イデコ40代
(画像=MONEY TIMES編集部)

iDeCoを40代から始めるのは遅いと思っている人もいるかもしれないが、むしろ40代が始めどきだ。iDeCoの受給を60歳とした場合、通算10年以上の加入期間が必要になる。そのため50代では遅く、40代で始める必要がある。40代ならば収入も安定しており無理のない拠出が期待できるだろう。20年程度の運用期間もとれるので利回り次第で多くの運用益を確保でき、節税メリットも享受できる。

楽天証券でiDeCoを始める
(公式サイト)

iDeCo(イデコ)を40代から始めるのは遅いのか?

DeCo(イデコ)を40代から始めるのは遅いのか
(画像=MONEY TIMES編集部)
iDeCoを40代から始めるのは決して遅くありません。65歳まで加入できるため、40歳から始めれば25年間も積立ができます。45歳で始めても20年間です。その間、掛金の所得控除や運用益の非課税というメリットを受けられるのです。
國村 功志

さらに、受け取るときには公的年金や退職金と同じ控除を受けられるため、税負担を抑えて将来に向けた資産形成ができます。
國村功志(ファイナンシャル・プランナー)

以下に、40歳からiDeCoを始めた場合のシミュレーションと税制メリットの詳細を解説していこう。

iDeCo(イデコ)を40歳から始めると受け取り時にはいくらになる?

下記の条件で40歳からiDeCoを始めた場合、65歳のときには1,347万円にもなる可能性がある。

<iDeCoの運用シミュレーション条件1>
・企業年金のない会社員
・積立額(月額)は上限の2万3,000円
・40歳から65歳まで積立
・運用利回り5%
iDeCo(イデコ)を40代から始めるのは遅いのか
(画像=ろうきん「iDeCoシミュレーション」より引用)

このシミュレーションでは、積立元本は690万円、運用益は657万円程度になる。40歳から始めても資産形成に十分効果的ではないだろうか。

積立期間(25年)と運用利回り(5%)は変えずに、積立額などを変更したシミュレーション結果も確認してみよう。

<iDeCoの運用シミュレーション条件2>
・企業型DC(確定拠出年金)のみに加入している会社員
・積立額(月額)は上限の2万円
iDeCo(イデコ)を40代から始めるのは遅いのか
(画像=ろうきん「iDeCoシミュレーション」より引用)

条件2は上限額が2万円のため、運用結果は1,171万と少し少なくなった。しかし会社で企業型DCに加入しており、合計額は条件1を上回る可能性がある。

企業型DC(企業型確定拠出年金)とは、企業が掛金を毎月積み立て(拠出)し、従業員(加入者)が自ら年金資産の運用を行う制度です。
引用:投資信託協会『企業型DC(企業型確定拠出年金)ってなあに?-制度の概要-』

<iDeCoの運用シミュレーション条件3>
・DB(確定給付企業年金)と企業型DCに加入している会社員
・積立額(月額)は上限の1万2,000円
iDeCo(イデコ)を40代から始めるのは遅いのか
(画像=ろうきん「iDeCoシミュレーション」より引用)

条件3は積立額の上限が下がり1万2,000円のため、運用結果は703万円程度になった。ただし、この場合もDBと企業型DCに加入しているため、合計すれば1,000万円以上になってもおかしくはない。

事業主が従業員と給付の内容をあらかじめ約束し、高齢期において従業員がその内容に基づいた給付を受けることができる企業年金制度。給付内容があらかじめ定められることから、DB(Defined Benefit Plan)、「給付建て年金」とも呼ばれる。年金資産は一括して運用され、運用のリスクは企業が負う。
引用:企業年金連合会『確定給付企業年金(DB)』

iDeCoは老後のための資産形成にも最適

老後に不足する資金は、65歳以上の夫婦のみの無職世帯で、月に2万2,270円である(出典:総務省「家計調査年報(家計収支編)2022年(令和4年)平均結果の概要」)。

老後の平均的な収入は年金を含めて24万6,237円、支出は26万8,508円(非消費支出+消費支出)である。老後期間を20年間として計算すれば、不足額は約534万円、30年間では約802万円となる。
國村 功志

不足額は、通常の生活をするために最低限用意しておきたい金額です。上述の3つのシミュレーションではiDeCoのみ、もしくは企業年金との合算で1,000万円の資金が準備できる計算です。40代からでも十分間に合うため、資産形成手段の1つとしてiDeCoを検討してみよう。
國村功志(ファイナンシャル・プランナー)

iDeCo(イデコ)を40歳から始めたときに受けられる税制メリット

iDeCoの税制優遇は、拠出時(掛金の全額所得控除)、運用時(運用益の非課税)、受け取り時(受け取り時の控除)の3つです。このうち拠出時と運用時は、iDeCoの加入中に受けられる税制メリットです。

iDeCoに加入することでどれくらい税負担が軽減するのか、シミュレーションしてみよう(ろうきん「iDeCoシミュレーション」を使用)。

基本の条件は下記のとおり。

<基本条件>
・iDeCoに40歳から65歳まで加入
・年収800万円
・扶養配偶者なし(共働き)
・子供2人(10歳、9歳)

そのほかの条件は次のとおり。

<iDeCoの税優遇シミュレーション条件1>
・企業年金のない会社員
・積立額(月額)は上限の2万3,000円
・運用利回り5%

<条件1のシミュレーション結果>
税負担の軽減額
拠出時 約198万円
運用時 約132万円
合計 約330万円
出典:ろうきん「iDeCoシミュレーション」を元に作成

このシミュレーションでは、掛金の全額所得控除によって受けられるメリットは198万円にもなります。運用益に本来かかる税金132万円も非課税です。合計の軽減額は330万円です。
拠出時の税制メリットとは

掛金の全額所得控除のこと。具体的には所得税と住民税の優遇を指す。拠出時の掛金は、所得から控除されるので、その分税金の負担が減る。

運用時の税制メリットとは

運用益が非課税になること。例えば運用益が100万円、税率が20.315%の場合には税金は20万3,150円かかる。iDeCoで運用すると、この税金がかからない。

もちろん年収や掛金の変化、iDeCo以外の控除などによって軽減額は変わる。あくまでシミュレーションであり、目安として考えよう。

では積立金額を変えて別のシミュレーションもしてみよう。

<iDeCoの税優遇シミュレーション条件2>
・企業型DCのみに加入している会社員
・積立額(月額)は上限の2万円

<条件2のシミュレーション結果>
税負担の軽減額
拠出時 約172万円
運用時 約115万円
合計 約287万円
出典:ろうきん「iDeCoシミュレーション」を元に作成

条件2は、条件1より積立額が少ないため、税制メリットも多少小さくなった。しかし税負担の軽減額は拠出時の約172万円、運用時の約115万円を合わせて約287万円にもなる。

<iDeCoの税優遇シミュレーション条件3>
・DB(確定給付企業年金)と企業型DCに加入している会社員
・積立額(月額)は上限の1万2,000円

<条件3のシミュレーション結果>
税負担の軽減額
拠出時 約104万円
運用時 約69万円
合計 約172万円
出典:ろうきん「iDeCoシミュレーション」を元に作成

条件3では、拠出時は約104万円、運用時は約69万円、合計で約172万円の税制メリットがある。積立額が少なくなれば税金の軽減額も小さくなるが、加入を検討するには十分なメリットではないだろうか。

iDeCo(イデコ)を40代から始める際に気をつけるべきこと

iDeCo(イデコ)を40代から始めるのは遅いのか
(画像=MONEY TIMES編集部)

iDeCoを40代から始める場合、次のことに気をつけよう。

それぞれ詳しくみていこう。

iDeCo以外の運用も検討する

より豊かな老後生活を送りたい場合、iDeCo以外の運用も検討したほうがいいでしょう。例えば、老後資金とiDeCoの運用益にギャップがある場合には、NISAを活用したり、通常口座などでの投資も検討してみましょう。

先ほど紹介した夫婦2人の老後生活費の不足額は、20年間で約534万、30年間で約802万円だった。iDeCoの運用だけでもまかなえそうな金額だが、ゆとりある老後生活を目指す場合は、これだけでは足りない可能性がある。

生命保険文化センターの意識調査では、一般的な認識として、ゆとりある老後に必要な生活費の平均は月額37万9,000円だった。
出典:生命保険文化センター「生活保障に関する調査/2022(令和4)年度」

夫婦2人の平均的な老後支出額は24万6,237円なので、37万9,000円を引くと、ゆとりある老後生活を送るためには月額13万2,763円が不足することになる。

では老後20年間と30年間でいくら不足するのだろうか。

<ゆとりある老後生活に不足する金額>
・20年間:13万2,763円×12ヵ月×20年間=約3,186万円
・30年間:13万2,763円×12ヵ月×30年間=約4,780万円
國村 功志

ゆとりある老後の生活費は、20年間で約3,186万円、30年間で4,780万円が足りない計算になります。仮にiDeCoだけで1,000万円を用意できたとしても、2,186〜3,780万円が不足します。
國村功志(ファイナンシャル・プランナー)

しかし退職金も考慮すると実際に用意する金額はもう少し少ないだろう。退職金は会社の規模や勤続年数、給与水準などによって異なるが、平均的な退職金額は次のとおりである。

<大企業の平均退職金額(男性)>
勤続25年 勤続30年 勤続35年 満勤勤続(定年)
大学卒 約1,518万円 約1,667万円 約1,903万円 約2,230万円
出典:厚生労働省(中央労働委員会)「令和3年賃金事情等総合調査」を元に作成

上記データは「資本金5億円以上かつ労働者1,000人以上」の会社が対象のため、いわゆる大企業の平均額だ。中小企業の平均的な退職金もみてみよう。

<中小企業の平均退職金額(モデル退職金)>
勤続20年 勤続25年 勤続30年 定年
大学卒 約343万円 約491万円 約654万円 約1,092万円
出典:東京都産業労働局「中小企業の賃金・退職金事情(令和4年版)」を元に作成

上記の退職金をゆとりある老後生活から差し引くと、iDeCo以外で準備すべきおおよその金額がわかる。

例えばiDeCoで1,000万円用意し、退職金は勤続30年分を受け取るとしよう。老後期間を30年間とすれば、iDeCo以外で準備すべき金額は以下のように計算できる。

