CFDとは差金決済取引のことで、現物資産を実際に取引するのではなく、購入時と売却時の価格の差額を決済する金融商品だ。FXに似た商品性だが、対象は世界中の株価指数やコモディティなど幅広い。この商品のメリットやデメリット、取引するのにおすすめの証券会社などを徹底解説していこう。
目次
1,CFDとは何か?特徴を紹介
CFDの特徴である次の3点を詳しくみていこう。
- 買いと売りの差額で利益を出す
- 世界中の金融商品が取引対象
- レバレッジをかけられる
特徴1,CFDは買いと売りの差額で利益を出す
CFDは、価格が上昇するか下落するかを予想して取引を行う。
顧客は証券会社に証拠金を預けて、CFD取引の新規注文を出してポジションを建てる。
反対売買を行うと、利益または損失が確定し、そのポジションが解消される。
特徴2,世界中の金融商品が取引対象となる
CFDの投資対象となる原資産は、国内外に上場する株価指数、個別の株式銘柄、株価指数先物、コモディティなどがある。
広く知られているFXもCFDの一種であり、対象となる原資産によって、
• 株価指数CFD
• 株式CFD
• 商品(バラエティ)CFD
• 債券CFD
などに分類される。
投資対象が幅広いことは、リスク分散にも役に立ちます。異なる原資産を組み合わせてポートフォリオを組むことで、特定の原資産に偏るリスクを減らすことができます。
特徴3,CFD取引はレバレッジをかけることもできる
資金を追加すればポジションの継続保有ができますが、追加せずに放置していると、ポジションが強制的に決済されて損失が確定されることになります。初心者は、レバレッジを控えめにすると同時に、できるだけ証拠金に余裕をもっておくのが望ましいでしょう。
\CFD対象銘柄は17,000件以上/
2,CFDの2つの取引方法――取引所CFDと店頭CFD
CFDの種類を見る前に、CFDの取引方法を確認しておこう。
CFDの取引方法は「取引所CFD」と「店頭CFD」に分類される。
取引所CFD――取引所で取引される上場CFD
取引所CFDのレートには、多くの場合マーケットメイク方式が採用されている。
マーケットメイク方式では、顧客から注文が入ると、複数の金融機関が取引所に対して価格を提示する。
その中から取引所が売呼値(最も安い売り価格)と買呼値(最も高い買い価格)を抽出し、その時点で最も有利なレートを顧客に提供する。
店頭CFD――顧客と証券会社との相対取引で取引されるCFD
新規建てから決済までの間、証券会社ではポジションリスクを回避するために、顧客から受けた注文と同じ注文をカバー取引先(取引所、提携金融機関など)に流している。
店頭CFDでは、証券会社によってカバー取引先の件数が異なり、一般的にはカバー取引先の件数が多いほど、顧客に有利なレートを提示できると考えられている。
3,CFD取引のおすすめ証券会社6選を比較 自分に合うのはどれ?
まずは店頭CFDの取引ができる6社のサービス概要やスペックなどを、わかりやすく紹介しよう。
店頭CFD取扱証券会社 簡単比較表
対象原資産 | 取扱銘柄数 | 取引手数料 | スプレッド | スマホアプリ | |
詳細はこちら |
株価指数/ ETF、 株式が多い |
139銘柄 | 無料 | 変動制、狭い | CFD取引専用 スマホアプリあり |
詳細はこちら |
株価指数と 商品のみ |
7銘柄 | 無料 | 原則固定、広め | CFD専用Web版 取引ツールあり (スマホ対応) |
詳細はこちら |
ETFのみ (すべて 自動売買) |
26銘柄 | 無料 | 未公表の ため不明 |
統合型取引専用 スマホアプリあり |
詳細はこちら |
商品 (金・銀) のみ |
2銘柄 | 無料 | 普通 | ブラウザ版 取引ツールあり |
サクソバンク 証券 |
株式が多い (日本株含む) |
9,000 銘柄以上 |
株式CFDのみ、 取引手数料が発生 |
未公表の ため不明 |
ブラウザ版 取引ツールあり スマホアプリあり |
IG証券 | 株式が多い (日本株含む) |
1万7,000 銘柄以上 |
株式CFDのみ、 取引手数料が発生 |
時間帯固定、 広め |
統合型取引専用 スマホアプリあり |
証券会社 | 取引 手数料 |
スプレッド | 銘柄数 | ||
---|---|---|---|---|---|
詳細はこちら |
株価指数/ ETF、 株式が多い |
139銘柄 | 無料 | 変動制、狭い | CFD取引専用 スマホアプリあり |
詳細はこちら |
株価指数と 商品のみ |
7銘柄 | 無料 | 原則固定、広め | CFD専用Web版 取引ツールあり (スマホ対応) |
詳細はこちら |
ETFのみ (すべて 自動売買) |
26銘柄 | 無料 | 未公表の ため不明 |
