IPO(新規公開株式)は初心者でも儲けやすい投資として人気がある。ただしIPO株を買うためには、一般的に申し込み証券会社での抽選に当選しなくてはならない。当選しやすいおすすめの証券会社や、IPO株購入資金を用意するタイミングなどについて解説しよう。

目次

  1. 1,IPO投資のおすすめ証券会社を選ぶ3つのポイント
  2. 2,IPOの「取扱銘柄数」の多いおすすめネット証券ランキングTOP5
  3. 3,IPOの「主幹事実績」があるおすすめネット証券会社2選
  4. 4,IPOの「抽選方法」でネット証券会社を選ぶ3つのポイント
  5. 5,IPOの抽選では資金を複数の証券口座に分散させて当選確率を上げるのがおすすめ
  6. 6,IPO投資での購入の流れと資金を用意するタイミング
  7. 7,証券会社によってIPO株の購入資金を用意するタイミングが異なる
  8. 8,IPO投資では資金を移動しやすい銀行口座を用意しておくのがおすすめ
  9. IPO投資にネット証券を使う際によくある5つのQ&A

1,IPO投資のおすすめ証券会社を選ぶ3つのポイント

IPO投資におすすめのネット証券会社は?
(画像=MONEY TIMES編集部制作)

IPO投資のために抽選を受けるには、証券会社からのIPO申込が必要だ。

松本 雄一

当選確率を上げるには、複数の証券会社からIPOに申し込むことが有効です。

複数の証券会社からIPOに申し込むには、複数の証券会社に口座を開設する必要がある。

その際、証券会社を選ぶ3つのポイントは次のとおりだ。

  • 取扱銘柄数
  • 主幹事数
  • 抽選方法

IPO投資の証券会社選びのポイント1……「取扱銘柄数」が多ければ抽選機会も多い

証券会社によって、IPOの取扱銘柄数は大きく異なる。

IPOに申し込むには、証券会社がその銘柄を取り扱っている必要がある。

取扱銘柄数が多い証券会社なら、多くのIPO銘柄に申し込みができ、抽選機会が多くなるのでおすすめです。

IPO投資の証券会社選びのポイント2……「主幹事」であれば当選確率上昇を期待できる

幹事証券会社

幹事証券会社とは、IPOで上場する会社を支援する証券会社のこと。

主幹事証券会社

主幹事証券会社とは、幹事証券会社のなかでも、中心としてIPOを支援する証券会社のこと。

IPO株は主幹事証券会社に多く配分される傾向があります。IPOの抽選を主幹事証券会社から申し込むことで抽選対象の株数が増え、当選確率の上昇も期待できます。

IPO投資の証券会社選びのポイント3……「抽選方法」により資金配分を変える

IPOの抽選方法も証券会社によって異なる。

一人一票の平等抽選を採用していたり、申込株数や取引手数料などによって、抽選が有利になったりする証券会社もある。

さまざまな証券会社に口座を持ち、抽選方法によって資金の配分や活用を考えることが有効です。

2,IPOの「取扱銘柄数」の多いおすすめネット証券ランキングTOP5

IPO投資におすすめのネット証券会社は?
(画像=MONEY TIMES編集部制作)

IPOの証券会社選びのポイント1で紹介した「IPOの取扱銘柄数」が多いネット証券ランキングを1位から5位まで紹介しよう。

先に述べたように、IPOの抽選に多く申し込んだほうが当選の機会が増えるので、取扱銘柄数が多いネット証券の口座開設を検討したい。

ネット証券 IPO取扱い銘柄数
2017年 2018年 2019年 2020年
1 SBI証券 85本 86本 84本 85本
2 マネックス証券 49本 50本 45本 50本
3 岡三オンライン証券 24本 50本 37本 39本
4 楽天証券 7本 11本 26本 38本
5 松井証券 14本 9本 21本 18本
※2021年9月30日時点の各社ホームページSBI証券楽天証券松井証券マネックス 証券岡三 オンライン 証券)を元に作成


IPO取扱銘柄数の多いネット証券1位……SBI証券

IPO投資におすすめのネット証券会社は?

