株式投資を始めるには、いったいいくら必要なのか?実は資金が10万円でも、東証一部上場の有名企業の株を買うことができる。ここでは10万円以下で買える10社の銘柄を紹介しつつ、東証一部上場銘柄の最小投資額や、投資初心者が投資金額を設定する目安などを解説する。
目次
1.株式投資はいくらから始められるのか?基本は株価×100株
「いったいいくら資金があれば始められるのか?」ということを知る前に、投資初心者は証券取引所に上場する株式の売買単位を把握しておく必要がある。
まず、この2つの売買単位について説明しよう。
売買の基本単位「単元株」――100株単位での売買が基本
2021年7月現在、上場株式では1単元は100株に統一されている。つまり、株価が100円なら1万円必要になるということだ。
単元未満株主には議決権の行使は認められていないが、1単元以上を保有する株主同様に配当を受け取る権利がある。
証券会社が提供する単元未満株サービスには次のようなものがある。
・マネックス証券「ワン株」
・auカブコム証券「プチ株」
・野村證券「まめ株」
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「ミニ株」という制度も――単元株数の10分の1で取引できる
現在ミニ株サービスを利用できるのは、SMBC日興証券「株式ミニ投資」のみです。
単元株取引で実際に必要な金額はいくら?数百円から数百万円までと幅広い
実際に株式投資を始める場合は、「投資金額=購入株数×株価」で算出される投資金額が必要になる。単元株と単元未満株それぞれの最大投資金額と最小投資金額を見てみよう。
最高/最安株価銘柄別 投資金額比較表
コード | 会社名 | 市場 | 株価 | 単元株 (100株)> |
単元未満株 (1株) |
|
---|---|---|---|---|---|---|
最高株価 | 9983 | ファーストリテイリング | 東証一部 | 8万3,080円 | 830万8,000円 | 8万3,080円 |
最安株価 | 6628 | オンキヨーホーム エンターテイメント |
ジャスダック | 4円 | 400円 | 4円 |
単元株(100株)を購入する際は、株価が最安のオンキヨーホームエンターテイメント(2021年8月1日付で上場廃止予定)なら400円、最高のファーストリテイリングなら830万8,000円の投資金額が必要になる。単元未満株(1株)で購入する際は、オンキヨーホームエンターテイメントで4円、ファーストリテイリングでも8万3,080円で済む。
株価が高い銘柄だと、単元株で株式を購入するには数百万円もの資金が必要になるが、単元未満株サービスを利用すれば、8万円前後で株主になれるのだ。
株価の安い銘柄なら、単元株で購入しても数百円程度で購入できます。ただし株価の安い銘柄は、業績や財務状況などをしっかりチェックして、倒産リスクや上場廃止リスクが低いことを確認してから購入しましょう。
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2,初期投資資金10万円から購入できる東証一部上場銘柄
投資初心者が株式を購入する際は、大きな損失を回避するために、一度に多額の資金を投入するべきではない。
許容できる損失額を鑑みて、単元株購入資金として10万円程度を目安に銘柄を選択するのがおすすめ。株式投資に慣れてきたら、投資金額を徐々に増やしていくといいでしょう。
10万~50万円の初期投資額で購入できる東証一部上場銘柄数と代表的な銘柄を紹介しよう。
少額で購入できる東証一部上場銘柄数一覧(2020年11月30日終値)
初期投資額 | 対象銘柄数 | 代表的な銘柄 |
---|---|---|
10万円以下 | 737件 | 旭化成<3407>、関西電力<9503>、 タカラトミー<7867>、日医工<4541>、 エディオン<2730> |
20万円以下 | 669件 | 日本航空<9201>、キャンドゥ<2698>、 アシックス<7936>、住友林業<1911>、 山崎製パン<2212> |
30万円以下 | 337社 | 西日本鉄道<9031>、日清オイリオグループ<2602>、 WOWOW<4839>、ニチレイ< 2871>、 ヤマトホールディングス< 9064> |
40万円以下 | 165件 | 日立製作所<6501>、カゴメ< 2811>、 ブリヂストン<5108> |
50万円以下 | 86件 | 東宝<9602>、江崎グリコ<2206>、 日本ハム<2282> |
初期投資資金が10万円以下でも、対象銘柄数は737件もある。株式投資は、資金的ハードルがそこまで高くないことが分かるだろう。