統合型取引専用 スマホアプリあり |
詳細はこちら |
商品 (金・銀) のみ |
2銘柄 | 無料 | 普通 | ブラウザ版 取引ツールあり |
サクソバンク 証券 |
株式が多い (日本株含む) |
9,000 銘柄以上 |
株式CFDのみ、 取引手数料が発生 |
未公表の ため不明 |
ブラウザ版 取引ツールあり スマホアプリあり |
IG証券 | 株式が多い (日本株含む) |
1万7,000 銘柄以上 |
株式CFDのみ、 取引手数料が発生 |
時間帯固定、 広め |
統合型取引専用 スマホアプリあり |
【関連記事】 >>ネット証券の口座開設の流れ3ステップ マイナンバー提出、開設期間、口座の種類などやさしく解説
4,CFD取引をする証券会社選びの5つのポイント 主要6社を比較
店頭CFDは証券会社によって取扱銘柄数や取引ルールなどが異なるため、店頭CFDを扱う証券会社を選ぶ際は、以下の点をチェックしてほしい。
- 取扱銘柄――数だけでなく、興味のある原資産や銘柄が含まれているか
- 取引単位――比較的少額でも取引できるか
- コスト――取引手数料とスプレッドは安いか
- 取引ツール――CFDの専用取引ツールとスマホアプリはあるか
- サポート体制――24時間問い合わせに対応しているか
本項で対象とするのは、国内で店頭CFDを取り扱っている主な証券会社である以下の6社だ。
- GMOクリック証券
- DMM CFD
- インヴァスト証券
- マネーパートナーズ
- サクソバンク証券
- IG証券
以下はすべて、2021年10月6日現在の対象の証券会社ホームページを参照した。
ポイント1,取扱銘柄――数だけでなく、興味のある原資産や銘柄が含まれているか
店頭CFD取扱証券会社のCFD取扱銘柄数と種類
証券会社名 | CFD取扱銘柄数 | 取扱CFDの種類 |
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139銘柄 | ・株価指数/ETF CFD ・商品CFD ・米国/香港株CFD ・バラエティCFD (先物指数、 ハイレバレッジ型ETF、 REIT型ETF) |
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7銘柄 | ・株価指数CFD ・商品CFD |
詳細はこちら |
26銘柄 ※すべて自動売買 |
ETF CFD (トライオートETF) ・米国株式 ・米国債 ・世界株価指数 ・商品 ・日経225、TOPIX ・ハイレバレッジ型 |
詳細はこちら |
2銘柄 | ・貴金属(金、銀)CFD |
サクソバンク 証券 |
9,000銘柄以上 | ・株価指数CFD ・商品CFD ・外国ETF/ETN CFD ・日本株/外国株CFD |
詳細はこちら |
1万7,000銘柄以上 | ・株価指数CFD ・商品CFD ・個別株CFD ・債券先物CFD |
DMM CFDとマネーパートナーズは、これまでFXで経験を積んできた投資家がCFDにもチャレンジしたいという場合に、銘柄選びの時間と手間を省いて、気軽に始められる証券会社といえます。
「CFD取引をやってみたいが、裁量取引には自信がない」という人は、インヴァスト証券のトライオートETFに任せるといいでしょう。
ポイント2,取引単位――比較的少額でも取引できる
CFDは原資産によって価格が大きく異なるので、取引単位も原資産ごとに決められており、証券会社ごとに設定されているわけではない。
株式CFDや株価指数CFD、株価指数連動型ETF CFDはCFD価格の1倍ですが、商品CFDは価格によって1倍(金、大豆など)から100倍(天然ガス)まであります。
ポイント3,コスト――取引手数料とスプレッド
国内でCFD取引ができる主要6社では、取引手数料は一部銘柄(株式CFD)を除いて無料なので、コストを比較する際はスプレッドを見ることになる。
以下の表は、2021年10月6日15:00~15:15において、6社のホームページで提示されていた代表的な銘柄の株価指数/ETF CFDのスプレッドを比較したものである。
証券会社別スプレッドの比較(株価指数/ETF)
日経225 | 米国30 | ナスダック 100 |
原油 | 金スポット | |
詳細はこちら |
4~8円 | 4~6pips | 0.8~1.3pips | 0.03pips | 0.4pips |
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7.0円 | 3.0pips | 2.0pips | 3.9pips | 1.2pips |
詳細はこちら |
未公表 | ||||
詳細はこちら |
― | ― | ― | ― | 0.9pips |
サクソバンク (変動) |