<iDeCo以外で準備すべきゆとりある老後生活費>
・大企業:4,780万円−1,000万円−1,667万円=2,113万円
・中小企業:4,780万円−1,000万円−654万円=3,126万円

上記の金額は夫婦2人分の不足額に対して1人分のiDeCoと退職金で計算しているため、配偶者もiDeCoに加入したり、働いていたりする場合、実際の準備額はもっと少ないだろう。

しかしiDeCoだけではゆとりある老後生活費をまかなえない可能性があるため、それ以外の運用を行うことも検討してみよう。

企業型年金の加入状況を確認する(加入可否や掛金の上限が変わる)

iDeCoは国民年金の被保険者、かつ年齢要件を満たせば、原則誰でも加入できます。ただし、加入できないケースや掛金の上限額が違う場合があるので、勤め先に確認しましょう。

<加入資格ごとの年齢要件と掛金>
加入資格(被保険者区分) 加入可否 年齢 掛金の上限額
自営業者
(第1号)
60歳未満
(*1)
月額6万8,000円
(*2)
企業年金のない会社員
(第2号)
65歳未満 月額2万3,000円
企業型DCのみに
加入する会社員 (第2号)
65歳未満 月額2万円
(*3)
DBと企業型DCに
加入する会社員 (第2号)
65歳未満 月額1万2,000円
(*4)
DBのみに
加入する会社員 (第2号)
65歳未満 月額1万2,000円
公務員
(第2号)
65歳未満 月額1万2,000円
専業主婦(主夫)
(第3号)
60歳未満
(*1)
月額2万3,000円
(*1)納付済期間が480月未満の場合、任意加入被保険者として65歳まで加入可能
(*2)国民年金基金の掛金・国民年金の付加保険料との合算枠
(*3)企業型DCの事業主掛金と合算で5万5,000円まで
(*4)企業型DCの事業主掛金と合算で2万7,500円まで
出典:iDeCo公式サイトを元に作成

自営業者や専業主婦(主夫)は国民年金のみの被保険者のため、60歳になるまでは加入できる。ただし保険料の納付済期間が480月(40年)に達していない場合は、任意加入被保険者となり65歳まで引き続き加入する選択肢も取れる。

任意加入とは
60歳以上で国民年金の納付済期間が480月(40年)に達していない場合に、希望して60歳以上も国民年金に加入できる制度のこと。

会社員の場合は、企業型DCに加入する人はiDeCoに入れないケースがある。加入するためには以下の条件をクリアしなければならない。

<企業型DCとiDeCoを併用できる条件>
1. 企業型DCの事業主掛金とiDeCoの掛金が各月拠出になっている
2. 企業型DCのマッチング拠出を利用していない

企業型DCの事業主掛金とiDeCoの掛金は、どちらも数ヵ月分まとめて拠出できる。しかし両方を併用するためには、どちらの掛金も毎月拠出することが条件になっている。

もう1つの条件は、企業型DCでマッチング拠出をしていないことだ。

マッチング拠出とは
企業型DCの事業主掛金に加えて、加入者が掛金を上乗せすること。

國村 功志

要するに企業型DCで加入者本人も掛金を出している場合、iDeCoには加入できないということです。
國村功志(ファイナンシャル・プランナー)

上記の会社員のケース以外なら、基本的には誰でもiDeCoに加入できる。

運用益の受け取り方や時期について考えておく

iDeCoは「個人型確定拠出年金」ともいい、年金の一種のため、将来の受取額が一定金額以上になると税金が発生します。税金を抑えて受け取るためには、受け取り方や時期を工夫する必要があります。
そもそもiDeCoの受け取り方は、年金か一時金の2種類があります。年金の場合は公的年金等控除、一時金の場合は退職所得控除が適用され、一定の金額までは税金がかかりません。

<各種控除で非課税になる範囲>
65歳未満 65歳以上
公的年金等控除(*1) 年間60万円以下 年間110万円以下
退職所得控除(*2)(*3) 勤続年数20年以下
40万円×勤続年数
勤続年数20年超
800万円+70万円×(勤続年数−20年)
(*1)公的年金以外の所得が1,000万円以下の場合
(*2)勤続年数の年未満の部分は切り上げて計算
(*3)iDeCoの計算では勤続年数を積立期間に置き換える
出典:国税庁の公式サイトを元に作成

上記の範囲に収まればiDeCoの受け取り時に税金はかからない。しかし公的年金等控除の場合は国民年金や厚生年金の受取額と合算し、退職所得控除の場合は会社の退職金と合算して計算する。

國村 功志

このため控除があるとはいえ、一定金額以上の受取額は税金の対象になります。ここで問題になりやすいのが退職所得控除です。
國村功志(ファイナンシャル・プランナー)

例えば勤続年数30年、iDeCoの積立期間25年の人が、65歳の退職時に退職金とiDeCoの一時金の両方を受け取る場合、控除額は次のとおり計算する。

<退職所得控除額の計算例>
800万円+70万円×(30年−20年)=1,500万円

同じ年に退職金とiDeCoを受け取った場合、勤続年数は長いほうが優先されるため、このケースでは1,500万円が非課税枠となる。

つまり、退職金とiDeCoの合計額で1,500万円を超える部分には税金がかかるということである。退職金や運用益がそれなりにある人なら、非課税枠に収まらない可能性も十分あるだろう。

このようなケースを避けてなるべく税金を抑えるには、iDeCoを60歳で先に受け取り、退職金は定年時の65歳以降に受け取るとよいでしょう。そうすることで、それぞれ独立して退職所得控除を満額利用できるため、最大限税金を抑えて退職金とiDeCoを受け取れます。
<受取時期と退職所得控除の関係>
60歳 61歳 62歳 63歳 64歳 65歳
受け取り iDeCo 退職金
退職所得控除 満額 満額

これは退職所得控除の5年ルールと呼ばれるものだ。退職金を受け取った年から5年間空けて再び退職金を受け取ると、2回目も退職所得控除を制限なく利用できるというルールである。
出典:国税庁『No.2732 退職手当等に対する源泉徴収』

5年経過せずに退職金を受け取った場合は、勤続年数の重複期間を除外して退職所得控除を計算しなければならないため、2回目は一部しか適用されず控除額は減ってしまう。

<受取時期と退職所得控除の関係>
60歳 61歳 62歳 63歳 64歳 65歳
受け取り iDeCo 退職金
退職所得控除 一部 一部

ただし退職金を先に受け取る場合、iDeCoの一時金は20年間空けてから受け取らなければ、退職所得控除の制限を受けるというルールもある。

國村 功志

受け取る順番と時期が違うだけで支払う税金に大きな差が生まれるため、将来どのように受け取るかはあらかじめ考えておきましょう。
國村功志(ファイナンシャル・プランナー)

ライフステージの変化に備えて減額・停止手続きのことも知っておく

iDeCoの積立は、必ずしも同じ金額を続けられるとは限りません。ライフステージの変化によって積立額の減額や停止を検討するケースもあるでしょう。その場合に備えて、減額・停止の手続き方法を知っておきましょう。

40代になると、子供の進学で教育費の負担が増えたり、マイホームを購入したりする場合もある。早ければ親の介護や相続が発生する人もいるだろう。

例えば子供の教育費は、進学するにつれて高くなる傾向がある。

<入学から卒業までの平均学習費総額>
公立 私立
中学校(*1) 約162万円 約431万円
高等学校(*1) 約154万円 約316万円
大学 約243万円(*2) 約469万円
(*1)学校外活動に支出した費用を含む
(*2)国立大学の費用
出典:文部科学省「令和3年度子供の学習費調査」「私立大学等の令和3年度入学者に係る学生納付金等調査結果について」を元に作成

中学校からすべて公立の場合、教育費の平均的な総額は約560万円になる。すべて私立だとすれば、約1,220万円である。

こうした費用はあらかじめ用意しておいた貯蓄や毎月の収入などから捻出していきたい。しかし子供が複数いたり、ほかのライフイベントが重なったりすることで出費がかさみ、家計を見直さなければならないこともあるだろう。

その際、iDeCoの掛金を一時的に減額や停止することは選択肢の1つになる。手続きは以下の書類を提出するだけだ。

・加入者掛金額変更届(変更)
・加入者資格喪失届(停止)

掛金の変更 掛金の停止
提出書類 加入者掛金額変更届 加入者資格喪失届
※筆者作成

まず掛金の減額(変更)は、1年(12月分の掛金から翌年11月分の掛金)に1回のみできる。変更する場合は、金融機関から「加入者掛金額変更届」を取り寄せ提出すればよい。

<加入者掛金額変更届の見本>

iDeCo(イデコ)を40代から始めるのは遅いのか
(画像=iDeCo公式サイトより引用)
國村 功志

変更は1,000円単位ででき、最低金額は5,000円です。5,000円よりも少なくしたい場合は、停止の手続きが必要です。
國村功志(ファイナンシャル・プランナー)

掛金を停止するためには、iDeCoの加入者ではなく運用指図者になる必要があります。

運用指図者とは
iDeCoや企業型DCにおいて、掛金の積立を行わず、運用のみを行う人のこと。

手続き方法は、金融機関から「加入者資格喪失届」を取り寄せ提出するだけだ。

<加入者資格喪失届の見本>

iDeCo(イデコ)を40代から始めるのは遅いのか
(画像=iDeCo公式サイトより引用)

運用指図者から加入者に戻りたいときは、新規のときと同様に再度加入手続きが必要になる。

いずれの手続きも完了するまでに1〜2ヵ月かかるため、少し余裕を持って提出しよう。

iDeCo(イデコ)を40代から始める際の金融機関選び

iDeCo(イデコ)を40代から始めるのは遅いのか  初心者におすすめの金融機関や商品、メリット・デメリットは?
(画像=MONEY TIMES編集部)

