成長著しい中国市場。アメリカに次ぐGDPを誇る中国の株を買うには、どうしたらよいのか。同じ外国株でも、米国株ほど知られていない中国株の買い方、証券会社の選び方や、中国市場の特徴、初心者におすすめの銘柄などを、わかりやすく解説していこう。

目次

  1. 1,中国株の4つの特徴
  2. 2,中国株を買うための準備&フロー 3ステップを紹介
  3. 3,初心者が購入すべき中国株の選び方
  4. 4,おすすめ中国株ランキングTOP10!初心者が注目すべきなのはどれ?
  5. 5,中国の有名株の買い方は?アリババ株の買い方を紹介!
  6. 6,主要ネット証券3社の取扱銘柄数や手数料などを比較 SBI、楽天、マネックス
  7. 7,中国株でよくある5つのQ&A
  8. 実際に中国株投資を始めてみる

1,中国株の4つの特徴

(画像=MONEY TIMES編集部制作)

今や中国は米国に次ぐ経済大国として、世界経済の中心に位置している。中国には、世界を席巻する成長企業も多い。

中国最大のECサイト、アリババグループはソフトバンクグループ<9984>の出資先として日本でも有名です。最近では、テレワークの拡大によって話題になったズーム・ビデオ・コミュニケーションズ創業者も中国出身です。

世界経済をリードする中国を市場とする中国株に投資する魅力は、一言で言えば日本にはない成長性や将来性でしょう。

中国市場への投資を考えているなら、まずは中国株の主な4つの特徴をおさえておきたい。

中国株の4つの特徴
  • 中国株の種類や市場――売買できる中国株は基本的に香港株、一部証券会社では上海株・深セン株も
  • 中国株投資で確認したい5つの株価指数――香港ハンセン株価指数、H株指数など
  • 中国株と日本株では取引ルールが大きく異なる――違いを比較
  • 日本に比べて高い経済成長率

特徴1,中国株の種類や市場――売買できる中国株は基本的に香港株、上海A株の一部も

(画像=MONEY TIMES編集部制作)

中国には、香港証券取引所と、中国本土にある上海証券取引所と深セン証券取引所があり、それぞれの市場に上場している銘柄は以下のように呼ばれている。

  • 香港証券取引所……香港株
  • 上海証券取引所……上海株
  • 深セン証券取引所……深セン株

それぞれの市場の特徴を見ていこう。

【香港株の特徴と取引の基本情報】
日本人を含む外国人投資家が売買でき、国際市場として開放されている香港証券市場。

香港株は中国株を扱っている多くの証券会社で取引可能で、英語での情報開示もされている。

メインボードとGEM(Growth Enterprise Market)に二分され、前者は日本でいう東証一部、後者はマザーズをイメージするとわかりやすいでしょう。

メインボードは、さらに3つに分かれている。

香港株の種類
メインボード H株 ・中国籍企業によって中国本土内に登記され、
香港証券取引所に上場している企業
・電力や鉄鋼などの重厚長大系の中国国有企業が多い
レッドチップ株 ・中国籍企業によって香港などに登記され、
香港証券取引所に上場している企業
・中国政府系の資本が30%以上で、通信やテクノロジー株が多い
その他香港株 香港企業や海外企業で香港市場に上場している銘柄
GEM(創業板) Growth Enterprise Market(成長企業市場)
※筆者作成

香港株の取引の基本情報
売買単位 1,000株、2,000株ほか(※銘柄によって異なる)
取引通貨 香港ドル
現地源泉税 キャピタルゲイン課税はなし。銘柄によっては配当課税10%
※筆者作成

取引単位が1,000株単位、2,000株単位など銘柄によって異なる点に注意しましょう。また、投資するためには、ある程度まとまった金額が必要になります。

香港株は、主要ネット証券であるSBI証券、楽天証券、マネックス証券や、総合証券を通して取引ができる。

【上海株と深セン株の特徴と取引の基本情報】

上海株と深セン株は本土株とも呼ばれ、A株とB株に分かれます。A株は主に中国国内投資家向けの市場で、B株は外国人投資家向けの市場です。

どちらも、英語での情報開示はほとんどない。

本土株(上海株と深セン株)の種類
A株 ・主に中国国内投資家向けの市場
・2014年から外国人投資家に一部銘柄を開放 ・国内で投機的な買いが入って、株価が割高になりやすい
・株価が中国政府の政策の影響を受けやすい
B株 外国人投資家向け市場
※筆者作成

上海証券取引所と深セン証券取引所の違いもあるので、把握しておこう。

市場 特徴
上海証券取引所
(上海株)
・メインボードとハイテク企業向け市場(科創板)
・中国で最も古い市場
・金融、重工業など国有企業が多く上場
・大学発ベンチャーや世界的な企業なども上場
深セン証券取引所
(深セン株)
・メインボードと新興企業向け市場(創業板)
・ITやサービス業など民間企業が多く上場
※筆者作成

本土株企業の資本・本店所在地は、中国本土。それぞれの取引基本情報は、以下のとおりだ。

本土株(上海株と深セン株)の取引情報
株の種類 売買単位 取引通貨 現地源泉税 取扱証券会社
上海A株
※一部銘柄は売付のみ
買)100株
売)1株
人民元 ・キャピタルゲイン課税なし
・銘柄によって配当課税10%
・楽天証券
・東海東京証券
・内藤証券
・東洋証券
上海B株 買)100株
売)1株
米ドル ・大和証券
・みずほ証券
・東海東京証券
・内藤証券
・東洋証券
など
深センA株 買)100株
売)1株
人民元 ・キャピタルゲイン課税なし
・銘柄によって配当課税10%
・東海東京証券
・内藤証券
・東洋証券
深センB株 買)100株
売)1株
香港ドル ・東海東京証券
・内藤証券
・東洋証券
楽天証券東海東京証券内藤証券東洋証券大和証券みずほ証券の各社ホームページより筆者作成

個人投資家に人気のあるネット証券は上海株や深セン株を取り扱っていないところが多いが、楽天証券のみ上海A株を取り扱っています。

中国株取引に強みを持つ内藤証券と東洋証券は、上海A・B株、深センA・B株を扱っているので、本格的に中国株投資を始める人は、口座開設を検討してみるといいでしょう。

特徴2,中国株投資で確認したい5つの株価指数――香港ハンセン株価指数、H株指数など

(画像=MONEY TIMES編集部制作)