未公表 | ||||
詳細はこちら (時間帯固定) |
7.0円 | 4.8pips | 2.0pips | 最小2.8pips | 最小0.3pips |
未公表の証券会社もあるため厳密な比較はできないが、対象銘柄を見る限りでは変動制であることを差し引いても、GMOクリック証券のスプレッドの狭さが際立っている。
一般的なCFD銘柄を低コストで運用したい場合は、GMOクリック証券を選んでおくと無難です。
(注)サクソバンク証券とIG証券の株式CFDについては、リアルタイムの市場価格で取引されるためスプレッドが発生しない。その代わり、証券会社に若干の取引手数料を支払う必要がある。
ポイント4,取引ツール――CFDの専用取引ツールとスマホアプリ
CFD取引ツールとスマホアプリ一覧
取引ツール | スマホアプリ | |
詳細はこちら |
・はっちゅう君CFD ・プラチナチャートCFD (高機能チャート) |
・GMOクリックCFD |
詳細はこちら |
・DMM STANDARD ・DMM BASIC ・プレミアチャート (テクニカルチャート) |
・DMM CFDスマホ (Web版取引ツール) |
詳細はこちら |
・パソコン版専用取引ツール (ブラウザ版) |
・スマートフォンアプリ 「トライオート」 |
詳細はこちら |
・クイック発注ボード (ブラウザ版) |
・クイック発注ボード (ブラウザ版) |
サクソバンク証券 | ・SaxoTraderPRO(DL版) ・SaxotraderGO(ブラウザ版) ・TradingView (ブラウザ版、FXと共通) |
・SaxoTraderGO (ブラウザ版) ・専用アプリなし |
詳細はこちら |
・ウェブベースプラットフォーム (ブラウザ版) ・ProRealTimeチャート (チャート分析ツール) |
・スマートフォンアプリ ・タブレット端末アプリ |
対象の6社では、ブラウザ版を中心としたCFD専用取引ツールとCFD専用スマホアプリ、または他の金融商品と共通の高機能取引プラットフォームが用意されている。
外資系のサクソバンク証券とIG証券は、スマホアプリも取引に利用できるが、機能性に優れた取引ツールはぜひとも利用するべきだ。
チャートの確認と発注など、目的を絞り込んで気軽に取引ツールを使いたい人には、DMM CFD、インヴァスト証券、マネーパートナーズの取引ツールがおすすめです。取引ツールもアプリも設計・画面構成がシンプルなので、初心者でも使いこなせます。
取引ツールやスマホアプリについては、証券会社によって機能性や使い勝手がかなり違うので、自分が取引ツールに求めるものを決めることが大切だ。
ポイント5,サポート体制――24時間問い合わせに対応しているか
CFD取引に関する問い合わせ方法と受付時間一覧
証券会社名 | 電話による 問い合わせ |
フォームによる 問い合わせ |
その他の 問い合わせ方法 |
詳細はこちら |
月曜日7:00~ 土曜日7:00 (米国夏時間は 6:00まで) |
随時受付 | ― |
詳細はこちら |
【冬時間】 月曜日 7:00~ 土曜日6:50 【夏時間】 月曜日 7:00~ 土曜日5:50 |
随時受付 | 1.LINEによる 問い合わせ 【冬時間】 月曜日 7:00~ 土曜日6:50 【夏時間】 月曜日 7:00~ 土曜日5:50 2.AIチャット |
詳細はこちら |
【月曜日~金曜日】 9:00~17:00 (土日元日を除く) |
随時受付 | リモート サポートあり |
詳細はこちら |
【月曜日~金曜日】 9:00~17:00 |
随時受付 | 24時間 チャットサービス ※オペレーター対応 【月曜日~金曜日】 9:00~17:00 |
サクソバンク 証券 |
【月曜日~金曜日】 9:00~18:00 (土曜、日曜、 祝祭日、 年末年始を除く) |
【月曜日~金曜日】 9:00~18:00 (土曜、日曜、 祝祭日、 年末年始を除く) |
― |
詳細はこちら |
【月曜日~金曜日】 8:00~21:00 【祝日】 8:00~20:00 (米雇用統計発表日のみ 8:00~23:00 【米夏時間22:00まで】) |
― | メールによる 問い合わせ 【対応時間】 平日9:00~18:00 |
電話による問い合わせの受付時間が長いのは、GMOクリック証券とDMM CFDで、毎週、日本時間の月曜日早朝から土曜日早朝まで、深夜でも電話の問い合わせに対応している。
DMM CFDでは電話だけでなく、LINEでも営業日なら深夜でも問い合わせができる。
CFDは世界中の原資産を投資対象としているため、取引できる時間も長い。深夜に取引することも考えると、深夜でも疑問に答えてくれるサポート体制はありがたい。
GMOクリック証券 のメリット・デメリットは?