金融機関を決める際のポイントは、以下の2つだ。

iDeCoは、利用する金融機関によって手数料や購入できる金融商品が異なります。iDeCo口座を開設できる金融機関は、1人1つだけです。
國村 功志

iDeCoの金融機関を変更する場合は手数料が必要で、期間は2〜3ヵ月程度かかります。そのため、最初の金融機関選びが重要です。
國村功志(ファイナンシャル・プランナー)

iDeCo(イデコ)にかかるコストが低い

イデコの金融機関選びのポイント.jpg
(画像=MONEY TIMES編集部)

iDeCoの手数料は、共通の部分と金融機関ごとに異なる部分がある。

共通しているのは加入時手数料で、最初に1回のみかかります。金融機関ごとに異なるのは運用中の口座管理手数料で、毎月の掛金から引かれていきます。

各社の手数料は以下のとおりだ。

金融機関14社の手数料一覧
金融機関 加入時手数料 運用期間中の手数料
掛金を拠出する場合 掛金を拠出しない場合
SBI証券 2,829円 171円 66円
楽天証券 2,829円 171円 66円
マネックス証券 2,829円 171円 66円
松井証券 2,829円 171円 66円
auカブコム証券 2,829円 171円 66円
野村證券 2,829円 171円 66円
大和証券 2,829円 171円> 66円>
イオン銀行 2,829円 171円 66円
ソニー銀行(*1) 2,829円 171円 66円
auじぶん銀行 2,829円 171円 66円
三菱UFJ銀行(*2) 2,829円 556円 423円
三菱UFJ銀行(*2) 2,829円 431円 326円
三井住友銀行(*3) 2,829円 431円 326円
三井住友銀行(*3) 2,829円 171円 66円
みずほ銀行(*1) 2,829円 171円 66円
ゆうちょ銀行 2,829円 430円 325円
(*1)残高50万円以上など条件を満たした場合
(*2)上段は標準コース、下段はライトコースの手数料
(*3)上段は標準コース、下段はみらいプロジェクトコースの手数料
出典:SBI証券楽天証券マネックス証券松井証券野村證券大和証券イオン銀行ソニー銀行auじぶん銀行三菱UFJ銀行三井住友銀行みずほ銀行ゆうちょ銀行の公式サイトより筆者作成(2023年7月5日現在)

iDeCoの口座管理手数料は、積立を行う場合、月額171円が最安水準だ。運用のみ行う場合は66円である。

仮に、40歳から60歳まで(機関を単純に240ヶ月とする)毎月掛金を拠出する場合、月171円の金融機関ならかかるコストは40,140円。それに対して口座管理手数料が最も高いケースでは133,340円にもなる。

國村 功志

一度加入すると60歳以降の受け取りのタイミングまで手数料がかかるため、なるべく安い金融機関を選びましょう。
國村功志(ファイナンシャル・プランナー)

iDeCoおすすめ金融機関ランキングはこちら

iDeCo(イデコ)で運用できる商品のラインアップが充実している

イデコの金融機関選びのポイント2.jpg
(画像=イデコ金融機関選びのポイント2.jpg)

iDeCoで運用できる商品は、金融機関によって異なる。多くの金融機関では、利用者が選びやすいように商品を10~40本程度に絞り込んでいる。

金融機関を比較する際は、商品ラインアップを確認したい。商品数が多ければよいわけではなく、各資産クラスに適切な商品が用意されることが重要だ。iDeCoを取り扱っている14社の商品本数を比較してみよう。

金融機関14社の商品本数比較
金融機関 金融商品の分類
株式 債券 REIT バランス コモディティ ターゲット
イヤー
元本確保
SBI証券 21 5 2 4 1 4 1
楽天証券 13 6 3 5 1 3 1
マネックス
証券
15 4 3 3 1 0 1
松井証券 14 7 4 1 2 11 1
auカブコム証券 9 3 2 5 1 6 1
野村證券 12 4 2 2 0 8 1
大和証券 12 4 2 3 0 0 1
イオン銀行 8 4 2 2 1 6 1
ソニー銀行 10 3 2 5 1 6 0
auじぶん銀行 10 4 2 4 1 0 1
三菱UFJ銀行(*1) 6 2 1 7 0 8 7
三菱UFJ銀行(*2) 2 2 2 2 0 0 2
三井住友銀行(*1) 11 3 1 11 1 0 2
三井住友銀行(*3) 18 0 0 5 1 0 0
みずほ銀行 11 3 2 8 0 6 1
ゆうちょ銀行 7 4 2 9 0 4 8
(1)標準コース
(
2)ライトコース
(*3)みらいプロジェクトコース
出典:SBI証券楽天証券マネックス証券松井証券野村證券大和証券イオン銀行ソニー銀行auじぶん銀行三菱UFJ銀行三井住友銀行みずほ銀行ゆうちょ銀行の公式サイトより筆者作成(2023年7月5日現在)

いずれの金融機関も商品の取り扱いバランスはそれほど変わらないが、取扱数はネット証券が多い傾向にある。特にSBI証券や松井証券は40本を超える。取扱商品数で比較した表が下記だ。

<iDeCoの取扱商品数>
金融機関名 本数
SBI証券 38
楽天証券 32
マネックス証券 27
松井証券 40
auカブコム証券 27
野村證券 29
大和証券 22
イオン銀行 24
ソニー銀行 27
auじぶん銀行 22
三菱UFJ銀行(標準コース) 31
三井住友銀行(標準コース) 29
みずほ銀行 31
ゆうちょ銀行 34

ただし数だけで選ぶのではなく、購入したいものがあるかを事前に確認して口座開設を検討しよう。

iDeCoおすすめ金融機関ランキングはこちら

iDeCo(イデコ)のおすすめ金融機関ランキングTOP5

イデコのおすすめ証券会社ランキング.jpg
(画像=MONEY TIMES編集部)

iDeCoの口座管理手数料と商品ラインアップから考えた場合、ネット証券で口座開設するのがおすすめである。

おすすめ金融機関ランキングTOP5

上記の5社は、iDeCoの手数料が最安水準であり、商品数も豊富だ。各社のメリットやデメリットを見ていこう。

iDeCoおすすめ金融機関ランキング
証券会社名 加入時手数料 口座管理手数料
(掛金拠出者)
商品数 おすすめポイント
1 マネックス
証券
2,829円 171円 27 顧客満足度4年連続
No.1
2 SBI証券 2,829円 171円 38 株式ファンドの
ラインアップが豊富
3 楽天証券 2,829円 171円 32 証券口座とiDeCo口座を
まとめて管理できる
4 松井証券 2,829円 171円 40 低コストファンド
が充実
5 auカブコム証券 2,829円 171円 27 Pontaポイントの
還元がある
マネックス証券SBI証券楽天証券松井証券の公式サイトより筆者作成(2023年7月5日現在)

マネックス証券――顧客満足度が4年連続で総合第1位

マネックス証券
(画像=マネックス証券より引用)

加入時手数料 2,829円
口座管理手数料(掛金拠出あり) 171円
口座管理手数料(掛金拠出なし) 66円
商品数 27
出典:マネックス証券の公式サイトを元に作成(2023年7月5日現在)

マネックス証券のiDeCoは、高い顧客満足度を獲得しています。オリコン顧客満足度ランキングでは、2020年の開始以来、「iDeCo 証券会社」において4年連続で総合第1位です。
マネックス証券
(画像=マネックス証券より引用)

特に初めての人からの評価が高く、2023年度の投資経験別部門では、「初心者」の満足度が1位だった。そのほか、「申込み手続き」「取扱商品」「情報提供」でも1位になっている。

國村 功志

顧客に寄り添ってサービスを提供していることがうかがえるため、これからiDeCoを始める人は検討してみましょう。
國村功志(ファイナンシャル・プランナー)

一方、マネックス証券のiDeCoは、ネット証券の中ではターゲットイヤー型を含めたバランスファンドが少ない。

バランス型ファンドとは
複数の資産や地域にバランス良く投資する投資信託のこと。株式・債券、国内・海外・先進国などに分散投資することでリスクを抑える。
ターゲットイヤー型とは
商品ごとにあらかじめ目標とする年(ターゲットイヤー)が決まっており、ゴールに向けて資産配分を自動で徐々に低リスクに切り替えていく投資信託のこと。

証券会社 バランス ターゲットイヤー
マネックス証券 3 0
SBI証券 4 4
楽天証券 5 3
松井証券 1 11
auカブコム証券 4 3
出典:マネックス証券SBI証券楽天証券松井証券auカブコム証券の公式サイトを元に作成

マネックス証券はターゲットイヤー型が0本であり、全体の商品数が少ない原因ともいえる。

iDeCoの取扱商品数
・マネックス証券:27本
・松井証券:40本
・SBI証券:38本
國村 功志

バランス型を購入せず、自分で投資先を選ぶなら問題ないでしょう。
國村功志(ファイナンシャル・プランナー)

マネックス証券の詳細はこちら

SBI証券――株式ファンドの種類が豊富

SBI証券
(画像=SBI証券より引用)

加入時手数料 2,829円
口座管理手数料(掛金拠出あり) 171円
口座管理手数料(掛金拠出なし) 66円
商品数 38
出典:SBI証券の公式サイトを元に作成(2023年7月5日現在)

SBI証券のiDeCoは、株式で運用する投資信託のラインアップが豊富です。他社よりも多い21本で、ネット証券5社の中で最多です。内訳は、インデックスファンド11本で、アクティブファンド10本なのでバランスが良いのも特徴です。

証券会社 株式ファンド数 インデックス アクティブ
SBI証券 21 11 10
楽天証券 13 6 7
マネックス証券 15 9 6
松井証券 14 13 1
auカブコム証券 9 4 5
出典:SBI証券楽天証券マネックス証券松井証券auカブコム証券の公式サイトを元に作成

インデックスファンドとは
日経平均株価、トピックス、S&P500など、特定の指数に連動した投資成果を目指す投資信託のこと。アクティブファンドよりも手数料が安い特徴がある。
アクティブファンドとは
インデックスファンドを上回る投資成果を目指す投資信託のこと。ファンドマネジャーが運用や銘柄の選定を行うため、インデックスファンドよりも手数料が高い特徴がある。
國村 功志

SBI証券は低コスト運用と積極的な運用のどちらにも対応しやすいため、運用方針が定まっていない人やインデックスとアクティブ両方に投資したい人に向いているでしょう。
國村功志(ファイナンシャル・プランナー)

