つみたてNISAで投資できる主な金融商品は投資信託であり、NISA(一般NISA)では株式や投資信託などに投資できる。つみたてNISAや一般NISAでは、投資信託をどのように選べばいいのだろうか。つみたてNISAやNISAでの投資信託の選び方や、ランキングからの投資信託選びを考えてみよう。

目次
1.つみたてNISAと一般NISAにおける投資信託の選び方
2.つみたてNISAの投資信託ランキングとおすすめ5選
3.一般NISAの投資信託トータルリターンランキングと投資信託5選
4.安定した運用ならアクティブ型よりインデックス型がおすすめ

1.つみたてNISAとNISAにおける投資信託の選び方

投資のリスクとリターンには相関関係があり、リスクが低ければリターンも低く、リスクが高ければリターンも高くなる傾向がある。リターンは、プラスだけでなくマイナスになることもある。「リターンがマイナスになった場合に、どのくらいまでのマイナスを受け入れることができるか」をリスク許容度という。

つみたてNISAも一般NISAも投資信託選びでは「リスク許容度」を確認

つみたてNISAでも一般NISAでも、投資信託を選ぶ際に考慮すべきことは運用者の「リスク許容度」である。個々の投資信託で想定される最大のマイナスリターンは、リーマンショックやコロナショックでの下落率が参考になるだろう。

投資信託に投資する場合は、一般的に複数の投資信託でポートフォリオ(金融商品の組み合わせ)を作る。ポートフォリオ全体で受け入れられるマイナスリターンを考えて、それを許容できる範囲で投資信託の組み合わせを考える。

投資信託を選ぶ際にリスク許容度以外で考慮すべきことは、つみたてNISAとNISAで異なる。その違いを確認しておこう。

つみたてNISAでの投資信託の選び方は「信託報酬の低さ」がポイント

つみたてNISAの対象商品は、金融庁が定めた基準をクリアした投資信託とETFに限定される。つみたてNISAで投資できる公募投資信託は175本、ETFは7本だ(2020年6月29日時点)。

つみたてNISAでの公募投資信託はインデックス型157本とアクティブ型など18本であり、インデックス型のほうが圧倒的に多い。そのため、つみたてNISAではインデックス型を主体にポートフォリオを作るのが一般的だ。

リスクが同程度の投資信託が複数ある場合は、投資信託を保有する間に負担し続ける手数料である「信託報酬」が低い投資信託を選びたい。年0.1~0.2%程度の違いでも、投資期間が20年などの長期では大きな差になる。

初めて投資信託を選ぶ際は、」証券会社のツールを利用してもいいだろう。例えばSBI証券の「つみたてNISAシミュレーション」では、資産配分から投資信託まで提案してくれる。

NISAでの投資信託の選び方のポイントは「投資目的」と「各種手数料」

NISAで投資信託を選ぶ際は、「投資の目的」と「各種手数料」がポイントになる。

NISAで投資できる投資信託は2,000本以上あるため、投資信託選びの自由度が非常に高いと言える。投資目的やリスク許容度を明確にして、それらに応じたポートフォリオを組む必要がある。

例えば、バランスの取れた運用を望むならインデックス型主体のポートフォリオにする。高めのリスクを許容して大きなリターンを期待するなら、アクティブ型主体のポートフォリオにする、といった具合だ。

NISAで投資できる投資信託は、つみたてNISAのように金融庁の基準をクリアしたものではないため、購入時手数料や解約時手数料(信託財産留保額や解約手数料)が高い商品もある。

NISAの投資信託選びでは信託報酬だけでなく、各種手数料も確認したい。

2.つみたてNISA対象の投資信託ランキングとおすすめ投資信託5選

つみたてNISAの投資信託選びで参考になるのが、積立設定件数ランキングだ。多くの人がどの投資信託で積立をしているか、ランキングから把握できる。

つみたてNISA積立設定件数ランキングTOP10(SBI証券の場合)

つみたてNISAの積立設定件数ランキングは、投資信託を販売する金融機関によって異なる。ネット証券大手で利用者が多いSBI証券における、つみたてNISA積立設定件数ランキングは以下のとおりだ。

・SBI証券でのつみたてNISA積立設定件数ランキングTOP10(2020年7月)