GMOクリック証券は、国内CFD市場シェアの約70%を占める。
これからCFD口座を選ぶ人の中には、GMOクリック証券を候補に入れている人も多いだろう。
あらためてGMOクリック証券のCFD口座のスペックや、メリット・デメリットをチェックしてみよう。
GMOクリック証券のCFD口座基本スペック | ||
---|---|---|
CFDの種類 | 株価指数/ETF CFD | 32銘柄(日経225、米国30、米国NQ100など) |
商品CFD | 7銘柄(金スポット、原油、コーンなど) | |
指数先物/ ハイレバレッジ型/ REIT型CFD |
16銘柄(原油ブル2倍ETF、米国VIブルETFなど) | |
株式CFD | 84銘柄(米国株、香港株のみ) | |
計 | 139銘柄 | |
取引手数料 | 全銘柄無料 | |
スプレッド | 変動制、業界最狭水準 ※スプレッドは銘柄ごとに異なる |
|
スマホアプリ対応 | CFD取引専用のスマホアプリあり ・GMOクリックCFD |
・CFD口座としてのGMOクリック証券のメリット
二番目のメリットとして挙げられるのは、バランスの良い銘柄ラインアップと、少なすぎず多すぎない選びやすい銘柄数だ。
GMOクリック証券が厳選した銘柄ばかりなので、潜在的リスクの少ない優良銘柄として、どの銘柄も安心して取引できます。
操作しやすくて、サクサク発注できるCFD専用取引アプリも魅力だ。
少ない操作で取引できるので、休憩中の短い時間を使って投資をする人にも煩わしさがない。
・CFD口座としてのGMOクリック証券のデメリット
メリットの裏返しとなるが、たくさんの銘柄の中から、自分の判断基準で自由に投資対象銘柄を選びたい人には、GMOクリック証券の139銘柄は物足らないと感じる銘柄数かもしれない。
国内の取引所CFD「くりっく株365」の取り扱いがない上に、安全資産としてとらえられている米国債CFDが扱われていないことも、安全志向でCFD投資を考えている人にとっては残念なポイントです。
もう一つのデメリットとしては、ホームページや会員専用ページから入手できる情報が最低限の経済ニュースや開示情報だけにとどまっていること。
投資戦略を学ぶための学習ページやオンラインセミナーなどが設けられていないので、他社で情報収集するなどの対策が必要になる。
5,CFDの5つの種類――株価指数CFD、商品CFD、株式CFD、ハイレバレッジETF型CFD、債券CFD
CFDはその原資産によって分類されるが、証券会社によって分類方法や取扱銘柄、取扱数は大きく異なる。
国内のCFD取引でシェアトップのGMOクリック証券のホームページに掲載されている「CFD取扱銘柄」などを参考に、原資産別の代表的な5種類のCFDや特徴、それに属する銘柄例を紹介しよう。
なお、FXも外国為替を原資産とするCFDの一種であるが、本項では除外する。
CFDの種類と銘柄名称
分類 | 原資産(投資対象)の一例 | CFD銘柄の名称(例) |
---|---|---|
株価指数CFD/ 株価指数連動型 ETF CFD |
日経225先物 | 日経225 |
ダウ平均株価先物ミニ | 米国30 | |
米国VIX指数 | 米国VI | |
FTSE100先物 | イギリス100 | |
ETF/ETN | 台湾株価指数ETF | |
商品CFD | 金のスポット取引 | 金スポット |
WTI原油先物 | 原油 | |
コーン先物 | コーン | |
株式CFD | 日本株式 | ソフトバンクグループ |
外国株式 | Amazon レノボ・グループ |
|
バラエティCFD | ハイレバレッジ型ETF/ ETN REIT型ETF その他指数先物 |
原油ベア2倍ETF 新興国ブル3倍ETF グローバル不動産ETF 米国VI |
債券先物CFD | 国内外国債 | 各国国債 |
株価指数CFD――国内で最も一般的なCFD、株価指数連動型ETF CFDも
国内では、東京金融取引所に上場している取引所CFDの「くりっく株365」(日経225、NYダウ、DAX、FTSE100)が有名である。
国内でCFDを取り扱う証券会社なら、多くの場合株価指数CFDを取引することができます。
商品CFD――株価下落時やインフレ時のリスクヘッジに適している
