NISAで海外ETFを買うメリットとデメリットをわかりやすく解説

2019.7.31
INVESTMENT
(写真=wsf-s/Shutterstock.com)
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NISAの購入商品として市場規模の大きい海外ETFを購入したい人もいるだろう。海外ETFは為替リスクや海外のルールも絡んでくるため、投資初心者は特に理解が必要だ。今回は、海外の取引所に上場するETFを海外ETFと定義し、NISAで海外ETFを購入する際のメリットとデメリットを解説する。

NISAで海外ETFを買うメリット1……海外ETFは市場規模が大きく商品ラインナップも豊富

国内ETFと比べ、海外ETFは非常に市場規模が大きく、多くの選択肢の中から投資を行える。海外ETFへ投資する最大のメリットは、その大きな市場規模と豊富な商品ラインナップだ。

ETF市場の7割を占める米国ETFに対し日本のETFはわずか6%しかない

ETFの運用残高は2018年末時点で約4兆8,170億ドル(約530兆円)だ。(※イギリスの調査会社「ETFGI」による)。内訳は米国ETFが約3兆3,910億ドル(約373兆円)と、実に7割の規模を誇る。一方の日本のETFは約3,080億ドル(約34兆円)となっており、世界的に見た国内ETFの市場シェアはわずか6%程度しかない。

米国には2,000本近くのETFが上場

国内ETFと海外ETFは銘柄数にも大きな違いがある。国内ETFの本数は180本程度に対し、米国には2,000本近くのETFがある。欧州市場にも1,700本超のETFがあり、国内ETFの銘柄数は海外ETFと比較すると非常に少ない。(※2018年末時点)

国内ETFのみを対象として検討すると、世界のETF市場のわずか数%の中から選択することになるが、海外ETFを選択肢に含めれば、豊富な選択肢を得られるのだ。

NISAで海外ETFを買うメリット2……割安な信託報酬や圧倒的な時価総額の商品が多い

海外ETF市場は大きな資産規模を誇る。国内ETFと比べ、スケールメリットを活かした特徴的な商品が数多く存在する。国内ETFにはない特徴を持った商品がある点も、海外ETFへ投資を行うメリットだと言える。例として2つの海外ETFを取り上げてみよう。

約8000銘柄に投資を行いながら信託報酬がわずか0.09%のETF

非常に有名なETFの一つとして、米国に「バンガード(R)・トータル・ワールド・ストックETF(VT)」がある。このETFは先進国や新興国を問わず世界中の株式へ投資を行っており、投資対象は約47ヵ国、銘柄数は約8,000銘柄にのぼる。それでいて、信託報酬に当たる経費率はわずか0.09%と低い。たった0.09%のコストで世界中の株式へ投資を行えるという非常に特徴的な商品だ。

時価総額29兆円超の巨艦海外ETFも

もう一つ特徴的な海外ETFが米国の「SPDR(R) S&P 500(R) ETF」だ。特筆すべきは保有する純資産総額の大きさである。2019年3月末時点で約2,641億ドル(約29.3兆円)にのぼる米国第1位のETFだ。国内ETF市場の純資産総額が約34兆円であることを考えると、このETFは日本のETF市場に匹敵する純資産総額をたった1つで抱えていることになる。

NISAで海外ETFを買うメリット3……NISAで買うと買付手数料が無料になるキャンペーンもある

原則として海外ETFは海外市場で購入する。そのため売買手数料が国内のETFや株式を購入する場合と比べ、割高になるケースが多い。しかしNISAで海外ETFを購入する場合、ネット証券会社などを中心に買付手数料を無料とするキャンペーンを行っているところがある。

こうしたキャンペーンを活用すれば本来よりも低コストで海外ETFを購入できる。ただし各社とも売却手数料はかかってしまうのには注意が必要だ。

NISAで海外ETFを買うデメリット1……NISAで購入しているにも関わらず海外ETFの分配金に税金がかかる

海外ETFには、国内ETF市場にはない非常に多くの選択肢があったり、NISAの場合には手数料が優遇されたりするメリットがある。一方でNISAで海外ETFを購入する際のデメリットもある。

NISAで海外ETFへ投資を行う際のデメリットに、NISA口座で購入したにも関わらず分配金には税金がかかってしまう点がある。

海外ETFの場合、分配金には海外で源泉徴収による課税が行われた後、国内で源泉徴収される。いわゆる二重課税と呼ばれるものだ。国内の源泉徴収分は、NISA口座で購入している場合には非課税になるものの、海外の源泉徴収分については、日本のNISAのルールは適用されない。そのため、NISA口座で購入しているにも関わらず、海外の法律に基づく税金は源泉徴収されてしまうことになる。米国ETFであれば、その税率は10%だ。

譲渡益については、そもそも海外での源泉徴収はされないため、NISAで購入した場合は税金がかかることはない。

本来であれば、二重課税になる外国での源泉徴収額分については、「外国税額控除」という制度に基づき、確定申告を経て、日本の所得税や住民税から控除することが可能だ。しかし NISA口座で購入している商品の損益は確定申告の対象外になる。そのためNISAでは「外国税額控除」の適用を受けられず、必ず外国で源泉徴収された税金がかかるのだ。

NISA口座で海外ETFを購入する場合には、このようにやや複雑な処理が行われ、分配金に税金がかかるので注意しておきたい。

NISAで海外ETFを買うデメリット2……外貨取引のため為替リスクとコストがかかる

海外ETFは海外市場で外貨での取引を行うため、海外ETFの購入には為替リスクが必ず絡むので注意したい。外貨を購入する際には、為替手数料が発生する。

海外ETFをNISAで購入した際に発生する為替差益は外国税額控除の対象外だ。為替差益は雑所得になるため、条件や金額によっては確定申告が必要になる可能性もある。海外ETFでは、そういったコストを念頭においておく必要がある。

NISAで海外ETFを買うデメリット3……国内ETFと比べ情報を得るのが難しい

海外ETFは海外市場に上場しているETFであるため、国内ETFや国内株式と比べ、情報を得るにも労力が必要だ。証券会社では海外ETFの取扱銘柄ごとにファクトシートと呼ばれる簡単な情報提供資料を用意している。しかし詳しい商品の中身等を調べる場合は、海外の運用会社のホームページへアクセスする必要がある。

取引時間についても注意が必要だ。海外取引は、海外市場が開いている時間に取引を行う必要がある。海外ETFの場合、市場価格のブレもあるため、相場を見ながら取引をするには、自身のETFの売買可能時間を十分に確保しておかなければならない。

NISAで海外ETFを買うデメリット4……NISAで海外ETFを購入できる証券会社が限られている

海外ETFをNISAで購入する場合、証券会社はかなり限られてしまうのもデメリットである。現状はSBI証券、楽天証券、マネックス証券などの限られた証券会社でしか対応していない。別の証券会社にNISA口座を保有している場合、そもそもNISAで海外ETFを購入することができない点にも注意したい。

NISAで海外ETFの購入は初心者にはややハードルが高い

このように、NISAでの海外ETFの購入は投資対象として魅力的な商品が多い一方で、為替リスクや海外のルールも絡んでくる。そのため投資のハードルは国内株式や国内ETFと比べた場合、やや高いといえよう。

もちろん、仕組みを理解して慣れてしまえば問題はないが、投資初心者の方は、まずは仕組みの理解を正しく行うようにしたい。

文・樋口壮一(金融ライター)
 

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