一般NISAで海外ETFを買うメリットとデメリットをプロがわかりやすく解説!

2020.7.31
投資
(写真=wsf-s/Shutterstock.com)
(写真=wsf-s/Shutterstock.com)

一般NISAの購入商品として市場規模の大きい海外ETFを購入したい人もいるだろう。海外ETFは為替リスクや海外のルールも絡んでくるため、投資初心者は特に理解が必要だ。今回は、海外の取引所に上場するETFを海外ETFと定義し、NISAで海外ETFを購入する際のメリットとデメリットを解説する。

目次
1.一般NISAではどんなETFが買えるのか
2.NISAで海外ETFを買う3つのメリット
3.NISAで海外ETFを買う4つのデメリット
4.2024年からの新NISAで海外ETFは買えるのか
5.海外ETFはNISAでチャレンジする価値がある

1.一般NISAではどんなETFが買えるのか

一般NISAでは、上場株式などから得られる配当金や分配金、譲渡益にかかる税金が非課税になる。国内上場株式や投資信託はもちろん、国内ETF、海外市場に上場するETFも対象だ。

そもそもETFとは

ETFは「Exchange Traded Funds」の略で、日本語で「上場投資信託」と訳される、投資信託の種類の一つだ。ETFは一般的な投資信託と比較して説明されることが多いが、ETFと投資信託は、複数の投資家から資金を集めて運用会社が運用を行い、投資の成果が投資家に直接還元されるという仕組みは変わらない。ETFと一般的な投資信託の違いは、ETFが上場している点にある。

ETFと投資信託の違い

ETFは証券取引所に上場しているため、投資信託でありながら株式と同様に、証券会社を通じて市場で売買される。一般的な投資信託の基準価額は基本的に1日に1回計算されるが、ETFは株式と同じように価格が変動するので、市場の動向を見ながらリアルタイムで売買を行うことができる。株式と同様に指値で発注することもできる。

ETFには、一般的な投資信託よりも信託報酬が低いというメリットもある。一般的な投資信託では、原則として信託報酬を販売会社にも支払うが、ETFの場合、投資家は市場から直接購入するため、販売会社に支払う信託報酬がかからない。

ただし株式投資と同様に、取引所に注文を取り次ぐ証券会社への売買委託手数料が発生する点に注意したい。

一般NISAで買えるETFは金融機関ごとに異なる

国内に上場するETFは、221銘柄(2020年7月27日時点)。これらは、すべて一般NISAの対象になる。さらに一般NISAの規約では、原則として海外ETFもすべて対象だ。海外ETFは国内ETFに比べて市場規模が圧倒的に大きく、米国ETFだけでも2,100本以上ある。

ただし、実際は金融機関ごとに一般NISAで購入できる海外ETFの範囲が設定されている。主要ネット証券の一般NISAにおける海外ETF取り扱い状況は、以下のとおりだ。

SBI証券……4ヵ国(米国・香港・シンガポール・韓国)
楽天証券……3ヵ国(米国・香港・シンガポール)
マネックス証券……2ヵ国(米国・香港)
松井証券……取扱なし
au カブコム証券……取扱なし
岡三オンライン証券……取扱なし

金融機関によって、取り扱うETFが違うことがわかる。海外ETFを取り扱っているが、NISA口座での買い付けは認めていない金融機関もあるため、事前に金融機関の方針を確認しておこう。

取り扱っている金融機関は多くないが、海外ETFは国内ETFよりもバラエティに富んでおり、運用面でも魅力的な商品が多い。一般NISAでETFを検討する場合は、海外ETFも選択肢に含めれば商品選択の幅は各段に広がるだろう。

2.一般NISAで海外ETFを買う3つのメリット

一般NISAで海外ETFを購入する場合、具体的にどのようなメリットがあるのだろうか。国内ETFと異なる海外ETFならではのメリットを3つ挙げてみよう。

メリット1……海外ETFは市場規模が大きく商品ラインナップも豊富

国内ETFと比べて海外ETFは市場規模が非常に大きく、数多くの選択肢の中から投資対象を選べる。海外ETFに投資する最大のメリットは、その大きな市場規模と豊富な商品ラインナップだ。