とりわけ、実物資産の代表である金を原資産とした金スポットCFDは、インフレや株価下落の際のリスクヘッジとして好まれています。
原資産は現地通貨で取引されているが、CFDであれば円建てで取引できるのも特徴だ。
株式CFD――レバレッジをきかせた取引や配当分の受け取りができる
投資対象が株式なので、その株に配当が支払われる際は、CFDでは「権利調整額」として配当分を受け取ることができます。
バラエティCFD――ハイレバレッジ型ETFやREIT型ETFを原資産とする CFDも
ハイレバレッジ型ETFは、株価指数の値動きの2倍あるいは3倍といった投資成果を目指して運用されるETFだ。ハイレバレッジ型ETF CFDへの投資では、一般的な株価指数連動型ETFよりも利益や損失が大きくなる。
REITはもともと分配金利回りが高い商品なので、REIT型ETF CFDでも高めの権利調整額を期待できる。インカムゲインを目的とした投資にも適している。
債券CFD――原資産は国内外の主要国の国債
金利下落時には債券価格が上昇する逆相関関係を利用した、リスクヘッジ手段としても利用できる。
ただし、国内で国債のみを原資産とする債券CFDを扱う証券会社はIG証券だけであり(実際の投資対象は国債先物)、流通量は少ない。
サクソバンク証券やインヴァスト証券では、国債単体ではなく、米国債も組み込んだ債券ETFを原資産とするCFDを提供しています(※インヴァスト証券が扱う債券ETFは自動売買のみ)。
6,CFD取引5つのメリット
ここからは、混同しやすい現物取引やETF、先物取引などと比較しながら、CFDを選ぶ主なメリットを5つ挙げてみたい。
- 世界中のさまざまな資産が投資対象なのでリスク分散ができる
- 差金決済&レバレッジ効果で資金を効率的に運用できる
- さまざまなコストを抑えられる
- 限月がなく取引単位も小さいので、先物取引より扱いやすい
- 売りから入ることができる
メリット1,世界中のさまざまな資産が投資対象なのでリスク分散ができる
FXの投資対象が外国為替だけであるのに対して、CFDの投資対象は幅広い。
上場株式や株価指数、ETF、原油、天然ガス、大豆、金など、バラエティに富む。
メリット2,差金決済&レバレッジ効果で資金を効率的に運用できる
CFDは差金決済取引なので、実際に受け渡しされるのは差額分だけだ。
また、レバレッジをきかせて取引ができる金融商品なので、少額の証拠金を差し入れるだけで、その数倍の金額の取引ができる。
メリット3,さまざまなコストを抑えられる
CFDは手数料が無料あるいは低く抑えられており、その他の費用も限定的な低コストの金融商品である。
株価指数連動型ETFの現物を取引する場合、株式取引と同様に売買手数料がかかり、保有期間中は毎年信託報酬を支払うことになる。
これに対して、株価指数CFDや株価指数連動型ETF CFDでは信託報酬が発生しない。
さらに、GMOクリック証券やサクソバンク証券のように、株価指数CFDや株価指数連動型ETF CFD の取引手数料を無料に設定している証券会社もあります。
信用取引の空売りでは、想定外のコストとして逆日歩(ぎゃくひぶ)が発生することがある。
CFDは株の受け渡しがない差金決済取引なので、売りでも逆日歩は発生しない。
メリット4,限月がなく取引単位も小さいので、先物取引より扱いやすい
指数先物や商品先物には限月(取引できる期限)があり、未決済の建玉は取引最終日を迎えると、投資家にとって不利なレートであっても自動的に決済されてしまう。
CFDは、先物に比べて少ない資金で取引できるのもメリットだ。
同じGMOクリック証券の日経225CFDは、取引単位が「日経225CFD価格×10倍」なので、日経225CFD価格が2万3,000円であれば、約定代金は23万円。レバレッジは10倍なので、証拠金は2万3,000円で済む。
個人投資家にとっては、原資産が同じでも限月がなく、少額で取引できるCFDのほうが、先物取引より扱いやすいといえます。
メリット5,売りから入ることができる
特にCFDが有効なのは、米国株式だ。
国内の主要ネット証券では、米国株式の信用取引ができないため、下落局面においては何も打つ手がない。
米国株式CFDであれば、新規売り注文を出して、価格が十分下がった時点で買い戻せば、利益を得られる。
下落局面でも収益を上げたい人にとって、CFDは非常に役に立つはずです。
