IPO投資は比較的リスクが低くてもリターンを期待できる人気の投資方法です。IPOの株式を買うには抽選に当選するなどの必要がありますが、人気のIPO銘柄の当選確率は非常に低い傾向です。IPO株の当選を目指すには、「コツ」を押さえてIPOに申し込むのが望ましいでしょう。
IPOの仕組みと抽選とは?抽選対象になるための手順は?
Q:IPOの抽選とは何ですか?
A:人気が高いIPO銘柄では、購入を申し込んでも全員が買えるとは限りません。IPOの株式を誰に配分するかは証券会社が決めます。配分先を決定する方法の1つが抽選です。抽選以外の配分方法には、証券会社独自の基準による得意顧客などへの配分があります。
IPOでは公開価格(公募価格)と初値という言葉が良く登場します。
公開価格とは?
IPOでの新規上場株式を投資家が購入する価格です。
初値とは?
株式市場で始めて取引が成立した株価です。
IPO投資は、IPOの際の公開価格より初値が上昇する可能性が高く、人気の投資方法です。人気のIPO銘柄の株式を公開価格で購入するには、購入する権利を得る必要があります。購入の権利を得る一般的な方法は、IPOの抽選で当選することです。
IPOの仕組みと抽選による配分……ブックビルディングに参加すると抽選の対象に
IPOの仕組みから解説します。未上場企業は証券取引所に株式を新規上場し、投資家に株式を購入してもらうことで資金調達ができます。
企業が証券取引所に株式を新規上場するには、上場基準を満たす必要があります。上場基準は、東証一部、東証二部、マザーズ、JASDAQといった市場ごとに決まっています。たとえば、マザーズの新規上場では、株主数150人以上、流通株式時価総額5億円以上などが条件です。
・幹事と主幹事証券会社
企業が株式を新規上場する際には、「幹事」を務める証券会社が上場の支援を行い、さらに新規公開株を引き受けて投資家に販売します。
幹事の証券会社のうち、上場を中心になってサポートする証券会社を「主幹事」と呼びます。主幹事の証券会社は、企業の業績や将来性などから公開価格の仮条件の提示などを行います。
仮条件とは公開価格の仮の範囲です。たとえば、仮条件は「1,000円~1,300円」といった範囲で設定します。主幹事や幹事の証券会社は、IPOの需要を確認する「ブックビルディング」を行い、仮条件の範囲で公開価格が決定されます。
新規上場株式の価格を決定する方法としては、ブックビルディング方式が一般的です。ブックビルディング方式とは、新規上場にともない公募や売出に際して、引受証券会社が仮の発行条件を投資家に提示して、需要申告期間(ブックビルディング期間)に投資家の需要を調査・把握した上で、発行価格を決定するものです。
出典:SBIネオモバイル証券
ブックビルディングに参加した投資家に対して抽選が行われ、抽選に当選するとIPOの株式を公開価格で購入できます。
IPOの抽選を受けるための4つのステップ・手順
投資家がIPOの抽選を受けるための手順を次の4つのステップで紹介します。
IPO抽選の4ステップ
ステップ1:証券会社に口座を開設する
ステップ2:IPOのブックビルディングに申し込む
ステップ3:IPOの抽選結果を確認する
ステップ4:新規公開株の購入を申し込む
・ステップ1:証券会社に口座を開設する
IPOの抽選を受けるには、各IPO銘柄の取り扱いがある証券会社に口座を保有する必要があります。
証券会社の選定では、IPOの取り扱い実績が多い幹事証券会社が、多くのIPOに申し込める可能性が高いためおすすめです。
IPOの申し込みは複数の証券会社から可能です。そのため、多くの証券会社に口座を開設して、IPOに多く申し込めば抽選の機会が増えます。
・ステップ2:IPOのブックビルディング(需要申告)に申し込む
IPOに申し込むと抽選に進めます。IPOの申し込みはブックビルディング(需要申告)の申し込みとも呼びます。申し込み期間は銘柄ごとに決まっており、期間は1週間程度です。申し込みたい銘柄があれば、忘れずに期間内に手続きをしましょう。
ブックビルディングの申し込み方法は、IPO銘柄を選び、「申込株数」と「仮条件の範囲で希望価格」を指定します。
ブックビルディングの結果によって公開価格が決まり、申し込み時に設定した希望価格が公開価格以上の場合に抽選の対象になります。人気のIPO銘柄の場合は、公開価格が仮条件の上限金額で決定される傾向です。
・ステップ3:IPOの抽選結果を確認する
IPOの抽選が実施されて抽選結果が通知されます。IPOの抽選結果は、証券会社によって確認方法が異なります。抽選結果がメールで通知される証券会社や証券会社のサイトにログインして確認する証券会社などさまざまです。
抽選結果には、「当選」「補欠当選」「落選」などがあります。
抽選結果が「当選」ならIPOの株式を購入できます。「補欠当選」は証券会社によって異なることがありますが、一般的には「補欠当選」は当選に繰り上がればIPOの株式を購入できます。
落選が続くと「今回も落選かな」と思って確認を怠ることもありますが、当選していたらせっかくのチャンスが無駄になります。人気のIPO銘柄や複数の証券口座から申し込んだ場合も、抽選結果は必ずすべて確認しましょう。
・ステップ4:新規公開株の購入を申し込む
IPOに当選していたら、購入を申し込みます。「当選」しただけで購入を申し込まないとIPOの株式を購入できません。購入申込を忘れずに行いましょう。
IPOの配分・抽選の方法とは?証券会社ごとに紹介!