ネット証券に限らず日本の全証券会社のなかで、IPO取扱銘柄数がトップレベルなのはSBI証券だ。

松本 雄一

SBI証券は「IPOチャレンジポイント」という独自のポイント制度があります。貯めたポイントを使うことでIPOの抽選が有利になります。

出典:SBI証券『IPOチャレンジポイント』

SBI証券
IPO取扱銘柄数
2020年 2019年 2018年 2017年
85本 84本 86本 85本
※2021年9月30日時点のホームページSBI証券を元に作成


>>SBI証券の口座開設はこちら

IPO取扱銘柄数の多いネット証券2位……

マネックス証券の2020年IPO取扱銘柄数は50と全銘柄数93のうちおよそ半数超の取り扱いがあった。

松本 雄一

マネックス証券では、取り扱う新規公開株をメールで知らせるサービス「新規公開・公募株アラートメール」も提供しています。

出典:マネックス証券『新規公開・公募株アラートメール』

マネックス証券
IPO取扱銘柄数
2020年 2019年 2018年 2017年
50本 45本 50本 49本

>>マネックス証券の口座開設はこちら

IPO取扱銘柄数の多いネット証券3位……岡三オンライン証券

岡三オンライン証券の2020年IPO取扱銘柄数は39と全銘柄数93のうち約4割の取り扱いがあった。

松本 雄一

岡三オンライン証券ではIPO申込時の事前入金が不要であり、気軽に申し込みできるのも特徴です。

岡三オンライン証券
IPO取扱銘柄数
2019年 2018年 2020年 2017年
39本 37本 50本 24本

>>岡三オンライン証券の口座開設はこちら

IPO取扱銘柄数の多いネット証券4位……楽天証券

楽天証券の2020年IPO取扱銘柄数は38と全銘柄数93のうち約4割の取り扱いがあった。

松本 雄一

楽天証券は、年々IPO取扱銘柄数が増えており、今後の取扱数増加も期待できます。

楽天証券
IPO取扱銘柄数
2020年 2019年 2018年 2017年
38本 26本 11本 7本

>>楽天証券の口座開設はこちら

IPO取扱銘柄数の多いネット証券5位……松井証券

松井証券の2020年IPO取扱銘柄数は18本と全銘柄数93のうち約2割超の取り扱いがあった。

松本 雄一

松井証券はIPO申込時の事前入金が不要です。

松井証券
IPO取扱銘柄数
2020年 2019年 2018年 2017年
18本 21本 9本 14本

>>松井証券の口座開設はこちら

3,IPOの「主幹事実績」があるおすすめネット証券会社2選

IPOの主幹事は対面型証券会社が務めることが多い。

ネット証券で主幹事実績があるのは一部の証券会社だけだ。

主幹事実績がある、おすすめのネット証券会社は以下だ。

主幹事実績があるネット証券の代表はSBI証券

SBI証券.jpg
松本 雄一

SBI証券は近年10銘柄前後のIPO主幹事実績があります。2019年のIPO主幹事数は6銘柄で、2020年は15銘柄でした。今後、SBI証券が主幹事を務めるIPO銘柄がさらに増えることが期待できます。

>>SBI証券の口座開設はこちら

グループ証券会社がIPO主幹事実績のあるネット証券はau カブコム証券

auカブコム証券(旧カブドットコム証券)は同グループに三菱UFJモルガン・スタンレー証券がある。

松本 雄一

三菱UFJモルガン・スタンレー証券が主幹事の銘柄は、auカブコム証券にIPO株が多く配分される可能性があります。

>>au カブコム証券の口座開設はこちら

4,IPOの「抽選方法」でネット証券会社を選ぶ3つのポイント

IPO投資におすすめのネット証券会社は?
(画像=MONEY TIMES編集部制作)

IPOの抽選は証券会社によりさまざまだ。

自分に適した抽選方法の証券会社を選ぶための3つのポイントを紹介する。

  • 一人一票の平等抽選
  • 申込株数に応じてIPOの抽選権利が増える
  • 株などの取引が多ければIPO抽選が有利になる

⑴一人一票の平等抽選の証券会社なら限られた資金でも不利ではない

IPO投資をする多くの人は限られた資金での申込になり、IPOの申込株数にも限りがある。

一人一票の平等抽選を採用するネット証券なら、限られた資金でもIPOの抽選で不利にならない。

資金やIPOの申込口数に関係なく、一人一票の平等抽選であるネット証券会社は以下だ。

出典:マネックス証券auカブコム証券GMOクリック証券松井証券SBIネオトレード証券

松本 雄一

SBIネオモバイル証券も一人一票の平等抽選を採用していますが、若年者などが優遇される制度になっています。また、SBIネオモバイル証券は「ひとかぶIPO」という制度を採用しており、1株単位から購入できるのも特徴です。