3,初心者でもチャンレジしやすい!10万円以下で単元株主になれる銘柄10選
ここからは、具体的に単元株でも10万円以下の資金で購入できて、配当利回りが3%以上の銘柄を紹介していこう。
エディオン<2730>――グループ店舗数1,184店舗の大手家電量販店
大阪に本社を構える家電量販店大手。家電販売事業以外にもモバイル事業やエディスマ・エネルギー管理システム事業、リフォーム事業も手掛ける。
【最低投資額】9万7,500円
【2021年3月期の1株配当(予想)】34円
【予想配当利回り】3.49%
旭化成<3407>――グローバルに活躍する大手総合化学メーカー
「マテリアル」「ヘルスケア」「住宅」の3領域で事業展開をしている大手総合化学メーカー。サステナビリティにも注力しており、日本政策投資銀行の「DBJ環境格付」融資で2020年最高ランクを獲得。
【最低投資額】9万5,710円
【2021年3月期の1株配当(予想)】34円
【予想配当利回り】3.4%
双日<2768> ―高い配当利回りの総合商社
双日は日商岩井とニチメンが統合した総合商社。国内外約400の連結対象会社を持つ、総合商社らしいグローバルな事業展開が特徴。
【最低投資額】2万2,900円
【2021年3月期の1株配当(予想)】10円
【予想配当利回り】4.37%
コニカミノルタ<4902>――高配当利回りを記録する電気機器メーカー
情報機器や医療用画像診断システム、産業用光学システムなどを手掛ける電気機器メーカー。2003年にカメラ・フィルム事業を撤廃し、現在はオフィス関連事業が売上の半分以上を占める。
【最低投資額】3万3,400円
【2021年3月期の1株配当(予想)】25円
【予想配当利回り】6.42%
住友ゴム工業<5110>――日本の老舗総合ゴム製品メーカー
1909年創業のタイヤ事業や産業品事業、スポーツ事業を世界中に展開する総合ゴム製品メーカー。ファルケンブランドを主軸とした販売拡大を推進中。
【最低投資額】9万2,130円
【2020年12月期の1株配当(予想)】25円
【予想配当利回り】3.01%
日本郵政<6178>――郵便・保険・銀行が主軸のトータル生活サポート企業グループ
日本郵便・かんぽ生命保険・ゆうちょ銀行などからなる日本郵政グループの持株会社。公共企業体の日本郵政公社が前身。配当利回りが高いのが特徴だ。
【最低投資額】7万7,270円
【2021年3月期の1株配当(予想)】50円
【予想配当利回り】6.47%
リコー<7752>――ITサービスにも注力する国内最大級事務機器メーカー
事務機器や光学機器などを製造する精密機器メーカー。国内のみならず世界でも高いシェアを誇る。大規模な構造改革を実施しており、ITサービスも伸長している。
【最低投資額】6万9,700円
【2021年3月期の1株配当(予想)】15.0円
【予想配当利回り】3.27%
オンワードホールディングス<8016>―国内外で展開するアパレル事業が主軸
アパレル関連事業やライフスタイル関連事業を手掛ける純粋持株会社。事業の大部分はアパレル関連事業で占められており、「23区」や「組曲」などの有名オリジナルブランドを有する。
【最低投資額】1万8,750円
【2021年2月期の1株配当(予想)】12円
【予想配当利回り】6.49%
エイベックス<7860>――有名歌手を多数生み出してきたエンターテインメント企業
音楽やアニメ、映像事業を手掛けるエンターテインメント企業。2020年10月にエイベックス・アジアとサンリオが合弁会社の設立を発表。サンリオキャラクターを活用したライセンスビジネスを展開する予定だ。
【最低投資額】9万4,200円
【2020年3月期の1株配当】50円
【予想配当利回り】5.31%
シチズン時計<7762>――腕時計だけでなく産業機械も取り扱う
時計をはじめとした日本の精密・電子機器の製造会社。2016年にスイスの高級腕時計メーカー「フレデリック・コンスタント」を買収。宝飾やレジャー事業からは撤退し、製造拠点も集約するなど経営資源の選択と集中を進める。
【最低投資額】2万7,500円
【2021年3月期の1株配当(予想)】5円
【予想配当利回り】3.71%
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4,10万円で株式投資をする2つのメリット――始めやすさ、リスクの低減
初めて株式投資にチャレンジする初心者にとって、10万円程度を目安に初期投資額を設定することは、心理面と資金面において2つのメリットがある。
- 始めやすい
- 損失額が少なくて済む