Q:IPOの配分方法は証券会社によって異なるのですか?
A:IPOの株式は取り扱う証券会社が引き受けて、投資家に販売します。証券会社は各社が独自の基準で配分先を決定します。引き受けたIPOの多くを抽選で配分する証券会社や、大部分を得意顧客に配分する証券会社など、配分方法はさまざまです。
IPOの配分方法は証券会社によって異なり、抽選で配分する場合でも抽選方法はさまざまです。
たとえば、1人1票の平等抽選や、申し込み株数に応じて抽選が有利になる抽選などがあります。申し込み株数が関係する抽選は、資金が多い投資家が有利です。
各証券会社のIPO実績・抽選方法・前受金の比較表
証券会社によってIPOの取扱実績、抽選方法、前受金の要否が異なります。証券会社各社の比較が次の表です。
IPO取扱実績・抽選方法・前受金の証券会社比較表
IPO 取扱実績 (2021年) |
IPO抽選方法 |
前受金 要否 |
|
---|---|---|---|
SBI証券 | 122社 |
60%:抽選 30%:IPOチャレンジポイント 10%:配分 *1 |
要 |
SMBC日興証券 | 約80社 |
85%:配分 *1 10%:完全平等抽選 5%:ステージ別抽選 |
要 |
楽天証券 | 74社 | 100%:抽選 | 要 |
マネックス証券 | 66社 | 100%:完全平等抽選 | 要 |
野村證券 | 約60社 |
90%:配分 *1 10%:抽選 |
不要 |
松井証券 | 56社 | 70%:抽選 | 不要 |
岡三オンライン証券 | 48社 | 100%:ステージ別抽選 | 不要 |
auカブコム証券 | 42社 | 10%:完全平等抽選 | 要 |
SBIネオトレード証券 (旧ライブスター証券) |
20社 |
90%:ステージ制抽選 10%:完全平等抽選 |
不要 |
DMM株 | 5社 | 100%:完全平等抽選 | 不要 |
GMOクリック証券 | 1社 | 100%:完全平等抽選 | 要 |
※SBI証券、SMBC日興証券、楽天証券、マネックス証券、野村證券、松井証券、岡三オンライン証券、auカブコム証券、SBIネオトレード証券、DMM株、GMOクリック証券の公式サイトを参照して筆者作成
*1 配分は「抽選によらない配分」を意味します
IPO取扱実績は、この表では2021年の1年間に各証券会社から申し込みできたIPO銘柄の数を表します。証券会社によってIPO取扱実績が大きく違うことが分かります。
IPO抽選方法は、各証券会社が引き受けたIPOの株式について、抽選などによる配分先の決定方法を表します。
前受金は、IPOの株式の購入資金であり、抽選の前に前受金が必要な証券会社は「要」、前受金がなくても抽選を受けられる証券会社は「不要」と表しています。前受金が「不要」の証券会社は、抽選前に購入資金を用意する必要はありません。当選後に購入資金を用意すればよいので、資金が潤沢にない個人投資家にとってはありがたい仕組みです。
つづいて抽選方法や配分の詳細を解説します。
IPOの完全平等抽選とは?
証券会社によっては完全平等抽選を行っています。
完全平等抽選とは?
資金額などに関係なく平等に当選する機会を得られる抽選です。
完全平等抽選では1人1票が割り当てられ、抽選では人の意思が入ることなく、コンピューターで当選者が決まります。また、1人あたりが当選する株数も平等に割り当てられます。
完全平等抽選なら資金が多くなくても当選する可能性を平等に得られます。資金が多くない場合には、完全平等抽選の証券会社からIPOに申し込みましょう。
・完全平等抽選の証券会社はマネックス証券など
完全平等抽選によってIPOの株式を配分している証券会社は、SMBC日興証券、マネックス証券、auカブコム証券、SBIネオトレード証券、DMM株、GMOクリック証券です。
このうち、引き受けた株式の100%を完全平等抽選にて配分先を決定しているのは、マネックス証券、DMM株、GMOクリック証券です。
平等でない抽選とはどのような方法か?
完全平等でない抽選の証券会社もあります。それらの証券会社では、資金額が多い投資家が抽選で有利な傾向があります。
たとえば、申し込み株数に応じて抽選が有利になる証券会社や、過去の取引額などに応じて抽選が有利になる証券会社などがあります。
申し込み株数に応じて抽選が有利になる証券会社では、申し込み単元(100株単位)ごとに抽選番号が発行されます。申込株数が多ければ多いほど、当選確率が上がる仕組みです。
また、過去の取引額などに応じて抽選が有利になる証券会社もあります。取引額や取引手数料の合計額などに応じて投資家をステージ別に分けて、当選確率が変動する抽選が行われます。
資金が多い場合は完全平等抽選ではない証券会社からIPOを申し込めば、当選確率が上がる可能性があります。
・平等でない抽選の証券会社はSBI証券や楽天証券など
楽天証券は申し込み単元ごとに抽選番号が発行されるので、申し込み株数が多いと抽選が有利です。
SBI証券の引き受け株数の60%は、抽選で配分先を決定します。抽選では申し込み株数が多いと有利です。引き受け株数の30%は「IPOチャレンジポイント」というポイント制度によって配分先が決まります。この場合には、IPOチャレンジポイントを多く使った人が当選します。
新規上場株式(既上場銘柄の公募増資・売出は除く)のブックビルディング後の抽選・配分に外れた回数に応じてIPOチャレンジポイントが加算されます。
出典:IPOチャレンジポイント|SBI証券
次回以降のIPOお申し込み時に、IPOチャレンジポイントをご使用いただくことにより、IPOが当選しやすくなるSBI証券のポイントプログラムサービスです。
岡三オンライン証券は、過去の取引実績から3つのステージに分けて抽選が実施されます。岡三オンライン証券での取引手数料の支払いが多い人などが抽選で有利です。
SMBC日興証券は、完全平等抽選で当選しない場合にステージ別抽選の対象になります。ステージは、預かり資産残高または信用取引建玉金額によって判定されます。ステージは4段階に分かれ、最高ステージの当選確率は25倍です。
抽選によらない配分とは?
