IPOで勝率8割の売り方
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IPO(新規株式公開)で最も多い売り方が「初値売り」だ。高い確率で利益を確定できるのが魅力だが、それは本当だろうか。

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目次

  1. 最もシンプルなIPOの売り方「初値売り」とは?
  2. IPOの初値売りはベストな方法!2022年は勝率8割
  3. なぜ初値売りは勝率が高いのか
  4. IPO初値売りなら、リスクを避けられる可能性も
  5. 初値売りのデメリット
  6. IPOの当選率を上げるための策
  7. IPOの初値売りで公募価格割れになる銘柄の傾向
  8. IPOで初値売りを行う場合の注意点
  9. SBI証券の初値売りの手順
  10. 楽天証券の初値売りの手順
  11. マネックス証券の初値売りの手順
  12. よくあるQ&A

最もシンプルなIPOの売り方「初値売り」とは?

IPOで勝率8割の売り方
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IPOとは?

新規株式公開「Initial Public Offering」の略称だ。未上場企業の株式を証券取引所に上場させることで、一般投資家は株式市場での売買が可能になり、企業側は株式市場からの資金調達が可能になる。

IPOで最も多いのが「初値売り」です。 新規公開株を語る場合、多くがこの売り方を前提としているといってもよいでしょう。

初値売りとは?

初値売りとは
その名の通り上場後に初めて付いた株価で売却することを指しており、IPOの募集価格との差が損益となる。騰落率を測る際も、原則は募集価格と初値の差がものさしとなる。

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初値売りの方法

公募価格とは?
公募価格とは新規公開される株式を投資家が取得する際の価格を指す。IPOの場合、プライマリー市場での購入価格であり、公募価格とセカンダリー市場での価格差が損益となる。

ここで用語を確認しておきましょう。
セカンダリー市場とは、「すでに発行された株式が投資家間で売買される市場」のことを指します。セカンダリー投資は流通市場とも呼ばれ、一般的な証券取引所での株式の売買です。

新規発行された株式を投資家が取得する市場をプライマリー市場(発行市場)と呼び、IPOはプライマリー市場で取得した株式をセカンダリー市場で売買する。

初値売りをするためには、IPOで当選した株式を上場日の寄付前に「成行」で売却注文する必要がある。

IPOの売り注文を出せるタイミングは証券会社のシステムによって違いますが、多くの場合、上場当日の早朝から注文を出すことができます。

IPOを取り扱う主な証券会社10社の成行注文の発注時間
証券会社名 発注時間 IPO取り扱い件数
(2020年)
主幹事数
(2020年)
詳細
SBI証券
詳細はこちら
上場日の前営業日翌日の
朝4時頃から(※1)
85件 15件
みずほ証券
詳細はこちら
上場日の朝6時から 62件 21件
SMBC日興証券詳細はこちら
上場日の朝5時から 52件 16件
マネックス証券詳細はこちら
上場日の前営業日の
17時頃から
50件 0件
大和証券詳細はこちら
上場日の朝6時から 43件 15件
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上場日の前営業日の
翌日の朝6時から
41件 22件
岡三オンライン証券詳細はこちら
上場日前日の夜間
システム処理終了後から
39件 0件
楽天証券詳細はこちら
上場日前営業日の
17時過ぎから
38件 0件
三菱UFJモルガン・
スタンレー証券詳細はこちら
上場日の朝6時から 19件 2件
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上場日前営業日の
16時以降
19件 0件
※1複数市場への重複上場の場合は上場日の朝8時頃から
SBI証券みずほ証券SMBC日興証券マネックス証券大和証券野村證券岡三オンライン証券楽天証券三菱UFJモルガン・スタンレー証券auカブコム証券のホームページより

一部証券会社では「上場日の前営業日の翌日」といったややこしい表現となっている。

若山卓也

上場日の前日が平日の場合、「上場日の前営業日の翌日」は上場日となりますが、上場日が月曜日の場合、「上場日の前営業日の翌日」は土曜日となります。

IPOで初値が決まるには、成行での注文が全て成立する必要がある。

IPOの初値売りはベストな方法!2022年は勝率8割

IPOで勝率8割の売り方
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IPOの「初値売り」がベストな方法といわれる理由は、その勝率の高さにあります。

2022年は、12月12日までに68件のIPOがあり、そのうち54件で初値が公募価格を上回った。勝率を計算すると約79.4%だ。

【2022年のIPOの内訳(12月12日までに上場した銘柄)】

IPOで勝率8割の売り方
(画像=著者作成)

2022年12月12日時点のIPOで、「公募価格に対して初値の上昇率が最も大きかった銘柄」は、ウェルプレイド・ライゼスト株式会社<9565>だ。公募価格1,170円に対し6,200円の値が付いた。上昇率は、約430%にもなる。もし100株当選して売った場合は、50万3,000円の利益だ。

IPO初値売りの損益率は、平均しても高い。全体の平均損益率は約52.64%、公募価格を上回った銘柄に限定すれば約68.28%だ。なお反対に公募価格を下回った銘柄では、平均して約7.69%のマイナスとなった。

【2022年IPO初値売りの成績】
IPO件数…(ア) 68件
初値が公募価格を上回った件数…(イ) 54件
初値売りの勝率…(イ÷ア) 79.41%
平均損益率 52.64%
初値が公募価格を上回った銘柄の平均利益率 68.28%
初値が公募価格を下回った銘柄の平均損失率 -7.69%
最大利益率 429.91%
最大損失率 -13.73%
※2022年12月12日までに上場した銘柄に限る

初値売りとそうでない場合では、勝率はどのくらい違う?