中国の株式市場全体の値動きを知りたい場合は、各証券取引所の代表的な銘柄で構成されている以下の株価指数を確認するといいだろう。

主要株価指数
  • 香港ハンセン指数――香港市場全体の株価動向を示す
  • H株指数――香港市場のH株の株価動向を示す
  • レッドチップ指数――香港市場のレッドチップ株の株価動向を示す
  • 上海総合指数――上海市場全体の株価動向を示す
  • 上海A株指数――上海市場の国内投資家向けのA株だけの株価動向を示す
香港ハンセン指数――香港市場全体の株価動向を示す
香港証券取引所に上場するH株とレッドチップ株のうち、香港市場を代表する銘柄で構成されている株価指数。銘柄数は2021年10月現在60銘柄。香港市場全体の相場動向を知ることができる。ハンセン指数サービス社が提供している株価指数で、1964年7月末時点の構成銘柄の時価総額合計を100として算出される。
H株指数――香港市場のH株の株価動向を示す
香港証券取引所に上場している、中国本土に拠点を置く中国籍企業であるH株を代表する企業40銘柄で構成されている株価指数。正式名称は「ハンセン・チャイナ・エンタープライズ・インデックス」だ。2000年1月3日時点の、H株指数構成銘柄の時価総額合計を2,000として算出した指数である。
レッドチップ指数――香港市場のレッドチップ株の株価動向を示す
香港証券取引所に上場している、香港に本社を置く中国籍企業であるレッドチップ株を代表する企業25銘柄で構成されている株価指数。正式名称は「ハンセン・チャイナ・アフィリエイティッド・インデックス」。2000年1月3日時点の、レッドチップ指数構成銘柄の時価総額合計を2000として算出した指数。
上海総合指数――上海市場全体の株価動向を示す
上海証券取引所に上場している中国国内投資家向けのA株と、外国人投資家向けのB株のすべてを対象にした株価指数。
上海A株指数――上海市場の国内投資家向けのA株だけの株価動向を示す
上海証券取引所に上場している中国国内投資家向けのA株だけで構成されている株価指数。

特徴3,中国株と日本株では取引ルールが大きく異なる――違いを比較

中国株と日本株では注文の出し方や売買単位など、さまざまな違いがある。ネット証券で売買できる中国株について、最低限知っておきたい取引ルールの違いを確認しておこう。

中国株と日本株の取引ルール比較
中国株 日本株
香港株 上海A株
寄付値の決め方 プレオープニング・セッション※1 板寄せ方式
引け値の決め方 クロージング・オークション・セッション※2 板寄せ方式
一般的な売買単位 1,000株、
2,000株など
銘柄によって異なる
買い100株
売り1株
単位株
(100株)
銘柄コード 5桁 6桁 4桁
呼値 株価によって異なる 0.01人民元 ・TOPIX100構成銘柄は0.1円~
・株価の価格帯によって
呼値の単位が決められている
注文の種類 指値注文のみ※3 成行注文
指値注文
注文受付制限 なし ・1回あたり100万株以下
・最大発注金額は7,000万
香港ドル相当の人民元以下
なし
制限値幅 原則なし※4 前日終値の±10%※5 前日終値を基準に、
各銘柄の価格帯に応じて
制限値幅を設定
取引時間 ・プレオープニング・セッション
日本時間10:00~10:30
(現地時間9:00~9:30)
・前場
日本時間10:30~13:00
(現地時間9:30~12:00)
・後場
日本時間14:00~17:00
(現地時間13:00~16:00)
・クロージング・
オークション・セッション
日本時間17:00~17:10
(現地時間16:00~16:10)
・プレオープニング・セッション
日本時間10:15~10:25
(現地時間9:15~9:25)
・前場
日本時間10:30~12:30
(現地時間9:30~11:30)
・後場
日本時間14:00~15:57
(現地時間13:00~14:57)
・クロージング・
オークション・セッション
日本時間15:57~16:00
(現地時間14:57~15:00)
・前場
9:00~11:30
・後場
12:30~15:00
※1:前場開始前~開場時間
※2:ハンセン指数・大型指数/中型指数採用銘柄、A・H株重複上場銘柄、香港上場ETFが対象
※3:マネックス証券を介して、プレオープニング・セッションで取引する場合、売りのみ成行注文ができる
※4:クロージング・オークション・セッションとボラティリティ抑制メカニズム発動時を除く
※5:上場廃止リスクの高い「ST銘柄」「*ST銘柄」は±5%

特徴4,日本に比べて高い経済成長率

2021年1月のIMFの発表によれば、2020年初頭からの新型コロナウイルス感染拡大の影響で、2020年の世界経済の成長率は-3.5%、日本は-4.8%、米国が-3.5%、その他先進国や新興市場国なども軒並み景気後退した。

その中で中国だけは2020年の経済成長率が2.3%であった。世界的に深刻な景気後退局面においても、中国経済の底堅さが表れている。

新型コロナウイルスのパンデミック以前から景気停滞が続いていた日本とは違い、中国は一時的に成長率が落ち込むものの、コロナ終息後は再び経済成長が続くと考えられます。

中国経済の強さを支えているのが、中国企業です。重厚長大企業からIT企業まで多彩な銘柄が揃い、中国経済の規模的拡大の原動力になっています。中国市場には、このような持続的成長企業に投資できる妙味があります。

2,中国株を買うための準備&フロー 3ステップを紹介

(画像=MONEY TIMES編集部制作)

中国市場の基本情報や日本株との違いを紹介してきたが、実際に中国株を購入するためにはどうしたらよいのだろうか。

基本的には以下のとおり、日本株や米国株を買う時と同じだ。

中国株購入のステップ
  • 証券口座を開設する
  • 入金する
  • 買い注文を出す

それぞれのステップを詳しく見ていこう。

ステップ1,証券口座を開設する

ネット証券で中国株を売買するには、まず総合証券口座を開設し、次に外国株式取引口座を開設する必要がある。

・ネット証券の口座を開設していない人

2021年11月21日現在、中国株を取り扱っているSBI証券、楽天証券、マネックス証券では、証券総合口座を開設すると、自動的に外国株式取引口座も開設される。 出典:SBI証券『外国株式取引の口座開設・お取引までの流れ』楽天証券『よくあるご質問』マネックス証券『外国株(米国株・中国株)』