抽選での配分以外に証券会社の独自の判断での配分があります。
配分の基準は、普段からの取引額などが重視されます。つまり、その証券会社の上得意客などへ、日ごろの感謝を込めてIPOの株式を配分する傾向があります。
野村證券やSMBC日興証券などの対面証券では、IPOの株式を抽選なしで配分する比率が高い傾向です。その比率は、野村證券が90%、SMBC日興証券が85%です。抽選によらない配分を期待するなら、IPOの取扱実績が多い対面証券での取引を増やすことを検討しましょう。
IPOの抽選で当選機会を増やす6つのコツ
Q:IPOの当選確率を上げるにはどうすればいいですか?
A:なるべく多くの証券会社に口座を開設して、ネット証券や主幹事証券から多く申し込むのがポイントです。また、前受金不要の証券会社なら、資金を気にせずにIPOに申し込めます。
IPOの当選確率を挙げるためには、当選機会を増やす必要があります。そのための6つのコツを解説します。
当選機会を増やす6つのコツ
- 証券口座の開設数を増やす
- IPO実績の多い証券会社から申し込む
- ネット証券から申し込む
- 主幹事証券から申し込む
- 前受金不要の証券会社から申し込む
- 補欠当選でも購入を申し込む
当選機会を増やすコツ1:できるだけ多くの証券会社に口座を開設する
IPOは複数の証券会社から申し込むことが可能です。複数の証券会社から申し込めば、当選の機会が増えます。
多くの証券会社からIPOに申し込むには、各証券会社に口座が必要です。複数の証券会社の口座を一度に開設するのは手間がかかるので、優先順位を考えて開設するといいでしょう。IPO取扱実績が多い証券会社からの口座開設がおすすめです。
当選機会を増やすコツ2:IPO取扱実績の多い証券会社で申し込む
IPOの取り扱いが多い証券会社は、多くのIPO銘柄に申し込みが可能です。多くのIPOに申し込めば抽選の機会が増えます。
IPO取扱実績(2021年)
証券会社名 | IPO取扱実績(2021年) | |
---|---|---|
企業数 |
全体(123社) に対する割合 |
|
SBI証券 | 122社 | 99% |
SMBC日興証券 | 約80社 | 約65% |
楽天証券 | 74社 | 60% |
マネックス証券 | 66社 | 54% |
野村證券 | 約60社 | 約50% |
松井証券 | 56社 | 46% |
岡三オンライン証券 | 48社 | 39% |
auカブコム証券 | 42社 | 34% |
SBIネオトレード証券 (旧ライブスター証券) |
20社 | 16% |
DMM株 | 5社 | 4% |
GMOクリック証券 | 1社 | 1% |
※SBI証券、SMBC日興証券、楽天証券、マネックス証券、野村證券、松井証券、岡三オンライン証券、auカブコム証券、SBIネオトレード証券、DMM株、GMOクリック証券の公式サイトを参照して筆者作成
IPOの取り扱いが少ない証券会社からのみの申し込みでは、多くのIPO銘柄の抽選の機会を失います。取り扱いが多い証券会社からも申し込むようにして、抽選の回数を増やすようにしましょう。
また、IPOの取り扱いが多い証券会社から申し込めば、IPOの全体的なスケジュールを把握しやすいメリットがあります。
近年で一番IPOの取り扱いが多いのはSBI証券です。SBI証券のIPO銘柄を確認すれば、IPOのスケジュールを把握しやすいといえます。
当選機会を増やすコツ3:ネット証券からIPOに申し込む
対面証券とネット証券では、IPO株の配分方法に異なる傾向があります。
野村證券やSMBC日興証券などの対面証券は、抽選によらない配分が多い傾向です。抽選で配分先が決まるのは引き受け株数の一部のみです。一方、SBI証券や楽天証券、マネックス証券などのネット証券は、抽選による配分が多い傾向です。
IPOの抽選による当選を目指すなら、抽選による配分が多いネット証券からの申し込みを重視します。また、ネット証券は抽選の仕組みを明らかにしている場合が多く、当選の機会が分かりやすいといえます。
ネット証券のなかには、SBI証券のようにIPOのポイント制度(IPOチャレンジポイント)を導入する証券会社もあります。SBI証券では落選するごとにポイントが付与され、次回以降のIPOでそのポイントを使うことで抽選に当選しやすくなります。
当選機会を増やすコツ4:主幹事証券会社からIPOの抽選に申し込む
IPOの主幹事証券と幹事証券では、配分するIPOの株数に大きな違いがあります。IPOの主幹事証券には、全体の8割から9割程度の株数が割り当てられるのが一般的です。
たとえば、2021年6月23日に上場したアイ・パートナーズフィナンシャル<7345>は、全10万株の引き受け株数のうち主幹事のSBI証券が8万5,000株を引き受けました。全体の85%が主幹事証券であるSBI証券による配分でした。抽選対象の株数が多い分だけ当選確率が高まる可能性があります。
2021年のIPO主幹事実績トップ5の証券会社は下表のとおりです。
IPO主幹事実績(2021年)トップ5
証券会社名 | IPO主幹事実績(2021年) | |
---|---|---|
主幹事数 |
全体(123社) に対する割合 |
|
野村證券 | 26社 | 21% |
みずほ証券 | 26社 | 21% |
SMBC日興証券 | 24社 | 20% |
SBI証券 | 18社 | 15% |
大和証券 | 13社 | 11% |