初値で売らず、そのまま保有した場合の損益はどうだろうか。

保有し続け、2022年12月12日終値で売却したケースで試算してみた結果、やはり初値売りの方が勝率が高いことがわかる。

勝率
初値売りの場合 約79.41%
初値で売らなかった場合 約63.24%(※)
※2022年IPO件数は全体は68件、2022年12月12日の終値が公募価格を上回った銘柄は43件として計算

【2022年IPOの勝率(12月12日までに上場した銘柄)】

IPOで勝率8割の売り方
(画像=著者作成)
なお平均損益率に大きな差は見られなかった。初値売りの損益率は平均して52.64%だったが、2022年12月12日終値で売った場合の平均損益率は51.73%と同水準だ。

勝率が低いにもかかわらず平均損益率が同じということは、12月12日終値で売却したケースのほうが大きな値動きが生じたということになる。

実際、公募価格を上回った銘柄に限定して平均損益率を計算すると12月12日終値で売った場合は92.92%に上り、初値売りの68.28%を大きく上回った。反対に公募価格を下回った銘柄に限ると平均して約-17.84%であり、大きな下落が生じた。

このように12月12日終値売りは、初値売りと比較して上下どちらの方向にも大きな値動きとなったことがわかる。IPOに当選して売却する場合、大きな損失を避けたい場合でも初値売りがベストといえるだろう。

【2022年IPOの成績】
初値売り 12月12日終値売り
IPO件数…(ア) 68件 68件
公募価格を上回った件数…(イ) 54件 43件
勝率…(イ÷ア) 79.41% 63.24%
平均損益率 52.64% 51.73%
公募価格を上回った銘柄の平均利益率 68.28% 92.92%
公募価格を下回った銘柄の平均損失率 -7.69% -17.84%
最大利益率 429.91% 411.11%
最大損失率 -13.73% -37.63%
※2022年12月12日までに上場した銘柄に限る

なぜ初値売りは勝率が高いのか

IPOで勝率8割の売り方
(画像=MONEY TIMES編集部作成)

需要と供給の不均衡が株価をつり上げるから

1つ目の理由は、IPOでは需要と供給が不均衡なため、株価をつり上げるからだ。

IPOでは「供給(売り手)」が、個人に配分された新規公開株式数に限定されているのが特徴だ。一方、「需要面(買い手)」では、その銘柄や業績への期待感を持つ投資家を新規公開株のプロモーション効果が引き寄せるという側面がある。
若山卓也

当選(発行市場)を逃した投資家は、市場(流通市場)で購入することになります。
つまりIPOのプロモーション効果によって需要が喚起される一方、供給面では株式数が限定されているという需要と供給の不均衡が株価をつり上げるのです。

株価は、需要と供給のバランスで決まるという大原則がある。ざっくりいえば「買いたい人が多ければ株価は上昇し、反対に少ないなら株価が下落する」ということだ。

つまり、IPOでしばしば初値が跳ね上がるのは、売り手の少なさが原因だと考えられる。

IPO銘柄の大株主は、一般に創業者やベンチャーキャピタルなどが名を連ねることが多い。しかしこれらの大株主は、一定期間売却を制限する「ロックアップ」が設けられることが多い。そのため上場直後の主要な売り手は、個人投資家になる。

つまりIPOは、強力な売り手が不在という状況になるケースがよくあるのだ。
ベンチャーキャピタルとは?
ベンチャーキャピタルとは、新興企業のアイデアや技術に着目し、将来性を独自に評価して資金提供を行う機関のこと。

ベンチャーキャピタルは新興企業の株式を取得し、株式上場や転売による値上がり益を得ることを目的とする。新興企業の成長を資金面で支援するが、投資回収が最終目的であるため、IPO時には売り圧力となる。

IPO市場の活況にさらに投資家が集まるから

IPOでは取引が活況となり、それがさらなる取引を呼ぶというサイクルがしばしば発生する。その結果、需要が高まり値も上がる傾向になるというわけだ。

IPOでは、上場後の数日間は出来高(売買株式数)が非常に多い状況になる。なぜなら上場前からの株主や当選した人が売却に走る一方、注目企業をセカンダリー市場(流通市場)で購入しようという投資家が積極的に取引を行うからだ。

例えば2022年最初のIPOであるRecovery International株式会社<9214>における上場初日の出来高は、200万株に迫った。直近の出来高と比較しても、非常に大きいことがわかる。

【Recovery International株式会社の株価と出来高】

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(画像=Investing.comより著者作成)

売買が活況だと、短期投資家や資金力のある投資家も参入しやすくなる。マーケットニュースなどで取り上げられれば多くの個人投資家も取引に参加するだろう。このように注目されることで、IPO市場は活況になる傾向がある。

SBI証券 楽天証券 マネックス証券
IPO取扱件数
(2020年)
85件 38件 50件
主幹事数
(2020年)
15件 0件 0件
IPO当選方法 完全当選70%
店頭分配あり
100%完全抽選 100%完全平等抽選
詳細