7,CFD取引の3つのデメリット・注意点
実際にCFD取引を実際に始める際は、商品特性を理解した上で、以下の3つのデメリット・注意点を押さえておきたい。
- ロスカットの危険性がある
- 取引手数料はどの銘柄でも無料というわけではない
- CFDを取り扱う証券会社が限られる
デメリット・注意点1,ロスカットの危険性がある
レバレッジ取引に慣れていない場合は、とにかくレバレッジ倍率を抑えて取引することが肝要だ。あるいは、預け入れる証拠金に十分な余裕がほしい。
中上級者であれば、価格暴落後に反発することを見越して、必要証拠金に加えて十分な任意証拠金を差し入れて、実質的なレバレッジ倍率を下げてやり過ごすこともできるだろう。
しかし、レバレッジ取引に不慣れならば、レバレッジ倍率を低く設定するだけでなく、あらかじめ自分なりの損切りルールを決めて、自動的に決済されるように条件付注文を入れておくべきです。そのほうが、心理的負担も損失額も少なくて済みます。
デメリット・注意点2,取引手数料はどの銘柄でも無料というわけではない
取引手数料を節約したいなら、投資したい原資産を決めたあと、その原資産のCFDを扱っている証券会社を洗い出して、取引手数料の有無や金額を比較することをおすすめします。
デメリット・注意点3,CFDを取り扱う証券会社が限られる
くりっく株365の愛称で知られる東京金融取引所に上場している取引所CFDは、SBI証券やauカブコム証券、岡三オンライン証券などのネット証券でも取り扱っており、取引しやすい。
しかし、くりっく株365で扱う日経225、NYダウ、DAX、FTSE100といった株価指数CFD以外の株価指数CFDや商品CFD、ETF CFD、株式CFD、バラエティCFDは、国内最大手のネット証券であるSBI証券でも扱っていない。
他に、店頭CFDを取引できるのは、外資系大手のサクソバンク証券とIG証券、自動売買に特化したインヴァスト証券、金と銀CFDを厳選して取り扱っているマネーパートナーズである。
店頭CFDに関しては、国内でのCFDのシェアや実績、安心感を第一に考える場合は、GMOクリック証券の一択になるでしょう。
8,CFD取引にかかる手数料やコストは?代表的なコストを紹介
CFDは、証券会社によって手数料の有無や金額が異なる。
CFDを取引する証券会社を選ぶ前に、CFD取引にかかる手数料や、状況によって追加で発生する手数料を確認しておきたい。
具体的にかかるコストは、次の6つである。
- 取引手数料――証券会社の収入になる手数料
- スプレッド――証券会社の収入となる、買値と売値の差
- オーバーナイト金利――買いポジションで支払うべき金利調整額
- 権利調整額――原資産に配当などが出た場合、売り建てでは支払いが発生する
- 価格調整額――原資産の限月の乗換時に発生する評価損益調整額
- 両替コスト――外貨建てCFDの円換算で発生する目に見えない為替手数料
コスト1,取引手数料――証券会社の収入になる手数料
取引手数料は、CFD取引そのものにかかる手数料だ。
取引を仲介する証券会社に対して、売りと買いの約定代金に一定の料率を掛けて算出した金額を支払う。
主要ネット証券が取り扱っている取引所CFDのくりっく株365については、証券会社ごとに取引手数料が定められています。
コスト2,スプレッド――証券会社の収入となる、買値と売値の差
CFDにおけるスプレッドとは、買値と売値の差額のことだ。
銘柄ごとに証券会社が設定しており、投資家から証券会社に支払われる。
国内で取引されている店頭CFDは、一部を除いて取引手数料が無料なので、実質的なコストはスプレッドだけになります。
コスト3,オーバーナイト金利――買いポジションで支払うべき金利調整額
FXでは、ポジションを翌営業日に持ち越した場合、2国間の金利調整分として1日ごとに受取スワップと支払スワップが発生する。
同様に、CFDのポジションを翌営業日に持ち越すと、ポジションに係る2国間の金利を調整するための金利調整額が毎日発生する。
金利調整額は「オーバーナイト金利」とも呼ばれる。
買いポジションの場合、コストを抑えるためにその日のうちに手仕舞うか、あらかじめオーバーナイト金利を加味したリターンを想定しておくべきです。
