共働きでも妻が産休・育休中なら「配偶者控除」を受けられる 年末調整が間に合わなかった人は確定申告を

2020.2.25
運用・家計
(写真=Flamingo Images/Shutterstock.com)
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共働きで妻がバリバリ働いており、扶養にも配偶者控除にも無縁だったという人は、産休・育休中に所得控除が受けられることを知らない場合が多い。2018年の税制改正により配偶者控除の範囲が変わり、対象になる世帯が増加した。せっかくの節税のチャンス、使わない手はない。

配偶者控除と配偶者特別控除の違い

まずは配偶者控除と配偶者特別控除について、基本的な情報を押さえておこう。

配偶者控除とは給与所得103万円以下の配偶者を持つ人の税金が安くなる制度

配偶者控除とは納税者に収入のない、または少ない配偶者がいる場合、納税者の総所得金額から一定の控除が受けられる制度だ。生計を1つにしている扶養家族がいる場合、「税金を大目に見てあげましょう」ということだ。

控除対象になる配偶者の合計所得金額が38万円以下、給与のみの場合は103万円以下の場合に限る。合計所得金額とは収入から各種控除を差し引いた金額だ。2020年からは合計所得金額が48万円以下に変更されるが、給与所得控除が65万円から55万円に減額されるので、給与収入103万円以下で実質変更はない。

配偶者控除で所得税から控除される金額は38万円である。節税できるのは38万円に税率を掛けた金額だ。

控除後の所得である所得金額が900万円なら税率は23%、節税額は8万7,400円だ。納税者の所得が高いほど配偶者控除の効果は高い。ただし、2018年の改正により夫に所得制限がかかるようになり、合計所得金額が1,000万円(給与収入1,220万円)を超える場合は対象外になる。

配偶者特別控除とは配偶者の給与所得が201万5,999円以下の人の税金が安くなる制度

よく誤解されるのだが、配偶者の給与収入が103万円を超えても控除がまったくなくなるわけではない。合計所得金額が76万円(給与収入141万円)までは38万円の配偶者特別控除が受けられ、それを超えると徐々に控除額が減っていき、123万円(給与収入201万6,000円)を超えると完全に消滅する。

つまり給与による収入が201万6,000円を超えない限り、配偶者特別控除は受けられる。給与収入が103万円を超えると適用されるのが配偶者特別控除となるだけで、150万円までは満額である38万円控除の対象になる。

配偶者特別控除は納税者本人の収入も控除額に影響する。合計所得金額が900万円(給与収入1,120万円)になると控除は3分の2に、950万円(給与収入1,170万円)になると3分の1と逓減し、1,000万円(給与収入1,220万円)で控除はなくなる。

例えば、納税者の給与収入が1,120万円で配偶者の給与収入150万円なら配偶者特別控除は配偶者控除と同じ38万円の控除が受けられる。夫の給与収入1,170万円と妻の給与収入150万円なら14万円、夫の給与収入1,220万円と妻の給与収入201万円なら控除額は1万円だ。

共働きでも産休・育休中なら配偶者控除・配偶者特別控除が受けられる

配偶者控除は専業主婦のための制度で、共働き夫婦には関係ないと考えられがちだが、共働きでも産休・育休中なら適用される。このことは意外と知られていない。

産休・育休を取得した年の妻の収入が201万5,999円以下なら配偶者控除・配偶者特別控除の対象になる

普段の給与収入が201万6,000円以上ある妻は、夫の扶養に入る必要はなく、配偶者控除や配偶者特別控除とは無縁だ。しかし、出産のために年収が100万円までに減った場合はどうだろう。

例えば、妻が1月から4月まで働いて5月から産休に入った場合や、育休明けで10月から復帰した場合などは、収入が大きく減ることが予想される。その結果、妻の給与収入が103万円以下であれば配偶者控除の対象となり、申請すれば配偶者控除が受けられる。妻の給与収入が105万円から201万5,999円までなら配偶者特別控除の対象だ。ただし、いずれも夫の給与収入が1,220万円以下の場合に限られる。

産休・育休中の手当や給付金は妻の収入とみなされない

産休中は健康保険から「出産手当金」と「出産育児一時金」が、育休中は雇用保険からは「育児休業給付金」が支給されるので、まったくの無収入というわけではない。これらの手当と給与収入を足すと、配偶者控除や配偶者特別控除の対象となる収入の基準を超えてしまうこともあり得るのではないか。

心配は無用だ。出産育児一時金や出産手当金、育児休業給付金は、配偶者控除の対象になるかどうかを判断するための基になる合計所得金額に含まなくて良い。もともとこれらは所得税・住民税が非課税だからだ。つまり、純粋な給与収入のみで103万円や201万6,000円の基準を超えていなければ良いのだ。