そのため、ここでは証券総合口座開設の手順を説明する。

証券総合口座開設の手順
  • マイナンバーを確認できる書類(あるいは本人確認のための運転免許証や健康保険証など)と、銀行の口座番号を確認できる預金通帳かキャッシュカードを手元に用意
  • ネット証券のホームページにアクセスし、ホームページに設置されている「口座を開設する」ボタンをクリック
  • 申込フォームに遷移したら、手順に従って手続きを進める

スマートフォンとマイナンバーカードがあれば、その場で本人確認ができるため、取引開始までの期間を短縮できます。1日でも早く取引を開始したい人は、スマートフォンによる口座開設がおすすめです。

スマートフォンで口座開設をした場合はメールで口座開設完了通知を受け取り、パソコンの場合は郵便で受け取る。

ネット証券のサイトにアクセスして、口座開設完了通知に記載されているIDと仮パスワードを入力してログインすれば、ステップ1は完了だ。

>>SBI証券公式ページはこちら

>>楽天証券公式ページはこちら

>>マネックス証券公式ページはこちら

・ネット証券口座を開設しているが、外国株式取引口座を開設していない人

SBI証券の場合】

外国株式口座は次のような流れで開設できる。

1.トップ画面にある右にある「取引・口座開設」メニュー「外国株式」の「開設」ボタンをクリックする。

2.表示された画面で、米国籍に該当しないこと、連絡先や投資経験、資産情報などに変更がないことを確認をクリック

3.次の画面で、「上場有価証券書面(外国株式)」「外国株式取引に関する説明書」「為替取引に関する説明書」の電子交付について「同意して次へ」をクリック

4.上記3つの書類の内容を確認後、「同意して次へ」をクリック

5.次の画面で、「同意/承諾する」をクリック 6.申込完了

楽天証券の外国株式取引口座開設の流れ
  • ログインしたら最上部にある「設定・変更」アイコンをクリック
  • 「申込が必要なお取引」→「外国証券/申込」をクリックして申込書類を請求
  • 申込書類が届いたら、必要事項を入力して郵送

マネックス証券の外国株式取引口座開設の流れ
  • ログインして、「外国株式」ページに遷移
  • ページ上部の「外国株式取引口座を開設する」ボタンをクリック
  • 外国株式取引口座開設画面で必要事項を入力したら外国株式取引口座の開設は完了

ステップ2,入金する

【SBI証券の場合】
・円貨決済→証券口座の日本円残高がそのまま中国株の買付余力になる

SBI証券で中国株を円貨決済する場合は、証券総合口座の残高がそのまま中国株の買付余力になります。

SBI証券の入金(円貨決済)の流れ

  1. サイトにログイン
  2. メニューバーにある「入出金・振替」ボタンをクリック

利用する金融機関を選択ーする。

  1. 入金額を指定し「振込指示確認」をクリック、次の画面で「振込指示」をクリックすれば完了

あらかじめネット証券提携金融機関を確認して、即時入金やインターネットバンキングの手続きを済ませておきましょう。入出金は無料で、リアルタイムで証券総合口座に入金できるので便利です。

証券総合口座に入金が反映されたら、中国株の買付準備は完了だ。

・外貨決済→住信SBIネット銀行からの香港ドル送金が低コストで簡単

SBI証券では、中国株取引において外貨(香港ドル)決済ができます。住信SBIネット銀行の香港ドルの為替手数料は5銭であり、SBI証券の15銭よりも割安です。口座連携サービスを利用すれば、住信SBIネット銀行で振り替えた香港ドルを、手数料無料でSBI証券の外国株式口座に入金できます。

出典:住信SBIネット銀行SBI証券

SBI証券の入金(外貨決済)の流れ

  1. トップページの「入出金・振替」→「外貨入出金」に進む
  1. 通貨(香港ドル)と振込金額、取引パスワードを入力し、「振込指示確認」をクリック
  1. 振込金額を確認後、「振込指示」をクリックすれば入金完了

トップページの「取引」→「為替取引」から、証券口座内の日本円を香港ドルに振り替えて中国株の取引に使うこともできます。この場合、証券総合口座の残高から買付必要額を指定するだけなので簡単です。

ただし、住信SBIネット銀行を経由するよりも、為替手数料は割高になる。

【楽天証券の場合】

香港ドル(香港株)または人民元(上海株)の入金に対応していないので、中国株取引はすべて円貨決済です。

証券口座に中国株の買付に必要な残高があれば、そのまま注文画面から買い注文を出すだけでよい。

【マネックス証券の場合】
マネックス証券では入金は日本円だけなので、中国株の買付の際も通常の手順で総合証券口座に入金してから、以下の手順で外国株取引口座に資金振替を行う。

マネックス証券の資金振替の流れ
  • 「入出金」→資金振替/外国株取引の「振替(日本円)」をクリックする。
  • 「資金振替選択」ページに遷移したら、「MRF・お預り金→外国株取引口座」→「次へ(振替額の指定)」をクリックする。
  • 「資金振替指示」ページで振替額を入力して、「次へ(振替額の確認)」をクリックする。
  • 振替額を確認して暗証番号を入力し、「実行」ボタンをクリックすると、資金振替手続きは完了だ。

資金振替をした外国株取引口座の円貨は、中国株の買い注文が入ると、自動的に香港ドルに振り替えられる。

円高の際に、あらかじめ外国株取引口座の円資金を香港ドルに振り替えておいて、実際の取引でその香港ドルを使うこともできます。

ステップ3,買い注文を出す

買い注文の手続きの流れは以下だ。

SBI証券の例でみてみよう。

買い注文の流れ

  1. 「中国株」トップページ→個別銘柄ページ→「買い注文(買付)」ボタンをクリック
  1. 注文画面に遷移したら、必要事項と取引パスワードを入力し、「注文確認画面」
  1. 内容を確認し「注文」ボタンをクリックすれば、注文完了

3,初心者が購入すべき中国株の選び方

(画像=Maksym Yemelyanov/stock.adobe.com)

中国株に投資するには、個別株の購入以外の方法もある。

中国株に投資する方法は3つ、個別株、ETF、投資信託

中国株に投資するには、個別株の購入のほか、ETF(上場投資信託)や中国株を投資対象とする投資信託を購入する方法があります。

ETFや投資信託の購入では、運用会社を通して間接的に中国株に投資することになります。

中国の個別株に投資するメリット・デメリット

個別株への投資には、次のようなメリットとデメリットがある。

・メリット

個別株への投資は、投資する銘柄を自分で決められます。自ら企業を分析して投資するのは、株式投資の醍醐味といえるでしょう。またETFや投資信託を保有する際にかかる信託報酬も、個別株であればかかりません。

