新年あけましておめでとうございます。本年もよろしくお願いいたします。

 さて、2022年最初のお題は「SNS」。昨今すっかり「生活必需品」として、何かしらのプラットフォームを活用するユーザーは年々増加。「ググる(Googleで検索する)」「タグる(SNSでタグ付けされた情報を調べる)」そして現在は、「アカる(SNSアカウントを検索する)」という言葉が登場するほど浸透しています。

 同時に、企業が運用する「公式SNSアカウント」も注目度が上昇。有力な購入動機のひとつになっている中で、今後の運用の方向性について述べてまいります。

 その前に、簡単に自己紹介をしましょう。筆者は現在、おたくま経済新聞のライターと兼務して、公式Twitterの運用担当を担っています。

 以前は、東証一部上場企業の大手食品メーカーにも在籍。その際、公式Twitterの運用も兼務で担い、約1年半の期間ながら、800人弱だったフォロワー数を5万5000人まで増加。また、多種多様な企業との異業種コラボを企画段階から立案し、実行。

 結果、注目いただく機会が増え、退任(退職)した後にも、マーケティング系メディアのイベントに登壇する機会を得たりしています。余談ですが、“現役時代”は、ここおたくま経済新聞にも、記事として間接的に紹介されたことがあります。

 一方私は、現在の「おたくまの中の人」と併行して、様々な企業に対してSNS運用のアドバイザー業務も行っています。もちろんそれも、お金をいただいてやっている「仕事」。なので私は、「プロのSNS運用担当者」ともいえるわけです。

 少々前置きが長くなってしまいました。そういった背景もあるので、私は、企業のSNS運用に関する最新情報を都度仕入れてアップデートしていますし、自分の最新実績を発信する側でもあります。

 その中で、最近感じるようになってきたのは、「ビジネスを意識したSNS運用」を行う企業が激増しているということ。

 また、Twitter・Facebook・Instagram・YouTube・LINE・TikTok……といった代表的なプラットフォームに対して、企業それぞれが特性を把握した上で、自社に必要なものを選定。そこに担当を付けて運用をする体制を整えつつあります。「営業」「マーケティング」「ブランディング」「カスタマーサポート」など……何かしらのビジネスを念頭にいれたSNS運用は、従来のものから大きな変化となっています。

 なぜそのようになってきているかというと、それは「SNSの特性と効能を正しく理解する人材が、経営レベルでも増えてきた」と、「コロナ禍により、SNSに軸足を置いた販促・PRを余儀なくされた」という2点が大きな要因であると考えられます。

■ これからのSNS運用は「使い分け」がポイント

 そもそもですが、Twitter・Facebook・Instagram・YouTube・LINE・TikTokは、SNSという「共通言語」を除けば、全くの似て非なるSNS。しかしこれまでは、それを理解する層が絶対的に不足していました。簡単にいえば一括りにしていました。

 しかし、SNSの普及から10年ほど経過し、徐々に「ネイティブ」の割合が増えてきました。同時に一定レベルですが、世代交代している影響もあるでしょう。

 例えば、私が現在アドバイザーをしている企業のひとつは、Twitter・Facebook・Instagram・YouTubeの4つについて公式アカウントを有していますが、それぞれの運用目的は異なります。

 ざっくりとした「すみ分け」は次の通り。

Twitter:ユーザーとのコミュニケーション
Facebook:公式リリースやイベント告知
Instagram:製品紹介やショートムービーを使ってのPR
YouTube:レビュー動画

 このように「主軸」を予め設定することで、担当がやるべきことを理解した運用ができます。またそうすることで、特定のSNSアカウントへの依存がなくなり、さらに補完性を高めていくことで、それぞれの利点を生かしながらの「循環性のある企業SNS運用」が、結果として、企業のブランドイメージUPにより寄与したものとなるからです。

 ちなみに私は、SNSの中においては、「公式Twitter運用」で評価をいただいた人間です。そんなTwitterですが、リアルタイムさと拡散力に優れているので、ともするとExcelのような万能性を持っているように思われがち。企業のSNS運用においても、“いの一番”に選ばれやすい傾向にあります。かくいう私もそうでしたので。

 が、実をいうと、結構不便なツールなのがTwitterだったりします。ユーザー層が幅広く(10代後半から40代)、良くも悪くも可視化された空間。世代・職業・思想とわず不特定多数の人が集う「言論の総合格闘場」とでもいうべきでしょうか。

 そして、確かに拡散力に関して大変秀でたSNSですが、ただしそれは「バズ投稿」になることもあれば、「炎上」に繋がるリスクのある相反するもの。なので、企業やブランドによっては、あまり相性がよくないSNSであるケースもあります。

 しかしながら、これまでは「SNS運用担当=Twitter運用担当」という、奇妙な“方程式”が成り立つ時代がありました。それは、先述のように、Twitterが「個性」が際立つツールでもあり、企業アカウント担当に対してはそれを「中の人」と称されてクローズアップされました。そんな側面もあり、いち早く公式アカウントとして取り入れる企業が増えました。2010年代は特にそれが顕著でした。

 ただ、2022年は、そんな「勃興期」からは既に10年以上も経過。「十年一昔」なんて言葉もあるように、「中の人運用」は、時代の遺物になりつつあります。まだまだ「勝ちパターン」は確立されていませんが(これからもされないでしょう)、Twitter以外のSNSに関しても、ビジネス的優位性を認識されるようになってきています。私がアドバイザーを担う企業のように、総合的なSNS運用に切り替わってきているのです。