いまや日本国内からでも海外の銘柄を使った運用が可能だ。その中でも注目を集めているのが中国株である。中国は経済成長著しく、今では日本を抜き、世界2位の経済大国にまで発展している。ここでは中国株による運用のメリットやデメリット、おすすめの銘柄や口座開設すべき証券会社の選び方についてまとめてみた。
中国株取引のメリット
中国株取引がなぜ今おすすめなのか、そのメリットについてまずは紹介しよう。
中国株には、利益を得られる可能性が高い、リスクマネジメントができるなどの利点が期待できる。
経済規模の拡大が見込まれる
このような背景から中国の成長傾向は今後も続くと予想されているため、株価も当面は上昇トレンドが続くとみられている。
値動きが大きい
日本株と比較して大きく動くので、デイトレードなどの短期取引で収益が出やすい。
デイトレーダーなど、短期取引の経験があり値動きの予測に自信がある人なら、中国株の運用を検討してみる価値はあるでしょう。
円資産とのリスク分散が可能
円でない資産を持っていれば、たとえ円資産が減少しても、別の資産の値上がりでカバーできる可能性があるからだ。
農林中金総合研究所の南主席研究員によれば、減産に伴う自動車輸出の鈍化、原油高による輸入額の上昇などを背景に資源価格が当面高止まりし、しばらく赤字基調が続くと見られている。(出典=ロイター)
もし中国株を持っていれば、円安傾向の局面でも資産の目減りリスクを減少させる効果が期待できます。
為替差益が得られる可能性がある
中国株取引を行う証券口座を選ぶポイント
国内銘柄同様、中国株で資産運用するなら証券会社に口座を開く必要がある。
ではどの証券会社を利用すべきか、比較すべきポイントについて紹介しよう。
手数料
まず比較すべきなのは手数料だ。
手数料は証券会社によって異なるので、口座開設前に十分比較しておくべきだ。
取扱銘柄数
取扱銘柄数で比較するのも一つのポイントだ。
証券会社によって売買できる銘柄の種類には違いがみられる。
またリスク分散の意味でも取扱銘柄数の多い方がおすすめだ。
関連性のあまりない銘柄を複数購入することで、どれかが値下がりしてもほかでリカバリーできる可能性は高い。
収益確保とリスクマネジメント両方の観点から、選択肢の多い証券会社を選びましょう。
提供するツール・アプリの利便性
株価情報やチャート、銘柄別の財務データなどが見やすいか、チャートなどのレイアウトを自分でカスタマイズできるかなどをチェックしよう。
また情報量の多寡についても確認しましょう。ニュースやプロのアナリストによるレポートなど、情報を多く得られればそれだけ正確にマーケットの現状を把握できます。
マネックス証券とSBI証券は手数料が最低クラス
具体的な各社の中国株取引手数料は以下の通り。
それぞれ約定金額に対する割合で示されている。
マネックス証券:0.275%
SBI証券:0.286%
内藤証券:0.3877%~
楽天証券:0.55%
マネックス証券とSBI証券の手数料は、3番目に安い内藤証券の手数料と比べても0.1%以上の差がある。
とくにデイトレーダーのように高頻度で取引をする場合、コストの安いマネックスもしくはSBI証券を選択するのがおすすめです。
マネックス証券とSBI証券の中国株取引を徹底比較
中国株取引の手数料が安い証券会社としてマネックス証券とSBI証券を紹介した。
ここでは、マネックス証券とSBI証券についてさらに詳しく紹介していく。
主要な項目について両者を比較すると、以下のような結果になった。
マネックス証券 | SBI証券 | |
手数料 | 約定金額の0.275% | 約定金額の0.286% |
最低手数料 | 49.5香港ドル | 51.7香港ドル |
上限手数料 | 495香港ドル | 517香港ドル |
取扱銘柄数 | 2,000超 | 約1,350銘柄 |
提供するツール・アプリ名 | ・銘柄スカウター中国株(ツール) ・マネックス証券アプリ(アプリ) | ・HYPER SBI(ツール) ・SBI証券 米国株 アプリ(アプリ) |
アプリのAppStore評価 | 4.3 | 2.6 |
手数料
特に上限手数料が適用になった場合、その時々の為替レートにもよるが
スキャルピングのような1日に何度もトレードするスタイルの利用者にとっては、より手数料の安いマネックス証券の方がおすすめと言えます。
取扱銘柄数
取扱銘柄数が多いと、それだけ運用の選択肢も広がるため、収益をあげられる確率が高まる。
