投資信託を売却するのにいくらかかる?注意点は?売却すべきタイミングは?

2020.5.25
INVESTMENT
(写真=SergeyP/Shutterstock.com)
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投資信託はどのタイミングで売却(換金)すればいいのだろうか。投資信託を売却するのは簡単だが時期を間違うと後悔することもある。売却時にかかる費用や税金、売却するタイミングや手順など知っておきたいポイントをまとめた。

目次
1.売却するときに知っておきたいポイント
2.売却を検討する5つのタイミング
3.SBI証券と楽天証券で投資信託を売却する方法
4.通常の方法と定期売却を有効活用する

1.投資信託を売却するときに知っておきたい6つのポイント

投資信託を売却する際に知っておきたいのは以下の6つだ。保有する商品の状況を見ながら最適な売り方を選びたい。

⑴投資信託の売却にかかる費用は一般的に0~0.5%程度

投資信託を売却するときにかかる費用には「解約手数料」と「信託財産留保額」がある。解約手数料は一部の商品を除き、ほとんどの投資信託ではかからないと考えていいだろう。

信託財産留保額は解約のペナルティによる費用と言えるものだ。投資信託が解約されると投資信託の組み入れ資産を売却して投資家へ資金を支払うことになる。

信託財産留保額はそのときにかかる費用を解約者にも負担してもらうものだ。信託財産留保額も投資信託によってかかったり、かからなかったりする。

信託財産留保額は0~3%程度だ。たとえばSBI証券では2,650本中1,657本の投資信託の信託財産留保額が0%であった(2020年5月6日時点)。信託財産留保額が高い投資信託は同2,650本中30本が0.6~3.5%、残りの投資信託の信託財産留保額は0.05~0.5%だ。

このデータよりSBI証券で取り扱う6割強の投資信託は信託財産留保が0%、4割弱は0.05~0.5%、若干数が0.6~3.5%ということが分かる。

人気の投資信託ではどうだろうか。SBI証券における投資信託の販売金額ランキングでは上位20のうち、17件が信託財産留保額0%であった(2020年5月6日時点)。つまり人気の投資信託の多くは信託財産留保額0%だ。ただし残る3つは信託財産留保額が0.1~0.3%の投資信託である。

投資信託の解約手数料と信託財産留保額は投資信託説明書(交付目論見書)などに記載されている。投資信託の売却前に確認しておこう。

⑵投資信託の売却にかかる税金は20.315%

課税口座(特定口座や一般口座)での投資信託の売却益には20.315%の税金がかかる。ただし投資信託の売却による利益や損失は2009年の税制改正により、株式などで得た利益と損益通算できるようになった。

損益通算とは一定期間内の利益と損失を相殺することだ。課税口座での取引による投資信託や株の利益の税金は損失分の相殺により減らせる。損益通算は確定申告のときに申告分離課税(給与所得などとは別に税率計算して納税すること)をすればよい。

投資信託の売買により損失が出た場合、確定申告によって最長3年間損失を繰り越して控除できる。

なおNISA口座は非課税メリットにより税金はかからないため確定申告は不要だ。

⑶投資信託を売却する方法は「解約請求」か「買取請求」の2つの選択肢がある

投資信託を売却するには「解約請求」か「買取請求」のいずれかの選択肢がある。

解約請求とは投資信託の一部を取り崩した資金を利用して換金してもらう方法である。買取請求とは投資家が投資している投資信託を販売会社に買い取ってもらう方法だ。

投資信託を売却する場合には一般的に解約請求が行われる。投資信託の売却のことを「解約」と呼ぶことがあるのはこのためだ。

買取請求は誰でもできるわけではない。たとえばSBI証券では買取請求の選択は法人に限られる。個人が投資信託を売却する際は「解約」すると理解しておけばいいだろう。

⑷投資信託には一定期間売却できないものがある

投資信託は原則としていつでも売却できる。一方で、一定期間売却できない「クローズド期間」が設けられている投資信託もある。

特に「単位型」の投資信託にはクローズド期間が設定される商品が多いため注意したい。

単位型(ユニット型)とは最初の募集期間のみに購入できる投資信託である。現在主流のいつでも購入できる投資信託を追加型(オープン型)と呼ぶ。

クローズド期間は投資信託説明書(目論見書)に記載されるため投資信託の売買前に確認しておきたい。

クローズド期間内であっても、投資信託を保有している本人の死亡や破産などの場合には投資信託を売却できることがある。そのような場合の手続きは販売会社へ問い合わせよう。

