■ 「仕事」としてのSNS運用
筆者は今後の企業のSNS運用において、とりわけ重視しなければいけない点がひとつあると考えています。それは、「SNS運用もまた仕事である」ということです。
よく私は、SNS運用のことを「空中戦」と表現します。従来の営業・販促活動は、量販店のバイヤーとの折衝、広告代理店や問屋といった「中間業者」との直接的なやり取りに基づく「地上戦」ありきでした。ところが、SNS含めたITの発達により、特に後者である「中間業者」を飛び越した「空中戦」で物事が決まるケースが増えてきています。
これは歓迎すべきことでもあります。なぜなら、これまで中間業者に支払っていたマージンが、「空中戦」を実行することで一切不要になり、コスト削減に繋がります。また、余計な意思に対して「忖度」をせず商材を提案し、受ける側もユーザーが必要なものを選べばいいからです。
しかし、現状はさほど「空中戦」は普及していません。それは、“既存”の有するノウハウも、依然として有効であり、完全に取って代わられるほどではないからです。ただそれ以上に、企業側が、空中戦によって実績を出した担当者に対して、正しく評価をしていないことも主因であります。
先述の通り、私は以前、大手食品メーカーのマーケティング兼企業公式Twitter担当者でした。そしてそこでは、自身の「空中戦」により、様々な異業種コラボを立案実行し、またありがたいことに、一部売上にも繋がった実績を出しました。
しかし企業側からは、それによる評価(報酬)どころか、労いの声すらありませんでした。寧ろ一部からは、心無い声を寄せられたほどです。ただし、これは私に限った話でもなく、多くの「中の人」も似たような経験を持つという、悲しいかな「あるあるネタ」です。
それもあり、私は所属企業(当時)に見切りをつけ、紆余曲折を経て、現在はおたくま経済新聞のライター兼公式Twitter運用担当、そして他企業のSNS運用アドバイザーを複業で行っています。
その中で気づいたのが、運用はもちろんのこと、種々の企画に対してもそれぞれ価値を有するということ。何らかのプラスの「反響」が前提ではありますが、実際に私は立案したプランに対しても、別途報酬をいただくシステムを確立しています。
念のために言っておきますが、私は別に批判がしたいわけではありません。単に事実を述べているだけです。また、このように事例紹介をすることで、「SNS運用業務はれっきとした仕事」であることを多くの方に知ってもらうことも目的のひとつ。仕事というものは、対価があってのもので、それがないものはただのボランティアです。
私に限らず、SNS運用という「空中戦」により、従来では考えられなかったビジネスを生み出した担当者は存在します。一方で、企業としてSNS運用を進めていこうとする中で、実績を残してきた人材については、お金を払ってでも獲得しようとする企業は急増してきています。かつての私に対してのように、結果を残した人材を、迅速かつ適切に評価できない企業は、規模感問わず今後どんどん淘汰されていくでしょう。
一方、お金をもらうということは、「プロ」として認められていることであり、それだけ責任が生じます。私はSNS運用担当が、自分の仕事に対してもっと胸を張って実績をアピールし、正しく報酬を受け取れるような環境になることを切に望んでいますが、一方で担当側も正しい振る舞いを行う必要もあります。「おもしろ投稿」で評価される時代は、とっくに終焉しているのです。
そうそう、企業の評価担当にも一言。対価を払うことは当然のことですが、しかし担当者は、法外な金額を要求しているわけではありません。代理店に支払うものと比べたら、随分リーズナブルでしょう。
また、日頃から密に連絡を取り合うことも重要です。「この会社には大切にされてない」と分かった瞬間、他所でも実績を残せる自信がある人間は、あっさり現職から離反するものなのでね。
(向山純平)
提供元・おたくま経済新聞
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