「好調な米国株式に投資したいが、どの銘柄を買えばよいかわからない」という人は多いだろう。米国株式指数に連動するインデックス型投資信託なら、リスクや手数料を抑えつつ市場全体に投資できる。ここでは、具体的な銘柄をテーマごとにランキングにした。

【目次】
1.米国株式投資信託とは
2. 米国株式のおすすめインデックス型投資信託は?「純資産総額」「信託報酬」「リターン」の3つのポイントごとにランキング!
3.米国株式投資信託を買う際のポイント

1.米国株式投資信託とは

投資信託には、特定の国や地域に特化した商品が多くある。米国株式を対象とする投資信託も、その一つだ。

米国株式指標はいずれも最高値更新

米国株式市場の指標であるダウ平均株価やS&P総合500種、ナスダック総合指数は、2021年2月に最高値を更新した。好調な企業決算や、新型コロナウイルス経済対策が好感されている。

特に大型ハイテク株への資金流入には勢いがあり、時価総額ランキングではアップル、マイクロソフト、アマゾン・ドット・コム、グーグル、フェイスブックなどの「ビッグ・テック」と呼ばれる銘柄が上位を占める。

投資家から資金を集めて運用方針に沿った商品に投資し、投資家に利益を還元する投資信託は、幅広い銘柄に少額を投資したいと考える個人にはうってつけだ。「米国株式に投資したい」「成長が見込めるアジア株に投資したい」「世界全体にまんべんなく投資したい」「株式だけでなく債券やREITもバランスよく保有したい」と考えているが具体的な方法がわからない人にとって、投資信託ほど便利な商品はないだろう。

米国株式指標に連動するインデックス投資信託

米国株でも、個別株ではなく市場全体に投資すれば、各企業の特殊事情に左右されず安定的に運用できる。投資信託で市場全体に投資するには、インデックス型ファンドを選べばよい。

インデックス型ファンドはアクティブ型より手数料が低めで、市場に逆行するような極端な動きがない。米国株式投資信託がベンチマークとする主な指標は、以下のとおりだ。

・S&P500
・NYダウ
・NASDAQ100
・MSCI北米
・FTSE World北米
・CRSP USトータル・マーケット・インデックス

特にS&P500は50年以上の歴史があり、米国市場を代表する有名なインデックスで、連動するETFや投資信託は約20本だ(投資信託協会検索サイトより)。 S&P500を対象とする投資信託は、手数料が比較的低いことでも知られている。

2.米国株式のおすすめインデックス型投資信託は?「純資産総額」「信託報酬」「リターン」の3つのポイントごとにランキング!

米国株式に連動する投資信託では、どのような商品が支持されているのだろうか。投資信託選びの際に重要なポイントである「純資産総額」「信託報酬」「リターン」の3つの視点でランキングを作成した。それぞれ上位5本を紹介しよう。

インデックス型米国株式投資信託の純資産総額ランキングTOP5

純資産総額はファンドの規模を表し、資金流入が増えるか金融商品の価格が上がると純資産総額は高くなる。逆に、資金が流出するか金融商品の価格が下がると純資産総額は低くなる。

格付会社モーニングスター社の投資信託検索機能で調べた、純資産総額が高いインデックス型米国株式投資信託は以下の5本だ(2021年2月22日時点)。

ファンド名 運用会社名 リターン
(3年)※
信託報酬等
(税込)
純資産額
(百万円)
eMAXIS Slim米国株式
(S&P500)
三菱UFJ国際 - 0.10% 284,167
楽天・全米株式
インデックス・ファンド
楽天 11.10% 0.16% 206,541
SBI・バンガード・S&P500
インデックス・ファンド
SBIアセット - 0.09% 130,898
SMTAM ダウ・ジョーンズ
インデックスF
三井住友TAM 5.54% 0.76% 49,440
iFree NYダウ・
インデックス
大和 5.89% 0.25% 21,584
※運用期間が3年に満たない場合は空欄
※筆者作成

「eMAXIS Slim米国株式(S&P500)」は、三菱UFJ国際が展開する人気インデックスファンドシリーズの一つだ。設定は2018年7月と後発ながら、純資産総額ではトップを走る。信託報酬の低さが人気の理由だが、シリーズ全体で「投信ブロガーが選ぶ!Fund of the Year 2020」で5本が受賞するなど、投資家からの信頼がうかがえる。

2位の「楽天・全米株式インデックス・ファンド」は、CRSP USトータル・マーケット・インデックスに連動する。大型株中心のS&Pとは異なり、中小株を含めた米国株式全体をカバーする指数だ。