ただし、SBI証券は他社と比べると、iDeCoを年金で受け取るときの選択肢が少ない点には注意が必要です。

iDeCoの運用資産は通常は一時金か年金で受け取れ、年金の場合は希望する受取期間と年間受取回数を指定する。指定できる内容は、金融機関によって違いがある。

証券会社 受取期間 年間受取回数
SBI証券 5年、10年、15年、20年 1回、2回、4回、6回
楽天証券 5〜20年から選択 1回、2回、3回、4回、6回、12回
マネックス証券 5〜20年から選択 1回、2回、3回、4回、6回、12回
松井証券 記載なし 記載なし
auカブコム証券 記載なし 記載なし
出典:SBI証券楽天証券マネックス証券の公式サイト

楽天証券やマネックス証券は受取期間を5〜20年の範囲で自由に選択できるのに対し、SBI証券は5年刻みとなっている。受取回数も選択肢が少ない。

仮に40歳でiDeCoを始めると受け取りを開始するのは20年以上先になる。どのような生活状況か予想しにくいため、受け取り方は柔軟に選択できるほうが安心だろう。

なお、SBI証券、楽天証券、マネックス証券は一時金と年金受け取りの併用もできる。60歳を期にリフォームなどを行う予定があり、かつその後の生活にも余裕が必要な人には、受け取り方法の併用ができる金融機関がおすすめだ。

SBI証券の詳細はこちら

楽天証券――証券口座とiDeCo口座を1つのIDで管理できて便利

楽天証券 iDeco
(※楽天証券より引用)

加入時手数料 2,829円
口座管理手数料(掛金拠出あり) 171円
口座管理手数料(掛金拠出なし) 66円
商品数 32
出典:楽天証券の公式サイトを元に作成(2023年7月5日現在)

楽天証券のiDeCoは、証券口座と同じIDでまとめて資産状況を管理できて便利です。
國村 功志

一般的には証券口座とiDeCo口座のサイトは別々に管理されているため、違うIDでログインします。しかし楽天証券はその必要がなく、サイト内で掛金の比率や商品の変更もスムーズにできます。
國村功志(ファイナンシャル・プランナー)

楽天証券
(画像=楽天証券より引用)

上図のように、楽天証券のサイト上部のメニューから株式投資やNISA、iDeCoなどあらゆるサービスにアクセスできる。

ただし、楽天ポイントを期待して楽天証券のiDeCoを検討する人もいるかもしれませんが、残念ながら、iDeCoに加入しても楽天ポイントの還元はありません。

楽天ポイントを獲得したいなら、通常の証券口座で取引しよう。例えば以下の取引が対象になっている。

対象取引 主な条件 楽天ポイント
投資信託の買付 月合計3万円以上の買付
(うち1ポイント以上のポイント投資)
楽天市場でポイント+0.5倍
米国株式の
円貨決済
月合計3万円買付
(うち1ポイント以上のポイント投資
楽天市場でポイント+0.5倍
投信積立 楽天カード決済で投資信託を積立 通常カードは0.5%
ゴールドカードは0.75%
プレミアムカードは1.0%
投資信託保有 月末時点で一定の
保有残高を達成
最大500ポイント
投資信託
以外の取引
日本株(現物・信用)
米国株、中国株、アセアン株
先物・オプション取引
海外先物
金・プラチナ
取引手数料の1%
出典:楽天証券の公式サイトを元に作成

iDeCo以外でも投資をして楽天ポイントを貯めたい人は口座開設を検討してみよう。

松井証券――低コストのインデックス投信を多く取り揃える

松井証券 ideco
(画像=松井証券 ideco)

加入時手数料 2,829円
口座管理手数料(掛金拠出あり) 171円
口座管理手数料(掛金拠出なし) 66円
商品数 40
出典:松井証券の公式サイトを元に作成(2023年7月5日現在)

松井証券のiDeCoは、口座管理手数料が安いだけではなく、低コストファンドの取扱数も多い。例えば、低コストで人気のeMAXIS Slimシリーズの取扱数が豊富です。

eMAXIS Slimシリーズの取扱数をネット証券5社で比べてみよう。

証券会社 取り扱いのあるeMAXIS Slim(投資対象別)
株式 債券 リート バランス
松井証券 8 2 2 1
SBI証券 5 2 0 1
楽天証券 0 0 0 0
マネックス証券 4 1 0 1
auカブコム証券 0 0 0 0
出典:松井証券SBI証券楽天証券マネックス証券auカブコム証券の公式サイトを元に作成(2023年7月5日現在)

eMAXIS Slimシリーズは合計13本あり、松井証券はすべてラインアップしている。さらに、松井証券だけ唯一リートの取り扱いもある。

國村 功志

低コストファンドで運用したい人には、選択肢が多くておすすめです。
國村功志(ファイナンシャル・プランナー)

一方で、低コストのインデックスファンドの取り扱いは多いが、アクティブファンドはほとんどない点は注意が必要です。

証券会社 アクティブファンド
株式 債券 リート バランス
松井証券 1 0 0 0
SBI証券 10 1 0 3
楽天証券 6 2 1 4
マネックス証券 6 0 0 2
auカブコム証券 5 0 0 3
出典:松井証券SBI証券楽天証券マネックス証券auカブコム証券の公式サイトを元に作成(2023年7月5日現在)

松井証券のアクティブファンドは、株式で運用する1本しかなく、積極的に運用したい人には不向きである。

松井証券の詳細はこちら

auカブコム証券…対象の投資信託購入でPontaポイント還元

auカブコム証券
(画像=auカブコム証券より引用)

加入時手数料 2,829円
口座管理手数料(掛金拠出あり) 171円
口座管理手数料(掛金拠出なし) 66円
商品数 27
出典:auカブコム証券の公式サイトを元に作成(2023年7月5日現在)

auカブコム証券のiDeCoは、au IDに登録すれば、対象の投資信託の保有残高に応じてPontaポイントが貯まります。
au IDとは

au IDに登録するとKDDIのさまざまなサービスを1つのIDで利用できる。auと通信契約を結んでいない人でも無料で登録できる。

ポイント還元の対象になる投資信託は以下の4つだ。

ポイント還元の対象ファンド 還元率
auスマート・ベーシック(安定) 0.005%
auスマート・ベーシック(安定成長) 0.005%
auスマート・プライム(成長) 0.05%(残高100万円未満)(*)
auスマート・プライム(高成長) 0.05%(残高100万円未満)(*)
(*)100万円以上3,000万円未満は0.12%、3,000万円以上は0.24%
出典:auカブコム証券の公式サイトを元に作成

一方、auカブコム証券のiDeCoは、投資信託の信託報酬がネット証券の中では若干高い傾向にあります。

例えば日本株(日経平均)、先進国株、新興国株の投資信託を比較してみよう。

証券会社 日本株 先進国株 新興国株
auカブコム証券 0.198% 0.22% 0.374%
SBI証券 0.143% 0.09889% 0.1859%
楽天証券 0.143% 0.09889% 0.374%
マネックス証券 0.1859% 0.09889% 0.1859%
松井証券 0.143% 0.09889% 0.1859%
出典:auカブコム証券SBI証券楽天証券マネックス証券松井証券の公式サイトを元に作成

國村 功志

先進国株や新興国株の信託報酬は、低いものと比べると2倍以上の差があります。auカブコム証券の信託報酬が決して高いわけではありませんが、他社のほうがより低コストの投資信託を採用しています。
國村功志(ファイナンシャル・プランナー)

iDeCo(イデコ)の商品を選ぶときの3つのポイント

iDeCo(イデコ)を40代から始めるのは遅いのか  初心者におすすめの金融機関や商品、メリット・デメリットは?
(画像=MONEY TIMES編集部)

初心者がiDeCoの商品を選ぶ際、ポイントは3つある。商品選びの参考にしてみてほしい。

iDeCo(イデコ)商品選びのポイント1……インデックス型の投資信託なら低コストのものを

イデコの銘柄選びのポイント1.jpg
(画像=MONEY TIMES編集部)
投資信託の種類は、インデックスファンドとアクティブファンドに大別できます。インデックス型を選ぶ場合、目標とする指数が同じものなら、なるべく信託報酬の低いものを選びましょう。
國村 功志

インデックスファンドは、対象指数が同じであれば値動きもほとんど同じです。そのため比較ポイントとして、手数料(信託報酬)が重要になります。
國村功志(ファイナンシャル・プランナー)

では手数料の違いでどれくらい運用成果に差が出るのか、AファンドとBファンドでシミュレーションしてみよう。

<運用成果の比較条件>
・利回りは5%
・2万3,000円を25年間積み立てる
・信託報酬はAファンドが0.22%、Bファンドが0.09889%
・利回り5%から信託報酬を引いて試算する

結果は、最終的にAファンドが約1,326万円、Bファンドが約1,350万円になり、差額はおよそ24万円だった。

信託報酬の差は0.12%程度ですが、金額にすると20万円以上の差がつきます。
國村 功志

信託報酬の差が開けば、将来的な運用結果はさらに広がる可能性もあります。そのため、投資対象が同じ商品であれば、なるべく低コストの投資信託を選ぶのが良いでしょう。
國村功志(ファイナンシャル・プランナー)

iDeCo(イデコ)商品選びのポイント2……期待リターンの高い商品を優先する

iDeCo(イデコ)を40代から始めるのは遅いのか
(画像=MONEY TIMES編集部)
iDeCoの運用益に税金がかからないことを考えれば、期待リターンの高いもので運用することが合理的です。
國村 功志

期待リターンが低いものは、運用益の非課税メリットをあまり活かせません。また、iDeCoは60歳まで引き出せないので、元本確保型のような期待リターンがほとんどないものを選ぶメリットも少ないでしょう。
國村功志(ファイナンシャル・プランナー)

では代表的な資産について、期待リターンの違いを確認してみよう。

知るぽると
(画像=知るぽるとより引用)

