投資信託を選ぶポイントは複数ある。その中で利回りは大切なポイントだが、高ければ良いというものではない。初心者向けの条件を設定し、インデックス型、アクティブ型で、それぞれ利回りが高い投資信託のランキングを作成した。利回りの高い銘柄を購入するときの注意点も解説する。

目次
1.投資信託の4つのメリット  現物株との違いは?
2.投資信託を選ぶときの7つのポイント
3.アクティブ型投資信託の利回りランキングTOP10
4.インデックス型投資信託の利回りランキングTOP10
5.利回りの高い投資信託を購入するときの注意点
6.投資信託を探すならスクリーニングツールを活用

1.投資信託の4つのメリット  現物株との違いは?

金融商品としての投資信託を理解するなら株との違いを把握するのが分かりやすい。投資信託の4つの特徴と現物株との違いは何だろうか。

メリット1……少額から手数料無料で取引できる金融機関が多い

投資信託は100円や1,000円などの少額から、買付手数料無料で買える金融機関が多い。売却(解約)時は投資信託の銘柄によっては手数料がかかるものの、売却時の手数料が無料の銘柄は多い。

現物株は一定の約定金額まで手数料無料で取引できる証券会社があるものの、一般的な売買単位は100株であり少額では買えない。単元未満株を1株単位で数百円程度から買える場合もあるが、単元未満株の取引は一般的に手数料がかかる。また、現物株の積立サービスでは数百円程度から積み立て購入でき、購入手数料無料の証券会社があるが、売却手数料の負担がある。

メリット2……プロの専門家の運用により手間がかからない

投資信託は資産への投資を専門家(ファンドマネージャー)が運用・管理してくれるのが特徴だ。投資信託は構成する資産の見直しや入れ替えを専門家が対応してくれる。一方、現物株に投資する場合は銘柄の見直しや入れ替えを自分で行う必要がある。

メリット3……簡単に分散投資できてリスクを軽減できる

投資信託は複数の資産を構成しているものが多く、簡単に分散投資ができる。例えば、日経平均株価のインデックスファンドは日経平均株価の構成銘柄225社の株式を資産にもつ。個人が225社の株式を保有するのは資金面や管理面において簡単ではないが、投資信託なら簡単に225社への分散投資が可能だ。

複数の資産への分散投資は、リスクがさまざまな資産へ分散されることでリスク軽減を期待できる。

メリット4……購入しにくい海外資産にも手軽に投資できる

日本の金融機関で取り扱いが少ない金融商品でも、その資産を組み込む投資信託を利用すれば手軽にそれらの資産へ投資できる。例えば、米国と中国以外の外国株を取り扱う日本の証券会社は少なく、取り扱っていても対象銘柄が少ないことがある。

投資信託ならさまざまな地域や資産を組み込んだ商品が用意されており、自分が投資する資産構成(アセット・アロケーション)の幅を広げることが可能だ。

2.投資信託を選ぶときの7つのポイント

国内には数千の投資信託があり、初めはどれを選ぶか迷うかもしれない。選ぶポイントを押さえれば投資信託を絞り込むことができ、銘柄選びが楽になる。投資信託を選ぶポイントは7つだ。

ポイント1……投資信託の利回り(トータルリターン)を比較する

利回りとは、投資信託で投資した金額に対して収益を得る割合のことだ。投資信託の収益には、基準価額の上昇による「売却益」と投資信託の保有口数に応じて支払われることがある「分配金」がある。投資信託の利回りはこれらの合計で計算する。

投資信託の利回りを表すのに「トータルリターン」が使われることがある。トータルリターンは投資信託の分配金の扱いに特徴がある。トータルリターンの計算では、分配金を単なる収益として扱うのではなく、分配金を再投資(分配金で同じ投資信託を買い付ける)したものと仮定して、一定期間の基準価額の騰落率を年率で表している。

投資信託には分配金が多く支払われるものと、全く支払われないものがある。トータルリターンを利用すれば、分配金の支払いの違いを意識することなく投資信託の利回りを比較できる。