IPO初値売りなら、リスクを避けられる可能性も

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(画像=MONEY TIMES編集部)

IPOにおいて初値売りが推奨される理由は、勝率の高さだけではない。保有を続けると、セカンダリー市場での大きな値動きに翻弄されるリスクがある。しかし初値で売り抜ければ、上場直後に見られるような値動きとは無縁だ。

IPO銘柄の多くは、上場後に大きな値動きが発生する。しかし投資初心者には、その動きを読むのは難しくハードルが高い。

若山卓也

株価が思惑で動くため、極端な乱高下を繰り返す銘柄も多く、その値動きに理論的な説明を行うことは非常に困難です。

セカンダリー市場は、業績や投資指標による適正価格も参考にならず、セカンダリー市場はマネーゲームと化すケースが多い。なかには、初値を天井にその後は右肩下がりとなる銘柄もある。

例えば2022年4月12日に上場したサークレイス株式会社<5029>の場合、初値は2,320円(公募価格720円の約3.2倍)となり、約222.22%もの利益を得られた。

上場直後は、さらに値上がりする場面も見られたが、その後は一貫して下落し2022年12月12日終値は844円と初値から約64%も下落している。

【サークレイス株式会社の株価】

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(画像=Investing.comより著者作成)

一方で初値が公募価格割れを起こし、その後さらに下落する銘柄もある。

例えば2022年3月31日に上場した株式会社ノバック<5079>の初値は、2,630円と公募価格の3,000円を約12.33%下回り、2022年5月24日の終値は1,970円と公募価格を約34.33%も下回った。

【株式会社ノバックの株価】

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(画像=Investing.comより著者作成)
若山卓也

このようにセカンダリー市場が読めない以上、勝率の高い初値売りで売却するという考え方は、十分理にかなっているといえるでしょう。

初値売りのデメリット

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(画像=MONEY TIMES編集部)

ここまでIPO初値売りの利点を紹介してきた。しかし当然デメリットもある。

公募価格割れのリスクがある

上述したようにIPOの初値は、必ず公募価格を上回るわけではない。

2022年においては、12月12日までに68件のIPOが実施されたが、うち14件では初値が公開価格を下回った。

必ず利益を得られるわけではない点はデメリットといえるだろう。
【2022年のIPOで初値が公募価格を下回った銘柄一覧(12月12日までに上場した銘柄)】
会社名 上場日 公開価格 初値 初値損益率
Recovery International株式会社 2月3日 3,060円 2,640円 -13.73%
株式会社ノバック 3月31日 3,000円 2,630円 -12.33%
ベースフード株式会社 11月15日 800円 710円 -11.25%
INTLOOP株式会社 7月8日 3,500円 3,150円 -10.00%
ジャパンワランティサポート株式会社 6月23日 1,640円 1,480円 -9.76%
マイクロ波化学株式会社 6月24日 605円 550円 -9.09%
株式会社マイクロアド 6月29日 1,410円 1,290円 -8.51%
株式会社セイファート 2月4日 1,120円 1,030円 -8.04%
ヤマイチ・ユニハイムエステート株式会社 6月20日 950円 878円 -7.58%
ビーウィズ株式会社 3月2日 1,400円 1,320円 -5.71%
株式会社ヌーラボ 6月28日 1,000円 955円 -4.50%
株式会社セレコーポレーション 3月11日 1,900円 1,820円 -4.21%
ポバール興業株式会社 3月10日 1,263円 1,243円 -1.58%
株式会社ニッソウ 7月25日 1,805円 1,780円 -1.39%

初値売りで勝つためにはIPOに当選しなければならない

当たり前だが、初値売りを行うためには上場前にIPO銘柄の配分を受けなければならない。配分の方法は証券会社によって異なるが、原則は抽選だ。

投資家から非常に人気が高いため、抽選に申し込みしたからといっても簡単に当選はしない。
選ばれてはじめて、公募価格でIPO銘柄の株式を取得できる。

IPOは、証券会社を通じて個人投資家に分配されるのが特徴だ。その際、証券会社は顧客の需要調査(ブックビルディング)を行い、結果を考慮して公開価格が決定される。

IPOの分配を受けたい場合は、各証券会社が定める需要調査の期間に申し込まなければならない。

IPOはどのくらい当らない?

IPOの正確な当選確率は、実は明かされていない。そのため、公開されている新規公開株式数から当選確率を計算してみた。結果、当選確率は0.15~4.54%となった。かなり狭き門だということがわかるだろう。

まず国内株式は、100株を1単元として売買されるルールがあることは押さえておこう。一般的にIPOの配分も100株単位で行われるため、新規公開株式数を100で割った値が最大の当選人数といえる。

2022年12月のIPO銘柄には、以下のようなものがある。それぞれに新規公開株式数から当選人数を計算し、応募者の人数ごとに当選確率をまとめた。

【2022年12月に上場が予定されている銘柄】
上場企業名 上場日 新規公開株式数
(公募+売出)
当選人数
(※1)
当選確率
応募者
100万人
応募者
200万人
ダイワ通信株式会社 12月26日 70万8,600株 7,086人 約0.71% 約0.35%
株式会社
アルファパーチェス
12月26日 200万株 2万人 2.00% 1.00%
株式会社BTM 12月27日 30万1,400株 3,014人 約0.30% 約0.15%
株式会社ELEMENTS 12月27日 453万8,200株 4万5,382人 約4.54% 約2.27%
株式会社スマサポ 12月29日 29万株 2,900人 0.29% 0.15%
※1.新規公開株式数を1単元の100株で除した値
出典:日本取引所グループ 新規上場会社情報