期待リターンの高いものは株式で、債券は低い。さらに同じカテゴリーなら、海外資産のほうがより期待リターンは高くなる。

したがって購入する商品は、日本株や外国株の投資信託を優先的に検討するといいだろう。株式のほかにはリートも期待リターンの高い資産である。

ただし期待リターンが高い=値動きが大きい(リスクが高い)ため、短期的な結果には一喜一憂せず、長期的な資産成長を見据えて運用していきましょう。

iDeCo(イデコ)商品選びのポイント3……分散投資を考える

iDeCo(イデコ)を40代から始めるのは遅いのか
(画像=MONEY TIMES編集部)
期待リターンの高いものを優先するとはいえ、自分のリスク許容度に応じて分散投資を検討することも必要です。
例えば外国株の投資信託に集中投資した場合、期待リターンは高くなるものの、その分だけリスクも大きくなる。それが自分の許容できる範囲なら問題ないが、そうでない場合は投資する資産や地域を分散することを考えてみよう。

分散投資をすれば、全体として大きな値上がりを期待しにくくなる反面、値下がりのリスクも小さくなる。

実際の商品で比較してみよう。

楽天証券
(画像=楽天証券より引用)

画像は次の2つの投資信託を5年間の値動きで比較したものだ。

ブルー:たわらノーロード先進国株式
オレンジ:セゾン・グローバルバランスファンド
たわらノーロード先進国株式とは

MSCIコクサイ・インデックス(円換算ベース、配当込み、為替ヘッジなし)の動きに連動する投資成果を目指す投資信託である。投資対象は、日本を除く先進国。

セゾン・グローバルバランスファンドとは

株式と債券に50%ずつ分散投資する投資信託。投資先は、株式が世界30ヵ国以上、債券が世界10ヵ国以上である。

ブルー(たわらノーロード先進国株式)は先進国株のみ、オレンジ(セゾン・グローバルバランスファンド)は世界中の株式と債券に半分ずつ投資している。

國村 功志

オレンジ(セゾン・グローバルバランスファンド)はブルー(たわらノーロード先進国株式)ほど値上がりしていませんが、値下がりしたときの幅も小さく抑えられています。これが分散投資の効果です。
國村功志(ファイナンシャル・プランナー)

分散投資の基本的なやり方は、株式と債券を組み合わせることです。iDeCoには株式だけでなく債券の投資信託もあるため、自分なりに組み合わせてみるのも良いでしょう。わからない場合は、あらかじめ分散投資されているバランスファンドもおすすめです。

iDeCo(イデコ)のおすすめ商品5選【2023年7月】

iDeCo(イデコ)を40代から始めるのは遅いのか
(画像=MONEY TIMES編集部)

ここからは、iDeCoで買えるおすすめの投資信託を紹介しよう。先ほどの商品選びのポイントをもとに、低コストのインデックス型投資信託を選んでいる(※データはすべて2023年7月7日現在)。

おすすめ5選は次のとおり。

eMAXIS Slim
米国株式
(S&500)
eMAXIS Slim
先進国株式
インデックス
eMAXIS Slim
全世界株式
(オール・カントリー)
SBI・全世界株式
インデックス・
ファンド
eMAXIS Slim
バランス
(8資産均等型)
投資対象 米国株 先進国株 日本株
先進国株
新興国株
日本株
先進国株
新興国株
日本株
先進国株
新興国株
日本債券
先進国債券
新興国債券
日本リート
先進国リート
基準価額 2万2,842円 2万3,707円 1万9,783円 1万8,654円 1万4,781円
純資産総額 2兆4,000億円 5,089億円 1兆2,796億円 1,244億円 2,104億円
信託報酬 0.09372%
以内
0.09889%
以内
0.1133%
以内
0.1102%
程度
0.143%
以内
3年トータル
リターン
26.29% 24.56% 22.55% 22.20% 11.39%
購入できる
ネット証券
SBI証券
マネックス証券
松井証券
SBI証券
マネックス証券
松井証券
マネックス証券
松井証券
SBI証券 SBI証券
マネックス証券
松井証券
出典:SBI証券楽天証券マネックス証券松井証券auカブコム証券の公式サイトを元に作成(2023年7月7日現在)

eMAXIS Slim 米国株式(S&P500)……米国主要500社に投資するインデックス投信

SBI証券
(画像=SBI証券より引用)

eMAXIS Slim 米国株式(S&500)
投資対象 米国株
基準価額 2万2,842円
純資産総額 2兆4,000億円
信託報酬 0.09372%以内
3年トータルリターン 26.29%
購入できるネット証券 SBI証券
マネックス証券
松井証券
出典:SBI証券、マネックス証券、松井証券の公式サイトを元に作成(2023年7月7日現在)

SBI証券
(画像=SBI証券より引用)
eMAXIS Slim 米国株式(S&P500)は、米国の代表的な株価指数であるS&P500との連動を目指して運用するインデックスファンドです。

米国は長らくGDP(国内総生産)1位であり続け、株式市場の規模も大きい。世界株の主要な指数であるMSCIオール・カントリー・ワールド・インデックスでは、全体の60%を米国が占めているほどだ。

「MSCIオール・カントリー・ワールド・インデックス」とは、MSCI Inc.が開発した株価指数で、先進国(含む日本)23ヵ国および新興国24ヵ国の株式市場に上場する大型および中型の株式で構成されています。
引用:日興アセットマネジメント 公式サイト

それだけ投資先として評価される企業が多いということでもある。そのトップ500社に0.1%を切る信託報酬で投資できる低コストファンドである。

國村 功志

過去3年は年平均およそ26%で成長しており、純資産総額は紹介した5本の中で唯一2兆円を超えています。
國村功志(ファイナンシャル・プランナー)

トータルリターン
1ヵ月 6ヵ月 1年 3年 5年 設定来
本ファンド 8.57% 25.67% 23.84% 26.29% 126.64%
カテゴリ平均 8.10% 22.97% 20.07% 21.08%

eMAXIS Slim先進国株式インデックス……米国を中心に主要先進国株に投資する

SBI証券
(画像=SBI証券より引用)

eMAXIS Slim 先進国株式インデックス
投資対象 先進国株
基準価額 2万3,707円
純資産総額 5,089億円
信託報酬 0.09889%以内
3年トータルリターン 24.56%
購入できるネット証券 SBI証券
マネックス証券
松井証券
出典:SBI証券、マネックス証券、松井証券の公式サイトを元に作成(2023年7月7日現在)

SBI証券
(画像=SBI証券より引用)
eMAXIS Slim 先進国株式インデックスは主要先進22ヵ国の株式に投資できるインデックスファンドです。同じシリーズの米国株(S&P500)と同じく、0.1%未満の信託報酬で運用できます。

主要先進国に分散投資ができるとはいえ、約75%を米国が占めているため、運用結果は米国株に左右されやすい。そのためリターンも似通うことが多く、直近3年リターンは年平均で約25%となっている。

トータルリターン
1ヵ月 6ヵ月 1年 3年 5年 設定来
本ファンド 7.85% 23.95% 23.08% 24.56% 15.69% 135.76%
カテゴリ平均 7.36% 21.01% 19.52% 21.65% 13.04%

國村 功志

S&P500と近いパフォーマンスになりやすいものの、投資地域の分散を意識して運用したい人に向いています。
國村功志(ファイナンシャル・プランナー)

eMAXIS Slim全世界株式(オール・カントリー)……主要な先進国と新興国の大型・中型株に投資する

SBI証券
(画像=SBI証券より引用)

eMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー)
投資対象 日本株
先進国株
新興国株
基準価額 1万9,783円
純資産総額 1兆2,796億円
信託報酬 0.1133%以内
3年トータルリターン 22.55%
購入できるネット証券 マネックス証券
松井証券
出典:マネックス証券、松井証券の公式サイトを元に作成(2023年7月7日現在)

SBI証券
(画像=SBI証券より引用)
名前のとおり、日本を含む主要な先進国株と新興国株に投資するインデックスファンドです。ただし先進国株が90%近くを占めるため、新興国株が運用成果に与える影響は少ないという特徴があります。

連動対象の指数は、MSCIオール・カントリー・ワールド・インデックスだ。2,900を超える世界中の株式に投資するのと同じ効果がある。対象銘柄は大型株と中型株であり、時価総額ベースで投資可能な株式市場の約85%を占めている。

この商品だけで世界のさまざまな国に投資できるため、手軽に分散投資したい人は検討してみましょう。

SBI・全世界株式インデックス・ファンド……日本を含む世界の株式に投資するインデックス投信

SBI証券
(画像=SBI証券より引用)

SBI・全世界株式インデックス・ファンド
投資対象 日本株
先進国株
新興国株
基準価額 1万8,654円
純資産総額 1,244億円
信託報酬 0.1102%程度
3年トータルリターン 22.20%
購入できるネット証券 SBI証券
出典:SBI証券の公式サイトを元に作成(2023年7月7日現在)

SBI証券
(画像=SBI証券より引用)
SBI・全世界株式インデックス・ファンドは全世界株のインデックスファンドで、eMAXIS Slimシリーズ同様に、日本を含む主要な先進国株と新興国株で運用しています。

主な違いは投資対象だ。本ファンドはFTSEグローバル・オールキャップ・インデックスに連動しており、投資対象がさらに広い。

具体的には大型株と中型株に加え、小型株も投資対象で、約9,500銘柄に投資している。

國村 功志

MSCIオール・カントリー・ワールド・インデックスよりカバー範囲が広いため、より分散効果を高めたい人におすすめです。
國村功志(ファイナンシャル・プランナー)

eMAXIS Slim バランス(8資産均等型)……低コストで人気のバランス投信

SBI証券
(画像=SBI証券より引用)

eMAXIS Slimバランス(8資産均等型)
投資対象 日本株
先進国株
新興国株
日本債券
先進国債券
新興国債券
日本リート
先進国リート
基準価額 1万4,781円
純資産総額 2,104億円
信託報酬 0.143%以内
3年トータルリターン 11.39%
購入できるネット証券 SBI証券
マネックス証券
松井証券
出典:SBI証券、マネックス証券、松井証券の公式サイトを元に作成(2023年7月7日現在)

SBI証券
(画像=SBI証券より引用)
eMAXIS Slimバランス(8資産均等型)は日本、先進国、新興国の株式、債券、リートの8資産に均等配分して運用するバランスファンドです。リートは日本と先進国のみです。