出典:SBIネオモバイル証券『ひとかぶIPOサービス概要』

⑵申込株数に応じてIPOの抽選権利が増える証券会社は資金の多い人が有利

資金に余裕があれば、IPOの申込株数を増やすことで抽選が優位になるネット証券会社がある。

申込株数に応じて、抽選権利が増えるネット証券は以下の2つだ。

  • SBI証券
  • 楽天証券

>>SBI証券の口座開設はこちら

⑶株などの取引が多ければIPO抽選が有利になる証券会社もある

株など過去の取引により手数料などが多ければ、IPO抽選で有利になる証券会社がある。

  • 岡三オンライン証券
松本 雄一

岡三オンライン証券は、取引手数料や信用取引残高により3段階のステージ制で抽選されます。この証券会社では、資金が多く取引をたくさん行っている人がIPO抽選で有利になります。

出典:岡三オンライン証券

先述のとおり、SBIネオトレード証券も一部、ステージ制抽選を採用している。

5,IPOの抽選では資金を複数の証券口座に分散させて当選確率を上げるのがおすすめ

IPO投資におすすめのネット証券会社は?
(画像=tadamichi/stock.adobe.com)

個人投資家が上場前のIPO株を公募価格(公開価格)で購入するには、IPO抽選で当選を狙うのが一般的だ。

複数の証券会社からIPOに申し込むことは当選確率を上げることになります。複数の証券会社に口座を持つ場合は、各証券口座に資金が分散するため資金配分が重要です。

IPOの抽選では、資金を用意するタイミングが証券会社によって異なることにも気を付けたい。

証券会社によっては、IPO申込時点で「購入希望価格×申込株数」の購入資金が必要になる場合もある。

6,IPO投資での購入の流れと資金を用意するタイミング

IPO投資におすすめのネット証券会社は?
(画像=MONEY TIMES編集部制作)

資金を準備するタイミングを考えるにあたり、IPO株を購入する流れを把握しておこう。

多くの証券会社で採用されているIPOの流れは、(1)ブックビルディング申込、(2)抽選、(3)購入申込の順だ。

なかには、楽天証券、auカブコム証券、GMOクリック証券のように、(1)ブックビルディング申込、(2)購入申込、(3)抽選という流れの証券会社もある。

(1)申込……IPOの抽選を受けるためブックビルディングに申し込む

多くの証券会社では、抽選の対象になるにはブックビルディング(BB)への申し込みが必要だ。

ブックビルディングとは?
ブックビルディングとは「需要申告」とも呼ばれ、株式新規上場時の公募価格を決定する一つの手法である。投資家による需要申告の結果で公募価格が決定する。

ブックビルディングに申し込むには、購入希望する口数(株数)と価格を申告する。

購入希望価格は仮条件という金額の範囲から選ぶ。

松本 雄一

多くのIPO銘柄は、需要が高いため公募価格は仮条件の上限で決まることが多いです。

(2)抽選……IPO株の配分が決定され結果発表

ブックビルディングにより公募価格が決定された後に、IPO株の抽選が行われる。

IPO抽選方法は証券会社によって異なるので、あらかじめ自分が申し込む証券会社の抽選方法を把握しておきたい。

(3)購入申込……IPO株の購入意思を申告する

IPO抽選で「当選」または「補欠当選」になったら、購入申込によりIPO株の購入意思を申告する。

7,証券会社によってIPO株の購入資金を用意するタイミングが異なる

IPO投資におすすめのネット証券会社は?
(画像=MONEY TIMES編集部制作)