ポイント2……リスクを許容できる資産を選択する

投資信託を選ぶ際にはリスクとリターンを考慮して、投資対象の資産を選択したい。投資信託などの金融商品は、一般的にリスクが低いものはリターンも低く、リスクが高いものはリターンも高い傾向にある。投資リスクの高低は投資する資産により異なるため、高いリターンを期待するなら、高いリスクを許容して、高リスク資産へ投資する投資信託を選ぶことになる。

投資信託のリスクを把握するには、投資信託説明書に記載される代表的な資産クラス(国内株式、国内債券、先進国株式、先進国債券など)の騰落率を比較してみよう。

ポイント3……初心者はアクティブ型よりインデックス型の投資信託がおすすめ

投資信託にはインデックス型とアクティブ型の2つの運用タイプがある。

インデックス型の投資信託は、特定のインデックス(日経平均株価やダウ平均株価などの指数)への連動を目指すよう運用される。インデックス型の投資信託のメリットは、特定のインデックスの構成銘柄を資産に組み込むことにより、低コストでの運用が可能なことだ。また、投資信託の設計がシンプルなため運用を理解しやすい。

アクティブ型の投資信託は、特定のインデックスを上回る運用成績を目指して運用される。アクティブ型の投資信託はインデックスを上回る可能性があるが、ファンド・マネージャー(運用担当者)による銘柄分析などのために運用コストが高めになる。また、投資信託によって設計がさまざまなため、初心者には運用を理解しにくい。

アクティブ型の投資信託の選択は、高めの運用コスト(信託報酬)を上回る運用成績を期待できるかがポイントだ。投資初心者はアクティブ型の投資信託を判断するのは簡単ではないため、低コストで運用できるインデックス型の投資信託を選ぶのがおすすめだ。

ポイント4……購入・解約手数料や信託報酬などのコストを比較する

投資信託は銘柄により信託報酬などのコスト(手数料)が異なる。類似の投資信託の中から投資するものを選ぶなら、コストが低いものを選ぶことでコスト負担による資産額の減少を抑えることを期待できる。

投資信託で負担するコストは、「購入時の手数料」「保有中の手数料」「解約(売却)時の手数料」の3つに分けられる。

購入時の手数料は、購入手数料(または買付手数料、販売手数料など)と呼ばれ、証券会社や銀行などの販売会社により負担率が異なる。ネット証券やネット銀行では購入手数料無料を打ち出している場合が多い。販売会社によっては購入金額の数%の購入手数料を設定しているところもある。

保有中の手数料は主に信託報酬(運用管理費用)であり、投資信託により異なる。信託報酬などは毎年負担するため、保有中の手数料のわずかな違いが長期保有では大きな違いになることがある。

解約時の手数料は、投資信託により設定される「信託財産留保額」と一般的には無料だが販売会社によっては負担することがある「換金手数料(解約手数料)」だ。

投資信託の購入前に、購入手数料と換金手数料を販売会社のWebサイトなどで、信託報酬などや信託財産留保額を投資信託説明書(目論見書)などで確認しておきたい。

ポイント5……純資産総額の規模と推移で人気を把握する

純資産総額は投資信託の資産の評価額から運用費などのコストを差し引いた時価総額であり、投資信託の規模を表す。投資信託の純資産総額が10億円を下回ると、途中で運用を停止する繰上償還の可能性が高まる。30億円程度以上の純資産総額があれば、運用に心配ないと考えていいだろう。

人気の投資信託は資金が集まることで、基準価額の推移以上に純資産総額が増加する傾向になる。逆に純資産総額が減少傾向の場合は、資産価値が減少しているか、投資家の解約(売却)が続いていることが要因である。どちらの要因により純資産総額が減少しているかは、基準価額と純資産総額の推移を比較しよう。純資産総額の減少ペースが早ければ、投資家の解約が続いていることになる。

長期投資では、コロナショックなどで資産価値が減少し、純資産総額が一時的に減少することは起こり得る。もし解約が続いて純資産総額が減少している場合には投資信託の問題の可能性があるため注意したい。

