意点に対する対策を講じてこそ、個人投資家にとって資産形成のより良い手段になると認識してほしい。

近藤真理
執筆・近藤真理
証券会社の引受業務やビジネス系翻訳携わったのち、個人投資家として活動。現在は総合証券、ネット証券の両方を使いこなし、経済、金融、HR領域で多数の媒体で執筆中。2019年にフィナンシャルプランナーの資格取得。
証券会社の引受業務やビジネス系翻訳携わったのち、個人投資家として活動。現在は総合証券、ネット証券の両方を使いこなし、経済、金融、HR領域で多数の媒体で執筆中。2019年にフィナンシャルプランナーの資格取得。

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