※日本取引所グループ、福岡証券取引所の公式サイトの資料を参照して筆者作成
※共同主幹事の場合は引き受け株数最多の証券会社をカウント
IPOの主幹事証券を調べるには、上場する証券取引所の新規上場会社情報ページ(東証の場合は日本取引所グループの新規上場会社情報)の会社概要のPDF資料を開いて、「幹事取引参加者」の欄の証券会社を確認します。
出典:新規上場会社情報|日本取引所グループ
IPOの主幹事証券に口座を持っているなら、その証券会社からのIPO申し込みは忘れないようにしましょう。
当選機会を増やすコツ5:前受金不要の証券会社からの申し込みを活用
IPOの前受金不要の証券会社なら、資金が限られていても多くの証券会社から申し込むことが可能です。前受金不要の証券会社に口座を開設したら、それらの証券会社で取り扱うIPOには忘れずに申し込むようにしましょう。
前受金不要の証券会社は、野村證券、松井証券、岡三オンライン証券、SBIネオトレード証券、DMM株などです。これらの証券会社の抽選で当選したら、前受金(購入資金)を入金して購入を申し込みます。
当選機会を増やすコツ6:補欠当選でも購入を申し込む
IPOの抽選結果は「当選」「補欠当選」「落選」として発表される証券会社が一般的です。
補欠当選の場合には、抽選結果の発表後に購入を申し込み、繰上当選すればIPOの株式を購入できます。当選者が購入の申し込みを忘れている場合など、補欠当選でも繰上当選のチャンスがあります。
補欠当選であっても、購入を申し込まなければIPOの株式を購入できるチャンスを失います。できれば、補欠当選でも購入を申し込むようにしましょう。ただし、不人気なIPO銘柄の場合は初値が公開価格を下回る可能性が高いため、購入申し込み前には投資判断が大切です。
当選確率が低くてもIPO投資がおすすめな理由
Q:IPO投資はなぜおすすめの投資方法なのですか?
A:IPO投資は低リスクでありながら、リターンが高い傾向にあります。人気のIPO銘柄なら公開価格より初値が上回る可能性が高く、投資金額に対して大きなリターンを期待できます。
IPO投資のリターンが特に大きい銘柄では、1単元(100株)だけの投資で100万円を超えるリターンを得る場合もあります。
2021年のIPO投資での高リターン銘柄は、公開価格1,180円に対して初値5,600円と4倍強になったアピリッツ<4174>や公開価格3,120円に対して初値9,880円まで6,000円を超えて上昇したアイ・パートナーズフィナンシャル<7345>がありました。
IPO投資で初値で売った場合の2021年の勝率は82%ほどで、IPO全123銘柄(TOKYO PRO Marketを除く)中101銘柄で初値が公開価格を上回りました。
IPO投資は当選確率が低いかもしれませんが、低いリスクで高いリターンを狙える投資方法のためおすすめできます。
IPO投資におすすめの証券会社3選
Q:IPO投資におすすめの証券会社をどう選ぶべきですか?
A:IPO投資の証券会社選びのポイントの1つは、IPOの取扱数が多いことです。IPOの取扱数が多ければ、多くのIPOに申し込めるため抽選の機会が増えます。また、配分方法に「抽選」を採用しているネット証券を主軸とするのもいいでしょう。
IPOは証券会社によって取り扱い銘柄が異なるため、IPO投資しやすい証券会社を選びます。証券会社選びでは、IPO取り扱い数が多いネット証券がおすすめです。
おすすめ証券会社:SBI証券……IPO取扱数トップの大手ネット証券
SBI証券は国内証券でIPO取扱数トップのIPOに強い証券会社です。
SBI証券のIPO情報
IPO取扱実績 (2021年) |
IPO主幹事実績 (2021年) |
IPO抽選方法 |
前受金 要否 |
---|---|---|---|
122社 | 18社 |
60%:抽選 30%:IPOチャレンジポイント 10%:抽選によらない配分 |
要 |
※SBI証券の公式サイトを参照して筆者作成
・SBI証券はIPOの主幹事数も多い
SBI証券は国内株式の個人取引シェアNo.1(SBI証券による公表データ)の人気ネット証券です。IPOの取扱数がトップであり主幹事証券実績も多いため、IPO投資なら押さえるべき証券会社だといえます。
IPO以外の商品ラインアップも充実しており、さまざまな商品の取引手数料も低く設定されています。SBI証券は、IPO投資に限らず、国内で幅広く投資を行う人におすすめのネット証券です。
・SBI証券のIPOの配分方法……資金が多い方が有利
SBI証券のIPOは、60%が抽選、30%がIPOチャレンジポイント、10%が抽選によらない配分によって、投資家に配分されます。
抽選は、申込単元(100株)ごとに番号が割り当てられ、その番号に対して抽選がおこなわれます。そのため、資金額が多く株数を多く申し込む人が抽選で有利です。
IPOチャレンジポイントによる配分は、IPOの申し込みにて、IPOチャレンジポイントを多く使用して申し込んだ人から順に当選します。
抽選によらない配分では、SBI証券での取引状況などから配分先が決定されます。
・SBI証券のIPOチャレンジポイント
30%が配分されるIPOチャレンジポイントは、SBI証券が独自に設けているポイントプログラムです。IPOに外れるごとに1ポイントが付与されます。また、友達紹介キャンペーンなどでIPOチャレンジポイントがプレゼントされることがあります。