・ETF市場の7割を占める米国ETFに対し日本のETFはわずか6%しかない

ETFの運用残高は、2019年末時点で約6兆2,870億ドル(約691兆円)(※イギリスの調査会社「ETFGI」による)。内訳は米国ETFが約4兆4,210億ドル(約486兆円)と、実に7割を占める。一方日本のETFは約3,980億ドル(約44兆円)で、世界的なシェアはわずか6%程度しかない。

・米国では2,000本を超えるETFが上場

国内ETFと海外ETFは、銘柄数も大きく異なる。国内ETFの本数は200本程度だが、米国には2,100本を超えるETFがある。欧州市場にも1,700本超のETFがあり、国内ETFの銘柄数は海外ETFと比較すると非常に少ないことがわかる(※2019年末時点)。

一般NISAで国内ETFのみを検討する場合は、世界のETF市場のわずか数%の中から選ぶことになる。一方で海外ETFを選択肢に含めれば、選択肢は一気に増える。

メリット2……信託報酬が割安で時価総額が大きい商品が多い

海外ETFの市場規模は、非常に大きい。国内ETFと比べて、スケールメリットを活かした特徴的な商品が数多くある。国内ETFにはない特徴を持つ商品があることも、海外ETFに投資するメリットと言えるだろう。例として、2つの海外ETFを取り上げてみよう。

・約8,000銘柄に投資しながら信託報酬がわずか0.09%のETF

非常に有名なETFの一つに、米国の「バンガード(R)・トータル・ワールド・ストックETF(VT)」がある。このETFは先進国、新興国を問わず世界中の株式に投資しており、投資対象は約47ヵ国、銘柄数は約8,000銘柄に上る。それでいて、信託報酬に当たる経費率はわずか0.09%と低い。たった0.09%のコストで世界中の株式に投資できるという、非常に魅力的な商品だ。

・時価総額25兆円超の巨艦海外ETFも

米国の「SPDR(R) S&P 500(R) ETF」も、特徴のある海外ETFだ。特筆すべきは純資産総額の大きさで、約2,370億ドル(約25兆円)を誇る米国第1位のETFだ(2020年3月末時点)。国内ETF市場の純資産総額は約44兆円なので、このETFは日本のETF市場の約6割にあたる純資産総額をたった1本抱えていることになる。

メリット3……一般NISAで買うと買付手数料が無料になるキャンペーンもある

原則として海外ETFは海外市場で購入する。そのため売買手数料が国内のETFや株式を購入する場合と比べ、割高になるケースが多い。しかし一般NISAで海外ETFを購入する場合、ネット証券会社などを中心に買付手数料を無料とするキャンペーンを行っているところがある。

こうしたキャンペーンを活用すれば本来よりも低コストで海外ETFを購入できる。ただし各社とも売却手数料はかかってしまうのには注意が必要だ。

3.一般NISAで海外ETFを買う4つのデメリット

海外ETFには国内ETFにはないメリットがあり、一般NISAで海外ETFに投資すれば、手数料が優遇されるケースもある。一方で、海外ETFを一般NISAで購入する際のデメリットもあるので注意したい。

デメリット1……一般NISAで購入しているにも関わらず海外ETFの分配金に税金がかかる

一般NISAで海外ETFへ投資を行う際のデメリットに、NISA口座で購入したにも関わらず分配金には税金がかかってしまう点がある。

海外ETFの場合、分配金には海外で源泉徴収による課税が行われた後、国内で源泉徴収される。いわゆる二重課税と呼ばれるものだ。国内の源泉徴収分は、NISA口座で購入している場合には非課税になるものの、海外の源泉徴収分については、日本のNISAのルールは適用されない。そのため、NISA口座で購入しているにも関わらず、海外の法律に基づく税金は源泉徴収されてしまうことになる。米国ETFであれば、その税率は10%だ。

譲渡益については、そもそも海外での源泉徴収はされないため、一般NISAで購入した場合は税金がかかることはない。

本来であれば、二重課税になる外国での源泉徴収額分については、「外国税額控除」という制度に基づき、確定申告を経て、日本の所得税や住民税から控除することが可能だ。しかし NISA口座で購入している商品の損益は確定申告の対象外になる。そのためNISAでは「外国税額控除」の適用を受けられず、必ず外国で源泉徴収された税金がかかるのだ。