順位 ファンド名 分類 信託報酬
(税込)
1位 SBI・バンガード・
S&P500インデックス・ファンド
(愛称:SBI・バンガード・S&P500)
海外株式
インデックス型
0.0938%
程度
2位 三菱UFJ国際-eMAXIS Slim全世界株式
(オール・カントリー)
国内外株式
インデックス型
0.1144%
以内
3位 三菱UFJ国際-eMAXIS Slim米国株式
(S&P500)
海外株式
インデックス型
0.0968%
以内
4位 <購入・換金手数料なし>
ニッセイ外国株式
インデックスファンド
海外株式
インデックス型
0.1023%
以内
5位 レオス-ひふみプラス 国内外株式
アクティブ型
1.078%
以内
6位 三菱UFJ国際-eMAXIS Slim
先進国株式インデックス
海外株式
インデックス型
0.1023%
以内
7位 SBI・全世界株式
インデックス・ファンド
国内外株式
インデックス型
0.1102%
程度
8位 三菱UFJ国際-eMAXIS Slim バランス
(8資産均等型)
資産複合
インデックス型
0.154%
以内
9位 <購入・換金手数料なし>
ニッセイ・インデックスバランスF
4資産均等型
資産複合
インデックス型
0.154%
以内
10位 <購入・換金手数料なし>
ニッセイTOPIXインデックスファンド
国内株式
インデックス型
0.154%
以内
※SBI証券ホームページより筆者作成

つみたてNISA初心者におすすめの投資信託5選

前述のとおり、つみたてNISAの投資信託を選ぶ際のポイントはリスク許容度と信託報酬である。

つみたてNISA積立設定件数ランキングTOP10から、信託報酬が低く初心者におすすめできる投資信託5選を、リスクが低い順に紹介しよう。

1.<購入・換金手数料なし>ニッセイ・インデックスバランスF 4資産均等型

ニッセイ・インデックスバランスF 4資産均等型は、国内・先進国の株式と債券の4資産に均等に投資するファンドだ。

資産の半分を債券に投資するため、投資リスクは債券と株式の中間である。信託報酬は、バランス型投資信託では最低レベルの0.154%だ。

2.三菱UFJ国際-eMAXIS Slim バランス(8資産均等型)

eMAXIS Slimバランス(8資産均等型)は、国内・先進国・新興国の株式と債券、国内・先進国のリート(不動産投資信託)の計8資産に均等に投資する。

資産配分は債券37.5%、株式37.5%、リート25%であり、投資リスクはニッセイの4資産均等型より高い。信託報酬は、ニッセイの4資産均等型と同じ0.154%だ。

3.三菱UFJ国際-eMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー)

eMAXIS Slim 全世界株式は、先進国(日本を含む)および新興国の株式に投資するインデックス型投資信託だ。

全世界の株式に分散投資をすることになるため、株式に投資する投資信託の中ではリスクが低めである。信託報酬は0.1%程度であり、投資信託として最低レベルに近い。

4.<購入・換金手数料なし>ニッセイ外国株式インデックスファンド

ニッセイ外国株式インデックスファンドは、主要先進国(日本を除く)の株式に投資するインデックス型投資信託だ。

投資リスクは、eMAXIS Slim 全世界株式と同程度だ。この投資信託の信託報酬も、0.1%程度である。

5.SBI・バンガード・S&P500インデックス・ファンド

S&P500は、米国の市場全体の動きを表す指標として広く利用されている。S&P500への投資は、世界をリードする数多くの企業をかかえる世界No.1の米国市場へ投資することを意味する。

このファンドは、世界最大級の投資会社バンガードのバンガードS&P500ETFを通してS&P500の構成銘柄に投資している。信託報酬は、0.1%を下回る最低レベルを実現している。

3.一般NISAで買える投資信託のトータルリターンランキングと投資信託5選

前述のとおり、NISAの投資信託選びでは「リスク許容度」「投資目的」「各種手数料」の3つがポイントになる。

投資目的は人によって異なり、各種手数料は金融機関によって異なる。リスク許容度に関係するトータルリターンのランキングから、銘柄選びの参考になるよう投資信託を5つ選んでみたい。

NISAで買える投資信託の3年トータルリターンランキングTOP10(SBI証券の場合)

トータルリターンとは、一定期間内に投資から得られるトータルの収益のことだ。トータルリターンは、値上がり益と分配金を再投資したものとして計算される。

NISAの非課税期間である5年間で、リスクを許容してリターンを期待するなら3年のトータルリターンランキングが参考になるだろう。SBI証券におけるNISA対象の投資信託のトータルリターン(3年)ランキングTOP10は、以下のとおりだ。

・SBI証券でのNISA対象の投資信託トータルリターン(3年)ランキングTOP10(2020年7月31日時点)

順位 ファンド名 トータル
リターン
3年(年率)
分類 信託報酬
(税込)
1位 日興-グローバル・
フィンテック株式ファンド
26.50% 国内外株式
アクティブ型
1.925%
2位 One-企業価値成長小型株ファンド
(愛称:眼力)
26.09% 国内株式
アクティブ型
1.595%
3位 三菱UFJ国際-サイバーセキュリティ
株式オープン(為替ヘッジなし)
25.68% 国内外株式
アクティブ型
1.87%
4位 三菱UFJ国際-サイバーセキュリティ
株式オープン(為替ヘッジあり)
25.47% 国内外株式
アクティブ型
1.87%
5位 三井住友DS-グローバルAIファンド 21.38% 国内外株式
アクティブ型
1.925%
6位 三井住友DS-グローバルAIファンド
(為替ヘッジあり)
21.26% 国内外株式
アクティブ型
1.925%
7位 野村-米国NASDAQオープンBコース 20.68% 海外株式
アクティブ型
1.694%
8位 東京海上-東京海上・
ジャパン・オーナーズ株式オープン
20.54% 国内株式
アクティブ型
1.584%
9位 GS-netWIN
GSテクノロジー株式ファンド
Bコース(為替ヘッジなし)
20.43% 海外株式
アクティブ型
2.09%
10位 野村-米国NASDAQオープンAコース 20.34% 海外株式
アクティブ型
1.694%
※SBI証券ホームページより筆者作成

