米国では「株式会社は株主のもの」という意識が強く、利益の株主還元策として配当を重視している企業が多く見られる。こうした米国株の特徴でも特に際立った3つの特徴を挙げていきたい。
米国企業には日本企業のような株主優待制度はないものの、四半期配当、つまり配当金の支払いが年4回ある企業が圧倒的に多い。日本では配当は年2回あるいは年1回の企業が大半だ。
たとえば、世界的に有名な米国のアップル <AAPL> の配当は、例年2月、5月、8月、11月の年4回だ。マクドナルド <MCD> は3月、6月、9月、12月の年4回。ペプシコ <PEP> は1月、3月、6月、9月の年4回である。
何十年も増配を継続している企業も多く、63年連続増配で第1位のプロクター・アンド・ギャンブル <PG> や61年で第2位のスリーエム <MMM>、 57年のコカ・コーラ <KO> とジョンソン&ジョンソン <JNJ> などが名を連ねる。
連続増配企業は、概して経営基盤が安定しており、成長性も期待できる優良企業であるため、配当を得るだけでなく投資対象としても魅力がある。
米国の取引所に上場している企業で流動性のある大型株から選ばれたS&P500の構成銘柄のうち、25年以上連続増配している銘柄で構成される株価指数は「S&P 500 Dividend Aristocrats Index」(S&P500配当貴族指数)と呼ばれる。その構成銘柄はインカムゲインを目的とした投資銘柄選定に大いに役立つ。
構成銘柄の上位には、AT&T<T>やシスコ<CSCO>、プロクター・アンド・ギャンブル<PG>などがある。
個別銘柄の配当利回りだけでなく、日米の代表的な株価指数であるNYダウ工業平均株価と日経平均株価においても、前者に分がある。
2019年10月21日現在の指数ベースの配当利回りは、NYダウが2.39%(ブルームバーグ公表)、日経平均は1.96%(日経平均プロフィル公表)となっている。
相場によって多少の変動はあるものの、長期的に見ると、NYダウ配当利回りが日経平均配当利回りを上回る傾向が見られる。
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米国企業の配当利回りがどれほどなのか、確認してみよう。
サンプルは米国を代表する有名企業5社、アップル<AAPL>、マイクロソフト<MSFT>、マクドナルド<MCD>、ジョンソン&ジョンソン<JNJ>、そしてエクソン・モービル<XOM>。
上記5社の2020年12月14日終値基準による予想配当利回り、各社の2020年12月期の1株当たり年間配当金総額(予想)も併せて紹介する。
ティッカー | 会社名 | 配当利回り (予想) |
2020年12月期の 予想1株あたり 年間配当金総額 |
基準株価 (2020/10/19終値) |
APPL | アップル | 0.69% | 2.05米ドル | 121.78米ドル |
MSFT | マイクロソフト | 1.01% | 2.09米ドル | 214.20米ドル |
MCD | マクドナルド | 2.43% | 5.04米ドル | 211.92米ドル |
JNJ | ジョンソン&ジョンソン | 2.59% | 3.98米ドル | 149.07米ドル |
XOM | エクソン・モービル | 7.95% | 3.48米ドル | 42.22米ドル |
米国を代表するアルファベット<GOOG/GOOGL>(グーグル)やアップル、フェイスブック<FB>、アマゾン・ドット・コム<AMZN>のような持続的成長企業は、株主還元に積極的ではない傾向が見られる。事実、アルファベット、フェイスブック、アマゾン・ドット・コムは配当を実施しておらず、利益を自社の成長のために使っている。 配当を実施している企業も、配当金が抑えられているため配当性向が低く、配当利回りも低めだ。
それに対して、米国の典型的な重厚長大産業のエクソン・モービル<XOM>は、株主還元を重視しているが株価が安いため、配当利回りが相対的に高い。
米国株の中で、ダウ平均やナスダック100、S&P500を構成する中型株と大型株を対象に、高配当銘柄上位10社のランキングを見てみよう。
