iDeCo(イデコ)は2017年1月から原則的に20~60歳の全国民が加入できるようになり、順調に加入者数を伸ばしている。一方で、申し込み方法が分からず、加入に二の足を踏んでいる人も多いだろう。iDeCoの申し込み手続きと、iDeCoの投資先や金融機関の変更手続きについてまとめてみよう。

目次

  1. 1.iDeCo(イデコ)口座開設の申し込み手続きの流れ
  2. 2.iDeCo(イデコ)の配分変更とスイッチングの違い 手続きの際の注意点は?
  3. 3.iDeCo(イデコ)の金融機関の変更手続き 注意点も解説
  4. iDeCoの手続きについてよくある5つのQ&A
  5. 実際にiDeCoを始めてみる

1.iDeCo(イデコ)口座開設の申し込み手続きの流れ

(画像= Siam/stock.adobe.com)

iDeCoの申し込みは加入する金融機関を選択し、書類を提出すればよい。

金融機関への書類の提出と聞くと面倒な印象を受けがちですが、準備すべきものやポイントを押さえておけば決して難しくありません。

STEP1……iDeCo(イデコ)の申し込みに必要なものを準備する

iDeCoの申し込みに必要なものは次の通りである。

  • ⑴個人型年金加入申出書
  • ⑵印鑑(シャチハタ印不可)
  • ⑶基礎年金番号

出典:iDeCo公式ホームページ『加入手続きについて』

⑴の個人型年金加入申出書は、iDeCoの申し込みを行う金融機関で入手できます。⑶の基礎年金番号は、年金手帳に記載されています。

会社員などは、年金手帳を勤務先に預けている場合も多いので、勤務先に確認しましょう。

それ以外に必要なのは以下である。

職業や掛金の拠出方法によって異なるので、職業別に説明しよう。

  • ⑷事業所登録申請書 兼 第2号加入者に係る事業主の証明書
  • ⑸第2号加入者に係る事業主の証明書(共済組合員用)
  • ⑹掛金引き落とし金融機関の口座情報と金融機関届出印

・iDeCo(イデコ)の申し込みに必要なもの——会社員の場合

会社員の場合は⑴~⑶に加え以下が必要になる。

  • ⑷事業所登録申請書 兼 第2号加入者に係る事業主の証明書
  • ⑹掛金引き落とし金融機関の口座情報と金融機関届出印
事業所登録申請書 兼 第2号加入者に係る事業主の証明書

iDeCoの加入資格を勤務先に証明してもらうための書類で、金融機関から個人型年金加入申出書と合わせて入手できる。

勤務先でも記入する箇所があるので、必要事項を記入したら勤務先へ依頼しよう。

⑹の掛金引き落とし金融機関の口座情報と金融機関届出印は、iDeCoの掛金を個人の金融機関口座から引き落とす場合に必要だが、給料天引き(事業主払込)となる場合は不要である。

口座引き落としに関しては、一部のネット銀行や信託銀行、農林中央金庫などは対応していない場合もある。

あらかじめiDeCoのホームページなどで確認しよう。

・iDeCo(イデコ)の申し込みに必要なもの——公務員など共済組合員の場合

公務員などの共済組合員の場合は⑴~⑶に加え以下が必要になる。

  • ⑸第2号加入者に係る事業主の証明書(共済組合員用)
  • ⑹掛金引き落とし金融機関の口座情報と金融機関届出印
第2号加入者に係る事業主の証明書(共済組合員用)

公務員などの共済組合員が、iDeCoの加入資格を勤務先に証明してもらうための書類である。

金融機関から個人型年金加入申出書と合わせて入手しよう。

こちらも勤務先が記入する項目がある。

⑹の掛金引き落とし金融機関の口座情報と金融機関届出印は、会社員同様、給料天引き(事業主払込)となる場合は不要である。

・iDeCo(イデコ)の申し込みに必要なもの——個人事業主、専業主婦(夫)の場合

個人事業主や専業主婦(夫)の場合は給与の天引き(事業主払込)ができないので、⑴~⑶に加えて以下が必須だ。

  • ⑹掛金引き落とし金融機関の口座情報と金融機関届出印

勤務先の証明はもちろん不要である。

STEP2……iDeCo(イデコ)の掛金を設定する

iDeCoの掛金は月々5,000円以上で1,000円単位で設定できます。
iDeCoの掛金の上限はそれぞれの加入資格で定められた金額になります。

iDeCoの加入資格ごとの掛金上限金額を下表にまとめた。

被保険者区分 職業 月額上限 年額上限
第1号被保険者 個人事業主 6万8,000円 81万6,000円
第2号被保険者 会社員 会社に企業年金がない人 2万3,000円 27万6,000円
企業型DCに加入している人 2万円 24万円
DBと企業型DCに加入している人 1万2,000円 14万4,000円
DBのみに加入している人 1万2,000円 14万4,000円
公務員など 1万2,000円 14万4,000円
第3号被保険者 専業主婦(夫) 2万3,000円 27万6,000円
iDeCo公式ホームページより筆者作成

