つみたてNISA(積立NISA)の複利の効果とは?シミュレーションで解説

2020.6.14
投資
(写真=lovelyday12 /stock.adobe.com )
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つみたてNISAのメリットは長期投資による複利の効果にある。つみたてNISAでの複利効果はよく使われる用語だが、具体的な利益はイメージしにくいのではないだろうか。そこで、つみたてNISAの対象商品から見込める複利効果を試算してみよう。

つみたてNISA(積立NISA)の特徴とは

まずはつみたてNISAと一般NISAの違いや長期積立投資のメリット、つみたてNISAの対象商品の特徴についておさえておこう。

つみたてNISA(積立NISA)と一般NISAとの違い

つみたてNISAは一般NISAより4年遅れてスタートした少額投資非課税制度だ。一般NISAと同じく、つみたてNISAでは売買益や配当による利益が非課税になる。大きな違いは非課税期間が20年と長期であることと一括買い付けができず積立投資に限られることである。

一般NISAでは国内外株式や債券、REIT(不動産投資信託)など幅広い商品が対象となるが、つみたてNISAは基準を満たした投資信託とETF(上場投資信託)181本に限られる。つみたてNISAと一般NISAは併用ができない。

つみたてNISA(積立NISA)で長期積立投資をするメリット

積立投資とは、毎月一定額ずつ対象商品の買い付けを行う投資方法である。金融機関によって毎日や毎週のように期間を設定できるケースもある。一括で購入する場合はタイミングが問題となるが、少額ずつ買い付けるなら相場の変動に大きく左右されることもなく、リスクの時間的分散ができる。定額で購入することで安い時に多く買えるメリットもある。

つみたてNISA(積立NISA)の対象商品の特徴

つみたてNISAの対象商品はインデックス投信が大半を占める。インデックス投信とはベンチマークとなるインデックス(指標)があらかじめ設定されており、値動きはその指標に連動する。市場の動向から大きく外れることはないので、インデックス型の投資信託は初心者と相性が良いと言われる。なお、複数指標を基準とするファンドは「バランス型」と呼ばれる。

つみたてNISAは長期安定運用を目的としている。そのため手数料が高くなりすぎないよう、信託報酬はインデックス投信で国内株式は年0.5%以下、海外株式は年0.75%以下と定められている。それ以外にも売却や解約にかかる手数料は無料、信託期間は20年以上または無期限、毎月分配型ではないなど、分かりやすくコストが低めの商品が対象になる。

つみたてNISA(積立NISA)の複利効果とは

つみたてNISAのような長期投資のメリットとして「時間的分散効果」以外にも「複利の効果」が強調されることが多い。つみたてNISAでいう複利の効果とはどのようなものか。

リターンがリターンを生む

投資資金を運用して得られた利益が投資利益(リターン)だ。リターンを次の投資元本に加えることで、前回よりも大きいリターンを得られる。これがつみたてNISAの複利効果だ。

仮に元本100万円を年率5%で運用した場合、1年目の投資成果は5万円で、そのまま再投資に回されるため2年目の投資元本は105万円になる。複利の反対である単利の場合、投資成果は分配されるため、2年目の投資元本も100万円である。このため分配型投資信託は複利の効果が少ない。

お金が2倍に増える期間が分かる法則

投資資金を2倍にするのに必要な期間が分かる便利な法則がある。複利と単利ではその公式が異なる。

<複利の場合>
72÷金利=お金が2倍になる期間(年)

複利の場合、たとえば金利3%なら、元本が2倍になるのは24年後だ。金利6%なら12年で倍になる。10年で資金を倍にするために必要な金利は7.2%のように使うこともできる。

<単利の場合>
100÷金利=お金が2倍になる期間(年)

単利の場合の法則に当てはめると、10年で資金を倍にするには10%の金利が必要になる。複利よりも2.8%も高い利率でないと同じリターンは見込めない。単利は定期的に分配金や配当が受け取れるメリットがあるが、手持ち資産をふやしたいニーズには適さない。

つみたてNISA(積立NISA)における複利の効果

つみたてNISAで投資を行うとどのくらいの複利の効果が得られるのだろうか。まずは年率何%くらいのリターンがあるのかを知る必要がある。

主要インデックスの平均リターン

つみたてNISAの対象商品は1つの指標を指定するインデックス型投資信託が多くを占める。指標は国内でいえばTOPIX(東証株価指数)や日経平均株価(日経225)、海外ではグローバルが対象の「MSCI ACWI Index」や「FTSE Global All Cap Index」などだ。

海外でも先進国に限定した「S&P500」や「MSCI World Index」あるいは「FTSE Developed All Cap Index」、新興国に限定した「MSCI Emerging Markets Index」、「FTSE Emerging Index」などがある。これらの年率平均リターンは以下のようになっている。