・デメリット

中国株は情報が得られにくく、日本株や米国株などに比べて企業分析や銘柄選択は難しい。リスク分散のため複数の銘柄に分散投資するにも、まとまった資金が必要となります。

中国のETFに投資するメリット・デメリット

ETFへの投資には、次のようなメリットとデメリットがある。

・メリット

ETFへの投資は、市場全体や特定のセクター(業種)・銘柄群全体に投資するのと同じ投資成果が期待できます。少額から複数の銘柄に分散投資できるため、リスクも軽減されます。

個別企業について詳しく分からないものの、中国全体の成長性に期待して投資したい人にはETFが向いているでしょう。

・デメリット

ETFは、投資する銘柄を自分で選べないため、あまり投資したくない銘柄にも投資しなければならないケースもあります。また、分散投資はリスク軽減に効果的な方法ですが、リスクとリターンは表裏一体の関係にあるので、ETFは大きなリターンはのぞめません。

銘柄選択に自信があるなら、株価が上がると見込んだ銘柄に集中投資したほうが、予想通りの結果となった場合に得られるリターンは大きい。

ETFの保有中には信託報酬がかかる。

初心者におすすめなのは「中国ETF」、銘柄が決まっているのなら「個別株」

投資したい銘柄が決まっている人や、銘柄選択に自身のある人などは、個別株に投資するとよいだろう。

自分で投資銘柄を選ぶことで納得感があり、予想通りの結果となればより高いリターンを期待できる。

その分、リスクは高くなる。

一方で、これから中国株投資を始める初心者や、中国全体の成長に期待して中国株へ投資を検討している人には、中国ETFがおすすめだ。

4,おすすめ中国株ランキングTOP10!初心者が注目すべきなのはどれ?

(画像=Engdao /stock.adobe.com)

香港証券取引所の取引通貨である香港ドルは、米ドルとのペッグ制が採用されており、香港ドルと米ドルの為替レートは常に一定に保たれている。

そのため、香港ドルの値動きは米ドルの値動きに連動するためわかりやすい。

香港ドルは流通量も多いので、中国株初心者でも売買しやすいのが特徴です。

香港市場にはGEMに上場する成長企業も多く、良質な成長銘柄をみつけてグロース株投資をすることも可能です。

ただし、香港ドルは米ドルに連動するため米国経済の影響を受けやすい。

香港株は海外投資家による取引も多いため、世界各国の株式市場の動きにも左右される。

こうした事情から、香港株投資には情報収集が欠かせないことを覚えておこう。

今回は、香港株の中から、初心者が買いやすく、高配当の銘柄TOP10を紹介する。

銘柄検索に利用するのは、中国株のスクリーニング機能が充実しているマネックス証券「銘柄スカウター中国株/10年スクリーニング」である。

スクリーニングにあたって、以下のように検索条件を設定した。

・個別株
・投資金額:7,100 HKD(香港ドル)以下(1HKD=14円換算で約10万円相当)
・予想配当利回り:4%以上(2021年11月15日終値ベース)
・連続増配年数(直近実績):5期以上
・ROE(自己資本利益率):10%以上

これらの条件を満たす銘柄は11銘柄あった。

そこから予想配当利回りの上位10銘柄をランキングしたのが下表だ。

高配当利回り香港株ランキングTOP10
順位 会社名
(コード)
業種 予想配当
利回り
連続増配年数
(直近実績)
株価
2021/
11/15
終値
最低投資金額
(売買単位)
日本円換算
(1HKD=14円)
1 タイムズ・チャイナ・
ホールディングス
(01233)
不動産 18.1% 6期 5.110HKD 5,100HKD
(1,000株)
7万1,400円
2 ジェムデール・
プロパティーズ・
アンド・インベストメント
(00535)
不動産 13.3% 5期 0.730HKD 1,460HKD
(2,000株)
2万440円
3 ディクソン・コンセプツ
(インターナショナル)
(00113)
小売 8.3% 5期 4.220HKD 2,110HKD
(500株)
2万9,540円
4 グレートビュー・
エイセプティック・
パッケージング
(00468)
包装・
容器
8.1% 7期 2.970HKD 2,970HKD
(1,000株)
4万1,580円
5 CITICテレコム・
インターナショナル・
ホールディングス
(01883)
通信
サービス
8.0% 9期 2.680HKD 2,680HKD
(1,000株)
3万7,520円
6 ニューチャイナ・ライフ・
インシュアランス
(01336)
保険 7.6% 7期 21.900HKD 2,190HKD
(1,000株)
3万660円
7 ピープルズ・
インシュアランス・カンパニー
(グループ)・オブ・チャイナ
(01339)
保険 7.0% 7期 2.360HKD 2,360HKD
(1,000株)
3万3,040円
8 シノペック・カントンズ・
ホールディングス
(00934)
石油・
ガス
6.9% 7期 2.900HKD 5,800HKD
(2,000株)
8万1,200円
9 ファー・イースト・
ホライズン
(03360)
銀行 5.1% 5期 7.070HKD 7,070HKD
(1,000株)
9万8,980円
10 CGNパワー
(01816)
公益 4.6% 5期 2.080HKD 2,080HKD
(1,000株)
2万9,120円
※データは、マネックス証券「銘柄スカウター中国株」より(2021年11月15日現在)
※筆者作成

TOP10にランキングされた10社は、5年以上連続増配を続けている企業であり、多少の業績悪化に見舞われても、配当を実施できる体力があると見込める。

どの企業の予想配当利回りも、日本の上場企業に比べて高い水準です。

これら10銘柄はすべて最低投資額が10万円以下で初心者にも買いやすい。

具体的にどのような会社なのか、投資指標とあわせて確認していこう。

第1位,タイムズ・チャイナ・ホールディングス(01233/時代中國)

タイムズ・チャイナ・ホールディングス
タイムズ・チャイナ・ホールディングスは注目度の高い小都市を中心に、不動産の開発・管理などを行う会社だ。経済発展が進む広州、仏山など広東省を拠点に、中国各地で事業を拡大している。事業は3部門で構成され、不動産開発部門では、販売目的で住宅・商業用不動産を開発する。都市再開発部門は、旧市街や老朽化した工場、古い村の再開発を行う。不動産リース部門は、自社および第三者が保有する商業不動産の開発・リース・サブリースを手がけている。