コスト4,権利調整額――原資産に配当などが出た場合、売り建てでは支払いが発生する
コスト5,価格調整額――原資産の限月の乗換時に発生する評価損益調整額
CFDには限月がないが、先物のように原資産に限月がある場合、CFDを継続するために期近(きぢか)の先物から期先(きさき)の先物に乗り換える必要がある。
原資産である期近と期先の先物価格を調整するために、CFD保有者が受け取る(あるいは支払う)のが価格調整額である。
コスト6,両替コスト――外貨建てCFDの円換算で発生する目に見えない為替手数料
外貨建てのCFDでは、必要証拠金額や日々の建玉評価額、金利調整額、権利調整額、損益などを算出する際に、所定の外貨換算レート(コンバージョンレート)が適用される。
このレートには、あらかじめ一定料率の両替コストが加味されている。
9,おすすめ人気CFD銘柄ランキングTOP10!
GMOクリック証券では、CFDの売買ランキングを毎月発表している。
実際にCFDを始めたいという人は、まずはこのランキングを参考にしてみるとよいだろう。
順位 | 銘柄名 | 参照原資産/ | 呼値 | 通貨 | 取引単位 |
---|---|---|---|---|---|
取引所 | |||||
1 | 米国 | NASDAQ | 0.1ドル | USD | CFD価格 |
NQ100 | 100先物/CME | の1倍 | |||
2 | 原油 | WTI先物/ | 0.01ドル | USD | CFD価格 |
CME | の10倍 | ||||
3 | 日本225 | 日経225先物/ | 1円 | JPY | CFD価格 |
SGX・CME | の10倍 | ||||
4 | 金スポット | 金のスポット取引 | 0.1ドル | USD | CFD価格 |
の1倍 | |||||
5 | 米国30 | NYダウ先物/ | 1ドル | USD | CFD価格 |
CME | の0.1倍 | ||||
6 | 米国S500 | S&P500先物/ | 0.1ドル | USD | CFD価格 |
CME | の1倍 | ||||
7 | 銀スポット | 銀のスポット取引 | 0.001ドル | USD | CFD価格 |
の10倍 | |||||
8 | 香港H | 香港ハンセン先物/ | 1ドル | HKD | CFD価格 |
HKEX | の1倍 | ||||
9 | 天然ガス | 天然ガス先物/ | 0.001ドル | USD | CFD価格 |
CME | の100倍 | ||||
10 | 上海A50 | FTSE中国 | 1ドル | USD | CFD価格 |
A50先物/SGX | の0.1倍 |
第1位,米国NQ100 ――アメリカのNASDAQ指数に連動
多くの人にとって日本市場の次に親しみやすいのが米国市場であり、市場も盛り上がっていることから人気を集めたと考えられます。
第2位,原油 ――コモディティ市場を代表する資源
コモディティ市場には天然ガス・金・大豆・トウモロコシといった銘柄があるが、その中でも原油は代表的な銘柄といえる。
原油はプランクトンなどの死骸が堆積して年月を経て変化したもので、精製することで石油になる。
原油はガソリンや灯油などの石油製品に加え、プラスチック・合成ゴムなど、多くの化学製品の原料として使われる。原油から作られるものは身近に数多く存在し、現代人にとって不可欠な資源といえる。
第3位,日本225 ――日本を代表する225社で構成される銘柄
株価指数銘柄は、個別銘柄を選ぶ手間が必要ないため、四季報やチャートなどをじっくり見る時間がない人にも向いています。
第4位,金スポット ――インフレ対策にも使われる鉱物資源
金は、古くから投資の対象とされてきた資源だ。
保管にかかる手間がなく、コストを抑えられることから現物市場で発展した。
希少資源として貨幣や宝飾品に利用され、加工性にも優れている。
金はインフレになると価格が上昇しやすく、デフレでは下落しやすい。そのため、インフレ対策としても利用されることがあります。また「有事の金」という言葉もあり、戦争などのリスクが高まると金のニーズも高まります。
第5位,米国30 ――アメリカを代表するダウ平均30社の先物が原資
ダウ平均株価は、多様な業種を代表する30社の株価から算出される株価指数だ。アメリカを代表する30社であるため、世界経済においても代表的な株価指数として常に注目されている。