主要インデックスのリターン(2020年4月時点)
カテゴリ インデックス名 年率平均リターン(%)
1年 5年 10年 15年 20年
日本株式 TOPIX トピックス
(配当込み)
-7.1 +0.9 +0.6 +6.3 +3.8
日本株式 日経平均株価 -9.3 +1.7 +0.7 +6.2 +4.1
外国株式
(全世界)
MSCI オール・カントリー・
ワールド・インデックス
(ACWI)
-5.9 +3.8 +2.8 +9 +6.9
外国株式
(先進国)
MSCI コクサイ・
インデックス
(KOKUSAI)
-5 +4.6 +3.6 +10.1 +7.3
S&P 500 (配当込み) -0.6 +7.8 +6.9 +13.2 +8.8
外国株式
(新興国)
MSCI エマージング・
マーケット・インデックス
-13 -0.2 -1.8 +3.2 +6.8
例えば年率平均リターンが5%なら、過去5年間の年間の投資収益率が平均して5%だったことを示す。2012年から2019年ごろまでは世界的に株価が好調だったため10年の平均リターンが高くなっているが、2020年に入ってからの収益はマイナスが多くなっている。

つみたてNISA(積立NISA)の運用成果をシミュレーション

つみたてNISAは年間の投資限度額の上限が40万円であり、月額にして約3万3,000円だ。それを最長非課税期間の20年間で積立投資をする場合、つみたてNISAの複利の効果はどの程度になるかシミュレーションした。

<TOPIXと同等の運用成果(年率1%)が得られるファンドの場合>
投資元本:792万円
運用収益:約84万4,000円
最終残高:約876万4,000円

<MSCI先進国国際と同等の運用成果(年率5%)が得られるファンドの場合>
投資元本:792万円
運用収益:約564万4,000円
最終残高:約1,356万4,000円

このように月額3万程度の投資でも、たった4%の違いが20年で大きな違いを生み出すのだ。これがつみたてNISAの複利の効果である。

本来運用収益には20%の税金が課せられることを考えると、つみたてNISAの非課税制度のありがたさもうかがえる。ただし上記では信託報酬手数料は考慮されていないので、実際の収益はもう少し目減りする。

つみたてNISA(積立NISA)の複利効果の落とし穴

無敵とも思われるつみたてNISAでの積立投資だが、複利効果も万能ではないことを述べておこう。

つみたてNISA(積立NISA)は長期投資が基本だが短期売買もできる

複利の効果は長期で行うことによって効力を発揮する。つみたてNISAの場合、月々の投資枠に上限があるため十分な投資元本を持つまでにある程度の時間が必要である。しかしつみたてNISAは良くも悪くも流動性が高く、いつでも売却できる仕組みとなっている。

思うような運用収益が出ないからといってすぐに売ったところで、つみたてNISAは売却したお金で別の投資信託を買うスイッチングはできない。イチから3万円ずつ積み立てる日々が始まるだけだ。つみたてNISAは長期投資を目的としながら、いつでも売却できる誘惑があるのは欠陥と言えなくもない。

つみたてNISA(積立NISA)で毎年一定のリターンを出すことは不可能

先ほどのシミュレーションからも分かるように、複利の効果は毎年1%や5%など一定したリターンを上げられることを前提としている。しかし実際の運用ではそのようなことはあり得ない。今年はマイナス5%、翌年はプラス2%といった上下の動きを繰り返すのが普通だ。どの期間を切り取るのかによって年率平均リターンは大きく違ってくる。

日経平均株価は2000年から2010年までの10年間で8,000円超も値を下げているが、2010年から2020年までの10年では1万3000円以上、値を上げている。下げ基調が長く続く場合は、つみたてNISAでのリスク分散や複利の効果も何の効力も発揮できない。

つみたてNISA(積立NISA)で複利の効果を最大化するポイント

つみたてNISAで複利の効果を最大化するには、10年20年の長期を見据えて目先の値動きに左右されないこと、リスクをできるだけおさえることがポイントになる。下方リスクの高い商品は複利の効果を著しく押し下げる。

かといって預貯金のようにリターンが期待できない商品でも複利の効果は望めない。つみたてNISAを利用するなら適切なリスクを取り、薄めのリターンを長期で再投資し続けられるように見定めることが重要だ。

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篠田わかな
執筆・篠田わかな
外資系経営コンサルティング会社にて製造・物流・小売部門のコンサルタントとして業務/システム改革プロジェクトに参画。退職後独学でFP技能士の資格を取得。開業して個人事業主となり、マネー・ビジネス分野の執筆、企業からの請負業務を手がける。
外資系経営コンサルティング会社にて製造・物流・小売部門のコンサルタントとして業務/システム改革プロジェクトに参画。退職後独学でFP技能士の資格を取得。開業して個人事業主となり、マネー・ビジネス分野の執筆、企業からの請負業務を手がける。
 
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