上の表では、1人に1単元(100株)ずつ配分した前提で計算しているが、実際には1人に2単元(200株)以上割り当てられるケースもある。また配分のすべてが抽選で決まるわけではなく、一部では裁量配分が行われるため、実際の当選確率はさらに低くなるはずだ。

IPOの当選率を上げるための策

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当選率を上げるためにできることは2つある。

複数の証券会社口座を持つ

少しでも当選確率を上げたい場合は、証券会社の口座は複数持つことを検討したい。

IPOの募集は、幹事証券会社ごとに行われる。そのため、幹事証券会社の口座の数だけ抽選に参加できる。そのため当選確率は、1社だけで抽選を申し込むよりも複数社で申し込むほうが高くなるのだ。

幹事証券会社とは
募集を担う証券会社のこと。幹事証券会社のなかでも中心的な役割を果たす証券会社を「主幹事証券会社」といい、一般的に主幹事証券会社が最もIPOの配分が多い。

証券口座自体は無料で開設できる。また、開設数への制限もない。以下にあげるIPO取り扱い証券会社でいくつか口座を作ってみよう。

証券会社名 IPO取扱実績
(2022年3月通期)
口座数 抽選による配分の割合 公式サイト
SBI証券 117社 918万7,000口座
(2022年9月)
(※1)
60%(※3) 公式サイト
SMBC日興証券 76社 379万6,000口座
(2022年9月)
最大15% 公式サイト
みずほ証券 75社 180万口座
(2022年9月)
10%以上 公式サイト
楽天証券 70社 800万口座
(2022年6月)
100% 公式サイト
野村證券 62社 532万9,000口座
(2022年11月)
(※2)
10%以上 公式サイト
マネックス証券 51社 218万9,094口座
(2022年11月)
100% 公式サイト
松井証券 50社 142万6,300口座
(2022年11月)
70%以上 公式サイト
岡三証券 47社 49万6,990口座
(2022年9月)
10% 公式サイト
※1.「SBIネオモバイル証券」「SBIネオトレード証券」「FOLIO」を含む
※2.残あり顧客のみ
※3.別途30%は「IPOチャレンジポイント」を多く指定した順に割り当て

当選確率の高い証券会社を選ぶ

IPOの抽選は、幹事証券会社ごとに行われるが当選確率は一律同じではない。なぜなら幹事証券会社ごとに配分される株数が異なり顧客数も異なるからだ。

当選確率が高い証券会社は、募集が多く応募が少ない証券会社、つまり「IPOの配分が多く顧客が少ない証券会社」といえる。

若山卓也

IPOの配分方式は、多くのネット証券では抽選が採用されています。しかし証券会社が任意の顧客に配分するケースも少なくありません。これを「裁量配分」といいます。

裁量配分は、平等な配分方法とは言えません。当選を目指すなら、できるだけ抽選で配分先が決まる証券会社を選ぶようにしましょう。

IPO取扱実績は多いほど望ましく、口座数は少ないほど競争相手が少ないと考えられる。また多くの投資家にとって配分方法は、抽選で行われるほうが有利だろう。さらに抽選の場合は、配分の割合が高いほうが望ましい。

当選しやすいのは松井証券とマネックス証券

しかし初心者がこれらを比較して証券会社を絞り込むのは難しいだろう。そこで、上で紹介した証券会社において「IPO当たりやすさスコア」を定義し、一元的な比較ができるように試みたので参考にしてほしい。

「IPO当たりやすさスコア」の定義

IPO取扱実績×抽選による配分の割合÷口座数(万単位)×100

「IPO当たりやすさスコア」で降順に並べたところ、「松井証券」「マネックス証券」が上位になった。

【「IPO当たりやすさスコア」ランキング】
1位 松井証券 24.54 公式サイト
2位 マネックス証券 23.30 公式サイト
3位 岡三証券 9.46 公式サイト
4位 楽天証券 8.75 公式サイト
5位 SBI証券 7.64 公式サイト
6位 みずほ証券 4.17 公式サイト
7位 SMBC日興証券 3.00 公式サイト
8位 野村證券 1.16 公式サイト
なお「IPO当たりやすさスコア」は、数値を単純に当てはめて計算した指標に過ぎず当選確率を保証するものではないため注意したい。

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IPOの初値売りで公募価格割れになる銘柄の傾向

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2022年には勝率8割近くを誇った初値売りであるが、裏を返すと、残り2割の案件では、募集価格を下回ったことになる。

2022年は、12月12日までに68件のIPOが実施されたが、そのうち14件は初値が公開価格を下回った。

IPOといえども株式投資であり、リスクが存在するという点を改めて認識しておきたい。

公募価格割れとなるIPOとは、初値形成時の需要と供給のバランスが供給側に偏ってしまっている銘柄を意味する。近年の傾向では、以下3つの銘柄には注意したい。

新規公開株式数が多い銘柄

新規公開株式数が多い銘柄は、純粋にIPO時点で供給数が多い案件で、東証1部へ直接上場する銘柄などに見られます。

新規公開株式数が多いIPOは、一般的に公募価格割れの可能性が高いといわれている。

事実、2022年12月12日までに上場した2022年のIPO銘柄68件について新規公開株式数(公募+売出)を横軸、初値損益率を縦軸に取ると、以下の分布図のように新規公開株式数が多いほど損益率が悪化する関係が見られた。