ポイント6……分配金の支払い実績と決算頻度を確認する

投資信託は運用成績などにより投資家へ分配金を支払うことがある。投資信託の分配金が支払われると利益を得たように思うが、その分だけ投資信託の基準価額が下がるため、必ずしも分配金が良いものとは限らない。

分配金が支払われるかは過去の分配金の支払い実績でその傾向を把握できる。分配金が支払われる投資信託を購入するなら、分配金を受け取るか、分配金を再投資(分配金で同じ投資信託を買うこと)するかについて販売会社の設定を確認しておきたい。

分配金は投資信託の決算のタイミングで支払いが決定されるため、分配金の支払いを希望するなら決算頻度を確認しよう。

長期での資産形成を目的とするなら、分配金が支払われない投資信託は複利効果(運用で得た利益がさらに利益を生むこと)を期待できるためおすすめだ。その場合には決算頻度は低くて構わないため、年1、2回程度の決算頻度の投資信託を選べば良いだろう。

定期的な収入として分配金を受け取りたいなら、定期的に分配金が支払われる投資信託を選ぼう。分配金の受取を希望する頻度に合わせて投資信託の決算頻度を選択したい。

なお、SBI証券や楽天証券などは投資信託の一部を定期的に解約(売却)して換金する「投資信託定期売却サービス」を提供している。このサービスを利用すれば、分配金が支払われない投資信託でも分配金を得るのと同様に、定期的に投資信託の資産の一部を換金して受け取れる。

ポイント7……途中で運用を終了しないかどうか投資信託の信託期間を確認

投資信託は運用期間が決まっているものと無期限のものがある。長期投資の予定で投資信託を購入しても、運用終了が近い投資信託では長期で投資できない。自分が予定する投資期間の間に運用終了しないか、あらかじめ信託期間を投資信託説明書(目論見書)などで確認しておきたい。

なお、運用期間の途中でも前述のように純資産総額の減少などの理由で繰上償還されることもある。

3.アクティブ型投資信託の利回り(トータルリターン)ランキングTOP10!

投資信託を選ぶポイントの中で特に気になるのが利回り(トータルリターン)だ。利回りは過去の投資信託の実質的な利回りを表し、今後の運用成績の参考になる。

リスクを取ってリターンを狙いたい人向けに、まずはアクティブ型投資信託の利回りランキングを紹介しよう。なお、特定の販売会社のみでの販売に限定した投資信託など、特殊な銘柄はランキングから除外している。

アクティブ型投資信託の利回り(トータルリターン)ランキングTOP10

モーニングスター社の投資信託の検索機能を利用して次の条件でアクティブ型投資信託の銘柄を絞り込み、ランキングを作成した。

投資信託 検索条件
項目 条件
決算頻度 半年ごと 1年ごと 運用コストを抑えるため決算頻度は少なめを選択
信託財産保留金
(信託財産留保額)
0.5%以下 信託財産留保額の負担が大きい投資信託を除外
ファンド種類 ETF・DC専用・
SMA専用を除く全ファンド
ETF(上場投資信託)、DC(確定拠出年金)専用、
SMA(ラップ口座)専用を除外
償還期間 10年以上 10年以上運用が継続される予定のものを選択
純資産総額 30億円以上 30億円以上のものを選択
(※筆者作成)

 

この検索条件で絞り込んだものを「トータルリターン3年」で降順に並び替えをした。信託報酬が高いものを除外するために信託報酬1.7%以下の銘柄を取り出したものが次のランキングだ(※データ取得日は2020年11月11日)。