新規上場株式(既上場銘柄の公募増資・売出は除く)のブックビルディング後の抽選・配分に外れた回数に応じてIPOチャレンジポイントが加算されます。
出典:SBI証券
IPOチャレンジポイントの使い方は、IPOに申し込む際に使用するポイント数を指定します。ポイントを使用して申し込んだ抽選で当選すると、使用したポイントは消失します。抽選で落選すると使用したポイントは戻ります。
IPOチャレンジポイントは、ポイントを使用して当選するまで減らない仕組みになっています。そのため、ポイントを使用すれば、いつかは当選する希望を持てます。なお、IPOチャレンジポイントを使用して当選した後に、購入を辞退してもIPOチャレンジポイントは戻らないので気を付けましょう。
おすすめ証券:楽天証券……口座開設数トップレベルの人気ネット証券
楽天証券は証券口座が700万口座(2021年12月時点)を超え、口座開設数トップレベルの人気ネット証券です。
楽天証券のIPO情報
IPO取扱実績 (2021年) |
IPO主幹事実績 (2021年) |
IPO抽選方法 |
前受金 要否 |
---|---|---|---|
74社 | 0社 | 100%:抽選 | 要 |
※楽天証券の公式サイトを参照して筆者作成
・楽天証券の利用は楽天経済圏でさらにお得に
楽天証券は楽天グループのネット証券であり、楽天経済圏でお得な証券会社です。充実の商品ラインアップや低く抑えられた手数料も魅力です。
楽天証券はポイントを使って投資する「ポイント投資」が充実しています。楽天ポイントを使って、国内株式、米国株式、投資信託、バイナリーオプションに投資できます。
楽天銀行や楽天カードと合わせて使うことでメリットがあります。楽天銀行との口座連携サービス「マネーブリッジ」を利用すると、楽天銀行の普通預金金利が通常の5倍である年0.1%(税引前)に上昇します。投資信託を楽天カード決済で積立すると、100円につき1ポイントの楽天ポイントが付与されます。
・楽天証券のIPOの配分方法……申込株数に応じて抽選が有利に
楽天証券は、原則として抽選で配分先が決定されます。
抽選方法は、IPOの購入申込の株数に応じて抽選番号が付与されます。申込株数が多いと抽選番号が多いため、抽選が有利になります。
購入申込期間終了後、購入申込されたお客様を対象に、コンピュータにより乱数を用いて抽選番号を単位株数分付与致します。
出典:楽天証券
たとえば、申込株の単位が100株の場合、100株申し込むと抽選番号が1つ、500株申し込むと抽選番号が5つ付与されます。抽選はシステムでおこなわれ、抽選結果は「お知らせ」またはIPOを申し込んだ画面で確認できます。
・楽天証券で当選確率を上げる方法……資金力が影響
楽天証券のIPOの抽選で当選確率を上げるには、申込株数を増やして多くの抽選番号を付与されることです。楽天証券は前受金が必要なため、申込株数を多くするには相応の資金が必要です。つまり、資金力が当選確率に大きく影響します。
たとえば、100株申し込める人よりも1,000株申し込める人の方が抽選番号を10倍多く得られます。その分当選確率も上がります。
資金力がある人以外は、楽天証券での当選確率を上げるのは難しいといえます。資金額に応じて楽天証券や完全平等抽選の証券会社などに資金を分散し、多くの証券会社からIPOに申し込むことをおすすめします。
おすすめ証券:マネックス証券……米国株の取扱銘柄数が国内証券トップレベル
マネックス証券は、米国株の取扱銘柄数が国内証券トップレベルで、取引手数料も最安レベルの米国株に強いネット証券です。
マネックス証券のIPO情報
IPO取扱実績 (2021年) |
IPO主幹事実績 (2021年) |
IPO抽選方法 |
前受金 要否 |
---|---|---|---|
66社 |
0社 (共同主幹事1社) |
100%:完全平等抽選 | 要 |
※マネックス証券の公式サイトを参照して筆者作成
・マネックス証券は取引ツールも充実している
マネックス証券は魅力的な米国株以外にも、日本株、投資信託、金・プラチナなどの多くの商品を取り扱っています。
充実したツールにも特徴があり、日本株を分析しやすい「マネックス銘柄スカウター」やスピード注文が可能な高機能トレーディングツール「マネックストレーダー」など、多彩なツールを利用できます。
マネックス証券は、投資の初心者から経験者まで満足できるネット証券だといえます。
・マネックス証券のIPO取扱銘柄数……2015年から6年連続で取扱銘柄数トップ5
マネックス証券は、IPOの取扱銘柄数が多い証券会社です。IPO取扱銘柄数は、2015年から2020年までの6年連続で全証券会社のトップ5(マネックス証券による公表データ)に入っています。2021年のIPO取扱銘柄数は66であり、全体の54%の銘柄の取り扱いがありました。
マネックス証券なら、多くのIPO銘柄への申し込みが可能です。
・マネックス証券のIPOの配分方法……100%完全平等抽選
マネックス証券は、原則としてすべてのIPOの株式配分先を抽選にて決定します。抽選の権利は1人に1票が付与され、資金が少なくても抽選は平等に実施されます。抽選はコンピューターにより行われ、人の意向は反映されません。IPOの株式が多くの人に配分されるように、1単位ずつ当選するように抽選されます。
“『乱数』を基にコンピューターによる抽選を行い当選・補欠・落選を決定します。”
出典:マネックス証券
IPOに1株から申し込めるスマホ証券2選
Q:IPOは1株からの申し込みが可能というのは本当ですか?
