金利の高さや手軽さで注目されている「ネット銀行」。普通銀行とどこが違うのか、メインバンクとしてはどうなのか、またどのようなメリット・デメリットがあるのだろうか。ネット銀行の実態を掘り下げて、わかりやすく解説する。

目次
1,「ネット銀行」の定義
2,ネット銀行の4つのメリット
3,ネット銀行の3つのデメリット
4,ネット銀行をメインバンクにすべき人とは?
5,ネット銀行の利用を決めるポイント

1,「ネット銀行」の定義 普通銀行、普通銀行のネット支店、ネット銀行の違い

最初に、ネット銀行の定義とその他の銀行との違いを確認しておこう。

「普通銀行」「普通銀行のネット支店」「ネット銀行」の違いから、ネット銀行の定義を明らかにしていく。

普通銀行――店舗で取引を行う従来型の銀行

普通銀行とは「銀行法」によって設立された銀行を指す。商業銀行とほぼ同義であり、預金を主な資金源として資金の貸し付けを行っており、手形の割引や為替取引なども業務に含まれる。

普通銀行には、大都市に本店を置き、全国各地に支店網を持つ都市銀行と、地方都市に本店を置き、限られた地域に支店網を持つ地方銀行がある。普通銀行は、「従来型の店舗で対面取引を行う銀行」と考えていいだろう。

普通銀行のネット支店――普通銀行の中のインターネットバンキング専用窓口

普通銀行のネット支店は、対面取引を行う本支店とは別に、インターネットを介した銀行取引サービスを提供する支店で、店舗を持たない。このようなサービスは、インターネットバンキング、ネットバンキング、あるいはオンラインバンキングと呼ばれる。

ネット銀行――店舗を持たないインターネット専業銀行

ネット銀行とは、実店舗や自行のATMを持たない(あるいは最小限に抑えている)、インターネットを介した銀行取引が主体の銀行を指す。オンライン銀行、またはネットバンクとも呼ばれる。

提携金融機関のATM網やコンビニエンスストアに設置されたATMで入出金ができるが、預金者には冊子式の預金通帳は発行されないことが特徴だ。

2,ネット銀行の4つのメリット 金利、手数料、手間など

店舗や自行のATMを持たないネット銀行だが、その分人件費や家賃が少なくて済むため、経費率が低く抑えられている。ネット銀行を利用すると、それを生かした以下のメリットを享受できる。

メリット1,普通銀行より金利が高いことが多い

普通銀行と比べて、ネット銀行の金利は相対的に高めだ。住宅ローンの変動金利が低く、保証料がかからないなどのメリットもある。

2020年1月15日現在における楽天銀行(ネット銀行)と三菱UFJ銀行の金利を比較してみよう。
 

1年満期定期預金金利
(税引前)
住宅ローン
(変動金利選択プラン、諸費用除く)
楽天銀行 0.11% 年0.527~1.177%
三菱UFJ銀行 0.010% 年2.475%

100万円の1年満期定期預金金利(税引前)は、楽天銀行が0.11%、三菱UFJ銀行は0.010%。住宅ローン金利(変動金利選択プラン、諸費用除く)は、楽天銀行が年0.527~1.177%、三菱UFJ銀行の店頭表示金利は年2.475%。楽天銀行では、保証料も0円に設定されている。

ネット銀行によっては、提携ネット証券会社との口座連携サービスや取引頻度に応じた優遇サービスを設けているところもある。楽天銀行の普通預金金利は0.02%だが、楽天証券と連携するサービス「マネーブリッジ」を利用することで、0.1%に上がる。

メリット2,振込手数料が普通銀行よりも安い

ネット銀行は、振込手数料が比較的安い。他行宛ての3万円以上の振込手数料(税込)は、楽天銀行が262円。三菱UFJ銀行は窓口では880円、ATMなら現金振込が660円、キャッシュカード利用なら440円だ。
 

3万円以上の振込手数料
(税込み)
楽天銀行 262円
三菱UFJ銀行 窓口 880円
ATM現金振込 660円
ATMキャッシュカード利用 440円

振込手数料についても、条件を満たせば無料になる回数が増えるサービスがある。楽天銀行では「ハッピープログラム」という優遇プログラムに登録すると、ATM手数料が月に最大7回、振込手数料は月に最大3回まで無料になる。