【2022年のIPOにおける新規公開株式数と初値損益率(12月12日までに上場した銘柄)】

新規公開株式数の上位と下位を3銘柄ずつ比べても、新規公開株式数が少ない銘柄のほうが初値損益率は良好だ。

【2022年のIPOにおける新規公開株式数ランキング(12月12日までに上場した銘柄)】
上場日 新規公開株式数
(公募+売出)
初値損益率
上位 1位 株式会社ソシオネクスト 10月12日 1,829万7,300株 5.07%
2位 ベースフード株式会社 11月15日 640万7,300株 -11.25%
3位 ビーウィズ株式会社 3月2日 530万株 -5.71%
下位 3位 ビジネスコーチ株式会社 10月20日 26万5,900株 100.72%
2位 株式会社CaSy 2月22日 21万1,600株 48.22%
1位 株式会社TORICO 3月23日 15万株 47.65%

新規公開株式数が多い銘柄は、それだけ市場に出回る株数も多くなる。需給が緩む要因となるため、初値が上昇しにくかったと予想される。

若山卓也

ベンチャーキャピタルが株式を大量保有しているなど、目に見える売り圧力が多い場合にも株価形成にはマイナスになります。

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事業内容に新鮮さがない、今後の成長が見込みづらい銘柄

将来展望を描きづらい銘柄であると、IPOをしても需要が集まらないケースもある。

2022年12月12日までに上場した2022年のIPO銘柄のうち、初値損益率が最も悪かった5銘柄は、以下の通りだ。

【(再掲)2022年のIPO初値損益率ワースト5(12月12日までに上場した銘柄)】
上場企業名 事業の概要 上場日 初値損益率
Recovery International株式会社 訪問看護 2月3日 -13.73%
株式会社ノバック 建設 3月31日 -12.33%
ベースフード株式会社 食品 11月15日 -11.25%
INTLOOP株式会社 コンサルティング 7月8日 -10.00%
ジャパンワランティサポート株式会社 住宅設備保証 6月12日 -9.76%

Recovery International株式会社<9214>は、自宅で看護ケアやリハビリ、マッサージなどを提供するサービスを展開しているが市場の評価は集まらなかった。

また土木や建築を行う株式会社ノバック<5079>も投資家の指示は得られなかったようだ。

若山卓也

事業内容に新鮮味がない銘柄や、今後の急成長が見込みづらい市場の銘柄等が該当します。新規公開に夢を描く投資家は多く、それが描けないIPO銘柄には市場の評価も高まりません。

直近決算が赤字である銘柄

新規上場する企業には、直近の業績が思わしくなく赤字となっているケースもある。企業の本質は「いかに利益を生み出すか」なので、決算内容が悪い会社の需要は必然的に少なくなるだろう。

将来展望が見えており、黒字化のビジョンに投資家が納得しているIPO銘柄には需要が集まりますが、投資家を納得させるビジョンを描けない場合、市場の評価は厳しいものになります。

赤字企業を選ばないためにも、東京証券取引所の3つの区分の上場審査基準を知っておくといいだろう。

【売上高および利益に関する上場審査基準】
プライム市場 以下のいずれかを満たすこと
・最近2年間における利益額の総額が25 億円以上
・最近1年間における売上高が100 億円以上
かつ時価総額が1,000 億円以上となる見込みがある
スタンダード市場 最近1年間における利益の額が1億円以上
グロース市場 なし

「プライム市場」と「スタンダード市場」の上場審査基準には、利益に関する項目もあるため、これらの市場に上場する銘柄に赤字企業は原則含まれない。

一方、主に新興企業が上場する「グロース市場」の上場審査基準には、利益に関するものがないため、赤字企業が上場する可能性はある。

ただしグロース市場においても健全性や事業計画については審査されるため、やはり赤字企業は多くはない。2022年のIPO銘柄で初値が公開価格を下回った銘柄のうち前期が赤字企業のものは、以下の2銘柄だった。

【2022年のIPOで初値が公開価格を下回った赤字企業(12月12日までに上場した銘柄】
上場企業名 上場日 当期の純損益
(予想)
前期の純損益
(実績)
初値損益率
ベースフード株式会社 11月15日 -9億3,900万円 -4億6,300万円 -11.25%
マイクロ波化学株式会社 6月24日 4,500万円 -1億1,000万円 -9.09%
※ベースフード株式会社は2月決算、マイクロ波化学株式会社は3月決算

グロース市場だからと過度に心配する必要はないが、区分の特徴を押さえておくといいだろう。

IPOで初値売りを行う場合の注意点

IPOで勝率8割の売り方
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IPOで初値売りをすると決めたらどんな状況でも実行する

初値売りを行う場合、どんな状況であろうと迷いなく実行しましょう。

上場当日になると取引が始まる前の注文情報から、ある程度初値が予想できる。IPO銘柄によっては、公募価格を下回り、損失が見込まれる事態に直面することもあるだろう。

しかし仮に損失が発生するとしても初値売りを行うと決めた場合は、淡々と実行してほしい。なぜなら状況に応じて売買方針を変更していると、あらゆる売買が正当化されてしまい計画が成り立たないからだ。