タイムズ・チャイナ・ホールディングスの投資指標・最低投資額
予想配当利回り 連続増配年数
(直近実績)
PER PBR ROE 最低投資金額※
18.1% 6期 1.6倍 0.4倍 27.0% 5,110HKD(7万1,400円)
※最低投資金額は、「2021年11月15日終値×売買単位」で算出したもの。カッコ内は1HKD=14円での換算金額。以下、全銘柄同様

タイムズ・チャイナ・ホールディングスは2020年12月期には減収減益となり、16HKDを超えていた同社の株価は一時4HKD付近まで下落し、低調に推移している。

チャイナ・エバーグランデ・グループ(中国恒大集団・03333)の経営危機問題も、中国不動産株全体に影を落とす。

一方で中国規制当局が不動産業界に対する規制緩和を検討しているとの情報もあり、2021年11月以降、株価は持ち直している。
出典:Bloomberg『中国の不動産業界規制、有力証券3紙が緩和観測高める-銀行融資増』

タイムズ・チャイナ・ホールディングスへの投資はリスクはありますが、株価は割安な水準にあるといえ、当局の規制緩和を契機とした株価上昇に期待したい銘柄です。

第2位,ジェムデール・プロパティーズ・アンド・インベストメント(00535/金地商置)

ジェムデール・プロパティーズ・アンド・インベストメント
ジェムデール・プロパティーズ・アンド・インベストメントは居住用・商業用不動産の開発・販売を中心に、不動産開発・不動産投資運営・マイクロファイナンス・コーポレートの4つの部門で事業を展開する会社だ。売上高の大部分を中国本土が占める。
タウン・レイ・ホールディングスの経営指標など
予想配当利回り 連続増配年数
(直近実績)
PER PBR ROE 最低投資金額
13.3% 5期 2.6倍 0.5倍 22.2% 1,460HKD(2万440円)

ジェムデール・プロパティーズ・アンド・インベストメントの業績は堅調だが株価は安値圏にあり、配当利回りも高まっている。

前述の通り、中国不動産株はチャイナ・エバーグランデ・グループ(中国恒大集団・03333)問題を抱える。

一方、規制当局による規制緩和観測は業績に追い風であり、株価上昇に期待が持てます。

第3位,ディクソン・コンセプツ(インターナショナル)(00113/迪生創建(国際))

ディクソン・コンセプツ(インターナショナル)
ディクソン・コンセプツ(インターナショナル)は香港に拠点を置く持ち株会社。海外高級ブランドの代理店として、高級ライターや筆記用具、皮革製品、アクセサリー、既製服、腕時計、フレグランスといったラグジュアリーグッズの販売を手がける。香港を中心に、中国本土、台湾、シンガポールなどに店舗を展開。
パシフィック・テキスタイルズ・ホールディングスの経営指標など
予想配当利回り 連続増配年数
(直近実績)
PER PBR ROE 最低投資金額
8.3% 5期 3.6倍 0.5倍 14.9% 2,110HKD(2万9,540円)

ディクソン・コンセプツ(インターナショナル)の配当は維持されているが、コロナ禍の影響により香港での売上が大きく落ち込み、減収減益となっている点は懸念材料だ。

この状況は当面続くものみられる。

中国本土事業は絶好調であり、明るい兆しもみえます。

第4位,グレートビュー・エイセプティック・パッケージング(00468/紛美包装)

グレートビュー・エイセプティック・パッケージング
グレートビュー・エイセプティック・パッケージングは紙製の包装製品を製造・販売する会社だ。中国市場における乳製品の紙パックが収益の大部分を占める。
グレートビュー・エイセプティック・パッケージングの投資指標・最低投資額
予想配当利回り 連続増配年数
(直近実績)
PER PBR ROE 最低投資金額
8.1% 7期 9.7倍 1.3倍 13.5% 2,970HKD(4万1,580円)

グレートビュー・エイセプティック・パッケージングは堅実に増収を続けており、増配は7期連続。

一方で株価は2018年の高値6HKDの半値程度まで下落しており、割安感が強まってきています。

第5位,CITICテレコム・インターナショナル・ホールディングス(01883/中信国際電訊)

CITICテレコム・インターナショナル・ホールディングス
CITICテレコム・インターナショナル・ホールディングスは香港・マカオで事業を展開する通信サービス会社だ。携帯電話サービス、インターネットサービス、国際通信サービス、エンタープライズソリューション、固定電話サービス、通信機器販売を手がける。マカオでの収益が大半を占める。
CITICテレコム・インターナショナル・ホールディングスの投資指標・最低投資額
予想配当利回り 連続増配年数
(直近実績)
PER PBR ROE 最低投資金額
8.0% 9期 9.4倍 1.0倍 11.0% 2,680HKD(3万7,520円)

CITICテレコム・インターナショナル・ホールディングスの収益は安定しており、配当利回りは高い。

成長率は高くないものの着実に増益を続けており、配当目的での長期保有をおすすめしたい銘柄です。

第6位,ニューチャイナ・ライフ・インシュアランス(01336/新華人寿保険)

ニューチャイナ・ライフ・インシュアランス
ニューチャイナ・ライフ・インシュアランスは中国準大手の生命保険会社。個人生命保険を中心に、主に保険外交員と銀行を通じて保険販売を行う。
ニューチャイナ・ライフ・インシュアランスの投資指標・最低投資額
予想配当利回り 連続増配年数
(直近実績)
PER PBR ROE 最低投資金額
7.6% 7期 3.7倍 0.5倍 15.3% 2,190HKD(3万660円)

ニューチャイナ・ライフ・インシュアランスは新契約の回復や好調な運用により、増益・増配の見通しだが、株価は低調な推移が続いている。

コロナショックの際にも割り込まなかった20HKDが下値のメドと考えられ、直近の株価は投資を検討してよい水準にあるといえます。

ピープルズ・インシュアランス・カンパニー(グループ)・オブ・チャイナ
ピープルズ・インシュアランス・カンパニー(グループ)・オブ・チャイナは中国最大の国営保険グループ。中国市場シェアは、損害保険子会社PICC P&Cが3分の1超、生命保険子会社のPICC LIFEがシェア7%、医療保険子会社のPICC Health Insuranceが約0.7%を占める。中国財政部が約60%の株式を保有する筆頭株主であり、全国社会保障基金が約15%の株式を保有する。
ピープルズ・インシュアランス・カンパニー(グループ)・オブ・チャイナの投資指標・最低投資額
予想配当利回り 連続増配年数
(直近実績)
PER PBR ROE 最低投資金額
7.0% 7期 3.6倍 0.4倍 12.0% 2,360HKD(3万3,040円)