ダウ平均は、株価の高い銘柄(値がさ株)の影響を大きく受けます。また、構成銘柄数がそれほど多くないことから、個別株の影響も受けやすいです。
第6位,米国S500 ――アメリカS&P500の株価指数に連動
S&P500もダウ平均と同様に、広く知られたアメリカの株価指数だ。NYSE MKT、NASDAQに上場している企業を代表する500社で構成される。工業株400種、運輸株20種、公共株40種、金融株40種で構成され、ニューヨーク市場の時価総額の75%を占める。
S&P500は、アメリカ大型株の値動きを示す指数として、機関投資家も常にチェックしています。S&P500はダウ平均と比べて構成銘柄数が多いため、分散投資効果がより高いと考えられます。
第7位,銀スポット ――多様な目的で利用される金属
銀は、金と同じく、古くから貴金属として利用されてきた鉱物資源だ。
海外では銀食器の人気は非常に高く、フォークやスプーンとして愛用されてきた。
また、銀は電子機器や太陽電池などの工業製品に利用されることも多い。
さらに銀イオンの持つ抗菌性に着目し、除菌スプレーや除菌シートなどに使われることもある。
ただし、銀は金に比べると市場が小さいため、ボラティリティがやや大きいことに注意したい。
第8位,香港H ――香港ハンセン指数に連動する銘柄
香港ハンセン指数はアジアを代表するマーケット指数の一つで、香港証券取引所を代表する33銘柄で構成されている。
香港ハンセン指数以外の中国の代表的な指数には、上海総合株価指数や中国企業指数、レッドチップ指数などがあります。
第9位,天然ガス ――二酸化炭素の排出量が比較的少ないエネルギー資源
原油や石炭と並んで、代表的なエネルギー資源である天然ガス。
世界で消費されるエネルギー資源を資源別に見ると原油33%・石炭28%・天然ガス24%だが、石炭の割合は減少傾向で、原油と天然ガスの割合が増加している。
天然ガスは、原油や石炭と比べて二酸化炭素の排出量が少ない。
さらに、窒素酸化物の発生量が少なく、硫黄酸化物や煤塵(ばいじん)が発生しない。
原油の埋蔵量は中東諸国が多いが、天然ガスは埋蔵エリアに偏りがなく、世界各地に広く存在するのも特徴です。そのため、長期的な安定供給や環境負荷の小ささなどを理由に、今後さらに利用が進む可能性があると考えられています。
第10位,上海A50 ――中国A50指数に連動する銘柄
中国A50指数は中国A株市場の上場銘柄のうち、規模や流動性の大きい50銘柄で構成される。上海取引所および深セン取引所が対象だ。
上海証券取引所には、中国の大企業が多く上場しています。深セン証券取引所は、最先端のIT技術を扱う企業やベンチャー企業が多い。深センが中国のIT特区として発展してきたためです。
世界第2位の経済大国となった中国は経済の回復が早く、2020年はOECD諸国で唯一プラス成長になると予測されている。
ただし中国は、日本や米国などに比べると、情報を入手しにくいため注意が必要だ。
10,CFD投資の方針を決めてから、自分にあった証券会社を選ぼう
取引所CFDを取り扱うネット証券は多いが、店頭CFDを扱っている証券会社は数が限られる。
しかし、店頭CFD取扱会社は数が少ないながら、提供するサービスは特徴的だ。
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どのようなCFD投資をしたいか、方針をしっかりと決めて証券会社を選ぶことが、投資を成功させる第一歩となります。
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2013年より、総合証券とネット証券を使い分けながら、資産運用を開始。2017年から各種WEBサイトのフリーライターとして活動、現在は経済金融系記事を中心に執筆している。
■保有資格
証券外務員一種、二種
投資診断士
2級ファイナンシャル・プランニング技能士
AFP認定者
2013年より、総合証券とネット証券を使い分けながら、資産運用を開始。2017年から各種WEBサイトのフリーライターとして活動、現在は経済金融系記事を中心に執筆している。
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