NISA口座で海外ETFを購入する場合には、このようにやや複雑な処理が行われ、分配金に税金がかかるので注意しておきたい。

デメリット2……外貨取引のため為替リスクとコストがかかる

海外ETFは海外市場で外貨での取引を行うため、一般NISAで海外ETFを購入する際には為替リスクが必ず絡むので注意したい。また、外貨を購入する際には、為替手数料が発生する。

海外ETFを一般NISAで購入した際に発生する為替差益は外国税額控除の対象外だ。為替差益は雑所得になるため、条件や金額によっては確定申告が必要になる可能性もある。海外ETFでは、そういったコストを念頭においておく必要がある。

デメリット3……国内ETFと比べ情報を得るのが難しい

海外ETFは海外市場に上場しているETFであるため、国内ETFや国内株式と比べ、情報を得るにも労力が必要だ。証券会社では海外ETFの取扱銘柄ごとにファクトシートと呼ばれる簡単な情報提供資料を用意している。しかし詳しい商品の中身等を調べる場合は、海外の運用会社のホームページへアクセスする必要がある。

取引時間についても注意が必要だ。海外取引は、海外市場が開いている時間に取引を行う必要がある。海外ETFの場合、市場価格のブレもあるため、相場を見ながら取引をするには、自身のETFの売買可能時間を十分に確保しておかなければならない。

デメリット4……一般NISAで海外ETFを購入できる証券会社が限られている

海外ETFを一般NISAで購入する場合、証券会社はかなり限られてしまうのもデメリットである。現状はSBI証券、楽天証券、マネックス証券などの限られた証券会社でしか対応していない。別の証券会社にNISA口座を保有している場合、そもそも一般NISAで海外ETFを購入することができない点にも注意したい。

4.2024年からの新NISAで海外ETFは買えるのか

現行のNISA制度では、非課税投資可能期間は一般NISAでは2023年まで、つみたてNISAでは2037年までだ。2019年末に閣議決定された「令和2年度税制改正大綱」で、これらの非課税投資可能期間を5年延長する方針が示された。一般NISAは、投資枠を2階建てとする新NISAへ移行することになる。新NISAにおいて、ETFはどのような扱いになるのだろうか。

新NISAとは

新NISAの1階部分は年20万円を上限に積立投資枠が設けられ、原則として1階部分を利用した人のみが従来の一般NISAを概ね踏襲した2階部分を利用できる。2階部分の非課税投資枠は、年間102万円だ。なお、すでにNISA口座を開設していた人や投資経験者が上場株式に投資する場合、1階部分を利用していなくても特例として2階部分を利用できる。

非課税期間はこれまでどおり、1階部分、2階部分ともに5年間だ。新NISAの1階部分については、5年間の非課税期間終了後、つみたてNISAへ移行することもできる。

新NISAの1階部分では海外ETFに投資できない

新NISAの1階部分では、対象商品はつみたてNISAと同様になる見通しだ。したがって海外ETFは対象外で、つみたてNISAの対象商品である一部の国内ETFのみが対象になる可能性が高い。

新NISAの2階部分では海外ETFに投資できる

新NISAの2階部分では、対象商品は従来の一般NISAと同様になる見込みである。ただし、レバレッジを効かせている投資信託や上場株式のうち、整理銘柄・管理銘柄に指定されている銘柄は対象から除外される。

このような基準だとすれば、新NISAにおいても2階部分で国内ETFや海外ETFに投資することができるだろう。注意したいのは、海外ETFに投資するためには1階部分を利用しなければならない点だ。

5.海外ETFはやや複雑だが一般NISAでチャレンジする価値がある

海外ETFの購入は、為替リスクや海外のルールが絡んでくるため、やや複雑だ。しかし魅力的な商品が多く、選択肢に含めればポートフォリオの幅は大きく広がるだろう。NISAで投資を行えば購入時手数料が無料になるキャンペーンもあるため、始めやすいだろう。

投資初心者はETFの仕組みを正しく理解した上で、少額からスタートしてみてはいかがだろうか。海外ETFには、チャレンジする価値のある魅力的な商品が多いので、積極的にチャレンジしてほしい。

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執筆・

新卒で証券会社に入社後、10年間リテール営業、ホールセール営業を経験。現在は事業会社の営業企画部門に努める傍ら、個人として投資を行い、マーケットに携わる。
 

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