会社員の場合は、勤務先の企業年金制度が確定給付型(DB)か確定拠出型(DC)であるかによって、iDeCoの掛金の上限額が異なります。分からない場合は勤務先へ確認しましょう。

・iDeCo(イデコ)の手続きで追加書類が必要になる場合もある

iDeCoの掛金の金額変更は年1回しかできません。iDeCoの掛金変更の手続きには「加入者掛金額変更届」の提出が必要になります。
iDeCoの掛金は原則的に毎月同額で設定しますが、月ごとに掛金を変えることもできます。

その場合は「加入者月別掛金額登録・変更届」に月ごとの希望拠出金額を記入して提出する。
出典:国民年金基金連合会『各種変更手続き(氏名・住所、掛金引落金融機関、掛金額等)について』

iDeCoの掛金の月額上限はないが、年額上限と5,000円以上1,000単位という条件は変わらない。

転職や退職と同時に、前の会社で運用していた企業型確定拠出年金(DC)をiDeCoに移す人もいるでしょう。その場合は「個人別管理資産移換依頼書」を併せて提出する必要があります。申し込み手続きに1~2ヵ月程度の時間が掛かるので注意しましょう。

出典:iDeCo公式ホームページ『個人別管理資産の移換手続きについて』

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2.iDeCo(イデコ)の配分変更とスイッチングの違い 手続きの際の注意点は?

(画像=beeboys/stock.adobe.com)

iDeCoは長期間にわたる運用なので、経済環境や投資目的、リスク許容度の変化などにより定期的に投資資産のリバランスを行うことが重要だ。

リバランスには配分変更とスイッチングの2つの方法があります。

リバランスにおける配分変更とスイッチングの違い

配分変更とは?
今後買い付ける資産の割合を変更すること。現状の保有資産の売却は伴わない。リスクを抑える目的で次回の買い付けより株式型の割合を減らし、債券型を増やすというような場合を指す。
スイッチングとは?
現状の保有資産を売却し、その代金での新規資産の買い付けを行い、資産比率を変更すること。たとえば、株式の値上がりに伴ってリスク資産の割合が高まっているときに、株式型を利益確定し債券型の買い付けに充てるといったようなこと。

iDeCoでリバランスをするのなら、それぞれの違いを押さえ、どちらを選択すべきかを判断する必要がある。

iDeCo(イデコ)の配分変更の手続き iDeCo(イデコ)口座のある金融機関へ

iDeCoの配分変更の手続きは、iDeCo口座を開設した金融機関によって異なります。基本的には、各金融機関のホームページやコールセンターで行えます。

確定拠出年金の記録業務を行う日本インベスター・ソリューション・アンド・テクノロジー(JIS&T)やSBIベネフィットシステムズで直接行う方法もあります。まずはiDeCoを開設した金融機関で確認してみましょう。

iDeCo(イデコ)の配分変更の締め切りは金融機関ごとに異なる

iDeCoは原則的に毎月26日に掛金の引き落としが行われ、その13営業日後に買い付けを行っている。

iDeCoの締め切りは、金融機関ごとに引き落としから買い付けまでの間で設定される。

iDeCoの配分変更には手数料はかからず、締め切りまでの間であれば何度でも変更ができる。

iDeCo(イデコ)のスイッチングの手続き

iDeCoのスイッチングの手続きもiDeCoを開設した金融機関によって異なります。配分変更と同様、各金融機関のホームページやコールセンターで行ったり、直接JIS&T、SBIベネフィットシステムズで変更したりする方法があります。

iDeCoでは3ヵ月に1回以上のスイッチングを行えるよう定められている。

ただし、スイッチングの回数や変更の締め切り時間も各金融機関によって異なる。

時間を問わず何回でもスイッチングできる金融機関もあれば、1日1回までなど一定期間内で回数制限を設けているケースもあります。頻繁にスイッチングを行う場合は、自分の口座がある金融機関で回数制限を確認しておきましょう。