若山卓也

初値決定前の気配値の時点で、公募価格割れの可能性が高いと判断できる場合もあります。このような場合でも損失を確定させるのが無難でしょう。

そもそも初値売りを避けたからといって、あとで有利な価格で売却できる保証はない。

例えばベースフード株式会社<2936>は、公募価格の800円より11.25%安い710円の初値が付いたが、2022年12月12日終値では、さらに499円にまで下落している。

ベースフード株式会社のように、上場後の株価が初値を下回るIPO銘柄は少なくない。

2022年12月12日までに上場した2022年のIPO銘柄(68銘柄)のうち、12月12日終値が初値を上回ったものは24銘柄にとどまる。つまり約65%は、大きな利益を得られたのだ。

もちろんIPO銘柄のなかには、大きく値上がりする銘柄もある。強い自信があるなら保有し続けるべきだが、反射的な判断で保有を決めたのなら問題だ。次の売り時が来ても、同じように翻意してしまう事態が想定される。

若山卓也

値動きが不安定な銘柄をポートフォリオに入れておくよりは初値売りで損失を確定させ、他の銘柄に期待したほうが現実的かもしれません。

IPO上場初日に初値が付かなくても翌日に必ず売る

IPOでは上場初日に初値が付かない場合も、翌日も成行での売却注文を行い、売りを確実に行うようにしたいところです。

初値が付かないケースとは、買いか売りのどちらかに多くの注文が入っている状況である。

IPOで買いが殺到している場合には初値売りで大きな利益が期待できる。

若山卓也

反対に売りが殺到している場合には初値は公募価格割れになりますが、このような銘柄はその後の値動きも不安定となるため、損失を確定させるべく初値売りを実行すべきでしょう。

投資は購入から売却までで1つのサイクルになる。IPOにおいても、銘柄選定から、その売り方まで、リスクを十分考慮しながら投資を行う姿勢が重要だ。

SBI証券の初値売りの手順

IPOで勝率8割の売り方
(画像=MONEY TIMES編集部)

初値売りをするためには、当然だがIPOに当選しなければならない。そこで申し込みから売却までの流れを紹介する

1. SBI証券にログイン後、「取引」→「IPO・PO」と遷移すると、SBI証券で現在募集されている銘柄が一覧で表示される。

15.IPOで勝率8割の売り方
(画像=SBI証券より引用し著者作成)

2. 任意の銘柄を選び、「申込」を選択するとIPOに申し込める。

16.IPOで勝率8割の売り方
(画像=SBI証券より引用し著者作成)

3. 抽選などでIPOを受け取る権利を獲得したら、所定の目論見書などをすべて確認し購入に進む。

せっかく当選して配分を受けても、購入手続きをしないと配分が受けられないので必ず購入を。

4. IPOの配分を受けたら、上場日を待って売却注文を出す

初値で売却する場合は、すぐに取引を成立させる「成行(なりゆき)注文」を指定しよう。

なお売却注文画面には、「保有株式一覧画面」から遷移できる。保有株式一覧画面は、「取引」→「保有株式」と操作すると表示される。

17.IPOで勝率8割の売り方
(画像=SBI証券より引用し著者作成)

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(公式サイト)

SBI証券IPOの良い口コミ

30代|男性
IPO初心者におすすめシステム

SBI証券のIPOのメリットは、他の証券会社よりも取り扱い銘柄数が多いことと、主幹事証券会社としての取引にも精通していて信頼がおけることです。また独自のシステム「IPOチャレンジポイント」もおもしろい試みだと思います。

30代|男性
豊富な取り扱い数

ネット証券大手で、ツールもライバル証券と比較して見やすく口座管理もしやすいです。なんといっても取り扱い銘柄が豊富なのが大きなメリットとして挙げられます。細かい点では、ブックビルディング期間や、仮条件とその決定日、申し込み単位、上場日などが一覧で把握しやすく使い勝手は良いです。

50代|男性
幹事数が多い

とにかくの幹事数が他のネット証券を寄せ付けないほど多く、大手証券会社に匹敵するところが良いですね。ネット証券としては珍しく主幹事になるものもあり、そのときは当選確率もぐっと上がります。さらに抽選で外れた場合でもIPOチャレンジポイントが付与され、それを使うと当選確率が上がるのは非常に良いシステムだと思います。

出典:MONEY TIMES編集部がクラウドワークスで調査

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SBI証券IPOの良くない口コミ

50代|男性
抽選時資金が必要

引き受け幹事が多いのは良いことなのですが、いくつも申し込んでしまうと多額の資金が必要になります。他のネット証券では当選した後の入金で構わないところもあるので、改善していただきたいです。金額が大きいと、他の証券会社と銀行で入金出金を頻繁に行うことになるので手間がかかります。

30代|男性
抽選後の書類確認など慣れが必要

抽選配分率の改善や、落選時にもらえるIPOチャレンジポイントのさらなる充実をしてもらえたらと思います。また、人気のIPOは当選確率が下がり、資金力がある人が優位な方式になっています。難しいとは思いますが画期的な改善策を期待します。また資金の拘束期間や手続きについてももっとわかりやすくしてほしいです。