メリット3, 24時間いつでもどこでも取引できる

インターネットを利用する取引なので、システムメンテナンス時間以外ならパソコンとネット環境があれば時間や場所を選ばず利用できる。外出先でもスマートフォンを使って取引できるのは、忙しいビジネスパーソンにとっては大きなメリットだろう。

メリット4,取引の都度、記帳する手間が省ける

冊子式の預金通帳がある口座では、取引の都度あるいは定期的に記帳しなければならない。ネット銀行の口座には通帳がなく、残高照会などもすべてネット上で確認できるので、通帳に記帳する手間がかからない。

3,ネット銀行の3つのデメリット サイバーリスク、ID/パス管理、引落口座指定不可

インターネットを利用するため、ネット銀行特有のデメリットもある。ネット銀行の利用を検討する際は、デメリットも踏まえて利用するかどうかを判断してほしい。

デメリット1,不正送金などのサイバー犯罪のリスク

すべての取引にインターネットを利用するため、サイバー犯罪に巻き込まれるリスクを伴う。スパイウェアを仕込まれたり、フィッシング詐欺によってネット銀行のIDやパスワードを盗まれたりするおそれがあるのだ。

サイバー犯罪対策として、ワンタイムパスワードを使うことや、OSなどを常に最新の状態に保つこと、セキュリティソフトを導入するなどの対策が不可欠だ。

ただし、2008年2月に行われた全国銀行協会の申し合わせにより、不正送金の被害に遭った場合、ネット銀行側に過失がない場合でも、預金者に過失がなければ全額補償されることが発表されている。

デメリット2,IDやパスワードを忘れると取引できない

ネット銀行を利用するには、IDやパスワードを入力してログインする必要がある。これらを忘れてしまうとログインできず、取引できない。

またパスワードを数回間違えて入力すると、本人であっても口座を利用できなくなることがある。復旧するにはカスタマーサポートなどに連絡を取って依頼したり、パスワードを再設定したりする必要があり、手間も時間もかかる。

記憶に頼らず、第三者からIDやパスワードだと悟られないように工夫した上で、IDやパスワードを書き留めておくようにしよう。

デメリット3,引落口座に指定できない場合がある

ネット銀行(特定の銀行を除く)は、原則的に国税還付金の振込口座として指定できないことになっている。国税還付金を受け取る予定がある場合は、普通銀行や信用金庫、ゆうちょ銀行などと併用してネット銀行を利用しなければならない。

さらに一部のネット銀行口座では、公共料金などの引落口座に指定できない場合もある。この場合は、公共料金などの支払い方法をクレジットカードに指定して、そのクレジットカードの引落口座をネット銀行口座にする必要がある。

4, ネット銀行をメインバンクにすべき人とは?

メリット・デメリットを見てきたが、ネット銀行はメインバンクとして使えるのだろうか。以下のように、ネット銀行のメリットが自分の求めるものと一致する人は、ネット銀行をメインバンクにすることを検討すべきだろう。

高い預金金利や低コストを重視する人

ネット銀行を利用する最大のメリットは、高い預金金利と低コストだ。これを重視する人は、ネット銀行をメインバンクにすべきだ。

近年、普通銀行における口座管理維持費の徴収が話題になっている。これによるコスト増を避けたい人にとっても、ネット銀行は有力候補になるだろう。

提携ネット証券との連携メリットを重視する人

ネット証券を頻繁に利用する人や、今後ネット証券を使った投資を検討している人は、優遇金利や自動資金振替サービスなどを受けられる提携ネット銀行との口座連携サービスがお得で便利だ。

5,ネット銀行の利用を決めるポイント デメリット以上のメリットを感じるか

ネット銀行を利用するかどうかの判断では、ネット銀行のデメリットを理解した上で、それを補って余りあるメリットを感じるかどうかが最大のポイントになる。メリットに大きな魅力を感じるなら、デメリットをカバーする対策を講じた上で、ネット銀行をメインバンクや第二の預金口座として利用するといいだろう。

セキュリティ面でのリスクに対してはできる限り自衛し、ネット銀行口座から直接引き落としができないデメリットは、クレジットカードの利用などでカバーできる。多少の手間をかけられるのであれば、普通銀行とネット銀行を併用するのもおすすめだ。

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執筆・近藤真理

証券会社の引受業務やビジネス系翻訳携わったのち、個人投資家として活動。現在は総合証券、ネット証券の両方を使いこなし、経済、金融、HR領域で多数の媒体で執筆中。2019年にフィナンシャルプランナーの資格取得。  

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