ネット銀行が人気の理由は店舗に行かず、自宅や会社で振り込みなどの手続きが行える手軽さや便利さがある点が、預金の引き出しをどこで行えばいいだろうか。ネット銀行の引き出し方や手数料なども紹介していこう。
目次
1.ネット銀行の特徴とメリット
2.ネット銀行の預金の引き出しには提携ATMを利用
3.コンビニATM引き出し手数料無料のネット銀行6選
4.ネット銀行の預金を引き出すときの注意点
5.ネット銀行の引き出し手数料を安く抑える2つの方法
6.メリットを活かしてネット銀行を活用しよう
1.ネット銀行の特徴とメリット
ネット銀行は一般的な銀行とは違いさまざまな特徴がある。その違いやネット銀行を利用するメリットをみてみよう。
ネット銀行は普通銀行のひとつ
そもそも銀行は普通銀行と信託銀行の2つにわけられる。普通銀行は預金取り扱い金融機関として営業免許を取得している株式会社で、信託銀行は銀行業務に加えて信託業務も取り扱う。普通銀行のなかには都市銀行や地方銀行などがあるが、ネット銀行も普通銀行のひとつだ。
ネット銀行はインターネットバンキング専門の銀行
インターネットの発展により、パソコンやスマホから振り込みや取引履歴の確認などができる「インターネットバンキング」が可能になった。ネット銀行はその波をうけて生まれた。都市銀行や地方銀行もインターネットバンキングに対応するところが増えているが、ネット銀行はインターネットバンキング専門の銀行のことである。
ネット銀行は基本的に対面式の店舗や自行ATMは持たず、コンビニATMや提携している銀行ATMを利用して入出金を行う。預金の預け入れや払い戻しなどの取引履歴や振り込みなどはパソコンやスマホを使ってWEB上で行う。
ネット銀行のメリット1……振込手数料など各種手数料が安い
ネット銀行は実店舗を持たないため、店舗を構える費用や人件費を大幅に削減できる。その分、振込手数料など利用者からもらう手数料を低く抑えられる。
対面型の銀行であるみずほ銀行と、ネット銀行である楽天銀行で比較してみよう。ネット銀行の楽天銀行では、他行に3万円未満の振り込みを行うときの手数料は168円だ。会員ステージに応じて最大毎月3回まで振込手数料が無料になるサービスもある。
みずほ銀行から他行宛に3万円未満の振り込みを窓口で行うと、振込手数料が770円と高額だ。ATMで現金を使って振り込む場合の手数料は440円、キャッシュカードでは330円である。みずほ銀行のインターネットバンキングを利用した場合が一番安いが、それでも手数料は220円かかる。
楽天銀行とみずほ銀行の手数料との差額は最大で602円、最小でも52円だ。毎月振り込みを行う人であれば、この差額は大きい。
ネット銀行のメリット2……普通預金の金利が高い
ネット銀行では普通預金の金利も高く設定されている。ネット銀行の中で普通預金金利が一番高いのはあおぞら銀行BANKで、その金利は0.2%だ。みずほ銀行の金利は0.001%なので、200倍の金利になる(2020年8月時点)。
超低金利が続く現在、対面型の銀行で定期預金をしてもほとんど利息はつかないが、ネット銀行を活用すれば、従来の銀行の200倍の利息が手に入る。投資とは違い、ネット銀行での預金はペイオフなどで資産保護もされるため、安定した資産運用を希望する人にはネット銀行はおすすめだ。
ネット銀行のメリット3……個性的なサービスがある
ネット銀行はそれぞれ独自のサービスを提供している。振り込みにフェイスブックやケータイ番号が利用できたり、ネット銀行によってはポイントカードと連携したりもできる。例えばジャパンネット銀行ではTポイントを現金に交換できる。同じくネット銀行の楽天銀行では、振り込みやATM入出金を行うたびに楽天ポイントが付与される。
自分が普段から使っているポイント制度と提携しているネット銀行を利用することで、より効率的にポイントを稼げるのだ。
2.ネット銀行の預金の引き出しには提携ATMを利用する
ネット銀行はインターネット上の取引が主なので、基本的に店舗やATMはない。ネット銀行の口座から現金を引き出しや入金をしたい場合は、提携ATMを利用すればよい。特に便利なのが買い物などのついでに引き出せるコンビニATMだ。