大きなトータルリターンの可能性がある投資信託5選

このランキングに入ったのは主にコロナ禍で基準価額が大きく上昇した投資信託であり、すべてアクティブ型投資信託なので信託報酬は高めである。

大きなトータルリターンを期待する場合に参考になる投資信託5選をピックアップしよう。もちろん「大きなリターン」は、マイナスの可能性もある。

投資信託に投資する際は、内容を理解した上で将来性を考慮し、自己責任で行うようにしたい。

・日興-グローバル・フィンテック株式ファンド

グローバル・フィンテック株式ファンドは、世界(日本を含む)のフィンテック関連企業を中心に投資する投資信託だ。フィンテックには、電子決済やスマホアプリなどでの家計管理、資産運用のロボアドバイザーなどがある。

新型コロナウイルスの感染拡大によってフィンテックによる電子決済などが注目され、フィンテック関連企業の株価が上昇したことがトータルリターンの上昇につがなった。

・One-企業価値成長小型株ファンド(愛称:眼力)

企業価値成長小型株ファンドは、企業価値の成長が期待される日本の小型株へ投資している。「眼力」という愛称のとおり、銘柄を見る目が問われるアクティブファンドだ。

構成銘柄は情報・通信業が中心(2020年7月31日時点)であり、これらの企業の事業内容がコロナ禍にマッチした結果、トータルリターンが上昇したと言えるだろう。

・三菱UFJ国際-サイバーセキュリティ株式オープン(為替ヘッジなし)

サイバーセキュリティ株式オープンは、サイバー(インターネット上の)セキュリティ関連のテクノロジー企業に投資するファンドだ。

新型コロナウイルスによってリモートワークが急増し、デジタルデバイスやネットワークの利用が増えたことで、」サイバーセキュリティが注目されている。

・三井住友DS-グローバルAIファンド

グローバルAIファンドは、AI(人口知能)の進化や応用によって成長が期待される世界の企業に投資するファンドだ。AIはフィンテックや自動運転、VR、セキュリティなど様々な分野で活用されている。

AIも新型コロナウイルスによって重要視されるようになった。例えば、DX(デジタルトランスフォーメーション)によってデータが増えたことで、AIによるデータ処理の必要性が高まっている。

・GS-netWIN GSテクノロジー株式ファンド Bコース(為替ヘッジなし)

GSテクノロジー株式ファンドは、主にテクノロジーの発展により恩恵を受ける米国企業の株式に投資するファンドだ。

このファンドの銘柄選定のポイントは、「優秀な経営陣」「優れた長期見通し」「強固なビジネス・フランチャイズ」。組み入れ上位銘柄には、米国の巨大テクノロジー企業が名を連ねている。

4.一般NISAでも安定した運用を望むならアクティブ型よりインデックス型がおすすめ

一般NISAで投資できる投資信託のトータルリターンランキングは、結果としてアクティブ型に偏った。

アクティブ型投資信託を選ぶなら、相場環境やテーマなどに合致した投資信託を選択できれば良い結果を得られるが、そうでなければ運用成績がインデックス型を下回ることもある。

例えば、「大きなトータルリターンの可能性がある投資信託5選」の投資信託はプラスのリターンを生む可能性があるが、将来大きなテクノロジーの変化があればマイナスのリターンを生む可能性もある。

一般NISA初心者におすすめの投資信託は、つみたてNISAと同様に信託報酬が低いインデックス型の投資信託だ。インデックス型の投資信託を購入することは市場全体に投資することであり、幅広い分散投資になるため長期投資に向いている。

投資初心者は、一般NISAでの投資信託選びでも「つみたてNISA初心者におすすめの投資信託5選」を参考にしてほしい。

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松本雄一
執筆・松本雄一
外資系コンピューター会社にてカスタマーサポート・開発・セキュリティ対策などを経験後に独立。自らの投資経験をもとに株式や投資信託などの投資情報を発信している。興味のある分野はフィンテックや新しい金融商品など。
外資系コンピューター会社にてカスタマーサポート・開発・セキュリティ対策などを経験後に独立。自らの投資経験をもとに株式や投資信託などの投資情報を発信している。興味のある分野はフィンテックや新しい金融商品など。

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