例えば、給与収入が100万円で各種手当の合計が150万円だとすると、総収入は250万円だが、給与収入は103万円に満たないので配偶者控除の対象となる。

配偶者控除の節税額……夫の給与収入900万円の場合は10万9,000円

配偶者控除でどのくらいの節税になるのだろうか。夫の給与収入が900万円であるケースを例に試算する。

所得税の控除額38万円×所得税率20%=7万6,000円
住民税の控除額33万円×住民税率10%=3万3,000円
合計10万9,000円

配偶者控除が適用された場合、年間10万円以上の節税になる。産休・育休中に妻が手当以外で何らかの収入を得ない限り、手取りが10万円以上増える計算だ。子供ができて今後何かと出費がかさむ夫婦にとっては、この金額は大きいのではないだろうか。

夫の給与収入が1,120万円以下なら所得税38万円の控除が受けられるが、それ以上1,170万円以下で26万円、1,220万円以下で13万円のように徐々に恩恵が減らされる。1,220万円を超えると完全になくなるので、高所得者は恩恵を受けられない制度ともいえる。

会社員が配偶者控除や配偶者特別控除を受けるためには年末調整で申請

配偶者控除・配偶者特別控除を受けるために必要な手続きについて説明する。

扶養控除の申告書を勤務先に提出

配偶者控除または配偶者特別控除を受けるためには、会社勤めであれば年末調整の書類に記入する必要がある。具体的には「給与所得者の配偶者控除等申告書」だ。毎年10月から11月ごろ、勤務先から配布される。

提出者は納税者、つまり妻が出産するなら夫が行うことになっている。提出時期はその年最後の給与を受け取る日の前日までだが、職場によって異なるので該当部署に確認すると良いだろう。

配偶者控除等申告書の記入方法

申告書には納税者の個人情報や合計所得金額の記入欄があるほか、配偶者のその年中の合計所得金額を記入する欄がある。金額は見込額でかまわない。両者の所得状況を組み合わせて、区分表を参考に控除額の計算を行い、配偶者控除または配偶者控除の額を記入する。

収入額から合計所得金額を算出する方法は裏面に記載がある。慣れないうちはなかなかわかりにくい内容になっているので、職場の担当者に確認するか、国税庁の「給与所得者の配偶者控除等申告書の記載例」を参考にすると良い。

給与収入以外の収入がある場合

「給与所得者の配偶者控除等申告書」の「配偶者の合計所得金額(見積額)」には(1)給与所得の他、(2)事業所得、(3)雑所得、(4)配当所得、(5)不動産所得、(6)退職所得といった欄が設けられている。

例えば、副業などで一定の安定収入がある場合、事業所得として申告する必要がある。常にではないものの文筆業などで原稿料を得ることがある場合は雑所得に該当する。いずれも金額は必要経費を差し引いたものを記入する。

すべての所得金額を合計し配偶者の合計所得金額を計算したら、納税者である夫の合計所得金額と組み合わせて該当する控除額の区分をはじき出すところは給与収入のみの場合と同じだ。

配偶者控除の申告書が年末調整に間に合わなかった場合は確定申告を

会社員が年末調整での手続きに間に合わなかった場合や自営業の人などは、確定申告による還付申告で控除を受けることができる。

確定申告書の書き方

配偶者控除の申告書が年末調整に間に合わなかった場合は、翌年の確定申告で還付申告を行う。

確定申告書は、国税庁の「確定申告書等作成コーナー」で作成することができる。申告書の書き方は以下だ。
  • 「所得税の確定申告書A様式第一表」を選択
  • 住所・氏名・個人番号などの情報を記入
  • 「所得から差し引かれる金額」の中にある「配偶者(特別)控除」の欄に控除金額を記入
  • 第二表の「⑫~⑬配偶者(特別)控除」の欄に配偶者の氏名・生年月日・個人番号を記入
  • 配偶者控除または配偶者特別控除のいずれかにチェックを入れる
  • 添付書類を貼り付けて税務署に提出
配偶者控除は満額で38万円だ。確定申告書の作成の際にはマイナンバーカードまたはマイナンバー通知書、身分証明書、源泉徴収票が手元に必要だ。

配偶者控除の還付申告は過去5年までさかのぼれる

還付申告は確定申告の時期(2020年なら2月17日~3月16日)以外でも申告可能なので、いつでもできるときに行っておくと良い。過去に共働きの妻が産休・育休で、条件に当てはまるにもかかわらず配偶者控除をしていなかった場合でも、過去5年までさかのぼって還付申告できる。

ただし、適用される税法は当時のもので、2017年以前の配偶者控除を申告する場合、配偶者控除は年間の給与所得103万円以下、配偶者特別控除は年間141万円以下になるので注意したい。

配偶者控除など税制の恩恵は最大限に利用しよう

共働き家庭は専業主婦家庭に比べて配偶者控除になじみがないことが多く、つい見逃しがちだ。共働きでも産休・育休中で収入が少ない場合は、配偶者控除の対象となることを覚えておこう。

文・篠田わかな(フリーライター・ファイナンシャルプランナー)
 

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