iDeCo(イデコ)の8つのデメリット 中途解約、手数料、元本割れの危険など

2019.1.9
FINANCE
(写真=Merla/Shutterstock.com)
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個人型確定拠出年金iDeCo(イデコ)は、老後資金を用意する上でメリットが多い。iDeCoの掛金は全額「所得控除」され、減税分がお得になる。運用中に得た利益は非課税となり、満期に受け取る際も税金の優遇がある。様々なメリットがあるiDeCoだが、決して万能ではない。iDeCoの8のデメリットを押さえ、老後資金の準備に役立てたい。

デメリット1――iDeCo(イデコ)で運用中の資金は原則として60歳まで引き出せない

iDeCoは老後の資金を作るための制度なので、原則として60歳まで資産を引き出すことができない。国民年金や厚生年金などと同様に、支給年齢まで受け取ることができないのである。

資金を途中で引き出せないため、無理に高い掛金を設定するのはおすすめできない。無理な掛け金は、生活資金や子供の教育資金、住宅ローンの返済資金などに支障をきたす可能性がある。iDeCoなどの年金と教育資金や住宅資金などは目的が異なるため、別々に考えて計画的に用意すべきである。

デメリット2――iDeCo(イデコ)は原則として中途解約ができない

60歳まで資金を引き出せないだけでなく、原則として中途解約もできない。解約して「脱退一時金」をもらうには、次の条件をすべて満たす必要がある。
  • 国民年金の保険料免除者であること
  • 障害給付金の受給者でないこと
  • 通算の拠出期間が1ヵ月以上3年以下、または年金資産額が25万円以下
  • 企業型確定拠出年金かiDeCoの資格を失ってから2年以内
  • 企業型確定拠出年金の資格を失ったときに脱退一時金の支給を受けていないこと
これらの条件をすべて満たした場合のみ解約が可能となり、脱退一時金を受け取ることができる。

失職や病気で働けなくなった場合でも、iDeCoの解約にはこれらの条件が必要となる。なお、iDeCoの掛金の拠出をやめても手数料の徴収は続く。

デメリット3――iDeCo(イデコ)の口座開設や維持に手数料がかかる

iDeCoのデメリットの一つとして、口座開設や維持に手数料がかかることが挙げられる。ここでは、iDeCoに掛金を拠出し続ける場合の手数料を紹介しよう。

iDeCoの口座開設や「企業型確定拠出年金からiDeCoへ移換」する場合には、国民年金基金連合会へ2,777円を支払うことになる。また、毎月の手数料として国民年金基金連合会などに167円を払い続ける。金融機関によってはさらに別の手数料が追加されることもあるので、iDeCoの金融機関を選ぶ際には手数料を確認しておきたい。

口座の手数料については、通常は掛金の所得控除による減税分で補える金額であり、金融機関による特別な手数料がなければ特に気にする必要はないだろう。

上記の口座の手数料に加え、投資信託などの運用商品の維持費(信託報酬)もかかる。維持費は運用商品によって異なるため、iDeCoを利用する金融機関の運用商品情報を確認しておこう。

なお、iDeCo口座へ掛金を拠出しない場合や、60歳以降に給付を受ける場合などは手数料が異なる。それらについては、金融機関のiDeCoの手数料の情報を参照してほしい。

デメリット4――運用を自分で決定する必要がある

iDeCoは運用商品と資産の割り当てを自分で選ぶ必要があり、選び方によって将来受け取る金額が大きく変わる可能性がある。ポートフォリオ(資産配分)を自分で決定するには、ある程度投資の知識が必要になるだろう。

まったくの投資初心者であれば、簡単な質問に答えるだけで運用プランを提案してくれる「ロボアドバイザー」を利用する手がある。

ポートフォリオは一度決めればいいわけではなく、運用環境や年齢などの変化に応じて見直すことが大切だ。iDeCoの運用について継続的に学び、将来納得できる運用結果を残せるようにしたい。

デメリット5――iDeCo(イデコ)は運用成績によっては元本割れになる

ポートフォリオを組んだ商品のパフォーマンスが良くない場合、元本割れのリスクがある。

少しくらいの元本割れであれば、iDeCo掛金による減税分でカバーできる場合もある。しかし大きく下落した場合には、減税分を考慮しても損失が出ることもある。

iDeCoの運用商品の中には、投資信託以外にも元本保証型の定期預金などが用意されていることが多い。市場心理が悪化した場合など、ポートフォリオに元本保証型や低リスクの債券型などの商品を組み込むことでリスクをコントロールすることができる。

デメリット6――収入が低い人や控除が多い人にとってはiDeCo(イデコ)の減税メリットが少ない場合も

収入が低く所得税を払っていない人(専業主婦など)には、iDeCo掛金による所得控除の減税メリットはない。

課税所得が低い人が「住宅ローン控除」や「ふるさと納税」などとiDeCoを併用する場合、iDeCo掛金の所得控除により住宅ローン控除を生かしきれないケースも考えられる。その場合には、きちんとシミュレーションをして、iDeCoの減税メリットを生かすことができるか確認しておきたい。

iDeCo掛金による減税メリットが少ない人には、iDeCoよりも「つみたてNISA」をおすすめしたい。つみたてNISAは口座の手数料が不要で、iDeCoと同様に運用益は非課税である。

デメリット7――60歳近くの人が新たにiDeCo(イデコ)に加入する場合はデメリットが大きい

iDeCoは原則として60歳まで受給できないが、60歳になってもiDeCo加入期間が10年に満たない場合は、受給開始年齢が引き延ばされる。iDeCo加入期間と受給開始年齢の関係は次の通りだ。

加入期間
8年以上10年未満……61歳
6年以上8年未満……62歳
4年以上6年未満……63歳
2年以上4年未満……64歳
1月以上2年未満……65歳

60歳以降は掛金を拠出することができないため、所得控除のメリットがなくなる。よって受給開始までに手数料で資金が目減りすることがある。60歳近くでiDeCoに加入する場合には、これらのデメリットを考慮しておきたい。

デメリット8――企業の退職金とiDeCo(イデコ)の資金を受け取る年が重なると税金が増えることも

iDeCoでは、年金や一時金として受け取る金額のすべてが課税対象となる。一時金として受け取る場合は退職所得扱いになり、退職所得控除の範囲内であれば税金はかからない。

iDeCoの一時金としての受け取りとは別に、企業の退職金を同じ年に受け取ると、その両方が退職所得として合算されることになる。合算された退職所得が退職所得控除の控除額を超えると課税される。その場合は、企業の退職金とiDeCoの一時金を受け取る年を変えることで節税できる。

iDeCoを一時金ではなく年金として受け取る方法もあり、どのように受け取るのが得かは人によって違う。iDeCoの受け取り方について迷ったら、専門家に相談することをおすすめする。

ここまでiDeCoの様々なデメリットを確認してきた。iDeCoは万能な年金システムではないが、多くの人にとってはメリットが大きい。これらのデメリットを押さえた上で、既にiDeCoに加入していればポートフォリオの見直しを、未加入であれば老後の資金づくりにiDeCoへの加入を検討したい。

文・松本雄一(ビジネス・金融アドバイザー)
 

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