A:IPOの申し込みは通常単元(100株)単位ですが、SBIネオモバイル証券とPayPay証券は、IPOを1株から申し込めます。
1株から申し込める証券会社なら、資金が少なくてもIPO投資をしやすいといえます。IPO初心者は、SBIネオモバイル証券などから始めてはいかがでしょうか。
1株からIPO投資できるサービスのメリット・デメリット
1株からIPOの株式を購入できれば、資金が多くなくても気軽にIPO投資できることがメリットです。IPOの株式は数千円程度が多いため、1株であれば数千円程度でIPO投資できます。
逆にデメリットは、申し込みできる株数に上限があることです。SBIネオモバイル証券は上限99株、PayPay証券は上限100株のため、資金が多い人にとってはリターンが限られます。
1株からIPO投資できるサービスは、メリットとデメリットを考慮すると、資金が限られる人にとって利用しやすいといえます。
1株からのIPO投資:SBIネオモバイル証券……初心者でもIPO投資を始めやすい
SBIネオモバイル証券(ネオモバ)のIPOは「ひとかぶIPO」というサービス名です。
SBIネオモバイル証券のIPO情報
IPO取扱実績 (2021年) |
IPO主幹事実績 (2021年) |
IPO抽選方法 |
前受金 要否 |
---|---|---|---|
15社 | 0社 |
50%:平等抽選 50%:優遇枠抽選 |
要 |
※SBIネオモバイル証券の公式サイトを参照して筆者作成
株式取引は、一般的には単元ごとに(原則100株ずつ)買付けします。IPOも同様、単元(原則100株ごと)の買付けとなりますが、ひとかぶIPOでは1株から買付け可能となっており、ひとかぶIPOは投資を初めたばかりの方やお試しで買付けしたいという方のニーズに適した商品設計となっています。
出典:SBIネオモバイル証券
・IPO投資は1〜99株の範囲で申し込み可能
SBIネオモバイル証券(ネオモバ)は、スマートフォンの利用に最適化した画面を利用できるスマホ証券です。分かりやすく操作しやすい画面で投資初心者にも最適です。ネオモバではTポイントを利用した株やFXなどのポイント投資が可能です。
ネオモバは、国内株式を1株から取引できる単元未満株(S株)に対応しています。取引手数料は、月間の約定代金合計によるサービス手数料という形式で負担します。約定代金合計が50万円までならサービス手数料は月額220円(税込)の低料金です。
1株からIPO投資できる「ひとかぶIPO」は、株数を1株~99株の範囲で指定して申し込みます。IPOの申し込みの際には前受金が必要で、申し込み時に買付資金が拘束されます。
・SBIネオモバイル証券のIPOの配分方法……若年層などへの優遇枠あり
ネオモバの「ひとかぶIPO」での配分先は抽選で決定されます。
50%は平等抽選が行われ、誰でも平等に当選の機会があります。残りの50%は平等抽選で当選しなかった人を対象に、当選確率が変動する優遇枠での抽選が行われます。優遇枠は「若年優遇(20代、30代)」「長期継続保有者優遇(3ヵ月以上)」「FX取引口座保持優遇」の3つです。
ネオモバの平等抽選は完全平等抽選とは異なります。採用している方式は1人1票、平等に当選の権利が得られる抽選ですが、当選数量に上限が設けられているため当選する株数は平等ではない可能性があります。
・SBIネオモバイル証券のIPOの株式売却注文……初値成立後の翌日早朝から可能
ネオモバのひとかぶIPOは初値(株式市場での最初の株価)のタイミングでは売却できません。
売却注文は、初値成立後の翌日早朝から出すことが可能です。初値成立日が金曜日なら、翌週月曜日の早朝から注文できます。初値成立後の最も早い売却は、初値が成立した翌営業日の前場始値です。
ひとかぶIPOは、1株から申し込めるメリットがありますが、リアルタイムで売却できないことがデメリットです。
1株からのIPO投資:PayPay証券……少額投資ができる日本初のスマホ証券
PayPay証券は2016年に旧「One Tap BUY」としてサービスを開始した日本初のスマホ証券です。
PayPay証券のIPO情報
IPO取扱実績 (2021年) |
IPO主幹事実績 (2021年) |
IPO抽選方法 |
前受金 要否 |
---|---|---|---|
0社 | 0社 | 100%:平等抽選 | 要 |
※PayPay証券の公式サイトを参照して筆者作成
・PayPay証券は「誰でもIPO!」で1〜100株まで申し込み可能
PayPay証券はスマホ証券の先駆けとして、初心者でも簡単に株式投資ができるさまざまなサービスを提供しています。たとえば、「つみたてロボ貯蓄」は、米国の代表的な企業の株式を1,000円から積立でき、「PayPayボーナス運用」はPayPayボーナスを使って投資体験ができるサービスです。
また、IPOサービス「誰でもIPO!」は1株から100株まで1株単位で申し込み可能なので、少額からIPO投資にチャレンジできます。
抽選倍率の高いIPOを、一人でも多くの方に体験いただき、今まで一部の投資家にチャンスが偏っていたIPOの購入申し込みに、少額から誰でも参加できるようにすることで、多くの方に当選の機会を作りたいとの思いでサービスを開始します。
出典:PayPay証券
「誰でもIPO!」はIPO投資のハードルを下げる良いサービスですが、2022年1月18日時点で過去のIPO取扱銘柄が2018年12月19日上場のソフトバンク<9434>1銘柄のみです。今後はIPOの取り扱い銘柄が増えることを期待したいところです。
・PayPay証券のIPOの配分方法……100%平等抽選ながら、完全平等抽選とは異なる
PayPay証券の「誰でもIPO!」では、100%抽選により配分先が決定されます。抽選の際には、IPOの申し込みに番号を付与して、その番号に対して抽選がおこなわれるので、平等に抽選されるようです。
IPOの申し込み株数上限は100株のため、1人が当選する株数は100株までです。当選者によって当選の株数に差が生じるため、完全な平等ではないようです。