⑸投資信託の売却受付時間と売却価格の決定日

投資信託の売却受付時間は午後3時までが一般的だが、投資信託や販売会社によって異なることがあるため事前に確認しておきたい。

投資信託の売却価格は売却を申し込んだ時点では決まっていない。売却価格は売却を申し込んだ後に分かる「ブラインド方式」となっている。

売却申込日の証券取引所が終了した後に基準価額が計算され、それが売却価格の元になる。投資信託によっては翌営業日の基準価額を元に計算されるものもある。

売却価格の決定日は「投資信託説明書」で確認しよう。実際に売却した価格は後ほど発行される「取引報告書」で忘れずチェックしておきたい。

⑹投資信託の売却は複数回に分けることも検討

投資信託は積み立てや複数回に分けて購入することも多い。売却する場合にも全額まとめて売却するより、こまめに分けたほうが良い結果をもたらすことがある。

複数回に分けての売却は価格変動リスクに備えることになるからだ。基準価額の動きを見ながら売却方法を検討したい。

2.投資信託の売却を検討する5つのタイミング

投資信託を売却するタイミングはさまざまだ。事前に売却する基準を決めておけばいざというときに迷わない。投資信託を売却するタイミングを5つ紹介しよう。

⑴人生のイベントなどで一時的に大きなお金が必要なとき

投資資産は人生のイベントなどで一時的にお金が必要になるときの備えとして利用できる。たとえば子供の進学や家のリフォームなどで大きな資金が必要なときだ。

⑵目標金額まで値上がりしたときや損切りの設定金額まで値下がりしたとき

投資信託でよく行われているのが利益確定や損切りの金額をあらかじめ決めておき、設定した金額に達したら機械的に売買することだ。たとえば買値から50%上昇したら利益を確定し、買値から30%下落したら損切りするなどである。

このようなマイルールを決めておけば一時的な感情による売買を防ぎ、確実な利益確保や損失の拡大防止が期待できる。

⑶資産配分のバランスが変わったとき

投資信託の基準価額は時間とともに変化する。購入するときは資産配分を考え、適切と考えるリスクでポートフォリオ(金融商品の組み合わせと配分)を組むことになる。

しかし価格変動に伴って配分が変わり、投資リスクが高くなったり低くなったりすることがある。

そのような場合には基準価額が高くなった投資信託の一部を売却して、基準価額が低くなった投資信託の買い増しによりバランスを整えること(リバランス)ができる。

⑷類似の投資信託よりも運用成績が劣る状態が続いているとき

同じ指標への連動を目指すなど類似の投資信託に比べて運用成績が劣る状態が続いているときはその投資信託の運用の問題が疑われる。

たとえば自分が保有する投資信託のリターンが年3%で、他社が運用する類似の投資信託のリターンが年6%という状態が何年も続いているとする。

そのような場合は保有する投資信託の売却と運用成績の良い投資信託の購入による乗り換えを検討したい。

⑸投資信託の純資産額が減少し続けているとき

投資信託の純資産額が減少し続けているときにも注意が必要だ。相場環境の影響で短期的に純資産額が減少しているだけであれば問題ないかもしれない。

しかし中長期的に純資産額が減少している場合は、投資家による投資信託の売却が続いているか分配金の払いすぎの恐れがある。

投資信託の純資産額が小さくなると運用に支障が出ることがあるため売却を検討したほうがいいかもしれない。

3.SBI証券と楽天証券で投資信託を売却(解約)するには2つの方法がある

投資信託を売却(解約)するには「通常」と「定期売却」の2つの方法がある。ネット証券大手のSBI証券と楽天証券のホームページを例に売却(解約)手順を紹介しよう。

SBI証券と楽天証券の定期売却には違いがある

SBI証券と楽天証券のいずれかで投資信託の定期売却をするなら両者の違いをおさえておきたい。

隔月やボーナス月に投資信託の定期売却を希望するならSBI証券になる。一方で定率や期間指定での定期売却を希望するなら、楽天証券がよい。楽天証券はNISA口座での定期売却に対応しているのも大きな違いだ。