利回り(トータルリターン)ランキングTOP10(アクティブ型投資信託)
順位 ファンド名 カテゴリー トータル
リターン
3年間
(年率)
信託報酬等
(税込)
1位 厳選ジャパン 国内小型グロース 29.19% 1.69%
2位 米国NASDAQ
オープンAコース
国際株式・北米 20.67% 1.69%
米国NASDAQ
オープンBコース
19.96% 1.69%
3位 ザ・2020ビジョン 国内中型グロース 15.35% 1.27%
4位 ファンド“メガ・テック” 国内中型グロース 13.90% 1.65%
5位 iTrustロボ 国際株式・グローバル
・含む日本
12.47% 1.46%
6位 農中<パートナーズ>
長期厳選投資おおぶね
国際株式・北米 11.15% 0.99%
7位 ダイワ・チャイナ・ファンド 国際株式・中国 10.98% 1.67%
8位 SBI 中小型成長株F ジェイネクスト
『愛称:jnext』
国内小型グロース 10.92% 1.65%
9位 JPM アジア株・アクティブ・オープン 国際株式・エマージング
・複数国
10.88% 1.68%
10位 JPM アジア株・成長株・ファンド 国際株式・エマージング
・複数国
10.73% 0.91%
(※MORNINGSTAR社ホームページより筆者作成)

 

アクティブ型投資信託の利回り(トータルリターン)ランキング上位5銘柄を解説しよう(※データは2020年10月30日時点)。

1位,厳選ジャパン……2020年4月から10月に基準価額が2倍以上へと急上昇

厳選ジャパンは国内に上場する20銘柄程度の株式を厳選して投資するファンドだ。経営者の質やビジョン、新しいビジネスモデルや付加価値の高い商品などを重視して成長が期待できる企業を選定している。構成株は小型株主体で、コロナ禍でも好調な情報・通信業の比率が高い(2020年10月末時点)。

2017年に運用開始してから初めの1年で40%程度のトータルリターンを得たものの、その後は2020年2月まで基準価額はほぼ横ばいであり特筆する点はなかった。2020年4月から10月のコロナ禍で基準価額が2倍以上へと急上昇したためにトータルリターンが高い結果になった。

2020年4月から10月にかけての基準価額の上昇が一時的なのか、もしくは今後も継続するのかに注目したい。

2位,米国NASDAQオープン Aコース・Bコース……NASDAQ銘柄の上昇を受け好調な銘柄

米国NASDAQオープンは米国のNASDAQ上場株式へ主に投資するファンドだ。投資方針は成長性・収益性・安定性を総合的に検討した銘柄に投資することである。

AコースとBコースの違いは、為替ヘッジありと為替ヘッジなしの違いだ。AコースとBコースはスイッチング(買い換え)が可能である(販売会社によってはスイッチング不可の場合あり)。AコースとBコースのリスク・リターンは、為替ヘッジがないBコースがリスク・リターンともに高い傾向にある。

米国NASDAQオープンは2000年11月運用開始であり、運用期間が長い。2000年から2009年頃まではベンチマークのNASDAQ総合指数がさえない動きをしていたため、このファンドも似たような値動きであった。

2010年ころからNASDAQ総合指数が上昇に転じ、米国NASDAQオープンも上昇傾向になっている。このファンドのトータルリターンが高いのは最近のNASDAQ銘柄の上昇が影響していると考えられるが、3年や1年の騰落率はこのファンドがNASDAQ総合指数を上回っている。

3位,ザ・2020ビジョン(ザ・トゥエンティー・トゥエンティー・ビジョン)……運用開始から基準価額が130%近く上昇

ザ・2020ビジョンは、日本の変化し始めた企業や変化にチャレンジする企業を中心に厳選して中長期で投資するファンドだ。厳選された投資銘柄は50ほどである。ファンド名の20-20visionには20フィート先まで見通せるという意味があり、これからの日本の変化を見通したいという心が込められているようだ。

株式と現金の比率をダイナミックにコントロールするのが特徴で、下落リスクが高いときには現金の比率を高めるように運用される。

2013年12月の運用開始から中長期での基準価額は右肩上がりだ。運用開始から基準価額は130%近く上昇しており、2019年12月決算期には運用開始後に初めて120円(1万口あたり)の分配金が支払われた。

4位,ファンド“メガ・テック”……コロナ禍で基準価額が上昇するが純資産総額は伸び悩み

ファンド“メガ・テック”は、今後の成長が期待できる産業でテクノロジー(技術力)と競争優位のある日本企業の株式に投資するファンドである。近年の注目産業は「情報通信」だ。日本のテクノロジーの優位性に関する例として、高機能化やデザイン、微細・精密加工などを挙げることができる。