「ダウ・ジョーンズ(ダウ)」はアメリカの主要30銘柄を対象とした平均株価で、ボーイング、アップル、ゴールドマン・サックスといった優良銘柄が採用されている。

インデックス型米国株式投資信託の信託報酬ランキングTOP5

インデックス型投資信託を検討する際は、運用中にかかる費用も比較したい。利益を出すには、ある程度の期間が必要だからだ。長期になるほど保有コストは高くつく。

同じ指標に連動するファンドのリターンはほぼ同じなので、コストが安い投資信託のほうが有利である。米国株式投資信託を信託報酬の低い順でランキングにしたのが以下の表だ。

ファンド名 運用会社名 リターン
(3年)※
信託報酬等
(税込)
純資産額
(百万円)
SBI・バンガード・S&P500
インデックス・ファンド
SBIアセット - 0.09% 130,898
eMAXIS Slim米国株式
(S&P500)
三菱UFJ国際 -- 0.10% 284,167
楽天・全米株式
インデックス・ファンド
楽天 11.10% 0.16% 206,541
楽天・米国高配当株式
インデックス・ファンド
楽天 2.71% 0.19% 3,508
つみたて米国株式
(S&P500)
三菱UFJ国際 -- 0.22% 179
※運用期間が3年に満たない場合は空欄
※筆者作成

「SBI・バンガード・S&P500インデックス・ファンド」は、現時点で信託報酬が最も低い米国株式ファンドだ。信託報酬が年率0.1%を切っており、米国株式投資信託の信託報酬の平均1.49%を大きく下回っている。純資産総額ランキングでトップの「eMAXIS Slim米国株式(S&P500)」はそれに次ぐ低さだ。

「楽天・米国高配当株式インデックス・ファンド 」と「つみたて米国株式(S&P500)」は、信託報酬では評価が高いが、純資産総額はあまり高くない。設定からあまり時間が経っていないこともあるが、規模が小さい投資信託は安定性において不安が残る。

インデックス型米国株式投資信託のリターンランキングTOP5

投資の目的は利益を得ることなので、投資信託のトータルリターンの比較も欠かせない。リターンは短期や長期など、切り取る期間によって大きく変わるが、今回は3年リターンを基準にしてランキングにした。

ファンド名 運用会社名 リターン
(3年)※
信託報酬等
(税込)
純資産額
(百万円)
iFree NEXT FANG+
インデックス
大和 33.69% 0.78% 16,784
楽天・全米株式
インデックス・ファンド
楽天 11.10% 0.16% 206,541
iFree S&P500
インデックス
大和 10.41% 0.25% 20,054
米国株式
インデックス・ファンド
ステート・S 10.18% 0.50% 6,478
iシェアーズ
米国株式インデックス
ブラックロック 10.14% 0.41% 5,620
※筆者作成

大和アセットマネジメントの「iFree NEXT FANG+インデックス」は、リターンにおいては群を抜いている。連動する指数である「NYSE FANG+指数」がコロナショック後に大きく上昇したためで、上昇率はS&P500やMSCI KOKUSAI(先進国株式指数)より大きい。3年リターンは33.69%、1年リターンは84.64%だ。

「NYSE FANG+指数」は、フェイスブック、アップル、アマゾン・ドット・コム、ネットフリックス、グーグル、アリババ、バイドゥ、エヌビディア、テスラ、ツィッターの10銘柄で構成される。「iFree NEXT FANG+インデックス」は、米IT大手5社「GAFAM」の好調の恩恵を受けている。

3~5位の3銘柄は、すべてS&P500に連動する。CRSP USトータル・マーケット・インデックスをベンチマークとする「楽天・全米株式インデックス・ファンド」は、その3銘柄よりわずかにリターンが高い。同じ米国株式投資信託でも、連動する指数によってリターンが変わることがわかる。

3.米国株式投資信託を買う際のポイント

3つのランキングを見るとわかるように、投資信託を1つの切り口だけで選ぶのは難しい。自身の投資スタイルに合う、バランスの取れた銘柄を見極める必要があるからだ。

米国株式は今後も好調が予想されているが、市場に絶対はない。2020年10~12月期決算でGAFAMの業績は過去最高を更新したが、今後もそれが続く保証はない。

米国株式が不調に転じた時に備えて、アジアをはじめとする新興国株式や日本株式、あるいは債券やREITなど、米国株式とは異なる資産カテゴリの商品も保有しておきたい。

篠田わかな
執筆・篠田わかな
外資系経営コンサルティング会社で製造・物流・小売部門のコンサルタント業務/システム改革プロジェクトに参画。退職後独学でFP技能士の資格を取得。開業して個人事業主となり、マネー・ビジネス分野の執筆、企業からの請負業務を手がける。
外資系経営コンサルティング会社で製造・物流・小売部門のコンサルタント業務/システム改革プロジェクトに参画。退職後独学でFP技能士の資格を取得。開業して個人事業主となり、マネー・ビジネス分野の執筆、企業からの請負業務を手がける。

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