抽選の結果は「誰でもIPO!」アプリにて確認できます。
・PayPay証券でのIPO申し込みツール……専用アプリやパソコンから可能
PayPay証券でIPOに申し込むには、スマートフォンでは「誰でもIPO!」アプリから申し込めます。パソコンでは「IPOサイト」パソコン(WEB)からのIPO申し込みが可能です。
IPOの申し込みには前受金が必要なため、IPOの株式の買付資金をあらかじめ用意しておきます。
スマホでの取引を前提にしているネット証券は、初めての人でも取引しやすいように画面デザインを工夫しています。PayPay証券は、投資初心者が少額でのIPO投資を始めるのに適した証券会社といえるでしょう。
NISA口座でIPO投資をするメリットは?おすすめ証券会社は?
Q:NISA口座でのIPO投資は可能ですか?
A:証券会社によってはNISA口座でのIPO投資を利用できます。NISA(少額投資非課税制度)は、少額からの投資を国が支援する制度です。IPO投資でNISA口座を利用すれば税制メリットを受けることが可能です。
NISA口座でのIPO投資のメリット・注意点や、NISA口座でのIPO投資が可能なおすすめ証券会社を紹介します。
NISA口座でIPO投資をするメリット……短期間の大きなリターンが非課税になる
NISA口座でIPO投資をするメリットは、収益が非課税になることです。株式投資の税率は約20%ですが、NISA口座でのIPO投資なら収益に対する課税はありません。
たとえば、IPO投資で100万円の売買差益を得た場合、課税口座(特定口座・一般口座)では約20万円を税として納めて、残り約80万円を利益として得ます。NISA口座なら売買差益に課税されないため、そのまま100万円を利益として受け取れます。
短期間で大きなリターンを得る可能性があるIPO投資は、NISA口座のメリットを活用しやすいといえます。
NISA口座でIPO投資をする注意点……売るタイミングに気を付けたい
IPO投資では、公開価格より初値が上昇することが多いため、初値で売ればプラスのリターンを得る可能性が高いといえます。
ただし、IPOの上場後の株価は上昇か下落のどちらの可能性もあります。初値で売却すればプラスのリターンであったものの、上場後に様子を見ていたら株価が公開価格を下回って含み損の状態になることがあります。
NISA口座では損失があっても損益通算できません。含み損のまま売却せずに保有し続けることもできますが、そのまま株価が下落し続けることは避けたいものです。
IPO投資に不慣れなうちは、初値で売るようにするなど、売るタイミングに注意しておくべきです。
NISA口座でIPO投資ができる証券会社……SMBC日興証券やSBI証券が候補
NISA口座でのIPO投資は多くの証券会社で対応しています。ただし、NISA口座の利用は一人につき1つの金融機関のみです。IPO投資でNISA口座を利用したいなら、IPOの抽選に当選する可能性が高いと考えられる証券会社にNISA口座を開設しましょう。
NISA口座の証券会社選びのポイントとして、IPOの取扱数と主幹事数が多い証券会社が候補として考えられます。その条件を満たす証券会社は、SMBC日興証券とSBI証券です。
・NISA口座の候補:SMBC日興証券……ネット取引にも強い対面証券
SMBC日興証券のIPO情報
IPO取扱実績 (2021年) |
IPO主幹事実績 (2021年) |
IPO抽選方法 |
前受金 要否 |
---|---|---|---|
約80社 | 24社 |
85%:抽選によらない配分 10%:完全平等抽選 5%:ステージ別抽選 |
要 |
※SMBC日興証券の公式サイトを参照
SMBC日興証券は、対面証券でありながらネット取引にも力を入れており、公式サイトでの情報公開を積極的に行っている証券会社です。
IPOの取扱数と主幹事数がともに多く、IPOの抽選方法も詳細情報が公開されており、IPO投資で積極的に利用したい証券会社だといえます。
NISAの投資枠が余っても、少額での株式投資が可能な「キンカブ」を利用すれば、投資枠を使い切りやすいメリットがあります。キンカブは100円以上100円単位での株式取引が可能なため、少額からの金額を指定しての株式投資が可能です。
・NISA口座の候補:SBI証券……IPO取扱数トップでIPOチャレンジポイントもある
SBI証券のIPO情報
IPO取扱実績 (2021年) |
IPO主幹事実績 (2021年) |
IPO抽選方法 |
前受金 要否 |
---|---|---|---|
122社 | 18社 |
60%:抽選 30%:IPOチャレンジポイント 10%:抽選によらない配分 |
要 |
※SBI証券の公式サイトを参照
SBI証券は、IPO取扱数トップで主幹事数も多い証券会社です。IPOの株式は抽選60%、IPOチャレンジポイント30%で配分されるため、抽選などで配分先が決まる比率が高いのもポイントです。
IPOチャレンジポイントは、IPOの株式を購入するか購入を辞退しない限りは使ったポイントが返ってくるため、いつかはIPOチャレンジポイントによる当選を期待できます。
SBI証券のS株(単元未満株)なら、数百円程度からの株式投資が可能です。NISAの投資枠が余っている場合でも、S株を利用すれば投資枠を使い切りやすいといえます。
NISA口座でIPOの購入申込をする方法……NISA口座と課税口座に分割して購入できる
NISA口座でIPO投資をする場合は、IPOの購入申込で口座の区分(NISA口座や特定口座など)を指定します。証券会社によっては、NISA口座と課税口座(特定口座・一般口座)に分割してのIPO投資も可能です。たとえば、IPOの抽選で500株当選した場合は、NISA口座に200株、特定口座に300株というように購入する口座を分割できます。
購入する口座を分割できれば、NISAの投資枠の空きが少なくても、効率的なIPO投資が可能です。
IPOの抽選についてよくある質問(Q&A)
Q.全てのIPOの抽選に申し込みできますか?