銘柄の選択と運用は、国内外の経済や産業の動向に着目して企業の価値を判断するマクロ・アプローチと、企業の訪問・分析により投資価値を判断するボトムアップ・アプローチを組み合わせている。

運用開始は1999年12月と運用期間が長いファンドである。運用開始から2年ほどで基準価額が半額以下になり、2009年ころまで純資産総額の減少が続いた。

2013年ころから基準価額が上昇に転じ、コロナ禍でも大きく基準価額を伸ばしている。2013年ころからの基準価額の上昇に対して純資産総額があまり伸びていないことから、近年のトータルリターンの高さにしては注目度が低めのファンドといえる。

5位,iTrustロボ……2020年に入り基準価額が再び上昇

iTrustロボは日本を含む世界のロボティクス関連企業の株式に投資するファンドだ。各種ロボットの実用化は、ドローンや医療補助・介護、家事支援など非常に幅広い分野で急速に進んでいる。

投資する企業の国別構成比率は、2020年9月30日時点では米国が60%を超えており、ロボティクスでも米国企業の強さが目立つ。

運用開始の2016年2月から基準価額は順調に右肩上がりに上昇しており、良好な運用成績を残しているといえる。純資産総額は2017年に急激に上昇したものの2018年と2019年は減少に転じ、2020年は再び上昇しつつある。

4.インデックス型投資信託の利回り(トータルリターン)ランキングTOP10

投資初心者でも始めやすいインデックス型投資信託の利回り(トータルリターン)ランキングを紹介しよう。インデックス型投資信託のランキングは、モーニングスター社の投資信託の検索機能を利用して次の条件で銘柄を絞り込んだ。

投資信託 検索条件
項目 条件
インデックスファンド区分 インデックスファンドのみ インデックス型投資信託のみを選択
決算頻度 半年ごと 1年ごと 運用コストを抑えるため決算頻度は少なめを選択
信託財産保留金
(信託財産留保額)
0.5%以下 信託財産留保額の負担が大きい投資信託を除外
ファンド種類 ETF・DC専用・SMA専用を除
く全ファンド
ETF(上場投資信託)、DC(確定拠出年金)専用、
SMA(ラップ口座)専用を除外
償還期間 10年以上 10年以上運用が継続される予定のものを選択
純資産総額 30億円以上 30億円以上のものを選択
(※筆者作成)

 

この検索条件で絞り込んだものをトータルリターン3年で降順に並び替えをしたものが次のランキングだ(※データ取得日は2020年11月11日)。2位、3位、5位は、それぞれ同じインデックスに連動する投資信託のため2位にまとめ、上位7位までを解説する(※データは2020年10月30日時点)。

利回り(トータルリターン)ランキングTOP10(インデックス型)
順位 ファンド名 カテゴリー トータル
リターン
3年間
(年率)
信託報酬等
(税込)
1位 iシェアーズ ゴールドインデックス(H無) コモディティ 9.77% 0.51%
2位 iFreeS&P500インデックス 国際株式・北米 7.48% 0.25%
3位 米国株式インデックス・ファンド 国際株式・北米 7.31% 0.50%
4位 楽天・全米株式インデックス・ファンド
『愛称:楽天・バンガード・ファンド(全米株式)』
国際株式・北米 7.24% 0.16%
5位 iシェアーズ 米国株式インデックス 国際株式・北米 7.22% 0.41%
6位 野村 グローバルSRI100
『愛称:野村世界社会的責任投資』
国際株式・グローバル
・含む日本
6.30% 1.05%
7位 たわらノーロード 先進国株式<H有> 国際株式・グローバル
・除く日本
5.66% 0.22%
8位 野村 インデックスF・米国株式配当貴族・H型
『愛称:Funds-i Focus 米国株式配当貴族 為替H型』
国際株式・北米 5.32% 0.55%
9位 野村 インデックスF・外国株式・H型
『愛称:Funds-i 外国株式・為替ヘッジ型』
国際株式・グローバル
・除く日本
5.21% 0.61%
10位 野村 インデックスF・米国株式配当貴族
『愛称:Funds-i Focus 米国株式配当貴族』
国際株式・北米 4.63% 0.55%
(※MORNINGSTAR社ホームページより筆者作成)