予想配当利回りは、「2020年12月期の予想1株当たり年間配当金総額÷現地時間2020年12月14日終値」で算出した。
米国株の中大型優良銘柄高配当ランキング順位 | 会社名 (ティッカー) |
市場 | 予想配当 利回り(%) |
2020年12月期の 予想1株当たり 配当金総額 (米ドル) |
2020/11/30 終値 |
1 |
エクソン・モービル
<XOM> |
NYSE | 7.95 | 3.48 | 42.22 |
2 | アルトリア・グループ <MO> |
NYSE | 7.92 | 3.38 | 42.90 |
3 | ウィリアムズ・ カンパニーズ<WMB> |
NYSE | 7.28 | 1.6 | 21.51 |
4 | キンダー・モルガン <KMI> |
NYSE | 7.11 | 1.0375 | 14.31 |
5 | AT&T<T> | NYSE | 6.73 | 2.08 | 30.55 |
6 | バレロ・エナジー <VLO> |
NYSE | 6.65 | 2.94 | 56.39 |
7 | ピー・ピー・エル <PPL> |
NYSE | 5.91 | 1.66 | 27.60 |
8 | シェブロン <CVX> |
NYSE | 5.58 | 5.16 | 59.44 |
9 | フィリップ・モリス・ インターナショナル <PM> |
NYSE | 5.57 | 4.71 | 84.40 |
10 | プルデンシャル・ ファイナンシャル <PRU> |
NYSE | 5.54 | 4.4 | 76.61 |
「米国株の中大型優良銘柄高配当ランキング」の上位企業の中には、2019年12月期の決算や財務状態、あるいは2020年12月期第1四半期や第2四半期、第3四半期の業績不振による株価下落のため、予想配当利回りが高くなっているものがある。
このような企業は2020年12月期や将来的な配当の中止や減額も予想されるので、株式の購入を見送るか、企業の業績や発表に十分注意した上で、投資判断を下してほしい。
長期的かつ安定的な配当の実施を前提にすると、米国株の高配当利回りの目安は7~8%程度と考えるべきだろう。
世界各地で原油や天然ガスを探査および生産し、石油製品の精製まで手掛ける石油メジャー最大手。事業地域は、北米や南米から、欧州、中東、北アフリカ、サハラ砂漠以南のアフリカ、アジア太平洋地域までと世界中に広がっている。
同社は従来、ダウ工業平均株価とS&P500の構成銘柄だった。しかし、2020年8月31日付の銘柄入れ替えでダウ工業平均株価の構成銘柄から除外。その背景には、新型コロナウイルスによる石油の需要低迷や、バイデン氏の自然エネルギー推奨の影響もある。
2020年12月期の減配は予定されていないが、2020年12月期第2四半期以降の業績が悪化しており、今後の業績次第では将来的に減配も予想されるので、注視する必要がある。
アルトリア・グループは、米国最大のたばこを中心とした企業グループの持ち株会社である。
世界的に有名な「フィリップモリス」など、多数のブランドたばこを製造販売するPhilip Morris USA Inc.や、機械製葉巻とパイプたばこの生産・販売を行うJohn Middleton Co.の他にも、無煙製品やワインを生産・販売する会社を運営している。米国内で40%ものシェアをもつ世界有数のたばこブランド「マールボロ(Marlboro)」も同社が展開。米国では、たばこおよび無煙たばこで業界首位である。
2019年12月期は赤字決算となった。2020年12月期第1および第2四半期は黒字を確保していたが、第3四半期では赤字に転落。アルトリアが投資している電子タバコメーカー、ジュールの営業不振も要因となっているようだ。しかし、連続増配企業である同社は、第3四半期の配当金を前期より増配。2020年12月期の年間配当金は、前年より増配予定である。
ザ・ウィリアムズ・カンパニーズは米国のエネルギー・インフラストラクチャー企業であり、地域と事業別に、主に3セグメントで構成されている。
同社売上高構成比の5割近くを占めるウエスト事業では、米国中西部地域におけるガスの収集と処理を行う。大西洋およびメキシコ湾事業は、州間ガスパイプラインの運営と、湾岸地域での天然ガスの収集と処理、原油の生産、ならびに輸送サービスを手掛ける。ノースイーストG&P事業では、米国北東部地域でのエネルギーの収集、処理、分別事業を行っている。