IPO銘柄を取り扱う証券会社からの申し込みが可能です。多くの証券会社に口座を保有すれば、ほとんどのIPOに申し込めます。
IPOに申し込んでも抽選の対象外になることがあります。それは、IPOの買付資金が不足している場合と申し込んだ株価が公開価格を下回る場合です。抽選の対象外になるとIPOの申し込みが無駄になるため気を付けましょう。
Q.IPOの抽選に申し込む時には買付資金が必要ですか?
IPOの前受金(買付資金)を用意するタイミングは、証券会社によって異なります。
IPO申し込み時や抽選前に前受金が必要な証券会社と抽選までは前受金が不要な証券会社があります。前受金が不要な証券会社は、当選後の購入申込の際に買付資金が必要です。
前受金が必要な証券会社は、SBI証券、SMBC日興証券、マネックス証券、楽天証券などです。前受金が不要な証券会社は、野村證券、松井証券、岡三オンライン証券、SBIネオトレード証券などです。
前受金が不要な証券会社なら、買付資金がなくてもIPOの申し込みが可能です。資金が限られている投資家は、前受金が不要な証券会社から積極的にIPOを申し込みましょう。
Q.IPOの主幹事とは何ですか?
IPOの主幹事とは、新規上場のために中心になってサポートする証券会社です。主幹事は主幹事証券と呼ばれることもあり、IPOに関する手続きや株価の設定などを行います。
IPOの株式を引き受けて販売する証券会社を幹事証券と呼びますが、中心になる主幹事証券はIPOの引受株数が多い傾向です。主幹事証券は、IPOの株式の8割から9割程度を引き受ける傾向があります。そのため主幹事証券から応募すると、抽選方法によっては当選しやすいといえます。
Q.通常の株式とIPOの株式は何が違うのですか?
通常の株式は既に証券取引所に上場していて、IPOの株式は新規に証券取引所に上場する違いがあります。
IPO投資とは、新規上場の際に公開価格でIPOに株式投資することです。IPOにて証券取引所に上場して初値が付いた後は、通常の株式と同様にIPOの株式を市場で売買できます。IPO上場後の株式投資は、IPOセカンダリー投資と呼ばれることがあります。
Q.IPOの抽選で落選したら前受金は戻りますか?
IPOの前受金が拘束される証券会社で抽選に落選した場合は、前受金の拘束が解放されて証券口座に戻ります。
前受金の拘束は、落選の抽選結果が発表されたタイミングでの解放が一般的です。抽選に当選や補欠当選した際は、購入を辞退した場合や購入申込しない場合には前受金が解放されます。
Q.IPOの「完全平等抽選」と「平等抽選」の違いは何ですか?
完全平等抽選や平等抽選などの言葉は、証券会社や投資関連のサイトなどで利用されています。単語の明確な定義はなく、それぞれのサイトで独自の解釈で利用している言葉だといえます。
本記事では、完全平等抽選と平等抽選を次のように使い分けています。
本記事での完全平等抽選と平等抽選の共通点・相違点
当選確率 | 当選する株数 | |
---|---|---|
完全平等抽選 | 平等 | 平等 |
平等抽選 | 平等 | 平等でない |
完全平等抽選と平等抽選の共通点は、当選確率が平等だということです。どちらも1人1票の抽選により、誰でも当選確率が同じ抽選のことです。
完全平等抽選と平等抽選の相違点は、当選した場合の株数です。完全平等抽選では、当選者の当選株数が平等に割り当てられるのに対して、平等抽選では当選者によって当選株数に差が生じます。
なお、証券会社や投資関連のサイトによっては、これらの言葉の意味が異なる場合があります。
IPOの抽選は継続してこそ当選に近づく
IPO投資は、投資には珍しくリスクが低めでリターンが高めの人気の投資方法です。そのため、IPO投資を行うには抽選による当選などで、IPOの株式を購入する権利を得ることが必要です。
IPOの抽選で当選を狙うには、なるべく多くの証券会社に口座を開設して、多くの証券会社から申し込むことがポイントです。
抽選で落選続きの場合はIPO投資のモチベーション低下も考えられます。しかし、途中でやめることなく地道にコツコツとIPOに申し込むことが、IPO投資の成功に近づく方法です。