20代|男性
抽選方法がお金持ち有利

投資資金が多い人のほうがIPOの当選確率が高いことは、デメリットでもあります。一度IPOに当選したお金持ちの人が連続して次のIPOに当たることも多いようです。IPOに当選したばかりの人はしばらく当たらないようなシステムに改善してほしいです。

出典:MONEY TIMES編集部がクラウドワークスで調査

楽天証券の初値売りの手順

18.IPOで勝率8割の売り方
(画像=MONEY TIMES編集部)

楽天証券におけるIPO申込および初値売りの手順は、以下の通りだ。

1. 楽天証券にログイン後、「国内株式」→「新規公開株式」と遷移すると、楽天証券で募集されているIPO銘柄が一覧で表示される。

19.IPOで勝率8割の売り方
(画像=楽天証券より引用し著者作成)

2. 応募したい銘柄の「参加」をクリックし、目論見書など必要な書類の閲覧と同意を行ってIPOの申し込みに進む。

3. 購入申込日が来たら、購入の申し込みをする

楽天証券の場合、参加申し込みだけでは抽選対象とならないため、購入申込日が到来してから再度購入の申し込みを行うことが必要だ。
20.IPOで勝率8割の売り方
(画像=楽天証券より引用し著者作成)

3. 抽選に当選したら上場日が到来し次第、保有商品一覧から当該IPO銘柄を選択し、成行で注文を出す。

保有商品一覧は「国内株式」→「保有商品一覧」で表示可能だ。

21.IPOで勝率8割の売り方
(画像=楽天証券より引用し著者作成)

日本国内の株式取引は、平日(祝日を除く)の9時に始まるため、IPO銘柄の需給状況によっては9時に初値が付いてしまう可能性がある。確実に売却したい場合には、遅くとも9時前には発注が必要だ。

9時ぎりぎりに発注すると証券会社のシステムによっては、間に合わない場合もあるため、できれば8時台に発注しておくことが望ましい。

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楽天証券IPOの良い口コミ

20代|男性
大型株なら当たる

メリットは、多くの銘柄を扱っていることです。大型IPOの場合はたいてい楽天証券でも取り扱っているので、資金が多い人にはいいと思います。資金が少ない人たちは、数ある証券会社の中で楽天証券にまで資金を回せないので。

40代|男性
初心者でも参加できる

良かった点は、場合によっては購入金額より大きな利益を得られることです。特にIT関係の企業は時代の変化に伴い急速な成長を遂げており、株価が何倍にもなる可能性があるのではと思っています。抽選に応募するなら、初心者でも簡単に参加できます。買う銘柄やタイミングをあまり考える必要がないため、株式投資の知識があまりない方にとってはメリットです。

出典:MONEY TIMES編集部がクラウドワークスで調査

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楽天証券IPOの良くない口コミ

20代|男性
割り当て枚数が少ない

デメリットは、なかなか抽選に当たらないことです。なぜなら、楽天証券が主幹事証券会社となることはほとんどないからです。割り当てられているIPOの株式数が少なく、応募しても当たる確率がかなり低い点はマイナスだと感じます。

40代|男性
取り扱い数がやや少ない

悪かった点は、主幹事になることが多い他の証券会社と比べると当選確率が低く、また取り扱い数もやや少ないことです。IPOに積極的に参加したい人や、当選目的で口座開設を検討している方に対してはあまりおすすめできないと思います。今後はもう少し取り扱い数を増やしてほしいです。

出典:MONEY TIMES編集部がクラウドワークスで調査

マネックス証券の初値売りの手順

22.IPOで勝率8割の売り方
(画像=MONEY TIMES編集部)

マネックス証券のIPO申込および初値売りの手順もSBI証券や楽天証券と大きな差はない。

1. マネックス証券にログイン後、まず画面上部の「株式取引」を選び、株式取引のトップページへ進む。

23.IPOで勝率8割の売り方
(画像=マネックス証券より引用し著者作成)

2. 画面右側の欄に表示される「新規公開株(IPO)」を選択する。

24.IPOで勝率8割の売り方
(画像=マネックス証券より引用し著者作成)

3. 遷移後の画面では、マネックス証券が募集するIPOが一覧で表示される。任意の銘柄をクリックすると、申し込みに進める。

25.IPOで勝率8割の売り方
(画像=マネックス証券より引用し著者作成)

4. 抽選に当選したら、マネックス証券にログイン後、「保有残高・口座管理」を選び、保有銘柄を表示する。

26.IPOで勝率8割の売り方
(画像=マネックス証券より引用し著者作成)

5. 初値売りを行うIPO銘柄を選び、成行注文で発注する。

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(公式サイト)

マネックス証券IPOの良い口コミ

20代|男性
庶民にやさしい

マネックス証券のIPOのメリットは、抽選が平等なところです。申し込んだ株数にかかわらず申込者単位で抽選をしてくれるので、資金の少ない個人投資家でも多くのお金を保有している人たちと同じ確率で当選できます。庶民にもやさしいところがマネックス証券のメリットだと感じます。

30代|女性
完全平等での抽選がありがたい

他の証券会社のIPOは、口座に入れている資金額や過去の取引実績によって抽選が当たりやすくなったり、抽選できる回数が多くなったりします。しかしマネックス証券は、資産状況に関係なく条件が皆平等で、1人1票での抽選です。少ない資金で挑戦している身にとってはありがたいポイントです。