ネット銀行の引き出し手数料は一定回数無料の場合もある
コンビニや提携銀行ATMを利用する場合、気になるのが手数料だろう。対面型の銀行の場合、自行ATMであれば平日日中の手数料は無料である。しかし自行ATMを持たないネット銀行は毎回手数料がかかるため、損してしまうのではと思う人もいるだろう。
ネット銀行にはその点をカバーするためのサービスがある。たとえばauじぶん銀行の場合、最大月11回まで引き出し手数料が無料になる。ソニー銀行の場合は、ランクが高くなれば無制限で引き出し手数料が無料だ。ある程度ネット銀行を利用している人なら、月数回は無料になるため、計画的に使えば手数料もマイナスにはならない。
実店舗を持つ銀行はATMを減らしている
そもそも対面型の銀行は自行ATMの数を減らす傾向にある。例えば三菱UFJ銀行と三井住友銀行は店舗外に設置したATMを2019年9月から相互開放している。これは設置場所が近いATMを利用しあうことで、設置コストを削減する狙いがあるからだ。両行は今後近接するATMを約700ヵ所廃止し、年間約40億円の経費削減を狙うという。また新生銀行は2017年に行内に設置されたATMをセブン銀行ATMに変えている。
コンビニATMが増加する反面、都市銀行や地方銀行は自行ATMを減らしているため、それなりに提携外のATMで手数料を払っている人が多い。つまり自行ATMを持たないネット銀行の弱点は、対面型の銀行と比べてそこまで気にするものでもない。
3.コンビニATMの引き出し手数料が無料のネット銀行6選
コンビニATMから引き出すときに、手数料は極力、支払いたくないものだ。そこでコンビニATMの引き出し手数料が無料のネット銀行を紹介していこう。
(1)住信SBIネット銀行……最低でも月2回、引き出し手数料が無料
住信SBIネット銀行のATM引き出し手数料は「スマプロランク」に応じて月2~15回は無料、それ以降は1回110円だ。開設月から最低でも月2回は無料になる。
(2)ソニー銀行……月4回まで引き出し手数料が無料
ソニー銀行の場合はセブン銀行、イオン銀行、ローソン銀行など提携ATMで引き出すことができ、カードローンの借り入れ、振り込みを合わせた利用回数として月4回まで手数料が無料になる。また優遇プログラム「Club Sプラチナ」になれば無制限で無料だ。
(3)ジャパンネット銀行……3万円以上であれば何回でも引き出し手数料無料
ジャパンネット銀行は、毎月最初の1回は引き出しや振り込みの手数料が無料になる。2回目からは3万円以上であれば何回でも手数料無料だ。3万円以下の場合は165円または330円の手数料がかかる。まとめて現金を引き出す人であれば便利なサービスだろう。
(4)楽天銀行……口座開設から3ヵ月までは5回まで引き出し手数料が無料
楽天銀行は口座開設から3ヵ月までは5回まで引き出し手数料が無料だ。さらに「ハッピープログラム」に登録すると会員ステージに応じて最大毎月7回まで引き出し手数料が無料になる。ただ残高が10万円以下、毎月の取引が5件以下の場合は手数料無料の対象外なので注意して欲しい。
(5)auじぶん銀行……10万円以上の預金で引き出し手数料が月3回無料
auじぶん銀行は「じぶんプラス」という会員サービスのステージが2になれば、引き出し手数料が月3回、ステージが上がるにつれ最大で月11回まで無料になる。ステージ2以上の条件は預かり資産が10万円以上であることだ。そこまでハードルの高い条件ではないだろう。
(6)GMOあおぞらネット銀行……一番下のステージでも月2回は引き出し手数料が無料
GMOあおぞらネット銀行はカスタマーステージによって月2回~15回まで引き出し手数料が無料になる。ステージ変更は年4回行われるが、一番下のステージでも月2回は引き出し手数料が無料なのはうれしい。
4.ネット銀行の預金を引き出すときの3つの注意点
ネット銀行から現金を引き出すときには3つの注意点がある。
⑴引き出し限度額がある
ATMで1日に引き出せる額には限度額が設定されている。そのためネット銀行から大きなお金を引き出したい場合は注意が必要だ。対面型の銀行であればATMの引き出し限度額を超える金額は、営業時間中に銀行の窓口に印鑑、通帳、身分証を持って行けば引き出せる。しかし窓口がないネット銀行の場合、限度額を超えた額の引き出しは1日では難しい。