SBI証券

(画像=SBI証券より引用)

異なるカテゴリーの資産に分散しているため、株式のみのファンドよりリターンは低いものの、その分安定的な運用になっている。例えば、標準偏差を見るとそのことがわかる。

標準偏差とは
リターンのブレを表す数値のこと。数値が大きいほどリターンのブレ幅が大きい。

過去3年の標準偏差は、ここまで紹介したファンドが14〜16前後なのに対し、本ファンドは8.83と半分近くである。つまり、それだけ値動きが抑えられているということだ。

<標準偏差の比較>
eMAXIS Slim
米国株式
(S&P500)
eMAXIS Slim
先進国株式
インデックス
eMAXIS Slim
全世界株式
(オール・カントリー)
SBI・全世界株式
インデックス・
ファンド
eMAXIS Slim
バランス
(8資産均等型)
標準偏差
(3年)
16.59 16.07 14.81 14.87 8.83
出典:SBI証券『投資信託パワーサーチ』(2023年7月9日現在)

國村 功志

複数資産に投資することで安定感が増すため、株式のみでは不安という人は検討してみましょう。
國村功志(ファイナンシャル・プランナー)

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iDeCo(イデコ)を40代から始める場合のポートフォリオ

イデコのポートフォリオ.jpg
(画像=MONEY TIMES編集部)

40代からiDeCoを始める場合のおすすめのポートフォリオを2つ紹介する。

<ポートフォリオ1……積極的な運用>
資産 ポートフォリオ 投資割合
先進国株 SBI・全世界株式インデックス・ファンド 90%
新興国株
リート 三井住友・DC外国リートインデックスファンド 10%
<ポートフォリオ2……やや積極的な運用>
資産 ポートフォリオ 投資割合
先進国株 eMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー) 70%
新興国株
日本債券 三菱UFJ 国内債券インデックスファンド(確定拠出年金) 15%
外国債券 eMAXIS Slim 先進国債券インデックス 15%
ポートフォリオとは
具体的な金融商品の組み合わせのこと。一般的にはアセットアロケーション(株や債券などの資産にどのような割合で投資するかを決めること)を考えたのちにポートフォリオを組む。
重要なのはアセットアロケーションです。アセットアロケーションを決めたあとに、ポートフォリオに具体的な金融商品を当てはめていきます。アセットアロケーションの考え方に正解はないものの、一般的には年齢が高いほど債券などの安定資産の割合を増やします。

アセットアロケーションを決める際、割合の1つの目安には「100−年齢」という考え方がある。40歳なら「100−40=60%」を株式などのリスク資産にし、40%を安定資産にするというものだ。

ただ、40歳からiDeCoを始めると受け取りまで少なくとも20年以上はあるため、リスクを取ってしっかり増やすことを意識してもいいだろう。

ポートフォリオ1(株式90%・リート10%)とポートフォリオ2(株式70%・債券30%)

リスクを取って積極的な運用をする場合、「株式90%・リート10%」で運用するのがいいだろう。

世界株ファンドに投資すれば、先進国株:新興国株=9:1の割合になります。資産分散のことも考えれば、リートを10〜20%程度組み入れてもいいでしょう。

<アセットアロケーション1>

アセットアロケーション
(画像=筆者作成)
國村 功志

上記アセットアロケーションは、政治情勢や金融市場が落ち着いている先進国株で着実な資産増加を目指し、新興国株とリートでより積極的な運用を取り入れることも意識しています。
國村功志(ファイナンシャル・プランナー)

具体的なポートフォリオとしては、次の2銘柄が当てはまる(SBI証券の場合)。

<ポートフォリオ1>
資産 ポートフォリオ 投資割合
先進国株 SBI・全世界株式インデックス・ファンド 90%
新興国株
リート 三井住友・DC外国リートインデックスファンド 10%
國村 功志

ポートフォリオ1は積極的にリスクを取って運用しているため、もう少し安定性にも配慮したい場合は債券を取り入れてみましょう。
國村功志(ファイナンシャル・プランナー)

例えばリートの代わりに債券を取り入れると、次のようなアセットアロケーション2が考えられる。

<アセットアロケーション2>

アセットアロケーション
(画像=筆者作成)
債券を組み入れることで値動きが緩やかになるため、アセットアロケーション1よりも保守的な運用ができるはずです。株式が70%あることから、株式の成長もしっかり取り込んでいけるでしょう。

具体的なポートフォリオは、次の3銘柄になる(マネックス証券の場合)。

<ポートフォリオ2>
資産 ポートフォリオ 投資割合
先進国株 eMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー) 70%
新興国株
日本債券 三菱UFJ 国内債券インデックスファンド(確定拠出年金) 15%
外国債券 eMAXIS Slim 先進国債券インデックス 15%

これらのポートフォリオが正解というわけではなく、ほかにもさまざまなパターンが考えられる。

國村 功志

ただし今回のように運用期間が20年以上など長期になる場合、基本的には増やすことに重点を置き、リスクを取った運用をするほうが老後資金対策には効果的でしょう。
國村功志(ファイナンシャル・プランナー)

自分でポートフォリオを組むのが難しい人はバランスファンドを検討

イデコのバランスファンド
(画像=MONEY TIMES編集部)
ポートフォリオを自分で組むのが苦手であったり面倒な人は、バランスファンドを活用してみましょう。

バランスファンドとは、国内外の株式、債券、リート(REIT)などの複数の投資対象に、分散して投資するファンドです。ひとつのファンドで投資対象や投資地域を分散することで、大きく値下がりするリスクを減らすことができます。
引用:三井住友銀行 公式サイト

バランスファンドは銘柄ごとにあらかじめ資産配分が決まっているため、資産ごとの投資割合を考える必要がない。リバランスも自動的に行われ、保有中のメンテナンスもほとんど不要だ。

リバランスとは
複数資産の分散投資において、運用中にズレてきた資産配分の比率を元に戻すこと。リバランスをすることで当初のリスクを保ったり、パフォーマンスを改善したりする効果を期待できる。たとえば、資産全体のうち2割で外国株式を購入する、というポートフォリオを組んでいるとき、価格の値上がりで資産全体に占める割合が上がってしまったとする。この場合に外国株式の一部を売却して他の資産に充てることで、ポートフォリオ設定時に想定したリスクやリターンの水準を保つことに期待できる。
ただしiDeCoで選べるバランスファンドはそれほど多くありません。インデックス型で絞れば、おすすめのネット証券で買えるのは全部で4銘柄です。

おすすめネット証券で
買えるバランスファンド
リスク資産(*) リスク 購入できるネット証券
eMAXIS Slimバランス
(8資産均等型)
62.5% SBI証券
マネックス証券
松井証券
楽天・インデックス・
バランス(DC年金)
15% 楽天証券
auスマート・
ベーシック(安定)
20% auカブコム証券
auスマート・ベーシック
(安定成長)
35% auカブコム証券
(*)リスク資産=株式・リート
出典:SBI証券楽天証券マネックス証券松井証券auカブコム証券の公式サイトを元に作成

どれもリスクは比較的抑えられており、一番大きいものでもリスク資産の割合は62.5%だ。それ以外のバランスファンドはリスク資産が少ないため、資産を増やすことにはあまり向いていないだろう。

國村 功志

バランスファンドの選択肢はそれほど多くないので、口座を開設する証券会社を決める際には取扱商品をよく確認しましょう。
國村功志(ファイナンシャル・プランナー)

iDeCo(イデコ)を利用すべきでない40代とは?

iDeCo(イデコ)を40代から始めるのは遅いのか
(画像=MONEY TIMES編集部)

以下に当てはまる場合、今すぐiDeCoに加入するのは控えたほうがいいだろう。

生活防衛資金がない

生活防衛資金がない場合は、まずはそちらの貯蓄を優先したほうがいいだろう。

生活防衛資金は緊急資金とも言い換えられる。病気やケガでしばらく働けなくなった場合など、急な出費に備えるお金である。

最低限の目安は、生活費の3ヵ月分程度だ。

具体的な金額は、世帯主が40代で2人以上世帯の家計なら、1ヵ月の平均支出額は32万6,406円です。3ヵ月分とすれば、およそ98万円は貯めておきたい。

出典:総務省「家計調査報告(家計収支編)2022年(令和4年)平均結果の概要」

<最低限の生活防衛資金:世帯主40代・2人以上世帯のケース>
1ヵ月の支出額32万6,406円×3ヵ月=97万9,218円

単身世帯(平均58.3歳)の場合は、1ヵ月の平均支出額が16万1,753円のため、3ヵ月分は約49万円である。

<最低限の生活防衛資金:単身世帯(平均58.3歳)のケース>
1ヵ月の支出額16万1,753円×3ヵ月=48万5,259円

実際の生活状況は人によって違うため、必要な金額はこれより多いこともあれば少ないこともあります。どれくらい必要かは家計状況から考えて計算してみましょう。

すぐにまとまった資金が必要

40代に関しては、子供がいれば教育費の出費が増加しやすい。教育費は入学金や授業料でまとまった金額が毎年必要になります。すでに貯蓄があれば問題ないものの、不安な場合はiDeCoよりも必要なお金の準備を優先しましょう。
生命保険文化センター
(画像=生命保険文化センターより引用)

上図は生命保険文化センターが総務省「家計調査」(2022年)のデータをまとめたものである。

2人以上世帯の消費支出(世帯主の年代別)を見ると、40代は消費支出に占める教育費の割合が7.9%であり、30代の2倍以上に増えている。50代でも割合は同じであるため、40代から教育費の負担増がしばらく続く家庭が多そうだ。

数ヵ月や数年先など、近々まとまったお金が必要になる世帯では、iDeCoを始めるかどうか慎重に検討する必要があるでしょう。

iDeCo(イデコ)とは公的年金を補うための私的年金制度

iDeCo(イデコ)を40代から始めるのは遅いのか
(画像=MONEY TIMES編集部)
iDeCoは2002年1月より始まった私的年金制度で、個人型確定拠出年金ともいいます。公的年金や確定給付企業年金とは違い、加入者が自ら申込み、掛金額と商品を決めて運用する制度です。
iDeCo
(画像=iDeCo公式サイトより引用)