 

1位……iシェアーズ ゴールドインデックス・ファンド(為替ヘッジなし) ……運用開始から純資産総額が順調に増加

iシェアーズ ゴールドインデックス・ファンドはLBMA金価格(円換算ベース)に連動を目指すファンドだ。LBMAとはロンドン貴金属市場協会を意味し、LBMA金価格はロンドン時間の午後に公表される金現物価格である。LBMA金価格に為替を乗じて算出した円の価格がこのファンドのベンチマークになる。

投資する資産は金現物や金現物を主要投資対象とするETF(上場投資信託)を含んでいる。このファンドのリスク・リターンは先進国国債と先進国株の間くらいだ。

2013年9月の運用開始から2018年までの基準価額は横ばいであったものの、2019年と2020年の上昇が大きかった。純資産総額は運用開始から順調に増加している。

2位,iFreeS&P500インデックス……長期投資で人気の低コストファンド

iFreeS&P500インデックスは米国の株価指数S&P500の値動きへの連動を目指すファンドだ。S&P500は米国の証券取引所に上場する主な約500社で構成されるインデックスである。S&P500指数は数十年の長期に渡って右肩上がりで伸びており、S&P500のインデックスファンドは長期投資などで人気だ。

3位の米国株式インデックス・ファンドと5位のiシェアーズ 米国株式インデックスも同じくS&P500のインデックスファンドのため、同じような値動きをする。

これらのファンドの信託報酬を比較すると、iFreeS&P500インデックスの信託報酬が最も低い。iFreeS&P500インデックスが0.25%、米国株式インデックス・ファンドが0.50%、iシェアーズ 米国株式インデックスが0.41%だ。純資産総額は3つのファンドとも上昇傾向であり、どれを選んでも問題なさそうだ。

3年のトータルリターンではこれらの投資信託がランキングに入ったが、運用開始してから3年以内で今回のランキング対象外のS&P500のインデックスファンドには信託報酬がより低いものがある。

投資信託は次々と信託報酬が低いものが生まれている。低コストのインデックスファンドを選ぶ際には、最近のものとも比較して決定したい。

4位,楽天・全米株式インデックス・ファンド……3年程度で純資産総額が1,300億円を超える人気ファンド

楽天・全米株式インデックス・ファンドは、バンガード社が運用する「バンガード・トータル・ストック・マーケットETF」を主要な投資対象として、米国株式市場の動きへの連動を目指すファンドだ。バンガード社とは世界最大級の運用会社であり、低コストが特徴でインデックス・ファンドの世界シェアがトップクラスである。

ベンチマークはCRSP USトータル・マーケット・インデックス(円換算ベース)であり、米国株式市場の投資可能銘柄のほぼ全てをカバーした株価指数だ。

バンガード・トータル・ストック・マーケットETF の2020年8月末時点での構成銘柄数はおよそ3,500である。S&P500のインデックスファンドと比べると銘柄数が多いことが分かる。

2017年9月の運用開始から純資産総額はきれいに右肩上がりに上昇しており、3年程度で1,300億円を超えるほど買われている人気のファンドである。

6位,野村 グローバルSRI100 『愛称:野村世界社会的責任投資』……運用成績は良好だが純資産総額は横ばい

野村 グローバルSRI100は、先進国の企業でESG(環境・社会・ガバナンス)選定基準を満たす時価総額上位100社へ投資するファンドだ。ファンド名の一部になっているSRIはSocially Responsible Investment(社会的責任投資)の略であり、社会的責任を果たすためESGへの取り組みが評価される企業への投資を意味する。ESG選定基準では、タバコや兵器の製造企業などが除外される。

2004年5月の運用開始から2012年あたりまでは基準価額の上昇や下落により良い運用成績を得られなかったが、2013年ころから上昇に転じて良好な運用成績を残している。