iDeCo(イデコ)でスイッチングの手続きをするときの注意点

iDeCoのスイッチングでは、保有商品の売却と新規買い付け商品の選択を同時に行う。

注意しなければならないのは、投資信託によっては売買約定のタイミングが異なる点です。

iDeCoのスイッチングでは、売却の約定をもって新規商品の買い付けが行われるので、スイッチングの指図から買い付け約定までに数営業日のタイムラグがある。

手数料にも気を付けたい。

iDeCoではスイッチング自体に手数料はかからないが、商品によっては売却時に信託財産留保額がかかることもある。

iDeCoで信託財産留保額がかかる商品を保有している場合、頻繁にスイッチングをするとコスト増加につながってしまうので、コスト管理にも気を配る必要があります。

3.iDeCo(イデコ)の金融機関の変更手続き 注意点も解説

(画像=tamayura39/stock.adobe.com)

iDeCoでは、1つの金融機関を運営管理機関として選択する必要がある。

しかし購入したい商品が別の金融機関にしかなかったり、口座管理手数料が割高だったりするなど不満を感じることもあるだろう。

そういった事態にも対応できるよう、iDeCoでは金融機関の変更が認められている。

iDeCo(イデコ)の金融機関の変更手続き

iDeCoの金融機関変更の手続きはシンプルだ。

新しくiDeCo口座開設を行う金融機関に問い合わせて、「加入者等運営管理機関変更届」に必要事項を記入して提出すればよい。

現在iDeCo口座のある金融機関での手続きは基本的に不要なので、強引な引き留めに合うことはありません。

iDeCoの「加入者等運営管理機関変更届」には、変更前金融機関の名称、登録番号及び、変更前記録関連運営管理機関の名称、登録番号が必要だ。

これらはiDeCo開設時の書類に記載されているが、分からない場合は変更前の金融機関に確認してみよう。

iDeCo(イデコ)の金融機関の変更手続きをするときの注意点

iDeCoの金融機関を変更するときには、次の点に注意して慎重に判断を行おう。

まずiDeCoの移管の際には、現状の資産はすべて売却され現金が移管される。

相場状況によっては損失が出たり、売却に伴い信託財産留保額などがかかったりするケースもある。

また国民年金基金連合会の審査などを経て、資産・記録の移換処理が完了するまでに2~3ヵ月程度かかり、その期間中は運用や掛金の拠出ができない。

移管元の金融機関によっては、iDeCoの移管時に手数料を取られるケースもある。

多くの金融機関では、移管時の手数料は数千円程度ですが、iDeCoの移管を行わなければかからないコストです。iDeCoの金融機関の変更を検討するときは、これらのコスト負担も加味して総合的に判断する必要があります。

出典:iDeCo公式サイト『各種変更手続き』

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iDeCoの手続きについてよくある5つのQ&A

iDeCoの申し込みに必要なものは?
個人型年金加入申出書、印鑑(シャチハタ印不可)、基礎年金番号が必要だ。そのほか、仕事によって、事業所登録申請書 兼 第2号加入者に係る事業主の証明書、第2号加入者に係る事業主の証明書(共済組合員用)、掛金引き落とし金融機関の口座情報と金融機関届出印が必要になってくる。

配分変更とスイッチングの違いは?
配分変更とは、今後買い付ける資産の割合を変更すること。現状の保有資産の売却は伴わない。スイッチングとは、現状の保有資産を売却し、その代金での新規資産の買い付けを行い、資産比率を変更すること。

iDeCoでスイッチングの手続きをする際の注意点は?
iDeCoのスイッチングでは、保有商品の売却と新規買い付け商品の選択を同時に行うが、売却の約定をもって新規商品の買い付けが行われるので、スイッチングの指図から買い付け約定までに数営業日のタイムラグがあること、またiDeCoで信託財産留保額がかかる商品を保有している場合、頻繁にスイッチングをするとコスト増加につながってしまうことも注意しよう。

iDeCoの金融機関を変更する際にはどんな手続きが必要?
新しくiDeCo口座開設を行う金融機関に問い合わせて、「加入者等運営管理機関変更届」に必要事項を記入して提出すればよい。

iDeCoの金融機関を変更する際の注意点は?
iDeCoの移管の際には、現状の資産はすべて売却され現金が移管される。相場状況によっては損失が出たり、売却に伴い信託財産留保額などがかかったりするケースもあることに注意しよう。また国民年金基金連合会の審査などを経て、資産・記録の移換処理が完了するまでに2~3ヵ月程度かかり、その期間中は運用や掛金の拠出ができないこと、移管元の金融機関によっては、iDeCoの移管時に手数料を取られるケースもあることも覚えておこう。

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執筆・樋口壮一
新卒で証券会社に入社後、10年間リテール営業、ホールセール営業を経験。現在は事業会社の営業企画部門に努める傍ら、個人として投資を行い、マーケットに携わる。AFP

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