ピープルズ・インシュアランス・カンパニー(グループ)・オブ・チャイナの業績は好調であり、7期連続増配、予想配当利回りは7%と高い水準だ。

一方で株価は低調に推移しており、割安感が強い銘柄です。

第8位,シノペック・カントンズ・ホールディングス(00934/中石化冠徳)

シノペック・カントンズ・ホールディングス
シノペック・カントンズ・ホールディングスは主に原油、石油の貯蔵・物流・取引(貿易)事業を行う会社だ。貯蔵事業の大部分は中国で展開しており、中国の海岸沿いに複数のターミナル会社を保有する。物流事業では、石油タンカー、石油ターミナル、特殊化学品の輸送事業への投資・運営・管理を手がける。
シノペック・カントンズ・ホールディングスの投資指標・最低投資額
予想配当利回り 連続増配年数
(直近実績)
PER PBR ROE 最低投資金額
6.9% 7期 5.1倍 0.5倍 17.4% 5,800HKD(8万1,200円)

シノペック・カントンズ・ホールディングスの株価はほぼ横ばいで推移している。

2020年は新型コロナウイルス感染拡大により石油製品需要が減退し、大幅な減益となった。

一方で不振のパイプライン資産売却によって黒字を確保し、主力の石油ターミナル事業の強化に取り組んでいる。

足元での石油製品需要の回復、原油高は同社の業績に追い風であり、株価上昇に期待したい銘柄です。

ファー・イースト・ホライズン
ファー・イースト・ホライズンは専門金融会社。医療、インフラ建設、電子情報、パッケージング、輸送、その他のセクターにおける金融、投資、貿易、助言、エンジニアリングの総合的なサービスを手がける。
ファー・イースト・ホライズン の投資指標・最低投資額
予想配当利回り 連続増配年数
(直近実績)
PER PBR ROE 最低投資金額
5.1% 5期 4.8倍 0.5倍 11.4% 7,070HKD(9万8,980円)

ファー・イースト・ホライズンは増収増益が続いており、業績は好調だ。

一方で同社の株価は、チャイナ・エバーグランデ・グループ(中国恒大集団)の問題が表面化した2021年9月に急落した。

ファー・イースト・ホライズンの株価は下げ止まりつつありますが、依然低調に推移しており、割安感が強まっています。

第10位,CGNパワー(01816/中広核電力)

CGNパワー
CGNパワーは中国最大の国有原子力発電事業者。原子炉25基で運営しており、2021年7月時点の発電容量は28ギガワット。
CGNパワー の投資指標・最低投資額
予想配当利回り 連続増配年数
(直近実績)
PER PBR ROE 最低投資金額
4.6% 5期 8.8倍 0.9倍 10.5% 2,080HKD(2万9,120円)

CGNパワーは発電所の新規建設による発電量増加により、増収増益が続いている。

2021年11月現在も6基が建設中であり、完成すれば総発電容量は6ギガワット増加する見込みだ。

CGNパワーの株価はほぼ横ばいで推移していたが、2021年9月以降は荒い値動きとなっている。

これは中国の核兵器増強の動きに対し、米国・原子力規制委員会が同社への放射性物質および重水素の輸出差し止め措置を講じたことが影響していると考えられる。

CGNパワーの業績に大きな影響はないとみられますが、注視が必要です。

5,中国の有名株の買い方は?アリババ株の買い方を紹介!

(画像=mnimage/stock.adobe.com)

ここでは、「アリババ・グループ・ホールディング(09988/阿里巴巴集団)」を例にとって、中国株の買い方を解説する。

アリババ・グループ・ホールディング
アリババ・グループ・ホールディングはタオバオ(CtoC)や天猫/Tmall(BtoC)など、中国で訪問者数が最も多いEC(電子商取引)市場を運営している会社。ソフトバンクグループ(9984)が2000年にアリババに出資しており、現在も筆頭株主。
アリババ・グループ・ホールディングの2020年3月期の総取引額(GMV)は6兆6,000億人民元、1人民元=18円換算すると118兆8,000億円にもなります。これはECサイトとして世界最大規模です。売上高の約7割を中国の小売事業が占めます。
投資指標・最低投資金額
株価
(2021/11/16終値)
予想配当利回り PER PBR ROE 最低投資金額
164.800HKD 0.0% 20.1倍 3.0倍 16.6% 16,480HKD(23万720万円)
※データはマネックス証券「銘柄スカウター中国株」より(2021年11月16日現在)より
※最低投資金額は、「2021年11月15日終値×売買単位」で算出したもの。カッコ内は1香港ドル=14円での換算金額。

購入可能な主な証券会社
・SBI証券
・楽天証券
・マネックス証券
・野村證券
・大和証券
・SMBC日興証券
・みずほ証券
・三菱UFJモルガン・スタンレー証券
・東海東京証券
・内藤証券
・東洋証券 など

アリババ・グループ・ホールディングは香港証券取引所メインボードに上場しており、国内の多くの証券会社で購入可能です。

香港証券取引所のほか、ニューヨーク証券取引所にはアリババのADR(米国預託証書、ティッカーは「BABA」)が上場しており、米国株式と同様にアリババ株を売買できる。

・業績好調も当局の規制により株価は低調ぎみ

アリババは最高益を更新し続けており、業績は絶好調だ。

一方で、独占禁止法違反により巨額の罰金を科されたり、同社のフィンテック部門で、決済サービス「アリペイ」を提供する「アント・グループ」の上場が中止に追い込まれるなど、中国政府当局による厳しい締め付けを受けている。

その影響もあって、2020年10月に300HKDを超えていた株価は下落の一途を辿り、2021年10月5日には過去最安値となる132HKDを付けた。

その後株価は反転したものの、依然としてピーク時の半値近い水準にある。

アリババに限らず、中国株には突然の規制・統制強化という特有のリスクがあります。実績や成長性から見れば株価は割安だといえますが、投資を検討する際は、このようなリスクを踏まえた慎重な判断が必要です。