そして掛金と運用益の合計額を原則60歳以降に受け取れる仕組みである(上図)。

加入できるのは20歳以上65歳未満の人だが、国民年金被保険者であることが条件となっている。

ただし自営業者などの第1号被保険者は、国民年金に加入できるのが60歳までのため、それ以降にiDeCoに加入するためには任意加入被保険者になる必要がある。

任意加入できるのは、国民年金の納付済期間が40年(480月)に足りず、60歳以降も任意で保険料の支払いを希望する人である。

また会社員で勤め先の企業型DCに加入する人も、以下のケースでは加入できない。

<企業型DC加入の会社員がiDeCoに加入できないケース>
・企業型DCとiDeCoの掛金が毎月拠出になっていない
・企業型DCとでマッチング拠出をしている

マッチング拠出は企業型DCの事業主掛金に上乗せして自分でも掛金を出すことである。上記のどちらかに当てはまる場合は、iDeCoには加入できない。

これらに当てはまらなければ原則誰でもiDeCoに加入できるが、掛金の上限額は以下のとおり加入資格ごとに異なる。

<加入資格と拠出限度額>
加入資格(被保険者区分) 対象年齢 掛金の上限額
自営業者
(第1号)
60歳未満(*1) 月額6万8,000円(*2)
企業年金のない会社員
(第2号)
65歳未満 月額2万3,000円
企業型DCのみに加入する会社員
(第2号)
65歳未満 月額2万円(*3)
DBと企業型DCに加入する会社員
(第2号)
65歳未満 月額1万2,000円(*4)
DBのみに加入する会社員
(第2号)
65歳未満 月額1万2,000円
公務員
(第2号)
65歳未満 月額1万2,000円
専業主婦(主夫)
(第3号)
60歳未満(*1) 月額2万3,000円
(*1)納付済期間が480月未満の場合、任意加入被保険者として65歳まで加入可能
(*2)国民年金基金の掛金・国民年金の付加保険料との合算枠
(*3)企業型DCの事業主掛金と合算で5万5,000円まで
(*4)企業型DCの事業主掛金と合算で2万7,500円まで
出典:iDeCo公式サイトを元に作成

國村 功志

掛金の上限額は、自営業者は6万8,000円、会社員は企業年金の加入状況によって2万3,000円、2万円、1万2,000円のいずれかになります。公務員は1万2,000円、専業主婦(主夫)は2万3,000円が上限額です。
國村功志(ファイナンシャル・プランナー)

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iDeCo(イデコ)の4つのメリットを解説

iDeCo(イデコ)を40代から始めるのは遅いのか  初心者におすすめの金融機関や商品、メリット・デメリットは?
(画像=MONEY TIMES編集部)

iDeCoの最大のメリットは節税効果だ。以下、4つのメリットを解説する。

iDeCo(イデコ)のメリット1……掛金が全額所得控除される

イデコのメリット1.jpg
(画像=MONEY TIMES編集部)
iDeCoでは、掛金の全額が所得から控除されます。税金(所得税・住民税)は所得をもとに決まる所得税率(住民税率は一律10%)で計算されるため、所得から控除される金額が多いほど、税負担も軽減されます。

例として、iDeCoを1万円積み立てている場合(積立年額12万円)、課税所得別の税軽減額を見てみよう。

課税される所得 所得税率 税金の軽減額
(積立年額12万円)
1,000円〜194万9,000円 55 1万8,000円
195万円〜329万9,000円 10% 2万4,000円
330万円〜694万9,000円 20% 3万6,000円
695万円〜899万9,000円 23% 3万9,600円
900万円〜1,799万9,000円 33% 5万1,600円
1,800万円〜3,999万9,000円 40% 6万円
4,000万円以上 45% 6万6,000円
※税金の軽減額は住民税率10%を合わせて計算
出典:国税庁の公式サイトを元に作成

例えば、所得税が5%の人の場合、住民税率10%と合わせて15%分の税額が軽減できる。計算式は次のとおりだ。

12万円(積立年額)×15%(所得税+住民税)=1万8,000円(税金の軽減額)

自分の所得税率を知りたい場合は、まず課税される所得を求めよう。源泉徴収票に記載されている金額から以下のように計算できる。

<課税所得の求め方(源泉徴収票)>
給与所得控除後の金額−所得控除の額の合計額=課税所得
源泉徴収票
(画像=国税庁「令和4年分以後の源泉徴収票」を元に作成)

計算した金額を先ほどの表に当てはめて税率を確かめてみよう。あとはiDeCoで年間に積み立てた金額に税率を掛ければ軽減額が計算できる。

<iDeCoの税軽減額の計算>
iDeCoの掛金年額×所得税率=所得税の軽減額
iDeCoの掛金年額×住民税率=住民税の軽減額
國村 功志

所得税率は所得が高いほど上がっていくため、基本的に年収の高い人のほうがiDeCoに加入するメリットは大きくなります。投資の掛金を全額所得控除できる制度はほかにないため、税負担を軽減するためにも活用してみましょう。
國村功志(ファイナンシャル・プランナー)

iDeCo(イデコ)のメリット2……運用益が非課税

イデコのメリット2.jpg
(画像=MONEY TIMES編集部)
iDeCoには運用益が非課税になるメリットもあります。
通常、株式投資や投資信託などで得た運用益には20.315%の税金がかかる。100万円の利益が出た場合、20万3,150円が税金として徴収される。

しかしiDeCoは運用益が非課税のため、100万円がそのまま口座に残る。

運用期間が長くなれば利益もふくらむ可能性があり、非課税になる金額も大きくなるだろう。仮に5%の利回りで毎月1万円を25年間積み立てた場合、掛金の上限額ごとに非課税になる金額がいくらになるのかシミュレーションしてみよう。

掛金別にみた非課税金額(利回り5%・毎月1万円積立・25年間)
掛金の上限額 元本 運用益 非課税金額
6万8,000円 2,040万円 2,010万円 408万円
2万3,000円 690万円 680万円 138万円
2万円 600万円 591万円 120万円
1万2,000円 360万円 355万円 72万円
出典:金融庁「資産運用シミュレーション」を元に作成

國村 功志

本来であれば表の「非課税金額」が税金として徴収されますが、iDeCoで運用することで税金を大幅に抑えられます。通常の口座よりもお得に運用できるため、利用するメリットは大きいでしょう。
國村功志(ファイナンシャル・プランナー)

iDeCo(イデコ)のメリット3……受け取るときも控除の対象になる

イデコのメリット3.jpg
(画像=MONEY TIMES編集部)

iDeCoは年金制度であるため、公的年金などと同じように受け取るときには税金がかかる。しかし受け取り方に応じて控除を受けられ、税金を抑える仕組みが用意されている。

iDeCoの受け取り方は「年金」「一時金」「その2つの併用」の合計3つがあります。年金受け取りの場合は公的年金等控除、一時金受け取りの場合は退職所得控除が受けられます。

どちらで受け取るのがいいかは人にもよるが、現状の制度では一時金で受け取る人のほうが多い。

iDeCo(イデコ)を40代から始めるのは遅いのか
(画像=第1回社会保障審議会企業年金・個人年金部会「企業年金・個人年金制度の現状等について」より引用)

iDeCoの一時金受け取りは89%で、年金受け取りは10%しかいない。この理由は、多くの場合、一時金受け取りのほうが税金が少なく済むからだろう。

年金受け取りは公的年金等控除を利用できるが、控除枠は公的年金と合算して計算される。しかし大抵の人は公的年金だけで非課税ラインを超えてしまい、iDeCoの年金は課税対象になる可能性が高い。

さらに年金は雑所得となり総合課税の対象になる。所得が増えれば所得税や住民税、健康保険料などの負担も増えてしまうため、年金受け取りが少ないのではないだろうか。

國村 功志

退職所得控除もタイミングによっては企業の退職金と合算されるため、iDeCoの一時金も課税される可能性はあります。しかし一時金は分離課税のため、所得が増えることもなく、税金を抑えやすいというメリットがあります。
國村功志(ファイナンシャル・プランナー)

生活面の理由でも判断は変わるかもしれないが、税金や社会保険料のことも考えて受取方法を選択しよう。

iDeCo(イデコ)のメリット4……持ち運びができる

イデコのメリット4.jpg
(画像=MONEY TIMES編集部)
iDeCoで積み立てた年金資産は、転職や離職した場合でも移換の手続きによって持ち運ぶことができます。

移換先 iDeCoから他の制度へ
企業型DC(確定拠出年金)
DB(確定給付企業年金) ◯(*)
(*)DBの規約で資産移換の受け入れができる旨が定められている場合
出典:iDeCo公式サイト

例えば転職先に企業型DCがある場合、手続きをすればiDeCoの資産を移換して積立と運用を継続できる。その場合、iDeCoの保有商品はすべて売却し、移換先に移して新しい商品を選ぶことになる。

手続きには次の2つの書類が必要だ。

<iDeCoの移換手続きに必要な書類>
・加入資格喪失届
・加入者の資格を喪失した理由及び喪失年月日を証明する書類
國村 功志

具体的には新しい勤務先が手続きの窓口になるため、iDeCoから移換したい旨を伝え、担当者の指示に従って手続きを進めましょう。
國村功志(ファイナンシャル・プランナー)

DBの場合は、規約にiDeCoの資産受け入れができると定められている場合に限って移換できる。移換できるかどうかは、新しい勤務先で確認して担当者の指示のもと手続きしよう。

なお、iDeCoを移換せずに企業型DCやDBと併用して引き続き加入もできる。その場合、現在の金融機関から次の書類を取り寄せて返送する必要がある。

<iDeCoと企業型DCやDBを併用する場合の必要書類>
・第2号被保険者になる場合:加入者被保険者種別変更届(第2号被保険者用)
・第2号被保険者のままの場合:加入者登録事業所変更届
・事業所登録申請書兼第2号加入者に係る事業主の証明書

事業主の証明書は新しい勤務先で記入してもらう必要がある。書類がそろったら現在の金融機関に提出しよう。

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iDeCo(イデコ)の2つのデメリット

iDeCo(イデコ)を40代から始めるのは遅いのか  初心者におすすめの金融機関や商品、メリット・デメリットは?
(画像=MONEY TIMES編集部)