2020年12月期第1四半期では、新型コロナウイルスの影響で石油の需要が低迷したこともあり、赤字決算に陥った。しかし、第2および第3四半期では黒字に着地。2020年12月期の配当は前年より増配し、年間配当金は1.6米ドルとなった。
キンダー・モルガンはエネルギーの中流サービス提供会社として、天然ガスや原油、精製物、天然ガス液、二酸化炭素の輸送・加工・貯蔵を行っている。総長約8万マイルものパイプラインを有し、そのうちの7万マイルは天然ガス輸送用、約1万マイルが石油ならびに精製物輸送用のパイプラインだ。2019年12月期実績では、同社の主力事業である天然ガスパイプライン事業は、同社売上高の61.5%を占めている。
2020年12月期第1四半期と第2四半期の業績はともに赤字となったが、第3四半期では黒字に転換。営業キャッシュフローについては、第2四半期より約10億米ドル増加している。2020年12月期の年間配当金は、前期より増配となった。
エー・ティー・アンド・ティーは、米国第2位の携帯電話会社として知られている。同社が手掛けるのは、通信やメディア、テクノロジー・サービスなどを提供する総合通信事業であり、最大の事業は売上高の約40%を占める無線通信だ。
売上高の20%弱を占めているワーナー・メディア事業はメディア資産を保有しており、HBO、ターナー・ケーブルネットワーク、ワーナー・ブラザーズ・スタジオなどを運営。ラテンアメリカでも一部サービスを提供している。
2020年12月期の第2四半期に当たる4~6月では、新型コロナウイルスによる家計悪化が影響し、顧客の携帯料金未払いが33万人以上に膨れ上がった。それを受け、該当期の決算は黒字ではあるものの、前期より純利益が下がる結果に陥った。現在は緩やかに回復している。
2020年12月期も2019年12月期に引き続いて増配。
バレロ・エナジーは、米国最大級の石油およびエタノールの独立系石油精製会社。米国、カナダ、英国で、合計14ヵ所の石油精製所を運営しており、原油パイプラインや精製石油製品パイプライン、ターミナル、タンクなどの物流資産も有している。石油精製所の処理能力は、総計日量310万バレルになる。さらに、14ヵ所ものエタノールプラントも保有しており、その生産量は年間17億ガロンにものぼる。
2020年12月期第1四半期は、赤字となったが第2四半期で黒字へと転換。その後第3四半期で再び赤字決算となっている。2021年1月には大統領選挙の就任式が行われる。自然エネルギーを推奨するバイデン氏が当選となれば、同社の売上にも関わってくるだろう。今後も注視しながら投資をしたい。2020年12月期は、前年より増配予定である。
ピー・ピー・エルは米国のエネルギー会社で、発電や供給に携わっている。ケンタッキー州では、電力の他に天然ガスも提供。
2020年2月に世界的に流行した新型コロナウイルスの影響で米国はロックダウン。工場や小売店は営業停止になったことから電力の需要が低迷した。一時は大きく株価を下げたが、その後は緩やかに回復。バイデン氏は、クリーンエネルギーを推奨している。大統領に就任が決まると、同社の発電態勢にも大きく影響するだろう。
2020年12月期の四半期決算では、第1~第3四半期まで黒字の結果に至った。しかし第3四半期では、投資キャッシュフローのマイナスが膨らんだ。2020年12月期の年間配当金は、前年より増配が決定している。
シェブロンは、世界で石油や発電、鉱業などの生産から販売まで行っている会社だ。探査や生産による上流工程と、精製や販売、輸送における下流工程の2部門によって構成。
2020年12月期では、新型コロナウイルスが主な原因となり、原油の需要が低迷している。第1四半期は黒字であったものの、第2四半期および第3四半期は赤字となった。2020年12月期の年間配当金は、前年より増配が決定している。
フィリップ・モリス・インターナショナルは、日本でもなじみのある「パーラメント」や「ラーク」など、多くのタバコ品種を製造・販売する持ち株会社。