IPO株の購入資金を用意するタイミングは、証券会社によって異なる。

大別すると、次の3つだ。

  • ブックビルディング申込時点
  • IPO抽選時点
  • IPO抽選発表後
松本 雄一

資金の拘束や解除されるタイミングも証券会社によって異なります。

IPO申込時点で資金が必要なネット証券会社

以下の証券会社は、IPO申込時点で購入資金を証券口座に用意しておく必要がある。

マネックス証券
落選が決定した時点(抽選日の18時以降)で資金の拘束が解除される。

出典:マネックス証券

楽天証券
ブックビルディング申込時点で資金は拘束されずに、購入申込の時点で拘束される。

出典:楽天証券

auカブコム証券
ブックビルディング申込時点で、申し込んだ株数の買い付け可能額が必要になる。落選すると資金の拘束が解除される。

出典:auカブコム証券

SBIネオモバイル証券
公募価格(発行価格)決定後にIPOの申込を行う。買い付け資金はIPO申込時に拘束される。

出典:SBIネオモバイル証券

IPOの抽選時点から資金が必要になるネット証券会社

以下のネット証券会社は、IPO抽選時点で購入資金を証券口座に用意しておく必要がある。

SBI証券
抽選(公募価格決定日18時以降)までに入金が必要。資金は当選または補欠当選した場合に「公募価格×当選株数」分が拘束され、落選した場合は拘束されない。

出典:SBI証券

GMOクリック証券
抽選が行われる購入申込最終日の15時時点で購入資金を入金しなければならない。

出典:GMOクリック証券

IPO抽選発表後に資金が必要になるネット証券会社

以下のネット証券会社は、当選や補欠当選してから資金を用意すれば良い。

  • 松井証券
  • 岡三オンライン証券
  • ライブスター証券
松井証券
抽選結果を受け、購入申込期間最終日の15時30分時点で購入資金があれば良い。

出典:松井証券

岡三オンライン証券
当選か補欠当選した場合、入金締め切り日の15時までに入金が必要である。

出典:岡三オンライン証券

SBIネオトレード証券
当選か補欠当選した場合、購入申込のときに入金が必要である。

出典:SBIネオトレード証券

8,IPO投資では資金を移動しやすい銀行口座を用意しておくのがおすすめ

IPO投資におすすめのネット証券会社は?
(画像=Blue Planet Studio /stock.adobe.com)

IPO投資は銘柄ごとに取扱のある証券会社が異なる。

状況に応じて、IPO銘柄の取扱がない証券会社から取扱がある証券会社へ資金を移動することも考えられる。

IPOの資金を有効に活用するには、証券会社間の資金移動を円滑に行うことがポイントです。
松本 雄一

たとえば、証券会社間の資金移動は、銀行口座を経由することで手数料が無料になることもあります。IPO投資では、対応する証券会社が多いメガバンクやネットバンクの口座を用意しておくと、資金を移動しやすくなるのでおすすめです。

IPO投資にネット証券を使う際によくある5つのQ&A

IPO投資のために証券会社を選ぶ際のポイントとは?
取扱銘柄数、主幹事数、抽選方法をチェックしよう。

IPOの取り扱い銘柄数が多いネット証券会社は?
IPO取扱銘柄数がトップレベルなのはSBI証券だ。

IPOの主幹事実績があるネット証券会社は?
2021年10月現在、SBI証券、auカブコム証券の2社である。

IPOの当選確率を上げる方法は?
複数の証券会社からIPOに申し込もう。

IPO株の購入資金はいつ用意すべきか?
IPO株の購入資金を用意するタイミングは、大別するとブックビルディング申込時点、IPO抽選時点、IPO抽選発表後の3つあり、証券会社によって異なる。

松本雄一
執筆・松本雄一
外資系コンピューター会社にてカスタマーサポート・開発・セキュリティ対策などを経験後に独立。自らの投資経験をもとに株式や投資信託などの投資情報を発信している。興味のある分野はフィンテックや新しい金融商品など。
外資系コンピューター会社にてカスタマーサポート・開発・セキュリティ対策などを経験後に独立。自らの投資経験をもとに株式や投資信託などの投資情報を発信している。興味のある分野はフィンテックや新しい金融商品など。

この筆者の記事を見る

【関連記事】
初心者向けネット証券ランキング
日本の証券会社ランキングTOP10 野村、ネット証券各社etc.
株の売買手数料が安い証券会社はどこ?12社を徹底比較
つみたてNISA(積立NISA)の口座ランキングTOP10
証券会社の口座開設に必要な書類と日数は?

関連タグ