メリット1,株式投資に対する抵抗感を軽減できる
投資初心者が実際に自己資金を使って株式を購入する際、元本が保証されないということに対して恐怖心を感じるかもしれない。この恐怖心に苛まれて、なかなか株式の購入に踏み切れないことも多い。
投資可能金額が10万円と100万円の場合を比べると、100万円すべてを投資に充てる場合より、10万円だけを投資するほうが、もちろん心理的な負担は軽い。
あらかじめ「初期投資額は10万円まで」と決めてしまえば、株式投資に対する抵抗感も和らいで、初めての株式投資にチャレンジしやすくなるはずです。
メリット2,損失額を限定できる
株式投資には、株価変動リスクがある。そのため、損失が発生した場合を想定して、どこまでの損失額なら許容できるかを考えた上で、初期投資額を設定する必要がある。
①10万円 ②100万円
・700円まで下がった時点で損切りした場合の評価額
①7万円 ②70万円
・損失額
①3万円 ②30万円
①と②の損失額の差額は27万円となる。
株式取引に慣れていない投資初心者の場合、保有資産額の変動を限定的にしておくほうが安心です。
5,10万円で株式投資をする2つのデメリット――利益が少ない、緊張感がなくなってしまうなど
初心者にとってはメリットの大きい10万円投資だが、デメリットもあるので確認しておこう。
- 利益が限定的
- 放置してしまいがち
デメリット1,大きな利益は望めない
投資金額が10万円と少額であれば、損失も少ない分、株価が値上がりしたとしても大きな利益は望めない。
初心者にとって大事なのは、利益を上げることよりも株式投資の経験を積むことだと心得ておきましょう。
デメリット2,緊張感が緩みがち
10万円という少額投資は、株式投資に対する心理的ハードルを低くする効果があるが、その反面気が緩んでしまうというデメリットもある。せっかく株式投資を始めても、買いっぱなしで緊張感なく放置してしまうこともあるだろう。
初期投資額が少額でも、株式を購入したなら、株式相場や株価の値動きに敏感になるべきです。日々の経済状況の変化などに注意を払いながら、相場観を養うトレーニングを積むことが、勝てる投資家への第一歩です。
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6,売買ランキングTOP10企業の株購入にはいくら必要?
初めて株取引をする場合は資金を10万円に限定するのがおすすめだが、慣れてきたら売買ランキングの上位銘柄を検討してみるといいだろう。売買ランキング上位の企業は、取引が活発で流通量も多く、企業の経営状態も安定しているところが多い。
参考までに、2021年7月5日の終値ベースで、東証一部上場銘柄売買ランキングTOP10銘柄の株価と単元株購入時の必要資金を見てみよう。
売買ランキングTOP10 株価と必要資金一覧(2021年7月5日時点)
順位 | コード | 会社名 | 株価 | 必要資金 |
---|---|---|---|---|
1 | 9984 | ソフトバンクグループ | 7,404円 | 74万400円 |
2 | 6920 | レーザーテック | 2万730円 | 207万3,000円 |
3 | 7974 | 任天堂 | 6万5,640円 | 656万4,000円 |
4 | 6758 | ソニーグループ | 1万1,270円 | 112万7,000円 |
5 | 7203 | トヨタ自動車 | 9,791円 | 97万9,100円 |
6 | 9983 | ファーストリテイリング | 8万1,990円 | 819万9,000円 |
7 | 9101 | 日本郵船 | 5,570円 | 55万7,000円 |
8 | 5759 | 日本電解 | 4,110円 | 41万1,000円 |
9 | 6981 | 村田製作所 | 8,686円 | 86万8,600円 |
10 | 8035 | 日本エレクトロン | 4万6,930円 | 469万3,000円 |
7,投資の基本ルール――「余裕資金の3割まで」を目安に
残りの余裕資金を元本割れの心配がない定期預金や債券などに割り当てて資産のポートフォリオを組むことも、リスク分散の観点では大切だ。
株式投資に慣れていないと、損切り自体に対する心理的負担も大きいでしょう。余裕資金の一部を投資に回すことで、負担を軽減することもできます。投資初心者の段階では、投資に回す金額を限定して資産減少に対する不安を和らげ、経験値を高めることに集中しましょう。
株式投資に必要な資金に関してよくある5つのQ&A
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