6,主要ネット証券3社の取扱銘柄数や手数料などを比較 SBI、楽天、マネックス

(※マネックス証券のホームページより引用)

SBI証券、楽天証券、マネックス証券の中国株取引に関する基本情報を比較してみよう。

主要ネット証券3社の中国株取引基本情報
証券会社名 国内取引手数料
(税込)
取引所 株の種類 注文方法 決済方法 銘柄数
SBI証券 約定代金の0.286%
(最低手数料51.7香港ドル~
上限手数料517香港ドル※1)
香港 普通株 指値のみ
(当日中)
円貨決済
外貨決済
(香港ドル)
1,333銘柄
ETF 21銘柄
REIT 1銘柄
楽天証券 【約定代金10万円以下】
550円
【10万円超~100万円未満】
約定代金の0.55%
【100万円以上】
5,500円
香港 普通株 指値のみ
(当日中)
円貨決済 766銘柄
ETF 22銘柄
上海 A株 指値のみ
(当日中)
円貨決済 236銘柄
マネックス証券 約定代金の0.275%
(最低手数料49.5香港ドル~
上限手数料495香港ドル※1)
香港 普通株 指値
成行※2
円貨決済
外貨決済
(香港ドル)
2,554銘柄
ETF 19銘柄
※2021年11月16日現在の各社ホームページ(SBI証券楽天証券マネックス証券)より引用
※1:1香港ドル=14円で換算した最低手数料と上限手数料は、SBI証券:最低723円/上限7,238円(税込)、マネックス証券:最低693円/上限6,930円(税込)
※2:プレオープニングセッション中(10:00〜10:30、注文受付時間:9:30〜10:12)の、売りのみ成行注文が可能

最低/上限手数料が安い楽天証券、手数料率が安いマネックス証券

ネット証券3社による国内取引手数料(税込)の比較
SBI証券 楽天証券 マネックス証券
最低手数料 51.7香港ドル
(723円)

約定代金
25万3,000円相当まで
550円

約定代金
10万円相当まで
49.5香港ドル
(693円)

約定代金
25万2,000円相当まで
所定手数料料率 0.286% 0.55% 0.275%
約定代金
50万円の場合
1,430円 2,750円 1,375円
約定代金
100万円の場合
2,860円

※約定代金
194万円で5,548円
5,500円 2,750円

※約定代金
200万円で5,500円
上限手数料 517香港ドル
(7,238円)

約定代金254万円相当以上
5,500円

約定代金100万円相当以上
495香港ドル
(6,930円)

約定代金252万円相当以上
※香港ドル=14円換算
※2021年11月16日現在の各社ホームページ(SBI証券楽天証券マネックス証券)より引用

中国株の国内取引手数料は証券会社ごとに異なっている。

上記からわかるように、最低手数料と上限手数料が最安値であるのは楽天証券であり、手数料率最安はマネックス証券です。

上限手数料が適用される約定代金は、SBI証券ではおよそ254万円以上、楽天証券は100万円以上、マネックス証券は252万円相当である。

約定代金が10万円程度までなら、最低手数料が550円の楽天証券がもっとも安い。

約定代金がおよそ200万円以上になる場合も、上限手数料がもっとも安い楽天証券がお得だ。

中国株の取引金額に応じて、手数料の安くなるネット証券を使い分けるのがおすすめです。少額投資を繰り返す場合、あるいは1回の約定金額が200万円超の投資なら楽天証券がお得です。約定代金が25万円~200万円程度の取引では、マネックス証券の手数料が最も安くなります。

取扱銘柄数の多さならマネックス証券、ネット証券で中国本土株に投資できるのは楽天証券だけ

中国株の取扱銘柄数の多さでは、マネックス証券がダントツで第1位です。

取り扱うのは香港株だけであるが、個別銘柄とETFあわせて2,573銘柄(2021年11月16日現在)を取引できる。

楽天証券は、ネット証券で唯一、中国本土株のうち、上海A株(中国国内投資家と一部適格外国人投資家向け)を取り扱っています。

取引通貨が中国人民元になるが、中国本土の中国企業の株式に興味があるなら、楽天証券がおすすめだ。

3社が取り扱う香港株には、新興市場であるGEM銘柄も含まれます。GEM銘柄に投資する際に便利なのがSBI証券です。SBI証券の香港株個別情報にはGEM銘柄であることが明記されているので、銘柄を選びやすいです。

SBI証券……取引手数料は業界最安水準、住信SBIネット銀行と連携すれば為替手数料が3分の1に

国内取引手数料
(税込)
取引所 株の種類 注文方法 決済方法 銘柄数
約定代金の0.286%
(最低手数料51.7香港ドル~
上限手数料517香港ドル)
香港 普通株 指値のみ
(当日中)
円貨決済
外貨決済
(香港ドル)
1,333銘柄
ETF 21銘柄
REIT 1銘柄
出所:SBI証券公式ホームページより筆者作成(2021年11月16日現在)

SBI証券で中国株取引をするメリット
  • 取引手数料が業界最安水準
  • 香港株のラインアップも充実
  • 住信SBIネット銀行との連携で取引コスト減
  • 「IPOスピードキャッチ!」が便利

SBI証券は、マネックス証券の税込0.275%をやや上回るものの、税込0.286%の手数料水準は業界最安です。香港証券取引所メンボードおよびGEMに上場する1,355銘柄(ETFとREITを含む)を取り扱い、主要な香港株はおおむね取引できます。

また住信SBIネット銀行との連携により、日本円から香港ドルに振り替える際の為替手数料を、通常の15銭から、5銭まで3分の1に抑えられる。

住信SBIネット銀行で振り替えた香港ドルは、「外貨即時入金」サービスを使い、振込手数料無料でSBI証券口座へ入金できる。
出典:SBI証券『住信SBIネット銀行との外貨入出金サービス』

香港市場に新規上場するIPO銘柄の情報がいち早く配信される「IPOスピードキャッチ!」も特徴的なサービスです。IPO銘柄が予定通り上場した場合、原則上場初日から取引できます。

出典:SBI証券『【IPO情報サービス】IPOスピードキャッチ!(米国・中国)』

SBI証券で中国株取引をするデメリット
  • 上限手数料が高い
上限手数料は税込517香港ドル(7,238円)と、3社の中で最も高い。1回あたりの約定代金が100万円を超える取引では、上限手数料が税込5,500円の楽天証券に比べて手数料が割高になってしまいます。