たとえば楽天銀行の場合は1日に引き出せる現金の限度額は50万円に設定されている。それ以上の金額を引き出したいときは、カスタマーセンターに連絡を入れれば、その当日のみ100万円まで引き上られる。ただし100万円を超える額は引き出せない。
また楽天銀行の場合は利用するATMによっても1回に引き出せる限度額が決まっている。例えばローソン銀行ATMでは1回あたりの引き出し限度額が20万円、1日の引き出し限度額は50万円だ。仮にローソン銀行ATMから50万円を引き出すには、3回操作しなければならない。
ネット銀行から大きなお金を引き出したいなら、前もって複数の日に分けて引き出しておくか、窓口のある普通の銀行の口座に振り込みし、窓口で引き出すのがよいだろう。
⑵通帳がないため取引明細はwebで確認する
対面型の銀行は通帳で取引明細を記載して残せるが、ネット銀行は通帳がないので取引明細はweb上で確認するしかない。しかも銀行によっては明細の保存期間も決められており、古い明細を確認したいときは問い合わせをして書面などでもらう必要がある。
ネット銀行の取引明細はこまめに確認し、スクリーンショットなどで保存していくとよいだろう。
⑶1,000円以下の預金が引き出せない
コンビニATMでは硬貨の取り扱いはできない。また硬貨の取り扱いが可能な銀行ATMでも、自行以外の口座取引では硬貨の取り扱いは不可だ。
ジャパンネット銀行のように提携ATMで硬貨を引き出すことができるネット銀行もあるが、多くのネット銀行では1,000円以下の残金があっても引き出せない場合が多い。口座を空にしたい場合などは困ることもあるだろう。
どうしても硬貨を引き出したい場合は、硬貨の引き出しが可能なATMを持つ自分の銀行口座に1,000円以下の預金を振り込んだ後で、硬貨として引き出そう。もしくは残高が1,000円単位になるように、ほかの口座から差額を振り込むという方法もある。
5.ネット銀行の引き出し手数料を安く抑える2つの方法
普段行く店が現金のみや現金での支払いが多く、そのたびに預金を引き出していると、ネット銀行の手数料無料の回数を超えてしまうことがある。引き出す機会が多い場合、どうしたら手数料を抑えることができるのだろうか。
方法1……コンビニ系ネット銀行を利用する
現金を引き出すことが多いなら、コンビニ系ネット銀行の口座を活用するのがよい。セブン銀行、イオン銀行、ローソン銀行などコンビニ大手が参入しており、自行ATMであれば時間帯にもよるが引き出し手数料は基本的に無料だ。
ただしほかのコンビニATMを利用すると、引き出し手数料がかかってしまうので注意が必要だ。自宅や会社近くなど、常に同じコンビニATMを利用するという人であれば、コンビニ系ネット銀行を選択肢に入れてみるのもよいだろう。
方法2……ネット銀行のデビットカードを利用する
ATMからわざわざ現金を引き出さなくてもいいようにキャッシュレス決済を使う方法もあるが、キャッシュレスだとお金を使いすぎてしまう不安がある人は、デビットカードを利用するのも手だ。デビットカードであれば預金口座からすぐに引き落とされるため、現金感覚で使える。引き出しが難しい1,000円以下の預金もデビット機能であれば使えるので便利だ。
6.ネット銀行は金利やポイント連携などのメリットを活かして活用しよう
ネット銀行は条件次第で引き出し手数料が無料になる場合が多く、高い金利やポイント制度など独自のサービスも充実している。対面型の銀行とあわせて使うことで、より便利に資産や家計を管理できる。ぜひネット銀行を上手に活用してみてはいかがだろうか。
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執筆・松浦恭子
住宅ローンを組んだことをきっかけに投資や資産運用に興味を持つ。マネー、ライフスタイル、子育てなど幅広い記事を制作中。
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