純資産総額は2014年からほぼ横ばいであり、運用成績に対してあまり注目されていないファンドといえる。

7位,たわらノーロード 先進国株式<為替ヘッジ有>……基準価額は3年で18%ほど上昇

たわらノーロード 先進国株式は、先進国の株式に投資するファンドであり、MSCIコクサイ・インデックス(円換算ベース、配当込み、為替ヘッジあり)への連動を目指す。

MSCIコクサイ・インデックスはMSCI社が提供する日本を除く先進国の株価動向を表す代表的な指数であり、市場規模が大きい米国の株式が3分の2ほどを占めている。対象銘柄は大型株・中型株約1,300が組み込まれている。

2016年10月の運用開始から純資産総額は右肩上がりで増加しており、人気がある銘柄といえる。基準価額は3年で18%ほど上昇している。

5.利回り(トータルリターン)の高い投資信託を購入するときの2つの注意点

利回りの高い投資信託は魅力だが、それらを選ぶには注意すべきことがある。2つの注意点を確認したい。

注意点1……トータルリターンは手数料や税金が差し引かれていない

トータルリターンは、投資信託の基準価額の上昇による売却益(キャピタルゲイン)と再投資された分配金(インカムゲイン)が含まれたリターンを表す。そのため、過去にどれだけのリターンを得られたかを把握するのにトータルリターンは便利だ。ただし、投資信託の取引から自分が得る利益は、トータルリターンの値そのままではない。

投資信託の解約時の手数料(信託財産留保額や換金手数料)は、一般的にトータルリターンに含まれているため、実際に解約して受け取る金額はトータルリターンから解約時の手数料分が減った金額になる。

また、トータルリターンは分配金や売却益から税金の差し引きなしで計算される。

課税口座で投資している場合には税金(通常は20.315%)の負担がある。分配金は課税された金額が再投資され、売却益にも課税される。課税口座では、実際の利回りはトータルリターンよりも低くなる。

トータルリターンは手数料や税金も考慮して利用したい。

注意点2……投資信託の分配金の種類を確認

投資信託の分配金には「普通分配金」と「特別分配金(元本払戻金)」の2種類がある。この2つはトータルリターンを考える上で意味が異なることに注意したい。

普通分配金は運用による利益の一部を投資家へ支払うものだ。投資家にとって普通分配金は所得になりプラスのトータルリターンの一部である。一方の特別分配金(元本払戻金)は元本の一部を投資家へ戻すものだ。投資家にとって特別分配金は資産の一部が戻ってくるだけで所得にはならず、トータルリターンには含まれない。

投資信託の分配金が特別分配金(元本払戻金)なら、分配金を多く受け取ってもトータルリターンが良くない可能性がある。分配金狙いで投資信託を選ぶ際には、分配金が普通分配金か特別分配金かを確認した上でトータルリターンを参考にしたい。分配金の種類は一般的に「取引履歴」や「分配金・分配金再投資のお知らせ」などで確認できる。

6.投資信託を探すならスクリーニングツールを活用

数多くの投資信託の中から自分が希望する銘柄を選ぶにはスクリーニングツールが便利だ。スクリーニングとは、さまざまな条件を設定して銘柄を絞り込むことである。そのツールをスクリーニングツールや検索ツールなどと呼ぶ。

投資信託選びのポイントで紹介した条件でスクリーニングをすることで、条件に適合する投資信託を絞り込める。スクリーニングの結果をトータルリターン順に並び替えが可能なツールも多い。

スクリーニングツールは投資信託の販売会社などがWebサイトで提供しているのが一般的だ。ツールを使いこなして自分の投資スタイルに合った投資信託を探してみよう。

 

松本雄一
執筆・松本雄一
外資系コンピューター会社にてカスタマーサポート・開発・セキュリティ対策などを経験後に独立。自らの投資経験をもとに株式や投資信託などの投資情報を発信している。興味のある分野はフィンテックや新しい金融商品など。
外資系コンピューター会社にてカスタマーサポート・開発・セキュリティ対策などを経験後に独立。自らの投資経験をもとに株式や投資信託などの投資情報を発信している。興味のある分野はフィンテックや新しい金融商品など。

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