楽天証券……ネット証券で唯一「上海A株」を取扱、少額・高額取引の手数料が割安

国内取引手数料
(税込)
取引所 株の種類 注文方法 決済方法 銘柄数
【約定代金10万円以下】
550円
【10万円超~100万円未満】
約定代金の0.55%
【100万円以上】
5,500円
香港 普通株 指値のみ
(当日中)
円貨決済 766銘柄
ETF 22銘柄
上海 A株 指値のみ
(当日中)
円貨決済 236銘柄
出所:楽天証券公式ホームページより筆者作成(2021年11月16日現在)

楽天証券で中国株取引をするのメリット
  • 上海市場A株に投資できる
  • 最低手数料と上限手数料が安い

楽天証券では、ネット証券で唯一上海市場A株の銘柄も取り扱っています。上海A株にも投資したい人には楽天証券がおすすめです。

また最低手数料および上限手数料の設定が低く、1回あたりの約定代金が10万円以下の少額取引および、200万円以上の高額取引では、3社で最も手数料が安くなる。

楽天証券で中国株取引をするデメリット
  • 約定代金25万円〜200万円程度だと手数料が割高
  • 外貨決済ができない
  • 香港株の取扱銘柄が少ない
楽天証券は約定代金10万円超の取引手数料は税込0.55%と、3社の中では最も高く、1回あたりの約定代金が25万円~200万円程度の取引では手数料が割高になります。

また、円貨決済しか選択できないため、取引の都度為替手数料がかかる。

売却代金を外貨(香港ドル・人民元)で受け取り、その外貨で新たに買付を行うことができないので、頻繁に売買する人は為替手数料がかさみやすいです。

香港株の取扱銘柄数は3社の中で最も少ない。

主要銘柄は問題なく取引できるが、選択肢はやや限られる。

マネックス証券……香港株取扱銘柄数ネット証券No.1、手数料は業界最安水準

国内取引手数料
(税込)
取引所 株の種類 注文方法 決済方法 銘柄数
約定代金の0.275%
(最低手数料49.5香港ドル~
上限手数料495香港ドル)
香港 普通株 指値
成行※
円貨決済
外貨決済
(香港ドル)
2,554銘柄
ETF 19銘柄
出所:マネックス証券公式ホームページより筆者作成(2021年11月16日現在)
※:プレオープニングセッション中(10:00〜10:30、注文受付時間:9:30〜10:12)の、売りのみ成行注文が可能

マネックス証券で中国株取引をするメリット
  • 中国株の取扱銘柄数がネット証券で最多
  • 取引手数料も安い

マネックス証券の中国株(香港株)取扱銘柄数は、中国株を取り扱うネット証券で最多、普通株2,554銘柄、ETF19銘柄の計2,573銘柄を取り扱っています(2021年11月16日現在)。幅広い銘柄に投資したいなら、マネックス証券がおすすめです。

取引手数料も業界最低水準であり、約定金額の0.275%(税込)、最低手数料49.5香港ドル(税込)となっています。

・マネックス証券で中国株取引をするデメリット

マネックス証券のデメリット
  • 最低手数料が楽天証券より高い
1香港ドル=14円で換算した最低手数料は693円(税込、1香港ドル=14円の場合)であり、楽天証券の550円(税込)を上回ります。そのため、1回あたりの約定代金が12万6,000円以下であれば、楽天証券よりも手数料が割高になります。

(注)約定代金が12万6,000円の場合、楽天証券の手数料(0.55%)は693円となる。マネックス証券は最低手数料の693円が適用される。

7,中国株でよくある5つのQ&A

なぜ中国株がおすすめなのか?
中国は米国に次ぐ経済大国。世界経済に大きな影響を与える中国市場には、現在の日本にはない成長性や将来性があり、企業の持続的成長とともに、株価の大きな値上がりも期待できる。投資の醍醐味が味わえるという点で外国株投資先としておすすめできる。またSBI証券、楽天証券、マネックス証券のネット証券大手で取引ができることも魅力だ。
中国株の特徴は?
大きく4つの特徴がある。1つ目は3つの市場があり、国内の証券会社で主に売買できるのは香港株ということ、2つ目は5つの主要株価指数があるということ。3つ目は指値注文が基本、原則として値幅制限がないといった取引ルールの違い、そして最後に大きな経済成長が見込めるという4点だ。
中国株と日本株の違いは?
香港株に注目すると、取引時間が10時〜13時、14時〜17時10分(日本時間)という違いがある。また注文は原則指値注文のみで、基本的に値幅制限がないことなどが挙げられる。
中国株の買い方は?
証券口座を開設する、入金する、買い注文を出す、といった基本ステップは日本株と変わらない。ネット証券口座を開設していない人はまず証券総合口座を開設する必要があり、証券総合口座をすでに開設している人は株国株式取引口座を開設すればよい。入金に関しては、それぞれの証券会社で方法が異なる。余力が反映されたら、あとは買い注文を出すだけだ。
中国株を売買でおすすめのネット証券は?
SBI証券、楽天証券、マネックス証券の3社がおすすめ。通常の手数料はマネックス証券が約定代金の0.275%と最安。また取扱銘柄数に関してもマネックス証券が最多となっている。

実際に中国株投資を始めてみる

為替振替コストを軽減したい人は
>>SBI証券の口座開設はこちら

NISA口座でも中国株の買付可能!ETFの取扱いも豊富
>>楽天証券の口座開設はこちら

香港市場に上場するほぼ全銘柄を取引可能!取引手数料も安い
>>マネックス証券の口座開設はこちら

執筆・近藤真理
南山大学外国語学部卒業。野村證券の引受部門で勤務後、ビジネス系翻訳や工業系翻訳業務に従事。

2013年より、総合証券とネット証券を使い分けながら、資産運用を開始。2017年から各種WEBサイトのフリーライターとして活動、現在は経済金融系記事を中心に執筆している。

■保有資格
証券外務員一種、二種
投資診断士
2級ファイナンシャル・プランニング技能士
AFP認定者
南山大学外国語学部卒業。野村證券の引受部門で勤務後、ビジネス系翻訳や工業系翻訳業務に従事。
2013年より、総合証券とネット証券を使い分けながら、資産運用を開始。2017年から各種WEBサイトのフリーライターとして活動、現在は経済金融系記事を中心に執筆している。

■保有資格
証券外務員一種、二種
投資診断士
2級ファイナンシャル・プランニング技能士
AFP認定者


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