自身の投資スタイルに応じて投資信託の通常の売却(解約)と定期売却を使い分けよう。

SBI証券で投資信託を売却(解約)する方法

通常、SBI証券ホームページにて投資信託を売却(解約)する手順は以下である。

⑴SBI証券ホームページにログインする
⑵「取引」>「投資信託」>「売却」を選択する
⑶投資信託の一覧から解約する商品の「売却」ボタンを押下する
⑷注文入力で解約する「口数」または「金額」を入力する
⑸取引パスワードを入力し「注文確認画面へ」ボタンを押下する
⑹注文内容を確認し「注文発注」ボタンを押下する。

SBI証券で投資信託の定期売却を設定する方法

SBI証券の定期売却は毎月及び任意で毎年特定の日付に解約する方法だ。

定期売却の対象は金額買付または積立買付で購入された投資信託である。なおSBI証券ではNISA口座(一般NISAおよびつみたてNISA)の投資信託は定期売却の対象外だ。

解約日は毎月の指定日に指定金額を売却する「毎月コース」のほかに「奇数月コース」や「偶数月コース」を選択できる。希望により年2回まで「ボーナス月コース」の解約も可能だ。

SBI証券で投資信託の定期売却を設定する手順は以下である。

⑴SBI証券ホームページにログインする
⑵「取引」>「投資信託」>「売却」>「定期売却」を選択する
⑶定期売却可能一覧から新規設定を希望する投資信託の「新規設定」ボタンを押下する
⑷新規設定入力(定期売却)にて毎月コースの「金額」欄に希望する金額を1,000円以上1円単位で入力する。解約申し込み月を「毎月」「奇数月」「偶数月」から選択する。解約申し込日をプルダウンから選択する
⑸ボーナス月コースを申し込む場合はボーナス月コースの「設定する」を選択する。金額を1,000円以上1円単位で入力する。申込日をプルダウンから選択する
⑹取引パスワードを入力し「設定確認画面へ」ボタンを押下する
⑺設定内容を確認し「設定」ボタンを押下する。

楽天証券で投資信託を売却(解約)する方法

楽天証券ホームページにて投資信託を売却(解約)する手順は以下だ。

⑴楽天証券ホームページにログインする
⑵「投信」>「注文」>「売却」を選択する
⑶投資信託の一覧から解約する商品の「売却」を押下する
⑷注文入力画面で「全部売却」か「一部売却」を選択する。一部売却の際は売却口数を1口以上1口単位で入力する。入力したら「確認」ボタンを押下する
⑸注文確認画面で注文内容を確認する
⑹取引暗証番号を入力して「注文」ボタンを押下する

楽天証券で投資信託の定期売却を設定する方法

楽天証券の投資信託の定期売却は2019年12月29日スタートの新しいサービスだ。売却方法は「金額指定」「定率指定」「期間指定」から選択できる。

金額指定では1,000円以上1円単位の金額を、定率指定では0.1%以上0.1%単位の率を、期間指定では最終受取年月を指定する。

楽天証券の定期売却はNISA口座の投資信託も対象だ。投資信託の定期売却の手順は以下である。

⑴楽天証券ホームページにログインする
⑵「投信」>「定期売却」を選択する
⑶定期売却設定一覧から設定を希望する投資信託の「設定」ボタンを押下する
⑷定期売却設定入力にて「金額指定」「定率指定」「期間指定」から売却方法を選択する売却方法に応じて「金額(1,000円以上1円単位)」または「定率(%)」または「受取期間」を入力する。受取日を1日~28日の間で指定し「設定内容の確認へ」ボタンを押下する
⑸設定内容を確認し取引暗証番号を入力して「設定する」ボタンを押下する

4.投資信託の売却(解約)では通常の方法と定期売却を有効に活用したい

投資信託で毎月分配金を受け取りたい場合、毎月分配型の投資信託を購入しなければならない。しかし毎月分配型は高い信託報酬の投資信託が多く、長期投資にはデメリットになることが多かった。投資信託の売却(解約)で通常の方法に加え、定期売却を選択できるようになり投資の選択肢が広がった。

投資信託の定期売却を利用すれば、分配金の頻度が低い投資信託でも毎月入金ができる。つまり信託報酬が低く長期投資に適した投資信託を毎月分配型のように利用できるのだ。

定期売却により解約の時間分散も可能だ。積立投資と同様に解約も時間分散することでリスク低減を期待できるだろう。

文・松本雄一(ビジネス・金融アドバイザー)

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