メリットが多いiDeCoだが、デメリットもある。

iDeCo(イデコ)のデメリット1……60歳まで引き出せない

イデコのデメリット1.jpg
(画像=MONEY TIMES編集部)
iDeCoは、原則として60歳になるまで積み立てた資産を引き出せません。そのため、これから教育費が増える、住宅購入の予定があるなど、まとまった支出予定がある場合は計画的にiDeCoを利用する必要があります。

60歳になっても無条件で引き出せるわけではなく、10年以上の通算加入者等期間が必要だ。

通算加入者等期間とは
積立をした加入者期間と運用のみをした運用指図者期間の合算期間のこと。企業型DCやDBから移換した場合は、移換前の通算加入者等期間も合算できる。
國村 功志

60歳の時点で通算加入者等期間が10年に満たない場合は、引き出しできる年齢が繰り下げられます。
國村功志(ファイナンシャル・プランナー)

通算加入者等期間 引き出せる年齢
10年以上 60歳
8年以上10年未満 61歳
6年以上8年未満 62歳
4年以上6年未満 63歳
2年以上4年未満 64歳
1月以上2年未満 65歳
出典:iDeCo公式サイトを元に作成

40代でiDeCoに加入すれば10年以上の通算加入者等期間は問題なくクリアできるため、60歳以降ならいつでも受け取れる。

引き出せる年齢は、75歳になるまで任意で受け取りを遅らせることもできる。ただし運用のみを行う期間も口座管理手数料はかかる。金額は金融機関によって異なり、最低で月額66円だ。

金融機関14社の手数料一覧(再掲)
金融機関 加入時手数料 運用期間中の手数料
掛金を拠出する場合 掛金を拠出しない場合
SBI証券 2,829円 171円 66円
楽天証券 2,829円 171円 66円
マネックス証券 2,829円 171円 66円
松井証券 2,829円 171円 66円
auカブコム証券 2,829円 171円 66円
野村證券 2,829円 171円 66円
大和証券 2,829円 171円> 66円>
イオン銀行 2,829円 171円 66円
ソニー銀行(*1) 2,829円 171円 66円
auじぶん銀行 2,829円 171円 66円
三菱UFJ銀行(*2) 2,829円 556円 423円
三菱UFJ銀行(*2) 2,829円 431円 326円
三井住友銀行(*3) 2,829円 431円 326円
三井住友銀行(*3) 2,829円 171円 66円
みずほ銀行(*1) 2,829円 171円 66円
ゆうちょ銀行 2,829円 430円 325円

iDeCo(イデコ)のデメリット2……加入時と運用時に手数料がかかる

イデコのデメリット2.jpg
(画像=MONEY TIMES編集部)
iDeCoは口座に運用資産が残っている間、口座管理手数料がかかり続けます。手数料は金融機関ごとに異なり、月額171〜611円です。

仮に口座管理手数料が611円の金融機関のiDeCoで加入した場合、税制優遇の効果と比較してどれくらいメリットがあるのだろうか。

所得税率が最低の5%のケースで、掛金5,000円の場合をシミュレーションしてみよう。

<口座管理手数料と税制優遇の比較シミュレーション>
・口座管理手数料:年額7,332円(月額611円)
・掛金:年額6万円(月額5,000円)
・所得税と住民税の軽減額:6万円×15%=9,000円
・税金の軽減額−口座管理手数料:9,000円−7,332円=1,668円

口座管理手数料が最も高い金融機関でiDeCoに加入し、最低掛金の5,000円だとしても損になることはない。

しかし手数料が低いほうが手元に残るお金は多くなるため、なるべくコストがかからない金融機関で加入しよう。

國村 功志

また、積立をせずに運用のみ行う場合も口座管理手数料はかかります。その場合は月額66〜506円です。ただし運用のみだと所得控除はできないため、税金の軽減はなく、そのままコストになります。
國村功志(ファイナンシャル・プランナー)

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iDeCoに関する頻出Q&A11選

イデコでよくあるQA
(画像=MONEY TIMES編集部)

iDeCoなどの年金制度に加入しようと思っても、不明点が多ければ加入を先送りにしかねない。iDeCoを深く理解するために、よくある質問とその回答を紹介しよう。

iDeCo(イデコ)の掛金は毎月?年1回?
iDeCoの掛金は毎月一定額を拠出するのが基本だが、2018年1月からは掛金の拠出を1年単位で考え、加入者が決めた任意の月(年1回以上)にまとめて拠出できるようになった。
iDeCo(イデコ)と企業型DCは併用できる?
次の2つに当てはまる場合を除き、併用できる。

・企業型DCの事業主掛金とiDeCoの掛金が毎月拠出になっていない
・マッチング拠出を利用している
iDeCoやその他年金の拠出限度額は?
加入資格ごとに上限があるので、以下の表を参考にしてほしい。

<加入資格と拠出限度額>
加入資格(被保険者区分) 対象年齢 掛金の上限額
自営業者
(第1号)
60歳未満(*1) 月額6万8,000円(*2)
企業年金のない会社員
(第2号)
65歳未満 月額2万3,000円
企業型DCのみに加入する会社員
(第2号)
65歳未満 月額2万円(*3)
DBと企業型DCに加入する会社員
(第2号)
65歳未満 月額1万2,000円(*4)
DBのみに加入する会社員
(第2号)
65歳未満 月額1万2,000円
公務員
(第2号)
65歳未満 月額1万2,000円
専業主婦(主夫)
(第3号)
60歳未満(*1) 月額2万3,000円
(*1)納付済期間が480月未満の場合、任意加入被保険者として65歳まで加入可能
(*2)国民年金基金の掛金・国民年金の付加保険料との合算枠
(*3)企業型DCの事業主掛金と合算で5万5,000円まで
(*4)企業型DCの事業主掛金と合算で2万7,500円まで
出典:iDeCo公式サイトを元に作成

iDeCo(イデコ)に加入できない人はどんな人?
次のいずれかに当てはまる人だ。
・20歳未満の人(厚生年金被保険者は20歳未満でもiDeCoに加入できる)
・65歳以上の人(国民年金第2号被保険者は65歳以降も可)
・自営業などの第1号被保険者で国民年金保険料を納めていない人(国民年金保険料を免除される人を含む)
・企業型DCの加入者で、企業型DCの事業主掛金とiDeCoの掛金が毎月拠出になっていない人、またはマッチング拠出を利用している人
iDeCo(イデコ)は途中で解約できる?
原則としてiDeCoは途中で解約できない。ただし、以下の3つのケースに当てはまれば解約できる。

1.加入者が死亡し、運用資産を「死亡一時金」として受け取る
2.加入者が高度障害者になり、運用資産を「障害給付金」として受け取る
3.加入者が一定の条件を満たし、運用資産を「脱退一時金」として受け取る

3の「一定の条件」は、次のすべてに該当しなければならない。

・60歳未満であること
・企業型年金加入者でないこと
・国民年金保険料免除者、外国籍の海外居住者等のiDeCoに加入できない者であること
・日本国籍を有する海外居住者(20歳以上60歳未満)でないこと
・通算拠出期間が1ヵ月以上5年以下、または個人別管理資産が25万円以下であること
・障害給付金の受給権者でないこと
・企業型確定拠出年金加入者又はiDeCo加入者の資格を喪失した日から起算して2年を経過していないこと
iDeCo(イデコ)の金融機関を変更する場合、積み立てた資産はどうなる?
iDeCoの金融機関を変更する場合は、制度上積み立てた資産(金融商品)はすべて解約によって現金化され、変更後の金融機関には現金が移換される。変更後の金融機関では、移換された現金をどの商品に配分するかをあらためて指定する必要がある。
iDeCo(イデコ)の掛金の停止や再開はいつでもできる?手数料はかかる?
iDeCoの掛金の停止や再開の手続きは、いつでも可能だ。ただし書類の取り寄せや提出が必要になるため、通常は1~2ヵ月かかる。

iDeCoでは、掛金を停止している間も運用を継続するために口座管理料などがかかる。ただし掛金を停止している間は、口座管理料のうち国民年金基金連合会への支払いが不要となる分、手数料は安くなる。
iDeCo(イデコ)の資産は60歳になったら自動的に受け取れる?
60歳時点で加入していた期間が10年以上あれば受け取る権利を得るが、資産を受け取るには75歳までの間に手続きが必要だ。
iDeCo(イデコ)の受給を60歳よりも遅らせることができる?
60歳以降に受け取る権利を得たら、75歳までの間に受け取りを開始できる。受け取りたいタイミングで必要書類を取り寄せて、手続きを行えばよい。
転職先に企業年金制度がある場合、これまで運用していたiDeCo(イデコ)はどうなる?
転職先に企業型確定拠出年金がある場合、iDeCoの資産を移換できる。移換せずにiDeCoの積立と運用の継続もできる。

転職先に確定給付企業年金がある場合は、iDeCoの資産を確定給付企業年金へ移換できることがある。移換の可否は転職先企業に確認してほしい。
万が一死亡したらiDeCo(イデコ)の資産はどうなる?
iDeCoの資産は、遺族が一時金として受け取れる。死亡した場合は、年金として受け取ることはできない。死亡一時金は、みなし相続財産として相続税の課税対象になることに気を付けたい。

國村功志
甲南大学法学部を卒業後、みずほ証券で個人向け投資営業に従事。日本FP協会やFP会社などを経て、現在は主に金融系のWebライティングを行う。SEOライティングでは、検索結果1位をはじめ、多数の上位表示記事をWebメディアに提供している。資産運用関連を得意分野とし、NISAやiDeCoなどに関する講師業もおこなっている。
オフィシャルサイト

■保有資格
CFP®
証券外務員1種

甲南大学法学部を卒業後、みずほ証券で個人向け投資営業に従事。日本FP協会やFP会社などを経て、現在は主に金融系のWebライティングを行う。SEOライティングでは、検索結果1位をはじめ、多数の上位表示記事をWebメディアに提供している。資産運用関連を得意分野とし、NISAやiDeCoなどに関する講師業もおこなっている。
オフィシャルサイト

■保有資格
CFP®
一種証券外務員

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