マネックス証券で売買できる中国株は2,000銘柄を超え、SBI証券と大きな差をつけている。
SBI証券でも、将来的にはマネックスと比較してもそん色ないだけのバラエティに富んだ中国株取引ができるかもしれません。
提供するツール・アプリの利便性
アプリのレビューを見ても、マネックス証券のものはおおむね高評価である。
しかし両者ともデザインがシンプルで使いやすいという意見はしばしば見られた。
中国株取引の基礎知識
ここでは中国株の取引に関する基本的な事項について見ていこう。
どのような取引所があるのか、下部の区分はどうなっているのかについて紹介する。
また国内同様、中国マーケットでも代表的な指数がいくつかあるのでここでピックアップしてみた。
日本で株が買える中国の取引所一覧
上海取引所は主に大企業、深セン取引所は主にベンチャー系の銘柄を取り扱っている。
香港証券取引所における株の区分
メインボードは日本でいうところの東証一部のような位置づけである。メインボードの中でも株式は3つに区分されており、H株とレッドチップ、およびその他の3つに分けられる。
H株は中国本土を登記地にしている企業が香港で発行している銘柄で、道路や電力などの国有企業が、海外の資金を調達するために上場していることが多い。
ちなみにH株のHとは「Hong Kong」の頭文字をとったものです。
レッドチップとは中国政府資本が3割以上を占める銘柄を指す。
レッドチップ銘柄は、1990年代以降通信やテクノロジー関連がメインとなっています。
H株にもレッドチップにも属さないものがその他銘柄 であり、香港の地場企業や海外の香港上場企業などが属する。
香港証券取引所におけるもう一つのマーケットことGEM市場は「Growth Enterprise Market」の頭文字をとったもので、日本語に訳すと「成長企業市場」になる。1999年11月に新たに作られ、中小の成長株をメインに扱っている。日本でいうところのマザーズやジャスダックに似た性格を持っており、株主数や売上高などの審査がメインボードと比較して甘めといわれている。中には周知徹底を目的として、GEMからメインボードに鞍替えする企業も少なくない。
中国株の代表的な指数
中国株の全体的な状況について表した指数がある。
中国株の運用をする場合、以下で紹介する4つの指数に着目するといいだろう。
おすすめの中国株5銘柄
中国株で運用するといっても、数ある銘柄の中からどれを購入すればいいかわからないという人もいるだろう。
そこで今回、おすすめの銘柄を5つピックアップしたので参考にしてほしい。
以下の銘柄は2021年11月8日時点の前日比の値上がり率をベースに選定している。
ワールド・ハウスウエア……PVCパイプや管継手の生産をメインに、幅広い事業に取り組む
会社名 | 世界(集団)有限公司 |
創業年月 | 1968年 |
上場市場 | メインボード |
証券コード | 00713 |
ワールド・ハウスウエアは正式社名を「世界(集団)有限公司」という企業だ。ポリ塩化ビニール製のパイプや管継手の生産をメインに、家庭用の製品や接続金具などの生産・販売を実施している。他にも不動産投資や食品廃棄物のリサイクル事業など幅広い事業に取り組んでおり、リサイクルなどのSDGs事業も手掛ける。シャワーカーテンやテーブルクロス、ランチョンマット、コースターなど私たちの日常生活にも密接に関係している商品も製造している。
2021年11月8日の段階で、前日比25.88%の株価上昇を記録している。
年間でもプラス190%弱の値上がりを見せており、注目の銘柄といえます。
黄河実業……香港やマカオでも事業を展開する金融サービス業者
会社名 | 黄河実業有限公司 |
創業年月 | 2001年 |
上場市場 | メインボード |
証券コード | 00318 |
黄河実業のメインの事業は証券や不動産投資などの金融サービス事業だ。中国本土のほかにも、香港やマカオでも事業を展開している。投資事業をメインとしているが、メディアやアミューズメント、食品・飲料、通信など幅広いジャンルの事業に取り組んでいる。投資事業が今後不振に陥ったとしても、ほかの分野でリカバリーできる可能性は高い。
2021年11月8日の時点で前日比19.05%の値上がりを記録している。
年間では1.96%株価が落ちているようだが、月間では7.53%のプラスと上昇トレンドに入りつつある。