同社は、新型コロナウイルスワクチンを開発しているカナダのバイオ企業「メディカゴ」の株式を33%保有している。ワクチンの認可がおりれば、同社にとっても追い風となるだろう。
2020年12月期は、第1~第3四半期まで順調に利益を伸ばしている。さらに第3四半期では、前期の第2四半期より営業キャッシュフローが約2倍まで増加。2020年12月期の年間配当金は、前年より増配となる見通しだ。
プルデンシャル・ファイナンシャルは、米国を中心にアジアやヨーロッパ、中南米を対象とした金融持ち株会社である。取扱商品は、個人を対象とした生命保険や個人年金、投資信託や、法人を対象とした投資顧問や証券仲介、退職プランの提案などである。
2020年12月期の第2四半期では、低金利が重しとなり赤字決算に陥った。経費削減に取り組んだ第3四半期では一転し、増益で着地。純利益は黒字となった。顧客資産は前年より増加し、過去最大に及んだ。さらなる経費削減も目標としているため、今後の動向に注目したい。
2020年12月期の年間配当金は、前年より増加が決定している。
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米国株の特徴やランキングを見てきたが、ではどのようなポートフォリオを組めばよいのだろうか?その参考になるのが「Dogs of the Dow」(ダウの犬)と呼ばれる投資戦略だ。どのような戦略か、簡単にそのフローを示そう。
ダウの犬を構成する銘柄はいずれも、世界でも指折りの優良な超大型株である上に、比較的株価が割安であることが多い。最も注目すべきは、ダウの犬の平均配当利回りがNYダウの平均配当利回りを上回っていることだ。
「Dogs of the Dow」公式サイトの発表によると、2019年12月31日現在のダウの犬の平均配当利回りは3.90%、2020年5月5日現在では4.95%だ。一方、NYダウの全構成銘柄の平均利回りは前者が2.60%、後者が3.17%であり、どちらの基準日においても、ダウの犬の配当利回りのほうが高い。ダウの犬への投資は、効率的にリターンを得る手段だと考えていいだろう。
2019年12月31日を基準とした「2020年ダウの犬」は、以下の10銘柄である。
ティッカー | 会社名 | 実績配当 利回り1 |
株価1 (2019/12/31) |
実績配当 利回り2 |
株価2 (2020/5/5) |
DOW | ダウ | 5.12% | 54.73米ドル | 8.39% | 33.37米ドル |
XOM | エクソン・ モービル |
4.99% | 69.78米ドル | 7.65% | 44.83米ドル |
IBM | IBM | 4.83% | 134.04米ドル | 5.25% | 122.58米ドル |
VZ | ベライゾン | 4.01% | 61.40米ドル | 4.29% | 56.51米ドル |
CVX | シェブロン | 3.95% | 120.51米ドル | 5.12% | 92.89米ドル |
PFE | ファイザー | 3.88% | 39.18米ドル | 3.74% | 38.51米ドル |
MMM | 3M | 3.26% | 176.42米ドル | 3.91% | 147.43米ドル |
WBA | ウォルグリーン・ ブーツ・ アライアンス |
3.10% | 58.96米ドル | 4.27% | 42.02米ドル |
CSCO | シスコ | 2.94% | 47.61米ドル | 3.33% | 41.46米ドル |
KO | コカ・コーラ | 2.89% | 55.35米ドル | 3.52% | 45.40米ドル |
2020年ダウの犬10社平均 | 3.90% | 4.95% | |||
ダウ平均 | 2.60% | 3.17% |
「株式会社は株主のもの」という意識が強い米国では、日本に比べて高配当利回り銘柄や連続増配銘柄が多く、年4回配当が主流だ。
経営基盤が安定し、安定的あるいは継続的な増配も見込める優良銘柄を、さまざまな基準で選りすぐって長期的に投資する。そうすることで、10年後、20年後には配当金暮らしが実現するかもしれない。
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