出典:MONEY TIMES編集部がクラウドワークスで調査

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マネックス証券IPOの良くない口コミ

20代|男性
前受け制をやめてほしい

デメリットは、あらかじめ資金を入れないと抽選に参加できないところです。そもそもIPOというものは当たらなくて当然のようなところがあるので、抽選のために資金を移動させるのは非効率だと思います。この部分を改善してほしいです。

30代|女性
なかなか当選しない

資産が少なくても当選できるチャンスが他の証券会社より高い分、たくさんの人がIPOに申し込んでいるのか、ここ数年は当選しにくい気がします。取り扱い数はかなり多いものの、主幹事になることはあまりないので仕方ないとは思いますが、1件当たりの当選株数がもう少し多いとうれしいです。

出典:MONEY TIMES編集部がクラウドワークスで調査

よくあるQ&A

IPOとは何か?
IPOとは新規株式公開「Initial Public Offering」の略称だ。未上場企業の株式を証券取引所に上場させることで、一般投資家は株式市場での売買が可能になり、企業側は株式市場からの資金調達が可能になる。

IPOの売却方法「初値売り」とは何か?
その名の通り上場後に初めて付いた株価で売却することを指す。初値売りをするためには、IPOで当選した株式を上場日の寄付前に「成行」で売却注文する必要がある。

初値売りにはどのようなメリットがあるか?
勝率が高いこと、リスクの高いセカンダリー市場を避けられることが挙げられる。

初値売りが利益を得やすいのは何故か?
IPOのプロモーション効果によって需要が喚起される一方、供給面では株式数が限定されているという需要と供給の不均衡が株価をつり上げる。上場前からの株主や当選した人が売却に走る一方、注目企業をセカンダリー市場(流通市場)で購入しようという投資家が積極的に取引を行い、1日の値幅が大きくなるからだ。

IPOで初値売りを行う場合の注意点は何か?
IPOで初値売りをすると決めたらどんな状況でも実行することだ。上場初日に値が付かなくても翌日に必ず売ること。

IPOはどのくらい儲かる?
2022年1月~12月12日までに上場した企業の結果から考察すると、平均して50%を超える利益が得られている。2022年は12月12日までに68件のIPOがあり、それらを初値で売却した場合の平均損益率は約52.64%だった。

なお初値が公募価格を上回った場合の平均利益率は約68.28%、反対に公募価格を下回った場合の平均損失率は約-7.69%となった。

最も大きな利益を得られたのは、ウェルプレイド・ライゼスト株式会社<9565>だ。公募価格1,170円に対して6,200円の値が付き、上昇率は約430%を記録。

最も大きな損失を出したのは、Recovery International株式会社<9214>で、公募価格3,060円に対して初値は2,640円となった。下落率は約13.73%となる。
IPO当たったらどうする?
IPO銘柄の株式購入手続きを行う必要がある。

抽選に当選すると購入する権利が与えられるが、この権利を行使しないとIPO銘柄を取得することはできない。銘柄ごとに交付される目論見書を閲覧し、代金(公募価格×株数)を支払って購入に進む。

なおIPO銘柄の目論見書は、修正されることが多い。常に最新版を閲覧しておかないと、購入の権利を失う可能性があるため、注意したい。
IPOの売り時間は?
国内株式は、平日の9~11時30分と12時30分~15時(年末年始や祝日を除く)が取引時間だ。この時間帯ならいつでも売却できる。

ただし初値売りを行いたい場合、取引が始まる9時前までには成行注文を入れておきたい。なぜなら注文が9時を過ぎた場合、間に合わない可能性があるからだ。

証券会社によって注文の受付時間は異なるが、遅くとも8時台には発注してほしい。

初値の決まり方は?

株価の決まり方には「ザラバ方式」と「板寄せ方式」の2つがあり、初値は後者で決まる。

ザラバ方式
・取引時間中の株価の決まり方
・オークション方式で買いと売りを順次対当させ、株価が決まる

板寄せ方式
・始値(はじめね)の終値(おわりね)の決まり方
・最も取引が成立するよう買いと売りをまとめて対当させ始値や終値が決定
・初値は、その銘柄が初めて成立した始値のこと 板寄せ方式では、約定数量が最も多くなるように買いと売りの注文をまとめて成立させるのが特徴だ。具体的には、成行注文を優先的に対当させ、次に価格の高い買い注文と価格の低い売り注文を数量が合致するまでつき合わせ、単一の価格で売買を成立させる。

若山卓也
証券会社で個人向け営業を経験し、その後ファイナンシャルプランナーとして独立。金融商品仲介業、保険募集代理業、金融系ライターとして活動しています。 関心のあるジャンルは資産運用や保険、またお得なポイントサービスなど。お金にまつわることなら幅広くカバーし、発信しています。

証券外務員一種、AFP、プライベートバンキング・コーディネーター資格保有。
Twitter:@FP38346079
証券会社で個人向け営業を経験し、その後ファイナンシャルプランナーとして独立。金融商品仲介業、保険募集代理業、金融系ライターとして活動しています。 関心のあるジャンルは資産運用や保険、またお得なポイントサービスなど。お金にまつわることなら幅広くカバーし、発信しています。

証券外務員一種、AFP、プライベートバンキング・コーディネーター資格保有。
Twitter:@FP38346079

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