中国南方航空……中国の民航系航空会社の中では最大規模
会社名 | 中国南方航空股フン有限公司 |
創業年月 | 1995年 |
上場市場 | メインボード |
証券コード | 01055 |
中国南方航空は1995年に中国民用航空総局の甲州管理局を引き継ぐ形で設立された航空会社だ。中国内の主要な路線を有するほかにも国際線も就航している。民航系の航空会社の中では最も規模が大きい。それだけでなく旅客数や便数、売上高でも中国国際航空という中国のフラッグキャリアを上回っている。
2021年11月8日の時点で前日比14.35%の値上がりを記録しており、年間でも9%を超える値上がり率を記録している。
コロナ渦が落ち着いている中国では移動も活発になりつつあるので、航空会社の株価も今後上昇していく可能性は十分期待できる。
東方支付集団……タイで勢力を伸ばすカード決済仲介業者
会社名 | 東方支付集団控股有限公司 |
創業年月 | 2018年 |
上場市場 | GEM |
証券コード | 08613 |
東方支付集団は、中国支付通という香港のGEM市場に上場している企業から独立し、2018年に上場した企業である。カード決済の仲介業務を主要事業として展開している。特にタイの観光地の小売店で加盟店を新規開拓している。タイは中国人観光客が多数訪れるので、中国人ユーザーを多く獲得できる可能性が高い。
2018年11月8日の株価は前日比プラス13.98%と、GEM市場の中でもっとも値上がりした銘柄である。
しかも年間で見ても19%以上の上昇を記録している。
コロナ禍でタイなどの海外旅行を控える動きもあったが、今後ワクチンが広くアジア諸国でも普及していくだろうし、服用薬の開発も進んでいるので再び海外旅行熱が高まることに期待できる。
サムソナイト……コロラド発の老舗スーツケースメーカー
会社名 | 新秀麗国際有限公司 |
創業年月 | 1910年 |
上場市場 | メインボード |
証券コード | 01910 |
サムソナイトはカバンに詳しい人ならご存知の方も多いかもしれない。旅行カバンブランドの中でも最大手で、1910年にアメリカのコロラド州で創業した老舗の企業である。スーツケースをメインとしているが、ビジネスバッグやカジュアルバッグなどの生産にも取り組んでいる。
2021年11月8日時点で前日比12.50%の値上がりを記録している。
しかも年間で見ると104%以上の値上がりを記録しているのも注目ポイントだ。
サムソナイトは軽量で耐久性に優れた高品質のバッグを多数ラインナップしている。
中国株取引のデメリット
中国株を取り扱った運用にはメリットがある半面、デメリットも存在する。
ここではデメリットについて主なものを紹介するので、今後投資を検討しているのであれば注意していただきたい。
政策の影響が大きい
中国は現在共産党による一党体制で運営されている。
日本のような民主主義国家ではなく、中国政府の方針によって経済活動も大きく変化する可能性がある。
このように、政府の一存で一つの業界が大きな影響を受ける可能性があることは留意しておくべきでしょう。
情報が得にくく、信ぴょう性に疑問がある
株式運用で重要なのは、いかに正しい情報を多く得られるかだ。
正しい情報を得られれば、今後のトレードの精度も増す。
為替差損が出る可能性がある
もし円高局面に入った場合、為替差損の発生する恐れがあるため注意が必要だ。
中国株取引のために複数の証券口座を持つメリット
当サイトでは中国株取引におすすめの証券会社としてマネックス証券とSBI証券を紹介してきた。
どちらを利用するか迷っているのであれば、両方に口座を持つのもおすすめだ。
両者に口座を持つことで、両証券のメリットを享受できる。
また複数の口座を持つことで、利用できるトレードツールが増えるのもメリットの一つだ。
またより多くの情報が手に入るのも複数口座を持つメリットである。
2社の口座を開設すればより多くのアナリストによるデータが入手できるので、より正確な情報をもとに投資の判断が下せる。
口座を持つだけでは手数料はかかりませんので、ぜひ複数口座の開設を検討してください。
中国株取引ができる証券口座についてよくある5つのQ&A
最後に中国株取引についてよくある質問について紹介しておく。もし何かわからないことがあれば、以下を参照していただきたい。
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